1952年クラシック世代とは、競馬において1949年に生まれ1952年にクラシック競走を走った(旧4歳、現3歳を迎えた)競走馬の世代である。
日本の戦後競馬史に残る名牝が同世代に一堂に会し、その圧倒的な活躍ぶりで同期の牡馬たちを一蹴した、日本競馬に最初に現れた「最強牝馬世代」とも言うべき世代。
確認できるだけでも通算51戦27勝、日本で初めて牝馬二冠を達成し菊花賞は半馬身差の2着、「日本競馬史上最もクラシック三冠に迫った牝馬」であり、またその難読極まりない馬名から現代でも珍名馬の代表例として度々名前が挙がるスウヰイスー、29戦17勝、2022年現在歴史上ただ1頭しかいない牝馬の天皇賞(春)優勝馬で、桜花賞ではスウヰイスーやクインナルビーと激戦を繰り広げたレダ、44戦17勝、クラシックでは桜花賞、日本ダービー、菊花賞で3着、天皇賞(春)でレダの2着の後自身も天皇賞(秋)で優勝、天皇賞後は斤量が60キロを超えていたものの44戦して一度も掲示板を外さなかった抜群の安定感を誇るクインナルビー、44戦26勝、朝日盃3歳ステークスを勝ち皐月賞、日本ダービー、オークスのクラシック三戦で2着に入った「変則準三冠馬」タカハタなど、牝馬の活躍が非常に目立っていた。
一方の牡馬は前年のトキノミノルに続いて皐月、ダービーの二冠を達成したクリノハナ、脚部不安によりクリノハナが回避した菊花賞でスウヰイスーを半馬身抑え父セントライトとの父子制覇を果たしたセントオー、天皇賞(秋)でクインナルビーの2着に入り後に南関東に移籍して開設記念(現川崎記念)を勝利したニユーモアナ、中山大障碍を含む障害重賞を3連勝したハクオーなどが有名。
海外にはフランスで現在G1とされているレースを4勝し日本に来て社台グループ最初期の大種牡馬として活躍したガーサント、アメリカで4歳時10戦無敗、史上2頭目のニューヨークハンデキャップ三冠馬トムフール、即位直後のエリザベス女王の所有馬で、その後日本に輸入され活躍したゲイタイムなどがいる。
この世代は結果だけで見れば牡馬三冠をクリノハナとセントオーが勝ち、ある種順当な結果と言えなくもないが、皐月賞は牝馬タカハタとクビ差、日本ダービーも史上最多の31頭が出走しながら同じくタカハタとのクビ差、さらにクリノハナはダービー前のオープン戦でレダに敗れており、菊花賞馬セントオーは前述のとおりスウヰイスーと半馬身差での勝利であるなど、当時としては牡牝の実力差はかなり拮抗していて[1]、レースの展開次第では五代クラシックすべてを牝馬が勝利する可能性すらあった[2]。またクリノハナは菊花賞前に引退、セントオーも菊花賞後2戦して未勝利に終わるなど順調さを欠いたが、クラシックで好走した牝馬たちは翌年も日本競馬の主役として活躍し、古馬の最大目標である春秋天皇賞はどちらも牝馬が勝利[3]、世代の獲得賞金最多も2位を大きく離してタカハタが達成、戦績も4歳時に死去したレダが30戦、他のメンバーは40戦以上走るなど長く活躍した。
またレースでの活躍とは別に繁殖でも天皇賞馬クインナルビーが大きな成功をおさめ、スターナルビーからはホワイトナルビーを経てオグリキャップ、オグリローマン兄妹を始めとする重賞馬4頭、他のラインからもアンドレアモン、インターシャルマン、キョウエイマーチ、ヴィートマルシェ、マルシュロレーヌ、バーデンヴァイラーなど、現代でも重賞戦線で活躍する競走馬を輩出し続ける日本でも有数の一大牝系を築き上げた。二冠牝馬スウヰイスーもどういうわけかばんえい馬の血統内に今もその名を残している。牡馬でも競走生活は脚部不安で引退となってしまったクリノハナが天皇賞馬3頭を含む重賞馬10頭を送り出すなど内国産冷遇時代の当時どころか現代でも大成功と言える結果を残し、52年という遠い昔から血統を通して現代に影響を残す偉大な競走馬が揃った世代であった。
競走名 | 1952年(現3歳/旧4歳) | 1953年(現4歳/旧5歳) | 1954年(現5歳/旧6歳) |
