探査機「はやぶさ」とは、日本の小惑星探査機(工学実験衛星)である。
概要
小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)
AsteroidExplorer"HAYABUSA"(MUSES-C)
「第20号科学衛星」。開発名「MUSES-C」(Mu Space Engineering Satelite-C)。
2003年5月9日、旧・文部省宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所。略称:ISAS)によって、旧・鹿児島宇宙空間観測所(現・内之浦宇宙空間観測所)から打ち上げられた。
NEC東芝スペースシステムが中心となり、大小多数の国内メーカーが本体やシステムの設計・製作・運用に関わった。[1]
2010年5月、国際宇宙航行アカデミー(IAA:International Academy of Astronautics)の50周年記念ロゴで、アポロ11号の「月面上靴跡」、ガガーリンの「人類宇宙へ」、「ISS」等と共に、宇宙開発史上の偉業として列挙された。
後述する様に、探査機本体や国内の宇宙開発を取り巻く政治・経済の環境が極めて厳しい中、宇宙探査機の幾多の記録を塗り替え、国際的な評価を獲得し、国内外問わず様々な分野の賞を多数受賞し、ギネスにも認定された(「新語・流行語大賞2010」にもノミネートされた)。
2010年6月13日、小惑星イトカワのサンプルが期待されるカプセルを地球に投下後、大気圏突入を以てその役目を終えた。
2010年11月16日、回収されたカプセル内の微粒子がイトカワ由来であることが確認された。月以遠の天体からの地表物質の回収の成功は世界初の快挙である。
目的
「小惑星(イトカワ)までイオンエンジンを使った飛行を行い、自律的に小惑星に近づき、その表面から、物質のサンプルを持ち帰る」、下記4つのミッションを行う。
- イオンエンジン(μ10)による宇宙航行技術を実証すること
- 「自律航法」を駆使した小惑星(イトカワ)への接近・着陸をすること
- 微少重力下で試料を採取すること
- 試料の入ったカプセルを、直接地球の大気圏に突入させて回収すること
地球への帰還時期は、トラブルが続いたことにより2007年6月から2010年6月へと変更された。なお、イトカワで採取した試料を地球に投下した後、当初の予定になかったミッション《大気圏突入》を実行することになった。これは、JAXAの「軌道予測システム」(地球に衝突する恐れのある小惑星の軌道やその確率・時間を解析するシステム)開発のため、大気圏突入時のデータを利用するというプロジェクトである。
計画が順調であれば、試料投下後は別の目標に向かう予定であった。しかし、姿勢制御系エラーによるカプセル投下精度の低下を補うため、離脱不可能な距離でカプセルを切り離さざるをえなくなった。(-この時点では、世界中のどこを探しても、はやぶさを回収する技術は無かった-)
2010年6月13日22時51分。既にカプセルの分離・投下を済ませた「はやぶさ」は、オーストラリアの上空をひときわ明るく輝きながら最後のミッションを遂行し、その姿を星空に消した。7年をかけた壮絶で前代未聞の「おつかい」は、こうして幕を閉じた。
「世界で一番の『はじめてのおつかい』」 「でも、二度と『おつかい』には行けない」
「戻ってくるよ。『風』になって」
「おかえりなさい。本当に、おつかれさま」
- 942 : ななしのよっしん :2010/06/14(月) 22:37:21 ID: Eka6tdjJf0
- 「地球、見えまし・・・」
あのラストショット。炎に包まれながら声を届けようとした、という感じがした。- 943 : ななしのよっしん :2010/06/14(月) 22:41:57 ID: 9HKL4+W8qY
- >>942 地平線に隠れただけなんだがな。通信途絶の約22分後に大気圏突入
