2023年競馬レース回顧 とは、2023年に起こった競馬の記録である。
2023年も競馬界に様々な記録が誕生するものと思われます。
そんなレースを改めて振り返る記録集として記事作成しました。
誰でも加筆修正が可能です。
「競馬の伝説のレース集」の記事に掲載するレースの検討にもご利用ください。
1年で最初のクラシック前哨戦となる3歳限定重賞。7頭立ての少頭数となり人気も割れ気味だったが、スタートでやや出遅れた2番人気の牝馬ライトクオンタムが直線で大外から末脚一閃、牡馬を一蹴して差し切り2戦目で重賞初制覇を飾った。
このライトクオンタム、国内では6頭しかいないディープインパクトのラストクロップの1頭。この勝利でディープインパクト産駒は全13世代でJRA重賞勝利、武豊騎手はデビューから37年連続重賞勝利&JRA重賞通算350勝を達成した。
皐月賞と同条件の前哨戦ながら、同条件のホープフルSから間が無いこともあって例年あまりメンバーの集まらない京成杯。しかし今年は1頭が色んな意味で驚愕の走りを見せた。
その名は1番人気のソールオリエンス。スローペースの展開を中団で進めたが、4コーナーで手前変換に失敗し外に大きくドリフトしてしまう。しかし直線の短い中山で盛大な距離ロスをしたにもかかわらず、そこから一気に大外を加速して他馬を置き去りにし2馬身半差の圧勝。
誰もが2015年皐月賞のドゥラメンテを想起する走りだが、何の因果かこのソールオリエンスはキタサンブラック産駒。昨年の年度代表馬イクイノックスが「キタサンよりドゥラメンテっぽい」と言われていたが、今度はキタサン産駒がドゥラメンテの再現のようなレースでクラシック戦線に名乗りを挙げた。
2024年から4月開催となるため、1年で最初のGⅠ級競走としての開催は今年でラストとなる川崎記念。1番人気はドバイへ向けてチャンピオンズカップ4着から巻き返しを図るテーオーケインズ、2番人気は昨年にダート転向し一気に東京大賞典でGⅠ馬に駆け上がったウシュバテソーロ。4歳勢のペイシャエスとノットゥルノが続く。
まずハナを主張したのは地元川崎のライトウォーリア、その後ろにノットゥルノがつける展開に。しかし前走TCK女王盃から連闘で参戦してきた紅一点テリオスベルがいつものように最初のコーナーで捲りを仕掛けホームストレッチで先頭に立つ。これに釣られて掛かってしまったノットゥルノと、崩れた馬群に揉まれて後退したペイシャエスの4歳勢2頭は事実上ここでレースから脱落してしまう。
そのままテリオスベルとライトウォーリアが引っぱって4コーナー、テーオーケインズの松山弘平は内のテリオスベルが垂れると見てライトウォーリアの外を回したが、テリオスベルは垂れない。そこで内に空いたスペースに後方から進出してきたウシュバテソーロが突っ込んで直線入口で先頭に立つと、そのままテーオーケインズの追撃を振り切り、GⅠ級連勝を飾った。
カフェファラオが3連覇を蹴ったのをはじめ、有力馬の大半が後述のサウジアラビアに向かったため、例年以上に手薄なメンバーとなった中央GⅠ開幕戦。
デビュー以来パーフェクト連対の前走根岸S勝ち馬レモンポップと、そのレモンポップに武蔵野Sで勝った牝馬ギルデッドミラーが軸と見られたが、ギルデッドミラーが直前に故障で引退してしまい、主戦騎手被りで坂井瑠星に乗り替わったレモンポップと、そのレモンポップとの二択で戸崎圭太が選択した2020年の全日本2歳優駿馬ドライスタウトが人気を分け合う格好となった。また、浦和の南関東牝馬二冠馬スピーディキックや、レース史上初の海外馬の参戦となったシャールズスパイトの出走も注目を集めた。
レースは4番人気メイショウハリオがスタートで大きく前につんのめるように躓き、浜中俊が落馬寸前になる大出遅れ。引退レースのショウナンナデシコが逃げを打ち、レモンポップとドライスタウトはほぼ同じ位置の4番手で並んで進めたが、直線で外にいたレモンポップがそのまま進路を確保したのに対し、内にいたドライスタウトは先行馬3頭が壁になってしまう。そのままスムーズに抜け出したレモンポップが、後方から追い込んできた3番人気レッドルゼル、さらに大出遅れから巻き返してきたメイショウハリオを寄せ付けずに快勝。管理する田中博康調教師は嬉しいGⅠ初制覇となった。
なお、スピーディキックは6着に健闘。シャールズスパイトは9着に終わった。
世界最高額、1着賞金1000万ドルの大レース。前述の通りフェブラリーS3連覇を蹴ってきたカフェファラオ、昨年芝からダートに転向してチャンピオンズカップを勝ったジュンライトボルト、ダート戦線で3戦連続2着と好走を続ける4歳馬クラウンプライドのダート勢に加え、初ダート挑戦となる昨年の皐月賞馬ジオグリフ、3歳時以来2度目のダートとなるパンサラッサ、海外遠征常連のヴァンドギャルドと、日本勢の海外遠征でも1レースの出走数では過去最多となる6頭が参戦、現地では「Japanese Six」と言われた。
レースは最内から好スタートを決めたパンサラッサがいつも通りに逃げ、Taibaとクラウンプライドがマークして追走。その外からジオグリフ、Country Grammer、カフェファラオが続く。長いバックストレッチの間にジオグリフが2番手に上がり、カフェファラオが3コーナー前でぽっかり空いた内へ切れ込んでいく。
最初の800mは45秒85といつも通りの超ハイペース。4コーナーでTaibaはこのペースについていけず後退し、パンサラッサを先頭にジオグリフ、クラウンプライド、カフェファラオと日本勢が前を占める状態で直線へ。後方勢はパンサラッサのペースを追走するだけでいっぱいいっぱい、そのままパンサラッサの脚は止まらない。後ろからただ1頭、アメリカのCountry Grammerが猛然と大外を追い込んできたが、3/4馬身届かず、そのままパンサラッサが日本勢を引き連れてゴール板へ逃げ込んだ。
