風雲スーパータッグバトルとは、1996年9月26日にエス・エヌ・ケイ(SNK)より発売された2D対戦格闘ゲームである。95年に同社より発売された『風雲黙示録』の続編であり、シリーズでは今作が最終作となる。
概要
SNK格闘ゲームシリーズの中でも特に陰鬱で哀愁が漂う、ハードボイルドな空気が押し出された意欲作。
アジア圏でヒットしたという前作の結果をヒントに、それまでのSNK作品が独自の雰囲気として放っていた『いい意味で重く、ハードな世界観』を深く掘り下げた内容となっている。
前作が、悪い言い方をすれば原色過多でバタくささ溢れるドギツい(それでいて、妙におマヌケな)世界であったのを、今作では色合いを抑え、絵のタッチも和らげて万人向けとしたものにシフトチェンジした事は、後年の再評価を見ても方向性として正しかったと言って差し支えないだろう。各エンディングでも、ボスの壮絶かつ明確な死の描写、終わりの無い闘争、救いの無い結末、一時的な安らぎ、改善されない治安、混乱する秩序…といった他タイトルの舞台である『危険な街・サウスタウン』を彷彿とさせる結末が多い。
ラストボスのジャズウがボスとしての強さよりも幻術とカタコトによる怪しさの方が印象に残るキャラだったり、ジャズウの登場によってゴズウ&メズウ兄弟がKOFシリーズで言う怒チームの如き準主役級の扱いとなったり、ジョーカーが配色や技の差し替えによって更に狂人度を増したり、チュンの逆転技が新技になったりと、相変わらずキワモノ勢にも平等にスポットが当たっている独自色が目立つゲームである。兎にも角にも『危なさ』では他の追随を許さない。
世界観が変貌した事に倣ってか各キャラの詳細の念入りな見直しが図られ、前作の主人公ハヤテは風雲拳を極めていない事にされ、ゴズウは血液型が変わり、イーグルはジョーカー同様に配色が変わった上、形だけではない全うなイケメンとなった。また、何故かフィジカルデータの数値が多くのキャラで大幅に書き換えられ、身長が11cm縮んだハヤテ、逆に25cm伸びたゴードン等、最早別人のデータと思われてもおかしくない程、極端に変化したキャラもいる。加えて、世界観に似つかわしくない為に前作のデフォルトキャラの内、キャロルとニコラは削除された。
ゲーム内容としては、ラインシステムを撤廃し、新たに2VS2で戦うタッグバトルを採用。システムも大幅に入れ替わり、タイトルとキャラクター以外は正しく別ゲーと言ってもいい程劇的な変化を遂げている。言うなれば、『全く新しい続編』。主人公も新キャラとなった。CPU戦はデフォルト設定では程良く低難易度なので、システムに慣れればサクサク進められる。ただし、SNK格闘ゲームの例に漏れず、ボス2人はそれまでとは一線を画す高難易度。ラストボスのジャズウよりも、中ボスの真・獅子王の方が強いともっぱらの評判である。実際に使用するとジャズウの方が明らかに性能は上なのだが、真・獅子王は特定の技を連発するだけで有利を取れるのがインパクトが大きい為か…両者とも、ガードキャンセルの出し所を見極めればCPUとしては大差無い強さではある。
今作には通常のノーマルバージョンの他に、『1P&2P』vs『3P&4P』のタッグ対戦が可能なスペシャルバージョンという限定版が存在する。協力プレイの対戦版が行えるという、昨今でこそネットワークの発達により珍しいものでは無くなった仕様をいち早く取り入れるSNKの挑戦意欲溢れる高級モデルである。このバージョンでの大会動画も存在するので興味があればご覧頂きたい。ジョーカーさん自重して下さいよ
この『協力プレイ同士での対戦』という独自のシステムは、後にドリームキャスト版マーヴルvsカプコンにも取り入れられている。あちらはコントロール端子が4つある故に実装出来た結果と言えるが、風雲STBの場合は『対峙した対戦台』を踏まえての仕様であった。あの時代にあってこの目の付け所は、流石フューチャー.イズ.ナウ.SNKである。
因みに、スペシャルバージョンの発売日は9月20日とノーマルバージョンより早かった。
家庭用移植に関してはメモリ容量の都合上、ネオジオCDにも移植出来なかったためにROM版以外での移植がされず、オークションでは¥10万超しの値段が付く事もザラであった。業務用のメモリ容量は242メガ。KOF2000が673メガという事を踏まえたら、移植出来ないのも止むなしであろう。当然、PSやSSにも移植はされなかった。
更に同年の同時期、よりにもよって同じ格闘ゲーム界の雄であるライバル会社カプコンから発売されたタッグ制(勿論交代も可能)格闘ゲーム『X-MENvsストリートファイター』や別の開発部が送り出した『KOF96』等に客足を一方的に取られてしまい、OPデモでの新システムのピックアップ等も無い地味な内容から、中身の認知が為されずに鳴かず飛ばずのまま時代の影に埋もれてしまった悲運のタイトルであった。むしろ、当時はゲームセンターに通っている者達でさえ、そのタイトルすら知らない格闘ゲーマーも多かったと思われる。当然ながら、攻略本も出ていない。
その後、実に10年の沈黙を破って2007年、PS2のネオジオオンラインコレクションにて前作『黙示録』とのカップリングで『風雲 SUPER COMBO(スーパーコンボ)』として発売された事で、ようやくお手頃価格で家庭用として楽しめる事となった。オンコレの御多分に漏れずエミュレータ移植なので対戦モードは収録されず、アーケード版同様の乱入対戦のみという形なのが残念だが、プラクティスモード、コマンドリスト、カラーエディット機能、アレンジBGMもオンコレという事でバッチリ収録されている。特にアレンジBGMは珠玉の如き名曲揃いで、これだけでも購入価値があると断言出来る程である。現在はアケアカNEOGEOでの配信が各プラットフォームで行われており、現行機種でも気軽にプレーできるようになった。
『黙示録』から続くシリーズとしてはタイトル自体が別物へと変化を遂げたためか、ネオジオポケットの『カードファイターズ』シリーズでは同2作品を纏めて『風雲シリーズ』と称している。
海外版のタイトルは『KIZUNA ENCOUNTER SUPER TAG BATTLE』。『KIZUNA』とは『絆』の意であり、タッグ制を用いた格闘ゲームとしてチームワークが重要となるサブシステム、ひいてはこのゲームを見事に体現したタイトルと言えよう。
演出面では、勝利メッセージで『タッグ内での掛け合い』を実装したタイトルである。世界観が世界観なので、相性が悪いキャラとの掛け合いは殺伐とした雰囲気が全開。特にスイル⇒ロサや(ゴズウ、メズウ、ジョーカー)⇔影獅子王の掛け合いは、タッグとして何時決裂してもおかしくない程に敵意剥き出しで穏やかでない。KIZUNAとはなんだったのか…
システム
★操作性の変化
今作ではボタンの押す長さでの強弱調整ではなく、ニュートラル状態では一律して弱攻撃、レバー前を入力維持しつつボタンを押すと強攻撃という操作方法へと変更が為された。屈み状態では、前斜め下(右向き時はテンキー3方向)への入力維持が強攻撃として扱われる。空中では地上立ち状態と同様に前維持入力が対応。
★体力ゲージの変化
1本のゲージで、約7割程減らされた段階で体力点滅状態となり、逆転技が使用可能となった前作とは異なり、今作の体力ゲージは『リアルバウト餓狼伝説』シリーズにみられる2本制・1本以下になった段階で逆転技のアンロック解除という仕様となった。
★勝敗決定の変更
なんと今作では、タッグ内の1人の体力が尽きた時点で決着となる。故に、交代~体力回復の重要性が極めて大きな意味合いを持つ。相手に交代をさせずに一方的に責め立て、容赦なくKOするのもまた、このゲーム故の醍醐味。
この仕様は後の『ネオジオバトルコロシアム』に受け継がれたが非難轟々であった。KOFXIなどと比較すれば、その理由も頷けるというものである。このゲームは比較対象が無かったからこそ、独自の仕様として受け入れられているのだろう。