- 972 : ななしのよっしん :2010/06/15(火) 01:02:51 ID: KzyEkAHOhK
- >>942-943
撮影した画像を送信中。
↓
地上のアンテナから見えない位置に入り通信終了。
↓
地球の影に入り太陽電池からの電力供給が途切れてはやぶさの電源が落ちる。
↓
再突入。
つまり、はやぶさは先に眠ってしまったので熱い思いも痛い思いもしなかったってこと。
更なる情報は関連外部リンク、及び本項目右カラムのWikipedia、ニコニコ動画のアイコンボタンを押してリンク先のコンテンツを参照されたい。
開発環境と予算
日本の宇宙開発予算は、昔から極めて少ないのが伝統であり、「はやぶさプロジェクト」も冷遇が歴史そのものである。本機搭載の小惑星探査ロボット「ミネルバ」ですら、メーカーからの試供品や民生品を使い、開発資金もメーカーからの協賛金や旧ISASのなけなしのへそくり研究費に頼る事となった。持ち出しばかり。
運用予算についても2005年末に「はやぶさ」が一時消息不明となったときなどは、次年度の予算編成が迫り政府がここぞとばかりに運用予算に見切りをつけかねないとして、川口マネージャーがプロジェクトメンバーの士気を維持させるとともに次年度の運用費が決して無駄ではないことを知らしめるために再補足の 確率(正確には再補足に適切な位置に「はやぶさ」が来るであろう確率。決して"再補足が実現する確率"ではない事に注意。表向きには違いを明確にしなかったけど)を急いで算出するなど奸計涙ぐましい努力を払ったほど。
そんな中、本プロジェクトを受け継ぐ形で「はやぶさ2」の開発が進められているが、NASAのように潤沢な資金が手当されていないのは、悲しいけど予想されたこと。
そんな中、当時の政府による事業仕分けが行われ、更なる深刻な予算不足に陥り、他プロジェクト(火星探査機「のぞみ」のリベンジ計画、「かぐや」後継機、「だいち」後継機、準天頂衛星計画(「みちびき」等)、HTVベースの有人機など)等と少ない予算を奪い合うほかない状況となる。
も し、「はやぶさ2」計画が消滅すれば、JAXA、メーカー、研究者の3つに渡る人材、開発した工学的技術、運用経験のノウハウなど、1990年代からはや ぶさの開発と運用で、積みかさねてきたものも四散し、関係する技術開発はお終いとなり、優秀な専門家たちの海外流出にも繋がりかねない。
こういったこともあって、作家の松浦晋也をはじめとする著名人や在野の有志たち(例えば「はやぶさまとめ」)が支援を呼びかけている。また、中の人も、「応援してください、『はやぶさ2』。『はやぶさ』の成果があぶない。」と声を上げざるを得ないところまできている。
あちこちの分野に手を広げず、主力プロジェクトに絞り込む「選択と集中」は予算節減の点では理に適うが、「はやぶさ2」を含め、様々な宇宙開発関係のプロジェクトの断念・打ち切りは、国家的損失を招くと危惧されている。
こういうときだからこそ、政治に対する不満を感情的に動画や掲示板にぶつけるよりも(気持ちは分かるが)、文部科学省や財務省などに「宇宙開発全般の発展」について粛々と嘆願や意見を具申したほうが得策といえるのではないだろうか。(本稿の掲示板にも同じような意見が出ています)
※幸い、はやぶさの地球帰還が成功し、はやぶさ2の開発の2011年度予算は満額通りました。しかし、2012年度は、JAXAの(最低限の)要求予算73億円に対し、当時の政府与党は30億円と大幅減額した(´・ω・`)ショボーン。
そのことについて、川口元プロジェクトマネージャーはこう自分のブログで述べている。
国民に自信と希望を与える政策がとられているのか、率直に申して、大いに疑問を感ずるところです。
自信と希望で飯が食えるか、との声があるかもしれません。
しかし、この国が将来成長できる国であることを信じられなければ、
けっして閉塞から抜け出せるはずはないのです。
それを担うはずの、今は中学、高校、大学生かもしれない次の世代がそれを実感できるのか、
