『ザ・ロイヤルファミリー』とは、早見和真による競馬小説である。2019年から1年半、週刊新潮で連載。2022年に単行本刊行。
ワンマン社長の馬主とその一族に付き添い続けた「一人の秘書」の視点から、人と馬の20余年にわたる継承と克服の物語を描いている。
概要
原作
騎手や競走馬、牧場が中心とされがちな競馬メディアでは珍しく、馬主(正確にはそのマネージャー)を中心とした物語になっている。元々競馬ファンである早見は、世間一般の競馬=ギャンブルという認識に対するカウンターとして、馬主視点の物語を書くことを構想。3年半の業界取材を経て綴られた本書は、1勝すら困難な勝負の現実、競走馬抹消となった馬への対応、各関係者とのやり取りなどなどの「馬主あるある」ネタを満載しつつ、過度に湿っぽくならず露骨な性描写もない軽快な読み応えで読者の人気を獲得。2019年JRA賞馬事文化賞、2020年第33回山本周五郎賞をダブル受賞している。
物語は2部構成となっており、第一部が1997年~2010年、第二部が2011年~2018年ごろの出来事を描く。各部の最後のページには、その部で活躍した競走馬の登録情報と最終戦績表が掲載され、これを最後まで読んで初めて各部が完結する形となっている。
社会や日本競馬情勢は現実のそれをなぞっているが、登場する馬・組織はJRAを除いてすべて架空の存在。とはいえ「20世紀最高の種牡馬・ファイナルダンサー」「1990年代に供用開始した種牡馬ワールドグロウで日本競馬界を席巻した北海道苫小牧の北陵ファーム」「GI・7勝を収めた大人気種牡馬・ディクスアイ(父ワールドグロウ)」「北陵ファーム主催のセレクタリアセール」などなど、元ネタはうっすら推察できるようになっている。
ドラマ版
2025年10月、TBS日曜劇場にてTVドラマ化。主役陣に妻夫木聡・佐藤浩市・目黒蓮を迎え、『僕らはみんな死んでいる♪』『悪魔が来たりて笛を吹く』などを手掛けた喜安浩平が脚本を担当。メインビジュアルには2013年NHKマイルカップ勝ち馬のマイネルホウオウが出演し、放送前から競馬ファンの話題を集めた。主題歌は玉置浩二「ファンファーレ」。
制作にはJRAが全面協力している。競馬場・トレセン内部のロケ協力は勿論、本編レースシーンには過去のレース記録映像やジョッキーカメラ映像を提供し、現役騎手もチョイ役として出演。原作アドバイザーから引き続き騎手監修として参加する川島信二を始め、調教師監修に大竹正博、競馬指導に勝浦正樹などの現役/元関係者が参加している。他にも各馬主協会や、社台ファームを始めとする日本各地の牧場、競馬メディア、地方競馬組合も撮影協力に名を連ねる。2025年9月には北海道各地のロケでエキストラが募集されたが、現地の馬事関係者たちが振るって応募していたそうな。
レースシーンは引用元映像にCG馬を合成(1頭しれっと追加したり、既存の馬の上に合成したり)して描かれている。架空名を呼ぶ実況との違和感を無くすため、出走馬のゼッケン馬名を見えづらくする小細工も行われ、違和感を最小限に抑えている。まぁ、CG馬がウイニングポスト感丸出しとか、ムチの使い方やコース取りが変とか、中山芝2000のスタート位置が200mズレてるとか、戸崎の馬で単勝100倍越えはないだろとか、見る人が見ればツッコミどころも一杯だけど、そこはご愛敬ということで……。
時代設定は2011年から2030年ごろまでに移動したが、登場する組織はJRAを除いてほぼすべて架空の存在なのは変わらず。馬も仮名だが、架空馬を”演じた”馬や、レースシーンの引用元レースに出走した馬は、各話最後の出演馬クレジットに実名が記載されている。
