フトアゴヒゲトカゲ 単語

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フトアゴヒゲトカゲ

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フトアゴヒゲトカゲとは、トカゲの一種である。

概要

学名 Pogona vitticeps
分布 オーストラリア
全長 約40~50cm
食性 雑食昆虫小動物、果実、野菜など)

アガマ科アゴヒゲトカゲ属に分類されるトカゲで、行性。太くな体をしており、下にはその名の通りアゴヒゲ状の鱗房を持つ。また、後頭部や体側部に状鱗が一列に並ぶ。

オーストラリアの内陸部に分布し、燥した地から森林地帯まで幅広い環境に生息している。社会性のあるトカゲであり、成熟したオスは縄張りを持ち、複数のメスを従えハーレムを形成する。ただし、社会性のある一方で個体間への干渉は強く、オス同士はしく縄張り争いを行う。

飼育や繁殖が容易で、大きさも手頃であり、性質も物怖じしないので、極めてペットに向いたトカゲと言われる。事実オーストラリア原産でありながら繁殖個体が大量に流通しており、日本国内においても安価で入手が可である。また、ペットシーンにおいては、多カラーバリエーションが品種として固定されている。

モルフ(カラーバリエーション)

レッド

フトアゴヒゲトカゲ(以下フトアゴ)では最も人気の高いモルフのひとつである。というよりはオレンジの個体も多い。みが強いものほど高価。

↑特にが強な「スーパーレッド」。

メラニン色素が減少する「ハイポメラスティック」と交配させた「ハイポレッド」。ハイポが入ることで、レッド特有の血が滲んだようなどすライトになっている。

通常のレッドは体調がよい時やバスキング日光浴)している時に美しく発色するが、逆にいえば色味が個体の気分に左右されるということでもある。しかしハイポだといつも明るめの発色を見せてくれる。これはレッド以外のモルフでも同様である。「最強美しい発色が見られることもあるnotハイポ」か、「常に均をマークできるハイポ」、あなたの好みはどっち?

イエロー

系にべると流通量は少ない。

イエローハイポモルフを問わずフトアゴ奮するとの下がく染まる。アゴヒゲトカゲの名の由来である。

↑これもイエローハイポ

ちなみに、イエローに限らずフトアゴヘテロの形質を割と発現させることが多い。ハイポではないのに体色が明るい個体はヘテロハイポの可性がある。

ノーマル

フトアゴ本来の体色。野生のフトアゴがこの色である。クラシックとも。

これはこれで野趣あふれるいぶし銀の魅がある。

ハイカラ―

ブリーダーたちは、たとえばレッドならみの強い個体同士を交配させ、よりい個体を作ろうとする。だが生まれてくるベビーたちのほとんどはせいぜい「ノーマルに多少カラーが入った程度」でしかない。それらはひとまとめに「ハイカラー」として販売される。そういう生い立ちの個体の総称なので、モルフによってレッド系だったりイエロー系だったり、ハイポが入っていたりトランスヘテロだったりと入荷ごとに表現がまちまち。

弊を恐れずにいえば、ブリーダーからすればハズレの個体たちなので、かなりお値打ち価格で手に入る。それでいてけっこう綺麗な個体もいたりするのであなどれない。

ハイポメラニスティック

通称ハイポメラニン色素が減退する突然変異。ハイポの血が入ると体色が明るくなるほか、本来は透明、またはい筋だけが残る。そのためクリアイルとも呼ぶ。

明度が上がることから「パステル」と呼ばれることも。モルフ名に「パステル〇〇」とあったらハイポが入っていることが多い。

ベースカラーを明るくするという性質上、ハイポレッドハイポイエローなど、ほかのモルフとの組み合わせでしか発現しない。だからレッドイエローと違ってハイポだけの個体は存在しない。では色がノーマルの個体でハイポが入っていたら、そのフトアゴモルフ名は? そう、答えは「ノーマルハイポ」である。

トランスルーセント

「半透明」の名の通り、鱗と皮膚がやや透けているモルフ。とくにベビー内臓が透けて見える。

ハイポゼロトランスベビー背中にうっすら浮かぶ内臓である。

透明になるほか、になるのも特徴。ハイポと同様、ほかのモルフとの組み合わせでのみ発現する。

レッド×トランスレッドトランス

イエロー×トランスイエロートランス透明感のあるすっきりした色合いが美しい

レザーバック

フトアゴの特徴でもあるが少ない突然変異。背中がきめの細かいのようになめらか。

賢明な読者におかれてはすでにお察しのことと思うが、レザーバックもまたハイポトランスと同じく、ほかのモルフとの組み合わせで発現する形質である。

シルクバック

レザーバック同士の交配で生まれるモルフ。鱗がないので触り心地がモチモチ、たぷたぷ。まさにシルクのような肌触り。トカゲというよりヤモリに近い印になる。

鱗がないので表皮が弱く、飼育難易度較的高い。

応用

フトアゴモルフは各種の突然変異の組み合わせである。基本は「色+(ハイポ?)+(トランス?)+(レザーバックorシルクバック?)」。一例をあげると……

オレンジ+ハイポ+トランス」だとオレンジハイポトランス

イエロー+ハイポ+レザーバック」だとイエローハイポレザーバック

ちなみにモルフ名の順番は色が先でもハイポが先でも構わない。

こんなモルフも

ハイポゼロ

コーラルウィットブリッツ

かわいい仕草あれこれ

ボビング

頭をしく上下に振る行動アダルトのオスに多く見られる。メスへの縄張りと考えられている。

アームウェービング

前肢をゆっくり回す。同種の他個体に対して自分が仲間であることをアピールしたり、オスのボビングに対してメスがアームウェービングでOKサインを出しているといわれている。