★チェンジエリア
ステージには『チェンジエリア』が設けられ、画面を横に4分割して中2つ分のスペース(赤と青の斜めストライプ模様が施されている)の内の1つが自軍チェンジエリアとなる。チェンジエリアは交代の他、サプライズアタックやエマージェンシータッチといったサブシステムを使用する際に必要となる陣地。
故に、この自軍エリアを如何に戦術として取り入れるかが戦局の要となる。単なるキャラ対キャラの相性以外にも、自軍エリアの位置取り能力(地上・空中其々の機動力、各技の間合いを離す運び能力、切り返し能力等)を視野に入れての攻防を意識する必要があるのだ。
★交代(自軍エリア内でD)
2VS2のタッグバトルという仕様を生かした、今作ならではの交代システム。
交代は自軍チェンジエリア内、かつ地上でのみ行える。交代成立後は使用キャラが画面奥の待機ゾーンへと移り、それまで待機ゾーンに控えていたもう一方のキャラを改めて操作する。交代成立後、待機中のキャラは徐々に体力が回復していく。カプコンのVSシリーズで見られるリカバリアブルダメージといった表示が無いために解りにくいが、回復量は高めに設定され、残り体力を強攻撃1発分程にまで減らしたとしても、交代して控えに回っていた間に体力半分程まで回復していた…という事態もよくある。
★ラッシングコンビネーション
通常技&武器殴りを、決められたルートで順に繋げていく事が出来る。ルートは↓
となる。前述した通り強攻撃の入力が独特な今作では、コンビネーションを繋げるのもかなりの工夫を問われるために、一般的なチェーンコンボを搭載した格闘ゲームと違って手元がとても忙しい。だが、それを踏まえた上でこの仕様を理解した時、このゲームの面白さは飛躍的に高まる事であろう。体力がお互いに少ない状態でのラッシングコンビネーションを用いた緊張感は、他のSNK格ゲーでは味わえないものがある。
今作が隠れた名作と呼ばれる理由に、このシステムが大きく健闘しているのは間違いない。
コンビネーションの一例をあげると、(屈弱K>立強K>屈強P>武器>屈強武器)の場合はテンキー入力で
となる。見た感じではややこしいかもしれないが、格闘ゲームに通じているプレイヤーは少し触れば自然と把握できるだろう。
ルートが共通なのは『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』に通じる流れでもある。あちらとは違い、各キャラ繋がるルートにバラつきがあるため、一概に「これが一番」というルートは無い。連続技のバリエーションを考えるのが苦手な人は、一先ずはレバーを前に入れた状態を維持しつつ、A>B>Cと順序良く繋げていこう。慣れてきたら、屈み状態のルートを開拓する前に、空中でのコンビネーションをモノにする事をオススメしたい。地上とは違って斜め下入力に左右されないため、空対空での空中コンビネーションを入力する際に混乱する事は無い筈だ。
★空中ガード/空中で4維持
ラッシングコンビネーションの実装のためか、空中ガードも導入された。同社のKOFシリーズやカプコンのストZEROシリーズと異なり、地上通常技も空中ガード可能(ジャスティス学園シリーズもこの仕様)となっている。故に空中状態は地上に比べて非常に安全であり、余計なリスクを侵してダメージを貰う恐れのある行動を取るよりは空中に逃げた方が確実な回避策となりうる。空中コンビネーションから着地を投げられる可能性もあるので、そればかり過信するのは得策ではないという事は覚えておきたい。
★スウェー/AB同時押し
その場で奥画面に体を反らして全身無敵となる回避行動。KOF94の攻撃避けと同じと思ってよい。ゲームスピードが早く、ラッシュが強力な今作では攻撃を『その場で』回避する状況があまり見受けられず、今一つ出番が無いのが悲しい。意識して使うならば、遠距離からの飛び道具に合わせる、お互いが五分状態になる技をガードさせた直後の読みに使う、相手の飛び込みに対する意表を突くetc…
★回り込み/6+AB同時押し
画面の前方半分程を、下方向に緩い角度で放物線を描く軌道で高速移動する回避行動。移動中は無敵状態で、回避策としては非常に強力で、とりあえず仕切り直したい場合は迷わず回り込みを使っていくといい。動作中に相手と重なるとサイドを入れ替える。
単純に移動距離と無敵時間の長い、回避策としての万能ぶりが光る。高難易度のCPUやボス2人も、回り込みを多様すればとりあえず一方的にやられる事はない。防御手段としては頭一つ抜きん出た性能だが、移動距離の調整が出来ないために回り込み>攻撃に転じるのは簡単ではない。
★防御崩し/B+C同時押し
全キャラ共通の中段性能を持った攻撃。名称通りに屈みガードを崩す手段として使用する。…が、回避手段として回り込みの性能があまりに万能なため、肝心の防御を崩す状況になるとあっさりと間合いを離されてしまうという、これまたスウェー同様の空気感が拭えない。無理に使う必要は無いが、画面中央で忘れた頃に使えば意表を突けるかもしれない。大半のキャラは低い高度を跳躍するジャンプ攻撃だが、一部のキャラは地上攻撃となる。
サムライスピリッツシリーズの『不意打ち』やストリートファイター3シリーズの『リープアタック』と同様のシステムと言えばわかりやすいだろうか。
★下段攻撃/3+A同時入力
読んで字のごとくの下段攻撃。屈み強Pとは違い、レバーとAを瞬時に同時入力しないと発動しないので注意。
立ち状態から足元に向けての攻撃で、ラッシングコンビネーション(RC)に織り交ぜて使うと効果的。RC自体に繋げる事も可能だが、内部処理的に屈み強Pと同じ処理がされているらしく、下段攻撃>Pを用いたRCに派生する事は出来ない。
単純に下段からのコンボを狙うならば、屈B始動で問題無い。しかし、1+Bというコマンドを持つキャラ(メズウ、ジョーカー、ジャズゥ)は屈みB始動のコンボを狙う際にそちらの必殺技が暴発する恐れもあるため、このシステムの存在を意識しておいて損はない。
★挑発/CD同時押し
挑発行動。これ自体に特別な効果は無いが、特定のタッグを使用した際に控えキャラのダメージ回復速度が上昇するという隠し要素が存在する。
挑発動作は何れかのボタンを押すとキャンセル出来る。この仕様を利用して、何らかの行動の予備動作を絞らせないという使い方も可能。特に、逆転技やタメ入力の必殺技等を出そうとする際に挑発を『置いておく』のはネタの様でありながら戦略として中々侮れないものがある。
★投げられ着地/相手に投げられた際に6or4+C
受身行動。投げのダメージを半減し、ダウンせずに体制を立て直す。ラッシュが強い今作では堅めの裏の行動でもある投げも重要なダメージソースであり、起き攻めを避ける意味でも地味に貢献しているシステムである。
…が、一部のキャラは投げられ着地を行うと喰らい判定が復活してしまうという致命的な仕様が存在する。この仕様により、ダメージを軽減した筈なのに復活した喰らい判定に追撃を食らって更にダメージを負った…という事もままある。かと言って、なら使わない方がいいのかと言うと、それはそれで起き上がりに見切るのがほぼ無理と言える表裏2択を迫られる事にも繋がってしまう。
つまる所、投げを食らう状況に陥った自分の腕が悪いと思っておこう。
★ガードキャンセル/相手の攻撃をガードしている状態で236+A
ガード状態から即座に各キャラに対応した必殺技で反撃に移行する。ゲームシステム上、特に必要条件は存在せず、出せる状態ならば何時でも入力に対応している。このため、闇雲にRCで堅めようとしても容易に反撃されかねない。ガードキャンセルの存在を意識してRCを控えめにし、投げに行くのも戦略の一つである。