実感させることができるのかが問われているはずです。この国が、我々が、創造できる国であることを確信できなければ、将来はありません。
この創造できる国だと確信させる政策にためらうことは、耐え忍んでいけば先が見えるという誤解に起因するのだと思います。
地球の裏側では、たとえ後方集団入ることになろうとも、はやぶさ-2 の4倍近い経費を投じて、
科学意義、そして国民に矜持をあたえる政策をとる国(米国NASA)があるかと思えば、
主導的立場に身をおくことに自信もなく、少ない経費をなお削減し、
わざわざ後方集団にさがって国民を落胆させる政策をとろうという国がある。なんとも情けないことではないでしょうか。
真の国益とは何か、次世代の国づくりをどう行うのか、それが見えないのでは、真の復興、
つまり国の将来を作ることはできないのではないか、と感じます。
ニコニコ動画におけるはやぶさ
ニコニコ動画ではJRの寝台特急列車および新幹線、プロレスラー、旧日本陸軍戦闘機、スズキ製バイク等の同名の「はやぶさ」と区別する為に、本項目名、"探査機「はやぶさ」"タグが利用されている。
資金難と理不尽なバッシングの中での開発と打ち上げから始まり、システム障害、故障、燃料漏れ、通信途絶・・・もうだめぽ的な数々のトラブル。困難を乗り越え、満身創痍でミッションをこなす姿と大気圏再突入という最期の使命。新旧テクノロジーの融合、膨大なシステムとプログラムを作り上げたメーカーの技術者と、ミクロン単位の精度で部品を仕上げた町工場の職人の意地とプライド。そして、前述の「軌道の魔術師」こと川口淳一郎PMが率いた運用チームのガチの粘りや常識を覆す発想と航行技術、「こんなこともあろうかと」の多重の仕掛けが結集された一大プロジェクト、それが“探査機「はやぶさ」”。
ちなみに、川口PMは開発中や運用中、担当者にいつもムチャぶりをする事も有名。
, ノ)
ノ)ノ,(ノi
( (ノし
┐) ∧,∧ ノ
..|( ( ....:::::::) ( これよりTCM-5を開始する
 ̄⊂/ ̄ ̄7 )ヽ lヽ,,lヽ
(/ 川口/ノ ( ) やめて!
 ̄TT ̄ と、 ゙i
こういったことを背景として、関連動画を見た視聴者の中には、「泣いた(´;ω;`)」「絶対に帰って来いよ!」「がんばれ!」「おかえりなさい」といったコメントを残す人も多い。ニコニコ動画史上最も愛された宇宙機とも言えるだろう。(地球帰還当日は 、ネットを通じて生放送されたが、本稿の更新や掲示板へのレス投稿、関連動画へのコメント投稿もリアルタイムで行われていた。)
そんなニコ動では、月周回衛星「かぐや(SELENE)」、火星探査機「のぞみ」、金星探査機「あかつき」をはじめとする、はやぶさの兄弟姉妹たちの秀逸な動画作品も多数作られているので、ぜひ視聴してほしい。そして、応援していただければ幸いである。
その他
名前の由来
当初の命名予定は、手塚治虫著『鉄腕アトム』の主人公アトム誕生年の2003年に打ち上げである事から、本機が高度な自律性を持つロボット探査機である事に因み、「アトム(ATOM:Asteroid Take-Out Misson」だった。しかし、原爆(AtomicBomb)を想起させること等から、最終的に第二候補の「はやぶさ」と命名された。JAXAの公式見解ではないが、的川泰宣(JAXA技術参与・名誉教授)の講演によると、命名理由は以下3点である。
- 隼の様な動きでイトカワに接近し、試料を採取する勇姿から。
- 戦時中、日本のロケット開発の父である糸川英夫(元東大教授)が一式戦闘機(通称「隼」)を開発していた。
- 若手職員が、東京~鹿児島(内之浦宇宙空間観測所)まで、寝台特急「はやぶさ」で移動していた。
小惑星イトカワ
1998年に、アメリカのLINEARチーム(マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所の地球近傍小惑星探査チーム)が発見した小惑星の一つである。当初は「(25143)1998SF36」という名前であった。
