1977年、東京都。人口1168万、警視庁警察官4万267人、犯罪発生件数20万9千件、犯罪検挙率88%
ー大都会PART2・OPよりー
大都会(テレビドラマシリーズ)とは、1976年から1979年にかけて石原プロモーションが制作した刑事ドラマである。
概要
放映は日本テレビ系列で行われ、全3部制作されたが登場人物が同じであっても直接的な繋がりがなく、作風もそれぞれ異なるのも特徴である。シリーズ一作目は脚本家倉本聰が原案とメインライターを手掛けたハードな社会派ドラマであったが、二作目以降には参加せず、同一シリーズとは思えないほどに作風が変貌したのである。
すでに日本テレビ系列では「太陽にほえろ!」が放映されていたが、差別化を狙っていたのか刑事ドラマの王道とは少々異なる作風になっている。第一作目はどちらかと言えば刑事の周辺にかかわる人間描写を中心にすえ、第二作目ではアクションと軽妙なアドリブを駆使し、また現実に起きたその当時における直近の事件や猟奇殺人など実験作的なものが多く存在した。第三作目にいたってはテレビの限界を余裕で超えたカーアクションが注目された。また、「太陽にほえろ!」では石原裕次郎が強烈な存在感を放っていたのに対して、大都会シリーズは渡哲也を前面に押し出したものとなっている。
「西部警察」は大都会シリーズの直接的な後継作品にあたり、放映局こそ違えど各種フォーマットはほとんどスライドしている。(この経緯については「西部警察」の記事も参照することを推奨)
1980年代は頻繁に再放送をされていたが、西部警察ともども過激な内容(特にPART3)ゆえに1990年代以降は再放送の機会に恵まれず、長らく幻の作品と言われていたが、2009年からCSの日テレプラスで再放送が開始された。そしていよいよ2012年に念願のDVD化がなされた。
2016年4月期の改編により、BS11で『大都会シリーズ』の一挙放送が開始される。4月5日より毎週火・水曜日の19時から放送されており、7月20日からはPARTIIの放送がスタートした。
そして2016年10月期の改編により、放送枠が火~金曜日に拡大されることになった。10月4日放送の第20話「狙われる」より週4回の放送となり、2017年2月まで放送された。
なお、地上波に比べると若干規制の緩いBS波での放送ではあったが、一部の描写(放送自粛用語、女性のヌード写真等)に修正(音消し・ぼかし)を加えられており完全版での放送ではない。
大都会 闘いの日々
記念すべき第一作目である。
舞台は暴力団専従班と言われる捜査4課であり、その内容も刑事ドラマというよりは黒岩やその周りを中心とする人間ドラマであった。この際、石原裕次郎は新聞記者であった。黒岩の妹はやくざに強姦された経験があったり、登場人物に陰のあるものがあったりと、全体的に重苦しい雰囲気となっている。また、事件が解決しても救われない結末であったり、核心に攻められなかったりと見てすっきり出来る内容ではなかった。
玄人筋の評価は高かったが、刑事ドラマといえばアクションという風潮にあって、見ていてカタルシスを感じづらい作風はあまり受け入れられず半年ちょっとで終了となった(3クールへの延長が内定していたが、結局視聴率不振を理由に打ち切り)。なお、この作品で神田正輝が俳優デビュー、寺尾聰や小野武彦など大都会シリーズでその後レギュラーとなる人物が登場する。
大都会・闘いの日々の登場人物
(執筆中)
大都会PART2
「大都会 闘いの日々」の終了から8ヶ月後に放映された今作は前作とは打って変わって、アクションを前面に押し出し、刑事ドラマの王道を踏んでいったが、シナリオ面では独自色をだし、現在でいう所のストーカーなど様々な犯人描写をしていった点が特筆され、文化庁の芸術祭の表彰を受けた事もある。また大都会パート2のエピソードをプロットとした後発の刑事ドラマも多く制作された。また刑事ドラマと言えば殺人事件からの捜査というのが定番であるが、直接的に犯人側から殺人をしなかった回も存在した。