日本馬初のサウジカップ制覇、日本調教牡馬初の海外ダートGⅠ制覇、日本馬初の海外芝ダート両GⅠ制覇。1着賞金1000万ドル(13億1865万円)をゲットしたパンサラッサは、この勝利で一気に累計獲得賞金額でアーモンドアイとキタサンブラックに次ぐ歴代3位にランクイン。また3着カフェファラオ、4着ジオグリフ、5着クラウンプライドと、2着Country Grammerを除いて掲示板のうち4頭を日本勢が占めるという日本勢大勝利のレースとなった(残る2頭はジュンライトボルト7着、ヴァンドギャルド11着)。
このほか、同日のレースではバスラットレオンが1351ターフスプリント(G3)を制し、芝ダート二刀流を文字通り往復で達成する多芸を達成(2021年ニュージーランドトロフィー(中山・芝1600)→2022年ゴドルフィンマイル(メイダン・ダート1600)→このレース(キングアブドゥルアジーズ・芝1351))、昨年天皇賞(春)で落馬カラ馬2位入線し、その後ステイヤーズSで重賞初制覇を飾ったシルヴァーソニックはレッドシーターフハンデ(G3)で重賞連勝を飾った。
G1)イクイノックス(C.ルメール)
G1)ウシュバテソーロ(川田将雅)
おなじみ関東の天皇賞(春)前哨戦。一昨年の菊花賞馬タイトルホルダーと、前年の菊花賞馬アスクビクターモアがともに始動戦に選択し、GⅡ以下では2012年阪神大賞典(オウケンブルースリとオルフェーヴル)以来11年ぶり、日経賞ではグレード制以降初となる菊花賞馬対決となった。人気もこの2頭が分け合う形となったが、凱旋門賞と有馬記念の惨敗で不安視されたタイトルホルダーが評価を下げ、僅差ながら1番人気はアスクビクターモア。
不良馬場となったレースはタイトルホルダーが内枠からハナを切った一方、アスクビクターモアは痛恨の出遅れ。そのまま悠々と逃げたタイトルホルダーは持ったままで4コーナーを回ると、直線で横山和生がゴーサインを出すと一気に後続を突き放し、逃げて上がり最速の全く付け入る隙を与えないレースで8馬身差の圧勝。日経賞連覇で怪物復活を強く印象付けた。一方のアスクビクターモアは不良馬場で無理をしなかったか9着に終わった。
なお、この日からJRAでは開催全レースの無料ネットライブ配信を開始している。
今年も日本勢が続々参戦したドバイワールドカップデー。UAEダービー(G2)こそ前年の全日本2歳優駿馬デルマソトガケが圧勝し4着まで日本勢が独占したが、ゴドルフィンマイル(G2)はバスラットレオンの4着、ドバイゴールデンシャヒーン(G1)はリメイクの5着が最高。ドウデュースが出走取消になってしまったドバイターフ(G1)はダノンベルーガが2着惜敗。
そんな中で迎えた第8R、ドバイシーマクラシックには昨年の年度代表馬イクイノックスと、前年覇者シャフリヤール、これが引退レースのウインマリリンが参戦。そしてここで、昨年の有馬記念で126ポンドを獲得し(フライトラインとバーイードの引退で)世界最強馬の評価となったイクイノックスが、その評価すら上回るような衝撃のレースを見せた。
明確な逃げ馬がおらず先行争いが注目されたレースは、なんと差し馬のイクイノックスが好スタートからそのまま先頭へ。日本のファンがどよめく中、そのままスローペースでレースを進めたイクイノックスは、抜群の手応えのまま4コーナーを回って直線。クリストフ・ルメールが軽く促しただけで一気に加速して後続を突き放し、ノーステッキのまま最後は流してミシュリフのコースレコードを約1秒更新するという衝撃的なレース内容で3馬身半差の圧勝。
世界の強豪が集う1着賞金約4億5000万円の大レースで、まるきり公開調教のような内容での圧勝には、日本のファンすら興奮するよりも困惑するやら戦慄するやらであった。
上記のイクイノックスの衝撃も醒めやらぬままに迎えた最終第9R。サウジ組のパンサラッサ、カフェファラオ、ジオグリフ、クラウンプライド、ジュンライトボルトに加え、テーオーケインズ、ウシュバテソーロ、ヴェラアズールも参戦して、なんと出走15頭中8頭が日本馬となり「ジャパンカップダートかな?」「これじゃジャパンワールドカップだ」と各所で言われることになった(もちろんドバイワールドカップは国際招待レースなので、出たくても予備登録した上で向こうから招待が届かなければ出られない。日本勢が示し合わせて枠を占拠したわけではなく、単に各自が届いた招待を受諾しただけである)。
今回は大外枠になったパンサラッサが逃げようとするも、サウジカップ覇者を黙って行かせてくれるわけもなく、内枠からアイルランドのリモースがパンサラッサにハナを譲らず潰しにかかる。日本勢はテーオーケインズとジオグリフが中団、カフェファラオとヴェラアズールが馬群の後ろにつけ、さらにその後ろにジュンライトボルトとクラウンプライド、そしてスタートから全く行く気を見せなかったウシュバテソーロが最後方ポツンの体勢。
潰されたパンサラッサが3コーナーで後退、日本勢も多くがついていけなくなるが、その中で後方から大外を捲って上がって行くのが1頭、ウシュバテソーロ! 直線に入り、内を立ち回って前に食らいついたテーオーケインズと馬体を併せて猛然と追い上げる。ウシュバテソーロはそのままテーオーケインズを振り落とし、先行粘り込みを図ったアイルランドのアルジールスを並ぶ間もなく差し切って、2馬身半差をつけてゴールへと飛び込んだ。
2011年のヴィクトワールピサ以来、日本馬2頭目のドバイワールドカップ制覇。ダート開催となってからは初の勝利であり、鞍上の川田将雅も日本人騎手初のドバイワールドカップ制覇となった。昨年春まで芝の3勝クラスでもがいていた馬が、GⅠ級3連勝で一気に世界のダートの頂点へと駆け上がった。
