『ガイアセイバー ヒーロー最大の作戦』とは、バンプレストから発売されたスーパーファミコン用RPGである。
本記事は多くのネタバレを含みます。閲覧の際はご注意ください。
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あらすじ
その闘いは、突如として始まった。
ジオン軍の仕掛けた電光石火の攻撃は、地球連邦軍をはじめとする地球全ての防衛力を無力化した。時同じくして、ショッカーのテロ作戦、宇宙人の侵略、ジオンの出現、さらには津波・地震・竜巻、あらゆる災いが地球を襲った。ついには、ジオン軍によるコロニー落としが強行された。今の地球にこれを「阻止」する力は残されていなかった・・・・・
ヒーロー、彼らは決して闘っていなかったワケではない。あまりにも強大な敵の前に、ヒーローひとり一人の「力」は、あまりに無力だったのだ・・・・
遠く離れたM-78星雲。地球のピンチは、ウルトラの星でもキャッチされた。宇宙パトロール隊隊長、ウルトラの父は、ゾフィー・ウルトラマン・レオの3人の戦士を直ちに地球に送った。ヒーローを束ねる組織、『同盟』を作るために!
オープニングより
概要
| ガイアセイバー ヒーロー最大の作戦 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| ジャンル | ロールプレイングゲーム |
| 対応機種 | スーパーファミコン |
| 開発元 | アークシステムワークス |
| 発売元 | バンプレスト |
| 発売日 | 1994年1月28日 |
| 価格 | 9800円(税抜) |
| ゲームソフトテンプレート | |
本作は、当時バンプレストが展開していたSD表現のロボットアニメ・特撮作品のキャラクター達が戦うクロスオーバー作品「コンパチヒーローシリーズ」の1作であり、ウルトラシリーズ、仮面ライダーシリーズ、ガンダムシリーズのキャラクター達が一堂に会した作品である。本作以前に発売された同シリーズ『ヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス』のシリアスドラマ路線をさらに推し進めた作品となっており、全8話のオムニバス形式でストーリーが進行する。
アマゾン、スーパー1、レオといった、原作シリーズ内でもあまりスポットの当たらないキャラをあえて主軸にしており、ヒーローたちが『同盟』を組み、悪の組織と戦っていく。
※ちなみに前作とは開発元が異なっているため、前作やその他のコンパチシリーズとの繋がりはない。
登場キャラクター
ここでは主にパーティとして扱えるキャラクターを紹介し、その他は割愛する。初めから全てのキャラクターを操れるわけではなく、ストーリーの途中での加入や離脱をすることがある。
ガンダムシリーズ
モビルスーツの擬人化はされておらず、パイロットがモビルスーツに搭乗する。狭い屋内ダンジョンにはモビルスーツが入らないためプチモビに搭乗して戦うことになり、その場合は通常より能力値が減少する仕様になっている。このゲームの装備はSサイズ・Lサイズと種類があり、モビルスーツとプチモビでは装備品が異なるため注意が必要。
- アムロ・レイ
- 搭乗機:ガンダムF91→ガンダム→νガンダム→ガンダムキラー
ガンダムシリーズでは一番最初に仲間になる中心キャラであり、本作の主人公ポジション。連邦軍士官としてジオン軍と戦っていたが、拠点としていたジャブローが陥落、日本の科学特捜隊基地に墜落し生き延びる。その後ヒーロー同盟に参加し、リーダー格として活躍する、そのため最終的にはパーティから外せなくなる。 - シーブック・アノー
- 搭乗機:νガンダム→ガンダムF91
- 第5話にてスーパー1と共に参加。終盤でガンダム、νガンダム、ガンダムF91の3種類から機体の乗り換えが行える。倒れたウルトラキラーに対し「とどめをさしましょう」と言ったり、自軍を嘘情報で謀ったシャアに対し「バカにしやがって!」と悪態をつくなど、およそ原作(劇場版)の優等生さはなく好戦的なキャラとして描かれている。
ウルトラシリーズ