口を開けてボーッ

バスキング中のフトアゴが口を開けてボーッとしていることがよくある。暖かい空気に取り込んで効率よく体温を上げようとしているのである。バスキングスポットで口を開けているのは温度設定が正しいことを示す一つの安となる。

逆に、クールスポットでも口を開けている場合、過剰な体温を口から排熱しようとしているので、ケージ内が暑すぎる可性がある。

あざとい

飼う前に

インターネットで「フトアゴ 飼育」と検索してヒットするサイトでは、判で捺したように「フトアゴ飼育が簡単」と書かれてある。しかし、本来その文言には「爬虫類としては」の前置きが必要である。

フトアゴは丈夫で、大きくなりすぎず、性格も温和で、餌も入手性の高いものでまかなえるため、たしかにワニコモドオオトカゲよりは飼育が容易である。とはいえもともとはオーストラリア砂漠地帯という特殊な環境で適応進化してきた異動物であり、それを気土のまったく異なる日本飼育するとなると、飼育者には相応の準備と投資と覚悟が要される。思うように餌付いてくれない場合もあるだろう。たとえ適切に飼育していても病気にかかることはある。爬虫類を診察できる病院はまだまだ少ないため通院させるとなると交通費はかさむであろうし、診察代自体も高額になりがちである。ペット飼育とはと時間をいくらでもつぎこめる好奇者に許された楽であることをまず心得て、それでもフトアゴ飼育したいなら、できるかぎり良質な環境を用意して、寿を全うさせてあげよう。

フトアゴ寿命はおよそ10年程度といわれている。ただし死ぬ直前まで元気というわけではない。晩年は自で餌も食べられず、だんだん弱ってが浮き出るほどやせ細り、手足が壊死し、苦しみながら死に近づいていく姿を見せつけられることになるだろう。それでも最期まで情をもって飼育できるかどうか、フトアゴに迎える前にもう一度問い直していただきたい。買えば後戻りはできないのだ。

飼いかた

フトアゴは最大50ほどになり、活動的な上、暖かい場所と涼しい場所を用意してやらねばならないので、そこそこ大きいケージが必要になる。終生飼育には幅90クラスのケージが望ましい。飼うのであればあらかじめ90ケージの置き場所のメドはつけておこう。

飼育に必要なものは、①ケージ、②保温球、③バスキングライト、④バスキングストーン、⑤パネルヒーター、⑥紫外線ライト、⑦タイマーサーモ、⑧温湿度計、⑨床材、⑩容器、⑪餌。ひとつずつ見ていこう。

ケージ

爬虫類用のケージはもちろんのこと、熱帯魚用の水槽衣装ケースなども利用できる。とはいえ爬虫類用ケージがやはり難。

というのは、フトアゴのような地べたを這う爬虫類は、上から覗かれることを非常に嫌うからである。野生下での彼らの天敵である鳥類は上方から襲ってくる。そのためフトアゴは頭上で動くものに対する恐怖心が強いのだ。水槽にせよ衣装ケースにせよ、世話をするときはケージの上から手を突っこむことになるわけで、これが個体を脅えさせてしまう可性がある。

爬虫類用ケージは、前面にスライドドア(観音開きタイプもある)があるので、個体の線で世話をすることができる。脱走を防ぐつきの蓋、保温器具などのコードを外に出すための備されており、あえて爬虫類用ケージを選択肢から外す必要性は感じられない。

↑前面ガラスが観音開きになっており、メンテナンス時はこれを開けて作業する。

また、ケージを床、または床に近い低所に置くと、やはりフトアゴが人ストレスを感じることがある。できるならケージは人間が立ったときの線くらいの高さに設置したい。

保温球

ケージ全体を保温する器具。全体保温球とも。「球」とあるが電球タイプだけでなく暖突(みどり商会から販売されている薄ヒーター。わかりやすくいうとケージ全体をコタツにする)もこれに含む。ケージ内のいちばん涼しい部分(クールスポット)が日中で27℃を割らないようにセットしよう。

全体保温球として使えるのは、暖突exitのほか、ナイトグロームーンライトランプexitカーボンヒーターexitなど。間も稼働させるため、フトアゴ睡眠を妨げないよう、加温時にを発しないものが適している。なお間は26℃程度まで設定温度を下げる。さすがのフトアゴも暑いと熟睡できないためである。