雨で不良馬場となった春のスプリント王決定戦。1番人気は今回もメイケイエール、以下前走シルクロードS勝ち馬ナムラクレア、4連勝中のアグリ、前走京都牝馬Sを上がり最速3着のロータスランド、昨年の京阪杯勝ち馬トウシンマカオまで単勝一桁。他にも一昨年の香港スプリントでの大事故から久々の復帰戦となるピクシーナイト、前年覇者ナランフレグなども揃い混戦ムードとなった。
レースは人気薄のキルロードとオパールシャルムが引っ張り、メイケイエールは馬群に包まれて掛かってしまい撃沈。直線ではアグリが早めの抜け出しを図ったが、間を割って抜け出してきたのは元芝1200m日本レコードホルダー、12番人気のファストフォース! ナムラクレアが外から襲いかかり、最内では13番人気トゥラヴェスーラが粘ったが、ファストフォースはそれらを振り切って栄光のゴールへ飛び込んだ。
デビューは3歳の6月、そのまま未勝利で一度は門別に移籍し、4歳の夏に中央に出戻りしてきた苦労馬が、7歳にして悲願の初GⅠ制覇。鞍上の団野大成騎手、管理する西村真幸調教師もこれが嬉しいGⅠ初制覇となった。またマル地(元地方所属馬)の中央GⅠ勝利はレッドキングダムの2014年中山大障害以来9年ぶり、平地に限ればトウカイポイントの2002年マイルCS以来21年ぶりだが、中央でデビューして未勝利で地方に移籍した出戻り馬の中央平地GⅠ制覇は史上初となった。
G1)Practical Move(R.Vazquez)
春の関西GⅠ開幕戦。今年はイクイノックスやドウデュースといった実績勢が軒並みドバイに行ったため、牡馬の古馬GⅠ馬は前年覇者ポタジェのみ、あとは2歳GⅠ馬のダノンザキッドとキラーアビリティというやや手薄なメンバーとなったが、二冠牝馬スターズオンアースと昨年のエリザベス女王杯馬ジェラルディーナ、牡馬ではそれぞれ悲願のGⅠを目指すジャックドール、ヒシイグアス、ヴェルトライゼンデらが顔を揃えた。人気は割れ気味だったが、最終的にスターズオンアースとジャックドールが分け合う形に。
レースはジャックドールが好スタートからハナを確保し、スターズオンアースは若干出遅れて後方から。競り掛けてきたノースザワールドを制してハナを確定したジャックドールと武豊は、前半1000mを58秒9で入り、5F目から正確に11秒台半ばのラップを続けるハイペースの消耗戦に持ち込んだ。
このラップを刻まれると後続はついていくだけでなし崩しに脚を使わされてしまい、直線ではもういっぱいいっぱい。伸びあぐねる後続を尻目に快調なラップを刻んで逃げたジャックドールは、好位から追いかけてきたダノンザキッドを振り切り、後方勢からただ一頭猛然と追い込んできたスターズオンアースをハナ差凌ぎきってゴール板へと駆け込んだ。
昨年の4連勝で一気に注目を集めるも、その後は大舞台でなかなか結果を出せなかった素質馬が、前走からコンビを組んだ逃げの名手・武豊の魔術的騎乗に導かれて悲願のGⅠ初制覇。勝ちタイム1:57.4はGⅡ時代の2011年ヒルノダムールのタイムを0秒4更新するレースレコード。また武豊は岡部幸雄の記録を21年ぶりに更新する54歳19日の最年長GⅠ勝利を達成。JRA・GⅠ通算80勝目となった。
アメリカ・サンタアニタパーク競馬場で開催される3歳G1。ケンタッキーダービーの前哨戦のひとつだが、今年はこの舞台に1頭の日本馬が参戦した。ハイセイコー記念を勝利し、雲取賞2着の大井・マンダリンヒーローである。2019年から大井競馬場の所属馬にこのレースの出走枠が与えられていたが、それを利用しての日本馬の挑戦はレース史上初(というか地方所属馬のアメリカ遠征自体が史上初)となった。鞍上はカナダを拠点に活動する日本人騎手の木村和士。
1頭取消で8頭立ての4番人気だったマンダリンヒーローだが、中団からレースを進めると、3コーナーですっと内に入れ、4コーナーで先頭に立った1番人気Practical Moveの真後ろにつける。直線ではPractical Moveの外に出し、外から並びかけてきた人気薄のOne In Vermilionとの間に入って、3頭での激しい叩き合いに。そのまま3頭がもつれるようにゴールに飛び込んだ。
結果は写真判定となったが、Practical Moveが凌ぎきって勝利。マンダリンヒーローはハナ差届かず惜しくも2着に敗れた。とはいえ地方所属馬の海外ダートGI連対は史上初。果敢な挑戦で見事に快挙を記録した。
いよいよ始まったクラシック戦線、牝馬三冠の開幕戦。2歳重賞馬に牝馬が多かったことに加え、トライアルで収得賞金400万円の1勝馬が3頭も権利を確保したため、阪神JF2着のシンリョクカ(収得賞金1700万円)が危うく除外になりかかり、実際に収得賞金1650万円(2勝+フェアリーS2着)のメイクアスナッチが除外になるという、レース史上でも類を見ないほど出走ボーダーの高い一戦となった。
とはいえ人気は昨年の阪神JFを圧勝したリバティアイランドが断然の単勝1.6倍という1強ムード。以下、シンザン記念で牡馬を蹴散らしたライトクオンタム、クイーンカップ組のハーパーとドゥアイズ、エフフォーリアの妹ペリファーニアなどがそれに続いた。
チューリップ賞を逃げ切ったモズメイメイがハナを切り、6番人気コナコースト、13番人気トーセンローリエ、5番人気ペリファーニア、11番人気シングザットソングらがそれに続く。リバティアイランドは二の脚がつかず最後方からとなった。そのまま淀みないペースでレースが進み直線。2番手のコナコーストがモズメイメイを捕まえて抜け出し、そこに好位からペリファーニアが迫る。ライトクオンタムら後続勢は伸びあぐね、先行したこの2頭の叩き合い――と思われたところに、大外から猛然と追い込んできたのがリバティアイランド。トラックバイアスは完全に先行・内有利だったにもかかわらず、大外ぶん回しで桜花賞勝ち馬最速タイの上がり3F32秒9を叩き出す豪脚で最後方からあっという間に前を呑み込み、叩き合う2頭を差し切って3/4馬身差をつけてゴール板に飛び込んだ。