ガードキャンセルに対応した各キャラの必殺技は夫々かなりの性能の差があり、この性能が強さの比重として大きく影響している。
ガードキャンセルがヒットした際に加算されるスコアは1ヒットにつき1000ptsと非常に高いため、ハイスコアを狙うのであれば主にガードキャンセルでの攻撃を主体にする必要がある。
★サプライズアタック/体力点滅時、自軍チェンジエリア内で421+A
全身を白く点滅させ、攻撃をしつつ前方に一定距離を移動>相手と接触すると控えキャラとの連携攻撃を繰り出す演出がなされるタッグコンビネーション。
条件が厳しいにも関わらずダメージは程々なので、実の所あまり使用価値は無いのだが逆転技を連続技に組み込めないキャラには有用なダメージソースとなり得る。移動技としての発生速度、前方への判定はキャラ毎に異なり、連携に大いに組み込めるキャラもいれば、まるで使う意味が無いキャラもいる。
システム自体は必殺技として処理されているので、RCからキャンセルして発動可能。勝利メッセージでの掛け合いを見たければ、サプライズアタックでKOしてみよう。そこにKIZUNAが無くても、泣くんじゃない。
★エマージェンシー.タッチ/体力点滅時かつ、
相手の体力が黄色の状態で、自軍チェンジエリア内で421+D
控えのキャラが攻撃しつつ交代を仕掛ける。相手の位置をサーチして交代出来るので、牽制やRCの隙を見計らって発動すれば、高確率で切り返す事が出来る強力な反撃技だ。
特に、お互いが画面端まで間合いを開けた状態から繰り出すと、端から端まで一瞬で移動しつつ攻めに移行出来る。相手の体力が少なくなってきた際、交代したいという心理を逆に突いて間合いを離し、一瞬で画面端まで追い詰めるという事も可能だ。逆に言えば、こちらのエマージェンシー.タッチ(EM.T)を読んで、相手もEM.Tで返り討ちにするという行動も可能という事である。時にはあえて交代をせずに駆け引きに興じてみるのも面白いだろう。
対戦相手がいれば、の話だが。
★弱攻撃フィニッシュ
弱攻撃で相手の体力をゼロにすると、通常のKO演出とは違って相手が行動不能の気絶状態となる。この状態では、操作側は一定時間の内に好きな技で追撃する事が出来る。相手の仰け反り状態が完全に消失してから改めてKOとなり、仰け反りが持続する限りRC、逆転技、はたまた永久コンボも好きに決められる。ヒット数の限界に挑戦してみたければ、是非ジョーカーさんで永久コンボを決め続けてみよう。
★ボーナスバトル/特定のタッグ使用時、CPU戦のラストボス撃破後に導入
ラスボスのジャズゥを倒した後、タッグ内で1VS1の対決を行う。この試合ではタッグを用いたシステムは全て使用出来ない、ガチのタイマン勝負となる。ある程度システムで補われていたダイヤグラムが全く通用しないため、キャラ差がもろに出て一方的な試合になる事もあるかもしれない。勝ちたければガードキャンセルを意識しよう。ゴードンさんいじめは程々に。
あくまで『ボーナスバトル』であり、勝敗に関わらずその後のエンディングはしっかりと見られるので安心してほしい。
★前作から削除されたシステム
- ラインアタック全般
- 大ダッシュ&大バックステップ
- 避け攻撃
- ボタンを押す長さでの強弱変換
- 武器投げ(特定のキャラには必殺技として継続)
- 各キャラ固有の逆転技コマンド
- 仰け反り前半の全身無敵
- ステージ別のダメージを伴う仕掛け
- ボーナスステージ
- 試合前の掛け合いメッセージ
- コンティニューメッセージ
- ラウンド勝利時の勝利ポーズ
※前作から削除されたキャラクター:キャロル・スタンザック、ニコラ・ザザ
キャラクター
『真紅の女豹』ロサ
ジパングシティーへの移民で構成されたレジスタンスの女リーダー。様々な流派の剣術を取り入れた独自のスタイルで戦う、このゲームの新主人公。レジスタンスの仲間達が獅子王に捕われ、奪還のために裏獣神武闘会に参戦する。
SNK格ゲーでも類を見ない女性主人公として、シンプルかつワイルドなデザインと各技のカッコ良さから風雲キャラの中では認知度は高い。が、戦闘スタイルは特に目新しいものでは無く、風雲というタイトルのウリとして『全く新しいスタイル』ではない。…まぁ前作でも忍者兄弟はもとより、ジョーカー、チュン、ゴードン等もわりかし普通の戦闘スタイルであったが。
飛び道具、対空、突進技、空中軌道変更技と一通り揃ってはいるが、飛び道具と対空技の性能はイマイチ。通常技は屈強Pのリーチが死んでいる以外総じてリーチが長い。防御崩し、下段技は平均以下の性能だが、接近戦を挑みやすいキャラなので使えない事もない。
J強Kは屈ガード可能という謎の仕様がある。屈み強Kとグラフィックが同じなのでそのままコピペ>下段の内部処理を外すのを忘れたのだろうか。また、屈強Kは近弱Por近強Pからキャンセルして出すと動作が変わるというこれまた優遇されているのかいないのかわからない仕様も。
RCから必殺技の『メテオール・アングリフ』~追加までの火力が非常に高く、主とする連続技はほぼこれだけでいい。逆転技の『勝利の暁』は乱舞技としての性能が低く、近Cから以外ではコンボに組み込む事が出来ない程に発生が遅い。このため、相対的にサプライズアタックの使用頻度が高いキャラ。御誂え向きな事に、そのサプライズアタックの性能はトップクラスである。メテオール・アングリフでいいんじゃねとか言うな。
前作のキャロルと違ってしっかりと脱衣KOに対応している。操作側の控えキャラの体力が40ドット以下、タイムが10カウント以下の際にKOすれば、衣装が破れる面積が増えるというおまけも引っさげて、新たな風雲界にその存在を焼き付けた。
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、スイル、ゴードンとなる。この内、ゴードンに対しては一方のみで、ゴードンからロサへの掛け合いは存在しない。そのゴードンとはボーナスバトルに対応。
『天才蹴撃手』キム・スイル(金 秀一/KIM YOUNG MOK)
静寂を好み、他人へ干渉する事もされる事も嫌う、無口な飲み屋の用心棒。格闘スタイルは『テコンドー+棒術』と、中々革新的で見栄えが非常にいい。
考古学を選考しているという設定があるが、デモはおろかエンディングでも全く生かされていない。現場監督が気に入らなかったためにぶっ飛ばし、飲み屋の用心棒に流れ着いたという設定はストZEROシリーズのバーディーに通じるものがある。あちらが野心的であるのに対し、こちらの場合はなるようになれ的なヒネくれ感が見受けられる。
下戸であり、飲み屋では主にオレンジジュースを飲んでいる。学識がある事と格闘技の実力の面で獅子王からのスカウトがしつこいので、いっそ力で黙らせるという目的で裏獣神武闘会へと参戦。何というか、実に刹那主義な生き方である。
苗字が示す通り、餓狼伝説のキム・カッファンの何代か後の子孫にあたる。性能も、技の名称こそ異なれどカッファンの必殺技を踏襲したものが揃っておりそちらに馴染みのあるプレイヤーには使いやすいキャラだろう。
通常技は強攻撃の多くが2段技となっており、RCの確認制度が非常に易しい。逆転技も繋げる事が出来るので、連続技の爽快感を味わうにはうってつけのキャラと言える。反面、飛び道具を持たないという致命的な弱点を持ち、遠距離で逃げ戦法を取られると厳しい。どうにかして接近戦を挑みたい所。
中段技の性能が飛び抜けて高く、
と、一人だけ異次元的な強さを持つ。ここからRC>鳳凰脚は黄金パターン。
更に、猶予が厳しいものの(遠強K(2ヒット)>屈強P(2ヒット))×Nのループコンボも実装しているので、型にハマった時の爆発力も驚異。実際には徐々に間合いが離れていくために3ループ出来ればいい方だが、画面中央で小技確認から簡単に繋がるので、結果的に実行するチャンスは多い。