ちなみに、同年秋クールのTBS系列は『ウマ娘 シンデレラグレイ』のTVアニメ第2クールが放送されるため、12月までの日曜日は「競馬中継→シングレ→ロイヤル」という競馬メディア尽くしとなる……とか言っていたら『シングレ』と『ロイヤル』の公式コラボが行われ、第一部と第二部の主役馬がそれぞれ放送開始前と作中登場前にウマ娘化するという斜め上の展開が行われることになった。
以下のストーリー要約や人馬紹介は、基本的に原作に準拠している。
第一部 希望
1997年。父亡き後の空虚な心を抱える税理士・栗須栄治は、友人の伝手から人材派遣会社社長・山王耕造に拾われ、3年後には彼の秘書に抜擢される。ワンマンかつ品のない言動で悪目立ちし、家庭内でも孤立し、しかし弱者には不器用な愛情を見せる耕造は、馬主として競馬に心血を注ぎ、「ロイヤル」冠の馬達で有馬記念制覇を夢見ていた。
そして2004年。栗須の昔馴染みで、今は実家の牧場で働く野崎加奈子から、ある一頭の馬の売り込みがあった。日高地方のノザキファームを訪れた耕造と栗須は、稲妻の流星を持つ若駒と出会う。
登場人物
- 栗須栄治(くりす・えいじ) / 妻夫木聡
- 物語開始時点(1997年)で29歳。長野県・諏訪出身。税理士、後ロイヤルヒューマン経理課→秘書課社員。耕造の金銭管理・手続きを一任されると共に運転手を務める。耕造からは「クリス(Kris or Chris)」という外国人風発音で呼ばれ、以後は周囲の競馬関係者からもそう呼ばれるようになる。
- ややワーカホリック気味で控えめすぎる私生活を除けば、人畜無害で、耕造の無茶ぶりにも耐える辛抱強さも持っている。親孝行する前に死んでしまった父と同い年だった耕造に父性を見出し、気前よく迎え入れてくれた恩義もあって、以後彼に付き従う。
競馬については、ロイヤルの馬のレースでは熱心に応援するものの、それ以外では馬主たちが馬一頭に億単位のカネを突っ込むチキンレースを繰り返すことを理解できず、自分は常に動物虐待に加担しているのではないかという罪悪感も持つなど、そこまで入れ込んでいるわけではない。そもそも耕造と知り合う前は競馬自体と全く縁がなかったこともあり、相馬眼は無きに等しい。
- 原作は彼の回想として語られ、作中での栗須本人も「主人公」というよりは「観察者・記録者」に近い。一方ドラマ版では栗須自身も語り部によって回想される立場になっており、気性難なロイヤル陣営を繋ぐ、主人公らしい活躍が多く描かれている。回を経るごとに仕事への熱意が増し、耕造たちとは違う意味での気性難に育っている気がしないでもない。
- 山王耕造(さんのう・こうぞう) / 佐藤浩市
- 物語開始時点で62歳。人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」創業経営者。巧みな法解釈能力と一種のカリスマ性、そして(特に立場が弱い)取引相手の心を掴む能力を持つ一方、私人としては頑固で子供っぽい上に気難しく、おまけに品がない。更に他人への信頼・愛情表現として「金や物を与える」ことしか知らず、その上他人を試す癖があるため、多くの人と繋がっては去られることを繰り返している。
馬主としては「ロイヤル」の冠名を使い、活動歴は20余年にもなるベテランだが、気に入らない調教師とはすぐ喧嘩別れする上に、そもそも本人に馬の血統知識や相馬眼が皆無のため、重賞勝ちは3つのみ(GI無)。馬に対しては購入も馬券も見境なく出費するが「馬に出資するのではなく、信用できる人間に投資する」というポリシーを持ち、セリ市よりも庭先取引を優先している。
2007年シーズンからの勝負服は「黒、赤鋸歯形、袖白一本輪」。それ以前の柄は不明だが、地味な色合わせで視認性が悪く、隆二郎に「ダサい」とクレームをつけられ廃止となった。
