SecondLife(セカンドライフ)とは、米サンフランシスコにあるLindenResearch社の開発スタジオLindenLabが開発・運営しているネット上の仮想空間である。VR非対応。
概要
リアルネットワークスの元CEOであるフィリップ・ローズデールが、SF小説「スノウ・クラッシュ」を参考に考案したサービスで、旧名称はリンデンワールド。
2013年6月20日現在、全世界で約3600万の住民が登録されており、そのうちアクティブな住民数は約100万人。日本では2~3万人がアクティブにプレイしている(もっとも、一人のプレイヤーで複数の住人登録ができ、同時に運用できる)。
見た目がゲームっぽい一方、非常に自由度が高いため、ゲームであるという意見とゲームではないという意見が存在する。公式サイトでは「Free 3D Virtual world」としている。
ものづくりはセカンドライフ内制作ツールだけでも作れるので、簡単なものなら作った経験のあるユーザーが多い。作ったものは配布、販売、あるいは他人の製作物を貰う、購入することも可能である。
2020年7月、Linden Research社は、Randy WaterfieldとBrad Oberwagerが率いる投資グループに買収されることが公表されている。[1]
ニコニコ動画上でのタグは「SecondLife」が利用される(略称のSLも使われるが、蒸気機関車と被るので推奨されない)。
なお、この記事は攻略Wikiではないから原則ユーザー向けハウツーは記載しない。公式WikiやBlog記事を参照してほしい。
特徴
ゲーム内には、友達同士が集まって会話できるカフェ、多くの人がダンスし、DJが音楽を流すクラブ、ミュージシャンがストリーミングオーディオによって行うライブやコンサート、土地を持っていなくてももの作りができるサンドボックス(砂場)など、様々な活動のための場所が存在する。特にチャットや趣味を実現する場として利用するユーザーが多い。無料商品もある。
アカウント
アカウントはプレミアムアカウント(有料)とベーシックアカウント(無料)がある。2003年当初はプレミアムアカウントのみで月14.95米ドルが必要だった。その後運営費を土地レンタル代に求めるようにし、代わりとしてベーシックアカウントが設けられた(EnterpriseWatch 行宮 2006/12/4)。2021年現在は月契約11.99米ドル、四半期契約10.99米ドル、年契約8.25米ドルの3つのコースが用意されている(公式「プレミアム会員について
」)。ニコニコのプレミアム会員と一般会員のようなもの。
アカウント登録サイトは日本語化されている(SecondLife日本語公式サイト)。
アカウント数
2006年1月時点で10万程度だったが10月半ばには100万を突破、12月3日現在約176万に達していた(EnterpriseWatch)。2013年6月20日現在3600万。
コミュニケーション
他のユーザーとのコミュニケーション方法はVRChatのようなボイスチャットに加えて文字によるチャット、インスタントメッセージが用意されている。
創作
セカンドライフはほとんどのオブジェクトがユーザーによって作られており、著作権も作ったユーザーに帰属する。オブジェクトとは、家や乗り物などの3Dオブジェクトや、画像ファイル、音声ファイル等のあらゆる物を指す。
それらはLSL(Linden Scripting Language)と言われるC言語に近いスクリプト言語でオブジェクト等を制御する。なお最新の同様のサービスにはC言語の改良型のC#が採用されやすい。
労働
サービス内で他の住人と雇用契約を結び労働をすることができる。様々な職種が存在するがほとんどチャットによる接客業である。
これらの労働に対する対価、いわゆる賃金は雇用主から代用通貨「リンデンドル」で支払われる。接客業に絞り込むと流行当時(2007-2009年)は現実世界でもメイド喫茶に代表されるコンセプトカフェが流行していたこともあり、SecondLife内でもそのような喫茶店やバーを模したチャットスペースで働く住人が引き続き存在している。またチャット場に遊びに来る住人から店内に設置されたチップジャーを介してリンデンドルを渡されることもある。このリンデンドルはいつでも米ドルと交換することができる(後述)。
代用通貨(トークン)「リンデンドル」
