ヘンダーソン氏の福音をとは、小説家になろうで連載中のSchuld作のWeb小説、およびその商業版としてオーバーラップ文庫より刊行中のライトノベル作品である。
なお、正式タイトルは「TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す ~ヘンダーソン氏の福音を~」、商業化前の旧題は「ヘンダーソン氏の福音を データマンチが異世界に転生してTRPGをする話」であるが、いずれにせよ長文であるため、通称としてこの呼称が広く定着している。
RPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す ~ヘンダーソン氏の福音を~ |
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小説 | |
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作者 | Schuld |
イラスト | ランサネ |
出版社 | オーバーラップ |
レーベル | オーバーラップ文庫 |
刊行期間 | 2020年4月- |
巻数 | 既刊10巻(2024年3月時点) |
漫画 | |
作画 | 内田テモ |
出版社 | KADOKAWA |
レーベル | 電撃コミックスNEXT |
掲載 | 電撃コミックレグルス |
掲載期間 | 2022年8月- |
巻数 | 既刊1巻(2023年4月時点) |
小説・漫画テンプレート |
ぱっと見、タイトルからは「ファンタジーRPG世界転生物」と思われがちだが、実際のところゲーム要素と呼べるのは主人公視点での「権能」に関する描写くらいのもので、それ以外の部分では隅々まで丹念に世界観が作り込まれた本格的なハイ・ファンタジーとして純粋に楽しめる作品となっている。多種多様な異種族が入り交じったファンタジー社会の制度や文化、風俗に至る緻密な描写は一見の価値あり。
また、精神年齢補正(+3x歳)もあって少年らしからぬ可愛げを見せつつ、随所で「バフを積んで初見殺しを仕掛ける」データマンチとしてのえげつなさを炸裂させる主人公の立ち回りも見どころ。
若くして病により命を落とした現代の日本人である更待朔は、「自分の経験を熟練度に変換し、データやスキルツリーを参照して自由に成長を決定できる」という権能を与えられて、異世界の農家の息子・エーリヒという新たな生を受けた。
だが、前世の彼はガチのTRPGプレイヤー、それも「ルールとその穴をフル活用して最大効率やロマンコンボを追求し、データがあるなら神殺しさえやってのける」という、データマンチ、あるいは和マンチと呼ばれる人種であった。
「汝が為したいように為すがよい」という何処かの邪神のような台詞に背中を押されたエーリヒは、与えられた権能を最大限に悪用活用し、やがて世界を動かすだろう旅へと乗り出すことになる。
本作の表題にある「ヘンダーソン氏」とは、プレイヤーを全滅させる気しかない殺意マシマシのGMが主宰する卓にカチ合った際にテクニックの限りを尽くしてシナリオを脱線させ、見事キャンペーンを大団円へと持ち込んだ伝説のTRPGプレイヤーであるオールドマン・ヘンダーソン氏に由来する。
これに関連したTRPG用語として「物語が事前のシナリオからどの程度脱線したか」を表すヘンダーソン・スケールと呼ばれる指標が存在するが、本作ではこれに因み、本編中のイベントによって物語が脱線した"if"の世界線を描く「ヘンダーソン・スケール x.x」という外伝的な小話が挿入されることがある。
三重帝国中南部に位置するケーニヒスシュトゥール荘の自作農の四男。前述した通りの前世に由来する記憶と権能を持ち、データを駆使した最強ビルドを目指して成長していく。
妹エリザが帝都の魔導院で魔導師に弟子入りすることになったため、その世話係を兼ねて丁稚奉公に出ることとなる。
