千利休(Fate)とは、スマホゲーム『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァントの一騎である。
サーヴァントについてはサーヴァント(聖杯戦争)の記事を参照。
2022年9月14日から10月5日にかけて行われたイベント『ぶっちぎり茶の湯バトル ぐだぐだ新邪馬台国 ~地獄から帰ってきた男~』にて新規実装されたサーヴァント。☆5のバーサーカー。担当絵師の色素氏は『カルデアボーイズコレクション2021』の礼装「∞ドリーム」でFGOデビューし、千利休で初めてサーヴァントを描いた新人さん。
ノッブによると生前は大柄の男性であったとのことだが、サーヴァントとしての千利休は何故か小柄な少女として現界していた。体こそ少女のものだが人格は利休そのものであり、過去に実装された馬琴や北斎のような「女性の体に男性の人格が宿っている」タイプである。何故男なんだ。生気のこもっていない双眸、両肩を押さえつける謎の手、不自然に重い体重、特定の条件を満たさないと解放されない第三再臨など不穏な要素で占められており、彼女(彼)の不気味さを醸し出す。その内側には一体何が潜んでいるのだろうか。
サーヴァントになった後も商人らしく新しいものを取り入れることにも余念がなく、自らの茶を自動販売機で売ったり、秀吉の移動式黄金茶室を発展させた銭を燃料に空を飛ぶ茶室「GO庵」を開発。境界の地に落ちてきていた怪生物ちびノブにお茶を与えたところ、知能が発達して喋れるようになり、お茶ノッブとなったちびノブ軍団を雇って働かせていた。彼女(彼)が淹れるお茶には空気中の毒を中和する効果があり、見えない毒で満たされている境界の地においては彼女(彼)の助力無しでは敵も味方も活動すらままならない。
バーサーカーでありながら陣地作成スキルを持つ非常に珍しい存在。利休以外だとモルガンのみ。
ちなみに利休についての初言及は「カルデアエースvol.2」に収録されたルポ漫画「三蔵ちゃんと行く京都日本サーヴァントめぐり」。ここで「利休は星5バーサーカー」とぐだ子が冗談めいて言及しているが真実となった。(なおシルエットはどうみても「へうげもの」の利休である。納得のバーサーカー。)
第2部7章『ナウイミクトラン』にて、実は浮遊している事が判明。浮遊属性を持っているため特定の戦闘で敵のデバフを受けず優位に戦える。サーヴァントの中には再臨の状態によって浮遊の有無が事細かに決められている者もいるが、利休は全ての形態で浮遊を持っている。第一再臨はともかく、第二と第三はどう見ても浮いているようには見えないが…。
2023年9月17日から10月10日まで、京都利休園とのコラボで蘆屋道満(fate)をイメージした「暗黒陰陽茶、葛飾北斎(fate)をイメージした「渾身一筆茶」、モルガン(fate)をイメージした「妖精林檎茶」を利休がプロデュースしたという設定で限定販売された。遂にリアルコラボ進出である。
筋力:C+ | 耐久:C | 敏捷:C | 魔力:B | 幸運:B- | 宝具:C |
一期一会(いちごいちえ)
ランク:C / 種別:結界宝具 / レンジ:1 / 最大捕捉:1人
利休が設ける一客一亭の茶席。その生涯の全てをかけて完成させた茶の湯の極致であり、草庵茶室という極狭の空間として展開される固有結界。相対したものはその茶に込められた利休の黒に心を穿たれ、感服し、魂を屈する事となる。この宝具に取り込まれたものは、その本来の能力を制限され、強制的に利休の茶の湯の理に従わされる。貧弱な霊基であれば磨り潰されてもおかしくない程の強烈な圧こそは、侘びの怪物、利休の魂が持つ超重力。
「───これこそが利休の『黒』にてございます」
ちなみに最大補足が1人となっているが、多人数を同時にもてなす事も可能。幽玄にして夢幻なる境界。