必殺技の『三連撃』がKOFシリーズのカッファンへと輸入される等、他のタイトルに与えた影響もそれなりにある。KOF2000ではカッファンのアナザーストライカーとしての出演も果たした。
『風雲快男児』ショー・疾風
ご存知ブーメラン空手こと風雲拳の使い手。今作では主人公を新キャラ2人に譲った。前作では優勝出来なかったが、更に磨きをかけた風雲拳を用いて裏獣神武闘会に挑む。
前作のOPで『風雲拳の奥義を極めた男だ』と紹介されていたが、今作のEDにて何故か『ハヤテが風雲拳を極めるのはいつの日だろうか』と、唐突に全否定されてしまった。また、概要に示した通り、身長も185cmから174cmへと大幅に縮んでしまっている。
前作では他のキャラが巨漢ばかりだった事もあってあまり意識されていなかったが、それでも数値で言えば十分大柄なキャラであった。イラストの体型から見ても、180cm位にはある気がするのだが…その数値の変化のせいで、全キャラの中でも女性キャラのロサとおじいちゃんのチュンを除けば最下位の背丈となっている。
性能面はと言うと、個々の技の性能は器用貧乏、特定の状況では非常に火力の高い連続技を叩き込める一発屋と言った所。空中飛棍投術でのめくり(厳密には所謂『裏落ち』)、画面端or密着状態からの飛棍投術からのRC>『強烈斬』や逆転技の『奥義!無双乱舞』が恐怖の破壊力を秘めている。
画面中央でのめくり空中飛棍投術からの中下段攻め、そこから強烈斬でダウンさせて再度めくり空中飛棍投術ループの連携も非常に強力。今作のハヤテを使いこなすにはとにもかくにも、飛棍投術の仰け反り時間の長さを利用し爆発力を最大限に発揮していきたいところ。
『念動飛棍』は速度が速過ぎて相手を追尾する効果が前作とは比較にならない程に落ちた。『幻影飛棍』もボタンによって異なる位置への軌道となり、3つの内の2つはフェイクという文字通りの幻影的な幻惑効果をもたらすものへと変化している。前作での弾幕効果は無くなったものの、技名との合致感は上がったと言えよう。
どちらの飛び道具も弾速が非常に早く、ダウンを奪えるので牽制能力は高い。代わりに、戻ってくるブーメランをキャッチ出来なければ、火力の要である強烈斬が使えなくなってしまう為、繰り出す際には状況を見極める必要がある。
『飛天昇王脚』は移動距離が短いので連続技に組み込むのは難しいが、追加入力の3+Bに繋げると長距離を運ぶ事が出来る、所謂『運搬技』として重宝する。因みに、ガードキャンセル対応技もこの技なので、GC切り返し能力は最下位クラス。4ヒットするのでガードキャンセルヒット時のスコア加算割合は一番なのだが。
逆転技の『奥義!無双乱舞』は始動が小足でなくなり、演出も地味になってしまった。勝利時の雄叫びも控え目で、念動飛棍といい幻影飛棍といい、今作のハヤテはやはり『極めていない』感が漂っている。前作の圧倒的威圧感はどうしたのだろうか。
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、イーグル、チュンとなる。イーグルとはボーナスバトルもあるので、彼とのKIZUNAは確かなものだろう。
『ブレイブハート』マックス・イーグル
サワヤカな笑顔を振りまきながら斧を振り回すというビジュアルが強烈なギャップを脳裏に刻ませる、プロレス団体『SWF』所属のイケメンレスラー。前回の大会では獅子王に生き別れの兄と同じ面影を感じて参戦するも、確証を得られなかったために今回も参戦して真意を確かめようとする。
これでもかと言う程にバタ臭さ=ヒーロー像を押し出していた前作に比べると、真っ当なキャラクターに落ち着いた。言動も押し付ける物言いは形を潜め、素直に相手の強さを認める発言が見受けられる。何を原因としてかは不明だが、妙に違和感を感じる程に精神的に大きな成長を遂げた様だ。
その寛大さは、ラスボス戦のデモにて目の前でジャズウに兄を殺された(後に生き返ったが)後に、全く空気を読まずに勝負を持ちかけてくるライバルのハヤテに対して快く応じる有様である。持ちかけるハヤテがアレなのは間違いないが、それに応える彼も彼でどうなんだ。
技の数は少ないが、そのどれもが強力で全体的に高性能であった前作から見ると、純粋に崩し技として使用できるガード不能のコマンド投げを所持していないという、レスラーとして完全に間違っている方向へと変貌を遂げた。
実のところ、前作でも通常必殺技としてのコマンド投げは所持していなかったのだが、今作では逆転技の『イーグルスペシャル』も移動打撃投げ性能=言わば乱舞技に性能変化している。この変化は連続技として高い火力を叩き出せる一方で、防戦一方で固まった相手を崩す手段が失われてしまったという事でもあり、文字通りの逆転技として前作での性能に秘められていたアイデンティティが消えたと言っても過言ではない。決してゴードンさんの特徴と被るからこちらを地味でありふれた性能に変えようという意図があったのではない…と思う。
空中ガード、ガードキャンセルが追加された本作では、その仕様上少ない手数で高い火力を出せる技が重要なウェイトを占めるのだが、逆転技が打撃投げ化した事によって、本来の崩し能力よりもコンボ性能が問われるキャラとなった。その性能は打撃キャラとしては中々『通』な技が多く、変則軌道の飛び道具『アックスブーム』や、純粋な空中専用突進技となり追撃も可能かつガードキャンセルされなければ隙も無い『アメリカンスクリュー』、連続技専用とも言える移動打撃投げ『フロントスープレックス』、対空から追加で投げに派生する、高威力の『フラッシュウイング』等が揃っている。
アメリカンスクリュー>フラッシュウイング~追加投げはローリスクハイリターンでどの距離でも通用する黄金パターン。投げキャラではないが、随所随所でレスラーらしさを感じさせる演出が気持ちいい。コンボの火力も高いものの、地上での機動力が低いので全体で見れば下位ランクなのが悲しい所。
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、ハヤテのみ。ならず者の多いこのタイトルに限れば、彼のベビーフェイスぶりは逆に風当たりが強くなってしまうのかもしれない。ゴードン辺りとは仲良く出来そうだし、影獅子王とは兄の繋がりで思う所がありそうなんだけどな…
『炎獣』ゴズウ(牛頭)
テロリスト集団『邪呀』の一員で、弟メズウと共にコンパチ枠を務める忍者。燃える様な赤い衣装に、ガスマスクから除く鋭い眼光が、特殊戦術に通じたキワモノ感を演出する。得意とする火炎忍術とカギ爪を組み合わせた独自の『邪呀殺法』でフィールドを一面炎で埋め尽くす、よく出来た兄貴。
前作では末弟カズウを殺した獅子王に復讐する為に、あえて表舞台へと姿を見せた。果たせなかった復讐を今度こそ成し遂げるという野望を秘め、また、次男メズウとの合流も兼ねて裏獣神武闘会へと再び参戦する。真・獅子王撃破後に驚愕の事実が発覚するも、エンディングでは何も言わずにあくまでも組織の掟に従う事を心情とする姿が見られる。
結末はぼかされているが、解釈通りであるならば、その文章の示す所は……色んな意味で、最も報われないエンディングであろう。
今作では必殺技に大量の飛び道具が追加され、全キャラでも一番の遠距離封殺をメインとする戦法が主流となった。その数、空中版やボタンでの使い分けも含めればざっと7つにものぼる。
『豪炎弾』は前作から隙が減って使いやすくなり、A、B、Cで其々異なる軌道に撃ち分ける事が出来る。削り効果も高い上、猶予はかなり厳しいが、ヒット後に目押しで立Aに繋げる事も可能。飛び道具としては非常に使いやすいが、『飛び道具強度』としては最弱なので撃ち合いには一方的に負けてしまう。