ビルド方針は器用度最優先の回避盾型前衛。のちに魔法の習得を経て、手数と白兵技量がちょっとおかしい領域に突入していく。とはいえ基本路線は慎重に器用万能スタイルを突き詰める方向。ついついその場の誘惑に負けて、変な特性や技能をつまみ食いしてしまうのは御愛嬌。
2D6を1000回振った平均値が4という腐った運の持ち主であり、故に固定値を信奉すること著しい。その腐れ運っぷりは主にイベント遭遇表で存分に発揮されており、旅に出ればちょっともう尋常じゃない頻度[1]でトラブルに遭遇し、その内訳もネームドエネミーとのランダムエンカウントなどロクでもないことになっている。
なお、妹のエリザを殊の外溺愛しており、彼女が絡むと沸点が一気に低くなる。
エーリヒの父親。ごく普通の自作農と思いきや、元傭兵という意外な過去の持ち主。帝都に旅立つエーリヒに、餞別としてかつての愛剣"送り狼"を贈る。
エーリヒの長兄。幼い頃は冒険者に憧れるガキ大将だったが、成長するにつれ家長を継ぐに相応しい貫禄を身につける。とはいえお調子者なのは変わらず、結婚式でのやらかしとも相まって嫁の尻に敷かれる日々。
エーリヒの5歳年下の妹。幼い頃から病弱で成長が遅く、甘えたがりが抜けない手の掛かる娘。実は妖精が人の子として宿った"取り替え子"の半妖精であり、高い魔法の素質を見抜いたアグリッピナによって弟子に迎えられ、エーリヒに伴われて帝都へ旅立つこととなる。
ケーニヒスシュトゥール荘の代官お抱え猟師の家の長女。ハエトリグモ種の蜘蛛人。エーリヒより2つ年上の幼馴染み。種族柄、隠密行動や登攀が大の得意であり、弓の腕も確か。外見は幼く体格も小さいものの、女性優位の種族ゆえに超肉食系。エーリヒがエリザと共に帝都へ旅立つ際「再び迎えに戻って一緒に冒険に出る」という誓いを交わし、一対のピアスを分け合った。
荘の自警団長を務める退役傭兵。古傷まみれの岩壁のような巨躯に金壺眼の凶相という恐ろしい見た目に違わず、長大な両手剣を軽々と操る膂力・技術とも超一流の勇士。指揮官・教官としての技倆もズバ抜けており、エーリヒの見立てでは敵味方の士気や行動力にバフ/デバフを掛け、打撃を受けた相手には行動不能の追加デバフまで押し付ける特能持ち。
荘の鍛冶場を預かり、専ら釘や包丁などを手掛ける坑道種の親父さん。腕利きの鎧鍛冶でもあり、兵演棋の駒の金型一式を代金代わりとしてエーリヒに革鎧を仕立ててくれた。
褐色の肌に白色の髪を持つ宵闇の妖精。帝都への旅の途上にあるエーリヒを見初めて、ちょっかいを掛けてくるようになる。[2]なお、彼女をはじめとする妖精達に滅法気に入られたことで、エーリヒは肉体成長系の特性に干渉を受けて背が伸びなくなってしまった。
天真爛漫で暢気者な風の妖精。実験材料として捕らえられていたところをエーリヒに救出され、お礼として「妖精のナイフ」を贈る。
丁稚としてアグリッピナに仕えることとなったエーリヒが下宿として与えられた一軒家に住み着いている家事妖精。歴代の住人を悉く追い出してしまう気むずかし屋だったが、エーリヒのことは気に入り、何くれと世話を焼いてくれる。
魔導院の最大派閥である払暁派を主宰する教授であり、アグリッピナの師匠にして上司。外見は二十歳前後の黒髪の女性だが、実際は齢200に達する死霊である。母性愛溢れる善人と見せかけて、同時に重度の生命礼賛主義者[3]というフェイタル級の変態であり、気に入った少年少女に好き勝手豪奢な衣装を贈って着飾らせては観賞して愛でるという迷惑な趣味を持ち、早速その餌食となったエーリヒからは早々とエネミー認定を受けた。
割とガチめの重厚なファンタジー世界観である本作において、一人だけ吸っている空気が違うコメディリリーフ的存在。
三重帝国の隣国であるセーヌ王国の男爵令嬢。払暁派ライゼニッツ閥に所属する長命種の研究員で、半ば遺失技術とされる空間遷移魔法を操る極めつけに優秀な魔導師。フィールドワーク中に商隊に随伴して立ち寄ったケーニヒスシュトゥール荘で出会ったエリザを弟子に取り、ついでにエーリヒを丁稚兼世話係兼ライゼニッツ卿への生贄として雇い、二人を帝都へ連れ出した。
