スマートフォンとは、「賢い電話」という意味を原義とした携帯情報端末(PDA)と携帯電話の機能を融合した電子機械のことである。略語は「スマフォ」または「スマホ」。
概要
携帯電話に電話機としての使い勝手を求める利用者よりは、インターネットアクセス(メール・Web等)やファイル閲覧、音楽・動画再生などの多機能さ・自由度を求める利用者に特に適した端末である。スマートフォンの「スマート」とは、「賢い」という意味で用いられている。
ハードウェア的に電話機が主要となっている従来の携帯電話に対し、スマートフォンはPDA(≒小型コンピューター)にワイヤレス通信・通話機能を加えたものが主要となって発展したものが主流である。
現在市場に出ているスマートフォンの多くが幅広ストレート端末の形をしているのは、元をたどればPDA時代の名残といっても過言ではない。
従来の携帯電話の利用者からは、通話機能やメール機能だけでなく、ワードなどのオフィスソフトの閲覧や編集、パソコン向けサイトの閲覧、スケジュール管理を得意とする携帯端末、と見られることが多い。それゆえ現在のマスメディアにはスマートフォンを「多機能携帯電話」と説明するものもある。ただし、元々多機能であることはスマートフォンの直接の基準ではない(むしろ日本の携帯電話の方がスマートフォンより多機能であることもある)ので注意が必要である。(イメージ的にはちっちゃいパソコンというイメージがある。)
黎明期のスマートフォンの多くが、小型のキーボードを組み込んだものが多かったが、iPhoneの登場でタッチパネルとソフトウェアキーボードを組み込んだ形状へと変化している。この形状の変化が、スマートフォンの普及を加速させることとなった。
サイズ・規格
また、バッテリー持続時間の短さ、サイズの大きさ(日本の携帯電話市場で一般的であった幅50mm程度の細い端末は少ない)などのデメリットも未だ無視できない要素である。(バッテリー持続時間については2020年代以降の端末ではそこまで気にしなくて良いかもしれない。)小型さやバッテリー持続時間などを重視する利用者にとっては、従来型の携帯電話・PHS(フィーチャーフォン、ガラケー)を使い続けたほうが良い場合があり、逆に画面の見やすさや操作性を重視した場合、スマートフォンよりもタブレットPC(iPad,Nexusなど)を用いた方が良いこともあるため、自分にあった端末をよく考えて選ぶか、知識の豊富な店員などに相談した上で選択する方がよい。・・・が最近ではガラケータイプは販売終了するモデルが続出しているので、これまでガラケーを使ってきた高齢の方はかんたんスマホとか選ぶと良いかもしれない。
日本のケータイはスマートフォンじゃないの?
日本の携帯電話は、世界的に見て「広義のスマートフォン」に分類されるとする人もいる。
など、海外ではスマートフォンでなければ使用できなかった機能が、日本国内では1990年代末~2000年代前半に携帯電話に搭載されて広く普及しており、機能面ではスマートフォンとみなして差し支えないというのが主な理由である。また、OS的に見ても、3G以降の日本の携帯電話の多くはSymbianやLinux等スマートフォンと変わらないOSを搭載している。
ただし、
等の理由から、スマートフォンの市場調査等では、狭義のスマートフォンの範囲(大元はPDAの範囲)からは外されることが多い。
日本の高性能携帯電話は、通称としてフィーチャーフォン、俗には日本独自の進化を遂げた携帯電話としてガラパゴスケータイ、ガラケーと呼ばれるのが一般的である。
契約上のトラップ
契約時など「よく分からないけど店員の方が詳しいんだから全部任せればOK」と何も考えず言われるがまま勧められるがままに頷いてしまう…と、余計なプランやオプションまで付与されてしまい月々の支払いが増えてしまうので要注意。(→携帯電話の項目でも述べられている)要するに自分で調べない人はただのカモである。(基本的に何か付けてもらえると言われても全部断っておけばオッケーである。携帯会社がおすすめするオプションより安くて高サービスなものは沢山あるし)
自身の利用量や用途に合っていない場合もある。他製品や他社との比較も必要。某社などCM広告通りの通信速度の出ないものもあるが、それしか使っていなければ絶対に気付かない。
いまこれを読んで真っ青になった方、心当たりのある方は、ちゃんと調べる、契約内容および料金を一度見直してみるのも良いだろう。(違約金があっても他社が乗り換え料金を負担してくれる場合もある)
フィクションにおける登場
主に2008年以降に徐々に普及が始まったため、2010年代以降の作品にはスマートフォンが登場する場合が多い。
折り畳み携帯や文字液晶だけの携帯など、過去の作品を見ることで時代を感じることもある。興味のある作品・漫画などを見返してみると面白いかもしれない。長期連載のこち亀や名探偵コナンなどは顕著。
2009年公開のサマーウォーズには登場していた。全員が持っていた訳ではないが。
初めてスマートフォンが登場したアニメは何か - カトゆー家断絶 (hatenablog.jp)
主なスマートフォン用OS
スマートフォンは多くの場合、同一のOSであれば同一のアプリが利用できる。
以下の表では、主なスマートフォン用OSと、それに対応する日本国内における主な機種を挙げる。
OSの名称 | 提供元 | 主な国内機種 |
---|---|---|
Android | Open Handset Alliance (Google主導の団体) |
XPERIA、ISシリーズ(IS02、IS12T除く)など多数 |
BlackBerry OS(BlackBerry) | Research In Motion (RIM) | BlackBerry Boldなど |
iOS(iPhone OS) | Apple | iPhone |
SymbianOS | アクセンチュア | 702NK/NK II、705NK、X02NK、N82、M1000(UIQ)など多数 |
Windows Mobile(6まで) | Microsoft | W-ZERO3シリーズ、X01HT、IS02など多数 |
Windows Phone(7・8) | Microsoft | IS12T |
Windows 10 Mobile | Microsoft | MADOSMA Q601 |
当初は圧倒的なシェアを誇ったSymbianOSもAndroidやiOSに押され、2012年に最後の搭載端末が登場、2013年には開発が終了している。
さらにBlackBerryも2016年9月に自社端末製造及びスマートフォン向けOSから撤退してAndroidに切り替えており、その後の携帯電話向けOSはAndroid・iOS・WPのみが新規で提供されていたが、2017年10月にWPは開発終了を宣言[1]した。