バスキングライト

局所保温球ともいう。まぶしいと高熱をピンポイントに照射する。バスキング日光浴の意。

変温動物であるフトアゴは、体温を上げるために日光浴をする必要がある。ケージ内で日光再現するのがバスキングライトである。これで局所的に温める場所をバスキングスポットという。フトアゴの1日はバスキングスポットで体を温めることから始まる。

バスキングライトは各社から販売されている。環境によって適したW数は異なるが、60ケージなら50W、90ケージなら80~100Wが標準となる。バスキングスポットが日中35℃~40℃になるよう設置する。

イメージ的には、全体保温球でケージ内全体の温度を底上げして、バスキングライトバスキングスポットを加温する感じである。

勘違いされやすいが、爬虫類は暖かければ暖かいほどいいというわけではない。フトアゴは致死温度ぎりぎりまで日光浴で体温を上げては涼しい場所に移動して冷却するのを繰り返して好適な体温を維持している。だから涼しい場所(クールスポット)は暖かい場所(バスキングスポット)とおなじくらい大切である。

そのため、バスキングスポットはケージの端っこに設定し、そこから離れれば離れるほど温度が下がる、温度勾配のある環境を作る。おさらいすると、日中バスキングスポットは35℃~40℃、反対側のクールスポットは27℃程度になるようケージとヒーター類をセットする、ということである。

ところが、ケージが小さいとバスキングライト熱量クールスポットにも及んでしまい、ケージ全体が暑くなりすぎてしまうことがある。ケージの項で90クラスがいいと書いた理由のひとつがこれである。

バスキングライトクリップソケットに装着して使用するものがほとんど。クリップソケットは爬虫類用の商品を選ぶ。ライトはソケットの消費電(W数)以下のものにすること。

なおバスキングライトはある日突然切れるので、常に予備を用意しておいたほうが安心。

日中にのみ点し、間は消すこと。

バスキングストーン

フトアゴ背中からバスキングライトを浴びるだけでなく、からも温めないと消化器官が活発に動かず、消化不良食欲不振を引き起こす。そこで保温性に優れたバスキングストーンを置いてやると、背中バスキングライトで、おバスキングストーンで、それぞれ効率よく温めることができるようになる。

バスキングストーンといってもそんな大仰なものではなく、レンガや溶岩石プレートなど、保温があって生体に悪がない素材ならなんでもよい。爬虫類用のシェルターはたいていバスキングストーンに使える。

パネルヒーター

ケージの下に敷くヒーター。バスキングライトを消す間にフトアゴのおが冷えすぎないためにも必要。バスキングストーンを下から温めるように設置する。

紫外線ライト

フトアゴにとって紫外線必要不可欠な要素である。紫外線なくしてフトアゴ飼育することはできない。

紫外線は便宜上、波長ごとにUVA、UVB、UVCに分けられている。

UVA 食欲増進、新陳代謝および脱皮の促進、繁殖の誘発
UVB ビタミンD3の生成に必要
UVC 生物に有。殺菌に使われることも。

UVAはフトアゴ元気にする波長で、これを照射できると謳うバスキングライトも多い。

もっとも重要な波長がUVBである。フトアゴはUVBを浴びることでビタミンD3を生成する。ビタミンD3カルシウムを吸収するために必要な誘導体である。UVBが不足しているとビタミンD3が生成できず、いくらカルシウムの豊富な食物を摂取していても吸収できないため、血中のカルシウムが足りなくなり、それを補うためにからカルシウムが溶けだしてしまう。この代謝性疾患(クル病)こそ、飼育下のフトアゴにもっとも多く見受けられる疾病である。クル病は重症になると歩こうとしただけで手足が骨折してしまう恐ろしい病気である。

よってフトアゴ飼育紫外線ライトは必須である。とくにUVBの照射量に注して選ぼう。生存に必要な栄養素を獲得する手段であることを踏まえれば、フトアゴにとってUVBは欠くべからざる餌のひとつであるともいえる。「紫外線ライトなし、日光浴もなしでフトアゴが飼えますか?」という質問は、「餌なしでフトアゴが飼えますか?」といているのと同じである。

販の爬虫類サプリメントにはビタミンD3が配合されている商品もあるが、ある論文によると、ビタミンD3を含むサプリメントを経口摂取したフトアゴは、紫外線ライトを20分間浴びたフトアゴべ、ビタミンD3の血中濃度が1/18程度しかなかったという。あまりサプリメントを過信するのは危険であろう。

UVBは透過が低く、紫外線ライト程度の照射量ではガラス一枚で遮断される上、空気中でも減衰がしい。商品によっては「ライトから20距離晴れ日向にちょっと負けるくらい、30曇りの日以下、40になるとほぼ届かない」ものもある。というかUVBの細かい網でも50%ほどカットされてしまう。具をケージ上部に置く場合は間にガラス蓋などは挟まないようにしよう。

紫外線ライトは大半の商品がだが、そのなかでも直管コンパクトに大別される。直管は、いわゆる普通と同じ棒状で、照射距離はやや短い一方、照射範囲が広いので、ケージ全体に満遍なく紫外線を行き渡らせることができる。コンパクトは、バスキングライトと同様にクリップソケットに装着して使うもので、ケージ内部に設置できるので網や距離による減衰が少なくてすむ。ただし照射範囲は直管より狭いことと、生体に近すぎてフトアゴになってしまうことがある点に注意。