原作同様、戦闘において制限時間があるため5ターン目を超えるとカラータイマーが点灯し、さらに10ターン目で戦闘不能になってしまう(カラータイマーをリセットするアイテムが後に入手出来る)。ガンダムシリーズと異なり、室内ダンジョンでも体をミクロ化させた変身体で戦闘が可能。3シリーズの中で唯一、回復系の技を使用することができる。
- おおとりゲン / ウルトラマンレオ
- ウルトラシリーズの中では一番最初に仲間になる中心キャラ。ランバ・ラルらの攻撃によって窮地に陥っていたアムロをウルトラマンと共に救出し、そのまま仲間になる。
- ハヤタ・シン / ウルトラマン
- レオと共にジャブローにて一時的にパーティに加入し、その後アムロが宇宙に向かった際に入れ替わりで再びパーティに加入する。オープニングのイベントバトルでも操作出来るが本格的に仲間になるのは第3話から。シナリオがある程度進んだ状態での参戦なので、仲間になった時点でレベルが高い。
- モロボシ・ダン / ウルトラセブン
- 原作からの設定で、レオの師匠でもある。第6話で加入した際、カプセル怪獣を召喚できる「ウインダムカプセル」「ミクラスカプセル」を与えられる。
仮面ライダーシリーズ
Sサイズ装備しか付けられないというデメリットはあるものの、屋内での弱体化や戦闘の時間制限もなく、あらゆる環境下の戦闘にも対応できるため、3シリーズの中で最も扱いやすいキャラと思われる。
- 山本大介 / 仮面ライダーアマゾン
- 仮面ライダーシリーズでは一番最初に仲間になる中心キャラ。広島でショッカーに襲われ、傷ついて倒れていたところをアムロとレオに発見される。大切断やコンドラーでの攻撃など高い火力を持つ。敵の気配を察知しエンカウント率を下げる技「アマゾンコーション」は重宝する。原作とはキャラが若干違い、何があったのか後半ではやたらと饒舌になったり、人間に化けた侵略者に「これでTHE ENDだ!」と言い放ったりする。
- 南光太郎 / 仮面ライダーBLACK RX
- 第2話から加入。コンパチヒーローズではお馴染みのキャラであり、本作の優遇キャラの筆頭。ハードショットでロボライダー、スパークカッターでバイオライダーに変身する演出がある。
- 沖一也 / 仮面ライダースーパー1
- 第5話にてシーブックと共に加入。惑星開発用の仮面ライダーで、歴代の仮面ライダーの中でもどちらかと言えばマイナーなキャラではあるが、宇宙も舞台となる本作では見事にマッチングしていると言える。巧みな拳法技で敵と戦う。
バンプレストオリジナル
- マーク・ハンター
- 本作のオリジナルキャラクター。サーベルとリボルバーライフルを携え、橙色の装甲に身を包んだ巨漢。高額な報酬と引き換えにどんな依頼も引き受ける賞金稼ぎで、ざっくり言うと守銭奴。非常に図々しく悪知恵の働く男であり、金の為なら悪の組織側にも付く。一時的に同盟に協力するがすぐに離脱、シナリオ後半で正式に仲間に加わる。
- 「オレの名はマーク・ハンター。あんたらとは違って金で動く薄汚ねぇハンターさ」
注意
上記の概要や登場キャラクターだけを読めば、こうしたジャンルに造詣が深い人にとっては夢のようなゲームと言える。ただしこのゲームの実態は、まるで素人がRPGツクールで適当に製作したような中身であり、ゲームを購入した子ども達の期待を粉々に打ち砕くほどの恐ろしいクソゲーとして現在でも悪名高い。
問題点・批判点
キャラクター関連
敵キャラクター
先述のように本作はクロスオーバー作品であるので、原作とは異なる独自設定も多い。それは当然のことであり仕方のないことではあるのだが、それにしてもキャラクターの扱い方に違和感がある作品となっている。
- 原作での幹部・首領クラスの強敵たちが、量産でもされたのか何故か雑魚キャラとして登場する。
(ウルトラシリーズのゼットンやタイラント、仮面ライダーシリーズのシャドームーンやカニレーザー、ガンダムシリーズのサザビーやジオングなど) - ガッツ星人やクインマンサ、キュベレイなども雑魚キャラであり、ボスキャラの安売りがあまりにも酷い。
- 本作ではシャアはネオジオン総帥という重要キャラなのだが、初めは味方サイドにクワトロとして存在している。その後脱走しシャアとなり、シャアとしての目的がわかる……とはいえ唐突に感じられる。