上記小惑星が、はやぶさの目的地に決まった段階で、旧宇宙科学研究所が糸川の名前を付けてくれるようLINEARに依頼。その後、国際天文学連合の承認を経て「25143Itokawa」(通称:イトカワ)となった。
選ばれた理由としては、技術的工学的観点から見て、地球から小型ロケットで、かつエネルギーが小さくても行ける距離に存在する、という条件があげられる。
ちなみに、小惑星は惑星が誕生するころの記憶を比較的よくとどめている化石のような天体だといわれている。従って、調査をすることで、惑星の成り立ちや当時の太陽系の様子を知る手がかりになる可能性がある。
火星探査機「のぞみ」
1998年7月、旧宇宙科学研究所は火星探査機「のぞみ」を打ち上げている。日本初ということもあり、沢山の期待を背負っての出発であったが、予算も無い経験もないロケット能力も無いの無い無い尽くしの中での運用は常に困難を極めた。運用チームは、文字通り最後の最後まで粘ったが、残念ながら目的を達成することはできなかった。
失敗に終わった後、案の定、批判・非難が集中した。しかし、のぞみは交信が途絶える直前まで、膨大なデータとその運用実績を遺してくれた。これらは、はやぶさプロジェクトにしっかり受け継がれている(例えば、複雑な軌道計算や通信途絶の際に力を発揮した「1bit通信」など)。今後の惑星探査機の開発・運用にも、生かされていくことであろう。ちなみに、川口PMは「軌道計算チーム」のメンバーとして、的川名誉教授は広報として、のぞみプロジェクトに関わっていた。
詳細は、公式サイトとWikipediaの当該記事を参照のこと。ニコニコ動画では、【火星探査機】星を知るモノ【のぞみ】、探査機「のぞみ」(ニコニコ大百科)に詳しい。ちなみに、ニコ動においては「のぞみ姉さん」と呼ばれることが多い。
なお、はやぶさに託されたターゲットマーカー(国内外から集まった88万人分の署名入り)は、イトカワへの投下に成功し、のぞみが果たせなかったメッセージを届けるというバトンを引き継ぎ、その任務を果たしている。そして、そのバトンはさらに、金星探査機「あかつき」へと引き継がれた。
公式動画クレジット
公式動画の最後に流れるクレジットには、2ちゃんねると大正製薬の名前がある。前者は専門板を中心に継続・展開されている支援カキコミと応援動画に向けたもの、後者はイトカワへのタッチダウン(2回目)時の公式実況ブログにおいて、更新担当者の机の上にリポビタンDが増えていく様子が話題になり、大正製薬からリポビタンDが2カートン届いたというエピソードに向けたもの、といわれている。もう、公式ドリンクでいいよね。
※2ちゃんねるの専門板においては、ニコニコ動画のノリでのレスは嫌われます。空気を読んで慎重に行動して下さい。TPOを守って楽しい探査機「はやぶさ」ライフを!
公認擬人化(?)[2]
JAXAは公式動画を作っているが、中の人の設定では「少年」である。一方、在野の絵師たちが描くイラストは「少女」が多い(参考までに、英米圏では船や月は「she」と女性名詞になる)。
数ある作品の中でも、イラストとしては梅仁丹によって描かれた「おつかいできた」が、4コマ漫画としてはオレンジゼリー(でい しろう)の「探査機はやぶささん」の知名度が高いと言われている。
この「おつかいできた」はJAXAのはやぶさ運用ルームの壁に貼られており、「探査機はやぶささん」は、中の人の監修のもと書籍化された。
お守り・お札・ステッカー
はやぶさ運用室には、たくさんのお守りとお札が祀られていた。中でも、2009年11月のイオンエンジンの故障の時、川口PM自らがポケットマネー[3]で参拝したという中和神社(ちゅうかじんじゃ)のお札は有名である(イオンエンジンの「中和器」(ちゅうわき)と言葉をかけている)。以下、確認できた神社や寺院を紹介する。
- 電波神社(法輪寺にある電電宮のお社):京都市西京区嵐山
- 飛行神社:京都府八幡市