UVC細胞内のDNAを破壊するほどエネルギーが強く、透過も高い。生物にとってはあって一利なしである。爬虫類用の紫外線ライトはUVCカットしているので心配しなくてよい。

と消の時間はバスキングライトと同じ。

紫外線ライトと兼用のバスキングライトもある。これひとつでバスキング紫外線照射もできるのでケージ周りがすっきりする。ただし純バスキングライトべると熱量が不足しがち。かといって生体に近付けすぎると紫外線が強すぎて悪を及ぼしてしまう。兼用タイプを使用する場合は、生体と適切な距離をあけ、バスキングスポットの温度が上がりきらないなら別途ヒーターで補助する。全体保温球を兼用ライト付近に設置すればうまくいくはずである。

なお、紫外線ライト劣化い。タイプは半年、兼用タイプは1年を安に交換したい。ライトが点しているように見えても、そもそも紫外線人間には見えないので、視確認で判断はできない。実際にはもう紫外線がほとんど照射できていないのに、まだ点いているからとライトを使い続け、それが原因で生体がクル病になったという話は少なくない。ライトの基部にでも使用を始めた日付を書いておくか、スマホPCにメモしておく、あるいは切れにメモしてケージに貼っておくなどしておこう。

タイマーサーモ

タイマーとサーモスタットが一体になったアイテムである。フトアゴ健康は規則正しい生活と適切な温度管理が支柱となる。バスキングライト紫外線ライト、全体保温球はタイマーサーモに接続して使用する。任意の時間にライトを点・消してくれるほか、設定した温度を割りそうになると自動でヒーターに通電する。

また、消時間帯()は、点時間帯()とは別個に温度を設定できる。温度を下げて生体をしっかり休ませることも可

やや高価だがもっていると飼育が格段に楽になる。接続するライトヒーターの合計電が、タイマーサーモの消費電オーバーしないよう注意。

ちなみにパネルヒーターはそれ自体にサーモが備わっているのでタイマーサーモには接続しない。

温度計・湿度計

爬虫類を飼うことは、温度を飼うこと」とよくいわれる。フトアゴも例外ではない。温度管理が不適切だとフトアゴはたちまち元気を失い、餌も食べず、衰弱して最悪の場合は死亡する。

初めてフトアゴを飼うなら、温度計はバスキングスポット、クールスポット、その中間、計3個あると安心である。

また湿度も重要で、砂漠生き物といえど燥しすぎると脱皮不全や脱水症状を誘発する。湿度は40~60程度を保ちたい。現状の湿度を知るためにも湿度計は必要である。湿度計はバスキングスポットとクールスポットの2つでよいだろう。

アナログデジタルともに温度と湿度の両方を計測できる商品もある。デジタル式のほうが正確である。

床材

ケージの底面はガラスでつるつるしているので、フトアゴが踏んれず、肢が変形するなど弊をもたらす。なにかしら床材を敷いてをしっかり立てられるようにしてあげよう。

床材にはいくつか選択肢がある。それぞれにメリットデメリットが存在する。

メリット デメリット
ペットシー とにかく安価。交換が容易で衛生的。誤飲の心配もない 雰囲気がゼロ
砂漠 現地を切り取ったような雰囲気が演出できる が立つ。スライドガラスのレールに詰まる。誤飲の恐れ
クルミ 雰囲気はある。誤飲しても消化されるか、排しやすい が立つ。スライドガラスのレールに詰まる
ヤシガラ 雰囲気はある。大きいので誤飲もしにくい 物が見つけにくい。ダニなどがわくことも

ベビー期はペットシー一択である。体が小さいため系はクルミ殻であっても誤飲して消化管を詰まらせるおそれがある。もちろんアダルトにもペットシーツは有用。

水容器

フトアゴ脱水に弱い。ベビーだとたった1日分が摂取できないだけで死ぬことすらある。

砂漠は一滴のもなくカラカラ燥しているというイメージがあるかもしれないが、地方によっては朝霧がたちこめることもあるし、にわかオアシスができたり、サボテン果肉を食べて分が摂れたり、意外にも恵まれていたりする。

慢性的な脱水は腎機の低下を招き、死にの原因となる。またケージ内の空気にある程度の湿度も必要なので、加湿器も兼ねて、100円ショップタッパーでいいのでを入れてクールスポットに置いておこう。ただしフトアゴは止を認識できない個体がほとんどである。容器からを飲んでくれない場合は、スポイトや洗浄瓶などでフトアゴの口先にを垂らしてやる。すぐにペロペロめ始めるはず。1日1回は給してあげよう。給してやる場合も、もしかしたら飼育者が見ていないところで飲んでいるかもしれないので、容器は設置を続け、毎日替えてあげたい。