- いっぽう敵としてのシャアの代表的な搭乗機のサザビーやジオングが雑魚キャラとして登場する。
(なおシャアは最後に旧式としか言いようがないシャアザクに乗っていなくなってしまう) - 仮面ライダーシリーズの死神博士は正体であるイカデビルに変身しボス戦となるが、同シリーズの地獄大使は正体であるガラガランダに変身しないままボス戦となり、正体であるはずのガラガランダは何故か雑魚キャラとして出現する。わけが分からない。
- ちなみに地獄大使は第2話のボスとして登場する他に、第3話でも寄り道をすると戦うことができるのだが、この戦闘時の地獄大使はHPが無限なので倒すことはできない負けイベントとなっている。(しかしHP以外は雑魚キャラに毛が生えた程度の強さに設定されているため、負けイベントだと気づきにくい)
- この負けイベントが終わると地獄大使は何故か一切登場しなくなり、その一方で初期のイベントで爆死したはずの暗黒大使は何の説明もなく平然と再登場する。
- ボスキャラの安売りが散見される中で、彼らをさしおいて何故かザンジオーが中ボスとして幾度となく登場してくる。ザンジオーも仮面ライダーシリーズ初の劇場版オリジナル怪人であり「エリート怪人」という立派な肩書きはあるものの、だからといって前述のキャラ達をさしおいて中ボスとして幾度となく登場するのはあまりにも違和感がある。しかも特に因縁がある描写もなく、倒す度に無言で爆死する。中ボスである必然性も感じられず、単に使い回しされているようにしか見受けられない。
- ザンジオーに限った話ではないが、本作のボスキャラは総じて無言爆死することが多い。
- 色違いで水増しされている敵キャラなどもいるのだが、赤いズサは「ズサ改」という名前なのに、青いバウは「バウ」とそのままだったりして名前の付け方に一貫性がない。バウはノーマル色である黄の他に緑・赤・青の計4種類出現するのだが、どの名前も「バウ」で統一されてしまっている。予算のかからない部分なのに手抜き感が半端ない。
- サイコガンダムMk-IIの名前も「サイコガンダム」とされており、Mk-IではなくわざわざMk-IIを登場させておいて何故名前を簡略化するのかがよく分からない。やたらとグラフィックは大きいものの雑魚キャラであり、見た目と違って攻撃力が低いので全く強くない。しかしHPだけは無駄に多く、そして何故か逃げられない。
味方キャラクター
本作のキャラの不遇さや原作レイプとして最も話題に上がるのが、仮面ライダー2号こと一文字隼人の扱いである。コミックボンボン増刊号に載っていた漫画で描かれ本編でも断片的に語られる本作の前日譚で彼はショッカー秘密基地をマーク・ハンターと共に壊滅させるのだが、ジャブナの基地において情報をヒーローに伝えるためマーク・ハンターを庇って捕われてしまい、洗脳と改造を施され「ライダーキラー」として同盟の前に敵として立ちはだかる。
初代『仮面ライダー』においてダブル主人公の一角をなし、『仮面ライダー2号』の主人公としても人気の高いキャラであるが、本作ではパーティーに戻らない挙句、その後は誰にも触れられないまま行方不明になってしまう。よく死んだと勘違いされているが、それは某レビュー・攻略サイトが勝手に解釈したものが広まっていったもの。実際はイベント戦の後敵が逃げる時や死ぬときにも使われる(ワープするかのような音のためどちらかというと逃げる時に使われることが多い)効果音とともに無言でいなくなってしまい、誰からも生死について触れられないまま出番が終わってしまったのである。いなくなる時の効果音が、敵が逃げる時にも死ぬときにも使われるのも死亡説の原因であろう。
アムロやゾフィーもストーリー中に洗脳されるものの無事に助かるため、ライダー2号を何故このような扱いにしたのかスタッフの思いが分からない。しかも死亡説では彼が身を挺して助けたマーク・ハンターに殺されたことになる。このライダーキラー戦はマークとの一騎打ちであり、自身を庇い改造されてしまった2号ライダーを、マークが自分の手で倒すことによって借りを返す……とも取れる悲哀に満ちた場面である。(実際は何もしなくても数ターンで戦闘が終わってしまうのだが)ライダー2号及びヒーロー達に向けてのマークのいい台詞などもあり、一応名シーンではある。しかし仮面ライダーシリーズのファンからすれば憤りを覚える場面でもある。また、マーク自体もここまで「節操のない守銭奴」というかなり下衆なキャラクターとして描かれているため、それも相まってユーザーからは最も非難の声が多い部分となった。