性格は怠惰を極めており、自堕落に過ごすためなら手段を選ばない悪辣な外道でもある。都度振り回されて偉い目に遭うエーリヒからはエネミー認定されている模様。とうに教授に昇進しておかしくない実力の持ち主だが、昇進すると面倒だから嫌だと言って研究員に留まっている。
とはいえ何だかんだ言って指導者としては優れており、弟子に取ったエリザの教育も真面目に行っている。
魔導院において払暁派と双璧を為す黎明派に所属する聴講生。黒のくせ毛と中性的な美貌の持ち主。エーリヒと同い年の未成年ながら造成魔導師としての実力はなかなかのもので、足止めや地形改良の術に長けた優秀なデバッファー。
容姿が中性的なのも当然で、実は三重帝国における少数民族である中性人。男女の中間形である中性状態を基本に、一月おきに男女への肉体変化を繰り返す特性を持つ。
魔導院に入った当初、中性人としてのカミングアウトに失敗したことがトラウマとなっていた[4]が、そのことを歯牙にも掛けず友誼を貫いてくれたエーリヒを無二の親友と慕い、共に生死を賭けた冒険へと身を投じることとなる。
バーデン家当主。二期30年に渡り帝位を務める現三重帝国皇帝。本名、アウグスト・ユリウス・ルートヴィヒ・ハインケル・フォン・バーデン=シュトゥットガルド。
若い頃から騎竜を駆って戦場の空を巡り、かつて一度は失われた東方交易路を再打通した偉業によって竜騎帝の異名を持つヒト種の英傑。その実は人生に疲れた還暦前のおっちゃんであり、気楽な隠退生活(という名の空のツーリング三昧)を望む毎日を送る。新しもの好きで、航空艦の技術開発に多大な援助を行っている。
グラウフロック家当主。本名、ダーフィト・マクコンラ・フォン・グラウフロック。
今上帝の義弟にして戦友。良く言えば豪放磊落、悪く言えばはっちゃけた性格の人狼種。その昔、アウグストⅣ世の帝城からの脱走を手引きした廉により、被選帝権を持つ公爵の身でありながら帝城出禁を食らったという謎の武勇伝を持つ。
エールストライヒ家当主。本名、マルティン・ウェルナー・フォン・エールストライヒ。
かつて三期45年の長きにわたり、マルティン一世として選帝位を務めた齢400の「若き」吸血種。優れた魔導師であり、魔導院中天派に属する教授という顔を持つ。今上帝に輪を掛けた技術マニアにして内政マニア[5]。一人娘を溺愛しているが、娘からは嫌われている。
露店街の大道兵演棋を通じてエーリヒと知り合った夜陰神の僧侶。白磁のような肌に、ぬばたま色の髪と鳩血色の瞳を持つ吸血種の美女。
神秘的で清楚な雰囲気と裏腹に、芯が強く好奇心旺盛でお茶目な性格。
実はエールストライヒ公爵の一人娘。本名、コンスタンツェ・ツェツィーリア・ヴァレリア・カトリーヌ・フォン・エールストライヒ。[6]実家の方針により出家していたが、これまた実家の都合で帝位を継ぐため還俗させられそうになったことに反発し、逃げ出してエーリヒの元へ転がり込んでくる。
本名、テレーズィア・ヒルデガルド・エミーリア・ウルズラ・フォン・エールストライヒ。ツェツィーリアの大叔母[7]にして、かつて三重帝国史上でも希な女帝として名を馳せた女傑。吸血種としての特性[8]を真っ向叩き付けての肉弾戦を得意とするストロングスタイルの強者。能力的にも立場的にも性格的にも、エールストライヒ公爵の天敵と言うべき存在。現在は一族の郷里であるリプツィの街に隠棲し、詩人・劇作家としての日々を送っている。素肌に紫紺のトーガのみを纏った古風な姿(好意的表現)で出歩く変人。
ドナースマルク侯爵。三重帝国建国以前から生きる長命種。柔和な外見に違わぬ篤志家・慈善家として公的には知られているが、その実は謀略を謀略として楽しむ策略家としての側面が強い人物。長命種としては珍しく子孫を残すことに旺盛で、婚姻外交にも積極的。
