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ユニークな名称の化合物の一覧単語

ユニークナメイショウノカゴウブツノイチラン

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今週のおすすめ この記事は第614回のオススメ記事に選ばれました!
よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。

ユニークな名称の化合物の一覧とは、独特で面い、ちょっと変な名前の物質を集めた記事である。

はじめに

化学って難しい」「ぜんぜん分からん」という方でも、ちょっと興味をもってもらえそうな、ユニークな名前の化学物質を一覧にした。

たとえば、外国語なのに日本語みたいな名前の化学物質や、特徴的な形から面い命名をされた化学物質などがある。日本語が由来になっていたり、ただの偶然だったりする。もし、この記事を眺めて名前に違和感を覚えなかったなら、それはあなたがどっぷりと化学に染まっているためかもしれない。

一覧

ア行

アズレン

艦船を擬人化したような名前だが、化学における「アズレン」は美しい青色の分子。を意味する“Azul”が名前の由来。7員環と5員環からなるが芳香族性をもち、誘導体は抗炎症作用をもつ。

アホエン

アホエン」は、ニンニク由来の分子。ニンニクの独特な香りのもとである「アリシン」が、食用油などに溶けると生成される。

アホス

インターネットスラングexitを連想させる名前だが、「アホス」という分子は複数存在する。いずれも構造中にリン(Phosphorus)を含むため、名前にホス(phos/fos)が用いられた可性がある。

アリスキレン

アリスレン」は、アリス・キレンという女性ではなく、高血圧症の治療。レニンという血圧上昇に関わる分子を阻することで、血圧を下げる。ただし、有効性より性のほうが強いとされる。同効に「レミキレン」があり、姉妹のような印も受ける。

アリストニトリンA

アリストニトリンA」は、インドルアルカロイドの一種。幻想郷に住まう七色の人形遣い水平思考の河童のことではない。ちなみに「アリストレン」や「ニトリン」といった名前の分子もある。

アンタブス

正式な名称は「ジスルフィラム」。「アンタブスAntabuse)」は海外の商品名だが、どちらかといえば「アンタビュース」という読み流。アルコール依存症の治療で、これを用するとお酒を少し飲んだだけで気分が悪くなる。

ウルシオール

ウルシオール」は、文字通りウルシに含まれる分子(上記の構造式は一例)。ウルシの接触皮膚炎(かぶれ)の原因となる。

王水

王水」は、濃(HCl)と濃硝(HNO3)を、3mol:1molので混合した液体。通常のには溶けないプラチナをも溶解する。腐食性の強い劇物である。

オカダ酸

「オカダ」は、下痢貝毒の一種。クロイソカイメンという綿動物から単離された。クロイソカイメンを発見した動物学者の岡田弥一郎氏の姓が学名に使われており、学名から物質名が命名されたため、このような名前となっている。

オカムラレン

「オカムラレン」は藻由来の分子。シクロプロパン環やエポキシド環も特徴的だが、臭素原子やアレン構造までもつ。命名の由来はこの成分を含む藻の種小名“okamurai”と、その特徴的なアレン構造だろう。

オクタン

オクタン」は、8つの炭素をもつ飽和炭化水素。18種類の構造異性体がある。水タイプのポケモンと同名だが、こちらはとは染まない。なお、ガソリンオクタン価は、オクタンの構造異性体のうち「イソオクタン」が標となっている。

オシメンミルセン

「オシメン」「ミルセン」は、どちらも植物に含まれるモノテルペン。いくつかの構造異性体がある。よい香りがするため香料として利用される。植物の属名から命名されているため、推しメン(一推しメンバー見る専とは関係ないが、これらテルペンテルペノイドには興味深い性質をもつ分子も多く、推せる分子種といえる。

オパイン

「オパイン」は、植物に対する病原性をもつリゾビウム属菌(アグロバクテリウム)によって生合成される分子の総称で、アミノ酸とケトまたは糖が縮合してできる。構造式で示した「サッカロピン」はアミノ酸のリシンとケトα-ケトグルタルが縮合したもので、ヒトの体内でも合成される。

