「ようやく彼に」
「会えそうだよ」
シェン(アンデッドアンラック)とは、マンガ・アニメ『アンデッドアンラック』の登場人物である。
本名、シェン=シアン。こちらは単行本17巻にて明らかになった。また、漢字表記の場合は少なくとも「シェン」は「沈」となる。こちらは19巻にて判明。
概要
組織(ユニオン)に所属する否定者の一人にして円卓の一員。
中国出身の武術家で席次は第二席。そして同時に、アンディと風子が初めて遭遇した否定者の一人。鍛錬に鍛錬を重ねた屈強な肉体を持つ、爽やかな笑顔が印象的な好青年。よくウインクをしている。
組織よりアンディらに差し向けられた刺客として派遣されるも、二人のことを気に入ったために、彼の取り成しでとある条件達成による組織加入を提案。その条件とは、円卓のメンバーである否定者を返り討ちにすること。そもそも、円卓の一員となるには課題(クエスト)の成功によって増やされた席に収まるか、欠員が生じるか=円卓メンバーの死のどちらか。そして、物語開始時点で円卓はすでに満席である。
ともあれ、結果として二人とも無事に円卓入りを果たした。そのため、アンディや風子にとっては命の恩人とも言うべき人物であり、また物語の方向性を決定づけた人物とも言える。なので、アンディからはそのことについて感謝されている。ただ、シェンとしては仲間であるボイドやジーナを差し出す形となってしまったために、どこか思うところがあるようだ。
上記のように、とにかく笑顔を絶やさず気さくで話の分かる好人物であることがはっきりしている。というか人が良すぎて不遇な目に遭うことも。それでいて「天下無双」という夢を抱いており、そのために鍛錬を欠かさないストイックさをも有している。ただ、その一方で自由奔放な性格のせいで色々とトラブったり、普段の生活態度がズボラだったりするのが玉に瑕。そんな彼を慕い、陰から支えているのが彼唯一の部下であるムイである。
そして、特筆すべきは度が過ぎるほどの戦闘狂という側面を併せ持っている。それは強者との戦いに喜びを覚え、そしてその強さを称賛する、といったことはまだ序の口。場合によっては任務や仲間の命などと自身の都合の優先順位が逆転するという、前述の自由人気質が悪い方向へ向かってしまうこともしばしば。その時の彼の浮かべる笑みは爽やかな物とは打って変わって不気味そのものな笑みへと変貌する。
人呼んでキモキモスマイル。
それでも、律儀に約束を果たそうとするなど、断じてその善良さが失われてしまうわけではないことにも留意したい。
それにしても、強くなることに対して並々ならぬ並々な執念を燃やし「天下無双」を目指す彼を駆り立てるものは何だろうか・・・?
能力
非常に卓越した拳法の使い手。事実、組織における円卓の序列というものは課題達成(クエストクリア)や内部にて上げられた功績などによって決定されるもの。つまり、シェンの実力は組織内においても上位に食い込むほど、もっと言えばビリーら古参メンバーに匹敵するものであり、そしてそれらは彼の弛まぬ修練の賜物と言える。
また、自身の繰り出す拳法に加えて所有する古代遺物(アーティファクト)や自身の否定能力を駆使して戦う。
五不苦星
シェンが独自に編み出した奥義。UMA「銀河(ギャラクシー)」追加によって発生した“星”の概念から着想を得たもの。
相手の頭、両肩、両膝を踏み込みと同時に一気に破壊する五連撃。それはさながら、五芒星を象ったものとなっている。同時ではあるものの、撃ち込む順番というものがあり、それは以下の通り。
- 頭:意識を混濁させることにより、第二撃回避を阻止
- 膝→肩:相手を逃がさないために、利き足の膝を砕く。なので、左右の二者択一からの下記の布石。つまりは右膝→左肩→右肩、もしくは左膝→右肩→左肩の順で破砕。これにより相手の反撃の目を潰す。
- 残りの膝:最後の一撃。ここまで至ればもはや相手は立っていられまい。
装備
