悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくんとは
「悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん」とは1990年に発売されたコナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント株式会社)のアクションゲームソフトであり、悪魔城ドラキュラシリーズの外伝作品である。
概要
ドラキュラくん
*好きな食べ物の項以外、説明書の原文まま。なので以下の文章のノリもこれに合わせドラキュラくんの雰囲気が伝わるようにする。
●他ドラキュラくんのゲスト出演
ドラキュラくんの本編にて一部のボスを倒すととあるコナミのゲストキャラの顔のコインが登場する。
「きーつけて いってきなはれ わてもだんごたべながらおうえんしまっから。ほな、さいなら」
翌年ドラキュラくんがそのゲストキャラのゲームにゲスト出演する事になる。
ワイワイワールドにこそ出演を逃したドラキュラくんだがパロディウスシリーズでは少し成長し、またコウモリにならなくても飛べる事に気が付き、中々強い自機としてキッドドラキュラ(GB版「ドラキュラくん」の海外版の主人公。後述)と共に登場する。・・・しかし、ドラキュラくんが悪魔城ドラキュラ本編に出られる日はいつの日か・・・。
ゲーム内容について
基本的にはFC版もGB版もドラキュラくんをはじめ可愛くなったモンスターが悪魔城ドラキュラ同様2Dスクロール画面の中で動き回るライフ制の横スクロールジャンプアクションゲームで、様々なステージの仕掛けに対しドラキュラくんの能力を活かしてクリアしていく。ステージには色々な仕掛けや敵は勿論、ミニゲームにパロディ要素やオマージュ、ギャグも満載。パスワード機能があり、続きからいつでも遊べる。
ゲームの難易度は子供や女性にも楽しめるようにとやや優しいようでいて、悪魔城ドラキュラシリーズらしくなかなか歯ごたえのある内容となっている。
ドラキュラくんとドラ息子たち
本家シリーズの主要人物アルカード(アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ)とドラキュラくんには多くの共通点と類似点がある他、ドラキュラくんの一部のボスや敵が、アルカードが主人公を務める「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」に登場していたりパロディやオマージュが多々存在する。
アルカードとドラキュラくんとの関係性についてはぶっちゃけ「ドラキュラくんはパロディだから」で済んでしまうのだがここは長年の謎にあえて切り込んで調査。あまり結論なくで進行しますので、あくまで参考程度に。
来歴
アルカードは「悪魔城伝説」で初登場し、「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」では小島文美氏によりリファインされ主役として再登場し、その後のドラキュラ作品の方向性を大きく変えシリーズの主要人物としての地位を築くまでになる。言うまでもなくドラキュラくんとアルカードは「ドラキュラ伯爵の息子」という点で共通している。
母親
月下でのアルカードはドラキュラ伯爵と人間の女性リサとの間に生まれた半人間の混血吸血鬼=ダンピールであるという設定が付与された。 ドラキュラくんの母親は何者か不明であるが、「悪魔城伝説」までのアルカードも母親が誰なのか不明でありここの所も共通していた。つまりここで解る事は母が不明である故にドラキュラくんは純粋な魔物であるか、ダンピールであるか、それとも実は人間なのかは不明なのである。人間である裏付けとしてGB版のパスワードが枚挙できるかもしれない。
容姿の特徴
「悪魔城伝説」のアルカードとドラキュラくんは見た目ではとうてい似ていなかったが、月下でのアルカードは小島文美氏のデザインにより「悪魔城伝説」では黒かった髪の毛が白髪のロン毛となり、対してドラキュラくんの髪はボサボサの天然パーマだが髪色が同じになる。
ゲーム上の特徴
「悪魔城伝説」でのアルカードは父上同様に火弾を放ち、コウモリ化も可能な点は後のドラキュラくんの妖気弾とコーモリに継承されている。本人の実力ではなく修得アイテムだからか、懐中時計だけはドラキュラくんに継承されていない。そして、月下のアルカードは月下本編が始まるとデス様にすべての武装を取り上げられてしまい、ダンジョンを進んで装備を再回収するのだが、その取り上げられた武装を再回収する事や、魔導器を入手して色々な技を習得していく事等が、ドラキュラくんのボス撃破毎に新しい技を習得する事や以前覚えていた技を思い出していく様子と被る。
デス様
月下でのデス様はアルカードの前ではおつきらしく大変腰を低くやんわりとした口調でお声をおかけになられている点がドラキュラくんGB版で登場する死神さんと共通するものがある。
さかさ城
「月下の夜想曲」にはドラキュラ城が逆さまになった「さかさ城」なるものが登場し、これはドラキュラくんの妖気弾の一つ「さかさ(反転化)」のオマージュではないかとさえ思えてくる。