『獄炎界』は前後に2つ、計4つの爆弾を山なりに投げ、着弾後に垂直に火柱が上がる変則軌道の飛び道具。発生保証があり、投げた段階から攻撃判定が存在するので、技の前半&後半のどちらも対空として高い効果を発揮する。対空効果から対地&対空効果と変化するため、この技だけで相手は相当近付き難くなり、適当にこの技を出すだけでも相当嫌らしい戦法と言える。あくまで防戦だが…
『無道牛炎波』は前作では適当に連発するだけでもそれなりに強い性能だったが、今作では空中ガードとガードキャンセルの採用によって大幅に弱体化を遂げた。出始めと飛び道具部分で2ヒットしなければ総合火力は低く、弾速も遅くなっている。コマンドも2タメ8+Aとなり、とっさに出せなくなってしまったのも痛い。
とは言え、発動時に全身無敵となるので突進技に対しては非常に強く、飛び道具が前後に放たれるので回り込みに対しても機能するという独自の強みも持つ。また、飛び道具部分はダウン追い打ちが可能なので、限定的な場面でのダメージアップも測れる。純粋な飛び道具としては死に技に等しいものの、それだけでは終わらない、中々使いどころを研究したくなる性能である。挑発や他の必殺技の硬直を利用して前動作の下タメを見破られない様に振る舞い、繰り出す場面を予測させない立ち回りが問われる。
『三日月』は標準的な飛び道具で、メズウと異なり空中版も存在する。この空中版三日月は、武器が飛んでいくタイプの飛び道具ではないので、ハヤテやイーグルと違って手元に武器が戻るまで出せなくなるというデメリットが存在しない点で優れており、空中からの牽制や飛び込みを仕掛ける際に非常に役立つ。
その他、リーチの長い2C、攻撃判定の持続が非常に長く起き攻めの一環として真価を発揮する3Aの下段攻撃、前方への判定が大きく安定して連続技に出来るサプライズアタック及び逆転技の『邪呀乱撃掌』、空中戦の強化に一役買っている二段ジャンプなど随所で強い技を持ち合わせるが、全体的に低火力なのでアタッカーとしてはあくまで逃げながらの飛び道具を中心とした戦法に頼らざるを得ない。逆転技以外で連続技に出来るのは『陽炎拳』位で、『轟天』は突進距離が短いので連続技に組み込みにくく、ガード時は反確。『滅殺爪』『無道天輪爪』はこのゲームでもトップクラスの死に技として、遅すぎる発生に長すぎる硬直から、見てから避け&ガードしてから反撃余裕でしたというまるで使えない性能。このキャラを使うのであれば、大人しく遠距離からの砲台モードで戦うのが無難と言える程偏った性能である。
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、メズウ、影獅子王となる。邪呀の絆は血のキズナ、魂のKIZUNAという事でメズウとは兄弟仲良し。影獅子王とは歪み合いつつも、双方大人しくタッグとして甘んじていると言った所。
『氷獣』メズウ(馬頭)
テロリスト集団『邪呀』の一員で、兄ゴズウと共にコンパチ枠を務める忍者。冷たい氷を彷彿とさせる青い衣装に、尖った仮面から覗く鋭い眼光が、狂気と冷酷非情さを演出する。水と氷を用いた忍術にカギ爪を組み合わせた独自の『邪呀殺法』でフィールドを凍てつかせる、よく出来た弟。
末弟カズウを殺した獅子王への復讐を今度こそ成し遂げる為、兄ゴズウとの合流も兼ねて裏獣神武闘会へと再び参戦するのは兄と同様、今回は獅子王を倒す事で組織内での地位を上げる事も画策している。
野心的な謀を秘めており実力も高い割に、物言いや振る舞いはあまり賢いキャラではなく、後先を考えないフシが見受けられる。真・獅子王撃破後に手駒として組織に利用されていた真実を知り、頭領ジャズウを葬った後、組織の掟を自ら破った頭領に倣ってかは不明だが『みんな殺してやるぜぇ!』と邪呀の全てを敵に回す道を選んだ。たとえ組織は家族であろうとも、兄と違ってここまで大胆な言動を怖気付く事無く言ってのける向こう見ずな性格こそ、メズウの一番の武器かもしれない。
全体的に穴の無い、バランスの取れた技構成の器用万能型。流石にゴズウには一歩劣るものの、彼もまた随所で使い分けられる飛び道具を多く所持している。変則的でありながら、その制圧力はゴズウに勝るとも劣らない。
『流氷弾』は前作と異なり、地面に直接撃ち出す動作へと変化した。この変更により、緩やかな放物線を描く事で着弾まで長いタイムラグと硬直を晒していた前作とはうって変わって、即座に攻撃判定が出現する様になり、牽制効果が格段に上がることとなった。加えて、ゴズウの様な純粋な飛び道具でなくあくまで前作の性能を踏襲しているため、4発の氷柱が順に前方に出現する形となる。これらの性能を踏まえ、「大きな攻撃判定を持ち、対空&牽制として活用出来る上に自動的に数発分を一括で放つ飛び道具」として大幅に(過剰と言える程に)強化された。中~遠距離で適当に繰り出しているだけでも、相当強力な戦法となる。流石に近距離からの回り込みには無力だが。
『氷衣』はその場で一定時間、前後3キャラ分程の範囲に衛星軌道の様に循環する氷の粒を大量に発生させる、攻防一体のバリア効果を伴った強力な技。一定間隔で氷の循環範囲が広くなるのに加え、技の終わり際の印を解く動作で更に攻撃判定を前後へと拡散する性能を持ち合わせる。更に更に、攻撃判定の数が非常に多いために単純に削り技としての性能も高い。具体的に言えば、片側(と言っても片側しか当たらないが)の全ての攻撃判定をガードすると強攻撃1発分以上の削りダメージとなる。更に更に更に、その攻撃判定の数の多さ故に、相手はGCでの反撃が極めて安定し難いという利点もある。これらの効果が合わさった結果、中距離からとりあえずガードさせて体力を削る、という戦法が単純に強い。CPU戦も大体これだけで戦っていける安定感がある。
終了時の印を解く動作による拡散放射だけはGCされやすいという弱点が存在し、また、動作前半で全ての攻撃判定がガードされてしまえば、その後は硬直を晒すだけとなる点にはくれぐれも注意したい。1~2個程の攻撃判定が残ってしまっても、相手からGCの反撃難度が格段に易しくなるという事でもある。頭上まではカバーしていないので、Y軸からの攻撃に弱い点も忘れてはならない。普段は死に技の滅殺爪やサイレントストームが真価を発揮する時にもなってしまう。
『無道水流波』は前作とは全く別の動作となり、射程制限付きの地を這う飛び道具に。ヒット時は相手を前作の無道水流波のエフェクトで包み込み、垂直に打ち上げて高高度から落下させるという演出となる。この打ち上げ効果による自軍チェンジエリアの位置取りへの貢献度が努めて高いのが魅力。弾速が早いのでRCからの連続技としても安定する。
『轟天』は兄のものと違って突進距離が長い、速度も非常に早い、起き攻めでの自動表裏2択も可能といった優秀性能。勿論、連続技としても使いやすい。空振り時の硬直が極めて長いので連続技専用とも言え、自動表裏2択も読みが外れたら反撃確定、と中々にハイリスクハイリターン。それでも兄の性能と比較すると相手の少しの隙に差し込める点では雲泥の差である。
その他、一族特有の長いリーチを誇る2C、『かまいたち』のお手軽対空、6Cの1段目の前進による連続技の安定度(特に逆転技の『邪呀乱撃脚』を絡める際、兄と違って1P側と2P側での左右の向きに縛られない仕様)、二段ジャンプと言った、間合いに囚われない戦い方が出来る。一方で、空中必殺技が無いので地上戦に囚われがちであり、兄同様に牽制がダメージソースなので瞬間的な火力に乏しい(連続技の火力そのものは低くはない)、下段からの連続技を入れようとすると2Bが『かまいたち』に化けやすい…といった弱点も存在する。何はともあれ、あまり複雑な動きをせずとも中距離での単発技が強さに直結する性能(邪呀の3人全員に言える事だが)なので、初心者から熟練者まで幅広く使いやすいキャラと言える。
ちなみにメズウにもロサ同様、J強武器殴りの1段目が屈ガード可能という仕様がある。こちらは遠強Kの動作をコピペした影響だろうか?