阪神JFで衝撃的なパフォーマンスを見せた2歳女王が、それをも上回る圧巻の強さで一冠を獲得。管理する中内田師はクラシック初勝利、ドゥラメンテ産駒と鞍上の川田将雅騎手は桜花賞連覇となった。1番人気の桜花賞勝利は2014年のハープスター以来9年ぶりだが、そのときも川田騎手で最後方から大外直線一気のごぼう抜きだったことから、ハープスターを思い出す競馬ファンも多数見られた。
このレースを7年で6勝した絶対王者オジュウチョウサンがターフを去り、2015年以来8年ぶり(!?)にオジュウのいないレースとなった春の障害王者決定戦。昨年の障害重賞で活躍したゼノヴァース(引退)やホッコーメヴィウス、アサクサゲンキ、マイネルレオーネ(いずれも回避)なども不在となり、断然の1番人気は昨年の中山大障害を勝ったニシノデイジー。以下ミッキーメテオ、ビレッジイーグル、テーオーソクラテスらが人気を集めた。
雨で重馬場となったレースは、1番人気ニシノデイジーが大きく出遅れる波乱のスタート。ビレッジイーグルが先手を取って逃げ、テーオーソクラテスがそれを追ってレースを引っぱる。最後方のニシノデイジーが掛かり気味に押し上げていく中、中団で冷静に構えていたのが6番人気の九州産馬・イロゴトシだった。向こう正面で外に出すとニシノデイジーに蓋をしつつ、3コーナーで仕掛けて先頭に躍り出ると、あとは後続をぐんぐんと突き放していく。最終障害を飛び越える頃には完全な独壇場、最後の挑戦も差は開き続ける一方。最終的に2着ミッキーメテオに3.1秒もの大差をつけて圧勝した。障害グレード制導入によりレース名が「中山グランドジャンプ」となって以降では最大着差である。
22年目の黒岩悠騎手、開業14年目の牧田和弥調教師、内田玄祥オーナー、ヴァンセンヌ産駒はいずれもJRAのGI初制覇(内田オーナーとヴァンセンヌ産駒はこれが重賞初制覇)。さらにイロゴトシは熊本県の本田土寿牧場の生産馬で、熊本産馬初のJRA重賞制覇を記録した同牧場の後輩・ヨカヨカに続いて九州産馬のJRA・GI初制覇を達成。初物づくしの勝利となった。また障害転向4戦目でのJ-GI制覇はテイエムドラゴンの3戦目に次ぐ記録である。
2歳GⅠ馬のドルチェモアとドゥラエレーデがともに別路線へ向かい、近年稀に見る大混戦ムードとなったクラシック第一冠、皐月賞。オッズも割れ、最終的には共同通信杯を快勝したファントムシーフが1番人気となり、京成杯で衝撃的な勝ち方をしたものの最内枠・内荒れの重馬場・キャリア2戦で多頭数経験なし・ここ40年でエイシンフラッシュしかクラシック勝ち馬がいない京成杯馬と不安要素の多かったソールオリエンスは2番人気に落ち着く。以下、3戦無敗のスプリングS勝ち馬ベラジオオペラ、きさらぎ賞馬フリームファクシ、弥生賞馬タスティエーラ、共同通信杯2着タッチウッドまでが単勝一桁台。スプリングS2着ホウオウビスケッツ、すみれS勝ち馬シャザーン、ホープフルS・弥生賞2着のトップナイフと9番人気まで10倍台となった。
土曜日からの雨で重馬場となったレースは、トップナイフが大きく出遅れ、逃げ宣言の17番人気グラニットが宣言通りハナを切る。人気勢ではタッチウッドが2番手でそれを追いかけ、ベラジオオペラは3番手集団、タスティエーラはその後ろで追走。ファントムシーフとフリームファクシは中団に構え、ソールオリエンスは後方待機となった。
逃げるグラニットが飛ばし、重馬場にもかかわらず1000m通過は58秒5という超ハイペース。ベラジオオペラは4コーナーで後退し、直線入口では馬群がばらけて横に広がる。その中から抜け出してきたのが5番人気のタスティエーラ。後ろを突き放してそのまま押し切るか――と思われたところに、大外からとんでもない脚でカッ飛んできた馬が1頭、ソールオリエンス! 1枠1番から最後方に下げて大外の馬場のいいところを回して、4コーナー通過17番手から直線一気の豪脚で前をあっという間に撫で切り、中山の短い直線でほぼ全頭をブチ抜いてゴール板へ突き抜けた。
フサイチコンコルド、デアリングタクトに並び、皐月賞では史上最少キャリアとなる3戦目でのクラシック戴冠。横山武史騎手は2021年のエフフォーリアに続いての無敗での皐月賞制覇となり、勝ちタイム2:00.6はそのエフフォーリアと同タイムというおまけつき。上がり3F35秒5は2位のファントムシーフより0秒9速いという、前週桜花賞のリバティアイランドに続いて大外一気の衝撃的な末脚で、昨年のイクイノックスに続いてキタサンブラック産駒からまたも次世代の主役が高らかに名乗りを挙げた。
長い改修工事を終え、3年ぶりに京都競馬場に戻ってきた春の盾。日経賞で復活を印象付けた前年覇者タイトルホルダーが当然ながら断然の1番人気。それを追うのが阪神大賞典を勝ってきたジャスティンパレス、菊花賞・有馬記念・阪神大賞典3戦連続2着のボルドグフーシュ、日経賞惨敗から巻き返しを図る菊花賞馬アスクビクターモアの4歳勢3頭。相棒・和田竜二が戻った2年連続2着の6歳馬ディープボンドと、ダミアン・レーンが香港チャンピオンズデーを蹴って騎乗する重賞連勝中の7歳馬シルヴァーソニックのベテラン勢がそれに続く。
パドックや返し馬で細江純子や安藤勝己がタイトルホルダーの様子を若干不安視する中で迎えたレース。タイトルホルダーがいつも通りハナを切りに行くが、そこに大外からアフリカンゴールドが果敢に競り掛けてハナを奪い、京都競馬場は大歓声。そのまま1000m59秒7のハイペースで入るが、1コーナーからそのアフリカンゴールドに異変発生、ずるずると失速していくと、向こう正面で国分恭介が下馬し競走中止となってしまう。タイトルホルダーがハナに戻り、アスクビクターモア、ディープボンド、ジャスティンパレスらが好位集団でそれを追走、ボルドグフーシュが中団後ろ、シルヴァーソニックがさらにその後ろという体勢で進む。