登場人物は前作とは名前が一緒でもその性格が異なっていたりと、実質設定がリセットされている。黒岩も城西署の一刑事として書かれており、レイバンのサングラス・スポーツ刈り・青の上下・冬場におけるバーバリーのトレンチコートなど、後の大門に通じるファッションスタイルが既に完成されている。彼の人物像もPART3や西部警察の大門のような完璧超人ではなく巡査部長なりたてであり、有能ではあるがどこか感情が先んじてしまう人物像となっている。
引き続き石原裕次郎と渡哲也のダブル主演であるが、この作品においては松田優作が登場している事でも有名である。後の「探偵物語」にも通じるアドリブを利かせた軽妙なセリフなどが見られ、緊張感漂うハードなドラマの中にありながらも視聴者がクスッとしてしまうような場面が人気となった。これらの要素をもって、今なお刑事ドラマの中でも屈指の傑作と言われる事がある。なお、この作品では石原裕次郎は医者となった。
大都会PART2の登場人物
関連人物が多いので、それぞれに項目を分けて紹介する。殉職者は赤字で示す。
城西署関係の人物
- 黒岩頼介(演:渡哲也)
このシリーズの主人公。通称「クロさん」、「デカチョウ」。城西署捜査課勤務で出身は群馬県である。宗方の語る所によると元々は医者志望であったが、実家が経営する工場が倒産し、両親が死亡したため、医師の道を諦めて幼い妹を連れて東京へ出るもやさぐれて喧嘩の日々の中で救急搬送されたのが渋谷病院で、担当した宗方と出会う。その後は一念発起して警察官となる。柔道5段・空手3段・逮捕術1級と一級品の格闘技術の持ち主で刑事の感も抜群であるが、PART3での黒岩や西部警察の大門とは異なり、スーパーマン的な描写ではなく、まだ巡査部長なりたてと言う事もあり時として感情的になってしまう事もある。とはいえ基本的に人情味あふれる人間であり、寡黙とはいえ、特に平時においては口を開くと結構口数が多く、パート3の黒岩には見られない軽口を叩く場面もある。またマイペースな徳吉さえ丸め込むようなジョークやユーモアを飛ばす事もしばしば。一人称は大門と同じように基本的には「自分」だが、「俺」ということも多い。 - 丸山米三(演:高品格)
捜査課最年長で通称「丸さん」。 絵に描いたようなベテラン刑事で普段の性格や語り口も穏やかであるが、いざ犯罪者と対峙する時は厳しい姿を見せ付ける。特に15話「炎の土曜日」では真犯人をゆすろうとした柴田恭兵演ずる若者をボコボコにするなど、かなり過激な一面を持つ。なお、演ずる高品はかつてボクサー志願であった過去がある。従軍経験もあるらしく、モールスの解読も出来る。ちなみに過去には特別科学捜査室に所属していたという噂があるとかないとか。 - 徳吉功(演:松田優作)
城西署の刑事で通称「トク」。当時としては珍しい学卒であるがインテリな雰囲気は一切なく、(アドリブと言う名の)軽妙な語り口である。性格的には非常に血の気が多く、男女平等パンチや「城西署の暴力刑事」と黒岩に言われるなどまさに口より先に手が出るを体現しているが、一方でその血気盛んな性格ゆえにいらないトラブルに巻き込まれる事が多い。またはねっかえりな所があり、上司に対する反抗は日常茶飯事であり一筋縄ではいかない人物である。そんな彼も黒岩に対しては畏敬の念を抱き、黒岩の実質的な右腕である。一見、神も仏も信じない虚無的な雰囲気があるが輪廻転生と霊魂の存在を信じている。無類のトルコ好きで、二言目にはトルコとか堀ノ内と言う単語が出てくるがガチの恋愛となると一途で奥手な所があり、やくざの娘と知らずに交際した際には普段の軽い感じが一転、まるで初恋をした男子のようにガチガチであった。演ずる松田の魅力であるアドリブを利かせた台詞の数々によって番組は無二の個性を発する事に成功、後の探偵物語の工藤俊作に繋がるものであった。余談ながら松田は実際にも渡の事を劇中さながらに尊敬し、大都会PART2放映の頃は喧嘩沙汰で干されていた為、復帰に際しては渡をすえておくことで大人しくするだろうと言う事で起用と相成った。[1] - 大内正(演:小野武彦)
城西署の刑事で通称「坊さん」もしくは「坊主」。髪の毛を短くしていたためにこの渾名になったかもしれない。黒岩らと捜査課課長の間を掛け持つ事が多い。割合に何事もそつなくこなすが黒岩に対して若干のコンプレックスに似た感情がある。湾岸署に彼そっくりな刑事課長がいるらしい。 - 平原春夫(演:粟津號)