ゲーム内通貨であるリンデンドル(L$)は、270L$≒1米ドルに相当し、いつでもリアルマネーとゲーム内通貨の交換が出来る。ユーザーはこの通貨を使ってゲーム内での取引、商行為を行う事も出来る。ただし通貨として円を使う日本人にとって為替変動リスクや為替手数料が別途課されているために労力の割には利益が少ないとされている※1
クリエイター奨励プログラムを活用されているニコニコユーザーなら理解できると思うが、日本の税制上20万円を超える収入があると雑所得として確定申告が必要になる。雇用労働者の場合は税金調整内容が雇用主に報告されることになるので、雇用契約、たとえば無許可副業の禁止などの定めが問題になるから、説明ができるよう準備しておかなければならない。
運営者がユーザーへリンデンドルを売り渡すことや購入することはない。またユーザー間で売買することも事実上禁じられている(後述)。2020年現在、公式取引市場を介しユーザー間で売買を行う。
※1 汗と涙で稼いだリンデンドルを"円"に換えたら(涙) マイナビニュース 2007年11月12日
シミュレーター仕様
世界はSIM※1と呼ばれる256m四方の土地単位で区切られている。多くのSIMがつながったメインランドと呼ばれるリンデンラボが運営する大陸と、単体か関連SIMのみで構成されるプライベートSIMとがある。総面積は東京都と同じくらいである。これらのSIMは任意にインスタンスを立てること(住人が一時的にコピーし立ち入り制限を加えるなどより柔軟な活用)はできない。
SIM丸ごとや小さな土地まで様々なタイプの土地が存在し、借りることもできる。これらはイベントやカフェやショッピングモール作り等、法令および規約の範囲内で自由に行うことができる。
※1 Simulatorの略。サーバー上を3DCGシミュレーションソフトウェアか稼働しており、このサーバーを住人がLindenResearch社から借りるホスティングサービスとの一面がある。
アバター
アバター文化は成人リアルアバター(現実の成人に近いアバターメイキング)が主流である。VRChatなど多くのVRベースのものとは違い着せ替え人形のように着せ替えができる部分もアバターメイキング上大きなアドバンテージである。服やアクセサリー、小物を単体購入するだけで多彩なファッションが簡単に楽しめる。ただし凝るとグラフィック処理が複雑になり、イベント参加や動画撮影時などに支障がでるので悩みになっている。
少数派であるがアンリアルアバター化もでき、kawaii系はいちごまよ氏のグループが初めて制作にチャレンジしたことがきっかけで、今では改良が進み安価かつかなり質の高いアバターメイキングができるようになっている。AkibaSIMの住人に相談してほしい。
ケモノアバターも人気がある。これもまた品質が高い。ケモナーはぜひ一度は体験して欲しい。FurryJapanの住民が教えてくれる。
一過性ブームとブーム終焉、縮小化
サービス自体は15年以上も続く、現在も最大5万人強(日本ユーザーが多い時間帯では3万人程度)の同時接続がある同様のサービスではトップ規模のサービスである。
ブームのきっかけは2006年5月米ビジネス誌「ビジネスウィーク」にドイツ系中国人にシミュレーションサーバーのホスティング等行い、多額の利益を得た人が現れたことが報じられ、サービスが全世界に知られることになったことによる。※1 →AnsheX(英語)
当時インターネットの世界では、Web2.0とのキーワードが注目されていた(2005年9月、ティム・オライリーの論文がきっかけ)※2。Web2.0とはネットユーザーがネットユーザーに向けてコンテンツを作り出し、サーバーに蓄積する方式のWebサービスである※3。このWebサービスの変革がやや沈静化する時期がSecondLifeブームが起こる時期に相当する。人々はWeb2.0の次世代に当たるWeb概念を求めていた時期に米ビジネス誌がSecondLifeのことを紹介したために爆発的に流行になった。
日本でも企業が話題に乗り遅れないよう対応し、個人ユーザーも時代に乗り遅れないよう増加しブームは加熱した。
しかし、SecondLifeはWeb2.0サービスの次世代を担うサービスとしてはやや使い勝手が良くなかったようで、ニコニコ動画(2007年)、YouTube(2005年)といった動画共有サイト、ブログ(日本においては2002年)やTwitter(2006年)などより使い勝手がいいWeb2.0サービスに押されて急速に沈静化してしまった。