しかし、異変はこれで終わらなかった。4コーナー入口からタイトルホルダーがまさかの失速、こちらもそのまま直線で競走中止となり、京都競馬場の歓声は悲鳴に。そんな中、好位から先に抜け出したのがディープボンド。それを追ってジャスティンパレス、さらに後方からシルヴァーソニックが追い上げる。直線に入ってディープボンドが先頭に立つが、残り200mでジャスティンパレスがそれをかわすと、食い下がるディープボンドを突き放し、シルヴァーソニックの追撃も寄せ付けず2馬身半差で快勝。菊花賞3着の悔しさを晴らし、GI初制覇を飾った。
ディープインパクト産駒は13年連続GI勝利、三木正浩オーナーは嬉しいGI初制覇。ジャスティンパレスはセレクトセールで2億900万円(税込)で落札された高額馬で、セレクトセール2億円ホースのGI勝利は史上5頭目となった。
また、2着ディープボンドはこれで同一GI3年連続2着。JRAのGIではワンダーアキュート(2011年~2013年ジャパンカップダート)、クロコスミア(2017年~2019年エリザベス女王杯)に次ぐ史上3頭目の珍記録となり(なぜか3頭とも和田竜二が騎乗している)、また獲得賞金でナイスネイチャ、キョウトシチーを上回ってGI未勝利馬の歴代最多獲得賞金に躍り出た。
一方、競走中止となったアフリカンゴールドは心房細動、タイトルホルダーは右前肢跛行の診断。また、大差の最下位で入線したトーセンカンビーナは左前浅屈腱不全断裂と診断、10着のヒュミドールもレース後に骨折が判明するという、新装開店の淀の春の盾は極めて過酷かつ、いささか後味の悪いレースとなった。平地GIで2頭が競走中止となったのは1990年の桜花賞以来である。
G1)Mage(Javier Castellano)
GW恒例の船橋のダートマイル戦。混戦ムードでオッズは割れたが、今年に入ってダートグレード競走6戦6勝の川田将雅が騎乗するシャマルと、前走フェブラリーSで大出遅れから巻き返したメイショウハリオが分け合う形となった。次いでマーチSで重賞初勝利を飾った7歳馬ハヤブサナンデクン、フェブラリーSでも6着に健闘した南関東二冠牝馬スピーディキックまでが単勝1桁。以下、前走リステッド勝ちのタガノビューティー、牝馬重賞戦線の2強の一角ヴァレーデラルナ、常連ソリストサンダーに昨年の地方年度代表馬イグナイターと続く。
レースはヴァレーデラルナとカジノフォンテンが2頭で競り合いながら逃げ、ハヤブサナンデクンとシャマルがそれを追い、ついていけない笠松勢を除いてひとかたまりで流れる展開。その集団の一番後ろにいたメイショウハリオが向こう正面から進出を開始する。3コーナーで馬群がぎゅっと凝縮していくと、ハヤブサナンデクンが早めに抜け出しを図り、シャマルは最内を突いていくが、それを大外からまとめてメイショウハリオが捲ってかわし、馬群を捌いて食らいついてきたタガノビューティーをクビ差振り切って勝利。昨年の帝王賞に続くGⅠ級2勝目を挙げた。
なお、これでこのレースは2010年のエスポワールシチーを最後に1番人気が13連敗となった。
G1)Mage(Javier Castellano)結果 | 2023ケンタッキーダービー | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト
「スポーツの中で最も偉大な2分間」第149回ケンタッキーダービー。今回は日本からはUAEダービー優勝のデルマソトガケ、同レース3着のコンティノアールに加え、サンタアニタダービーでハナ差2着となっていた大井のマンダリンヒーローが補欠として登録となった。このレースの繰り上がり出走〆切当日にMractical Moveが熱発で回避、Lord Milesが厩舎の管理馬の相次ぐ不審死により出走停止となりマンダリンヒーローは出走権を得たものの、コンティノアールやBCジュヴェナイル優勝馬で1番人気と目されていたForteの脚部不安による回避など、レース前から大きく動きがあった。
結果18頭立て、うち日本馬2頭で行われることになったレースではデルマソトガケとマンダリンヒーローがスタートダッシュがつかず、VerifyingとKingsbarnsがハナを競い、その後にReincarnateが付ける展開となった。最終コーナーで先行勢の足が止まりTwo Phil'sが一度抜け出すと、道中中団待機していたMageが外から差しゴールを駆け抜け、ケンタッキーダービーの栄冠を手にした。デルマソトガケは出遅れから押し上げていったものの6着、マンダリンヒーローは12着に敗れた。
勝ったMageは本年の1月28日未勝利戦1着でファウンテンオブユースS4着、フロリダダービー2着のキャリア。4戦目にして初重賞勝利がケンタッキーダービーとなった。
ただでさえ荒れがちな上に、雨の中での開催となり波乱の予感の3歳マイル王決定戦。2歳王者ドルチェモア、朝日杯2着のダノンタッチダウンがともに前走で大敗し、人気の一角と見られたクルゼイロドスルが出走取消となったこともあって、例年以上の大混戦ムードとなった。最終的にファルコンS2着のカルロヴェローチェが5.7倍で1番人気。NZTとアーリントンCを勝ったエエヤンとオオバンブルマイの珍名馬2頭がそれに続き、ドルチェモア、牝馬モリアーナ、ダノンタッチダウンまでが単勝1桁とオッズは割れに割れた。
