朝鮮人民軍とは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍隊である。
概要
朝鮮労働党の規約によれば、この軍隊は「朝鮮労働党の革命的武装勢力」であり「すべての軍事生活活動を党の領導の下に行う」とされている。このことから、朝鮮人民軍の立場はアメリカのような「国家の軍隊」ではなく「党の軍隊」となっている。
朝鮮人民軍は陸軍・海軍・空軍・戦略軍・特殊作戦軍から構成されている。
旧式装備を数多く装備していることで知られているが、2010年を境に通常兵器を中心に新型装備が数多く登場しているため、決して新兵器の導入を諦めているわけではないようだ。
また、弾道ミサイルは(大型多連装ロケット砲を含む)短距離のものから大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射型弾道ミサイルなどが登場しているが、発射試験も相当な頻度で実施されており、すでに核弾頭を搭載する能力を得たと評価されている。
核兵器についても2006年から継続して核実験を実施しており、2017年9月には「水爆実験」を実施したこと北朝鮮自ら公表している。回を重ねるごとに爆発力が大きくなっていることから、核兵器についても技術的進歩があるものと考えられている。
兵力は総数128万(うち、陸軍110万)であるが、予備役や社会安全軍(かつての内務軍)、労農赤衛軍を代表とする民間の軍事組織などを考慮すると500万以上にまで膨れ上がる可能性がある。
朝鮮人民軍の実態については、北朝鮮特有の閉鎖性や情報不足で詳細なことは判明していないが、近年の軍事演習や軍事パレードなどの情報公開や衛星画像による分析が進んでいるため、金正日時代と比較するとかなりの割合で把握できる事柄が増加した。
以下に書くことは、その大半が米国や日本・韓国などの政府やシンクタンクによる資料や北朝鮮軍事ウォッチャーによる推測・考察によるものである。ただし、記事の特性上、どうしても推測が多くなってしまうことはご容赦願いたい。
近年の朝鮮人民軍について
前述のとおり、朝鮮戦争当時の装備が現役であったり、中には第二次世界大戦で使われた兵器でさえ現役であることも珍しくない(例:ZiS-3対戦車砲やML-20榴弾砲など)。これらの旧式兵器の整備状況については不明であるが、近年の演習で射撃している様子が公開されていることから、少なくとも必要最小限の整備はなされているようだ。このような旧式兵器が米韓軍相手にどれほど使い物になるかは不明だが、これらの兵器の使用に関する熟練度や地下トンネルなどの整備された陣地、新しい兵器と組み合わせて運用した場合は一定の脅威になると思われる(シリアやリビア内戦では旧式装備も多く投入されているが、ある程度の効果を上げているので環境や使い方によって効果が生じる場合がある)。また、旧式といえども保有し続けることによって、数字上では米韓に対する優位性を維持し続けるという効果もある。
冷戦期に導入された兵器は無改修のものが大部分を占めていると思われるが、一定の主力増備についてはある程度の独自改修を施している。また、これも前述のとおり通常兵器でも新型装備が登場してきているため、「旧式装備だらけの骨董品しか保有していない軍隊」から脱却しつつあるようだ。
かつての同盟国ソ連や、同じく現在も同盟関係である中華人民共和国から兵器を購入したり供与を受けることはあったが、冷戦終結後や核問題の勃発後は国連による制裁措置や慢性的な外貨不足といった経済的苦境により新型装備の大々的な導入は行われていない(最後に大規模に兵器を導入したのはカザフスタンから約40機のMiG-21bisを密輸した1999年。2011年には中国からICBM用自走発射機に用いるWS51200トラック4台を密輸。)。
2020年現在でも国連の制裁措置をすり抜けて武器の売買を継続しているようだが、北朝鮮側で諸外国から新型装備を入手したという情報は把握されていない(ただし、2013年にはキューバからMig-21や地対空ミサイルの密輸を試みて失敗した事例もあるため、実際は外国から装備の入手に成功したケースが存在することも否定できない)
ただでさえ財政難や国家的システム上の弊害(例:硬直した組織性や現実離れした命令、汚職、物資の横流し、いじめ問題など)、慢性的な食糧・燃料不足のおかげで、はたしてこの軍隊はまともに戦えるのかと極めて疑問視されているが、最近では自然災害やCOVID-19に関する社会情勢の悪化などで、その懸念は現在ではいっそう増大しつつある。(新装備の登場・普及=戦える・強い ということにはならない)
ただし、2020年前半の時点までは軍事演習を頻繁に行っている状況を踏まえると、一定の戦闘能力を維持しているものと思われる。
朝鮮人民軍の装備の変遷
1948年の建国当時には北朝鮮に遺棄された旧大日本帝国陸海軍の装備を保有していたようだが、大量に供与されたソ連製武器に更新される形で朝鮮戦争開戦前に退役するか、朝鮮戦争中に喪失したものと思われる。(仮に残存した場合でも、補給や整備の問題から早い段階で退役したとみるのが妥当であろう)