スマートフォンとWeb
スマートフォン用のWebブラウザは基本的にPC用のサイトを表示するためのものとなっている。携帯電話用サイトを見ようとする場合、PCから見られるサイトはスマートフォンでも見られるが、ブラウザのUser-Agentによる自動振り分け、携帯電話の端末固有番号を利用した認証など、携帯電話限定のアクセスを前提としたサイトは見られない場合がある。そのほか、
- 静電式タッチパネルは指での操作(スタイラスペンが使えない)が前提であり細かいタッチ操作に向かない
- PC用サイトが縮小表示されると文字が見づらい
- PC用サイトはブロードバンド前提でデータが重く、読み込みに時間がかかる
- OSや端末性能によってはFlashが見られない(後にFlashがサポート終了し発展的解消となった。)
- ごくまれに表示が崩れることがある
などの理由から、スマートフォンではPCと全く同じように快適にWebが見られるとは限らない。
このため、スマートフォンのユーザー層拡大とともに、スマートフォンで見やすいサイトの需要も増加しつつある。上記の問題については、
- 指でも押しやすいサイズのリンクボタン
- スマートフォンの画面幅を前提にしたページレイアウト
- 携帯電話用サイトに近いレベルで軽量化したデータ
- Flashに依存せず、HTML5+JavaScript等で機能を代替(後にFlashがサポート終了し発展的解消に)
などが主な解決策となり、スマートフォン専用に作られたサイトも一部では作られている。
しかしながら、日本の場合スマートフォン専用サイトであっても3Gや4G LTE通信といった高速回線を前提としたサイト作りがされていることが多く、諸外国と比べてデータの軽量化が成されていないという指摘もある。携帯・スマートフォン向けサイトのトップページのデータ量は欧米では100KB程度が平均値であるのに対し、日本の場合は1MB前後が平均値であり、欧米と比べると実に10倍も重い。日本のスマートフォンサイトは見た目の華やかさや便利さでユーザーを惹きつけようとしているサイトが多く、画像データの多用やweb広告などを仕込んでいることなどが軽量化を阻んでいる主な要因と考えられる。
また、データ量の多さは4G LTEの通信速度制限(かつては月7GBが主要プランだったが、現在は定額プランである2~30GBに切り替わっている)にも響く。携帯電話各社は1ページあたり容量の目安を150KBとして1ヵ月に見られるwebサイトのページ数を換算しているが、実際には前述のとおり(平均約1MB)であり、実に7倍近くもの乖離がある。携帯電話会社の目安を信じてネットサーフィンを続けていると、2週間も経たないうちに通信速度制限に引っかかり、以後月末まで128kbpsでしか通信出来なくなってしまう恐れがあるので、アプリやツールを活用して自分がどれだけ通信したのかを確認するクセを付けておくことが望ましい。Wi-Fiなら通信速度制限気にする必要ないので使える場所ならどんどん利用した方がいいと思われる。(とはいえ2020年代現在ではライブ動画や動画視聴でもしない限り家ではwi-fiを使う場合3GB前後で落ち着く傾向にある。なおモバイルWi-Fiは種類によっては4G LTEから電波を介しているのでもちろん制限あるので注意)
大まかな歴史
1990年代~2000年代初頭
小型コンピューターの汎用性と携帯電話・PHSの通信・通話機能を融合させる試みは1990年代から行われていた。国内では東芝の「GENIO」(1997年)や京セラの「DataScope」(1997年)、海外ではノキアの「Nokia 9000 Communicator」(1996年)やリサーチ・イン・モーション(RIM)の「Blackberry」(1999年)などが発売された。
その後、海外では2001~2002年頃から、Symbian、Palm、Windows CE/Pocket PC(現Windows Mobile/Windows Phone)、Blackberry等のOSを使った、「通話機能を持ったPDA」が続々と発売された。これらは通常の携帯電話(通話とSMS程度)よりも多機能な携帯電話「Smartphone」と呼ばれ、コンピューターリテラシーの高い層を中心にユーザーを増やしていった。
「スマートフォン」という名称は、1995年にアメリカで発行されたビジネス向け資料においてAT&Tが発表していたタブレット端末に対して初めて用いられ、これ以降「スマートフォン」と呼ばれる製品が増えていった。[2]
2000年代中頃
一方、日本では、海外のようなスマートフォンの普及は同時期には進まなかった。
- 当時海外で主流だったGSM方式の端末は国内向け電話機として使用できない(第3世代のW-CDMAはOK)
- iモード等の携帯電話向けネット接続サービスやモバイルコンテンツビジネスへの適合が難しい
(ただしキャリアメールについては、ウィルコムとイーモバイルは端末登場と同時に対応している) - 高機能機が低価格で投入される日本市場は携帯電話端末の進化が速く、海外と違ってスマートフォンが必要とされる機会が少ない
- PDAユーザーには定額通信のPHSカードが普及したため、通信機能は内蔵でなくても困らない
(もちろん内蔵のほうが出っ張りが少ないため使いやすいが、定額であることのほうが重要)
という逆風の中、ノキア「Vodafone 702NK」(2004年、ボーダフォンより発売)、モトローラ「FOMA M1000」(2005年、NTTドコモより発売)が日本に上陸したのち、シャープ「W-ZERO3」(2005年、ウィルコムより発売)の登場で、ようやく日本でもコンピューターリテラシーの高い層や法人ユーザー(PDAを使用したシステムの置き換え)を中心にスマートフォンが普及し始めた。
その後にシャープや東芝、HTC等の端末(主にWindows Mobile)が定期的に発売された。が、販売数合計としてはまだ年間数十万台程度であり(参考)、携帯電話市場全体でのシェアは低かった。
2000年代末~2010年代初頭
国内で一般の携帯電話ユーザーにスマートフォンが認知されるようになったのは、アップル「iPhone 3G」(2008年、ソフトバンクモバイルより発売)の影響が大きい。特に、2009年に行われた「iPhone for everybody キャンペーン」で端末価格が実質0円になったことで、スマートフォンの高い価格イメージは一変し、誰にでも気軽に手に入るものへと変わった。
ほぼ同時期に、国内の従来型携帯電話市場は(販売方式変更による)端末価格高騰と、キャリア主導サービス展開の停滞により低迷。iPhoneの独り勝ちという状況が1年ほど続いた。
また、iPhoneの成功を機に、