どの時代でも流行の牽引役は小学高学年から大学生までの若年者であるが、当時に当たる世代のさとり世代(おおよそ1990年代生まれ)にニコニコ動画等を通してお口に合わないと拒否されたこともある。3DCGに限って語るとVOCALOIDブームの中、知識が浅くても両親が使っているノートPCでさくさくと動き、権利者やクリエイターの好意により課金要素がない、見た目がかわいく仕上がるMikuMikuDance(MMD、2008年)に人気が奪われたのもあるだろうし、その後登場のMinecraft(Java版は2009年)人気も影響した可能性がある。
メディア報道ではITmediaが2007年1月にSecondLife支局開設の意向を発表したものの同年3月には実際体験して当時のユーザーの声を聴いた結果なのか不評を報じている
。そういえばアカウント取得がアレ
と最初から疑問を持っているふしがあり、それでもいくらなんでも2か月でダメ出しはプロとして早すぎないか。試しにアカウント取ろうかと思っていた人に冷水を浴びさせたのは間違いない。2009年5月にも再検証と称してダメ出し
をしている。失速は何も分かっていないメディアによる風評被害も考えられる。
結局参入企業は2008年以降軒並み撤退し、それに合わせユーザーも次々やめてしまい、実質2006年~2009年までの短期間のブームに終わった。
ブーム当時、国内外で同様のサービスがたくさん生まれたが、2010年代以降は閉鎖が進んでおり、ユーザーのSecondLifeへの合流がみられる。
2007年(日本では2008年、ソフトバンクがはじめて導入※4)、ネット端末のPCからモバイル(スマートフォン、iPhone等)への時代の流れには勝てず、国内外とも縮小へ向かっている。※5※6 2019年、CEOであるエッベ・アルトベルグは「月間アクティブユーザー数が100万人から80万人に減少した」と語る。※7 一般的に影響力が失ったとみられるが、運営とって利益があるので引き続きサービスする方針である。※8
利用目的を見つけたユーザーは今も利用している。主に趣味でつながるコミュニケーションツール(3Dアバターチャット)として細々と利用している。
しかしあらゆる面において古くさい印象が強く、新しい同様のサービスを利用している人達でさえ存在を忘れている、または知らない。よってVRChatに代表される他のVRサービスと組み合わせて語らなければコミュニティでの話題にのぼらない。
後述しているように話題性のあるヘッドマウンドディスプレイ(VR機器)への対応ができなかったことが足枷になっている。トラッキングができないことは今旬のVTuberと同じ体験を得られないことは魅力が劣るであろう。標準でヘッドマウンドディスプレイが使えてなんぼの時代である。
※1 セカンドライフと実社会の経済格差=100倍の価値は @IT 2007年2月8日10:00
※4 iPhoneが日本に初めて登場した... ライブドアニュース 2017年9月14日
※5 LindenLab、SecondLifeの乗り越えるためにゲームスタジオ「LittleTextPeople」を買収
※6 平成29年情報通信白書 総務省
※7 インタビュー動画:SecondLifeとSansarの将来についてLindenResearch社CEOエッベ・アルトベルグ氏が語る 2019年4月5日 New World notes
※8 セカンドライフのLinden LabがVRシミュレーションのベータ版を公開 TechCrunch日本語版 2017年8月2日
主な禁止・制限された行為
運営が住民の行為を禁止することはないが、以下の行為は明確に禁じられ、制限された
禁止されたもの
- カジノ - 2006年米国オンラインギャンブル禁止法成立に伴い禁止
- リンデンドル売買(リアルマネー換金業) - リンデンドル再販住人認定制度を経て公式に一本化することで事実上の禁止。2019年現在、リンデンドルの購入はアカウントにクレジットカードまたはデビッドカードを、売却はさらにパスポートなど政府発行の身分証明書の提出等の手続きが必要。