登場する敵たち
上記やニコニコ大百科の「悪魔城ドラキュラ」の記事でも触れられているように「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」にてドラキュラくんがびびる程強くビルドアップした魔王ガラモスが登場し、ドラキュラくんの本編同様に1万年の長い計画で悪魔城の支配を企む魔神として登場する他、月下に登場する一部の敵がドラキュラくんに出てきた敵キャラを彷彿とさせる敵がザコとして登場さえしている(フローズンハーフ(ゆきおかま)、サウジーネ(まーちゃん)等。)。
時代背景
悪魔城ドラキュラシリーズ総合公式サイトに公式年表があり、年表では後にドラキュラ伯爵となる人物マティアス・クロンクビストが1094年「キャッスルヴァニア」の時代に不死の魔人となり、1400年代前半頃にドラキュラ伯爵は目覚め、そしてエリザベータに次ぐ二人目の妻リサと結ばれアルカードが誕生し、それから1476年のワラキアが舞台の「悪魔城伝説」までの間にアルカードは青年となるまで成長した事になる。
また悪魔城伝説における「月下の夜想曲」発売以前の設定においても15世紀のヴラド・ツェペシュ公が狂気に走り、ついには自分の息子であるアドリアンを悪魔に契約させたというものである。
ドラキュラ伯爵はこの後の1999年に「Castlevania 暁月の円舞曲」にてユリウス・ベルモンドによって完全に葬られ、そして2017年に来須蒼真として生まれ変わっている。
これに対して「ぼくドラキュラくん」の時代がいつ頃なのかは断定する事が困難である。ドラキュラくんは1万年の眠りを経ている。 劇中、90年代のアメリカのニューヨークであったり、90年代を代表する女子フィギュアスケーター伊藤みどりをモデルにしたザコキャラの出現等々、ファミコン版発売時のネタを盛り込んである。しかしその一方で遥か未来を思わせるスペースエレベーターが登場している。
上記の通り全く本作のファミコン版とゲームボーイ版の時代背景が把握できないのである。 時代背景からドラキュラくんとアルカードの関連性を見出すにはかなり困難であり、やはりそこはドラキュラくんが外伝である所為であろう。ただ、ドラキュラくんの父の伯爵は「あの悪魔城伝説に出演していた」と説明書にもあるので正史の完全パラレルワールドととらえきれないので以下で正史に組み込んだ場合を追求する。
まず、仮にドラキュラくんの舞台が90年代だとして正史に組み込むも、1万年前にはアルカードは誕生していなければ、ドラキュラ伯爵よりも以前にうまれた事になるので破綻の傾向がある。
しかし、「悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架」よりも1万年後だと以下の説明がつく。
蒼月より後であれば説明書の一コマにあるドラキュラくんが目覚めた時に缶のトマトジュースを飲み干すシーンの説明はつくし、90年代説ではおかしな点である90年より1万年も太古の昔ドラキュラよりも前にドラキュラくんが誕生したという矛盾を解消できる。またワールドトレードセンタービルっぽい建築物を覗くニューヨーク、伊藤みどりっぽいネタにしてもそこは我々の現実世界とは違う1万年後の悪魔城の世界だからと言える。また、ガラモスの計略にしても月下のが第一号の1万年計画でありアルカードの手により失敗・・・それからまた新たな1万年計画を実行してドラキュラくん本編とも考えられ時系列的に成立する。なので、ドラキュラくんを正史に組み込む場合「蒼月の十字架」よりも1万年後の出来事だとみればよいかもしれない。
ただし、その未来説を裏付ける公式情報もなく推測の域を出ないので目下の所ドラキュラくんの時代背景は不明なのは変わらず、正史に組み込めないのが実情である。 また、パロディウスでドラキュラくんはおそらく遥か未来(遠い昔?)惑星グラディウスの超時空戦闘機ビックバイパー(58歳/鯛焼き屋)と共演しているが、グラディウスシリーズのグラディウス歴6658年というのは悪魔城の正史からいつ頃なのか断定できない上にそもそも別世界なので、やはりドラキュラくんがビックバイパーと共演できても、ドラキュラくんの出来事を未来の事にする裏付けとはならない。
父親への姿勢
アルカードはドラキュラ伯爵の暴走や悪事に対して反対しており、「悪魔城伝説」「月下の夜想曲」では自らの手で父上を討伐さえする他、常に父の復活を監視しているのに対して、ドラキュラくんはツッコミ所はたくさんあるけれどドラキュラ伯爵の稼業を継ぐ気満々である。この点では相違性が見られる。 しかし、ドラキュラくんがもし人間或いはダンピールであるなら悪魔城伝説を経てアルカード同様に父と対立する可能性はあるかもしれない。
ドラキュラくん=アルカード?
もしかしたらドラキュラくんとアルカードは同一人物ではないかという説も追及する。
上記の通り、父親に対しての姿勢がアルカードとドラキュラくんでは真逆であり、正史の歴史上と見比べてドラキュラくんの舞台が未来だとみても、色々仮説をたてても、やはりそこにアルカード=ドラキュラくんを裏付ける公式情報がない。
で、結局のところどうなのよ?