ドラマ版の初期勝負服は「橙、白V字、袖水色2本輪」で、本来JRA規定外の橙色とV字柄を使った完全架空服である。やはり隆二郎にダメ出しされ第5話からは原作後期版と同様の柄に変更される。
山王家の人々
- 山王京子(さんのう・きょうこ) / 黒木瞳
- 耕造の妻。旧姓大竹。落ち着いた、あるいは神経質そうな女性。長年耕造に振り回されており、彼の競馬狂いもあって夫婦仲は冷えている。競馬は大嫌い。
原作では特に仕事は描かれないが、ドラマ版ではロイヤルヒューマン飲食事業部を率いている。
- 山王優太郎(さんのう・ゆうたろう) / 小泉孝太郎
- 長男。ロイヤルヒューマン東京支社長(ドラマ版では人事部長)。周囲のやっかみをものともせずに成果を出す実力者。父に似てワーカホリック気味。競馬に関しては「好きでも嫌いでもないが割に合わない」「馬一頭に億出すのはバカのやること」と語り、父の競馬狂いは放任しつつも、絶対に同じ轍は踏むまいと誓っている。
ドラマ版では母側に立ち、経営が傾き始めた社を立て直すために競馬事業部廃止を考えている。
- 山王百合子(さんのう・ゆりこ) / 関水渚
- 長女。栗須からちょうど10歳年下だが「平成ギャル」気分が抜けていない、社長令嬢としてはちょっと品のない女性。競馬に関しては割と好きな方で、父が馬主であることにも好意的だが、それを表立って口にすることは無い。両親の不仲に関してもほぼ不干渉を貫く。
馬事関係者
- 野崎加奈子(のざき・かなこ) / 松本若菜
- 物語開始時点で26歳。日高の生産育成牧場・ノザキファームの牧場長令嬢。栗須の大学時代の元カノだった。物おじせずハキハキとモノを言う闊達な女性で、現在は実家の立て直しのため奮闘している。
- 加奈子の父 / 木場勝己
- ノザキファーム牧場長。原作では名無しだがドラマ版ではフルネーム「野崎剛史(のざき・たけし)」が設定された。武史ではないので注意。
懇意だった西平との関係が悪化し、牧場を畳むか否かの瀬戸際に追い込まれていたが、来場した耕造と紆余曲折を経て意気投合。彼に全てを託す決断をする。
- 野崎翔平(のざき・しょうへい) / 三浦綺羅 → 市原匠悟
- 加奈子の息子。初登場時点で中学生。ごく普通の思春期少年で、牧場にやって来た栗須を警戒している。北海道に引っ越してきてから乗馬を始めており、将来は騎手志望。
- 椎名義弘(しいな・よしひろ) / 沢村一樹
- 新興有力馬主。人材派遣会社の最大手「(株)ユアーズ」創業経営者(ドラマ版では「(株)ソリュー」CEO)。馬主としても日本ダービーをはじめ複数のGIを制しており、栗須の2歳年上にして山王を遥かに上回る実績を持つ。公の場では感情を出さない鉄人。
深い血統知識と比類なき相馬眼で選りすぐった愛馬を容赦なく多頭出しし、ロイヤル軍団の高き壁となる。クラブ会員対応とは無縁の個人馬主ゆえか、通例なら早期種牡馬入りが期待される実績馬でも話の都合で長く走らせる傾向にある。
勝負服の柄は不明。ドラマ版では元となるレース映像の都合で回ごとに柄が異なっていたが、第4話以降「勝負服を新調した」という設定で「黄、青黒縦縞、袖青二本輪」に固定される。社台レースホース勝負服の三本縞中央が青く、袖輪が一本増えた感じ
- 相磯 / 吉沢悠
- ドラマ版では「相磯正臣(あいそ・まさおみ)」。椎名のマネージャー。初老の男性。何かと苦労している模様で、普段は無口ながら酔うと口が止まらなくなる。
ドラマ版ではより積極的かつ俗物的な性格になり、椎名の代弁者的立場に置かれている。ついでに年齢もかなり若返った。
- 林田 / 尾美としのり
- ドラマ版では「林田純次(はやしだ・じゅんじ)」。日高・林田牧場の牧場長。亡き息子が愛した牝馬・イザーニャの血統を守ろうとする。
- 西平克也(にしひら・かつや) / 加賀谷圭
