分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例とは、JRグループの乗車券の効力に関する特例の一つである。
概要
JRグループの旅客輸送のルールを定めた「旅客営業規則」第160条の4に定められている特例である。
路線図・地図を見た際にV字状に移動する際、分岐駅に停車する列車が少ない等の理由から乗客に便宜を図る為にY字状に移動しても良く、折り返し区間の運賃は徴収しないというものである。
旅客営業規則第160条の4第1項
次に掲げる区間の左方の駅を通過する列車に乗車するため、同駅から分岐する線区にまたがる乗車券を所持する(次に掲げる区間の左方の駅を通過する列車からの乗継を含む。)旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)が、同区間を乗車する場合は、当該区間のうち左方の駅以外の駅において途中で出場しない限り、乗車券面の区間外であっても乗車することができる。旅客営業規則第160条の4第2項
次に掲げる区間に限り、第157条第2項の規定により乗車中の場合は、前項に準じて当該区間について乗車券面の区間外であっても乗車することができる。
注意が必要な点を以下に示す。
- この特例の対象になるのは、条件に該当する経路の乗車券を所持しているか、または旅客営業規則第157条第2項(大都市近郊区間の選択乗車)により条件に該当する経路を乗車している場合である。そのため、ICカード乗車券のSFを使用して乗車する場合はこれらのいずれにも当てはまらない。[1]
- 対象となる旅客の条件が「同駅から分岐する線区にまたがる乗車券(定期乗車券を除く。)を所持する旅客」ではなく「同駅から分岐する線区にまたがる乗車券を所持する旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)」になっているため、条件に該当する普通乗車券を所持していても、それとは別に定期乗車券も所持していたらこの特例の適用対象外になる。
対象
過去に適用されたもの
| 対象区間・路線 | モデルケース | 備考 |
| 夜明駅から日田駅 | 日田彦山線今山駅→(普通)→日田駅→(特急ゆふいんの森)→久大本線久留米駅 | 2023年8月28日のひこぼしライン(日田彦山線のBRT転換)開通により廃止。 |
私鉄での類似特例
| 対象区間・路線 | モデルケース | 備考 |
| 東武鉄道 新栃木駅から栃木駅 |
宇都宮線野州平川駅→(普通)→栃木駅→(特急スペーシアX)→日光線新鹿沼駅 | |
| 名古屋鉄道 枇杷島分岐点から名古屋駅 |
犬山線上小田井駅→(快速急行)→名古屋駅→(快速急行)→名古屋本線須ヶ口駅 | かつては豊橋駅~中部国際空港駅間を結ぶ特急が存在し金山駅でスイッチバックしていたが、その際には重複する金山駅~神宮前駅間の運賃は徴収されなかった。 |
| 近畿日本鉄道 布施駅から鶴橋駅 |
大阪線五位堂駅→(快速急行)→鶴橋駅→(快速急行)→奈良線生駒駅 | |
| 近畿日本鉄道 大和西大寺駅から奈良駅 |
京都線丹波橋駅→(特急あをによし)→奈良駅→(特急あをによし)→奈良線学園前駅 | あをによしは奈良駅でスイッチバックする為。その際には重複する大和西大寺駅~奈良駅間の運賃を徴収しない。 |
| 南海電気鉄道 岸里玉出駅から天下茶屋駅 |
高野線堺東駅→(急行)→天下茶屋駅→(特急サザン)→南海本線堺駅 | 天下茶屋駅は現在は全列車が停車するが、2001年のダイヤ改正以前は天下茶屋駅を通過する列車が存在し、その際には新今宮駅での乗り換えも認められていた。 |
| 南海電気鉄道 紀ノ川駅から和歌山市駅 |
加太線東松江駅→(普通)→和歌山市駅→(特急サザン)→和歌山大学前駅 |
関連動画
現在存在しません。
関連項目
脚注
- *2024年3月31日までは対象が「次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客」だったため、ICカード乗車券のSFを使用して乗車する場合も該当していた。
- *予讃線の海回り(下灘駅等を回る)ルートのこと。
- *現新下関駅
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