非定命の利点を活かして、50年にわたり帝室直轄領であったウビオルム伯爵領に対する継承権争いに陰から関わってきたが、そのウビオルム伯爵位に落下傘同然にアグリッピナが親任されたことから、急転直下の事態に対応すべく表に立って動き出す。
意外と負けず嫌いな情熱家であり、何度挫折しようと再起のためなら相手の靴を舐めるような真似も辞さない根性の持ち主。
ドナースマルク侯爵が腹心として抱えている百足人の少女[9]で、密偵の一人。鎖分銅の付いた鉄棍の使い手。侯爵配下の暗殺部隊としてアグリッピナの護衛を務めるエーリヒと何度も激突するが、その中で殺し愛とでも呼ぶべき惚れ込み方をして行く。
ドナースマルク侯爵に使える百足人の密偵頭。ナケイシャの祖父。
ウビオルム伯爵領でも有数の工業都市を領する豚鬼の子爵。謀略の才など微塵も持ち合わせていない小心者の悪徳貴族だが、経済運営に関する才覚と芸術に対する審美眼は本物で、ドナースマルク侯爵の後援の元で隠し鉱山から莫大な利益を上げ、領内を肥え太らせている。[10]
エアフトシュタット男爵。ウビオルム伯爵家の数少ない忠臣として、天領というぬるま湯の統治に長年緩みきった家中をまとめる実直な初老のヒト種の男性。
エーリヒが7歳の時に荘の祭りで出会った魔法使い。まだ魔法に触れたことのなかったエーリヒに魔法の在り方を説き、記念として月の指輪を贈った。
ケーニヒスシュトゥール荘の祭りに訪れた大規模な隊商に用心棒として雇われていた巨鬼の女性。故郷のガルガンテュワ族でも一番の勇士。露店での兜割り勝負に見事勝ったエーリヒを気に入り、"つば付け"[11]を行う。
三重帝国北方のヴストローの街に居を構える年老いた樹人。魔法的な手法を駆使して原本と寸分違わぬ複製本を作り上げるという超一流の腕前を持つ複製師であり、その技術だけで貴族位を与えられるほどの達人だが、途方もない偏屈家としても知られる。
その実態は書痴とでも呼ぶべき乱読家で、特に散文詩や英雄譚といった「俗な」物語を愛好しており、それを活かした職を選んだまでは良かったのだが、なまじ神業レベルの腕を持っていたがゆえに、やって来るのは国論や魔導書、専門書といった堅苦しい大作ばかり。いつまで経ってもやりたい仕事が出来ない鬱憤が溜まって、すっかりヘソを曲げてしまったというのが偏屈の実情。
前世でルールブックコレクターな一面を持つ蒐集家だったエーリヒとは見事に意気投合し、嬉々として文章談義に花を咲かせる[12]が、そんな彼の依頼によってヴストロー近郊の森を訪れたことが、エーリヒとミカの運命を変える事件の発端となる。
以下書籍版未登場人物
中央大陸中西部に広大な領土を持つ大国。三つの皇統家の中から七選定侯家の推挙によって皇帝を選出する権力体制を持っており、皇帝の在位は一期当たり15年。近代的な行政システムが整備されているほか、建国の過程で参加した諸種族が軒並み貴族として国政に参加していった経緯により、多種多様な異種族が住まう多民族国家の一面を持つ。帝都ベアーリンには大規模な魔導院が設置され、学術振興も盛ん。
西方辺境の行政中枢として築かれた要塞都市。元々は大河マウザーの他は何もない平地で、昔は支配権確立を目指す帝国と周辺の小国や諸豪族の間で激しい攻防が繰り広げられていたが、造成魔導師の大量投入によって一夜で丘もろとも城を建てる[13]という荒技によって帝国の支配権が確定した。
辺境ゆえに治安は良いとは言えないが、逆に諸規制が緩いことから一旗揚げるには絶好の条件が揃った、自由の気風溢れる土地。
旅人や商人相手の宿である"子猫の転た寝亭"を猫人の妻と共に切り盛りする温厚篤実な陽導神の在俗僧。優秀な神官戦士であり、青玉(九位中第三位)の位階を持つ高名な冒険者。
かつて不良冒険者の氏族によって常駐先の宿の娘(現在の奥方)が強姦された際、報復として真っ正面から相手氏族に殴り込みを掛け、完膚無きまでに全員叩きのめした伝説[14]の持ち主。マルスハイムの冒険者の間では、絶対に怒らせてはいけない人物として認知されている。