- 飛不動:東京都台東区
- 中和神社:岡山県真庭市→実は「道中安全の神」を信仰している。
- 太宰府天満宮:福岡県太宰府市
- 成田山新勝寺:千葉県成田市
- 宇宙戦艦ヤマト(のステッカー)
→ミッションが一つ成功する度に、運用室のガラスに張っていったとのこと。(ソース)
ニュース
- 2009年11月4日
- イオンエンジンの異常が見つかり、帰還ミッション達成が一部で絶望的になった。
- 2009年11月19日
- JAXA「はやぶさ」チームは2つのイオンエンジンの稼動可能部分を使用して2台で1台分の推進力を得るという難易度ウルトラCの裏技に成功した。窮地を救ったのは、コッソリ組み込んだ「たった1個のダイオード」であった。[4]川口PMも、この件は知らなかったという。
- 2010年3月25日
- 目標であった南極側を地球への衝突をさけつつ、夜側を通過する軌道に移行させるのに成功。
- 2010年3月27日
- 帰還の為に2009年2月4日より運転し続けたイオンエンジンを停止し、慣性飛行に移る。
- 2010年4月4日
- TCM-0開始(TCM:Trajectory Correction Manueuver=精密軌道修正。0~4の5段階を6月上旬まで行う)
- 2010年4月21日
- 地球帰還日が、6月13日23時頃になると発表される。
- 2010年5月1日
- TCM-1開始(~5月4日)
- 2010年5月12日
- 1350万キロの先から地球の撮影に成功する
- 2010年5月23日
- TCM-2開始(~5月27日)
- 2010年5月29日
- はやぶさ回収班の先発隊が日本を出発。[5]
- 2010年6月2日
- オーストラリア政府から、正式にカプセル投下の許可が出る。
- 2010年6月3日
- TCM-3開始(~6月5日)
- 2010年6月9日12時30分
- TCM-4開始
- 2010年6月9日15時00分
- TCM-4正常終了。目標への精密誘導完了。これを以てイオンエンジンの運用が終了。
7年間頑張ってくれたイオンエンジンに、感謝!! - 2010年6月13日16時頃
- 故郷、鹿児島・内之浦上空を通過
- 国立天文台ハワイ観測所「すばる望遠鏡」が、はやぶさの姿を捉えることに成功する。
- 2010年6月13日19時51分
- 探査機本体からカプセル分離成功
- 追加ミッション
- 「最後に、故郷の地球を見せてあげたい」
カプセル分離後から大気圏再突入で消滅するまでの間、 - イオンエンジンを再起動し、はやぶさを回転させてカメラを地球に向け、地球の写真を撮影。
- →渾身のラストショット![6]
- 2010年6月13日22時30分頃
- ラストショット受信と前後して、管制室からはやぶさへの全てのコマンドを打ち終える。
- 2010年6月13日22時45分
- 地球の影にはやぶさが入り、太陽光発電パネルよりの給電が停止。探査機は深い眠りに入る。
- 2010年6月13日22時51分
- はやぶさにとってのラストミッション、大気圏再突入試験。
豪州ウーメラ立ち入り制限区域(WPA: Woomera Prohibited Area)へ向けカプセル再突入開始。 - 2010年6月13日22時57分
- 綺麗な二筋の流れ星となって地球帰還を果たす。→最後の勇姿。(和歌山大学チーム。2:53~)。
- 直後にビーコン発信および熱シールド正常分離を確認。
- 2010年6月13日23時00分頃
- パラシュートの正常な展開が確認される。
おかえりなさい、そして本当にお疲れ様でした。 - 2010年6月13日23時56分
- カプセルを目視にて確認。
落下地点が先住民アボリジニの宗教上の聖地であり、空撮写真確認・回収許可のため日の出を待つ。 - 2010年6月14日12時40分
- カプセル回収作業開始。16時08分に作業完了。
- 2010年6月14日14時過ぎ
- カプセルから分離した熱シールドをWPA内にて発見!