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、ゴズウ、影獅子王となる。兄という頼れる存在を意識してか、ゴズウとの掛け合いでは自分の実力を見せる為に試合の主導権を握ろうとする意気込みが見て取れる。影獅子王とは、大会後に私怨を晴らすと宣告するまでに敵意剥き出しでやはり向こう見ずな性格が前面に押し出されている。
『地獄の道化師』ジョーカー(マルコ・バリャドリッド)
社会からつま弾きにされた、ならず者集団を纏め上げた犯罪グループ『マジカルヒポポ』のリーダー。汚いドナルドだの癒し系イロモノだの何かとネタにされる(後者は主に某サイトのおかげで)人気者。
そのキャラクター設定は、凶器満載の手品グッズと道化師特有の不気味な笑い顔でバリバリの狂気に満ち溢れたクレイジーピエロ。前作の世界観からの変貌に伴い、必殺技で使用するグッズが刀や斧等の凶器が沢山詰まった箱に変わるなどよりいっそう危険ぶりが強調されたキャラとなっている。とは言え、道化の姿はあくまでも機嫌がいい時の演出であり、激昂した時の言葉遣いは非常に荒々しい。
前作の戦い以降、グループのメンバーが続々と逮捕されてしまい、傾きつつあったグループの増強、及び獅子王への復讐(復讐とな…?)も兼ねて真・獅子王の組織を乗っ取るために裏獣神武闘会へ再び参戦する。
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、チュン、ゴードン、影獅子王。チュンへは酷い事を言うが、その返しも妙にノリがいい。ゴードンに対しては警察組織の者という事で相性が悪い…筈なのだが、こちらも双方の性格故にほっこりする会話となっている。影獅子王との会話は非常に殺伐としており、舞台やキャラ設定があるだけに本作で最悪の組み合わせと言っても過言ではない。
『伝説の生き証人』チュン・パイフー(中 白虎)
82歳にして、獅子王以外には負け知らずと言う、トンデモ記録を持つ飄々仙人。若い頃に“伝説の狼”と呼ばれる格闘家から帽子を貰ったという設定から、餓狼MOWのロックの年老いた姿だのと無理矢理なネタにされる事もあるハッスル爺。
30年の山篭りの最中に発見した『炎の杖』を巡る因縁で獅子王と対峙し、その際に額に傷を付けられる。この事から獅子王とは深い因縁がある…と思いきや、それ以上の展開は無く、負けた設定があるにも関わらず何故か炎の杖も奪われなかった様だ。邪呀の復讐の流れといい、どうにも獅子王関連の設定には穴が多い気がしてならない。
前回はギックリ腰でリタイアした上に、病院では年寄り扱いされて憤慨。前回の雪辱を果たす事と獅子王への復讐のために再び大会に参戦する流れとなる。老体であるのに参戦動機が『復讐』というのもどうかという話だが、その実で正しい道から外れてしまった獅子王を真っ当な方向に導いてやりたいと考えている。
?『やるな!伊達に年食っちゃいないぜ!』
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、ハヤテ、ジョーカー、影獅子王。ハヤテには先人としての可愛い活を入れ、ジョーカーには実力を認める発言。影獅子王には、かつて一度だけの敗北を許した男の影武者という事から、その力を大いに警戒する流れとなっている。
『発電警官』ゴードン・ボウマン
その体格と強引な捜査で多くの犯罪者から恐れられている、現職の警察官。初代餓狼伝説から続く、SNK格ゲータイトルに1人はいると言われる動けるデブ枠。
トンファーと逮捕術を組み合わせた格闘スタイルが別に新しくはない事は有名。その風貌故関連付けされ易い某ベルトスクロールアクションの3面ボスとは以下略。
難病に冒された一人娘カンピーへの莫大な手術代を賄うべく参戦した前作では優勝こそ出来なかったものの、謎の人物(獅子王)の援助のおかげでカンピーは一命を取り留める運びとなった。今作では『広い家に住みたい』というカンピーの要望に応えるため、またもや賞金目的で大会に参戦する。前作のEDでSWFでレスラーやってる方が警官より儲かるんじゃないのかよという突っ込みは参戦理由が無くなるので禁止だ!
格闘スタイルが『実戦逮捕術』から『パワーでのゴリ押し』に変更され、いっそう暴力的な動きになったかと思えば、前作での強みであったスパークボルトが見るも無残なまでに弱体化しており、サブシステムの恩恵にあまり肖れない上に限定的な永パを決められる側となり、キャラランクは最底辺となってしまっている。カンピーの要望に答えられる日はくるのだろうか…
勝利メッセージの掛け合いに対応するキャラは、ジョーカー、影獅子王となる。元々の性格故か、酷い事を言われても気にしない辺りがとても清々しい。影獅子王には間の抜けたトボけた台詞だが、それに真剣に答える影獅子王もそれはそれで逆におかしな絵に見えてくる面白さがある。
『白銀の魔獣』影・獅子王(ジェイク・アボット)
ジパングシティーの闇の世界に君臨する獅子王……が用意した影武者。
見た目の違いとしては本物の獅子王が黄金の鎧を身に纏っているのに対し、影が身に着けているのは銀の鎧。
ボクシングと剣術を組み合わせたイカれたまったく新しい格闘技を駆使する。正確には獅子王が創始した究極の格闘技『獅子王道」なのだが影は実力不足ゆえか名乗ることを許されていない
元々はバーの用心棒を転々としていた男だったが、獅子王の圧倒的な強さに心酔し、恋人も家族も捨てて命じられるままに影武者となった。特技は声帯模写らしいが本物とは全然声が似ていない
影武者といっても獅子王の名を冠しているのは伊達ではなく、有象無象の格闘家とは文字通り桁が違う強さを誇る。前回の獣神武闘会では主人公のハヤテを含む出場者全員を迎え撃ち、これらを全て撃破して事実上の優勝者となった。チュンはギックリ腰のため棄権
数多くの格闘家を打ち倒すうちに影は自分の強さに酔いしれ、同時に「自分は恋人も家族も、過去すらも捨てて仕えているのに結局は本名も名乗ることも許されていない獅子王の操り人形に過ぎない」と憎しみを募らせ、叛逆を決意する。優勝の勢いそのままに真・獅子王へと襲い掛かるが、圧倒的な力によって返り討ちに遭い、与えられていた剣であるソード・オブ・レオを取り上げられるという屈辱を味わう。
その後しばらくして、裏獣神武闘会の開催が声明されると胸の内に燻っていた野望の炎を再び燃え上がらせ、今度こそ真・獅子王を亡き者として雪辱を果たし、自分が真・獅子王に取って代わるために影武者時代の姿とレプリカのソード・オブ・レオを携え、出場を決意するのだった。なお、本物との区別の為か本作では『影』を含んだ名前が正式がキャラ名となっている。
薬物や科学の力を用いて肉体改造をしている真・獅子王に対し、ひたすらトレーニングで身体を鍛え上げて下剋上を狙うというダークヒーロー的な格好良さを持つキャラクターに見えるのだが、元々こういう性格だったのか、はたまた影武者を務めていた獅子王の影響から抜け出せていないのか、とにかく人を人とも思わないような上から目線の傲慢な発言が目立つ。勝利メッセージの対応キャラはゴードン、ゴズウ、メズウ、チュン、ジョーカーと数多いがそのほとんどとは殺伐とした会話が繰り広げられる。特にジョーカーとは今にも殺し合いを始めそうなほどに険悪。