朝鮮戦争ではソ連や中国から供与された大量の兵器で武装し戦った。またPPsh-41等の一部銃火器は、朝鮮戦争前から北朝鮮でのライセンス生産が始まった。
朝鮮戦争時に米軍などの外国製装備を鹵獲したようだが、これもごく一部を除いて現役にはないようだ。(2013年の軍事パレードでは朝鮮少年団がM3短機関銃を持って行進したほか、近年に放送されたテレビドラマでは、M1ガーランド、M1カービン、M1919重機関銃を撃つアメリカ兵役の朝鮮人俳優が登場している)
朝鮮戦争終結後は国内産業の復興をしつつ、1960年代初頭までには歩兵の基本装備や対空砲、榴弾砲の国産化(ライセンス生産)を達成した。しかし、戦車や装甲車、レーダーやミサイル等の重装備や最新兵器はソ連や中国からの供与に頼り切りであった。
ソ連とは1956年のフルシチョフによるスターリン批判以降は関係が悪化しており、いつ装備の供与が打ち切られてもおかしくない状況であった。事実、1962年にソ連はイデオロギーの違いを理由に北朝鮮への軍事・経済的援助の打ち切りを宣言。幸い64年には両国の関係は改善されるも、兵器の供給体制は安定には程遠いものであった。
62年の事件を受け、金日成は1962年12月10日の朝鮮労働党中央委員会第4期5次全員会議にて、「全人民の武装化」「全国土の要塞化」「全軍幹部化」「全軍現代化」の4つのスローガンを元にする「四大軍事路線」を策定する。
このうち前者2つはそのままの意味であり、「全軍幹部化」は全兵士が指揮官並の能力を持つこと(つまり有事の際は予備役や一般人から徴兵された兵士を率いる指揮官の役を果たすこと)を意味する。
最後の「全軍現代化」は自国の経済力のみで必要な兵器を生産して軍を近代化させることを意味し、事実上の国産兵器開発令であった。そしてこの四大軍事路線を機に、北朝鮮の兵器開発が本格化することとなる。
1970年代頃より兵器開発の効果が現れ始め、1973年には中国製63式装甲兵員輸送車の独自発展型であるVTT-323、1976年にはT-62のライセンス生産型である天馬号戦車の配備が開始される。さらに歩兵装備もAKMのライセンス生産型である68式小銃や、RPG-7のライセンス生産型である7号発射管の生産が行われるなど、70年代末期までには多くの装備の自国生産化を完了させた。
続く80年代から90年代初頭にはコピーやライセンス生産が殆どだった自国兵器を独自に改良・発展させた装備が開発・配備されることとなった。
また同時期にソ連との関係が良好化したことで、空軍を中心に近代兵器を導入。スカッドミサイルも試験的に導入し、北朝鮮独自の弾道ミサイル開発の鏑矢になったとされる。
この時期に改革開放政策を推し進める中国と決別したとされ、以後中国製兵器が公的に輸入された事実は確認されていない。
90年代半ばからはソ連崩壊とそれに伴う国内経済の崩壊、いわゆる苦難の行軍によって軍に割ける国力が大きく削がれる。さらに残った国力も弾道ミサイルと核爆弾の開発に割かれたため、軍の近代化が事実上停止することになる。
しかし2000年代後半からは国力がある程度回復した事により、軍の近代化が再開される。
以前は既存兵器のコピーや独自改良が中心だったのに対し、今度は設計を自国で行ったとされる兵器が開発されることとなる。
特に正恩体制が発足した2010年代からは兵器開発が加速し、2010年代後半には大陸間弾道ミサイルのみならず、新型戦車に新型小銃、戦略型潜水艦、ミサイルコルベットなどの通常兵器も新型が開発されることになる。
兵力
朝鮮人民軍(北朝鮮) | 韓国軍(韓国) | 自衛隊(日本) | |
総兵力 | 約128万人 | 約60万人 | 約23万人 |
予備役 | 約762万人 | 約310万人 | 約0.9万人 |
陸上兵員 | 約110万人 | 約46万人 | 約15万人(定数) |
海上兵員 | 約6万人 | 約7万人 | 約4.5万人(定数) |
航空兵員 | 約11万人 | 約6.5万人 | 約4.7万人(定数) |
戦車 | 約3500両 | 約2220両 | 約570両 |
主要艦艇 | 約6隻 | 約23隻 | 約66隻 |
空母 ※ヘリ空母は除外 |
0隻 | 0隻 | 0隻 |
潜水艦 | 25隻 | 17隻 | 22隻 |
作戦機 | 550機 | 640機 | 370機 |
第4世代戦闘機 | 約18機 | 約245機 | 約290機 |
陸軍
朝鮮人民軍の中核を構成している。110万の巨大兵力を抱えており、少なくとも10個以上の軍団を有している。部隊の大半は南北の非武装地帯(DMZ)周辺に集中して配備されている。
朝鮮戦争時は米軍が上陸するまで韓国軍を圧倒、一時は釜山まで追い詰めた。
この実績を重視しているためか、近年まで縦深攻撃理論に基づいた電撃戦による早期決着を作戦計画として採用し続けていた。(現在は核戦力等の抑止力を使って戦争を回避するよう政府が動いているため、朝鮮人民軍に求められる役割も変わっているのではないかと推測されている)