最内枠からサウジ帰りの最低人気フロムダスクがハナを切り、オールパルフェや牝馬ユリーシャなどの人気薄がそれを追う展開となり、人気どころはおしなべて中団から後方に構えた。直線で馬群が横にばらけると、スムーズに進路を確保した馬がそのまま抜け出しを図り、まずタマモブラックタイが抜け出すが、外からダノンタッチダウンと9番人気シャンパンカラー、さらにオオバンブルマイが並んでいく。タマモブラックタイが競り落とされ3頭での争いになるが、そこに大外からすごい勢いで追い込んできたのが8番人気ウンブライル! 3頭の争いは真ん中のシャンパンカラーが抜け出し、そこにウンブライルが猛然と詰め寄ったが、最後はアタマ差凌いでシャンパンカラーが制した。
内田博幸騎手は2018年フェブラリーS(ノンコノユメ)以来、田中剛調教師は2016年安田記念(ロゴタイプ)以来、青山洋一オーナーは2016年桜花賞(ジュエラー)以来とそれぞれ久しぶりのGⅠ勝利となった。また田中厩舎はこれが2023年初勝利で、その年の厩舎初勝利がGⅠというのはグレード制導入以降では1986年皐月賞・ダイナコスモスの沢峰次厩舎以来2例目だそうである。
昨年に続き現役牝馬の有力どころの多くが顔を揃える超豪華メンバーとなったヴィクトリアマイル。1番人気は大阪杯2着の二冠牝馬スターズオンアース。GⅠを取りに万全の仕上げで来たナミュールが続き、ダミアン・レーンに乗り替わった前年覇者ソダシは大外枠に入れられたこともあってか3番人気。昨年の安田記念覇者ソングラインは昨年秋の故障続きに加え前走1351ターフスプリントの大敗、戸崎圭太への乗り替わりなどが不安視され4番人気となった。
小雨の降る中となったレースは最内枠のロータスランドが逃げ、サウンドビバーチェがそれを追い、内枠のスターズオンアースも前目に構える。そこへ大外枠のソダシが内に切れ込んできて2番手を確保。ソングラインはスターズオンアースの後ろに構えた。
そのまま直線へと向かい、逃げるロータスランドを2番手からソダシが捕まえにかかる。さらにその後ろからスターズオンアースが外に振って追いかけ、ソングラインはそれで空いた内のスペースへ。坂を登り切ったところでソダシが抜け出したが、後ろから鋭く加速したソングラインがロータスランドとスターズオンアースをまとめてかわし、最後は押し切ろうと粘るソダシをアタマ差かわしたところがゴール板だった。
昨年の安田記念制覇の後、アメリカ遠征も香港遠征も故障で断念とトラブル続きだったソングラインが復活のGⅠ2勝目を挙げ、戸崎圭太騎手はJRA・GⅠ10勝目を挙げた。
その一方、序盤の位置取り争いでソダシが内に切れ込んできた際、その斜行でルージュスティリア、ナムラクレア、ナミュール、クリノプレミアムの4頭が不利を受けていた。特に挟まれてしまったナミュールは横山武史騎手が「落馬しなくて良かった」というほどの不利を受け、結局7着に終わり横山武史はレース後に「向正面であんな不利を受けては走る馬も走れません」と怒り心頭。ソダシ鞍上のダミアン・レーンには過怠金5万円が課されることとなった。
牝馬三冠第2戦は、桜花賞で改めて見せたパフォーマンスから完全なリバティアイランドの1強ムード。中内田厩舎や川田将雅騎手に2400m以上の実績が少ないといった外部要因ぐらいしか不安要素もなく、単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持される。2番人気以下は桜花賞4着のハーパー、桜花賞2着のコナコースト、フローラSを逃げ切ったゴールデンハインドなどが続いた。
レースは逃げると予想されたゴールデンハインドではなく、馬込みを嫌ったライトクオンタムがハナを切り、リバティアイランドは前目の6~7番手につけた。道中やや掛かる素振りも見せたリバティアイランドだったが、抜群の手応えで直線を向き、川田騎手が外に出して追い出すとあっという間に先行勢を呑み込み、鞭2発で突き放す。そのまま完全な独走態勢、フジテレビ立本信吾アナの「これほどまでに強いのか!」(Ⓒ吉田伸男アナ)という父ドゥラメンテの2015年皐月賞と同じ実況が響く中ただ1頭ゴール板を駆け抜けた。
2着ハーパーにつけた着差は6馬身。グレード制以降ではオークスでの最大着差記録となる歴史的圧勝で二冠達成。川田騎手は断然人気のハープスターで2着に敗れた2014年の借りを返し、中内田厩舎はマイル以外のGⅠでは初勝利となった。またこのパフォーマンスに、レーティングもオークス史上最高評価となる120ポンドを与えられた。
7万人超の観客が集まった、世代の頂点を決める大一番。1.8倍の断然の1番人気に支持されたのはエフフォーリアで2着に敗れた2021年の借りを返すべく挑む横山武史騎手の無敗皐月賞馬、キタサンブラック産駒ソールオリエンス。2番人気には初の青葉賞からのダービー制覇が期待されるクリストフ・ルメールの同じくキタサンブラック産駒スキルヴィング。3番人気には皐月賞で1番人気3着の武豊ファントムシーフが続く。そしてキタサンブラックの同期サトノクラウン産駒、皐月賞2着のタスティエーラは鞍上にダミアン・レーンを迎え、この4頭までは単勝1桁台の4強という構図となった。
レースはUAEダービー2着から帰国してきた2歳王者ドゥラエレーデがスタート直後に落馬する波乱の幕開け。パクスオトマニカが単騎で後ろを離して逃げるが、1000m通過は60秒4のスローペースの流れとなり、ソールオリエンスとタスティエーラは先行集団に構え、後方からスキルヴィングが進出を図る。直線に入って最初にタスティエーラが抜け出し、ソールオリエンスやハーツコンチェルトがそれを追う。さらに最内からベラジオオペラが追い込んできたが、結局最初に抜け出したタスティエーラがそのまま押し切る格好で、一団となってゴール板へとなだれ込んだ。
サトノクラウン産駒は初年度でダービー制覇、タスティエーラは父の果たせなかったダービーの頂を手にした。一方直線で前のタスティエーラに絶妙に進路をブロックされたソールオリエンスはクビ差届かず、人馬とも悔しい2着で無敗二冠の夢は散った。
勝ちタイムは前週のオークス(2:23.1)より2秒以上遅い2:25.2、スローペースの前残りでなだれ込んだレース展開から、レースレベルにはやや疑問符がつくことに。