上記の事から、ドラキュラくん=アルカードと見なすのが難しくとも、アルカードとドラキュラくんの因果関係や重なる部分は多い事が解る。ただドラキュラくんの時代背景が不明であるので正史に組み込むのは無理である。ただ、悪魔城伝説にも出演していた事のあるドラキュラ伯爵を父に持つドラキュラくんである。完全にパラレルワールドとは言い切れず、我々の知らない真実があるかもしれないが現地点でそれを明かすことはまずないだろう。 「キャッスルヴァニア」~「悪魔城伝説」~「悪魔城ドラキュラ」~「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」~「悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架」までのシリーズ、言わずもがな月下の夜想曲の時に大大的な改変があり新旧に分かれるのだが、この第一シリーズでのアルカードとドラキュラくんの検証を以上で終える。
「悪魔城ドラキュラ-蒼月の十字架-」で一応の完結を見せたドラキュラシリーズであるが、その後ドラキュラシリーズは新たな世界観に一新された「悪魔城ドラキュラ ジャッジメント」、そして更に製作スタッフを変えた「Castlevania Lords of Shadow」シリーズが展開され、その一方でキッズゲーム「モンスター烈伝オレカバトル」でも悪魔城ドラキュラのキャラクター達が続々と登場する事となり、ドラキュラくんはこれらの作品にも何かしらの関連性を伺わせている。
まず「悪魔城ドラキュラ ジャッジメント」でもドラキュラくんは登場していないがドラキュラくんのあの敵がまた性懲りもなく暗躍している。
↓以下「悪魔城ドラキュラ ジャッジメント」とドラキュラくんについてネタバレあり解説
魔王ガラモスが性懲りもなくまた1万年計画らしきものを実行し暗躍しているらしく、ラスボスであるタイムリーパーもその手下で台詞に「一万年」という文句もあれば、ついに断末魔にて「ガラモス様ぁっ!」と絶叫さえするので続編が続いていたのならば小畑健先生版ガラモスが登場していたかもしれない。
2012年3月22日より稼働したキッズ向けアーケードゲーム「モンスター烈伝 オレカバトル」の第一章(現:新一章)にてドラキュラくんを連想せざるをえないモンスター「アルカ」がキキキッ!と登場した。このモンスターの進化形が「アルカード」であり、またこのアルカードとアイテム「魔導器」とが合体してでできる☆1モンスターの「バト」がドラキュラくんがコーモリ化した時の姿にそっくりである等ここでもドラキュラくんと本家悪魔城ドラキュラのアルカードと関連性を見せている。その内ガラモスも出てきそうだが・・
最新作「悪魔城ドラキュラ Lords of Shadow2」とその前作「Castlevania Lords of Shadow」の間にある3DSソフト「Castlevania Lords of Shadow 宿命の魔鏡(英名:Castlevania Lords of Shadow Mirror of Fate)」(*)でもアルカードが登場しているが以下で説明(*ネタバレ含む)
*以下ネタバレ注意!!!!↓(マウスを左ドラッグで選択するとネタバレ情報が現れます。)
宿命の魔鏡でのドラキュラはガブリエル・ベルモンドであり、アルカードはガブリエルとマリーの間に生まれた息子トレバー・ベルモンドであり、トレバーは燈光教団によって幼い頃から母親と別離し父の目の届かぬ所で燈光教団の長老たちによって訓練を受け戦士として育つ。そして、妻のサイファと息子のシモンを残して一族の敵であり恥であり、母の敵であるドラキュラを討ちに行くのだが返り討ちにあう。 そこでトレバーは魔鏡から父が母を殺し、何故父は教団と敵対し吸血鬼となったのかを知る。 そして、ドラキュラも今倒した戦士を息子である事を思い出し蘇生させる・・・こうしてトレバーは自身が忌み嫌う魔物と成り果て、成長したシモンの前ではアルカードと名乗るようになった。
トレバー・ベルモンドとはラルフ・C・ベルモンドの海外名であり、ドラキュラくんもまさか自分が宿敵ベルモンド一族の者と境遇が一緒になってしまうとは思っていなかっただろう。いやいやドラキュラくんが発売されてから20年余り・・・世の中何が起こるかわかりまへんな。
*「Castlevania 宿命の魔鏡」は後にHD化と追加要素を加えて、PS3、XBOX用ダウンロードソフトとして配信された。
これらの作品はオレカバトルはともかくとして、「悪魔城ドラキュラ ジャッジメント」と「Castlevania 宿命の魔鏡」の二作品は完全に一新された世界である事が濃厚であり、特に「Castlevania 宿命の魔鏡」は新生ドラキュラと呼べる独自の世界を構築し、以前のドラキュラシリーズと相いれない感がある。
しかしながら、いつなん時油断をすると魔王ガラモスが現れてもおかしくない、そして我らがドラキュラくんも登場しているかもしれない・・・。一抹の希望を胸に今後のシリーズ展開を見守りたい。
|