如意金箍
中国から出土された古代遺物で、伸縮自在の棒。いわゆる『西遊記』にてお馴染みの如意棒。
「進展(シェンジァン)」の掛け声で大気圏を突破するほどまでに伸び、反対に「収縮(ショウスオ)」で缶ぐらいの大きさまで縮められる。
近接戦闘が厳しい場合に、間合いの外から攻撃を仕掛けられる優れもの。
なお、棒に付けられている金箍は一心が拵えたもの。この素材となっているのは「ヒヒイロカネ」であり、一心の持つ不壊の公開を保ったまま如意棒の変化に合わせて箍自体も変化する。ただし、不壊の効果の範囲は箍のみであり、如意棒自体には不壊の効果は適用されない。
金斗雲
組織所有の古代遺物。乗れば意のままに高速移動が可能となる。
ただし、誰でも乗れるわけではないらしく、様々な検証が行われた結果「心の清い人」であれば乗ることが可能、と仮定。その基準は今もなお不明であるが、少なくとも円卓メンバー全員がこの基準に該当する模様。
なお、“金”でも間違いではないが『西遊記』に忠実だと“觔”の字が使われる(この字だと日本では馴染みがないため。”金”は当て字)。ちなみに“筋”だとみんな大好きCHA-LA HEAD-CHA-LAなSPARKING!!になる。
否定能力
他対象・強制発動型。
相手が刹那に思う偽りの無い意識を否定する。シェンの視界内にいる対象を視認した瞬間、その対象が思っていることと真逆の挙動・言動を取らせる拘束型の否定能力。
極端な話だと・・・
- (行くぞ!突撃!!)→「撤退するんだよ~!!(何故だ!?)」
- (殺されたって情報を吐くかよ)→「知ってること全部話すから助けてくれ!!(どういうことだ!?)」
- シェンさん「ムイちゃんはボクの事を」→ムイちゃん「軽蔑しています!!」
→シェンさん(涙目)「それは何でかな?」→ムイちゃん(涙目)「自堕落な生活をしているからです!!」
→シェンさん(泣)「それ全部本当なの?」→ムイちゃん(泣)「本当です!!」
・・・といった具合に思考と行動があべこべになる。これは戦闘面において大いに重宝するだけではなく、相手の真意を知る際にも非常に有益な能力と言える。最後は完全に自爆&誰も幸せになれていない。
だからと言って、万能の力というわけでは決してない。まず、両目で瞬きをしてしまうと効果が途切れてしまうために、極力片目ずつで目視するようにしている。上記のウインクはこれによるもの。
さらに、相手の行動が思考するよりも速い場合は効果が現れないことも。
そして、この否定能力の肝とも言える事項だが、その発動条件からして厄介極まりないもの。それは相手に好意ないしは好感を持つこと。なので、嫌悪を抱く相手ならばもちろん、無関心な相手でも効果が現れない。もっとも、シェンの人好きのする性格と強者に対して敬意を払う姿勢のためにデメリットという印象がほぼ薄い。なお、強制発動型なので好意のある相手には意識的に視線を向けないようにしている。そのためにみんなで協力する必要がある場面でも、ヘタに能力を作用させないためにボッチとなってしまうことも。やっぱデメリットあるじゃん。
過去
目を背けられない不真実(ほんとう)のこと
幼少期の彼はで貧しい中にあり、両親はおらず妹のメイと二人きりで過酷極まりない境遇の中で生きていた。その様は、今の彼の境遇からは考えられないほど荒んでおり、他人から物を奪うのは当たり前の喧嘩三昧の日々。確かに、それは生きるためではあるが、それ以上にたった一人の肉親であるメイを守るためでもあった。また同時に、メイには真っ当に生きてほしいとも願っている。
大の大人が束になってもこれを返り討ちにできるほどの腕っぷしの持ち主である幼少期のシェン。そんな彼はひょんなことから高額の賞金が獲得できる武術大会の話を聞き、これに参加。
しかし、優勝を目前にしながら完全敗北を喫してしまう。しかも、相手は無名の流派の武術家に。その武術家、ロウの師から敗れてもなお闘志衰えぬその眼を気に入られ、彼の弟子となる。