- ライダーキラー戦は上記の通り数ターン経過すると強制終了し、ライダーキラーは無言のまま画面からフェードアウトしていく。なので正確に死亡した描写があるわけではないのだが、だからといってこれ以降再登場することもなければ主人公達も敵も特に何のコメントもしないため、本作随一の不遇キャラとして扱われている。ただ他のキラーと違いこのようなイベントが設けられているということ自体が逆にある意味優遇されているという考えもできる。
- というのもガンダムキラーは当初はパイロットが不明だったため、機体色からシャアがパイロットとも疑われた。しかし何のイベントもないままなぜか味方にパイロットの正体が洗脳されたアムロと知られてしまう。洗脳が解けて味方に合流するシーンでは一人で特定の場所にたどり着く必要があるのに能力はイマイチ。合流しても特にイベントはなくそのまま別のイベントが発生する。最終章でパーティが自由編成できるようになっても、能力がイマイチなガンダムキラーだけは固定のままでシーブックのように別のMSへの乗り換えもできない。
- ウルトラキラーもイベント戦闘ばかりで、最後の出番も下記のように実質的なラスボスを倒した後ライターが出番を忘れていたのかのごとく唐突に出現し、前回出てきた時と同じ行動をすると洗脳が完全に解けてゾフィーに戻る、と全員碌な扱いをされていない。ヒーローを洗脳する意味もそもそもこのようなキャラクターを出す必要も全く感じられないのである。さらにこのゲームでは敵の攻撃アニメがないため、味方として使用できるガンダムキラー以外の攻撃が判明したのはバトルドッジボール2に参戦したときであった。
- 『機動戦士ガンダムZZ』の主人公ジュドー・アーシタも登場するが、彼は何故か戦闘中何もせず突っ立っているだけで扱いは完全にモブのそれ。また、何故か途中のイベントで当初のパイロットのアムロを差し置いて破壊されたはずのF91に搭乗している。
- ブライト・ノアもアムロ達の指揮官として登場する。初代『機動戦士ガンダム』の頃より複数の作品で主人公の乗る母艦の艦長を務めたり、第二次ネオ・ジオン抗争では地球連邦軍の旗艦ラー・カイラムの艦長兼艦隊司令まで務めた歴戦の軍人であるが、彼のグラフィックは一般兵と同じであり、専用グラフィックすら用意されていない。
- OPにはガンキャノンやアレックスなどのヒーローが描かれたイラストが出てくるがゲーム本編には出てこない。
シナリオ関連
本作のシナリオは有り体に言えば破綻している。それどころか内情が何も語られないまま話が進んだりするため、破綻してるのかすら分からない時がある。また、世界観に合わない頓珍漢な発言をするキャラクターも多い。
- ゲーム開始直後のイベントで、アムロはガンダムF91に搭乗し基地内に侵入してきたモビルスーツと戦闘になる。このアムロは戦闘前に「大尉」と呼ばれているので恐らく『逆襲のシャア』の頃の設定となっており、そのアムロとF91の組み合わせは分かる人からすればその強さはチート級と言っても過言ではない。基地内に侵入したモビルスーツはザクとグフであり、F91と比べればあまりにも性能差がある上に先述設定のアムロが搭乗しているとなれば負けることはまずないのだが、あろうことかF91はザクとグフの通常攻撃により1ターン目で瞬殺されてしまう。このゲームの初戦闘が負けイベントなのである。出撃前にメカニックが「(F91は)まだ整備中です!」と言っていたり、こちらは1機に対し敵は3機と多勢ではあるのだが、だからといってザクとグフの通常攻撃でF91が速攻でやられるのはあまりにも違和感がある。その直後、ウルトラマン・ウルトラマンレオ・ゾフィーが助けに入り再度戦闘になるが、マンとレオは戦ってくれるのに何故かゾフィーだけは戦ってくれない。確かにゾフィーはパーティキャラではないものの、場面的にゾフィーが戦闘不参加なのはおかしな話である。さらに、この時はグフを無視してザクを倒せば戦闘が終わるのだがそれを知らずにグフを攻撃し続けると能力差とウルトラマン系キャラ固有システムのせいでゲームオーバーになってしまう、ゲーム二回目の戦闘でこれである。