フトアゴ飼育最大の楽しみといっても過言ではない餌やり。与えた餌をバクバク食べてくれるとこちらも嬉しくなるものである。一方で、フトアゴは与えられる食物しか口にできないため、メニューと量には気を配る。

フトアゴ雑食性だが、ベビーサブアダルト昆虫食が強く、アダルトからは植物質が食となる。成長ステージに合わせた餌が必要となる。

昆虫

フトアゴ食のひとつが昆虫である。コオロギゴキブリデュビアレッドローチ)、ミルワームハニーワーム、シルクワーム、アメリカミズアブの幼あたりが餌用として多く流通しており、栄養面・コスト面で使いやすい。

コオロギ

ヨーロッパエコオロギ、フタホシコオロギクロコオロギ)がポピュラー。フタホシはイエコオロギより全滅しやすいが、成サイズが大きいのでアダルトには食べ甲斐があるかも。

両者とも栄養バランスがよく、とくにタンパク質が豊富でアミノ酸バランスも相当優秀なので、成長を促したいベビー期の食にも申し分ない。雑食で貪欲なためキープガットローディングもしやすい。繁殖も較的容易なので種を買ったあとは自給自足も可。ただし世話をさぼると数日で全滅する。またニオイもきつい。飼育はフトアゴよりも手がかかるだろう。

生きたもののほか、燥させたものや冷凍、粉末状などが販売されている。燥および冷凍タイプは生きたコオロギを切らしたときの非常食としても使える。パウダー野菜ふりかけて餌付けに。

野外で捕まえたコオロギは農寄生虫に汚染されているかもしれないので、フトアゴには与えないほうが吉。

コオロギに限ったことではないが、昆虫は基本的にカルシウムよりリンのほうが多い。リンは、爬虫類の体内ではカルシウムと結びついてリンカルシウムになり、腸内を素通りしてしまう。つまりいくらカルシウムを摂取しても、リンが同量以上含まれていると爬虫類カルシウムをまったく吸収できないのだ。よってフトアゴに与える餌は常にカルシウムリンを上回るよう意識する。具体的には、コオロギカルシウム分の豊富な餌を与える(ガットローディング)、フトアゴに与える際はコオロギカルシウムサプリメントふりかける(ダスティング)。とくにダスティング昆虫類には必須。

リン爬虫類格を形成する重要な栄養素ではあるのだが、いかんせん飼育下では容易に過剰になりやすい。とにかくケージ内ではカルシウムが不足しがちなので、いかにカルシウムを補給させるかを考えたほうがよい。

ゴキブリ

デュビアレッドローチが餌用ゴキブリとして流通している。どちらもコオロギ同様に栄養バランスが高準にまとまっており、タンパク質が豊富でタンパクとしてじゅうぶん使える。デュビアは低脂質で各種ミネラルアミノ酸に秀で、レッドローチはやや脂肪分が多め。

とにかく飼育が容易で、ウサギ用のペレットフード野菜クズ昆虫ゼリーで自繁殖させられる。ニオイもコオロギべると少なく、ジャンプもしない。も登らず、共食いもほぼしない点も嬉しい。ゴキブリであるという厳然たる事実を除けば餌用昆虫としてはコオロギ上位互換といってさしつかえない。

もちろんカルシウムよりリン分のほうが圧倒的に多いので、ダスティングは不可欠。

なお、内に出するゴキブリは、なにを食べているかわかったものではないので、フトアゴには与えないほうがよい。

ミルワーム

チャイロコメノゴミムシダマシの幼が「ミルワーム」、ツヤケシオオゴミムシダマシの幼が「ジャイアントミルワーム」として販売されている。

どちらもタンパク質脂肪分が豊富で、消化率はコオロギゴキブリより高い。単価の安さ、キープのしやすさもあいまってメインのタンパクとして有用である。ただし外気温が低いときは体内の脂肪分も冷えて固まっているので消化が悪くなる。触って冷たかったら温めてから与えよう。

カルシウムよりリンが多い点はほかの昆虫と変わらないので、必ずダスティングすること。

餌兼用のふすまで飼育し、野菜クズ(とくに葉物)でキープする。ジャイアントミルワームは単独飼育しないかぎりは化しない。近くに仲間がいる状態でになると食われるからだろう。ゆえに複数飼育しているうちは幼のまま使える。や成は消化率が低いので餌には使わないほうがよい。

ジャイアントミルワーム暴でも強い。逃げ隠れした個体が間にフトアゴを攻撃する可性もあるので、与える際はケージ内にばらまくのではなく、ピンセットで1匹1匹与える。

ハニーワーム

ハチノスツヅリガの幼ミツバチの巣に寄生するの幼で、巣を食して成長する。蜜蝋を食べていることから英名はワックスワーム。

蜂蜜の染みついた巣を食べている甘党だけあって、脂肪分のかたまり。ハイカロリーエネルギー食であり、拒食や病み上がり、および産後で痩せている個体の立ち上げに特別に使うものであって、常食させてよい代物ではない。いわばラーメン次郎である。