通称「ヒラ」。おっちょこちょいであるが、ムードメーカー的な性格が幸いして割合に気難しい黒岩や徳吉とウマが合った。13話にて拳銃を奪われ、その拳銃を奪い返そうとしてその拳銃で撃たれて殉職。 - 宮本兵助(演:苅谷俊介)
殉職した平原に変わって14話より登場した刑事で通称「弁慶」。大きい図体ではあるが新人のために徳吉には敬語で接していた。褌を愛用している。「わしが城西署の弁慶じゃあ」と啖呵を切る。出身は九州であるが、これは演ずる苅谷も一緒である。 - 神総太郎(演:神田正輝)
宮本と一緒に14話より登場。あだ名は「ジン」。癖者ぞろいの捜査課にあって、純朴で温厚な所があり、そこをつつかれる事が多いが、そこがまた魅力であると黒岩や宗方は評価をしている。またやや理屈っぽく、融通の効かない所がある。しかし、キレると徳吉も宥めるぐらいに豹変する。 - 上条巌(演:峰竜太)
通称「サル」。西部警察の平尾一兵とは違って、軟派ではない。すばしっこさを武器としている。捜査課の中で唯一の大型バイクの免許所持者である。割合その当時の今時の青年と言う性格であり、特に目立つというわけではなかった。 - 吉岡務(演:小池朝雄)
捜査課の課長であるが、事あるごとに嫌みを飛ばしているので煙たがられる事多数である。しかし、元々刑事だった事もあり、ある事件をきっかけに日々の仕事の中で忘れていた刑事魂が蘇ったのだが、その最中に銃撃され、いったんは持ち直し、事件も解決したものの、殉職してしまう。その壮絶な生き様と死に黒岩は涙した。 - 武井勉(演:小山田宗徳)
殉職した吉岡の代わりにやってきた課長であるが、気弱な性格であり、今一つ頼りの無い所があるので徳吉にいつも茶化される。出世欲があったのだが31話において事実上の左遷を言い渡され、城西署を去る。 - 山本清理(演:滝田裕介)
武井の後任でやってきた課長で「アットホームな職場環境」を謳い、これまでの捜査課長と比べても毅然とした対応やスマートさがあり、現場に直接出る場面も多い。しかし、この手のキャラの宿命か、やや四角四面な所があり、また八つ当たり気味になってしまう所もある。徳吉曰く「小物」との事。
渋谷病院の面々
- 宗方悟郎(演:石原裕次郎)
渋谷病院の医者を勤める。かつてはエリートコースをひた走っていたが、どういうわけか街の病院へと下野した。徳吉が冗談めいて「ヤブ医者」と言うが腕は確かであり、相手がやくざだろうが刑事だろうがわけ隔てをしない。それゆえ、徹底的に悪を追い詰める黒岩らとぶつかる事が多い。黒岩とは警察官になる前から患者と医者と言う感じで出会っている。なお、石原が酒豪ゆえにブランデーが置いてあり、しばしば一杯呑んでいる。 - 吉野今日子(演:丘みつ子)
渋谷病院の看護婦。黒岩にホの字でデートに誘ったり、しばしば郷里からのお土産を持ってくる。犯罪者に黒岩の彼女と言う点において人質などにされる事がしばしばある。黒岩もまんざらでないようでちょくちょくデートに行っている。その時のデートコースは映画館からのレストランである。この他、部下との夕食を断り、吉野との約束を「仕事」と称してゴリ押しで断った後に張り切って近所の小料理屋で夕食に行ったことも。その場面に後で部下が来た事は言うまでもない。二人の中は捜査課公認である。 - 梶山保(演:玉川伊佐夫)
渋谷病院の院長。赤字の経営状態に手を焼いており、宗方や城西署の面々に苦言をする事もあるが、一方で宗方の腕を一番信頼している。
その他の人物(演者や代表的な犯人など)
- 黒岩恵子(演:仁科明子)
黒岩の妹。いつまでも結婚しない兄を心配する。普段はブティックでファッションデザイナーをしている。途中から出演しなくなったが、これは演ずる仁科が松方弘樹との不倫報道をされ、降板した為である。なお、OPでは降板後もノンクレジットで登場している。 - 清水六郎(演:柴田恭兵)