- 静電式タッチパネルと高速CPUによる、高速・直感的な動作
- GPSやコンパス等を活用した、モバイルならではの位置情報サービス
- App Store等初心者でも簡単にアプリを入れられる、公式アプリマーケットプレイス
などが、新世代スマートフォンのトレンドとなりはじめた。
その一方で、GoogleのスマートフォンOS・Androidの登場とともに、モトローラ、サムスン、HTC等の大手端末メーカーが端末を続々と発売。Androidは瞬く間にiPhoneの対抗馬としての地位を固めた。国内メーカーも、端末の販売不振を打開するため2010年頃からAndroid端末を市場に投入。2011年現在ではiOS(iPhone OS)・Androidの2大新興OSが全世界的にシェアを拡大している。
新勢力の台頭に対して、旧勢力も新たな動きを見せた。マイクロソフトは、旧バージョンとの互換性を捨てた軽快な新世代OS「Windows Phone 7」を開発し、2010年冬にリスタート。その後Symbian OS端末の大手ノキアがWP7への移行を決めたことで、業界には新たな衝撃が走った。また北米ビジネスユーザーを中心にファンの高い支持を集めるRIM Blackberry陣営は、タッチパネル端末やタブレットの発売等で巻き返しを狙ったが、急速に勢力を拡大したAndroidとiOSに押される形でシェアを維持できず、ブランドを委託する形で自社製造からは撤退し、OSもAndroidに切り替えたことで、一つの時代が終焉している。
現在、国内市場においては、従来型携帯電話(ガラケー)の販売数が減少し、代わりにスマートフォンの販売数が右肩上がりで増大している。
NTTドコモは従来型端末のシリーズの1つであるスタイルシリーズ以外を2011年の秋以降廃止し、iモードケータイ(従来型携帯電話端末)の発売は年1回程度にすると発表した。またソフトバンクモバイルでは2011年5月に機能を絞った携帯電話以外は全てスマートフォンに置き換える方針であることを発表している。
これらの状況から国内市場における「携帯電話」の殆どが「スマートフォン」に置き換わろうとしている。
2010年代中期以降
スマートフォンへの移行に伴い、携帯端末での通信量が増大し、また高速化が図られた反面、パケット定額料金等で携帯料金、更には端末の高性能化によりその代金が大きく上昇する問題が発生した。これに対し総務省が介入し、2016年からは過度なMNP優遇策などに抑制がかけられるようになった。そのこともありMNP優遇に対してはだいぶ抑制された。
しかし本来の問題であったはずの長期契約者の優遇や基本料金高騰化の抑制には相変わらず消極的なことから、ほとんど携帯料金は安くなっていないのが現状である。むしろ同時に総務省が一括・実質0円に近い端末販売を禁止するようにと是正命令を出したことで、今までは通信費に上乗せされていた最新機種の端末購入時の一括や初期の支払い料金が跳ね上がり、機種変更時の消費者側の負担は増しているとの声も強い。
また前後し、格安SIMと廉価なSIMフリースマートフォンを組み合わせた「格安スマホ」も2010年代から普及するようになり、3大キャリア以外に格安SIMを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の契約シェアも増加しつつある。
特に2015年以降の「格安スマホ」の進化は著しく、日本ではその前年である2014年の冬に発売されたASUSのZenfone 5を皮切りに「格安スマホ」の知名度が爆発的に伸び、2019年まではASUS・ファーウェイ・ZTE・HTC・モトローラといった中華・台湾の「格安スマホ」がしのぎを削っていたが、台湾機は世界的な売り上げ不振でミドルレンジから撤退、中華機も米中貿易摩擦の影響でファーウェイとZTEが脱落したことで勢力図が激変、代わりに別の中華メーカーであるOPPOとXiaomiが台頭している。モトローラに関してはMoto G4 Plusの初期の品薄とMoto G5のアップデート不履行(DSDS未対応)で消費者からそっぽを向かれた影響が大きいだけでなく、その後の機種は他社の後追い気味になっていることもあり、以後も一応日本でミドルレンジの格安スマホを展開しているが終始空気である。
また国産ブランドでもAQUOS(SHARP)・ARROWS(富士通)・京セラの3社がSIMフリーの「格安スマホ」を販売している大手となっており、日本のスマートフォンでは標準で実装されている防水・防塵・おさいふケータイ対応を売りにして、一定の人気を得ていたが、2017年にAQUOSがSenceシリーズを投入して以降は国内メーカーの格安スマホの売り上げでは独走状態である。また2018年に国内メーカー1位から脱落したXperiaも頑なに日本では販売しなかったミドルレンジのSIMフリー機を2020年から投入しており、巻き返しを図っている。
世界に目を向けると、SoC(System on a Chip。CPUやGPUなどを一体化したもの)性能が各社横並びになったためカメラ性能で差別化するようになり、3眼や4眼が当たり前となった。これにAI処理を掛け合わせることで高品質な写真が気軽に取れるようになり、デジカメ市場を蹂躙しつつある。このカメラ競争に出遅れた日本勢は、世界シェアを大きく落とすこととなった。
従来式携帯電話(ガラケー)の終焉と新しい折りたたみ式携帯電話(ガラホ)について
従来式携帯電話(ガラケー)についてはこの時期に入ると完全に衰退。キャリアでは細々と機種が発売され続けていたものの、最後まで販売を続けていたNTTドコモでも2015-2016年冬春モデルの発売時を最後に新型の機種が発売されなくなり、2016年11月2日にiモードケータイ製造の終了がアナウンスされたことで、3G向けの従来式携帯電話(ガラケー)の製造は日本では完全に終了した。現在は従来型携帯電話に替わる形で「ガラホ」[3]と呼ばれる新しい折りたたみ式の携帯電話が販売されている。
「ガラホ」は「ガラケー」からOSをAndroidOSに置き換え、かつ4G・Wi-fi通信を可能にした従来式携帯電話と同じ折りたたみ式を採用した携帯電話で、日本では一定の需要がある従来式携帯電話が欲しい人向けに開発された物である。キャリアでの基本料金はスマホ向けよりも安く提供され、かつ「ガラケー」よりも機能的に便利になった部分がある。しかしそれ以上にAndroidOSは従来式携帯電話での採用を想定したOSではないため、SymbianOSを採用していたガラケー時代に比べると操作性や電池持ちが劣化しているとの声が強い。特に初期の「ガラホ」は「ガラケー」ではほぼ対応していたおさいふケータイに非対応、かつ操作性も手探り感が顕著にでるなど最適化がうまくなされていなかったため、著しく「ガラホ」の評判を下げる原因となった。