エンディングでは、熾烈な激闘を乗り越え真・獅子王に取って変わった影は玉座に身を預けながら勝利の余韻に浸っていた。有頂天の彼は気が付いていなかった。背後からの気配に……という後味の悪い結末を示唆されるなど、どこまでも報われない不幸なキャラである。
性能では影武者という設定通り真・獅子王の劣化キャラ。前作同様、グラフィックは全て本物のコンパチである。
大柄な体格通り通常技は長めのリーチで牽制向きの技が揃い、連打も効くと中々に高性能。それに対して剣による武器攻撃は発生や判定に癖があり、適当にブンブン振り回すだけでは勝利に届かない。やっぱりレプリカはダメだな。
また、飛び道具の『サイレントストーム』と『ゴッドブレス』は隙が大きく、回り込みで回避されるとそのままフルコンを喰らってしまうなどイマイチな性能。
当て身技の『ナイトメアー』も成功すれば追い打ちも含めてなかなかのダメージが望めるものの、受付時間はそれほど長くなく、おまけに相手との距離が近すぎると成立しないというシビアな技なので確実性がない。
そのため、ヒットすると相手をロックして乱打を浴びせる『ビーストブロー』が頼みの綱になるがこれも突進距離が短く、ガードされると投げなどで反撃が確定してしまう。迂闊にぶっ放すと死が見えるため、立弱A(ジャブ)か立弱B(ミドルキック)を差し込んでそこからのRC>ビーストブローと繋げていくのが定石となる。『アースチョッパー』は長いリーチとダウン追撃属性を兼ね備えるが当たり方によってはダウンせず、追撃も一部のキャラには当てても反撃を受けるので要注意。要約すると、どうにかして相手の隙に小技をねじ込み、そこからのコンビネーションで体力を奪っていくというかなり堅実な戦い方が推奨されるキャラと言える。ただし、RC中の武器攻撃は相手をダウンさせてしまう技もあり、そうなるとコンボが安くなるので安定した高火力コンボを決めるにはRC中のレシピ内容をどうするか頭を捻る必要があるなど、今作のシステムを多少なりとも理解していないとその真価を引き出せないキャラとなっている。
逆転技の『キングストレート』は身体にオーラを溜めて二発殴る技。見た目とは裏腹に飛び道具扱いでリーチはとても長いが、技後の硬直がかなり長いのでガードをされると反撃確定。基本はRCからの連続技専用。
ちなみに影・獅子王は武器を落として素手になると攻撃の発生と有利がバグと見紛うほどのとんでもない性能となり、そのまま永久コンボにご招待することも可能。今からでも遅くない!そのレプリカを捨てるんだ!
対人戦ではリアルファイトに発展しかねないのでほどほどに。
真・獅子王(アックス・イーグル)
突如としてジパングシティーに現れ、瞬く間に闇の世界へ君臨した地上最強の名を冠する闘士。
優勝者へ最高の富と名誉を約束し、『獣神武闘会』を主催した。
本名からもわかる通り、マックス・イーグルの実兄である。
アックスという名前だが使うのは剣。実際に斧を使うのは弟のマックスの方である。そして獅子だけど苗字はイーグル。ややこしいわ!
あらゆる格闘技を習得したうえでそれらを自己流に昇華し、やがてボクシングと剣術を組み合わせた奇っ怪なまったく新しい究極の格闘技『獅子王道』を創始した。
かつてはどこにでもいる一介の格闘家に過ぎなかったがその胸の内で密かに「この世で最強の存在になりたい!すべての人々を自分の前にひれ伏せさせたい!」というあまりにも、あまりにも大きすぎる野望を秘めた男だった。しかし、いかに努力を重ねようとも一人の人間の強さには限界があり、たかが知れていることを悟る。そして、どんな望みを抱いていても権力や財力という力がなければ何一つ叶えることはできないという現実に直面したアックスは絶望。弟のマックスを残し、姿を消す。アックス15歳、マックスは12歳だった。
失踪した後のアックスは富と権力を求めて闇の組織と手を結び、科学の力やドーピングによって自らの肉体を人工的に改造。これによって彼は強大な力を手に入れ、最終的には組織自体を乗っ取るまでになる。
その後も裏社会で暗躍を続け、政府やマスコミも思いのままにするほどの権力と財力を手中に収めた彼はいつの頃からか自らを『獅子王』と名乗るのだった。
前作で獣神武闘会を主催し、自らの影武者が優勝を収めるという結果に終わったが不覚にもその影武者に謀反を起こされてしまう。影・獅子王を打ち倒しこそしたものの、その混乱が原因で敵対組織に付け入る隙を与えてしまい、自身の組織の乗っ取りを許す。やむなくジパングシティーを離れた獅子王だが、しばらくの後に再度の人体改造によってこれまで以上の強大な力を得て帰還する。そして、再びすべての頂点に立つべく『裏獣神武闘会』の開催を宣言するのだった。
前作で真っ赤だった頭髪やマントとグローブは作品のカラーが変わったことに合わせて濃い目の青色となり、暗い雰囲気を漂わせるものとなっている。武器は影・獅子王から奪ったソード・オブ・レオへと変更。また、本作においては中ボスを務めており、ラスボスのポジションはジャズウに譲っている。
アーケードモードでは隠しコマンドを入れることで使用可能。ただし、真・獅子王とジャズウのどちらもタッグを組めず、一人で戦うことになる。
『獅子王道』の創始者、そして自ら地上最強を名乗るだけあり、今作においても非常に高性能な技の数々を備えている。技の構成は影・獅子王とほぼ同一だが性能的には完全上位互換。通常技から何から影より弱い技は一つもないと断言できるほど。
『ビーストブロー』は発生が2Fとなり(影は3F)、突進力もパワーアップしているため長い距離を一瞬でカッ飛んでいく。ガードされても7F有利となにかを間違えたかのような超性能で、GCができないと連発されるだけで延々と固められることになる。加えて影とは違いヒット後に『アースチョッパー』での追撃が可能なために、弱P>弱K>武器攻撃>ビーストブロー>アースチョッパの超お手軽コンボですら4割近いダメージを奪うなど、相手に一瞬の気の緩みも許さない強烈なプレッシャーを与える。当て身技の『ナイトメアー』は投げ無敵が付いて飛び道具以外にはほぼ無敵。また、真・獅子王のみの必殺技として飛び蹴りを繰り出す『ハンターキラー』が使用できるのだが、これまたガードされても隙は皆無のうえ飛び蹴りなので下段技に対して無敵。飛び道具の『ゴッドブレス』と『サイレントストーム』も硬直が減って高性能化。特にゴッドブレスは『サンダーゴッドブレス』となり、剣を投げる前の自身の身体にまで攻撃判定がつくという至れり尽くせりっぷり。
逆転技の『キングストレート』は影のものとは違い、突進がヒットすると相手をロックして乱打を浴びせた後に渾身のストレートを放つものとなっている。もちろん突進をガードされても反撃は入らない。ここだけ聞くと完璧に思えるが、技の終了後は自動で挑発モーションを取ってしまいキャンセルも不可能なため、画面端で当てた後に相手の体力が残っていると反撃を確定でもらったりする困った技。もう一つの逆転技『キングアッパー』は力を溜めたあとでアッパーを三連打する技だが、威力はともかく相手をロックしないので空中でヒットするとカス当たりになり、技後の隙も大きく簡単に回避できる死に技。当然隙だらけなので相手の反撃をモロに喰らってしまう。使いどころを見極めよう。