ガルガンテュワ族の出身であり、故郷の一族でも早くに二つ名を授かるほどの優秀な戦士だったが、同輩のローレンに悉く後れを取り、ついには直接対決でも叩きのめされたことから、居たたまれなくなって出奔同然に遍歴の旅に出た。
のちに冒険者としてマルスハイムに流れ着いたものの、戦いに楽しみを見出せずすっかり腐りきった日々を送っていたが、配下が面白がって連れてきたエーリヒと久方ぶりの真剣勝負を繰り広げたことで戦士の喜びと誇りを取り戻し、以降は有力氏族の頭目としてエーリヒの良き協力者となる。
既存の氏族の中から気に入った落ち着き先を見つけられなかったエーリヒが自ら立ち上げた「氏族のようなもの」。会費も上納金も不要で他氏族との掛け持ち可など実態は冒険者を養成する私塾に近く、厳密には氏族と呼べる存在ではないが、周囲からは氏族同然に見られている。
会員は50人ほどで、前述の事情ゆえ剣術道場のノリで参加している者も少なくない。エーリヒ直々に鍛えられているため、冒険者としての位階は低くとも一端の腕前を持つ実力者揃いの精鋭集団となっており、身なりの清潔や自身の所属を嵩に着ないなどのエーリヒの教えもあって仕事での評判は良い。
3年間の丁稚奉公を経て成人[15]とともに帝都からケーニヒスシュトゥール荘に帰ったエーリヒは、約束通りマルギットを伴って西方辺境を目指し冒険に出た。
基本戦闘スタイルは片手剣と盾を併用したオーソドックスなもの。カンストした器用度を最大限に活用したキメラビルドとなっており、魔法を使わずともそこらの腕自慢程度であれば一蹴できる戦闘力を持つ。
ケーニヒスシュトゥール荘の幼馴染が成長した姿(外見はともかくとして……)。超一流の斥候にして狙撃手。エーリヒの背中にしがみついて背後を守る[16]というフォーメーションも。正式な婚礼は交わしていないが、エーリヒとは目出度く結ばれた様子。
冒険者になったばかりのエーリヒにライバル心剥き出しで突っかかったことから妙に気に入られ、一緒に依頼をこなすようになる青年。当初はヒヨッコ同然の新米だったが、のちに統率力と勇気に溢れ、強い責任感を備えた優秀な指揮官型の戦士へと成長する。エーリヒと共に剣友会を立ち上げ、実質的なNo.2としてメンバー達から「兄貴」と慕われるように。
常にエーリヒの傍に付きまとっていたため、彼に降りかかる常軌を逸したトラブルの数々に一緒に巻き込まれてヒーヒー言う羽目になるが、それらのことごとくを五体満足で切り抜けてきたことが二つ名の由来。
なお、本名はディルク。故郷を出て冒険者として登録する際、どうせなら格好いい名前で、と中二病を発症して偽名で登録したのが運の尽き。英雄譚に登場するほどの名声を獲得したにもかかわらず、故郷で気付いてもらえなくなった。
ジークフリートの幼馴染。魔導師としての正式な教育は受けていない「魔法使い」だが、魔法薬の作り手として高い実力を持ち、そのレパートリーはちょっとした治療薬や栄養剤[17]から煙幕や催涙弾の類、果ては切断された指すら繋ぎ合わせる霊薬や、敵味方識別能力を持った焼夷地雷などというオーバーテクノロジーじみたキワモノ[18]まで多岐に及ぶ。
以下ヘンダーソンスケール登場人物
ひょんなことからマルギットと仲良くしてしまったおかげで、冒険に旅立つまでもなく故郷の村でショットガン・ウェディングを迎えてしまったエーリヒ。一見夢破れた田舎者EDと思いきや、本来社会技能や魔法関係に突っ込む筈だった熟練度を白兵技能に全ツッパしているため、あらゆる世界線の自分から勝利ワンチャンあると言われるほどの剣神と化している。
ウルスラの誘惑に乗せられて「永遠の薄暮の丘」に連れて行かれてしまったエーリヒの成れの果て。月光のような金色の毛並みを持つ巨大な狼の姿をした妖精。森で迷ってしまった子供達や旅人を、無事に人里へと送り届けてくれる。