オリンピセン

「オリンピセン」は、5つの環からなる芳香族炭化水素オリンピックシンボル五輪マーク)に似ていることに由来する。sp3混成軌炭素原子(ほかの原子と単結合のみで結合している炭素原子)が1つだけある。オリンピセンでは5つの輪が接しているが、5つの別々の輪が連なる「オリンアダン」という分子も合成されている。

カ行

カルボン酸

一般に「カルボン」といえば、カルボキシ基(-COOH)をもつ(Carboxylic acid)をすが、これは名前そのものが「カルボン(Carvonic acid)」である。そして、このカルボンもカルボキシ基をもつため、カルボンの中のカルボンといえる。

カレン

女性名のような可憐なきの名前だが、「カレン」はローズマリーマツなどに含まれるモノテルペン。甘く刺的な香りで、咳を鎮める効果があるとのこと。

カロン

ギリシャ神話だったり、冥王星衛星だったり、ゲーム『スーパーマリオ』シリーズの敵キャラクターだったりする名前だが、化学における「カロン」はや潮の匂いのする香料。マリン系の香水に添加される。香水メーカー“Camilli Albert Laloue”が命名の由来とのこと。

クエン酸

クエン酸」は体内のクエン酸回路の構成要素で、食品添加物、洗剤の成分、痛風の治療としても知られるヒドロキ。食えないことはないし、サプリメントとして販もされている。

クマリンクマロン

クマリン」「クマロン」は、いずれも酸素原子を含むヘテロ環式化合物ゆるキャラのような可らしい名前だが、クマとは関係。このうちクマリン桜餅の香りの成分である。また、これらを部分構造としてもつフラノクマリン類は、グレープフルーツなどに含まれており物との相互作用の原因となる。

クラウンエーテル

クラウンエーテル」は、-CH2-CH2-O-構造が環状に連なってできるエーテル。環を構成する原子の数と酸素の数から、「12-クラウン-4」「15-クラウン-5」「18-クラウン-6」のように呼ばれる。環の内側にその環の大きさに応じて金属イオンを取り込む性質があり、たとえば12-クラウン-4はLi+と錯体を形成する。チャールズ・ペダーセン氏らはクラウンエーテルの開発によりノーベル化学賞を受賞した。

クラリス

正式な名称は「クラリスロマイシン」で、マクロライド系抗生物質抗菌薬)の一つ。大正女性名のような「クラリス」の名で製造販売している。ちなみに、開発のもとになった抗生物質は「エリスロマイシン」というのだが、こちらは今のところ「エリス」としては販売されていない。

クリプトン

貴ガス元素クリプトンKrypton)や、初音ミクを開発したクリプトンCrypton)ではなく、石鹸に添加される香料の「クリプトンCryptone)」である。天然にも存在している。

クリリンH

クリリンH」は配糖体。デオキシ糖のない「クリリンG」という分子もある。いずれも最強の地球人とは関係ないが、スピロ構造とステロイド構造をもっているので強そうな印はある。

クロコダイル

正式な名称は「デソモルヒネ」で、麻薬鎮痛薬の一種。ロシアなどではガソリンシンナーなどを用いて密造され、それが「クロコダイル」と呼ばれている。性や腐食性のある不純物が混じり、常用すると壊疽を引き起こしてが露出するが、デソモルヒネ依存性のため使用を止められず数年で死亡する。

ゲラニルゲラニル二リン酸ゲラニルゲラニルピロリン酸

「ゲラニルゲラニル二リン」は、「ゲラニル二リン」にさらに「ゲラニル基」がついたため、このような名となった、テルペノイド生合成の中間生成物。七五調で語呂がよい。置換基名のもとになった「ゲラニオール」の名は、ゼラニウムの旧属名“Geranium”に由来する。ちなみに、ゲラニルの「ニ」はカタカナだが、二リンの「二」は数字なので間違えないように注意。