- エイジプレイ(児童ポルノ表現) - 2006年頃にはすでに住民の要望により禁止をしてほしいとの要望がある中、2007年5月3日にドイツのテレビ局ARD(ドイツ公共放送連盟※2)が成人の姿をしたアバターと子供の姿をしたアバターが性行為をする画像を見つけ問題提起をしたことから一般社会に知られた。テレビ局は運営に通報を行い、運営が調査したところアバターの持ち主が当時54歳男性と27歳女性で成人住民であったが、運営判断で両人のアカウント停止処分(BAN)と創作物の削除をした。この件以後このような行為をする住人は、国際法の趣旨や住民の要望を受け入れ、LindenLabのコミュニティ基準を元にやむをえずアカウントを停止することとした。※3 ※4 ※5
※1 SecondLifeの世界からカジノが消える 4Gamar 2007年7月27日
※2 Wikipedia日本語版によると「ドイツ公共放送連盟」
※3 SecondLife、児童ポルノ問題に公式コメント ITmedia 2007年5月12日
※4 公式ポリシー:エイジプレイを禁止 SecondLife公式Wiki
※5 この表現規制に対しては2002年アメリカでのバーチャル児童ポルノ規制違憲訴訟「アシュクロフト対表現の自由連合裁判」も参考になる。
制限されたもの
※1 SecondLife「仮想銀行」の営業を禁止 ITmedia 2008年1月10日
微妙なもの
日本人コミュニティ
SNSについて
情報共有はソラマメが中心である。メタバース専門(実質ほぼセカンドライフ)のブログサイトで、日本人ユーザーの多くがここを利用している。2019年現在はTwitterが主流となっている。
近年はGoogle+に日本人コミュニティができつつあり、情報の共有をしていたが、2019年4月2日に閉鎖。マストドンにも日本人ユーザー向けインスタンスSLDON
が加わった。かつてはモバイルファクトリー運営のWassrも利用されていた。
日本人が多くいる場所を見つける方法
日本人が多くいる場所や日本人が手掛けたコンテンツはすりんくで検索できる。
技術
グラフィックAPI仕様およびシミュレーションミドルウェア等
3DCGの描写のAPI仕様はクロノスグループ策定のOpenGL(オープン・ジーエル)を、物理演算エンジンはマイクロソフト傘下のHavok(ハヴォック)を利用している。これによりWindows、MacOS、Linuxといった端末のマルチプラットフォーム化を実現している。2007年にはWindward Mark Interactive社WindLightを買収して導入したことによりリアルな天候を再現に成功している。
参考までに、グラフィック描写にOpenGLを利用している有名なゲームとしてMinecraft(マインクラフト)がある。
macOSユーザーは注意
一方、米アップル社は2018年6月5日に今後は同社OS上でOpenGLを非推奨にするとアナウンスした。既にあるアプリケーションは引き続き動作するのでSecondLifeは動作するが、同社がいつまでOpenGLの動作環境を維持するか不明であるため、MacOSユーザーは注意が必要である。※2
企業がこのようなことを促す理由は、OpenGLを含めたグラフィックライブラリ(グラフィックエンジン)に共通の問題点がある。GPUはそれそれ仕様が異なり、プログラミングしたときに同じ結果が出るようそれを埋める目的もグラフィックライブラリ(グラフィックエンジン)が受け持っている。その際、差分の計算を担当するのがCPUである(よって「CPUオーバーヘッド」と呼ぶ)。CPUに必要以上の負荷をかけてしまい全体としての性能が上がらない。近年はそのようなことをしないようにライブラリを作る方向である(ローオーバーヘッドAPIとかローレベルAPI、英語で書けばLow level API)。
以下のグラフィックライブラリがそのような設計のグラフィックライブラリである。
ゲームエンジンはオリジナル
ゲームエンジンはVRChat(こちらはUnityを利用)のように外部のゲームエンジンを利用せずLindenLabが独自に開発したものである。これはユーザーの創作物が末永く利用できるように配慮する目的がある。※1
サーバー
2019年現在、サーバーは一部を除いてAmazonのクラウドサービスを利用しており、1年以内の完全移行を目指している。※1
※1 インタビュー動画:SecondLifeとSansarの将来について...