- コロニーが落下したり人口が激減したり地球が汚染されたりと世界観は重いのに、街の人々は皆能天気に世間話ばかりしていて悲壮感や緊迫感がない。街を一歩出れば(原作ではボスキャラレベルの)宇宙人や怪獣が暴れ回っているような世界でUFOやキャトルミューティレーションなどの話をする。それどころか、コロニーの廊下に敵のモビルスーツが現れるほど侵略されているにも関わらず「このコロニーは平和で退屈だね」など常軌を逸した発言をする奴すらいる。ちなみに人類カウンターをわざと0%にすることも出来るのだが、したところで地球の様相は一切変化せず、エンディングメッセージ以外にストーリーへの影響はない。
- また、後半に入手できるアトミックボムという強力なアイテムを使うと地球カウンターが減る。核で地球が汚染されたということだろうか。ただ宇宙やコロニー内で使っても地球カウンターは減ってしまう。逆に人口パラメータに関しては人がいるコロニー内で使っても人口は一切減らない。原作のガンダムシリーズでこのようなことをすればコロニー内の人は全滅してもおかしくないのだが……
- 第2話を終えると突如「人類が敵にこうふくした!ヒーローたちはもはや人間の協力をえられない!」といったメッセージが現れる。読んで字の如くの展開なのだが、何故突如として人類は降伏したのかという説明は一切ないし、ここまでに伏線の類もない。この急な展開に置いてけぼりになるプレイヤーを尻目に、街の住人達は「どうしてくれるんだ!この人殺しめっ!」「『同盟』なんて死んじゃえばいいんだ!」など、あれほど能天気だったにも関わらず罵詈雑言の嵐を浴びせてくる。そんな汚い言葉を吐いてくる住人達の会話ウィンドウに表示される名前は「素敵な看護婦さん」や「魅力的なお姉さん」だったりで、この「素敵な」などの評価は一体誰からのものなのかさっぱり分からない。
- そもそもこのゲームは必要な説明や情報・演出が圧倒的に不足しており、情勢の急な変化やキャラクターの突飛な行動などが前兆もなく多発するため、プレイヤーは展開について行けず置いてけぼりになりやすい。この人類降伏宣言、実は各国のニセ首相によって工作されたでっち上げということが後に判明するのだが、元々地球連邦軍は機能停止状態でヒーローばかりが戦っている世界観なので、唐突な人類降伏展開に狼狽したプレイヤーも工作の件が明るみになる頃には「まぁあの状況じゃいつそうなってもおかしくはなかったかな」など、各々の見解で既に納得していることもあるためやはり説明が遅すぎる。ちなみにこの降伏状態はゲームの進行にも影響しており、通常の雑魚戦やボス戦以外のイベントバトルを起こすと人類カウンターが減少する仕様になっているのだが、例によってその説明はない。そして本物の首相たち(本物にもかかわらずヒーローへの態度が悪めだが…)から真実を知らされ降伏状態から解除されると、一般民衆は「初めから信じてたよ」的なことを言って手の平を返してくる。上記の発言をしていたような人物でもこのようなことを言うので、民衆を守りたくなくなったプレイヤーたちも多数いたであろう……
- ショッカー軍団はヒマラヤ山脈を噴火させようとしているが、そもそもヒマラヤ山脈は火山ではない。
- 『住人から「(民家の中から)変な音がするから調べて欲しい」と頼まれ赴いてみたところ、突如床が抜けて地下に落ち『なんとその先はショッカー基地の司令室だった!』という、冗談みたいな展開が実際に起こる。なお民家の住人は本当にただの一般人であり、別に敵の罠というわけでもない。ボスである地獄大使曰く「この辺りは予想以上に地盤が弱かったようだな」とのことで、基地を設営するにあたって何故地盤ぐらいしっかりと調べておかなかったのか、そもそも何故外に音の漏れるような設計で民家の直下に設営したのか、など、ツッコミ出すとキリがない。
- 四国の面積が北海道よりも大きい。しかも人口が6億人と実際の日本の人口よりも多い。