36話「挑戦」で登場。かつて黒岩にフルボッコにされた経験を持ち、逆襲してやろうと思っていたチンピラであるが、その実、心の底では黒岩に憧れており、見返してやろうと嘘んこの殺人事件をでっち上げた。看護婦の吉野は「小学生の男子が好きな女子の気を引こうと意地悪をする心境」と分析した。チンピラ仲間には黒岩を叩きのめしたと言っていたが、実際はその逆である。最後は郷里の広島へ帰った。この回はアドリプ回とも言える感じで松田は「この間の暴走族に似てるな(映像デビュー作である15話「炎の土曜日」でのキャラクター)」を始め、渡さえも「こいつは城西署の暴力刑事だ」と言う具合に非常に異色な作品になっている。なお、この「チンピラがかつて返り討ちにあった刑事を見返す為にひと騒動起こす」というプロットはその後、西部警察106話「午前11時、爆破!」や大将登場のエピソードなどに流用される。 - 川島(演:武藤章生)
毎朝新聞の記者で通称「カワさん」。黒岩らに取材するときは煽るように言うため、特に徳吉に殴られたりする。酒癖が悪く、また過去のすっぱ抜き記事によって犯罪者に狙われたこともあった。
大都会PART3
PART2の終了から半年の充電期間を置き、PART3へ突入した。登場人物は概ね踏襲されているものの、各々の性格がかなり荒々しいものに変化した。PART2後半より過激になった内容はさらにレベルアップし、おおよそテレビのレベルを越えたハードなアクションは今持って語り草となっている。番組の雰囲気もより明朗快活なものとなり、湿っぽさが一切排されている。悪党が非常に凶悪なので仕方ないが殴る蹴るは当たり前で、回を追うに従って犯人は基本射殺が多くなるという現代の基準からすれば放送禁止レベルな過激な描写ゆえにこの20年ほどは再放送に恵まれなかった。
全体的にアメリカ映画を意識したとされ、黒岩の使う武器もライフル、そしてショットガンと過激なものとなっていった。パトカーのサイレンも従来からのいわゆる「ファンファンサイレン」ではなくアメリカのパトカーに見られるタイプ(「ヒュンヒュンサイレン」と言われる事も)となり、細かい所も意識している。
カーアクションは最高潮を迎え、大通りから住宅街までお構いなしのハードなものとなっている。当局のツッコミにより都心部でのカーチェイスを縮小せざるを得なくなった後期の西部警察と比べると、洗練こそされていないが面白味はそれ以上と言う声もある。
大都会PART3の登場人物
城西署捜査課の面々について、PART3から「黒岩軍団」の渾名が付けられるようになった。なお、殉職者は全話通じて出てきていない(出演者が怪我をして長期離脱した事はあった)
- 黒岩頼介(演:渡哲也)
引き続き、主役として登場。今回は妹設定が無くなっており、都内のマンションで一人暮らしをしてる模様である。PART2にあった未熟さは消えて冷徹な性格である。当初は拳銃を使用していたが、途中からショットガンを使用する事が多くなった。代官山のマンションに居を構え、シルバーのジャパンスカイラインを愛車としている。当初は部下に対してもかなり冷たくする場面があるなど非情なキャラ像であったが、回が進むにつれ、ある程度はジョーク飛ばせる程度にはキャラ像は軟化していった。 - 牧野次郎(演:寺尾聰)
あだ名は「ジロー」。武器など方々の知識に長けており、知恵袋的な役割として黒岩らがまずはジローに意見を求めると言う描写が多い。狙撃も超一流であり、彼の拳銃は拳銃も他の刑事と違い、44マグナム弾丸を使用するS&WのM29の8インチという銃身が長いものを使用している。ともすれば猪突猛進、熱くなりやすい黒岩軍団にあって割合に冷静な刑事である。情報屋はオカマ(演:風間杜夫)である。「西部警察」のリキと概ね同じキャラ付けである。 - 虎田功(演:星正人)
あだ名は「トラ」であるが、弁慶から「トラネコ」と言われる事もある。捜査課の中でも最年少であり、 服装はかなり刑事らしからぬ、チンピラ的なファッションである。教職を取らなかった事を後悔している事から、おそらくは大卒と思われる。性格は血気盛んかつはねっかえりであり、男女平等パンチならぬ男女平等ビンタをたびたび行ったり、口より先に手が出ると言った具合に武闘派である。また権力といったものを嫌う。特に加川との絡みでは本人の目の前で平気で嫌みを言うように非常に嫌っている模様。また丸山や黒岩以外の人物にはタメ口を平然と話したりと態度や言葉遣いが非常に悪い。最年少なので発言や行動にやや幼さが見え隠れする場面もある。拳銃は唯一、オートマチック式を使用している。 - 丸山米三(演:高品格)