エーリヒを妖精の手から取り戻すべく、残された長剣を手に果てしない辺境の旅を続ける半妖精の魔法剣士。大木を何本もまとめてなぎ倒すような、デタラメな剣術の使い手。
丁稚からそのままアグリッピナの正式な弟子となり、聴講生・研究員を経て二十代半ばにして教授へと昇進[19]したエーリヒの姿。幻想生物研究の大家として知られると共に、超一流の剣士にして、師匠譲りの空間遷移魔法や化学反応を援用した魔術爆弾を操る払暁派でも随一の戦闘魔導師。妹のこととなるとすぐムキになる重度のシスコンぶりは相変わらず。
師匠とは正反対の超行動派として知られ、一年の半分以上はフィールドワークに費やしており、半年以上魔導院に帰って来ないこともザラ[20]。おかげで"漂泊卿"という褒めているのか貶しているのか分からない二つ名が付く始末。気に入った相手を冒険に連れ出していくことも珍しくないため、半ば妖精のような扱いであり、ほとんど冒険者と変わらないと陰口をたたかれる問題児だが、本人は「さっぱり冒険に行けやしない、やっぱり教授になんかなるんじゃなかった」と思っている。
エーリヒと同時に史上最年少の24歳で教授に昇進した親友。その中性的な美貌から"紅裙卿"の二つ名を持つ。都市計画整備の達人として国政に関わることも多い。
目出度くアグリッピナの元から独り立ちして教授に昇進し、工房を構えたエーリヒの妹。"香り高き"エリザの二つ名の通り、香水などの作成を得意としている模様。[21]
エーリヒの直弟子。没落貴族の末娘で、先天的な魔力過剰による障害に苦しんでいたところを見出された。実家の困窮の中で苦労して育った過去から、13歳という年齢に似合わずしっかり者。過保護な師匠と周囲の人々に辟易しつつも尊敬している。
ツェツィーリアに眷属化されて吸血種となったエーリヒ。彼女が皇帝として即位したため、近衛騎士として傍に侍っている。
フランツィスカという優れた先達が傍にいたことも手伝って、吸血種特性ツリーに熟練度をガン振りした強襲型前衛ビルドを選んだはいいが、能力賦活ついでに熟練度が溜まるから、と戦いの中で調子に乗って吸血しまくった結果、三重帝国で「吸血鬼」といえば魔物堕ちした吸血種[22]ではなくエーリヒ個人のことを指すようになってしまった。
弱点を晒さずに済んで得じゃん、ということで、急所である自身の心臓を宝玉化して指輪の形でツェツィーリアに預けている[23]が、ベタ惚れと倒錯性癖の為せる業なのかもしれない。
ちょっと堪え性のなかったうっかりさん。通算で八期120年[24]という長大な治世を務める羽目になる。とはいえ君主としては有能。
エーリヒとは、互いに血を啜り合い与え合うという倒錯した愛情関係。
アグリッピナ師の口車に乗せられ、辺境ではなく帝都で冒険者として旗揚げしてしまったために、彼女からの裏仕事の依頼を集中的に回されまくった挙げ句、すっかり個人的な密偵となってしまったエーリヒ。既に壮年と呼んで良い歳で、知力・体力ともまさに全盛期といったところ。
一緒に冒険者になるというエーリヒとの約束によって、公私のパートナーとして共に密偵働きをしている。エーリヒとナケイシャとの仲を焚き付けた張本人。
ドナースマルク侯爵配下の密偵筆頭。エーリヒとは時に敵対し、時に協力する複雑な関係。エーリヒとの間に儲けた娘を後継者として育てているが、いずれ敵として見える可能性を考慮して、父親とは会わせて居らず名前も教えていない。
本作のメタ的には、本来フラグの外のはずのキャラクターがメインヒロインに取って代わってしまった位置付け。
10年間の追加休暇と引き換えに、ライゼニッツ卿に売り渡されたエーリヒ。その後正式な聴講生を経てライゼニッツ卿の直弟子となり、教授位を得て実質的なライゼニッツ卿の執事兼コレクションの番人として長年働いている。既に齢70を数え、肉体的にも衰えが始まっているものの、若い頃から研鑽を重ねた剣術と魔術の腕は確か。身分不相応と言われつつも、灰の乙女が護る下宿に未だに住み続けている。