更にAndroidでは多種多様のアプリをダウンロードできるGoogle Playにも仕様上の問題もあって非対応のため、その代替サービスとなるキャリアのサポートを受けづらいSIMフリー機の「格安ガラホ」の場合は改造でもしない限りアプリを新規で入れにくいため、かなり制約の厳しい機種となってしまっている。
一方で画面そのものを折り畳む端末も登場した。2019年にSAMSUNGが「Galaxy Fold」を一般発売して以降、各社が競うようにして折り畳みスマホを開発。当初指摘されていた耐久性の問題も2020年に入ると改善され、未来を先取りする端末として注目を集めている。しかし依然として値段は高く、大衆の手に届くのはまだ先の話になりそうだ。
主なメーカー・シェア
メーカー | シェア(1Q11) | 主力OS | 主な機種 |
---|---|---|---|
ノキア(芬) | 24% | SymbianOS→WP | NokiaNシリーズ |
アップル(米) | 19% | iOS | iPhone |
RIM(加) | 15% | BlackBerryOS | BlackBerryBold |
サムスン電子(韓) | 13% | AndroidOS | GalaxyS Nexus |
HTC(台) | 10% | AndroidOS | HTC EVO |
Sony Mobile(日) | 5% | AndroidOS | Xperia |
モトローラ(米) | 4% | AndroidOS | Motorola PHOTON |
LG(韓) | 4% | AndroidOS | Optimus |
2011年当時の世界シェアはこの通りである。
このうち、ノキアとRIMはシェア減衰が著しく、逆にアップルとAndroidOS使用メーカーは伸び幅が大きい。特にサムスンは、1年でシェアを3%から13%へ、実に4倍に伸ばした。
日本国内においては、アップルが61%、Sony Mobileが21%を占めている。
国内メーカー最大手は、auのISシリーズで人気を伸ばしたシャープである。続いてほぼ同シェア(両者とも7%程度)で東芝が続く。
国内メーカーは、世界市場において殆ど土俵に上がれてすらいないと言って良い。
SONYが出資し、現在では完全子会社化が検討されているSony Ericssonを国内メーカーと見なすならまだしも、それ以外の日本企業のシェアを全て合わせても、世界全体で見るとわずか2%に過ぎない。
2014-2016年のシェア
世界シェアのトップ14からノキアとRIMが姿を消し、Appleとサムスンが2強という形でシェアを牽引しているもの、勢力図は大きく変化している。特にシェアのトップ14のうち10社を中国メーカーが占めるようになっており、台湾メーカーですらほぼ締め出されている。モトローラも引き続きランクインはしているものの、現在モバイル部門は中国企業に売却されており別メーカーと言ってもいい状態であるため、辛うじてシェアを維持しているのはAppleとサムスンを除けばLGのみである。逆にファーウェイのシェアはAppleとサムスンに拮抗するところまで台頭している。ちなみに国内メーカーの世界シェアはさらに減退しており、ソニーモバイルを含めてすら世界シェアの1%にも満たない状態にある。
国内においては勢力図にほぼ変化はないが、東芝やパナソニックが撤退する一方で、PのLiteシリーズで日本のSIMフリー市場で知名度を向上させたファーウェイが急速に台頭。ただし日本ではSIMフリーの市場が小さいためそれ以外の影響は限定的で、三大キャリア全てに機種を卸しているApple、シャープ、ソニーモバイル、サムスンの4社がシェア上位を占め、さらに富士通と京セラを合わせた6社でシェアの9割以上を占める。そのあとにLG、HTC、ZTEなどのキャリア向けにも機種を卸している国外メーカーが細々と続く感じであり、SIMフリースマホのみを販売しているメーカーの売り上げはさらに落ちるのが現状。
……が2017年までの状況だったのだが、キャリア相手に本格的に機種を出したファーウェイが9.6%のシェアを確保してソニーモバイルを抑えて総合3位に食い込んだほか、SIMフリーの日本市場ではZenfoneシリーズで知られるシェア2位のASUSが4.9%のシェア(総合5位)を獲得している。総合2位(11.4%)と健闘したシャープも、同年のミドルレンジのスマホである「AQUOS Sence」を多角販売して成功したのが躍進に繋がった一方、キャリアでのハイエンドしか販売しないソニーモバイルが8.9%の総合4位どまりと低迷したことから、2018年になってミドルレンジ以下のスマホの売り上げが全体シェアに影響を与えるほど状況が一変した。
またファーウェイも日本の三大キャリアの2018年夏モデルにスマホの主力機種を出した事でニュースになったが、元々三大キャリア向けにも端末は継続して出していたので、日本市場でも実は新興メーカーというほどではない。ただし当時は知名度が無く、販売したスマホも日本では大コケしたため、日本のキャリア向けにはタブレットやキッズケータイ、ルーターなどに販売を絞っていたため、知名度が低かったという事情がある。ただし今回は知名度を大幅に上昇させた上で、満を持しての三大キャリアに主力機種を投入したという状況に変わっており、上位に食い込むほどシェアを伸ばす公算が高いと思われる……はずだった。
2017年以降における世界の動向
メーカー | シェア (2018 Q2) |
主力OS | 主な機種 |
---|---|---|---|
サムスン (韓) | 20.9% | Android | Galaxy |
ファーウェイ (中) | 15.8% | Android | nova honor P Mate |
アップル (米) | 12.1% | iOS | iPhone |
シャオミ (中) | 9.3% | 独自OS (Androidベース) |
Mi |
OPPO (中) | 8.6% | Color OS (Androidベース) |
R A F AX |
その他 | 33.2% | -- | -- |
資料: CNET Japan 2018年08月01日 11時46分
アメリカと中国の既得権益をめぐる貿易・技術・通信などの複数の摩擦から始まった新時代の冷戦とも言える状態が21世紀に入ってから徐々に深刻化しており、中でもスマートフォン市場などの通信方面でも上位を占めるファーウェイとZTEをアメリカが名指しで批判をより強めはじめ、2018年に入ってついに直接的な制裁にまで手を出したことで、スマートフォン市場にも大きな影響が出始めている。