※2 アップル社は2014年6月2日に独自のグラフィックAPI「Metal」を発表、同社の各OSに徐々に組み込んでいる。OpenGL非推奨アナウンスは開発者へ移行を促す目的があるといわれている。
提供手段の多様化模索
セカンドライフは2007年1月8日にオープンソース化されていて、LindenLabによる接続等の品質保証がされている##1 公式ビューア(Windows、MacOS、Linux)の他、そのソースコードを参考に様々なサードーパーティ製ビューア
が作られている。
サードパーティ製PC用ビューアでは常用向けのFirestorm、スクリーンショットや動画制作者向きに機能強化、画質向上等アレンジされたBlackDragon
(Windowsのみ、英語orドイツ語)##2 、Androidスマートフォン用簡易ビューアではLumiya
※1が有名である。
公式ビューアのソースコードは「Project Snowstorm:ソースの取得とコンパイルについて(英語)」からダウンロードができる。
##1 LindenLab、「SecondLife」のViewerをオープンソース化 日経BP 2007年1月9日
##2 セカンドライフのサードパーティビューアBlackDragonの紹介 なたで日記 2016年4月17日
Steam版
2012年8月16日公式ブログでSteam版のリリース予定を発表。※2 その後のアナウンスがない。外部の質問サイトの回答では
SLがSteamに参入するとの話は多くありましたが、それが起きたことは確認できませんでした。よって現在もSteam版SLは存在しません。
Steam版SecondLifeについて
2018年9月22日(日本時間) WulftheRed氏回答
Google翻訳を参考に筆者訳
クラウドゲーミング(ゲームオンデマンド)
(注意)この記事はAndroidスマートフォン用ビューア「Limiya」とは関係のない記事です
2013年に海外では画像処理を新設サーバーで行うクラウドゲーミング(ゲームオンデマンド)技術に対応し、非力なマシン、例えばタブレットなどモバイル機器でも快適にプレイできる目途が立った。これを利用して2014年にOnLiveが「SLGo」を有償にてサービスをしたものの、ソニーによる買収があり、2015年4月30日にサービスが終了した。※3 2019年4月のCEO動画インタビューではSLGoのような形のサブスクリプションサービスを検討していると語っている。※4
クラウドゲーミング(ゲームオンデマンド)の仕組みについてはGoogle Stadia(グーグルステイディア)のページが詳しいので参照を。
ヘッドマウントディスプレイ(VR機器への対応)
ヘッドマウントディスプレイのOculus Riftに対応したサードパーティ製ビューワ(Ctrlaltstudioビューア)も登場、SLがプレイできるデバイスは多様化するとみられた。しかし、Ctrlaltstudioビューアは2016年7月18日アルファリリースを最後に中止※5、LindenLabの対応公式ビューアは2016年7月7日に品質上の問題で開発を中止した※6。
一般論
2007年当時は「セカンドライフはハイスペックPCが必要」といわれていたが、現在はサーバーが安定し、ユーザーのPCもハイスペックになってきたため改善されている。執筆者の経験上、4GBメモリ、CPUはCeleron G530でも楽に動作するが、それらはアバターメイキングとチャットを楽しむ程度のもので本格的に楽しむならいわゆる「ゲーミングPC」といわれる3DCGゲームが楽しめるPCが必要である。※7
※1 モバイル等組み込み機器向けのグラフィックライブラリ「OpenGL ES」を利用しているため描画に制限がある。
※2 Steam版リリース予定のお知らせ SecondLife公式ブログ 2012年8月16日
※3 SLGO終了 ぶらりセカンドライフ 2015年4月16日
※4 インタビュー動画:SecondLifeとSansarの将来について...