シルクワーム

いわゆるカイコガの幼。桑の葉を原料にした人工飼料で飼育できるためキープは容易。ただし餌を切らせると簡単に死ぬ。

ほかの昆虫が体重分が70ほどであるのに対し、シルクワームは80ほどが分である。つまりイモムシの形をしたと考えたほうがよい。反面、タンパク質脂質は非常に少ないので、食に使った場合、とてつもない数を食べさせない限り、成長不良らび栄養失調を引き起こす。あくまでを飲まないフトアゴ脱水防止に使うにとどめよう。腸内の食餌由来でカルシウムなどのミネラルは多いが、どのみちダスティングは必要である。

なお、フトアゴに与えるときは頭からでなく、から与える。頭から与えると、フトアゴがガブッと咥えた圧シルクワームのから内臓が噴射されることがある。あまり気持ちのいいものではない。

アメリカミズアブの幼虫

フェニックスワーム、ブラックソルジャーフライラーヴァの名でも流通する。グラブパイなど爬虫類の人工飼料の原料として有名。

昆虫としては例外的に外殻にカルシウムを沈着させるので、リンよりカルシウムのほうが圧倒的に多い。ただしそのぶん外殻が固く消化が悪いので与えすぎには注意。

番外編・セミ

になると野外で採集したセミもいいおやつになる。ただし寄生虫が心配なので、一晩冷凍させるとよい。口吻が鋭いので切除してやる。

セミに限らず、自採集した餌をペットに与える際は、農や排気ガスなど有物質による汚染は否定できないので、自己責任でお願いしたい。

植物質

販の野菜が餌として使える。ただし、与えてはいけない野菜もある。

メインとして与えてよいもの

小松菜を食べるフトアゴ。小さいうちから野菜に慣らしておくとアダルト期に植物質中心の食生活へスムースに移行できる。

少量にとどめておいたほうがよいもの

与えてはいけないもの

ほか、刺の強いものや、シュウが多く含まれているものは与えないほうがよい。

果物

販の果物は、人間が食べて「甘い! おいしい!」と感じるほど糖度が高く品種良されているので、栄養の吸収に特化した爬虫類には糖分が高すぎる。与えるにしてもに1~2度、それも少量にとどめておいたほうがいいだろう。

野草

タンポポエノコログサ、オオバコ、ハルジオン、ホトケノザ、カラスエンドウなど。

採集するなら、私有地に勝手に侵入しないことと、農尿で汚染されている可性を踏まえること。爬虫類の餌用に燥した野草が販売されているので、そちらを利用したほうがいいかも。

人工飼料

爬虫類用の人工飼料は、安上がり、高栄養価、保存も簡単と三拍子そろっていて使い勝手がよい。しかものニオイも抑えられるものが多い。ただし消化が非常に良いので持ちが悪く、昆虫野菜を与えたときにべると次の餌を要するスパンが短い傾向にある。食べるだけ与えると肥満になってしまうので飼育者側が注意する。ペレットフードゲルタイプ粉末タイプ適量の湯で溶いてゲル状にする)などがある。

原料に昆虫が含まれている人工飼料は、高タンパク、高カロリーなので、アダルト以降の個体に与える場合は全体の給餌量の3割以内に抑えるようにしたい。

与えかた

フトアゴは成長に伴って与えるべき餌と量が変化していく。ベビー期は昆虫メインサブアダルト昆虫植物質を半々、アダルト以降は植物メインにする。

メニュー 給餌の頻度
ベビー

食べてくれる餌を食べるだけ与える。

野菜を食べないなら理してあたえなくてもよい

毎日

できれば夕の2回

サブアダルト

野菜を先に与え、それから昆虫を食べられるだけ与える

毎日

アダルト

植物質を食にする。昆虫は週に1度程度(繁殖期のメスは除く)

2~3日に1度

フトアゴは若いうちのほうが学習が高く、サブアダルトあたりまでに野菜を「食べられるものだ」と刷り込んでおかないと、アダルトになって野菜食べ物だと認識しない頑固な偏食に育ってしまう可性がある。

とはいえ、ベビー期はとにかくタンパク質を摂取して体をしっかり作っていかなければならない時期。野菜を食べないベビーに餌抜きまでして野菜に餌付けさせる必要はない。

もちろん、ベビー野菜を食べてくれるならそれに越したことはない。野菜を最初に与え、食べなくなったら動物メインの人工飼料、それから昆虫を与えるとバランスよく栄養を摂れる。

餌を食べない?