ZTEは部品を一切調達不能になったこともあいまってアメリカの制裁にすぐに屈した形になったが、世界シェアではZTEを凌ぐ巨大企業であるファーウェイはアジア(日本を含む)や欧州でのシェアにおいてはZTEを大幅に上回る形で持つため、ZTEの時よりも大きな問題となっている。
既にアメリカの巻き込まれ制裁を恐れ、ほとんどの国がファーウェイ(ZTEもだが)の製品は、公的機関のみならず最終的には一般市場にまで輸入を最悪禁止せざるを得ない状況に追い込まれつつある。当然中国は猛反発しており、アメリカの製品のボイコット運動などに繋がっている。日本でも公的機関はともかく、格安スマホ向けではコスパに優れることから非常にファーウェイの勢力が強いほか、大手キャリアでもドコモはプライベートブランドやルーター、キッズケータイといった一般向けの製品、ソフトバンクはスマホやルーターのみならず、通信事業の中核とも言えるインフラにもファーウェイやZTEの製品を採用していることから、格安スマホ・キャリアスマホの両市場において影響が懸念される。
最近ではファーウェイのNo.2がカナダにおいてアメリカの差し金で別件逮捕・拘束され、その報復措置として中国でカナダ人が複数拘束されるという事態にまで状況が悪化しており、これ以上事態が深刻化すれば一般人がまともに携帯電話すら買えなくなるような時代に逆戻りもありうるだけに、一般への悪影響はこれ以上進んで欲しくないと願うばかりである。
米中貿易摩擦は2019年の第2Qに入ってアメリカが中国から譲歩を引き出す格好で関税合戦は続いているものの若干落ち着いてきたことで、ファーウェイは何とかスマホやルーターのリリースを続けることが可能になったため、こちらに関してはとりあえず一息つける格好となった。……というのもつかの間であり、2020年にアメリカの追加制裁によってフラグシップのSoCの調達や自力生産も不可能になったため、スマホ事業そのものの存続自体が危ぶまれることになった。
また2020年に入り、中国本土で新型コロナウィルスによる新型肺炎がパンデミックを起こしたことも深刻になっており、一時は部品供給が止まりスマホに限らず工業生産体制全体が停滞しかけ、コチラの立て直しが急務であったが、こちらに関しては新型コロナウィルスの流行自体は終息する気配すら見せないものの、流行していることが常態化してしまったことで、皮肉なことだが生産体制の混乱は収まりつつある。
また極度の反日と親北朝鮮の二大政策を続け、日本との関係改善をする気すら見せないどころかさらに反日を煽ることにしか興味のない文政権が率いる韓国政府に愛想をつかす格好で日本の関係が既に冷え切っていたがさらに悪化し、日本から韓国に対して経済制裁のカードを切る形となった。韓国はサムスンとLGの巨大電機メーカーがスマホでも世界的に大手なのだが、日本企業とも加工貿易の形でこの2企業は密接な関係がある。そんな中で韓国政府の極度な左派政権の余波に巻き込まれる形で、その第1弾として半導体やディスプレイ関連における素材の取引を日本から2019年7月より制限(輸出禁止ではないが、輸出手続きが面倒に)されるという深刻な事態に陥った。LGは(スマホだけで見れば)シェアが2017年以降に下落してるので(他の電化製品への影響はともかくとして)スマホ分野における世界的な影響はそれほどでもないが、サムスンは2010年以降はAppleとともに世界的にもスマホを牽引してきたメーカーであり、日本でもサムスンのGalaxyはスマホ黎明期からのおなじみの人気機種として知られる。サムスンが打撃を受けることでスマホの勢力図が世界的に激変する可能性もあったが、杞憂に終わった。
一方インドでは中印国境を巡る中国との対立が激化し、2020年には武力衝突に発展。これに対抗してモディ政権や商工会が大規模な国策ボイコット運動(家電・日用品・アプリ・インフラ・民間交流・渡航客・更には中華料理まで!)を呼び掛けた結果、各地でXiaomiやOPPOの売上が一時的にダウンし、見せしめとして製品がゴミ箱に投げ捨てられたり燃やされる事態に陥った。近年インド市場で低迷していたSAMSUNGはこの機に乗じて若干勢力を回復し、Appleも親米感情に乗せられて追撃態勢に移行。地元メーカーとアメリカのIT企業がタッグを組む動きまである。勿論中国勢もやられっぱなしではなく、Xiaomiは現地生産に切り替えブランドもインド発の"POCO"が中心に。OPPOも同様にインド発のブランド"Realme"を全面に押し出すなどして、インド国民と政府の機嫌を損ねないよう必死の企業努力が続いている。とはいえ政府によるアプリ排除はこれらメーカーのオリジナルアプリにも及んでおり(中国資本が入っているものを無差別に排除しているものと思われる。有名なものではPUBG mobileも)、世界第二の規模を誇るインド市場も今後の政情次第で構図が激変する可能性がある。
HUAWEI制裁の手を緩めない米政府だが、2021年に入り新たなターゲットに目をつけた。当時世界シェア3位にまでのしあがっていたXiaomiである。1月、Xiaomi等の複数企業を国防総省のブラックリストに指定し、再びガジェット界に激震が走った。後にXiaomiが訴訟を起こし5月に処分撤回を勝ち取ったものの、悪化の一途を辿る米中関係の切り札として政治材料に使われる可能性は否定できず、余談を許さない状況が続いている。
このように対中情勢の緊迫化で西側陣営には追い風となっている。一例としてNOKIA(スマホ部門)はMicrosoftへの身売りを経て地元フィンランドの企業に売却され再出発。格安路線に切り替え、一連の騒動が始まった2019年以降ヨーロッパを中心に勢力を回復しつつある。ところがLGはこの波に乗れなかった。2019年以降2画面スマホや静脈生体認証搭載スマホ等の変わり種機種を相次いで発売したものの、失った顧客を取り戻すことはできなかった。2020年に入ると製品ラインナップは更に迷走し、他社との価格競争にも尽く敗北。反中感情が爆発したインド市場を除けば極めて低調に推移し、母国でも盛大にズッコケてしまう。他事業が好調な中で経営の足枷となっていた2021年4月、遂にLGはスマホ事業からの撤退を発表した。同様にかつて世界を席巻したHTCとSONYも落ちぶれてしまっているが...この2社の未来は果たして。
2021年以降における世界の動向
メーカー | シェア (2021 Q2) |
主力OS | 主な機種 |
---|---|---|---|
SAMSUNG (韓) | 19% | Android | Galaxy S Galaxy Z Galaxy A Galaxy Note |
Xiaomiグループ ※POCO含む (中) |
17% | Android | Xiaomi Redmi Xiaomi MIX Redmi Note |
Apple (米) | 14% | iOS | iPhone |