こうして衣食住に困ることなく修行に励む日々が始まり、そしてメイも学校へ通えるようになった(学費:ロウの優勝賞金)。また、これらと引き換えに“師を超える”という条件が提示。これを達成すべく前向きに修行に取り組むシェンの姿は明るいものになったと同時に、自身が天下無双を目指すようになったのもこの頃からである。
そんなシェンにとって、恩師と呼ぶべきこの人物の名はファン=クーロン。そして、彼が興したその流派は、後に真八極と称されるようになる。
彼の目に留まったこと自体が全ての始まりだったと言えよう。
その運命の歯車が決定的に狂い出した瞬間。それはメイのためにシェンが良かれと思って鉄山靠を教えてしまったことから。以降、メイが密かに鍛錬を積み続けた結果、教えた当人が驚愕するほどの威力と精度を持った技にまで練り上げたのだった。
練り上げてしまったのだった。
これを目にし、兄妹二人を競わせる形で己の強さの糧とすべく利用するファン。その上で、これに抗議したロウを殺害。そして、とうとう機が熟したと見て本性を現し、シェンの目の前でメイを蹴り飛ばし、崖へと落とす。当然、これを助け出すべく妹に手を伸ばし、その手を掴むシェン。
その瞬間に、彼は否定者となってしまった。
不真実が発動してしまったことにより、最愛の妹がその手を放してしまい、そのまま落命。そうして、ファンに挑むものの完敗。
こうして幼い頃以上にその心は荒み、強さに飢えた修羅として闘いを繰り返すようになってしまった。それと共に、いつしか夢見ていた天下無双も憎き仇敵を討つという形へと変貌してしまった。
そんな彼の心が癒されるようになるのは、ムイとの出会いを待たなければならない。
そして因縁の星は巡る
四季を司るUMAの討伐。そのうちの一体であるサマーは過去のループにおいて一度も倒せた例のない強敵。そのサマー討伐に赴いたシェンとムイたち。当然ながら、これにUNDERも介入。その刺客として現れたのが、仇敵ファン。当初は古代遺物によって若返った師の姿に戸惑いを覚えるものの、因縁の相手に挑むシェン。確かに、彼はあの日から強くなったものの、それでも圧倒的すぎるファンには遠く及ばない。
絶望が人を強くするという狂気じみた観念からファンはムイを攫うもアンディらの加勢により事なきを得る。それでも、ファンを討つことに固執するシェンだったが、アンディの言葉により考えを改める。
今度はアンディと組んだ上でファンと相対するが、なおも圧倒してくるファン。
そして、とうとうその毒牙がムイや風子に向けられる。だが、それが二人に届くことはなかった。
それが致命傷となり、生死の境を彷徨うシェンは死んだ妹の魂と邂逅を果たす。メイの言葉を受け、シェンはムイに自分を殺すよう頼む。ただし、それはファンが持つ古代遺物「死亡遊戯」を用いることで彼女のキョンシーとなってムイを、そして仲間たちを守り続けるためである。
そうして、ファンから「死亡遊戯」を奪取に成功すると、これを発動。シェンはキョンシーとなるとともに、彼が死亡したことで自身の否定能力も失われてしまう。しかし、新たな不真実の否定者として覚醒したのがムイだった。その二人が力を合わせ、ファンから勝利をもぎとる。一方のサマーも、アンディら仲間たちの協力により、ファンが目指していた強さとはまた違った形を示した上で討伐成功。
戦いの後、ムイの不真実によりファンの本心を知り、静かに涙を流すシェン。
なお、ムイの不真実覚醒は任意の人物に否定能力を譲渡できるという後の展開において大きな伏線となっている。
それからは、ムイのキョンシーとして彼女と共に最後まで戦い抜いたのだった。
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ループ編
ただひたすら皆と目指す最強の星
きっとこの気持ちが
思いが・・・!!