---|---|---|---|
皐月賞 | クリノハナ | 4歳馬限定戦 | |
東京優駿競走 (日本ダービー) |
クリノハナ | 4歳馬限定戦 | |
菊花賞 | セントオー | 4歳馬限定戦 | |
櫻花賞 | スウヰイスー | 4歳牝馬限定戦 | |
優駿牝馬 | スウヰイスー | 4歳牝馬限定戦 | |
天皇賞(春) | レダ | ||
天皇賞(秋) | クインナルビー |
競走名 | 1952年(現3歳/旧4歳) | 1953年(現4歳/旧5歳) | 1954年(現5歳/旧6歳) |
---|---|---|---|
中山大障碍(春) | ハクオー | ||
京都大障碍(春) | 1953年新設 | ハクオー | |
京都大障碍(秋) | 1953年新設 | ハクオー | |
中山大障碍(秋) |
競走名 | (現2歳/旧3歳) |
(現3歳/旧4歳) |
(現4歳/旧5歳) |
(現5歳/旧6歳) |
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朝日盃3歳ステークス | タカハタ | 3歳馬限定戦 | ||
阪神3歳ステークス | テツノハナ | 3歳馬限定戦 | ||
安田賞 | スウヰイスー | スウヰイスー | ||
読売楯争奪アラブ東西対抗(春) (~1951) 読売カップ(春)(1952~) |
サチミツ | |||
読売楯争奪アラブ東西対抗((秋) (~1951) 読売カップ(秋)(1952~) |
サチミツ |
競走名 | (現2歳/旧3歳) |
(現3歳/旧4歳) |
(現4歳/旧5歳) |
(現5歳/旧6歳) |
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全日本三才優駿 | シンタカラ | 3歳馬限定戦 | ||
開設記念 |
啓衆社賞 | ||||
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表彰部門 | ||||
最優秀3歳牡馬 | 1954年新設 | |||
最優秀3歳牝馬 | 1954年新設 | |||
最優秀4歳牡馬 | 1954年新設 | |||
最優秀4歳牝馬 | 1954年新設 | |||
1954年新設 | ||||
1954年新設 | ||||
1954年新設 | ゲーリー | |||
最優秀障害馬 | 1954年新設 | |||
最優秀アラブ | 1955年新設 | |||
年度代表馬 | 1954年新設 |
前世代 | 当記事 | 後世代 |
---|---|---|
1951年クラシック世代 | 1952年クラシック世代 | 1953年クラシック世代 |
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掲示板
1 ななしのよっしん
2023/10/05(木) 06:47:39 ID: xlgjdN3DGn
記事作成乙
競馬を知れば知るほど、この世代への憧憬と敬意が日増しに高まるばかり
惜しむらくは前年のダービーの映像は見られるのに、この年のクラシックの映像は見られないことか
そして返す返すもレダの夭逝は無念極まりない
もし血を残せたら、きっとまたステイヤーの牝馬が現れただろうな(たらればは承知で)
2 ななしのよっしん
2023/10/05(木) 07:12:47 ID: TDZ4r7+zv/
境勝太郎が好きだった牝馬最強世代
クインナルビーで天皇賞に勝ったのが印象深かったのだろうか
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最終更新:2024/11/26(火) 21:00
最終更新:2024/11/26(火) 21:00
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