- 冠名「カツノ」を用いる豪腕馬主。静岡の自動車部品メーカー会長。00年代以降の北陵ファーム一強情勢を批判し、日高地方の生産者を中心に馬を買っているが、その実は「零細牧場の足元を見て買い叩いているだけ」という噂もある。その姿勢を加奈子の父に見抜かれて衝突し、喧嘩別れした。
ドラマ版では第3話に登場。冒頭で加奈子に捨て台詞を吐いて帰っていくおじさんが彼。
- 平良恒明(たいら・つねあき) / 津田健次郎
- 競馬新聞記者。業界発行部数第二位「東日スポーツ」のエース記者。かつて有力馬主とトラブルになったところを構造の仲裁で切り抜けたことがあり、それ以来ロイヤル軍団をチェックしている。
ドラマ版追加人物
- 佐木隆文(さき・たかふみ) / 天宮良
- 佐木隆二郎の父。岩手競馬の調教師。騎手時代の負傷によるものか、片足を引きずっている。
妻と共に息子の人生の再挑戦を応援している。
JRA
- 広中博(ひろなか・ひろし) / 安藤政信
- 栗東トレーニングセンター(ドラマ版では美浦)所属の若手調教師。栗須と同い年。いい所はいい、ダメなところはダメとはっきり言い、自分を「先生」と呼ばれることを嫌う竹を割ったような人物だが、一度酔っぱらうと業界批判と自論展開を延々と続けるのが珠に傷。
期待薄のロイヤルイザーニャを1600万下まで勝ち上がらせたことで、山王の信頼と競馬サークル内での好評を獲得し、中堅厩舎として名をあげはじめている。
ドラマ版では2010年度朝日杯FSを制しており、若手のホープとして注目されている。
- 佐木隆二郎(さき・りゅうじろう) / 高杉真宙
- 若手騎手。金髪と、ファンに「鉄面皮」「無感情」と評される態度から、オールド馬主・ファンから嫌われている。その実は「強い馬を選んで乗る」と臆面もなく言い放ち、馬主にも不遜な態度を崩さない問題児。攻撃的な騎乗が持ち味で、椎名を始めとする新興の有力馬主から多く騎乗依頼を受けており、03年度は2度の騎乗停止制裁を受けながら全国リーディング7位に食い込んでいる。
ドラマ版では岩手競馬所属の地方騎手。様々な馬を乗りこなす高い対応力を持ち、若手ながら岩手リーディングジョッキーとして活躍している。過去にJRA競馬学校に在籍していたようだが……。
- 安野克也(あんの・かつや)
- 騎手。03年度リーディング1位のベテラン。風車鞭がトレードマーク。
- 名も無き職員
- 中山競馬場勤務の男性。耕造の代理として来場した栗須の応対を担当する。彼と栗須の対話場面は、取材中に感銘を受けた作者イチオシの場面でもある。
ドラマ版追加人物
- 安川すみれ(やすかわ・すみれ) / 長内映里香
- 広中厩舎所属の調教助手。ハキハキした乗り役。
- 遠山大地(とおやま・だいち) / 秋山寛貴
- 広中厩舎所属の厩務員。ちょっと気弱だが、馬には尽くすお兄さん。
- 田所功(たどころ・いさむ) /吉田ウーロン太
- 美浦トレセン所属の調教師。ロイヤルファイトを管理していたが、耕造の無茶ぶりに匙を投げる。
- 荻野(おぎの)
- 美浦トレセン所属の調教師。2010年度リーディングトレーナー。荻野極との関係は無いはず。
ロイヤルファイトの転厩先候補や、競馬学校時代の隆二郎と松井の研修先として、ちょくちょく名前が出てくる。
- 松井亮介(まつい・りょうすけ) / 大西利空
- 騎手。有名騎手の父を持つ、近年売り出し中の2世ジョッキー。腕は確かだが変にプライドが高く、地方競馬を露骨に見下すヤな奴。競馬学校では隆二郎と同期だったが、厩舎研修中に嫌味を言って張り倒され、隆二郎が岩手に帰るきっかけを作ってしまった。
- 菅原隆一(すがはら・りゅういち) / 菅原隆一
- 騎手。第1話でロイヤル馬に騎乗。