また2番人気スキルヴィングが直線で異変を起こし大差の最下位で入線後、大観衆の目の前で崩れ落ち、急性心不全でそのまま死亡するという、後味の悪い悲劇も起きてしまった。
GI馬が10頭という超豪華メンバーとなった春のマイル王決定戦。オッズも割れ、4.2倍の1番人気は前走マイラーズカップを勝ってきたシュネルマイスター。以下VM2着のソダシ、前年マイルCS覇者セリフォスと続き、連覇を目指すソングラインは大外18番枠が嫌われたか、またも4番人気に留まる。初の1600mに挑む5番人気の大阪杯覇者ジャックドールまでが単勝1桁、8番人気ガイアフォースまでが10倍台の大混戦ムードで迎えた。
レースはウインカーネリアンが逃げ、ジャックドール、ソダシ、カフェファラオ、セリフォスらがそれに続く展開。道中のペースが緩まず先行勢にはやや厳しい流れとなり、中団に構えたソングラインが直線で大外に出すと末脚炸裂。あっという間に前を呑み込み、シュネルマイスターの追撃も寄せ付けず、1と1/4馬身差をつける完勝で連覇達成。文句なしの府中マイル女王に君臨した。
安田記念連覇は2008年~2009年のウオッカ以来、史上4頭目。ヴィクトリアマイルと安田記念の連勝も2009年のウオッカ以来2頭目。大外18番枠での安田制覇は2002年のアドマイヤコジーン以来21年ぶりとなった。
上半期の芝GI戦線を締めくくる春のグランプリの主役は、言うまでもなくドバイシーマクラシックの衝撃の圧勝で文句なしの世界最強馬の評価を固めたイクイノックス。単勝1.3倍という圧倒的人気に支持された。人気では以下、ジャスティンパレス、ジェラルディーナ、アスクビクターモア、ディープボンドと続いたものの、イクイノックスが勝つかどうかというより、世界最強馬としてどんな勝ち方をするかの方に注目が集まるレベルの1強ムードとなった。
レースはハナを切ったユニコーンライオンに、ダービー落馬競走中止から向かってきた3歳馬ドゥラエレーデらが絡んでいった結果、2ハロン目が10秒5、1000m通過は58秒9というハイペースの流れになる。行き脚がつかず後ろから2番目に構えたイクイノックスは、先行勢の脚が鈍り始めると3コーナー前から進出を開始。4コーナーで大外をブン回すと、直線では全く違う脚色で一気に前を呑み込み先頭へ。馬群の中から10番人気の伏兵、牝馬スルーセブンシーズが猛然と突っ込んで来たが、並ばれそうな気配すら見せず、クビ差という着差以上の強さを見せ付けて完勝。GⅠ4連勝を飾った。
例年以上の盛り上がりを見せるダート戦線の上半期チャンピオン決定戦、帝王賞。ウシュバテソーロこそ夏休みで不在なものの、王座奪還を目指すテーオーケインズと、レース史上初の連覇を狙うメイショウハリオに、5連勝中のプロミストウォリアと名古屋大賞典を勝ったハギノアレグリアスという同期の上がり馬2頭、4歳勢からはいい加減勝利が欲しいクラウンプライドと大井巧者ノットゥルノが参戦し、王者決定戦に相応しいメンバーが揃った。
レースはテーオーケインズがやや出遅れ、プロミストウォリアがハナを切り、地方勢2頭とクラウンプライドがそれを追う。テーオーケインズはノットゥルノとその先行集団を見ながら進め、メイショウハリオはいつも通り後方から。4コーナーでまずハギノアレグリアスがプロミストウォリアを捕まえにいくが、プロミストウォリアも譲らず、さらに最内を突いてクラウンプライドが抜け出しを図る。そこで大外を捲って襲いかかるメイショウハリオ、さらに間を突いてテーオーケインズ! 残り200mを過ぎたところでクラウンプライド、テーオーケインズ、メイショウハリオの3頭が抜け出し、最内から必死に押し切ろうとするクラウンプライドに6歳の2頭が猛然と襲いかかる。そのまま3頭横並び、真ん中テーオーケインズが僅かに遅れ、内のクラウンプライドと外のメイショウハリオで大接戦ドゴーン!という声が聞こえてきそうな僅差のゴールとなったが、僅かにハナ差メイショウハリオが差し切っていた。
メイショウハリオはレース史上初の連覇達成でGI級3勝目。勝ちタイム2:01.9は2011年のスマートファルコン以来となる2分1秒台をマークし、上半期のダート戦線の総決算に相応しい激闘と讃えられた。敗れたクラウンプライドはこれで国内では4戦連続2着となった。
前年までは京都競馬場の改修に伴うスケジュール変更で小倉1700mとして開催されていたが、今年は3年ぶりに中京開催に。なお翌年からは阪神競馬場の改修に伴い再び小倉1700mでの開催となる。
ドンフランキーが押して逃げ、直線ではリメイクが好位から差し切らんとしぶとく脚を伸ばすがクビ差及ばずドンフランキーが逃げ切り重賞初制覇。
ドンフランキーの馬体重594kgでの重賞勝利はサトノティターンのマーチSでの最重量勝利記録(572kg)を4年ぶりに塗り替える記録となった。
「全日本的なダート競走の体系整備」により翌年から秋に「ジャパンダートクラシック」として移動となるため、現行体制最後のジャパンダートダービーとなった今年は、ここまで無敗で羽田盃と東京ダービーを制し、南関東三冠を狙う大井所属のミックファイアが単勝2.0倍の1番人気となり、それに兵庫CSを持ったまま6馬身差で圧勝したミトノオー、青竜Sを3連勝で制し勢いに乗る良血馬ユティタムが3倍台で続くオッズ。
スタートからミトノオーが掛かりながらハナを切り、前半600mは34.3という超ハイペースに。ユティタムは4番手の外、その後ろにミックファイアという隊列で3コーナーを迎えると、ミトノオーがロングスパートで後続を離し始め、人気3頭が前へと進出。直線に入る頃には5馬身近いリードをミトノオーは取っていたが徐々に脚が鈍り、残り200mでユティタムと併せ馬で迫っていたミックファイアがもう一段加速! そのまま力強くミトノオーとの差を詰め、追い込んできたキリンジに2馬身半の差をつけてゴールへと飛び込んだ。