※6 OculusRiftProjectビューアの開発中止について
※7 ドスパラ公式サイトの説明によるとゲームPCとはゲームをするために必要とされる性能を備えたPCで、高性能なグラフィックボードやCPUが搭載され、その稼働を支える冷却システムが備えられているのが特徴の高性能PCのこと。
コードに古さを抱えるSecondLife、運営元の事業多角化
2012年時点でSecondLifeを実行するプログラムコードに古くて非効率なコードが含まれていることが確認されており、仮にコードの改良を行うとユーザーの創作物が壊れる恐れがある。そこで2012年に独立系ゲームスタジオのLittleTextPeopleを買収し、サービスの多角化を行っている。※1
2012年9月にCreatorverse(クリエイターバース、iPad版)とPatterns(パターンズ、Windows版、MacOS版)※2、さらに2013年1月にはスウェーデンの独立系ゲームスタジオよりBlocksWorld(ブロックスワールド、Windows版、MacOS版、iphone版、iPad版、Steam版)を買収し、自社製品としてリリースした。
※1 LindenLab、SecondLifeを乗り超えるためにゲームスタジオ「LittleTextPeople」を買収
※2 ソーシャルVRのSansarの開発に資源を割くために終了
その他参考
夢の砂場へようこそ、セカンドライフを超えたiPadアプリ「Creatorverse」が登場 Tecwave 2012年11月6日
BlocksWorld Wikipedia英語版 - これによると米国でのiTunes教育部門は1位、ゲーム総合部門では3位の人気ゲームで公開されているゲーム動画の数が4万5000を超えているという(ただし要出典タグが設けられ、そしてSteam版
でのユーザー評価は2019年7月14日現在、賛否が分かれている)。
開発運営人材
2019年現在、SecondLifeの開発運営にかかわっている社員数は約130名である。参考までにSansar担当は約70名。※1
※1 インタビュー記事:SecondLifeとSansarの将来について...
主なスタッフ
- コーリー・オンドレイカ - LindenLabの元最高技術責任者でありLSL(ワールド内スクリプト言語)開発担当者。米海軍出身。のちにFacebookで技術担当副社長を務める。SL内ではCory Lindenと名乗っていた。
資金調達
SecondLifeは2度に渡り投資家からの資金調達に成功している※1
※1 仮想空間における経済活動の課題と可能性 早稲田大学大学院 荒木哲也 2008年 p17
コピーボット(オブジェクト不正コピー問題)
2006年11月13日、ワールド内のあらゆるオブジェクトをコピーするコピーボット(CopyBot)と名付けられた実験用プログラムが流出していることを運営が発表。運営は実験目的のオープンソースプロジェクトに理解があったが、プログラムコードが公開されているとのことは逆にプログラミングの知識のある住民すべてが悪用できることなので問題になっている。一応コピーボットを利用した住人はアカウント停止処分になる。2008年現在、それ以上の技術的な対策は見いだせていない。※1
※1 仮想空間における経済活動の課題と可能性 早稲田大学大学院 荒木哲也 2008年 p27-28
OpenSimについて
近年、有志がセカンドライフの技術をハックし、OpenSimulatorという、メタバースのオープン技術の開発を進めている。ソースコードはここからDLでき、Linuxやサーバの知識があれば、個人でもサーバを立てメタバースを作ることができる。海外では既に企業や団体、学校などが様々な用途でこれを利用し、セカンドライフの派生系ともいえるメタバースを構築している。
OpenSimを利用したメタバースとして、誰でも自由に参加できるパブリックグリッドではOSgrid、企業が運営している商用グリッドではInWorldz