また米国や韓国、日本と言った敵軍の作戦行動を妨害・遅滞させる目的でゲリラ戦にも力を入れており、そのため多種多様な特殊部隊を有する。
韓国国防部は朝鮮人民軍陸軍の主要装備について、戦車4,300両、装甲車両2,500両、各種大砲8,600門、多連装ロケット砲5,500門と報告しているが、その大半は冷戦時代にソ連や中国から導入したり自国で生産した旧式装備が占めていると思われる。ただし、前述のとおり装備の近代化改修や新型の導入が進んでいるようだ。
ソ連式の軍隊を参考にしたためか火砲や多連装ロケット砲の数が圧倒的に多いのが特徴であり、装甲車などをベースにした自走化もなされている(ただし、近年に世界各国で流行している装輪式の自走砲は未確認である)
特に「コクサン」自走砲や240mm多連装ロケット砲はカタログスペック上ではDMZ周辺地帯から発射するとソウル周辺に着弾するとも言われており、一定の脅威となっている。2010年代に入ってからは射程が大幅に延長され、誘導能力を付与された300mm多連装ロケット砲「KN-09」などが配備されたため、その脅威度は大幅に増加している。
また後述する空軍が旧式化著しく、制空権の確保が望めないことから、各車両に携行式地対空ミサイルを装備するなど、防空に力を入れているのも特徴。
一方で兵士の体格問題や規律の乱れ、汚職の蔓延、訓練不足、整備不良などの目に見えない所での軍の弱体化が指摘されており、有事の際は戦前の予想通りの戦闘力を発揮できるかが疑問視されている。
特に近年問題となっているのが、若い男性の減少である。苦難の行軍以降、1980年代から指摘された栄養不足による国民の貧弱な体格問題が一層深刻になっており、さらに出生率の低下や乳幼児死亡率の増加によって、兵士に適した体格を持つ若い男性が不足している。
朝鮮人民軍は男子の徴兵検査基準を撤廃し、女子も徴兵するなどして兵士数を維持しているものの、結婚適齢期の男女を数年以上軍に拘束して除隊後の保障すら無い状況では、出生率の低下を更に招き将来ますます兵士数が減る事が必至となっている。
陸軍の主要な装備
戦車
- T-34
ソ連が開発した傑作中戦車。
北朝鮮では朝鮮戦争開戦時に200両ほどのT-34を保有し、本車を用いた電撃戦によって韓国軍を釜山に追い詰めた。
現在では訓練用および海岸防衛用の移動トーチカとして極少数が現役である。現役車も転輪をT-54/55のものに換装するなど、予備部品の枯渇が伺える。 - T-54/55
ソ連が初めて開発したMBT。55は54にNBC環境下での作戦能力を付与したもの。
オリジナルと異なり、砲塔上にKPV 14.5mm重機関銃が装備されている。 - 59式戦車
T-54の中国ライセンス生産型で、砲塔上にKPV重機関銃が装備されている。 - T-62
ソ連から導入もしくはライセンス生産したもので、砲塔の機銃はT-55と同様にKPV重機関銃に換装。 - 天馬号
T-62を国産化した戦車であり、多数の派生型が存在している。
特に最終型の天馬-216は車体の一部にT-72の要素を取り入れて延長されており、砲塔も角張ったものに変更されている。また、2017年から新型のレーザー検出装置や対戦車ミサイル、携帯式地対空ミサイル、自動擲弾銃を装備した天馬-216が登場している - 先軍号
上記の天馬-216をベースにT-72の要素をさらに強めた新型戦車で、2010年10月のパレードで初登場した。
125mm砲を装備しているが、基本的な射撃システムはT-62と酷似しているようだ。2012年からは砲塔前面と上部に爆発反応装甲が装着されたものが登場し、2018年2月には天馬-216と同様に対戦車ミサイル、携帯式地対空ミサイル、自動擲弾銃が装備された派生型が登場した。ただし、レーザー検出装置は旧式のままである - M-2020
2020年10月に登場した新型戦車で、米国のM1やロシアのT-14戦車を彷彿させる姿をしている。
照準システムは西側の戦車に酷似したものとなっており、既存の戦車とは一線を画している。北朝鮮の公式メディアでは「試作」と表記しているため、形状が変更される可能性がある - PT-76
ソ連製の水陸両用戦車。若い頃の金正恩総書記が運転したことで知られている - PT-85「新興」
PT-76を参考に開発された国産の水陸両用戦車。米国資料ではM-1985と呼称される。
車体はVTT-323のものに転輪一組を追加した延長車体、砲塔はPT-76に酷似した85mm搭載型を使用している。また9M13 マリュートカ対戦車ミサイルや、T-62もしくは天馬号から流用した赤外線投光機を装備している。
現在では9M13を撤去し、代わりに携帯式対空ミサイルや発煙弾発射機を装備するという小改良が行われている。また後述する駿馬D歩兵戦闘車の開発母体になったとされる。 - 62式軽戦車
中国が59式戦車を元に開発した軽戦車。
主に山岳等の戦車運用に適さない地形での使用を考慮され、車体が小型化されている。
北朝鮮に導入された事は確実であるが近年では全く姿を見せていないことから、予備部品の枯渇等の理由で退役したのではないかと考えられている。