ミックファイアがJRAの強豪を退け、トーシンブリザード以来22年ぶりの無敗での南関東三冠を達成[1]、現行体制では最初で最後の三冠馬が最終年に誕生した。大井に詰めかけたファンたちは「御神本コール」で人馬を称え、御神本は馬上で指を三本立ててその声援に応えた。
毎年恒例夏競馬の大一番、札幌記念。引退宣言から一転まさかの現役続行を宣言したウインマリリンに安定した戦績を残すシャフリヤール、前年の覇者ジャックドールや前走QE2世C2着馬のプログノーシスなど、15頭中13頭が重賞馬と今年も"スーパーGⅡ"に相応しいメンバーが揃った。
大方の予想通りユニコーンライオンが逃げ、アフリカンゴールドが2番手、3番手にウインマリリン。離れた4番手からジャックドールが追走し中段からシャフリヤールとプログノーシス、後方からダノンベルーガといった隊列となり、1000m通過後からプログノーシスとダノンベルーガが位置取りを押し上げる。3-4コーナーから後続馬が殺到し、大外から脚を伸ばしたプログノーシスが粘るトップナイフを捉えて重賞2勝目を飾った。4馬身離れた2着にはトップナイフが粘り、さらに3馬身離れた3着にソーヴァリアントが入った。 これでプログノーシスは川田将雅とのコンビでは6戦無敗とした。
一番人気のプレイディヴェーグが出遅れてのスタートとなる。ユリーシャが飛ばしに飛ばし1000m57.2のハイペースでかっ飛ばす。前に行った馬は軒並み潰れ、後方からマスクトディーヴァが追い込む。プレイディヴェーグは中々前が開かず、残り150mでルメールの左ムチに応えてようやく追い込んでくるが時すでに遅し。先に抜け出したマスクトディーヴァが先頭でゴールした。
このレースは勝ち時計が1.43.0となり、これは芝1800mのJRAレコードに加えて世界レコードである。
牝馬クラシック世代とは打って変わって群雄割拠な牡馬クラシック世代。オッズは皐月賞馬ソールオリエンスが1.6倍。続いてレーベンスティールが3.8倍、3番人気は大きく離れてシャザーンの10.7倍と2強ムード。
ドゥラエレーデがレースを引っ張り、ソールオリエンスとレーベンスティールは中段に控える格好。直線を向くとレーベンスティールが一気に加速し抜け出すとその勢いそのままにゴールイン。
1番人気はキーンランドカップを制したナムラクレア(2.9倍)、2番人気はセントウルステークス2着のアグリ(4.8倍)、3番人気は北九州記念2着のママコチャ(4.9倍)でここまでが単勝1桁台であった。
レースは大方の予想通りジャスパークローネが逃げ、それをテイエムスパーダが追う展開に。4コーナーに入るころにはもうママコチャは2番手につけ、残り200mで先頭に。そこを内からマッドクールが強襲するも、ハナ差しのぎ切り初の重賞タイトルをこのGⅠで手にした。
圧倒的1番人気の南関東三冠のミックファイアが、3番人気のサンタアニタダービー2着のマンダリンヒーローに1馬身半差つけて勝利した。3着はそこからさらに半馬身遅れの道営三冠馬ベルピットとなった。
後方から追い込んだAce Impactがまとめてすべてを飲み込んで勝利した。日本から遠征したスルーセブンシーズは前評判を覆しての4着であった。
1番人気がこの年のフェブラリーステークス覇者レモンポップ、2番人気が前年の覇者カフェファラオ、3番人気が前年の皐月賞馬ジオグリフ、4番人気が地方総大将イグナイターという形となった。
レースはレモンポップがハナを切り、2番手にイグナイターがつける形で進む。3コーナーでイグナイターがせりかけてくるが4コーナーでレモンポップが突き放すとあとは独走状態に。終わってみれば2着のイグナイターに大差をつけてゴールという形となった。2着のイグナイターも3着のレディバグを半馬身しのぎ切り、地方馬としての意地を見せつけた。
カフェファラオはこのレースを最後に引退、種牡馬入りの運びとなった。
圧倒的1番人気は牝馬三冠がかかるリバティアイランド(1.1倍)で、2番人気ハーパー(12.9倍)と3番人気マスクトディーヴァ(13.0倍)とは大きな開きが。
3コーナーから加速して直線ではもう先頭。後方から追い込んでくるマスクトディーヴァを1馬身振り切って勝利。見事に牝馬三冠を達成した。
格付けなし)オオバンブルマイ(J.パー)
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G1)Without A Fight(Mark.Zahra)
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掲示板
8 ななしのよっしん
2023/06/25(日) 17:37:52 ID: nIAMGrh6Wp
6月18日の函館8Rで3連単619万6220円が出てましたね
3連複、3連単が函館競馬での最高額だったみたいです
函館8Rで当地史上最高となる3連単619万6220円の大波乱…的中票数は9票 3連複も最高額 | 競馬ニュース -
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9 ななしのよっしん
2023/07/29(土) 17:15:11 ID: DX6uz72R7E
10 ななしのよっしん
2023/10/10(火) 11:54:44 ID: ONcG36cVpQ
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/12(金) 03:00
最終更新:2025/12/12(金) 02:00
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