CPU戦でもこれら高性能な技の数々を自在に操り、まさしく獅子の如き猛攻を仕掛けてくる。こちらの小パンにも敏感に反応するアルゴリズムの凶悪さも相まって、人によっては中ボスのくせにラスボスより強いとも言われるほど。やはり腐ってもジパングシティーの支配者、さすがに格が違った。これらの攻撃をかいくぐって見事に勝利を収めると何者かにソード・オブ・レオを胸に突き立てられるという衝撃的な結末を迎える。スタッフロールの後で自力で引き抜いてたけどね。つーかどうやって生きてた
ジャズウ(邪頭)
真・獅子王を撃破するとその姿を現すこのゲームのラスボス。
要人暗殺や諜報活動といったテロ活動を生業とし、古くから裏の世界で暗躍し続ける忍者集団『邪呀(ジャガ)』の頭領。だが邪呀のメンバーですら存在を知る者は少ない。奇怪な仮面を着けて素顔を隠し、そのプロフィールはほとんどが謎に包まれている。ゴズウやメズウの操る炎や氷、さらには雷といった『邪呀殺法』の全てを使いこなし、その実力も比べ物にならないほどに高い。その他にも妖術のような技を操り、普段はカラスに化けている。
自分の目的を達成するためならば如何なる手段を取ることも躊躇しない人物であり、部下であろうと殺害することに一切の迷いがない。作中では裏獣神武闘会の優勝者によって倒された真・獅子王の不意を突き、ソード・オブ・レオを突き刺してトドメを刺すという非道な行為も平然とやってのけた。
さらにゴズウとメズウのいずれかで勝ち抜くと衝撃の事実が明かされる。なんと、二人の弟である『カズウ』を殺害した張本人は誰であろうジャズウその人であった。ジャズウは自身や邪呀にとっての邪魔者である獅子王を暗殺するためにカズウを惨殺して獅子王の仕業に偽装、『同族の死は血の恨みとして晴らす』という邪呀の掟と共にゴズウとメズウの兄弟に獅子王への殺意を抱かせて刺客となるように仕向け、自身はひたすら獅子王が隙を見せるのを待っていたのだった。
障害であった獅子王を始末した後は勝ち残った者たちを「手間を省いてくれた礼」と称して死を与えるべく戦いを挑む。
ゴズウとメズウの場合は二人に真実を明かした後に用済みとして始末するため襲い掛かる。
ブーメラン空手などの突飛なシロモノこそあれど、基本的には現実の延長線上にある未来を描いていたはずの風雲世界に突如として現れた人外めいた雰囲気を放つキャラクター。「ククク……おわり!ジゴク!いけ!」などの奇妙な片言はともかくとして、真・獅子王の宮殿を謎の妖術のような技で禍々しい風景に変えたり、挙句の果てにはカラスに変身して飛び回ったりと、本当に人間なのかアンタと突っ込みたくなるほど。同社の戦国伝承やサムライスピリッツの世界にいてもまったく違和感がなさそうである。他社の格闘ゲームだとヴァンパイアとかに交じってても普通に馴染んでそう
原色が多めの濃い明るい世界観だった前作と比べて渋い雰囲気となった本作では若干浮いた存在感を放っているものの、ラスボスとしての圧倒的な強さはプレイヤーに強烈な印象を与えることに成功した模様で、マイナーキャラながら本作の9年後に稼働した『THE KING OF FIGHTERS XI』ではショー・疾風と共に隠しキャラとして抜擢されるという快挙を成し遂げている。ちなみに『邪頭』という漢字表記が判明したのはKOFから。それまではカタカナ表記だった。
性能面では真・獅子王と双璧をなすこのゲームの最強キャラの一角。同じ邪呀であるゴズウやメズウと似たモーションや技を持つがその性能は桁違いに高い。ついでに威力こそ低下しているがゴズウとメズウそれぞれの逆転技を『陽炎拳』『陽炎脚』として通常の必殺技枠で使用できるなど、頭領の名は伊達ではないことを見せてくれる。真・獅子王と同様にタッグを組むことができず、一人での戦いとなるがそれを補って余りあるほどの強さを持つ。
歩きの速度が全キャラ中ぶっちぎりのトップであり、忍者らしく三角飛びも備えているなど機動力では他の追随を許さない。あまりに早いので扱いに慣れていないと持て余すこともしばしば。また、地味に投げ間合いが広く、威力も高いので近づくだけで相手にプレッシャーを与えられる。通常技ではしゃがみながら武器で突きを繰り出す遠2Cが強力無比。リーチが長く、硬直が短く、ブンブン振り回すだけで牽制となり、ガードされても7F有利、当たればそこからRCや『轟天』に繋いでお手軽にゴッソリと体力を奪う。ジャズウの機動力で逃げ回りながらこれを繰り返されると鈍重なキャラでは追いつくことすら困難。イーグルなんかは徹底されるとイジメに近い光景が繰り広げられる。他にも暴れとして優秀で連打していれば自動的に陽炎脚が発生する2Bなども高性能。相手の位置をサーチして頭上に三本の氷柱を落とす『邪氷魔』は技後すぐに動けて氷柱との同時攻撃が可能であり、氷柱は中段判定なのでしゃがみ攻撃と組み合わせるとガード不能連携になるなど極悪そのもの。早めに出せば対空にもなる。『無道水流波』はメズウと同名の飛び道具だが発生も弾のスピードも速くなっており、ダウン追撃もできるのでコンボの締めに役立つ。ヒットした後は相手の復帰よりも早く動けるようになるため、再び邪氷魔からの攻めに持ち込めば相手を延々と攻め続けることができる。
他の飛び道具である『三日月』と『豪炎弾』もそれぞれオリジナルから性能が向上しており、特に三日月はガードさせても有利なので強力。当て身技の『背水叫喚殺』は真・獅子王のナイトメアーとほぼ同性能。腕の部分しか当て身判定がないが強制ダウンを奪い、なおかつ長い無敵時間を持っている。
逆転技の『邪呀絶命柱』は自身の前後に火柱を三本立てる技だが一度でもガードされると残りの火柱の判定が消失するというなんとも微妙な技。ジャズウは三本目の火柱が出た直後に動けるようになる。ヒットすれば判定は消えないので、相手がこの技の特性を知らなければ稀に二回ヒットしたりする。また、画面内に他の飛び道具があっても出すことができるため、弾幕を張りつつ火柱をガードさせてそのまま近づくという戦法も可能。威力自体は極めて高いので当たったらラッキーくらいに思っておこう。
CPU戦ではラスボスらしく真・獅子王同様の凶悪なアルゴリズムでプレイヤーを殺しにかかってくる。だが、CPUのジャズウは性能をフルに生かすことはなく、ガード不能連携なども使ってこない。さらに時折陽炎脚などの攻撃範囲こそ広いが避けられると隙も大きい技を唐突にぶっ放すことも多いため、人によってはあまり飛び道具を撃たずにひたすら接近してインファイトを挑んでくる真・獅子王の方が強く感じることも。とは言っても縦横無尽にステージを飛び回って多彩な技をバラ蒔き、なおかつこちらの弱攻撃を正確に当て身技で受け止めるなどCPU特有の反応速度をまざまざと見せつけてくるため、決して弱いというわけではないので心して挑もう。というか性能をフルに生かされたらTASさんでもない限り勝てなさそうだし
見事倒すことができれば感動のエンディングを迎える。
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『ALL ABOUT SNK対戦格闘ゲーム1991-2000』での風雲シリーズ紹介ページの扉絵はHIROAKI氏による本誌のみの描き下ろしであり、他の媒体では見られないレアなイラスト。
関連項目
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