- 本作の黒幕は「エージェント」というオリジナルキャラである。エージェントの話によると、「神が50億年前に宇宙全体の調和を司る目的で作った装置「システム」が人類の進化を不適合と判断したため、運命を操って正義と悪の勢力を戦わせ、それにより発生する破壊エネルギーと50億年間溜め込んだエネルギーを用いて全人類を滅ぼそうとしている」とのことであり、このエージェントはそれを遂行するためのロボットだと思われる。ちなみに黒幕であってラスボスではない。
- エージェントとの戦闘は何度かあるものの完全に倒すことは出来ず、終盤の戦闘で勝利すると突如ラストダンジョンへと飛ばされる。ダンジョンの最奥部には例のシステムが鎮座しており、その後システムとの戦闘が始まる。システムに勝つとエージェントは不穏な言葉を残して消え去りエンディングを迎える…と思いきや、その後洗脳されたゾフィーことウルトラキラーが現れまたもや戦闘になる。そのあまりに禍々しい造形から、誰しもがシステムがラスボスだと勘違いしてしまうのだが実際はそうではない(ただしストーリー上残りの戦いが消化試合的な扱いのため実質的なラスボスはシステムだと言える)。
- このゾフィー、過去のイベントで洗脳が和らいだ描写の後、話的には放置されたままだったのに唐突に出現する。例によってその説明は一切ない。対してゾフィーは「ごちゃごちゃとうるさいヤツらだな!」と、シナリオの破綻や疑問などを全て一蹴し戦闘をふっかけてくる。この戦闘は洗脳を解くためのアイテムを使えばあっさり正気に戻って戦闘終了となるイベントバトルであり、「こんなにあっさり終わるのであればシステムとの戦闘順を逆にした方が最終決戦としては相応しかったのでは?」と思えてしまうほどに中身がない。
- そして正気に戻ったゾフィー案内の元、主人公達はラストダンジョンから脱出を試みる。だがこの道中で突如ヤプール人が現れまたまた戦闘になるのだが、実はこの戦闘こそがストーリー上形式的な最後の戦闘であり、つまりこのゲームの形式的なラスボスはヤプール人ということになってしまっている。しかもこのヤプール人、雑魚敵同然のステータスなのであっさり勝つことができ、そもそも何故ここに居るのかという説明もないまま恒例の無言爆死を決める、一応倒してダンジョンを脱出するとラストダンジョンを作成・維持していたのはヤプール人の力によるものであったとの説明がゾフィーから唐突にされる。戦闘前に「き、きさまら……なにものだ!?」と狼狽するヤプール人だが、それはこっちの台詞である。
- 敵組織が内部抗争や外部勢力によって勝手に滅ぶことが多い。ジオンとショッカーはシャア率いるネオジオンに滅ぼされ、そのネオジオンも何の説明もなく突如現れたクロスボーン・バンガードによって勝手に潰される。
- 宇宙人勢力に至ってはいつ滅んだのかすら分からない、というより、滅んだかどうかも定かではない。宇宙人勢力は中ボスのメフィラス星人、バルタン星人、マグマ星人などの幹部がいるがリーダーは不明。リーダー不在で本作黒幕のエージェントに操られていたか、ラストに通りがかりで戦うヤプール人が実はリーダーだったか(原作では宇宙怪獣を使った改造生物を作ったり、また一応本作のラスボスではあるので)あるいは洗脳されたゾフィーことウルトラキラーが「同盟を含む地球の組織同士を潰し合わせ黒幕も倒れて漁夫の利で全勢力のトップになる」的なことを言うので実はゾフィーがリーダーだったか、いずれにせよ全くもって組織構造が不明である。
戦闘関連
- 本作はランダムエンカウント方式の戦闘を採用しているが、そのエンカウント率が異常なまでに高い。酷い時は1歩進むだけでエンカウントが発生する。救いとしては、戦闘後に根性=HPは自動回復する。ただし何故か技量=MPは回復されず、マップ上にあるストーンサークルやアイテムなどを使用して回復しなければならない。
- 登場する敵キャラは、基本的に単体対象の通常攻撃しかしてこない(キュベレイがファンネルを出すこと以外殆どの敵は通常攻撃のみ)。見た目こそ重火器を装備していたりするものの、一部の雑魚やボスも最初に仲間を呼んで以降は通常攻撃一辺倒の機械と化す。ラスボスすら単体通常攻撃しかしてこないため戦略性も糞もなく、有志の解析により、敵は同じ味方を連続で攻撃することが出来ない仕様になっていることが判明している。