が最大規模である。しかしアクティブユーザー数は2013年8月現在、OSgridが3773人、InWorldzが6894人であり、100万人のアクティブユーザーがいるセカンドライフと比べて、まだ黎明期にある。
OpenSimに関する詳しい情報は、Hypergrid Businessなどの海外サイトで知ることができる。
新プラットフォーム(ソーシャルVR)
2016年よりOculusRift(オキュラスリフト)などVR機器に対応した新プラットフォーム「Sansar(サンサール)」の開発が続いており、2017年にオープンクリエイターベーター版をリリースした※1。ユーザー間では通称SecondLife2またはSL2と呼ばれていたがSecondLifeとの互換性はなく改めてアカウントを取らなければいけない。
一方、創始者であるフィリップ・ローズデールは2016年に別会社で別のサービスHightFidelityをリリースした※2。
これらのサービスの詳細はそれぞれの記事に委ねたい。
2019年4月現在、SecondLifeのユーザーをSansarに強制移行させることはないとしている。二つのサービスは異なる目的で提供しており、それぞれ長い間サービスできるように願っているという。※3
※1 Linden Lab、ソーシャルVRプラットフォーム「Sansar」のオープンベータ版をローンチ
※2 セカンドライフ創設者のソーシャルVRアプリ『High Fidelity』早期アクセス開始
※3 インタビュー動画:SecondLifeとSansarの将来について...
その後
VRの普及が予想より遅れたために下記のような道を歩むことになった。
- Sansar - 2020年3月25日、ソーシャルVRからイベントプラットホームへ転換後、他社へ売却
- HightFidelity - 2019年5月、ソーシャルVRからテレワークプラットホームへ転換※1
2019年新型コロナウイルス流行で見直される
運営会社のCEOは2020年3月27日のSecondLifeLabGab(SecondLife YouTube公式チャンネル内のインタビュー番組)にて2020年の新型コロナの世界的流行によりSecondLifeが再評価され、(通常比で)新規登録者数は60%、戻ってきたユーザー数は10%の増加がみられたと答えた。彼は世界各地で行われる厳格な外出禁止令の影響と分析している。※1 ただこの好材料による追い風は少ないと運営はみている。なぜなら2020年現在使用しているAmazonのAWSへの移行中であり、日々増える需要に対してサーバーの増強ができないからである。※2 その問題も2021年に完全移行が終わり問題がクリアした。
※1 新型コロナウイルス流行がSecondLifeユーザー登録を後押し... ハイパーグリッドビジネス 2020年4月8日
※2 新型コロナウイルスの大流行はSecondLife発展の好材料にならない New World Notes 2020年5月18日
歴史
- 1994年頃、フィリップ・ローズデールがインターネットを使った仮想世界を考案した
- 1999年、LindenLab設立
- 2001年、仮想世界LindenWorld(リンデンワールド)を構築する。のちにSecondLifeに改名。
- 2002年3月13日、初めての住民を迎える
- 2002年7月、公式ベーター開始
- 2002年11月、公開ベーター開始
- 2003年6月、正式オープン
- 2003年年末、仮想通貨「リンデンドル(L$)」導入
- 2006年、米国ビジネス誌にドイツ国籍の中国人の活動が取り上げられ、注目を浴びる(以後SecondLifeブームが起きる)
- 2007年1月8日、公式ビューアのオープンソース化
- 2007年4月2日、WindLight技術を導入し、グラフィック品質が大幅に向上する→美しいマシニマやスナップショットが撮れるようになる
- 2010年3月31日、SecondLifeの新ビューアがリリースされる
- 2011年8月23日、メッシュ技術に対応し、作られるモノの品質が向上する
- 2014年、モバイル用としてSLGoベーター版がサービス開始。しかし事情により2015年4月に取りやめた