何としても上流社会の面倒事に関わりたくない外道アグリッピナの社会的な弾除けとして婿に取られてしまったエーリヒ……だったのだが、106歳という驚異的な天寿を全うして涅槃で休暇に入ったのもつかの間、アグリッピナとライゼニッツ卿の共謀により死霊として現世に再度召還されてしまった。
通称、嫁リッピナ。社交界の面倒事からの弾除けとしてエーリヒを強引に婿に迎え、果てはお迎えが来た後に冥界から死霊として現世に引っ張り戻すことまでやらかしたド外道。とはいえ、本来子孫を残す欲求の薄い長命種としては驚異的な一男三女という子宝に恵まれたあたり、夫婦の愛情は本物だったようである。
"灰の捲き手"の異名を取る魔導院払暁派の教授。周囲からは両親の閥の後継者と見られている。古生物の化石発掘に熱を上げるフィールドワークの鬼として知られる一方で、父親をして「ティルトウェイトかよ」と呆れさせた広域破壊魔法を操る戦闘魔導師。両親から容姿的な長所を受け継いだスタイル抜群の美女だが、男性への評価基準値として父親を挙げるファザコンの権化であり、王子様のハードルが天よりも高い。
"魔法嫌いの墨染め姫"の異名を取る魔導院極夜派の教授。抗魔法術研究の大家で、気怠げで退廃的な雰囲気の黒髪美女。詩作を趣味としているが、親馬鹿を発揮した父親によって密かに書き溜めていた原稿を詩集として出版されてしまったことを根に持っている。そりゃ黒歴史を公にされたら誰だって戦争になるわな
"凍った黄金"の異名を取る魔導院黎明派の教授。専門は建築学。生前のシュポンハイム卿にベタ惚れしており、その弟子として派閥を受け継いだ。未だに彼に対して操を立てており、持ち込まれる縁談の悉くを蹴っ飛ばしている問題児。
ライゼニッツ卿配下で魔導院の研究員として働く官僚志望。容姿は父親の生き写し。ちゃらんぽらんな姉達に代わって社交関係の苦労を一手に引き受けるスタール家の良心。まだ未成年なのに。
計測不能。
お気に入りの子達の幼少期の姿を眺めてhshsしたいというライゼニッツ卿の思いつきが引き起こした時空魔法の事故により召喚されてしまった、並行世界のエーリヒの同位体。性別が反対なのは前世(更待月子)から。
エーリヒが慎重に加算式でスキルを積み上げる器用万能ビルドなのに対して、こちらは完成形から逆算して一点集中突破のロマン型ビルド。経験値効率のお得な信仰ツリーに熟練度をガン振りしており、二十代にして陽導神に仕える高位の戦闘僧である。カンストまで持っていった能力値と技能を載せた鉄拳[25]で全てを解決するという「レベルを上げて物理で殴る」の究極形の具現。
かつて同僚の武僧にプロポーズされた折、「私を実力で押し倒せば嫁になる」と宣言してしまい、その堂々たる侠気も手伝って未だ独身を貫く益荒乙女。陽導神は、このまま死なれたら責任とって列聖させた上で自分の妾に取らないとならないんじゃないか、と戦々恐々[26]としているとか。
掲示板
2 ななしのよっしん
2022/08/12(金) 18:44:25 ID: JYg6EeP5El
コミカライズが来た!
https://
3 ななしのよっしん
2023/03/15(水) 21:00:52 ID: 6AnwqS04ok
異世界人が強過ぎる上に厄介過ぎてナーロッパで俺TUEEEするレベルの和マンチしてようやくいい勝負ってのが面白いよね
4 ななしのよっしん
2023/07/31(月) 19:52:51 ID: ECgtJYCaMr
海外サイトで見た感じだと、ヘンダーソン老ってプレイヤー名じゃなくてキャラ名っぽいですけど、作者さんがメタでプレイヤー扱いしてるのか勘違いなのか謎ですね……。
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/26(金) 22:00
最終更新:2024/04/26(金) 22:00
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