Vivo (中) | 10% | Android | NEX X S iQOO |
OPPOグループ ※Realme・OnePlus含む (中) |
10% | Android | Find X A F Reno |
資料: AFPBB News 2021年7月20日 13:05
王者SAMSUNGが失速。生産拠点であるベトナムの新型コロナウイルス感染拡大で出荷能力が低下したことや、値段の高止まりに加え技術力のアドバンテージがほぼ失われたことで敬遠されるケースが増え、2021年6月期には初めてXiaomiに首位を明け渡した。コンパクト難民やタブレット市場の吸収を狙い折りたたみスマホ「Z Flip」「Z Fold」で巻き返しを図っているがまだ高価で、どう転ぶかは不明である。他社はHUAWEI制裁の恩恵を受けて業績を拡大したが、とりわけ大躍進を遂げたのがXiaomi。折からの低価格に加え高い技術力で一躍世界屈指のメーカーに上り詰めた。しかしメッセージを検閲していた疑惑でリトアニアでは不買・廃棄運動が巻き起こるなど、依然として政治に左右される危なっかしい状況が続いている。Appleは他社から1年遅れて5Gスマホを発売し、買い替え需要を獲得。また日本や台湾など親米感情の強い国・地域では更に業績を伸ばした他、何と中国大陸市場でも巻き返しつつある。
日本勢はお察しの通り蚊帳の外であり、本国+主に親日国・地域に販路を絞っている。例外としてSONY Xperiaは一部の国で細々と販売され好評を得ているが、嗜好品として扱われているのが現状で、世界上位のシェアを維持してた頃にメイン販路だったアジアや西欧でシェアがあった名残で、特にまともに勝負出来ていたイギリスや台湾で未だにシェアを少し残すものの、現状のシェアは2~3%と風前の灯火であり、中国メーカーがさらに本腰を入れて進出すれば完全に締め出される日も遠くないと思われる。
なお実態は蚊帳の外どころか、2024年現在で国産企業として民間向けにスマホ作っているのはもはやSONYのXperiaのみである。AQUOSを要するSHARPは2016年の時点で会社自体が経営危機に陥っており台湾大手の鴻海がなんとか会社ごと買い取ってくれるという有り様、arrowsの富士通もスマホの赤字拡大から事業を維持できず、2018年に投資ファンドのポラリスを経て独立させたものの業績は好転しないまま2023年に倒産、そのまま事業ごと中国大手のレノボが引き取ってなんとか事業継続という末路をたどり、京セラも2023年時点で民間向けのスマホ生産から撤退を表明した。なお京セラとすでに民間向けのスマホ事業から撤退して久しいPanasonicは法人向けのスマホでは国内外でコアな顧客を確保しており、一度は民間向けスマホから完全撤退を表明した京セラは法人の海外向けで堅実な業績を出しているタフネススマホのみは民間向けに転用販売する方針をその後に出している。
技術革新が著しい中国大陸市場ではOPPOとVivoが激しい首位争いを繰り広げ、Xiaomiが猛追している。制裁に耐え切れずHUAWEIから切り離されたHonorも業績を伸ばしているが技術力の低下が著しく、また再びアメリカが制裁を加える動きを見せており、先行きは不透明である。中極内でのシェア争いこそやや空気だが、一度は制裁で沈んだZTEはいつの間にか復権していろいろな機種を出していたりする。しかし市場の成熟化と過当競争、端末の高額化によって未曾有の不景気を迎えており、零細企業は淘汰が進んでいる。そんな中でも業績を拡大したのがApple。富裕層を中心に根強い人気を維持した上、他社のユーザーを奪うことに成功しシェア1位を記録する月も。遂に中国もAppleの軍門に下ってしまうのか。
日本・香港・台湾市場ではAppleが独走体勢に入った。とりわけ台湾では対中情勢が悪化した2019年頃より驚異的な伸びを見せ、Android全体のシェアすらひっくり返しそうな勢いである。地元企業のASUSやHTCは存在感を示せていないが、ASUSに関してはZenfone6以降はハイエンド機種のみに機種を絞っていることを考えれば日本や台湾のシェアでは健闘していることも留意すべきである。韓国市場ではLGが撤退しApple製品の販売に切り替えたため、SAMSUNGと全面戦争の様相を呈している。
欧州市場ではOPPOとVivoが新たに参入し混戦模様。ただし中華スマホに限れば欧州市場はXiaomi一強の影響もあるのかOPPOはRealmeが失敗するなど今ひとつ勢いが続かず、VIVOはそれ以上に不振。結果的に伸びてきたのがTECNOでOPPOやHoner、モトローラなどを抑えてXiaomiに次ぐ4位にまで浮上している。App Store以外からのアプリ入手を認めずロイヤリティも高いAppleへの風当たりが強まっているが、EUや各国がサポート期間の延長や修理する権利を主張し始めたため他社も対応に追われており、ビジネスモデルそのものが変化する可能性がある。
インド市場での国策ボイコット運動は長続きせず、国内企業やAppleの巻き返しも不発に終わった。XiaomiとサブブランドPOCOを筆頭に、RealmeやOnePlusを有するOPPOとSAMSUNGを加えた三つ巴の争いが続いている。しかし中印国境問題は何ら進展しておらず、むしろ悪化の一途を辿っている。このため引き続き中国勢には逆風が吹いていることは留意されたい。
東南アジア市場ではHUAWEIに代わりOPPOが躍進。Realmeと合わせ3割を越えるシェアを獲得した。SAMSUNGとVivoが続き、Xiaomiは発展途上。
北米及びオセアニア市場ではAppleの一強が続いている。北米ではAndroid勢がやや盛り返してきたが、オセアニアでは変化なし。OPPO傘下OnePlusを除き中国メーカーが進出していないのが特徴である。とりわけ反中感情の強い地域であり、政治的な対立が強まる今後も進出は厳しいだろう。
南米市場ではSAMSUNGとmotorolaが依然として強い。比較的高いシェアのあったLGが撤退したため中国勢が雪崩込んでおり、2社がシェアを守れるかに注目したい。例外としてチリではAppleが優勢である。
中東・アフリカ市場では中国のTransmission Holdingsが展開するTECNO・itel・Infinixの天下であり、SAMSUNGがトップ5に入るのがやっとである。経済力の問題もあり、Appleは全く通用していない。この地域ではHUAWEIも高いシェアを持っていたため、今後勢力図が激変する可能性がある。