ループ後において境遇の変わった人物の一人。
妹のメイ共々、親に捨てられたところをファンによって拾われ、育てられることに。もっとも、これはファンが風子との再戦を果たすために、彼女との不殺の誓いを順守した上での行動に過ぎない。そして、二人ともそうした事情も知ることとなった。それでも、メイ曰く「歪でも家族だった」とのこと。
もっとも、前ループと違って荒む前にファンと出会ったためか、そこまで強さに固執しているわけではなくなっている(その上、ファンによる凶行も事前に阻止される形にもなっているので復讐という動機付けもなくなっている)ので、渋々修行しているといったところ。もっとも、シェン自身はそれが自分のためにしてくれていることを理解しているし、修行自体は続けていたおかげで強くはなれた。
ちなみに、メイも後に風子との対決で彼女に後れを取ったとはいえ、十分に渡り合えるだけの実力を身に着けた。
ただ、シェン自身の強くなる理由が見つからないまま。
そんな彼がそれを見出すことになるのは、今ループにおいてのムイとの出会いによって。修行を抜け出した時に食事を振る舞われた礼と、彼女の身の上を知ったことで武術を教えたのがきっかけ。これによって、自分が強くなることの意味を見出し、そして他の誰かのためにその強さを使うことを望むようになる。
そして、世界最強の武闘家を決める武闘大会、天擂祭。大擂台賽じゃないよ。ファンを超えるため、そしてムイの弟の病気を治す優勝賞品の丸薬を手に入れるため・・・何よりも、そのために大会に参加したムイを勝ち上がらせないために、彼もまた参加する。
そこに風子ら組織も参戦。彼女の課した試練も突破し、否定能力覚醒の悲劇も風子たち、そしてファンの協力もあって回避。その果ての決勝戦にてファンと激突。激闘の末に勝利を手にし、ムイたちと共に組織の一員となるのだった。
命ノ極・命壊陣
ループ編にて初使用。
真八極の基盤となっている真八極図。それを構成する八つの極を極めることで見えるという頂点に位置する九つ目の極・命。
この技によって全ての極を一気に行使する奥義。ただし、これは時の前借り同然の技であり、それ以外の者が使うと身体が壊れ、命の危機に晒される。まともに用いられるのは不老の肉体によって耐えることのできるファンのみ。
ちなみに、真八極図はファンが見つけたものであり、星の位置や流れを見て開眼に至ったようだ。
なお、その八つの極は以下の通り。
- 酔:酔拳を軸にした極。
- 筋、血:どちらも打撃を意識した極。
- 華:槍天爛華なる蹴り技がここに類するということ以外詳細不明。脚に関する極か。
- 黙、怒:禁じ手に類する怒とそれを抑えるための黙。
- 展:敵の観察・攻略のための極。
- 廻:回転を用いた技の極。
ちなみに、少なくとも今ループにおけるシェンは天体に興味がある様子。
ループ前、ループ後の相違点まとめ
ループ前 | ループ後 | |
髪形 | おさげ:無 | おさげ:有 |
否定能力発現の瞬間 | 妹の救出 | ムイとの対戦時 |
ムイとの出会い | 強さに飢えた上での放浪の最中 | 修行から抜け出した時 |
ファンとの出会い | 武術大会決勝での敗北 | ファン自ら出向いた |
強くなる理由 | 復讐のため | 自身の強さを誰かのために役立てるため |
キモキモスマイル | 有 | 無 |
余談
とにかく不遇。
というのも、そもそも彼の名前の由来は中国語で真実を意味する“真相(Zhēnxiàng)”・・・ではなく、単に中国人っぽいのという非常に雑過ぎる理由(証拠はこちら。ついでにキモキモスマイルまで公式名称化)。もっとも、キャラ名と能力名が繋がっているという予想が多く寄せられたため、以降はそれを意識したネーミングが成されるようになった、ということを考えるとこちらも別の意味で作品の方向性を決定づけたと言えよう。
・・・・・・まあ、それでも不遇としか言いようがないんだけれども。不憫なのは別の人。
そんなシェンさんの不遇列伝は以下の通り。
- アンディによって勝手にスポイル捕獲のメンバーの一人にされてしまう。
- もっとも、本人からすれば願ったり叶ったりだが・・・。
- アンディ、スポイルのテリトリーと化したロンギングの町にシェンの忠告を無視してトラックで突入。
- キモキモスマイル、シェンの代名詞と化す。
- 漫画制作にて不真実発動を防ぐため、一人寂しく筋トレに励む。
- 単行本オマケにて、アンディの新技の実験台となる。
- ムイちゃんの申し出を却下した上で彼女に世にも残酷な罰(という名の自爆技)を与える。
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以下ループ後。
・・・・・・シェンさんとムイちゃんはもう泣いていい。
なお、この手のネタ全般に言えることだが、あくまでもネタとしてその範囲内で楽しむことが望ましい。
なので、あまりガチになりすぎず、緩くほんわかと楽しむことを推奨します。
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関連項目
「そっか」
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