- 2010年6月15日
- 熱シールド回収作業終了。通信機器等を取り除いたカプセルの写真を公開。
- 2010年6月18日
- カプセルをチャーター便で日本へ空輸。未明に相模原市の宇宙機構の分析施設に運搬。
- 2010年7月5日
- カプセルの中に微粒子が入っている事が判明。
(ただし地上で混入した地球上の物質である可能性もあるため、今後の分析待ち) - 2010年10月6日
- 『電子顕微鏡による走査の結果、カプセル中で見つかった微粒子のうち数十個について
- 地球外物質である可能性が高いことが判明した』との報道がなされた。
- 実際は報道側の勇み足であった模様であり、『カプセル内のA室から自然物と思われる1ミクロン程の微粒子が100個以上発見され、地球外物質を探すチャンスが広がった』が正式な発表となった。
- 地球外、ないし地球産物質を判定する初期分析の開始は12月頃予定であり、変わらず、とのこと。
- 2010年11月16日
- 検出された微粒子のうちほとんどがイトカワ由来のものと判断された、と発表!
- JAXAプレスリリース はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について
- 記者会見が行われ、ニコ生では平日昼にかかわらず、のべ25000人超の視聴者を数えた。
- なお、B室の開封は18日、A室の微粒子の詳細組成やガスの分析などは学会発表の形で報告、とのこと。
- 2010年11月30日
- 容器をひっくり返して「トントン」したら、新たな粒子が出てきた。(会見の様子)
- 2010年12月7日
- B室の開封に着手。
- 2011年1月22日
- 「スプリング8」(兵庫県)で最初の初期分析の開始。
- 2011年6月2日
- 史上初めて小惑星から物質を持ち帰った探査機として「ギネス」認定!
- 2011年7月末
- 2011年第42回星雲賞自由部門受賞!
- 2011年8月26日
- 初期分析の結果の一部が科学雑誌「サイエンス」にて公開。
→イトカワは、直径20キロメートル以上の天体に隕石や他の天体が衝突した際に出来た欠片が集まって
できていること、表面が徐々に削られてだんだん小さくなっていること、などが判明した。
(編集者の方へ。ニュースが出てきたら、随時加筆をお願いします)
「はやぶさ」を受け継ぐもの
ここでは、「はやぶさ」の直接の後継機と言える計画を2つ紹介する。 (参考:始原天体探査について - JAXA太陽系小天体探査プロジェクト)
はやぶさ2
はやぶさで発生した問題点の改良(リアクションホイールや化学スラスタなど)、はやぶさ以降の新技術(平面アンテナなど)の採用を加え、2014年にH2Aで打ち上げ、2018年にC型小惑星(地球近傍小惑星(162173) 1999JU3)からのサンプルリターンに挑み、2020年に帰還するという計画である。
(ちなみに、はやぶさが探査したイトカワはS型小惑星である。)
2010年8月
文部科学省・宇宙開発委員会で研究開発フェーズへの移行が承認され、文部科学省も140億円の総開発費のうち30億円を概算要求することを決定。
2011年5月12日
JAXAは2014年に正式打ち上げをすることを発表した。初代はやぶさ2プロジェクトマネージャーである吉川真(ISAS/JAXA准教授)は、「技術的には、はやぶさのようにドラマチックにならないよう、当たり前のように行って戻ってくることを目指したい」と述べている。また、初代はやぶさに関わった研究者や技術者、外部のメーカーも開発・運用への参加に意欲を見せており、開発の着手を待っているという。
2012年1月25日
宇宙開発委員会において「はやぶさ2」の本格的な開発移行が承認される。
2012年9月13日
新プロジェクトマネージャーとして「こんなこともあろうかと」の真田さんこと國中均(ISAS/JAXA教授)が就任する。
・・・しかし、開発予算の不足はもとより、JAXA自身の内部的な問題(優先度が低いのねん><)も解決しなくてはならないため、依然として非常に厳しい状態が続いている。
はやぶさMkⅡ(マルコ・ポーロ)