- こちらの攻撃は通常技と必殺技があるのだが、通常技でもMPを消費する。しかも通常技は出る技が何故かランダムであり、出したくもない強力な技が出た場合は勝手にMPが多く消費され、しかも4割くらいの確率でミスる。必殺技に関してはほぼ必中だが、当然通常技よりMP消費量は多い。なお、先制攻撃が発生した場合はオート戦闘になるため、勝手に強力な通常技を放った挙句空振りしてターンとMPを無駄にするという斜め上な現象も起こりうる。
- 上記のように戦闘はとにかく単調であり退屈でしかないのだが、後に手に入るとあるアイテムがあまりにも強力過ぎるため、単調さに更に拍車をかけてしまっている。
- 「アギラカプセル」という、使用するとカプセル怪獣アギラが現れ代わりに攻撃をしてくれるアイテムがあるのだが、このアイテムは必中攻撃、敵防御力無視、高ダメージ、1ターン中に何度も使える上に何度使用しても消費されないというぶっ壊れ性能を備えており、詰まる話このアイテムを連投していれば大抵の戦闘には勝ててしまう。
- このアイテムは2話目の隠しシナリオで手に入るものであり、チートアイテムだと感じるプレイヤーは手に入れなければいいだけなのだが、元々の戦闘が退屈すぎるので少しでも快適なプレイをしたければ必ず入手すべきである。また、終盤にはアギラよりも強い「ウインダム」と「ミクラス」のカプセル怪獣が必ず手に入るため、アギラカプセルの入手を故意に避けても無意味に終わる(それでも使いたくない人は使わなければいいだけなのだが)。
- カプセル怪獣の攻撃力は「ミクラス>ウインダム>アギラ」の順に強いのだが、ウインダムとミクラスは同時に入手するためウインダムを使うメリットが全くない。ちなみにこれらよりも強力な「セブンガーボール」というものがあるのだが、攻略本にも記載されゲーム内データにも存在するのに本編では絶対に入手できない。
- 屋内ダンジョンに入る際、モビルスーツは大きさの理由でそのままでは入れないため、アムロとシーブックはプチモビに乗り換える必要があり、それにより通常時より能力値が減少する仕様になっている。これはガンダムの大きさを考慮した上での仕様であるが、そもそもキャラはSDなのだからそんなリアリティは必要ないし、それならば普段の戦闘画面でライダーがガンダム達と同じ大きさなのもおかしなことになる。それでも仕様だからと不満を飲み込み、大人しくプチモビでダンジョンに入ってみると、敵は平然とモビルスーツやモビルアーマーに搭乗したまま現れる。
システム関連
先述したように、本作は「人類」と「地球」というカウンターの数値が設定されており、ストーリーが1話進む毎にカウンターの数値は必ず減少する。その中でさらにプレイヤーの行動や選択肢によって減少が抑えられ、最終的な数値でエンディングが変化する。マルチエンディングと言えば聞こえはいいものの、実際はゲームの一番最後に出てくるテロップが変わるのみで、ラスボス撃破後からテロップ表示までの演出はどのEDも一切変化がない。
カウンターの初期値は人類が9475百万、地球が95%となっている。人類は6502百万以上、地球は77%以上で最高評価を得られベストエンディング(のテロップ)を拝めるのだが、スタッフが強制イベントによる減少か戦闘が起きるたびにカウンターが減る時期の計算を入れ忘れたのか、通常のプレイではどうやってもベストエンディングには到達できないようになっている。有志の解析により計算上ギリギリ最高評価を得ることはできるらしいのだが、途中でエンカウントする度にカウンターが減少する時期があったりするため、エンカウント地獄のこのゲームにおいてはチートかTASでも使わない限り不可能に近い。
- 進行上次の目的地の名前は教えてもらえるものの、それがどこにあるのかまでは教えてもらえない。このゲームにはマップ機能というものが存在しないため、地上と違い目印など何もない広大な宇宙を当てずっぽうにひたすら探索することになる。ただし地上でも世界地理に詳しくなければ結局はひたすら歩き回るハメになる。