ゲンチジン酸ホモゲンチジン酸

「ゲンチジン」は、バファリンの成分であるアスピリンが代謝されてできる物質の一つ。「ホモゲンチジン」は、アミノ酸チロシンやフェニルアラニンの代謝中間体の一つ。つまり、どちらも私たちの体内でできる分子。ちなみに、有機化学において“Homo”は原子が挿入されていることを意味するため、ほかにもホモな分子は数多く存在する。例を挙げれば「ホモリン」「ホモシスチン」など。

コチニン

「コチニン(Cotinine)」は「ニコチンNicotine)」のアナグラム文字を並べ替えて別の言葉にする言葉遊び)。タバコに含まれるニコチンが、体内で代謝されるとコチニンになる。

コリン

男性名のような名前だが、「コリンCholine)」は、神経伝達物質アセチルコリンなどの材料となる栄養素。「コリンCorrin)」はビタミンB12を構成するヘテロ環式化合物

ゴルゴステロールアカンステロール

ゴルゴステロール」や「アカステロール」はステロイド構造をもつ分子。構造も似ており、まるで間違い探しである(どこが違うか見べてみよう)。ちなみに、「ゴルゴネン」や「アカトール」といった分子もある。

コロネン

コロネン」は、7つの環からなる芳香族炭化水素菓子パンコロネではなく、太陽コロナに由来するが、コロネを正面(前方?)から見たように見えなくもない。美味しそうな名前だが発がん性があるため、食べないほうがよいだろう。

サ行

サルブタモール

サルブタモール」は、気管支を拡させ呼吸を楽にする交感神経β受容体刺。気管支喘息の発作治療に用いられる。筋肉を増強させる作用もあり、際大会などではドーピングの禁止物として検の対となっている。サルブタの販売店とは関係なく命名されたが、こうしたβブタに飼料として与えられることがあり、豚肉として選手が意図せず摂取してしまう事例がある。

サルフラワー

サルフラワー」は硫黄を含むヘテロ環式化合物。その構造がヒマワリ(サンフラワー)に見えることから、この名がついた。

サンタレンサンタロール

サンタレン」「サンタロール」は、どちらもビャクダン檀)に含まれるセステルペンセステルペノイド。ビャクダンの学名に由来するので、ポルトガルブラジルの同名の都市サンタさんとは関係ない。

シクロアワオドリン

「シクロアワオドリン」は、徳島文理大学の研究グループが合成した環状オリゴ糖。構造式の見たから、徳島阿波踊りに因んで命名された。環構造の中に別の分子を入れて安定化させること(包摂)ができるため、練りわさび味を長持ちさせるのに利用されているとのこと。

ショウガオール

ショウガオール」は、文字通りショウガに含まれる分子(上記の構造式は一例)。ショウガの辛味成分。ショウガには「ギンゲロール」という辛味成分も含まれており、燥や加熱によってより辛味の強いショウガオールになる。

シネオール

「シネオール」は別名「ユーカリプトール」で、ユーカリ属植物に含まれるモノテルペノイド。清な香りがあり、食品添加物や香料として利用される。

シネリン

「シネリン」はシロバナムシヨケギク(除菊)に含まれる成分で、殺作用をもつ。シネリンなどをもとにテトラメトリンレスメトリンなどの殺剤が開発された(商品名としては大日本除虫菊キンチョールが知られる)。

シマリン

キャンプが趣味の高校生ではなく、「シマリン」は強心配糖体。心臓の働きを強めるため、として用いられる強心配糖体もあるが、不整脈を引き起こし死に至る危険もある。身近なところではフクジソウの根に含まれる。キャンプでは食糧を事前に調達しておき、野草には手を出さないほうがよいだろう。

シラン

「シラン」は、メタン炭素原子がケイ素原子に置き換わった構造の化合物。シランの水素原子がメチル基などに置き換わった有機ケイ素化合物もシランと呼ばれることがある。

スカトール

スカトール」は、便に含まれる分子で、その匂いの原因となるインドール誘導体。しかし、低い濃度ではの香りがし、実際にオレンジジャスミンの香気成分でもある。香水タバコに添加されるが、もちろん、工業的に合成されたものが使用されている。