あだ名は「マルさん」である。PART2より続けての登場であり、温厚さは相変わらずである。但し、歳不相応に激しいアクションをこなす。特に「冷血」においてはボクサーを引退して間もないガッツ石松と元ボクサー同士の激しい格闘を演じた。家族係累の話が出てこない黒岩軍団の中で唯一、娘が登場する。 - 宮本兵助(演:苅谷俊介)
PART2から引き続き登板。あだ名は「弁慶」である。PART2から比べて荒々しさが強調されている。「わしが城西署の弁慶じゃあ!」と啖呵を切るのがお約束である。実はカナヅチであり、注射が苦手である。トラとコンビを組む事が多く、甘いマスクのトラと厳めしい弁慶の凸凹コンビが見どころである。演ずる苅谷が撮影中の負傷で一時期登場しなくなった。 - 大内正(演:小野武彦)
PART2より引き続き登板。あだ名は「坊主」、もしくは「坊さん」。あだ名の通り頭を丸めているが途中からふさふさになっている。割合にそつのないキャラはそのままであるが、それだけに黒岩と加川の間に立つことが多い。 - 上条巌(演:峰竜太)
PART2より引き続き登板。あだ名は「サル」。割合に普通の青年だったPART2とは大きく違い、完全に肉体派であり自慢の運動神経をいかんなく発揮する。どちらかと言えば「西部警察」のジョーに近い。服装は黒づくめである。 - 加川乙吉(演:高城淳一)
城西署捜査課課長。典型的な中間管理職であり、強烈なイヤミに定評がある。しばしば上からの圧力にさらされる損な役回りである。嫌味が強烈なので軍団からは煙たがられており、特にトラと弁慶は「クソ課長」と強烈に反抗をする。そしてだいたいの発言は無視される。たまに現場に出ても、デスクワークばかりなので空気の読めない発言や行動をしてしまう。とはいえ、締めるべきところは締めるキャラではある。 - 清水英子(演:大森不二香)
捜査課の事務員。あだ名は「エイコちゃん」でお茶くみなどが多く基本的に現場には出ないが、おとり捜査に出た事もある。なお、黒岩の機嫌次第でお茶にしたりコーヒーにしたりと言う特殊能力?があるらしい。 - 宗方悟郎(演:石原裕次郎)
渋谷病院の医師。引き続き同じ役柄で登場。生傷たっぷりでやってくる黒岩軍団に皮肉たっぷりに檄を飛ばす一方、その立場上相手が犯罪者であろうと分け隔てなく治療をする。その為、黒岩らとぶつかる事も多い。また自分が治療したやくざが黒岩軍団の苛烈な取り調べで傷が大きくなってしまいそうな場面では彼らに自制するようにしかりつける事も多い。白いプレジデントが愛車である。 - 戸倉綾子(演:金沢碧)
東都日報城西署記者クラブの女性記者で、黒岩に張り付いて記事をものにしようとするが、黒岩に煙にまかされる事が多い。あまり他の記者と折り合いが良くなく、記事の方針を巡って締め出しを食った事がある。そこに目をつけた黒岩が特ダネを流した事もある。初期のみ登場。
使用車両
一般的に石原プロ関係で自動車と言う場合は日産車中心と言うイメージが強いが、車両提供についたのはPART3からであった。実際、PART2ではトヨタ・クラウンなどの日産車以外がパトカー用などで登場しており、また渋谷病院の救急車もトヨタハイエースを使用していた。しかし、「栄光への5000キロ」などでつながりが強かったのでスポンサーでなくとも、日産車の比率は高かった。
当初はいわゆる130セドリックがパトカーとして使用されていた。捜査課用の覆面パトカーは初期のものは交通取り締まり用のものと同じ反転式を採用していたが、大都会PART2中盤ではマグネット式を採用した。後半においてはフォグランプ付きの230が登場し、130セドリック×1と230セドリック×2の体制となって行った。PART2ではまだ日産の協力がなかったので破壊用として使用する車は日産の130セドリックの他にも3代目やクジラこと4代目トヨタ・クラウンになる事もあった。ごく稀にタテグロことA30グロリアが使用される事があった。230セドリックの1台はインパネにインジケーターのようなものがあり、タクシーグレードである事から教習車ベースである可能性がある。