JAXAでは、はやぶさ、はやぶさ2に続くさらに高度な始原天体サンプルリターンのミッションを検討している。こちらの探査機は、はやぶさ2と区別のためフルモデルチェンジを意味するはやぶさMkⅡと呼ばれている。この検討には欧州が大きな関心を寄せ、2007年から日欧共同ミッションとして計画することとなった。これに伴いミッション名が「マルコ・ポーロ」と日本側の提案により決定した。
目的地はP型、D型の小惑星、枯渇彗星核が候補に挙がっている。衛星本体は経験のある日本が製造することになっている。衛星本体はひとまわり大きくなり、イオンエンジンもはやぶさで使用したμ10の4倍の出力のμ20となり、太陽電池パネルもおよそ2倍の大きさとし、サンプラーホーンもはやぶさの1mから5mと長くなり日欧の2種類の採取機構を搭載する予定である。その他に着陸機を搭載することになっている。
なお、現在の状況は欧州宇宙機関内で検討中の段階でまだ実現は決まっていない。
関連応援お絵カキコ
関連動画
JAXA公式
地球帰還前に、JAXAが製作した公式動画の1つ。 |
映画化の予告
オールCGの全天周映像作品・映画作品。 監督は上坂浩光、主演は「はやぶさ」そのもの。 「さあ、帰ろう。懐かしい地球に」 |
制作はFOX、2011年10月1日公開。 監督は堤幸彦、主演は竹内結子と西田敏行。 「それでも君は、帰って来た。」 |
関連動画はページ軽量化のため、別項目としました。→探査機「はやぶさ」関連動画
コミュニティ
関連項目
- 宇宙/小惑星/科学
- 技術立国日本
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)/宇宙科学研究所(ISAS)
- 川口淳一郎
- 事業仕分け
- 打ち上げロケット・宇宙機の一覧(一部)
- 内之浦宇宙空間観測所
- 臼田さん(アンテナ)
- 相模原市(ISASのお膝元)
- VOCALOID宇宙派
- はやぶさ2署名活動へのご協力お願いします
- こんなこともあろうかと
- どんなことがあろうとも
- 予定された一つの流れ星
- パドヴァの誓い
- イオンエンジン
- サイエンス・ノンフィクション
関連外部リンク
- はやぶさプロジェクトサイト(JAXAサイト内)
- はやぶさ、7年間の旅(NECサイト内)
→NECは、月周回衛星「かぐや(SELENE)」、きぼう(ISSの実験棟)にも関わっています。 - はやぶさまとめ(有志によるまとめサイト)
脚注
- *NEC東芝スペースシステム(姿勢制御系)、NEC(イオンエンジン)、古河電池(リチウムイオンバッテリー)、IHIエアロスペース(カプセル・ミネルバの設計と開発)、三菱重工(化学スラスタ)、日本航空電子工業(加速度計)、富士通(軌道決定のシステム開発と運用)、明星電気(X線分析装置)、髙橋工業(カプセルの重要な部品)、会津大学(小惑星イトカワの3Dモデル構築)など。他参加企業は、Wikipediaが詳しいかも。
- *(独自研究) 擬人化を巡っては賛否両論があるが、結局のところ、「はやぶさを応援したい!」という一点に集約されるであろう。擬人化にとどまらず、イラスト、動画、歌、文字、トーク・・・みんな自分の得意分野で応援をしているのは周知の事実。こういった一人一人の行動が集まって大きくなり、現在の宇宙開発が、もっともっと「計画的」で「効率よく」「世界の最先端を行く」ものになればいいなあ、と思いませんか?(もちろん、夢とロマンと挑戦も忘れずに・・・)
- *教授もおっしゃっていますが、公費じゃないし「政教分離」ですよ?
- *JAXA|小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用の再開について。
- *同30日、現地入りした國中均(JAXA/ISAS教授・イオンエンジン担当)から、虹の歓迎を受けたとの報告
- *下部のデータ欠落は、送信中にはやぶさから見て地上の受信アンテナが地平線の向こうへ沈んでしまい見えなくなってしまった為。カメラ調整時間の不足によるノイズこそあるが、地球が写った部分を完璧に送信できたのは奇跡である。全6枚が地球に送信され、真っ黒な5枚の後に送ってきた最後の1枚が、文字通りの「ラストショット」であった。
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