装甲車・歩兵戦闘車
- BTR-152、BTR-50、BMP-1
ソ連が開発した装甲車両。
一部資料にて北朝鮮が導入したとされるが、目撃例が全く無いため事実かどうか不明。 - BTR-40
ソ連が50年代に開発した4輪装甲兵員輸送車。
60年代の時点で既に旧式化しており、多数の衛星国に供与された。北朝鮮にも恐らく60~70年代に供与されたと思われる。
北朝鮮では現役であり、VTT-323やM-2010などを保有する現状、単なる装甲車として使われていると思われる。 - BTR-60PB
ソ連が開発したBTR-60装甲兵員輸送車の最多生産型。機関銃用の砲塔を装備したことで、NBC環境下での作戦能力を完全に獲得した。
北朝鮮では60年代後半より導入されたとされるが、数は少なくメディア露出もあまり無い。 - BTR-80A
2001年頃にロシアから供与された歩兵戦闘車。30mm機関砲を装備 - M-2010
BTR-80を模した国産の装甲兵員輸送車で、後述する駿馬Dと同じ砲塔を装備。6輪型と8輪型がある。2018年には6輪型にSpike-NLOSに似た対戦車ミサイル発射機を搭載した派生型が登場した - 63式装甲歩兵輸送車
中国が開発した初の国産装甲兵員輸送車。
北朝鮮が導入した事は確実だが数は不明。ただし本車が朝鮮人民軍に与えた影響は大きいようで、後述するVTT-323やM-2009 駿馬Dのような独自発展形が開発・配備されている。 - VTT-323
中国の63式装甲兵員輸送車をベースに独自に国産化したもの。米国資料ではM-1973と呼称される。
KPV重機関銃を連装で装備した砲塔も備えるなど、やや歩兵戦闘車寄りの設計がなされている。
使い勝手が良いせいか、自走砲などのベース車として多用されており、派生型も多数存在する。 - M-2009 駿馬(チュンマ)D
前述したPT-85の車体を基に開発した歩兵戦闘車。
VTT-323との違いは、車体の延長による輸送能力の強化、赤外線投光器と発煙弾発射機の装備、砲塔に7.62mm同軸機銃の追加、ウォータージェットによる水上走行能力の獲得などが挙げられる。携帯式対空ミサイルの装備は確認できるが、対戦車ミサイルの装備は確認されていない。
車体後部にエンジンが納められていることから、後部兵員室へは上面ハッチを介して出入りする。兵員は6~8名が輸送可能。
戦車用に開発された車体を利用しているためエンジンが車体後方にあるなど、兵員輸送車には不向きな設計である。そのため装備を充実させることで、VTT-323が有していた歩兵戦闘車としての性格を強めている。 - M1992
北朝鮮が独自開発した4輪装甲車もしくは装甲兵員輸送車。デザインはソ連のBRDM-2の影響を受けたとされる。
装甲車なら3~4名の乗員、装甲兵員輸送車なら追加で8名の兵員を輸送可能
バリエーションも豊富で、後部に9K111ファゴット対戦車ミサイルや、107mmロケット弾24連装発射機などを載せた型も確認できる。
メディア出演がかなり少なく、前述の曖昧な車種区分も情報不足が原因。
非装甲車両
- 勝利415
ソ連製UAZ-469のコピーあるいはライセンス生産型。
北朝鮮ではオリジナルのUAZ-469ともども使用されている。
415は金日成の誕生日にちなむ。 - 勝利58
ソ連製GAZ-51 2.5tトラックのライセンス生産型。
多数の用途に用いられる。
自走砲
- M-1991
122mm砲を装備した自走榴弾砲。北朝鮮にしては珍しく密閉式の砲塔を備えている。2017年には自動擲弾銃と発煙弾発射機、携帯式地対空ミサイルを追加した改良型(長砲身型)が登場した。 - M-1974
152mm砲を装備した自走榴弾砲。北朝鮮では一般的なオープントップ式で近代的な照準装置は備えていない。この車両などは「トクチョン」と呼ばれる牽引車ベースの車体を使用している。 - M-2018
2018年9月に登場した新型自走榴弾砲。西側の現用自走砲と遜色ない外観であり、車体は先軍号戦車をベースにしている。主砲の口径は152mmであるが、新型と推定される。 - 各種多連装ロケット砲
122mm砲、240mm砲、300mmなど種類が豊富であり、近年では北朝鮮は誘導能力をもった弾頭を開発することに成功したようだ。
台車は多種多様であり、日本製や中国製の民生用トラック、チェコスロバキアのRM-70やそれに準じた国産と思しき発射車両もある。 - コクサン
170mm砲を装備した自走砲。主体砲とも呼ばれる。
「M-1979」と「M-1989」の2種類が存在する。前者は59式戦車の車体を、後者はT-62あるいは天馬号の車体を使用している。
170mm砲のルーツは謎が多く、一説ではソ連経由で送られて来たドイツ製「17cm Kanone 18」をベースに開発されたのでは無いかと考えられている。 - M-2020自走砲
米国のストライカーMGSに酷似した自走砲でソ連製の「D-30」122mm砲を装備しているとみられる。車体はM-2010などのBTR系をベースにしていると見られるが、エンジンは車体中央にあるようだ。