大都会PART3においては覆面用の黒パトに330セドリックが導入された。2台が導入され、1台はDXでミラーがスチール製なのが特徴である。もう1台はGL-Eでフェンダーミラーがプラ製なのが特徴である。そしてPART2より続けて使用している230セドリックの3台体勢となった。これらの覆面パトカーは西部警察でも引き続き使用されたが、DXの330は予備車のような感じでそれほど多く登場しなくなった。一方、GLの方は所謂団長セドリックとしてかなり後年まで使用、西部警察PART2の時代まで使用された。また、制服仕様のパトカーもPART3より散光式警光灯が採用された。この当時(1978年頃)は現実の警察での採用はされておらず、一般的には1灯式であったが、これ以降現実の警察でも採用される事が多くなってきた。なお、散光式警光灯は移動などで取り外しをする手間があった為、車体に直接取り付けるタイプではなく、キャリア状のものに乗っける格好を取っていた。無論、従来の1灯式も存在していたが、お値段もお値段なのか、潰される車は決まって一灯式のものがほとんどであった。お約束ではあるが、PART3では当時の現行モデルである330セドリックが次のカットでは230セドリックに変わる場面が多かった。破壊用のこれらの車は主にタクシーや教習車上がりのものであり、低グレード車であった。230同士ならまだしも、330から230ではボディラインが違いすぎるので「あっ…(察し」と当時の視聴者が思ったとか思わなかったとか。
渋谷病院用の救急車は前述の通り、トヨタ・ハイエースが使用されていたが、PART3ではキャラバンに変更となった。このキャラバンは西部警察においても引き続き使用された。なお、ハイエースはその後西部警察に入ってから、爆破された。
この他、黒岩の自家用車として登場した前期型ジャパンスカイラインは犯罪者用の車としても登場したり、色々と活躍し、西部警察の時代まで使用された。なおこの車は撮影用ナンバーをつけているケースが多くなく、凝らして見るとおそらくこの車の本当のナンバーである「多摩57 ? 86-16」がちょくちょく見受けられる。[2]
その他もろもろ
- 東宝と石原プロ合作の「ゴキブリ刑事」&「ザ・ゴキブリ」と言う映画に「鳴神涼」と言う刑事が登場する。演じるのは渡哲也であるが、キャラクターの性格は多少の差はあれど、犯罪に対して時にやりすぎとも言える姿勢や鳴神の格好はPART2以降の黒岩や西部警察の大門にそのまま通じるものがある。番組の雰囲気もまんまである。その後に大都会シリーズや西部警察に出演する俳優が多数登場し、弁慶でおなじみの苅谷俊介氏や丸さんの故・高品格氏も登場している。
- 大都会PART3の「通り魔」におけるアートネーチャーの植毛描写が突っ込みどころ満載である。
そして、途中のカーアクションにおいて、当時新車であった330セドリックがクラッシュの巻き添えとなっている。現代風でいえば、最新のフーガをぶっ潰すものである。これは意図して起こしたのではなく、巻き添えと言う事で全くの偶然に起きたものである。後に修理されて再び番組に登場している。 - 次回予告のナレーターはノンクレジットであるが次元大介役で知られる小林清志が担当していた。彼はこれ以外にも劇中に登場するニュースのアナウンサー役でも登場し、西部警察においても引き続き起用されていた。
- 漫画版のキン肉マン初期に「赤岩刑事」という刑事が登場していたが、明らかに黒岩頼介を意識したのは言うまでもない。弁慶やジローと思われるキャラも登場しており、当時の人気ぶりをうかがわせるシーンである。この際、時期的はPART3放映中であるがPART2のEDである「ひとり」を歌っている。2話登場して退場したがアニメ版においては大人の事情で名称が変更となり、「西隅田川署の五分刈刑事」としていつの間にかレギュラーとなった。