フトアゴが餌を食べない理由は大きくわけて4つ。

  1. 餌が好みでない
  2. 脱水症状
  3. いていない
  4. 体調が悪い

1の「餌が好みでない」場合は、食べてくれる餌を模索する。野菜は食べないが昆虫は食べてくれるかもしれない。イエコオロギは食べないがミルワームは食べてくれるかもしれない。いま与えている人工飼料は食べないが別のメーカーの人工飼料なら食べるかもしれない。

2の脱水症状もありがち。脱水気味だとフトアゴ食欲が落ちる。温浴や給を飲ませてみよう。ごくごく飲んでいるようなら脱水していたである。

3の「おいていない」場合、さらに理由が二通り考えられる。満か、環境が不適切で食欲がわかない、である。

前者なら問題ないが、後者善してやる必要がある。ケージ内の温度が上がりきっていない、バスキングスポットでも寒い、や音などのストレス要因の多い場所にケージを置いている、UVAが足りていない、などなど……。飼育環境を今一度見つめ直してみよう。

最悪なのが4である。環境に問題がないのに何日も餌を食べないなら、フトアゴを診察できる医に診てもらったほうがよい。腸閉塞感染症など、外科的・内科的な原因による食欲不振は素人では回復できず、しかも急速に症状が悪化することがあるからだ。

野菜を食べてくれない……

小さかったうちのフトアゴもいつのまにかサブアダルト、そろそろ野菜を食べさせないといけないな、ほーら小松菜だぞー、あれ、全然興味もってくれない……。フトアゴ飼育ではこんな悩みがしばしば見られる。

動くものに反応するフトアゴの習性を利用して、フトアゴの前で野菜を動かしてみよう。このとき、野菜を細長くカットしておくと、イモムシに見えるのか食いつく確率が上がる。

それでも食べないなら、いろいろな野菜を試してみる。レタスは嗜好性が高い。ほぼ分の塊で栄養はなきにひとしいので常食は避けたいが、「葉っぱは食べられる」ことを教える教材としては役に立つ。オクラ豆苗ミックスベジタブルも試そう。

レパシー社のベジバーガーは植物質の人工飼料で、野菜は食べないフトアゴもこれは食べるかもしれない。

コオロギ粉末野菜ふりかけると、匂いにつられて食べることがある。

裏技として、デュビアのやや大きめの個体を与え、むしゃむしゃと咀嚼しているところへ、口内に野菜をそっと差し込む方法もある(チェーンフィーディング)。フトアゴは口に入ってきたものはとりあえず食べる習性があるので、この方法で食べさせて、野菜を「食べ物である」と覚えさせるのである。口を開けさせる餌はデュビアでなくともよいが、デュビアは外殻がやや固めで何度も咀嚼するのでチェーンフィーディングがやりやすい。

どうしても食べないなら、餌を数日抜いて空腹にさせる。フトアゴ食いしん坊なのでおけば意外とすんなり食べてくれることも多い。しっかり育ったサブアダルトなら2週間くらいは食べなくてもびくともしないので大丈夫。ただし脱水は危険なので、絶食中も適宜給は行なうこと。

排泄

食べれば出す。フトアゴの排物は健康状態のバロメーターでもある。

健康なフトアゴの排物は、尿を先頭として、褐色または暗緑色が続いている。ニオイはかなりきつい。人間の手の小ほどしかないのに、人間大便と同じくらい強に臭う。ひとたびフトアゴが排すればアクリ絵の具のような刺臭がたちまち部屋中にたちこめるだろう。というわけでケージを寝室やリビングに置くのは避けたほうがいいかも。

割との上を気で歩いたりするので、排物を見つけたらすぐに取り除く。床材にを用いている場合、100円ショップ天ぷら用すくい網が便利である。

通常、フトアゴ煙草の固形もしくは粘着質な軟便である。飛沫が飛び散るような下痢は要注意。

温浴

で体が汚れたら、36℃程度のぬるま湯で入浴させてをふやかし、歯ブラシでやさしく洗ってやる。

便秘脱水を心配して定期的に温浴をさせ、排便させたり給させる飼育者も多いが、実際には必要ないことも多い。フトアゴ植物質の食物を腸内で発酵させ、セルロース分解し、ついでにビタミンB群やビタミンKなどの栄養素合成している。高頻度の温浴はこうした腸内細菌による発酵が中途半端なまま排便させてしまい、本当は得られていたはずの栄養素とともに流れ出ていく結果になりかねない。

日光浴

どんなに高性紫外線ライトも敵わない究極の紫外線が、太陽である。フトアゴ日光を浴びさせるとケージ内では考えられないほどに発色し、本覚醒するのか恐ろしく活動的になる。活発になりすぎておとなしかった個体が飼いに威嚇しはじめたりすることもあれば、逆に日光浴が気持ち良すぎて寝したりして、いずれにせよふだんでは見られないフトアゴの顔を見せてくれるだろう。

ただしいくつか注意点がある。まず、屋外で日光浴させるのはサブアダルト以降の個体にすること。ベビーはあっけなく脱水症状や熱中症に陥るおそれがある。

日光浴は必ず気温25℃以上の日に行なうこと。とくに先は暖かく感じられるかもしれないが、気温だけみるとフトアゴにとってはまだまだ寒い日が多い。ケージ内ではフトアゴに35℃程度でバスキングさせていることを思い出されたい。

ベビーや、外気温が20℃程度しかない日に日光浴させたいときは、暖房を効かせた室内の窓際がベター。太陽といえどもガラスでUVBが95%カットされてしまうが、それでも紫外線ライトよりはるかに効果的である。