スペルマン

スペルマン」は正式な名称ではなく、研究者が冗談で呼んだもの。正式には「ジクチオプテレンC'」といい、褐藻のフェロモンである。スペルマンと呼ばれた理由は構造式を見れば一瞭然だろう。ちなみに、ヒト精子の大きさは60μm(0.06mm)とされるが、この分子は1nm(0.001μm)程度しかない。

スペルミンスペルミジン

スペルミン」と「スペルジン」は、いずれも精液から発見された分子。分解物とともに、その匂いの一因となるポリアミンである。なお、スペルミンを発見したのは、微生物学のと称されるアントニ・ファン・レーウェンフック氏。ちなみに「ホモスペルミン」「ホモスペルジン」という分子もある。

スマネン

「スマネン」は、5員環と6員環からなる炭化水素。ちょうどサッカーボールのような構造をした「フラーレン」の部分構造でもある。サンスクリットヒンディー語ヒマワリを意味する“Suman”に由来する。

ズルチンフィロズルチン

「ズルチン」は人工甘味料、「フィロズルチン」はアマチャ(甘)に含まれる成分で、ともに甘い味のする分子。ただし、ズルチンは中や発がん性が問題となり、現在は使用禁止。名前は似ているが構造的な類似点はない。

タ行

タブン

「タブン」は、ドイツでもともと殺剤を的として開発され、のちに化学兵器に転用された神経ガス過去日本で使用された「サリン」と同じG剤と呼ばれるコリンエステラーゼ阻である。性が強く、殺剤としてはタブーとされたことが命名の由来。

チラミン

「チラミン」は、アミノ酸チロシンが脱炭酸してできるアミン。食物の発酵や腐敗によっても生じ、ワインチーズチョコレートなどに含まれている。構造はカテコールアミンに類似しており、血圧上昇の要因となる。片頭痛の一因としても知られているが、ガイドラインでは摂取制限を勧告してはいない。

ツヤ酸

「ツヤ」は、ベイスギ(スギではなくヒノキ科植物の一種)から発見されたモノテルペノイド。化粧品に配合されるが、艶(つや)とは関係なく、抗菌作用があるため保存料としての利用。同系統の分子として「ヒノキチオール」がある。

デカンドデカンウンデカン

「デカン」「ドデカン」「ウンデカン」は、それぞれ炭素数が10個、12個、11個のアルカン七五調で語呂がよいが、この順で覚えると11と12が逆になるので注意。炭素数の少ないメタンプロパンは常温では気体(ガス)だが、デカン・ウンデカン・ドデカンは常温で液体である。

テストステロン

テストステロン」は代表的な男性ホルモン。生殖腺の発達、第二次性徴の発現、筋肉の増強などに関与する。精巣だけでなく、副腎皮質や卵巣でも生合成されるため、女性でも男性ホルモンによる調節を受ける。テストは捨ててかかると、あとで困るよ。

テンポTEMPO

TEMPOテンポ)」は、2,2,6,6-テトラチルピペリジン-1-オキシルのことで、有機合成化学における試。ラジカルであり、還元されて失活した触媒を再び活性に戻す再化剤であり、ラジカル反応を停止させるラジカル捕捉剤でもある。

ドコサン

「ドコサン」は炭素数が22個のアルカン化粧品には分の蒸発を抑え肌の潤いを保つためのエモリエント剤として配合される。どこ産かは製造販売元に聞いてみるほかないが、商品そのものは産のものが販売されている。

トラウマチン

トラウマチン」は植物ホルモンで、外傷を負うと生成され組織の再生を促す。植物も傷つけられれば心的外傷(トラウマ)を負うのかもしれないが、が同じだけで直接の関連はない。一般にトラウマは精的なものを意味するが、本来の“Τραύμα”は傷そのものを意味する。喩的に心的外傷のみをしてトラウマと呼ぶのが定着した。