- 大都会PART2のEDである「ひとり」はレコードに入っているバージョンと本放送時のバージョンが著しく異なっており、また本放送においても2種類存在している。一つは旋律がトランペットのもの、もう一つはギター旋律のものである。
- 城西署の管内は渋谷周辺であり、捜査などでは渋谷駅や恵比寿駅周辺がたびたび登場したが、カーアクションなどで使用されたロケ地としては、多摩ニュータウン周辺や横浜市北部(あざみ野周辺)、川崎市麻生区などがある。この地域は石原プロの事務所のある調布市から地理的にも近く、また開発途上で人口も少ないので大規模なアクションにはうってつけであったという事情もあった。都心部では芝浦の海岸通り付近でのカーチェイスも多かった。
- PART3のOPで使用されたところはあざみ野駅前の通りを真っ直ぐ行った、嶮山(けんざん)交差点付近の坂道である。当時はあざみ野駅開業間もないころであり、開発もほとんどされておらず、交通量も少なかった。上記の「通り魔」のロケもその周辺と言われる。
- PART2では柴田恭兵や水谷豊など、その後刑事ドラマで名を馳せる俳優が登場している。特に柴田は大都会PART2が映像作品デビュー作である。また、特捜最前線ほどでないにしろ、特撮でよく見る俳優が多い(ハヤタ隊員とか、ゼネラルモンスターとか、地獄大使とか、恒点観測員340号とか、黒十字総統とか)
- 数多く登場するチンピラ役の中に黒岩演ずる渡哲也と同じ5分刈りの俳優がいるが、彼こそが渡のスタントマン役であり、この他にも黒岩の場面で渡が写らない場面では彼が演技をする事が多い。[3]
- これまでどちらかと言えば男性の多かった刑事ドラマの視聴者であるが、PART3以降では明快かつ激しいアクションと登場人物のイケメンぶりに、視聴の対象には入っていなかった女性層や児童層にもその人気を博していた。しかし、当然ながら過激すぎる内容からPTAを中心に目の敵にされていた。
- 日産車のファンは数多いが、その中でもセドリックのファンが一定数いるのは大都会シリーズや西部警察の影響が大きいとも言われる。大量生産でいかに数が多いと言えど、通常ならば忘れ去られる運命の車であるが、画面を所狭しと駆け巡る姿が印象にある点が大きい。
- 日産車以外にも黒幕役でしばしば登場するキャデラックやロールスロイスなどは石原の私物とも言われている。
- PART2で顕著であるが、楽屋ネタが多い。主に徳吉刑事演ずる松田優作の台詞に多くみられる(44話における村川透子発言など)
- クリスタルキングの「大都会」という歌の命名の由来はまさにこのドラマである。
- 大都会の銃声などの効果音や一部の曲はルパン三世などで良く聞くと言われるが、これは選曲担当が同じ為である。大都会シリーズを担当した鈴木清司氏は70年代後半から現在にかけて、選曲担当としてドラマ、アニメなどを数多く担当した為である。氏の特色は他のドラマの楽曲を一部くりぬくなどしてブリッジ曲(数秒程度の曲で、場面転換や人物の心情を示す時などに使われる)抜粋して作る事であり、またそれ以外にも他の番組からの流用曲が多いので「収集家泣かせ」と言われる事が多い。[4]
関連項目
脚注
- *松田はタバコは1日100本のチェーンスモーカーであったが、大都会パート2撮影中は渡は禁煙していた為、松田もそれに合わせて1日15本にまで減らした。また劇中においては29話「17番ホールの標的」において、検事の井上演ずる土屋嘉男のラストのセリフに対して、渡への侮辱と勘違いし、本当に殴ってしまった。また西部警察最終回の犯人役を依頼された際も、演技であっても渡を殺すのは忍びないと固辞したほどである 。
- *多摩ナンバーは石原プロのある調布市での登録を意味している
- *俳優名は「永野明彦」とテロップされている。
- *サントラに未収録と思われる楽曲は実は他の番組からの流用である可能性が非常に高い。大都会シリーズで使用される効果音やブリッジ曲はルパン三世や西部警察に限らず、あぶない刑事や大江戸捜査網、アニメではアンパンマンやキャッツアイなどで聴く事が出来る。
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