- 2015年、ProjectBentoによりアバターの多ボーン化が図られる。特にMMD移植グループのモーション表現が広がる→SLダンス動画参照
- 2016年7月頃、ヘッドマウントディスプレイ等VR機器への対応を公式、サードパーティ双方が断念。
- 2018年11月15日、アニメッシュオブジェクトリリース※1
この見出しは
http://wiki.secondlife.com/wiki/History_of_Second_Life
を参考に記述した。
※1 アニメッシュオブジェクトをリリースしました SecondLife公式ブログ 2018年11月15日
二次利用の現状
動画と配信は「YouTube」
ニコニコが提供しているサービスのうちニコニコ動画およびニコニコ生放送との親和性が高く、それらと上手に組み合わせることでマシニマ(ゲーム内を撮影編集した動画作品)、ミュージックビデオ、ダンス動画、実況動画の作成、音楽活動、生配信ができるが、ニコニコ自体の低迷などによりYouTubeが選ばれている。
当初は公式ビューアに動画撮影機能があったが外部ツールに委ねることになり削除された。運営の外部ツールの方が優れているとの判断に基づく。
ただし定めたガイドラインが現在のユーザーが望んでいる趣味程度の撮影やライブ配信に沿っておらず、商業利用やコンテスト参加、いわゆるプロやセミプロ、ハイアマチュアでの利用を想定しており、厳密に沿うと何でも事前許可が必要でとにかくめんどくさい。土地オーナーはもちろん誰か分かるほどはっきりと写るアバター全員にはできる限りの事前許可を得るよう強く勧める。誤って写ってしまった場合はぼかしをいれるなどプロレベルの判断と対応をしたほうがいいだろう。これらはSecondLifeの慣行である。
ミュージックビデオの作例
モーションも扱うことができ、MikuMikuDanceのような動画の作成も可能である。→SLダンス動画を参照。
セカンドライフ内で音楽活動、コンテンツ構築を行うChouchouのライブ映像など
Twitchでは禁止
Amazon.comのゲーム配信サイトTwitch.TVでの配信はコミュニティガイドラインに反するコンテンツがあるとして配信を禁止されている。vsmediaではWebサービスとしては成人向けとはされていないが、成人向け表現ができるエリアが存在するためと推定している。※1※2
※2 ゲーム配信サービスのTwitch、18禁ゲームの実況を禁止 3D仮想空間「SecondLife」もNG vsmedia 2015年5月30日
スクリーンショットアートは「Flickr」
厳しい撮影ガイドラインとフレームレートが出せないことから動画や生配信は厳しい。そこでスクリーンショットを撮りレタッチするスクリーンショットアートに活路をみいだしている。ガイドラインの制限が少なく公式ビューアに機能があることもあり海外ユーザーに人気がある。ニコニコにはニコニコ静画があるがイラスト投稿向けで厳密にはそのような作品の投稿に対応していない。なお、Flickrに日本人ユーザーコミュニティがある。
関連コミュニティ
関連商品
サービス考案のきっかけになったSF小説「スノウ・クラッシュ」
原題「The Making of Second Life」。大げさなビジネスの話は無く、リンデンラボ試行錯誤の歴史など。
関連項目
- ゲーム:ネトゲ:MMO
- メタバース
- ai sp@ce / playstation®home / meet-me / VRChat
- 3Dインターネット - 野村総合研究所等が昔提唱していたインターネットのコンテンツが3DCG中心になるとの未来予測。ところがフューチャーフォン(ガラケー)、スマートフォン等モバイル端末や無線通信(Wi-Fiなど)の進歩により比較的端末の負荷の小さくても実用になるコンテンツ、例えばSNS、動画配信、ショッピング、モバイルゲームなどに主軸が移りそのようにはならなかった。
リンク
脚注
- 17
- 0pt
https://dic.nicovideo.jp/t/a/secondlife