アダルトといえども熱中症には注意が必要になる。砂漠というと、厳しい日射がじりじりと照りつける灼熱地獄と思われがちだが、実際には岩や地形の起木など、体の小さな爬虫類にとっては避難場所となる日陰が散在しているし、を20も掘ればひんやりとしている。だが脱走防止のためにケースに収容した状態で日向に置いておくと、体温が上がりすぎたときに逃げ場がなく、深刻な事態になりやすい。日陰はちゃんと作ってやる。

そして、日光浴中に絶対にやってはいけないことがある。それはを離すこと。

体温の上がったフトアゴワープする。それくらいのを見せる。ちょっとを離した隙に消えてしまうのだ。

また、なにか用事ができて「すぐ戻ってくるから」とその場を離れるのもご法度。人間は忘れる生き物なので、フトアゴ日光浴させていることをすっかり忘れて何時間もほったらかしにしてしまうおそれがある。離席するならフトアゴをいったんケージに戻しておく。フトアゴ日光浴させているときはコンロの火を使っているときと同じと考えよう。

さらに、たとえ地であっても、屋外にはフトアゴ天敵となりうるカラスネコ跋扈している。外に出しているフトアゴから絶対にを離してはいけない。

こんなときは……(下痢・血便・腫瘍)

フトアゴ飼育していると、さまざまなトラブルに見舞われることがある。ここでは代表的なケース紹介する。

下痢

前出のとおりフトアゴ健康体であっても軟便を出すことがある。ここで下痢と呼ぶのは飛沫が飛び散るような様便である。

まず、突発的、一過性の下痢なら問題ない。フトアゴ奮したり、驚いたり、恐怖を感じたり、温浴で強制的に排便を促されたときなどに、まだ腸管内にとどまるべき分の多い便を排して下痢になることがある。翌日以降に便が戻っていたら心配せずともよい。

だが慢性的な下痢、すなわち排物が常に下痢便だった場合は注意が必要。寄生虫疾患のほか、消化器官内部の異常、消化管に隣接する臓器の異常が疑われる。いずれも医でなければ原因を特定できないため、すみやかに診察を受けさせる。

血便?

フトアゴ便は通常、褐色、暗緑色である。そのオレンジが混じっていると血便のように見える。その場合は、直近に食べさせた餌の内容を思い出してみよう。フトアゴナメクジカタツムリほどではないにしろ、餌の色素が排物に沈着することがままある。ニンジントマトといったい餌を食べさせなかっただろうか? もしそうなら数日ほど様子を見よう。い餌をあげなくなったのと同時にっぽいをしなくなったら問題はない。

しかし、メニューから系統の餌を除いても赤色の混じった便を排するようなら、血便の可性がある。早急動物病院の診察を。

腫瘍

フトアゴ爬虫類のなかでも腫瘍の発生率が高いようだ。皮膚腫瘍、内分泌腫瘍、造血器腫瘍、神経腫瘍などさまざまな症例が報告されている。

原因のひとつが痛風である。人間は新陳代謝の際に発生したアンニア尿素に変えて排しているが、爬虫類尿の形で排出している。排物のい部分が尿である。尿に微量にしか溶けないため、体内の分が不足ぎみだと排できず、関節や内臓で結晶化し、沈着してしまう。沈着した部位では二次的に炎症が起きて腫れたり、感染症にかかったりする。腎臓に沈着すると、腎臓が膨して腎不全になる。肥大した腎臓が直腸を圧迫して便秘を誘発することもある。

痛風は一度かかると根治はむずかしく、日々の予防がなによりも大切である。痛風の原因は、人間と同じく分不足」タンパク質の摂りすぎ」なので、日ごろから葉野菜や給でじゅうぶんに分を摂らせ、成長が鈍くなるアダルト以降の個体には昆虫系の餌を与えすぎないよう心がけよう。皮にもフトアゴを可がって毎日餌をたっぷり与える飼育者ほど個体を痛風および肥満にしてしまいやすい。相手は食糧資の乏しい砂漠進化を遂げてきた省エネ動物であることを肝に銘じたい。

定期健診

フトアゴは自身の体調不良を隠すのが非常に上手い生き物である。自然下では弱みを見せるとたちまち襲われて食べられてしまう。そのため体が病魔に侵されていても虚勢をらなければならない。飼育下のフトアゴもその本に従い、本当は病気にかかっていて苦しかったとしても普段と変わらないように静を装おうとする。

人間の場合、腎臓は病理に対して自覚症状がほとんどないことから沈黙の臓器とも呼ばれている。その腎臓が自覚症状の出るほどに機低下していたらもう取り返しがつかないことがほとんどである。フトアゴはいわば全身が沈黙の臓器である。フトアゴは死ぬ寸前ぎりぎりまでさも元気であるかのようにふるまう。そのフトアゴがついに耐えきれなくなってもがき苦しむまで悪化していたら、もう末期症状であり、手遅れである場合が多い。

不調を隠すプロであるフトアゴ相手に、行動や餌食いなどの観察だけで異常を発見するのは困難である。健康状態は、血液、検便、レントゲン検など、医による専門的な検でしか判断できず、症状が出てから治療を始めても遅いのであるから、定期的な検診がなによりも大事である。病気は治療よりも予防が肝心である。

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