トリコサン

トリコサン」は炭素数が23個のアルカン美食屋四天王一の食いしん坊のような名前。ちなみに、構造式で示したn-トリコサンは分枝がないが、分枝のある構造異性体は5,731,579種類もある。

ドンペリドン

ドンペリドン」は制吐(吐き気止め)であり、消化管機善するドーパミンD2受容体拮抗シャンパンドンペリ(ドン・ペリニヨン)を連想させる名前であり、構造式の2つのベンゾイミダゾリノン構造もどことなくドンペリの瓶に見えてくる。ただし、単なる二日酔いに対しては適応外である。

ナ行

ナノプシャン

ナノプシャン」は、ヒトの形をした分子。名前は10億分の1を意味するナノと、『ガリバー旅行記』に登場する小人のの住人リリシャンに由来する。実際のナノプシャン身長は2nm程度であり、まさにナノサイズの小人である。構造を一部変えてアスリートや学者に見立てたり、バレエダンサーにしたりできる。さらに、のような構造でタイヤがきちんと回転する「ナノカー」も合成されている。

二酸化チタン アナターゼ型

「アナターゼ」は、二チタン(TiO2)の結晶構造の一種。二チタンの結晶構造として、ほかにルチル、ブルッカイトがあるが、加熱により最も安定なルチルに構造転移する。二チタン触媒として実用化されており、アナターゼルチルより10倍ほど活性が高い。

尿素尿酸

尿素」「尿」は、ともに尿に含まれる成分。尿素は親性があり保作用があるため、ハンドクリームに配合される。世界で初めて機物から合成された有機物であり、有機物生物のみが作り出せるという当時の定説を覆した。尿はいわゆるプリン体の最終代謝産物で、血中濃度が高まると結晶化し、痛風の原因となる。

ニゲロースサケビオース

逃げろとか叫びとか阿鼻叫喚な名前だが、「ニゲロース」は糖の仲間で「サケビオース」はその別称。ショ糖砂糖)や糖などと同じ二糖に分類される。ブドウ糖が2つくっついた構造。ニゲロースはコウジカビの種小名“niger”に由来し、サケビオースはSake)に由来する。

日本酸

日本」は炭素21のジカルボン。ハゼノキやウルシを原料とした木蝋に含まれる性の高い成分。木蝋の英名“Japan wax”に由来するものと推測される。

ハ行

ハウサン

「ハウサン」は、構造がハウス)のように見えるため、そう名付けられた炭化水素。3員環と4員環という歪みの大きい構造からなるため、としては相当住みにくかろうと思われる。

バスケタン

バスケタン」は、構造がバスケットのように見えるため、そう名付けられた炭化水素。その大きさと疎性から、分子1つでさえ入れるのは困難。

バッカチン

「バッカチン」はトリテルペンアルコールの一種。環状のペルオキシド構造(R-O-O-R')を有する。名前はこの成分を含有するシラキ属植物の種小名“baccatum”に由来する。天然物でペルオキシド構造をもつものはしい。

バッカチンIII

「バッカチンIII」はイチイ属植物に含まれるタキサン系の分子。抗がん薬として利用される「パクリタキセル」合成の前駆体となる。タキサン系の抗がん薬は、がん細胞の微小管の脱重合を阻することで抗腫瘍作用を示す。

ピクリン酸

ピクリン」は、その可愛い名前に反し、爆薬の一種。日露戦争では下瀬火として用いられた。爆薬として構造のよく似た「TNT(トリニトロトルエン)」が知られているが、ピクリンはフェノール構造のため反応性が高い。1917年にカナダで発生したハリファックス爆発では、10,000人をえる死傷者を出した。

ヒノキチオール

「ヒノキチオール」は、化学者である野副鉄男氏がタイワンヒノキから発見した分子。カルボニル基とヒドロキシ基が互変異性し、7員環部分の電子は酸素原子側に偏るため安定な芳香族性を示す。香料や抗菌薬として利用される。参考:野副鉄男『トロポノイド化学の育つまで』exit