子役から転身した異色のジョッキー・菅原が演じる。ちなみに佐藤浩市とは『らせん』以来の共演。
- 戸崎圭太(とさき・けいた) / 戸崎圭太
- 騎手。第2話でロイヤル馬に騎乗。
地方・大井競馬からJRA入りしたベリーベリージョッキー・戸崎が演じる。ちなみに作中の時代設定では、現実ではまだ大井所属だった。
- 武豊(たけ・ゆたか) / 武豊
- 騎手。第1話で椎名の馬に騎乗。数々の記録を打ち立てた日本競馬界のレジェンドジョッキー・武が演じる。
- 北村友一(きたむら・ゆういち) / 北村友一
- 騎手。第5話で椎名の馬に騎乗。机をひっくり返す・進路妨害して先輩にキレられる・生命が危ぶまれる負傷を負う困難を乗り越えた不屈のダービージョッキー・北村が演じる。
- 騎手たち / 丸田恭介、今村聖奈、小林淳一、武士沢友治、宮崎光行、赤城高太郎、和田翼、藤原達也
- JRAの現役・引退騎手、競馬学校教官が出演している。この他にも第1話でノンクレジット出演だった勝浦正樹を始め、顔の出ないトレセン内シーンも含めると多数の関係者が映り込んでいる。
山王の関係者
- 山田 / 中村シユン
- ドラマ版では「山田昭(やまだ・あきら)」。山王家のお手伝い。執事然とした年配の男性で、一家の良き理解者。
- 金城史郎(かねしろ・しろう) / 渡辺憲吉
- ロイヤルヒューマン秘書課社員。白髪の老年男性。物語開始時点の耕造のマネージャーで、栗須にも良くしてくれた人物だったが……。
- 竹田仁美(たけだ・ひとみ) / 上田遥
- ロイヤルヒューマン秘書課社員。耕造の秘書。栗須(と金城)が担当する金銭管理と競馬関連以外の業務を受け持っているため、栗須とはほとんど顔を合わせることは無い。
ドラマ版ではロイヤル社内のシーンでちょくちょく登場している。
- 大竹義男(おおたけ・よしお)
- 税理士。山王京子の実兄で、義弟である耕造の機密出資を管理している。よく耕造にくっついて競馬場馬主席に入り浸っており、栗須からは「勘違いした税理士にありがちな、自分を偉いと思い込んでいる人間」と見立てられている。
- 中条雅子(なかじょう・まさこ)
- 耕造の昔馴染み。物静かな未亡人。
- 中条美紀子(なかじょう・みきこ) / 中嶋朋子
- 雅子の娘。初登場時点で故人。耕造の昔馴染みで競馬仲間だった。
素人時代から素晴らしい相馬眼を持っていたが、耕造は彼女から全く学ばなかった。
ドラマ版では初登場時点で病気入院中。
- 中条耕一(なかじょう・こういち) / 目黒蓮
- 美紀子の息子。坊主頭の少年。初登場時点で中学生。
ドラマ版では初登場時点で大学生。競馬研究サークルに所属しつつ、母をけなげに見舞う。
その他の人物
- 栗須の兄
- 物語開始時点で32歳。税理士。東京で所帯を持っていた(妻・美恵子と子供)が、96年に諏訪に戻り父の事務所を継いだ。栄治の最大の理解者なのに名前はない。穏やかな人間だが勝負事には弱く、ロイヤルホープ絡みの馬連を当てたビギナーズラックに憑りつかれてからは、小遣いをJRAに献上し続けている。
- 大竹雄一郎(おおたけ・ゆういちろう)
- 大竹義男の長男にして栗須の大学時代の同期。やや軽薄だが友人思いのいいヤツ……ではあるのだが、栗須は「未だに税理士資格を取得していないのに自分も父親と同じ立場の人間と思ってる節がある」と考えている。
- 高遠美奈子(たかとお・みなこ)
- 女優。隆二郎の交際相手。
- 池田薫子(いけだ・かおるこ)
- 中条耕一の同級生。何かと危なっかしい耕一を気遣う、世話焼きの少女。
どうでもいいがこの小説の女性キャラは「〇〇子」という名前が妙に多い。
ドラマ版追加人物
- 栗須の姉 / 高柳知葉
- ドラマ版追加人物。読んで字のごとくで、栄治を心配して電話をかけてくる。……兄貴どこ行った?