- ストーリーが進行し人口が減少していくと無人の部屋や建物などがどんどん増えていくのだが、そもそもこのゲームは所謂ダミー部屋や建物が妙に多い。誰一人として人が居ないビルや、人口1人の街(その1人もスストーリーが進むといなくなる)、ストーリーに関係する人物が一切いない街、スミスさん不在の「スミスさんの家」など、無人空間で溢れかえっている。
- マップも使い回しが酷く、どこも同じような部屋や景色が広がっている。ダンジョンも同様に使い回しばかりで造りが非常にチープであり、意味ありげな階層に一つとして意味のあるものがなかったりすることがザラにある。そもそも2階建て以上のダンジョンが数えるほどしかない。
- ダンジョンが空虚なもう一つの理由として、このゲームには宝箱が存在しない。それにより探索や寄り道のメリットが薄く、ダンジョンでなくとも民家の本棚などの定番のオブジェクトも調べられない。寄り道をすることで見られる意味深なイベントや先述のアギラカプセルなどが手に入る隠しシナリオなども確かにあるのだが、それらが特異なだけで足を延ばしてもそれが無駄足になる確率の方が遥かに高い。
- アイテムは買うことはできても売ることはできない。購入の際も「はい」「いいえ」などの確認項目が用意されてないので、一度でもアイテムをクリックしてしまうと即購入となる。そして購入には当然お金が必要なのだが、このゲームは宝箱などが存在しないので敵を倒して落とす金を集めるしかない。また、装備品のパラメーターが表示されないので、装備して見比べないとどういう性能なのかさっぱり分からない。
- 戦闘終了時に「アイテムを手に入れた」と表示されることがあるのだが、この時に一体何のアイテムを手に入れたのかまでが表示されない。元々持っているアイテムの個数など覚えているわけもなく、目新しいアイテムでもない限り何を手に入れたのかがさっぱり分からない。仮に所持アイテムを細かくメモしていたとしても、「アイテムを手に入れた」と表示されるだけで何も手に入っていない現象が起こったりする。
- BGMはループが短く単調で、同じダンジョン内でもマップを移動する度に最初から流れ出す。戦闘BGMも盛り上がりに欠け、終盤まで雑魚戦もボス戦もBGMは一緒であり、終盤に初めて流れる曲を含めると2種類しかない。
その他
- オープニング画面には(c)BANPRESTO 1993と表記されているが、発売日は1994年。
- 「コチノチ」「カニミノラ」「モチミノラ」という人名が出てくるのだが、これをキーボードのかな入力で打つと……
余談
本作の評判は当時から散々なものであり、発売当時にKOTYが存在していれば大賞になってもおかしくはない作品であったと言える。ただしこのような作品でも黒歴史として闇に葬られているわけではなく、スタッフ側には一定の思い入れがあるらしい。スーパーロボット大戦シリーズのプロデューサーである寺田貴信氏は、『スーパーヒーロー作戦』を練り上げる上で原型となった作品が本作であることを攻略本のインタビュー等で述べている。そのため、『スーパーヒーロー作戦』の自軍部隊の名前は「ガイアセイバーズ」となっている。
また、2010年2月25日に発売された『無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ』では、今作のオリジナルキャラであるマーク・ハンターが事前告知なしの参戦を果たすというサプライズもあった。その他、『スーパーロボット大戦α』の年表ではかつてガイアセイバーズが存在していたという記述があったり、『第2次スーパーロボット大戦OG』では(敵組織ではあるが)ガイアセイバーズ自体が登場している。
『コンパチヒーローシリーズポータル
』(コンパチヒーローシリーズの歴史が年表で描かれている)
漫画版
『コミックボンボン』にて1993年12月号から1994年2月号まで掲載されていた。作者はときた洸一。単行本化はされていないため、現在では読むことが非常に困難な作品である。内容はカミーユとシロッコとの戦いとその結果カミーユが精神崩壊する様子や、マークハンターと仮面ライダー2号がアジトに潜入する場面など、断片的に語られていたゲーム本編以前の話が描かれている。その他、ゲームに直接登場しないウルトラマンタロウや仮面ライダーV3、ジュドー・アーシタなどが登場し、戦う描写も見られる。
関連動画
関連項目
- 16
- 0pt