ピロリン

ピロリン」は、窒素を含むヘテロ環式化合物。二重結合の位置によって3種の構造異性体がある。カルバペネム系抗生物質抗菌薬)やビタミンB12の部分構造である。ちなみに、二重結合がない分子は「ピロジン」、二重結合を2つもつ分子は「ピロール」と呼ばれる。

フィリピン

国家・諸フィリピンPhilippines)ではないが、それに因んで命名された「フィリピン(Filipin)」は天然由来の抗真菌薬フィリピンの土壌の放線菌から発見された。二重結合が連続していることから、ポリエン系に分類される。

フクシン

フクシン」は紫色の染料。織物の染色やグラム染色(細菌の染色)に用いられる。グラム陽性菌は別の染料によって紫色に染まるが、大腸菌や膿菌などのグラム陰性菌はフクシンなどによって赤色に染まる。心や副審など同音異義が多い。

フラン

フラン」は、常温では液体だが沸点が31℃と低く、揮発しやすい可燃性液体。第4類危険物きゅっとしてドカーンな悪魔の妹ほどではないかもしれないが、引火点が-35℃なので容易に引火する。誘導体は香料や医薬品などとして利用されている。また、砂糖を加熱してできる「カラメル」の分子構造は、このフランのポリマーとなっているのではないかと推定されている。

プリン

プリン」は、DNAやRNAなどの核、いくつかの補酵素、うま味成分、カフェイン尿などを構成するヘテロ環式化合物。いわゆるプリン体という名称は、このプリンに由来する。

プルプル酸

プルプル」はバルツール構造をもち、一般にはアンモニウムの「ムレキシド」として利用される試プルプル自体は色だが、ムレキシ粉末紫色で、溶液にすると液性によって黄色(強性)や紫色アルカリ性)にもなる。動物便に含まれ、抽出して染料としても用いられた。スライムとはあまり関係なさそうだ。

フロ酸

「フロ」は「フランカルボン」とも呼ばれるカルボン。3つ上の項で扱った「フラン」にカルボキシ基がついた構造。名前から風呂を連想させるが、ラテン語の“Furfur”で、その意味は糠(ぬか)。2-フロには抗菌作用があり、香料としても使用される。

ペンギノン

ペンギノン」は、構造がペンギンのように見えるため、そう名付けられた環状ケトン構造式面に書くため、足が右下左下に出ているように書かれるが、実際の立体的な構造では前方と後方に出ている。可愛い構造式ランキングがあれば、上位にランクインするであろう分子。

ホモゲンチジン酸

ゲンチジン酸」を参照。

ポリゴン

ポリゴン」は、一般には多形のことだったりノーマルタイプのポケモンだったりするが、この「三リンペンナトリウム」もポリゴンである。「ポリゴン」という分子もあるが、構造はオクタリン構造をもつセステルペノイドで、また違う分子である。

マ行

マジック酸

マジック」は「五フッ化アンチモン」と「フルオロスルホン」の混合物。硫より強い)の一つ。名前は、パーティーロウソクを魔法のように溶かしたというエピソードに由来する。

マジンドール

マジドール」は、魔人機巧少女(マシンドール)も関係なく、食欲を抑制する肥満症治療日本で承認されている食欲抑制としては一のものだが、依存性が認められるため、食事療法や運動療法を実践しても善しない高度肥満症にのみ適応となる。

マツタケオールマツタケアルコール

マツタケオール」は、文字通りマツタケに含まれるアルコールだが、シイタケなどの多くのキノコレモンバームなどのミントにも含まれる。英語圏では“Mushroom alcohol”とも呼ばれる。

ミルセン

オシメン」を参照。

ムスカリン

ムスカリン」は、キノコに含まれるアルカロイド。すなわちで、大量に摂取すると副交感神経に作用して流、発汗、縮瞳(の前が暗くなる)、腹痛、嘔吐、下痢、呼吸困難などを起こす。キノコに含まれるとして、ほかに「ムスカゾン」というアミノ酸の構造をもつ分子もある。