ここまで散々言及されてきたHUAWEIだが、トランプ政権が退陣しても制裁は緩まず、逆に強化された。このため製品の販売のみならず開発も滞り、遂には5Gスマホを販売できなくなった。この局面を乗り切るべく経営の多角化に着手しているが、少なくともスマホ事業は地元中国でも凋落の一途を辿っており、お先真っ暗だろう。一方で自国産業の保護を名目として輸入スマホの関税を引き上げる国が続出しており、特にブラジルやトルコでは常軌を逸する高値で取引されている。このようにスマホ市場は益々政治に左右されるようになっており、単純な技術力や財力、文化だけでは勝ち残れない世界と化している。
2019年以降における日本の状況
上記のゴタゴタでファーウェイはサポート面だけではなく新型スマホ(P40、Mate30以降)にgoogle Playを現時点では搭載不可という日本市場において致命的な状況に陥ったため、P8 lite以降に格安スマホのシェア1位を守ってきたP liteシリーズがP30 lite以降はやや失速し、新型SEや5G対応機(12シリーズ)で豊富な価格帯を揃えたAppleが強い親米感情も手伝って更に躍進。この間隙を縫ってOPPOが一気に台頭。さらにこの動きを受けて日本進出を前倒ししたXiaomiも加わり、既に勢力として根ざしているSHARPとASUSを加えた戦国時代に突入しようとしているのが現在のSIMフリースマホの日本市場である。
ただしASUSはミドルレンジを展開していた主力市場(日本を含む)においてシェアの大半をOPPOに奪われて以降は得意分野だったミドルレンジが壊滅的な打撃を受け、2018年から徐々にミドルレンジ以下のスマホやAndroidタブレットの展開から縮小を開始、2020年以降はスマートフォンを完全にハイエンドのみに絞って出血を抑える方向に転換したため、シェアは大幅に縮小。ただしその方針転換でスマホ部門における大幅赤字転落は免れており、HTCやLGのスマホ部門に比べて打撃は受けていないのは、ミドルハイ以下のスマホにおいて生産力で勝る中華スマホに市場で対抗不可と踏んでさっさと撤退した分だけマシだったという格好である。
実際LGは技術を他部門に転用する方向で2021年にスマホ事業撤退、HTCはスマホやタブレットに関しては細々と出してはいるが、2018年を最後にハイエンドのスマホは出せておらず、かなり苦しい状況にある。家電メーカーとしては好調を維持しスマホ部門の天文学的な赤字すら補填できたLGはともかく、HTCに関しては2012年以降のスマホ事業の不振で実際に会社が傾くほどの打撃を受けており、近年はVRゴーグル以外では自社名義のブランドにおいてはほぼ存在感がない。
2020年も相変わらずApple独走に歯止めがかかっておらず、Androidの首位も相変わらずSHARPが堅持。上位も上述の影響で圏外に去ったファーウェイ以外に大きな変動はないが、その中でファーウェイ以外にシェアを落としたのがXperiaである。Xperiaは虎の子のミドルレンジ投入や新トレンドを上げた21:9ディスプレイが2年目となっては日本でさえ通用せず、エントリーモデルが主力の富士通どころか、日本では最大キャリアであるドコモではカードケータイという謎ガジェットを除いて取り扱ってすらいない京セラにすら国内シェアで敗北を喫するなど、かつての日本のトップとは思えない惨状である。一応富士通と京セラには従来式携帯電話との合算におけるシェアでの敗北だが、国内における従来式携帯電話市場の衰退を見れば言い訳は通用しないところであり、斜陽が一層進んだことがうかがえる(SONYの名誉のために付け加えておくと、中途半端なラインナップで爆死した過去の反省を踏まえ、販売地域とラインナップ、顧客層を絞って赤字体質からの脱却を図ったもので、実際に2019年以降の国内シェアは下げ止まりの傾向にあり2020年には黒字転換を果たした。それでも万人受けする機種を出せなくなった事実は重く見るべきだろう)。
なお日本や北米以外で売るならgoogle Playはなくてもなんとかなるので、google機能搭載不可でもファーウェイの業績は(当初スマホも含めて)むしろ好調だったりする。この状況にブチ切れた米帝様はTSMC(半導体委託製造のトップ企業)に圧力をかけて、SoC受注をファーウェイから受けないようにと脅しかけ、それが履行される見通しとなってしまった。そこまでやるのか?という米帝様の徹底ぶりにガジェヲタを中心にファーウェイのスマホ事業の先行きが不安視される事態となったが、その危惧通りファーウェイはスマホの販売ルートとフラグシップ開発にトドメをさされた格好になり、スマホ事業の一部の譲渡を余儀なくされた。
なおサムスンとLGは役に立たない韓国政府に頼らず自力で日本の輸出審査をクリアと思われ、ある程度日本以外の原料を増やす必要はあったようだが、発表直後の混乱を脱出したことで最初期ほどの動揺はない模様。ただし転売で儲けられなくなった韓国政府の極左政権とその支援団体は逆切れしたままである。
キャリアスマホにおいてはようやくミドルレンジの日本投入を決めたXperia、Senceを要するSHARP、ミドルレンジ・ハイエンドのバランスがいいGalaxyが牽引する体制になっており、この3強がAppleを追う格好。それ以外では投資ファンドのポラリスに売却されたarrowsのエントリーモデルも比較的好調を維持している(なおハイエンドはコケた模様)。すっかり影が薄くなってしまったZTEだが、2020年に楽天モバイルが発売した「Rakuten BIG」の開発・設計を担当するなど、まだまだ諦めていないようである。一方のLGは日本でも変わり種機種を積極的に展開したものの、前述の通り2021年に事業撤退。スマホ黎明期を支えた企業がまた1社脱落することになった。
問題・騒動
画面ばかりを見ていて周囲の状況に鈍感あるいは無頓着になり、電車のホームや穴に落ちたり、人や自転車、自動車など様々なものにぶつかる「歩きスマホ」「ながら歩き」が社会問題となっている。携帯電話の頃からその傾向はあったがスマホに変わってきたことでこの事故が急増しているという。交通機関なども注意喚起を行っているが改善される様子はない。 → 歩きスマホ
またカメラが高機能化した事でトラブルの際等にカメラを回す者が現れ肖像権の侵害等のトラブルが以前より多く起きるようになった。銭湯やプールの脱衣所でスマホを弄る等のトラブルも発生している。
また、生活の中心がスマホに変わってきたことで、熱中しすぎてその他のことを放棄し、どんな時でもスマホを手放せなくなる「スマホ依存症」「スマホ中毒」の現象が起きている。海外でも児童と高齢者がその傾向になっている国もあるという。 [4]
スマートフォンの種別
スマートフォンといっても色々あるのでここに紹介する。
基準は2022年1月期
ハイエンド