『ウマ娘 シンデレラグレイ』でオグリキャップ(ウマ娘)を演じる高柳が声の出演をしている。
主な登場馬
- ロイヤルダンス : 馬主・山王耕造
- 97年中山金杯優勝馬。ロイヤル軍団3頭目の重賞ウィナーで、栗須と耕造の出会いのきっかけになった馬。
- ロイヤルファイト : 馬主・山王耕造
- 父ダークシャドウズ、母エンジェルレイナ、母父ボビーバウンズ。林田牧場生産の白毛馬で2002~2003年ごろにデビュー。ロイヤルイザーニャと共に3000万で買われた。
- ロイヤルイザーニャ : 馬主・山王耕造
- 母イザーニャ。林田牧場生産。2002~2003年ごろにデビュー。左前脚が外側に屈曲するハンデを抱えつつ、3年かけて1600万下に昇級した軍団の功労馬。
- ロイヤルチャペル : 馬主・山王耕造
- 中央登録抹消後、高知競馬へ流れる。栗須にとっては思い入れのある馬だった。
- ロイヤルサンダーロイヤルホープ : 2007年クラシック世代 / 馬主・山王耕造
- 父フェイズアンビータブル、母カツノミラクル、母父トーシンギア。ノザキファーム生産。独特のクロスを狙って米国種牡馬と自前繁殖牝馬を配合させた、ノザキファームが起死回生を賭けた馬。
気難し屋だが耕造にはよく懐く。当初は栗須が名付け親となったが、結局耕造が自分で名を付けた。
- ロイヤルワンダー : 2003年クラシック世代 / 馬主・山王耕造
- 7歳にしてオープン昇級した軍団の古豪。
- ロイヤルハピネス : 馬主・山王耕造
- 耕造が初めて冠名をつけた「最初のロイヤル軍団」。5勝しオープン昇級した軍団初期の功労馬。
- ヴァルシャーレ : 2007年クラシック世代 / 馬主・椎名義弘
- 父ディクスアイ。07年世代の筆頭と目される期待馬。ロイヤルホープの終生のライバルとなる。
- イマジンドラゴン : 2006年クラシック世代 / 馬主・椎名義弘
- 父ディクスアイ。2006年度クラシック三冠馬+有馬記念優勝馬。
- アキノリリー : / 馬主・椎名義弘
- 椎名を30代にしてダービーオーナーとした名馬。セレクタリアセールで耕造との競り合いになるも、椎名は一歩も引かなかった。
- ラッキーチャンプ
- ノザキファーム生産。97年中山金杯2着。ノザキファーム久々の重賞出走馬だったが……。
原作とドラマ版の相違点・第一部
クリック・タップで展開:ネタバレ注意
ドラマ版元ネタ推定レース一覧・第一部
※出走馬名・ゼッケン・勝負服・出演馬クレジットからの推測で、公式情報ではない点に注意※
クリック・タップで展開:ネタバレ注意
|
ここから先は、大まかにですが第一部の結末に言及しています。
核心には触れていませんがご注意ください。
|
第二部 家族
──あれから3年。競馬界を去った山王耕造の遺産・ロイヤル軍団にも、遂に離散の時が来た。その内の3頭のサラブレッドは、ひょんなことからJRA史上最年少の馬主となった大学生・中条耕一に引き継がれ、栗須栄治は彼の競馬マネージャーに就任する。
孤独な生活から一転して競馬サークルに飛び込み、苦悩する耕一。
落馬負傷からの再起を図る若手騎手、野崎翔平。
そして、注目の新馬主として頭角を現す椎名展之。
最後のロイヤル軍団「ロイヤルファミリー」は、彼ら次代のホースマン達と栗須、ひいては山王に縁のある人々の夢と期待と願いを背負い、暮れの中山へ向け走り出した。
登場人物
- 栗須栄治 / 妻夫木聡
- ロイヤルヒューマン社長秘書室に籍を置きつつ、若人の介添人として尽力する。長年にわたって「あの山王耕造の」マネージャーを務めてきた手腕は、馬主界隈で高く評価されている。
- 中条耕一 / 目黒蓮
- 第二部開始時点で24歳。明和大学競馬研究会所属。祖母の死後は苦学しており、数回留年している。