ほかにもいろいろムスカな化合物

ムスコン

「ムスコン」は、息子コンプレックスイオカステーコンプレックス)の略ではなく、麝香(ムスク)に含まれる香料。15員環をもつ環状ケトンで、構造式みたいで可らしい。天然麝香の取引はワシントン条約によって禁止されており、一般には香りは似るが構造的にはまったく異なる合成ムスクで代用されている。

モカMOCA

MOCAモカ)」は、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタンの別称で、その可らしい名前とは裏に、発がん性物質である。アニリン系の分子は膀胱がんのリスクがあり、同様の例に「o-トルイジン」「ベンジジン」「2-ナフチルアミン」などが知られている。

ラ行

リオナ

正式な名称は「クエン酸第二和物」で、高リン血症の治療。この女性名のような名前は「リンを治す」に由来する。理学上、重要なのは第二Fe3+)で、これが消化管内で食物中のリンと結合し、リンの吸収を抑制する。

リブロース

「リブロース」は糖の一つ。果糖と呼ばれるフルクトースと同じケトースで、核DNAやRNA)を構成するデオキリボースやリボースと同じペントース(五炭糖)。リブロースリンが結合した分子は、核の合成に使われる。霜降りになりやすく質がきめ細かな牛肉の部位とは関係ない。

竜脳龍脳

」は「ボルネオール」とも呼ばれる香料で、リュウウジュ()やラベンダーなどに含まれるモノテルペノイド。/は高級・高なものに対する美称、は結晶性テルペノイドに共通する命名である。類似の例として、「カンファー」に「樟」、「メントール」に「薄荷」の名が与えられている。

リリカ

正式な名称は「プレガバリン」で、神経性疼痛の治療鎮痛薬)。構造式から分かるように、アミノ酸γ-アミノ酸)である。ファイザー社が女性名のような「リリカ」の名で製造販売しているが、命名は“Lyric”(叙情)に由来する。2017年度、日本で最も売れた医薬品内売上高937億円)であった。

ローソン

企業ローソンLawson)ではなく、「ローソンLawsone)」である。橙色の染料。少し構造を変えると赤色黄色の染料にもなる。含有するミソハギ科植物ヘンナの属名“Lawsonia”に因む。

ローソン試薬

企業ローソンLawson)ではなく、「ローソンLawesson's reagent)」である。化学者スヴェン=オーロフローソン氏が普及させたため、そう呼ばれる。リン硫黄からなる特異的な4員環構造、ジチアジホスフェタン環を有する硫化剤である。

ロケッテン

「ロケッテン」は、構造がロケットのように見えるためそう呼ばれ始め、いつの間にか定着してしまったらしい炭化水素。「ゼトレン」「ダビダン」「フェリセン」などもそうだが、しばしば構造式の見たから命名される。

ロリリン

ロリリン」は、インドール構造を有し、8つの縮合した環をもつ分子。ロリータリンちゃんではない。このロリリンマイコトキシン、すなわちカビが生成する。名前はこれを生成するアクレモニウム属のカビの種小名に由来する。

英字

AKB48

正式な名称は「APINACA」で、合成カンナビノイド(大麻の成分の仲間)。これが日本アイドルグループと同名の「AKB48」と俗に呼ばれるのは、「メタンフェタミン」をアイススピード、「コカイン」をコーククラック、「MDMA」をエクスタシーと呼ぶように、隠語として使い、物への抵抗感を和らげるためだと推測される。現在物として、規制の対となっている。

DS酸

DS」は、ナフタレンスルホン核とし、ヒドロキシ基が2つ結合した分子。“Dihydroxynaphthalene”と“sulfonic”の頭文字から命名されたのだろう。デュアルスクリーンやデベロッパーズシステムではない。

H酸

「H」は、ナフタレンスルホン核とする分子。芳香環に結合したアミノ基と基をもつため、性でも基性でもジアゾニウム化合物と反応する。アルファベット1文字を冠するナフタレンスルホン誘導体として、ほかに「C」「F」「G」「J」「K」「M」「R」「S」「T」がある。