対空装備
- 携帯式地対空ミサイル
SA-7やSA-16、SA-16を国産化したHT-16PGJがある。 - ZPU-4
4連装の14.5mm機関砲。2000年代からは6銃身のガトリング式機関砲も登場している。 - 9K35/SA-13
自走式の近距離地対空ミサイル。2012年に保有が確認された、近年では専用のミサイルが枯渇したせいか、携帯式地対空ミサイル「SA-16またはHT-16PGJ」に換装された車両が登場している。 - M-1992
自走式対空自走砲。旧ソ連のシルカをベースにしているが、砲を艦載用のAK-230連装高射機関砲に変更している。
対戦車装備
銃火器
- 58式小銃
AK-47のライセンス生産型。
現在は後述する68式小銃や88式小銃への置き換えが進み、労農赤衛隊の主力装備となっている模様。 - 68式小銃
AKMのライセンス生産型。 - 88式小銃
AK-74のライセンス生産型。現在の北朝鮮陸軍の主力小銃。
ストックは固定式・折たたみ式の2種類で、後者はさらに横にたたむ方式と上にたたむ方式の2種がある。グリップをAK-12のように人工工学を考慮したデザインに変更したり、ヘリカルマガジン装備型等の独自改良型の開発・生産が行われている。また、弾倉もAK-74Mと同様の形状をしたものも登場している。 - 複合小銃
2017年4月に突如登場した韓国のK-11に酷似した新装備。小銃部分は88式で構成されているようだ。
2018年2月には、グリップを上記のような新型に変更したものが登場。 - 擲弾小銃
2021年1月に登場したXM-25的な新装備であるが、詳細は不明。 - 73式軽機関銃
北朝鮮が独自開発した軽機関銃。ソ連製のPK機関銃の影響を受けているとされる。
九九式軽機関銃のような箱型弾倉が特徴的だが、ベルト給弾も可能。 - 68式軽機関銃
ソ連のPK(M)機関銃をコピーまたはライセンス生産・独自改良したものと思われる。2001年の工作船事件で海中から引き上げられたことで有名。なぜか82式と呼称されるが、実際は68式のようだ。 - KPV重機関銃
14.5mm口径の重機関銃。
北朝鮮軍内では非常に多用されている。 - 68式拳銃
トカレフTT-33の独自改良型。
鹵獲された一部個体には66年製の刻印がされていることから、韓国国内では66式とも呼ばれる。 - 白頭山拳銃
チェコ・スロヴァキア製Cz.75のコピー品。
将校への下賜用に少数生産されたとも、旧式化した68式拳銃の後継として大量生産されたとも言われている。
このほかにも多数の自走砲や火砲、歩兵用装備などが数多く存在するが、紹介しきれないため割愛する。
海軍
いわゆる沿岸海軍であり、外洋での作戦能力はほぼ皆無である。そのため、地上及び特殊部隊の支援や沿岸防衛を主任務としている。国土の特性上、海軍は東海艦隊と西海艦隊に二分されており、完全に独立している。
いずれもナジン級フリゲートを旗艦としているとみられ(ただし、東海艦隊はアムノク級のコルベットに変更された可能性がある)、潜水艦は主に沿岸潜水艦であり、工作員浸透用の潜水艦の数も多い。
韓国国防部によれば、海軍は水上戦闘艦艇430隻、潜水艦艇70隻、上陸艦艇250隻、支援艦艇40隻を保有しているが、いずれも小型かつ旧式であり、主に前述の主任務を中心としている様子には変わりないようだ。
ただし、北朝鮮自身は艦船の旧式化を放置しているわけではなく、ゆっくりではあるが新型艦の建造と配備を進めている。
- 2010年代頃からロシアのKh-35をベースに独自改良をくわえた対艦ミサイル「金星-3」を開発しており、新型艦に搭載(ただし、1隻のナジン級を除く従来のP-15/SY-1搭載艦には装備されていないようだ)また、このミサイルを先軍号戦車の車体に搭載した地対艦型も登場している。
- AK-230 30mm高射機関砲を6銃身のガトリング形式に改修したものを搭載
- ZPU-4 14.5mm高射機関砲をガトリング形式とした新型に変更
こちらはかなりの頻度で普及しているようだ。 - 76mm自動式艦載砲の導入
自衛隊も装備しているイタリアのオットー・メララ社の76mm砲と同一であり、密輸したのか国産したのかは不明であるが、一部の艦艇に搭載されている砲のシールド部がやや角張っているものがある。ただし、最新型のアムノク級及びトゥマン級コルベットには旧式の手動式100mm砲が装備されているため、数が極めて限られているようだ。 - 携帯式地対空ミサイル発射機の搭載
2012年頃からその存在が知られるようになった。6連装の手動式で射程距離も短いが、今まで専用の艦対空ミサイル発射装置を持たなかったことを考えると大きな進歩である。より簡易な2連装の発射機もある。 - 新型対空・対水上レーダーの導入
ノンオ級ミサイル艇やトゥマン/アムノク級コルベットには中国の362型と思しきレーダーが搭載されている。これは中国の022型ミサイル艇が装備しているものと同型であり、今までの主力レーダーであった1950年代に開発された「スリム・ネット」や「ポット・ヘッド」と比較するとその性能は格段に向上している。導入時期は不明であるが、ノンオ級が2004年頃にはすでに進水していることを踏まえると、核実験による国連の制裁強化前に中国から入手した可能性がある。