別名フラッグシップと言われているように、各社が持てる技術の全てをつぎ込んで制作した性能重視のスマホ。Socはスナップドラゴン888系、メモリや容量も最大限に搭載しているなど性能は充実しているがその分、価格も高く10万円以上からとなる。近年はレンズを複数搭載、画素数やセンサーが大きくなるなどカメラ機能が充実している。ただし、チップが高性能になるに比例して消費電流や発熱が上がることやバッテリー容量の増大にも限界があるので、性能よりも安定性やバッテリー持ちを重視する人には向いていない。(ハイエンドスマホだと夏場だとスタミナモードで発熱を抑えても湧き出る発熱でカメラが使えなくなるといったトラブルも起きやすくなる。執筆者は鉄道車両の撮影や旅行先の撮影でXperia5IVを使っているが6月下旬~9月下旬の日中はカメラが使い物にならずGalaxyミッドエンドスマホで撮影する事が多い。)また、MicroSDカードスロットやイヤホンジャックが省略される傾向にある。最新型が出て型落ちになると在庫処分の為に安値で出回る事がある。最新型のミッドエンドより型落ちハイエンドの方が使い勝手が良い事が多いのでこちらを狙っていこう(中古販売の店で未使用新品を狙うのもあり。)
ミッドエンド
ハイエンドとローエンドの中間に位置するモデル。Socはスナップドラゴン600番代で、機種によっては700番代か型落ちの800番代。メモリや容量、カメラの性能などはハイエンドよりも一段階落とされるような感じで値段は5万円以上10万円以下。これより少し性能が上がったものをミッドハイと呼称することもある。性能が落とされている分夏場でもスタミナモードを駆使すれば夏場でも写真や動画の撮影がこなしやすいかもしれない。
ローエンド
5万円未満という低価格帯のモデル。Socはスナップドラゴン400番代、あるいはMediatek製などで、メモリー4GB、容量64GBなどスマホとして使うには最低限の性能しかない。3Dなど複雑なゲームには向かず、電話とメールさえできればいいかな人向け。カメラは期待するな。
ゲーミング
ゲーム性能を強化したハイエンドの亜種。高性能なチップほど発熱が高くなることから冷却性能が強化されている。ゲーム用にファンクションボタンを増設、見た目がゲームPCのように派手になっている。元のスペックが高いのでゲーム以外の用途にも使えるが値段の割にはカメラ性能が抑えられているのも特徴か。
コンパクト
画面サイズを5インチ未満に抑えたスマホ。近年のスマホは大型化が著しいので密かな人気がある。
タフネス
性能よりも電池持ちや耐久性を重視したモデル。上記に上げた理由からチップの性能は控えめ。
折り畳み(フォルダブル)
縦方向、横方向に筐体を折りたためるモデル。折りたたむとスマホ、広げるとタブレットといった使い方ができる。価格が高いのでハイエンドモデルが中心。
2011年のソニータブレットPが最初、2013年にはMEDIAS Wが登場するなど古くからあったのだが、この頃のスマホは筐体を二つ用意して、それぞれに液晶を張り付けるという形だったので広げてもベゼルによる線が出来てしまうことや対応アプリの少なさから2018年からZTEから出たものの廃れていた。
状況が一転したのは、技術の発達によって折り曲げられる液晶が発明されたこと。これによって広げてもベゼルによる線がなくなり、一気にリリースされる運びになった。
問題は機器の配置に制約をうけること、なによりも液晶の耐久性に疑問があることなどで、試行錯誤中のモデルだといえる。
キーボード付き
画面の下、あるいは筐体の下にキーボードがついていてスライドして引き出せるタイプのモデル。
利点はなんといっても文章が打ちやすいこと。スマホ黎明期にはBlackBerryが一大勢力を築いていたが画面が大型化することにつれて、キーボードが邪魔になっていたことから衰退している。
用語
- ベゼル
液晶を囲む画面の枠。
近年の技術の発達によって、液晶が筐体の限界までに大きくすることが可能になったため全面ほどんどが液晶といったモデルが多い。このため、インカメラをどこに設置するかという問題が発生した。 - ノッチ
ベゼルがなくなることによって、インカメラを収めるスペースがなくなったので画面にインカメラ部分を収める出っ張りを設けることで解決した。その部分をノッチという。
アプリによっては全画面表示できない部分ができるのでいらないという存在であり、ノッチを設けずにインカメラを設ける方法を各社が模索している。一番ホピュラーなのは画面にインカメラ分の穴を設けておくピンホール形式のもの。筐体内にインカメラが格納されているタイプや、使用時にはメインカメラが画面向きに持ち上がるギミックを仕込んでいるもの、近年では画面内にカメラを内蔵するものがある。 - ランチパック
中央部分が膨らんでいて、端に行くについて薄くなる筐体のこと。掌には収まりやすい反面、テーブルに置きにくいという欠点がある。Xperia暗黒時代の象徴でもあったが、まさか2021年に復活するとは思ってもみなかった。(なおその形状からそのモデルは1代だけで販売終了になり、メーカーもスマホから撤退した。)
関連動画
関連項目
- 携帯電話
- 携帯電話関連記事の一覧
- 格安スマホ
- スマホゲーム
- PHS
- タブレットPC
- フィーチャーフォン(feature phone)(ガラケー)
- ガラホ
- ファントム・バイブレーション・シンドローム(幻想振動症候群)
- SIMカード
- 格安SIM
- スマートフォン版
- スマートフォン版ニコニコ大百科
脚注
- *ただし、Microsoftは独自ブランドとしてSurfaceをタブレットPCとして出荷しているほか、そのほかのメーカーもWindows OSが採用されるタブレットを出すケースは非常に多い。スマートフォンとタブレットPCは基本的に画面の大きさと通話機能の有無を除けばほぼ同一のため、モバイル専用の開発が止まっても何らかの拍子でWindows系のスマートフォンが復活する可能性はある。
- *「スマートフォン」はどう進化してきたのか…1992年の「 IBM Simon」コンセプトモデルから、iPhoneや最先端の折りたためる液晶モデルまで 2019.2.1
- *なお「ガラホ」というのはKDDIが取得している商標のため、正確にはauから発売されている折りたたみ式携帯電話のみが「ガラホ」ということになる。ドコモの場合は「ドコモケータイ」、ソフトバンクの場合は「4Gケータイ」と呼ばれているだけである。機能面でも若干au機種の方が追加機能が多いが、SIMフリーで出ている折りたたみ式携帯電話はドコモやソフトバンクに比べてもさらに機能が制限されているため、折りたたみ式携帯電話だけはキャリアで使う方が利便性を考えても無難である。
- *韓国スマホ事情:サムスンは業績不振、いっぽう高齢者のスマホ中毒が社会問題化 (NewsWeek日本語版 2019年3月5日(火)17時10分)
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