IQ

IQ」はヘテロサイクリックアミン(複素環式アミン)で、発がん性物質。一般に、ヘテロサイクリックアミンはの焦げに含まれる。核構造がイミダゾキノリン(Imidazoquinoline)のため、その頭文字からIQと呼ばれる。知能指数とは関係ない。

PR酸

「PR」はオクタリン構造をもち、2つのエポキシド構造ももつカルボンブルーチーズ製造に利用されるアオカビ、“Penicillium roqueforti”が産生する「PRトキシン」の代謝物と思われる。P. roquefortiを使用したチーズロックフォールといい、フランス最古のチーズブルーチーズ王様とされる。ロックフォールには強いうま味味があり、ワインハチミツと合うとPRされている。

高分子

カエデ

カエデ」はサンゴ由来のタンパク質紫外線を当てると緑色から赤色へと変わり、緑色には戻らない性質があり、紅葉するカエデの名がつけられた。

スマンクスSMANCS

SMANCS(スマンクス)」は、スチレン-マレイン交互共重合体SMA)と、エンジイン構造をもつ抗腫瘍性抗生物質ネオカルジノスタチン(NCS)が結合した高分子量の抗がん剤。より効率よくがん細胞に移行し、長時間留まるため治療効果が高まるが、採算がとれず販売中止となった。

ソニック・ヘッジホッグ

ソニック・ヘッジホッグ」は胚発生を制御するタンパク質突然変異のショウジョウバエを用いた研究において、ハリネズミのように体表面全体がトゲトゲした変異体が発生したことから発見された。一連のタンパク質にはハリネズミ(Hedgehog)に関連した名前が付けられ、そのうちの一つがセガキャラクターソニック・ザ・ヘッジホッグから命名された。

チチン

チチンコネクチン)」は格筋収縮に関わる巨大なタンパク質。名称そのものは普通だが、このタンパク質アルファベット189,819文字からなる長大なIUPAC名(Methionyl……isoleucine)をもち、世界一長い英単とされる。

ドロンパ

「ドロンパ」はサンゴ由来のタンパク質を当てるとが消えるが、を当てると元に戻る性質があり、忍者がドロンしてパッと消えるさまになぞらえて命名された。

ピカチュリン

「ピカチュリン」はの網膜にあり動体視力に関与するタンパク質。視細胞と双極細胞の間のわずかな隙間(シナプス間隙)に存在し、感知した電気信号に変換され情報として伝達される機構に関与すると考えられる。電気や素い動きというキーワードから、ポケモンピカチュウが命名の由来となった。

補足

次の化合物は上記には掲載していない。とはいえ、ユニークな名称ではあるので、簡単に補足する。

関連動画

本稿の執筆にあたり参考にした動画。本稿に掲載していない化合物もある。

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本稿の執筆にあたり参考にした記事。本稿に掲載していない化合物もある。

本稿の執筆にあたり活用した辞書。ユニークな分子を探してみたい方はぜひ。

関連項目

掲示板

  • 39ななしのよっしん

    2020/04/18(土) 05:13:58 ID: gw6aAaj928

    >>37
    プロリンは追加する予定ないです。(「~リン」系は多いのでネタ的に重複

  • 40ななしのよっしん

    2020/04/24(金) 01:11:13 ID: 8Zx9u1luRX

    マスタードガスとかイエローケーキとかはあり?

  • 41ななしのよっしん

    2020/04/24(金) 01:33:25 ID: gw6aAaj928

    >>40
    マスタードガスは失念してましたね、いいと思います。
    これも構造式は用意してあるので追加できます。

    イエローケーキは……重金属化合物は少ないですし、載せたい気持ちはありますね。
    ただし混合物なので優先度は低いかなと思います(混合物を載せないわけではないです)

    ちなみに、鉱物系はユニークなものが(それで記事を作れそうなほど)多いので、記事では鉱物を除外しています。

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最終更新:2020/05/31(日) 10:00

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最終更新:2020/05/31(日) 10:00

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