主要な艦艇
フリゲート・コルベット
- ナジン級フリゲート
1970年代に2隻が建造されており、東海艦隊の艦は2016年夏以降に北東部の羅先港に係留されたままである。西海艦隊の艦は2014年頃に「金星-3」対艦ミサイルやレーダーを換装や携帯式地対空ミサイル発射機や魚雷発射管の搭載などの改修を受け、現役にとどまっている。 - ソホ級フリゲート
1980年代に建造された双胴船型のフリゲート。後部にヘリ甲板を備える。
何かしらの欠陥があったらしく、運用はほぼ確認できず、メディア露出も非常に少なかった。
2009年頃に退役・解体されたと見られる。 - アムノク級コルベット
少なくとも2011年頃から建造がスタートした最新のコルベットであり、東西両艦隊で各1隻ずつ建造。
新型の「金星-3」対艦ミサイルを装備している。
東海艦隊の艦は2017年夏頃に東海艦隊司令部がある楽園基地に配備された。この基地からナジン級が消えたことを考慮すると、この船が東海艦隊の旗艦となった可能性がある。西海艦隊の船は完成したように見えるが、依然として造船所で放置されている。 - トゥマン級コルベット
2012年頃から建造がスタートした最新のコルベットであるが、当初は富裕層が持つ豪華なヨットのような形状でヘリ甲板と対潜ロケット弾発射機しか装備していなかった。これも東西両艦隊で1隻ずつ建造。
2013年頃には完成したように見えたが、2014年頃からヘリ甲板や艦橋の一部を撤去してアムノク級に似た形状となった。2021年7月現在は完成したように見えるが、いずれも造船所で放置されている。 - トラル(Fugas)級コルベット
ソ連が1930年代に建造したProject 53型掃海艇。1953年に2隻が北朝鮮へ供与された際に現在の名前に変更された。
時期によって武装が異なると思われるが、現在ではT-55の主砲を流用した100mm砲と、戦車砲をベースに独自開発した85mm砲(PT-85の砲塔に酷似しているが別物)を主武装としている。
現在も1隻が就役中であり、艦歴が80年を超えると考えられる。 - サリウォン級コルベット
トラル級をベースに北朝鮮独自で建造したコルベット。
1966年から計5隻が建造された。武装はトラル級に準じているとされるが、一部の艦は独自に37mm機関砲を装備するなどの差異が見られる。
改良を受けながら就役中。
駆潜艇・哨戒艇
ミサイル艇
- ノンオ級ミサイル艇
2000年代に登場した表面効果船または双胴船式の高速ミサイル艇で76mm自動式艦載砲のほか、金星-3型対艦ミサイルや改良型AK-230機関砲、携帯式地対空ミサイル発射機を装備している。
北朝鮮にしては珍しく捜索レーダーや火器管制レーダが充実したミサイル艇である。派生型が数種類存在し、全てが西海艦隊に配備。 - ヘサム級ミサイル艇
2000年代に入ってから登場したもので、ノンオ級と異なりステルス性を意識した形状となっている。装備はほぼノンオ級と同一であるが、対艦ミサイルの発射台は通常時は水平に折り畳まれる。A型とB型が1隻ずつ東海艦隊に配備されている。
A型は2015年に「金星-3」対艦ミサイルを発射した新型艦として知られている。ただし、いずれも捜索レーダーや火器管制レーダーを欠いている。
B型はA型をやや大型化して対艦ミサイルを船体に格納できるようにしたタイプ。こちらはA型と異なって主砲として76mm自動式艦載砲を装備。 - 40m級ミサイル艇
2015年頃から建造されたもので、2017年には東海艦隊に配備。「金星-3」が主武装。 - ナルチ級VSV
いわゆる極細艇。2010年代頃に登場した、既存の魚雷艇や工作船の技術を活用した新型の超高速魚雷艇。
大きさや形状などさまざまな種類が存在しており、30m級は魚雷以外にも改良型AK-230機関砲や107mm多連装ロケット砲、簡易型の携帯式地対空ミサイル発射機を装備している。VSVは東西両艦隊で建造・配備されている。
潜水艦
- ゴレ級戦略潜水艦
いわゆるシンポ級で2014年に進水。「北極製-1」SLBMの発射艦。1隻のみ建造。 - ロメオ級潜水艦
ソ連が50年代後半に開発した通常動力型潜水艦。
北朝鮮では1973年に中国から2隻を導入後、1976年から95年にかけて24隻を建造し、主力潜水艦として現在も就役中。
最近では少なくとも1隻がSLBM潜水艦に改修されている。 - ウィスキー級潜水艦
ソ連が49年末に開発した通常動力型潜水艦。
かなりの旧式であるが、一応は現役にとどまっているようだ。 - ユーゴ級潜水艇
北朝鮮が独自開発した小型潜水艇。排水量は100トン前後。
魚雷発射管を持たないことから、工作員の輸送・回収用と考えられている。 - サンオ級潜水艦
北朝鮮が開発した小型潜水艦。排水量は250トン程。