一見すると理知的で礼儀正しい好青年だが、その実は頑固で子供っぽい上に独断的。更に他人への信頼・愛情表現が下手くそで、なおかつ他人を試す癖があり、親友と呼べる人物は皆無。
中学生時代から競馬マニアとなり、コツコツ続けてきたPOGのおかげで血統知識に深い造詣を持つ上、母親譲りの優れた相馬眼も備えている。一方で厩舎や騎手の起用には一切の忖度が無い。
ドラマ版は2030年の彼の回想として語られる。
- 山王耕造 / 佐藤浩市
- ロイヤルヒューマン前社長。家族を失い、肺がんを患い、社長業を退いてからは競馬界での存在感も無くなったが、悲願を胸に懸命な闘病生活を送っている。
JRA関係者
- 広中博 / 安藤政信
- 栗東トレセンの中堅調教師。13年度はGI・3勝を挙げ、全国リーディング3位。
- 浅倉知治(あさくら・ともはる)
- 栗東トレセンのベテラン調教師。耕造も黙って従うほどの名伯楽として知られる。
- 野崎翔平
- デビュー3年目の若手騎手。耕一の2歳年下。
デビュー年の11年度は50勝超の最多勝利新人賞を獲得するも、翌年のシンザン記念で大規模な落馬事故を起こし、以後精彩を欠いている。
- 佐木隆二郎 / 高杉真宙
- 騎手。流麗なフォームと柔軟な騎乗を持ち味とする黒髪の勝負師。13年度は180勝を上げ、2年連続のリーディング1位を獲得。
- 佐木百合子(さき・ゆりこ) / 関水渚
- いつの間にか付き合っていた隆二郎の妻。夫との間に2児を儲けている。
ドラマ版追加人物
- 坂井瑠星(さかい・りゅうせい) / 坂井瑠星
- 騎手。第6話に登場。
馬事関係者
- 野崎加奈子 / 松本若菜
- ノザキファーム社員。横浜に拠点を移して税理士事務所で働く傍ら、ノザキファームでのホースセラピー開業の準備をしている。
- 椎名義弘 / 沢村一樹
- 「(株)ユアーズ」創業経営者。個人馬主としてはトップクラスの地位を維持している一方、ますます感情が希薄になった。
- 椎名展之(しいな・のぶゆき)
- 義弘の長男。耕一の1歳年上。父とは正反対の軽薄なボンボンで「親に馬を持たされることになった」と放言する一方、スポーツ新聞『スポーツエブリー』で旧態依然とした競馬界を挑発するようなコラムを連載しているほどのやり手。父譲りの相馬眼と、父以上のチャレンジ精神をお調子者の仮面で隠し、ひたすらにクールな勝利を求める。
- ガブリエル・トゥーサン
- フランス人若手騎手。翔平と同い年ながら2度の凱旋門賞出走を果たしている期待のホープ。JRA短期免許で来日する。
その他の人物
- 山王優太郎 / 小泉孝太郎
- ロイヤルヒューマン社長。先代の負のイメージから脱却を図り、日々奮闘している。
- 池田薫子
- OL。耕一より先に社会人になった。
登場馬
- ロイヤルファミリー : 2015年クラシック世代 / 馬主・山王耕造→中条耕一
- 父ロイヤルホープ、母ロイヤルハピネス、母父ドライブキャット。小柄かつ大変な気性難。
- ロイヤルリブラン : 2015年クラシック世代 / 馬主・山王耕造→中条耕一
- 父ロイヤルホープ。ファミリーとは対照的に500kg代の大型馬。
- ロイヤルレイン : 2015年クラシック世代 / 馬主・山王耕造→中条耕一
- 父ロイヤルホープ。マイル~短距離戦線で好走。ぶっちゃけ影が薄い
- ソーパーフェクト : 2016年クラシック世代 / 馬主・椎名展之
- 父ロイヤルホープ。セレクタリアセールとしてはお買い得の1900万円落札馬。
- レインボーキャンプ : 2015年クラシック世代 / 馬主・椎名義弘
- 父イマジンドラゴン。割とぽっと出感がある
- ビッグホープ : 2016年クラシック世代 / 馬主・椎名義弘
- 父ロイヤルホープ。椎名義弘が唯一所有するロイヤルホープ産駒。こいつもぽっと出感がある
関連リンク
関連項目