大型化によって魚雷発射管を2~4門装備し、トイレやベッドも備えられたことである程度の作戦行動が可能となっている。ただし予備魚雷は無く、水中で工作員を放出するハッチの追加や自爆装置の装備など、前級のユーゴ級同様に工作員の輸送・回収が主任務として設計されている。 - ヨノ級水艇
小型潜水艦。2010年3月に韓国の哨戒艦「天安」を沈めたとされている。ヨノ級と同一の艦かは不明だが、酷似した潜水艦として、サーマル視察装置など高度な機器を装備した輸出用潜水艦「MS-29」が存在しており、イランがガディール級として生産している。
その他装備
- K-61水陸両用貨物車
ソ連が1950年代初頭に開発した装軌式水陸両用車。
最大3t(乾燥重量、つまりガソリン等の装備を除いた場合は5t)の積載が可能で、完全武装した兵士60名を輸送可能。
北朝鮮ではソ連から輸入された本車の他、VTT-323などの部品を流用したり転輪を増やすなどの独自改良型も国内で生産した。
恐らく海軍所属の上陸作戦部隊である海軍狙撃旅団に配備されていると思われる。
このほか、P-4やP-6などの魚雷艇やコマール級などのミサイル艇、チョンジン級級哨戒艇、チャホ級火力支援艇、ハンテ級揚陸艦、コンバン級ホバークラフトなどの支援艦が多数存在するが、紹介しきれないので割愛する。
空軍
正式名称は「航空軍及び反航空軍」であり、地対空ミサイルも運用している。
北朝鮮が保有する最新の戦闘機はMiG-29で、MiG-23も運用していることから一定の脅威にはなっているが、数の上での主力はMiG-21、MiG-17と言った旧式機が占めている。
国連による制裁などで新型機を導入できないため、密輸や部品の国産化を図って機体の維持に苦心しているようだ。
かつてはIL-10、Yak-6、Mig-15を基にした国産機の開発を試みたものの、技術力不足によるものかいずれも試作のみで終わっている。
また、Mig-21/23/29とAn-2の一部にはMFDを導入したグラスコックピット化や衛星通信アンテナを追加するなどの改修などを施されている(アンテナについてはMD-500もある機体が目撃されている)。
北朝鮮軍機といえば機体上部が濃緑色で下部が青色というカラーリングが有名であるが、2014年秋以降は西側と同様のロービジ塗装に変更されている(MiG-23/29とSu-25のみ)。
今まで北朝鮮には(空対地)精密誘導兵器が存在しないと思われていたが、2013年にはスーダンにAGP-250衛星誘導式爆弾が輸出されていたことが判明したほか、2020年4月には北朝鮮空軍の順川基地でSu-25用と思しきKh-25とKh-29L空対地ミサイルを金正恩委員長(当時)が視察する状況が公開されたため、自国軍でも精密誘導兵器を運用していることが判明した。
空軍の主要な装備
戦闘機
- MiG-29A/B/S/UB
ソ連が開発した最後の前線用戦闘機。
北朝鮮では80年代末までに22機をソ連より輸入した他、国内に組立工場を建設し、90年代末までに10数機を組み立てたとされる。そのため現在の保有機数は40機前後とされる。
R-60短距離AAMとR-27R/T中距離AAMが主武装。R-73の保有は未確認。
韓国空軍・米空海軍の戦闘機に対抗or優位に立てる機体ということもあってか、金正日体制ではメディア出演が殆ど無かった。しかし正恩体制以降は本人の乗り物好きという性格もあってか積極的に登場するようになった。
- MiG-23ML
ソ連が開発した可変翼単発戦闘機。
MLは後期型の初期生産型にあたり、この型以降のMig-23は汎用戦闘機としての能力を獲得した。
現在、北朝鮮は50機ほどの本機を保有しており、世界最大のMiG-23ユーザーであると予想される。
北朝鮮ではグラスコックピット化などの独自改修を行っている。 - MiG-21 PF/PFM/bis & J-7A
ミグ設計局が開発した単発超音速戦闘機。
PFは初の全天候量産型で固定武装を持たない。PFMはレーダーの換装の他、固定武装の装備や僚機とのデータリンク機能実装を行った改良型。bisはMig-21の近代化改修型で、第三世代に属する。
J-7Aは中国が本機の初期型であるF-13型をコピー生産したもの。
数の上では北朝鮮空軍の主力戦闘機であり、各型合計210機程を保有しているとされる。内訳は、PF/PFMが合計130機、bisとJ-7Aが各40機ずつ。
特にbisは旧式化著しい戦闘機の中でも比較的近代戦に耐えうる性能を持つ機体のためか、2013年にキューバから2機の密輸入を企てた。 - J-6
中国製MiG-19。北朝鮮は本機を200機導入し、現在も150機程保有しているとされる。
固定武装に30mm機関砲3門を装備し、4つのハードポイントに2tまでの装備が可能なことから、北朝鮮では対地攻撃機として運用している。
Mig-19シリーズはエンジンの整備が難しく寿命も短いが、本機もその特性を受け継いでしまった。
そのためか2000年後半から墜落等の事故が多発している。特に2014年に3機が立て続けに墜落した事故の影響もあってか、現在は飛行禁止になっているとされる。 - Mig-19
ソ連初の超音速戦闘機。
北朝鮮では前述のF-6が大多数を占めているため、本機は極少数しか存在しないとされる。 - MiG-17F & J-5
ソ連がMig-15の改良型として開発した戦闘機。F型はアフターバーナーを追加した本格的量産型。
J-5は中国が本機(F型)をライセンス生産したもの。
北朝鮮では50機程を対地攻撃機として運用しているほか、独自の改造として胴体下部にパイロンが追加、AAM運用能力も付与されている。 - MiG-15
ソ連が開発した後退翼ジェット戦闘機。
朝鮮戦争時は多数の本機が北朝鮮空軍所属機として戦ったものの、実態はソ連空軍(人民解放空軍の義勇兵という名目で朝鮮に派遣された)が中心となって運用したため、北朝鮮での本格運用は朝鮮戦争後と考えられている。
北朝鮮では対地攻撃機として使うため、胴体下部にパイロンが追加。
現在では主に訓練機として使われる。 - Su-7
スホーイ設計局が開発した戦闘爆撃機。
退役したと思われる。 - Yak-9、La-9、IL-10
ソ連が第二次世界大戦中に開発した各種レシプロ軍用機。
北朝鮮では創設時にソ連から導入し、空軍の主力機となった。しかしソ連空軍の中古機は状態が悪く、予備部品も不足しがちだったとされる。
遅くとも70年代には退役した。
攻撃機
- Su-25K
スホーイ設計局が開発した地上襲撃機。
K型は輸出用のモンキーモデル。
北朝鮮では80年代末にソ連から導入された。現在の保有機数は30機とされている。
正恩体制以降はメディア出演が活発に行われ、2020年10月10日の朝鮮労働党創建75周年記念パレードではMig-29と共に夜間編隊飛行を行った。 - その他
Mig-15などの旧式の戦闘機や、練習機などが対地攻撃任務を行うとみられている。
- Il-28/H-5
北朝鮮が保有する唯一の爆撃機。
2021年4月頃に北西部の義州基地に配備された30機近い機体は宣徳などの別の基地に移動させられた。
「金星-3」対艦ミサイルの発射能力があるとされているが、単にミサイル空中発射の試験機として運用されただけという説もあり詳細不明。
北朝鮮は世界最後のIL-28ユーザーである
- Li-2
退役したと思われる。 - An-2
特殊部隊の浸透用とて知られているが、ロケット弾ポッドなどで対地攻撃が可能となっている。
複葉機だが全金属製のためレーダーに映る。一部の機体にGPSアンテナやレーダーが装備されている。 - An-24
高麗航空で運用されている機体 - IL-18
同上 - IL-76
同上 - IL-62
キム総書記専用機。「オオタカ1号」として有名。
ヘリコプター
- Mi-2
対戦車ミサイルやロケット弾ポッドなどで武装可。「革新-2」の名称で国内で組み立てが行われた。 - Mi-4/Z-5
Mi-2と同様、ロケット弾ポッドなどで武装可能。機首に機関銃を装備。
北朝鮮は世界最後のMi-4ユーザーである。 - Mi-8/17
北朝鮮の場合、少なくともロケット弾ポッドで武装可。 - MD-500
海外から密輸したもの。対戦車ミサイルなどで武装可。 - Mi-26
大型輸送ヘリ、4機が存在。 - Mi-14PL
対潜哨戒ヘリ。キューバから密輸。
稼働状況は不明。 - Ka-28
同上。稼働状況にないと思われる。
地対空ミサイル
- SA-2
S-75。中国製のHQ-2も含まれる。発射台をトラックに搭載した自走型も存在。 - SA-3
S-125。ソ連から導入したもの。発射台をトラックに搭載した自走型も存在。 - SA-5
S-200。ソ連から導入したもの。 - KN-06
いわゆる「雷-5」で、北朝鮮版S-300。中露の支援を受けて開発されたという意見もあるが、証拠はない。ただし、特徴からS-300PMUに似た部分はある。
2010年に初登場し、複数回の発射試験を行っている。2017年まではロシア製トラックを国内で組み立てたトラックにレーダーやミサイル発射管を搭載していたが、2020年の軍事パレードではオリジナルのS-300に似たトラックに牽引されたものが登場した。
性能は不明であるが、射程は100~150kmと確認されているため、決して無視できない脅威である。 - M-2020短距離地対空ミサイル
2020年の軍事パレードに登場。ロシアのSA-15/9K330「トール」や中国のHQ-17に似ているが形状が著しく異なる。モックアップの可能性もあるが、対空捜索レーダーはロシアのパーンツィリS-1のものと酷似している。
自走式ではなくトラックに牽引されるトレーラー型発射機。今まで、北朝鮮はこの種の短距離SAMを保有していなかったために「防空の傘」に空白の部分が存在したが、仮にこのSAMが実用化された場合は低中高度の防空能力が強化されることになるため、脅威になり得る。
このほか、Yak-18やCJ-5/6といった練習機や航空機用の兵装なども存在するが、紹介しきれないので割愛する。
※ 戦略軍と特殊作戦軍については後日に追加します(短距離弾道弾は戦略軍で紹介予定です)。
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