第三再臨時に宝具を発動した場合は描写が異なる。利休の内に潜む一人の少女が彼女の血で満たされた茶碗の中に敵を沈め、巨大化した彼女が微笑みを浮かべながら宝具封印と呪いを付与する。茶碗の中に入れる都合上、大型エネミーだと顔がはみ出てしまってシュールな図となる。シャンタク系のような宙に浮いているエネミーは血に浸かっていなかったり、愛玩の獣相手だと首しか無い事が判明して演出の裏側を垣間見れたりと面白スクショ向けの宝具となっている。ケルヌンノスを入れたら一体どうなるのか…。ちなみにレア演出として巨大化時に血涙を流しているバージョンもある。
イベント『ぶっちぎり茶の湯バトル ぐだぐだ新邪馬台国 地獄から帰ってきた男』にて実装された限定星5バーサーカー。バー茶ーカー、千利Q。バーサーカーとしてはかなり異色の存在であり、抹茶をイメージしたのかクイックが3枚もある一方、逆にバスターは1枚しかない。いわゆるクリティカル型に属するバーサーカーで、自身や味方全体のクイック性能を上げて強烈な一撃を見舞う事を主戦法とする。また味方にNP配布と無敵付与が出来るというバーサーカーにしては珍しいスキルも持つ。自分に使えば場持ちも若干良くなる。宝具「一期一会」は対人特攻があるため、全エネミーのうち約1/3が持つ人属性に刺さる上、宝具封印で1ターン猶予を作れるのが強み。スカディシステムにも対応しており特攻が刺されば宝具連発で驚愕のダメージを叩き出す。弱点はスター集中を持っていないせいでクリティカル戦法がやりづらい点、対人特攻が刺さらない相手だと宝具の威力が弱い点か。
セイントグラフが第三再臨以降が封印されており、イベントクリア後に開放されるクエストにより解放される。イベント終了後は無条件でクエストに挑めるようになるので安心。
HP | (Lv1/Lv90/Lv100) 1764/12028/13177 |
ATK | (Lv1/Lv90/Lv100) 1926/12463/13643 |
COST | 16 |
コマンドカード | Quick/Quick/Quick/Arts/Buster |
所持属性 | サーヴァント、人属性、混沌属性、悪属性、人型、女性 ヒト科 |
保有スキル | |
---|---|
侘びの極み:A- (CT8→6) |
味方全体のQuickカード性能をアップ[Lv.](3T) &NP獲得量をアップ[Lv.](3T) +スターを獲得[Lv.](5→15個) |
一輪の花:B (CT8→6) |
味方単体のNPを増やす[Lv.](20→30個) &宝具使用時のチャージ段階を2段階引き上げる状態を付与(1回・3T) &無敵状態を付与(1回・3T) |
幽玄たる黒:A (CT8→6) |
自身のクリティカル威力をアップ[Lv.](3T) &Quickカードのクリティカル威力をアップ[Lv.](3T) &「Quick攻撃時のダメージ前に対象の防御力をダウン(3T)する状態」を付与(3T) |
クラススキル | |
狂化(寂):EX | 自身のBusterカード性能をアップ &クリティカル威力を少しアップ |
陣地作成(侘):A | 自身のArtsカード性能をアップ &精神異常耐性をアップ |
芸術審美(茶):A | 自身の弱体付与成功率をアップ |
融通無碍:B | 自身のQuickカードのNP獲得量をアップ |
アペンドスキル3 | |
対セイバークリティカル発生耐性 |
一期一会(いちごいちえ) | |
---|---|
カード種別:Quick | ランク:C |
敵全体に強力な〔人の力を持つ敵〕特攻攻撃[Lv.]<OCで特攻威力アップ> &宝具封印状態を付与(1T) &呪い状態を付与(5T・-1000) |
史実については「千利休」を参照。
1522年に和泉国(現大阪府)堺で誕生。家は塩魚を扱う商人に倉庫を貸す問屋であった。彼は大柄な人物だったようで180cmの長身だったと伝わる。17歳の時に茶の湯を学び始め、見事才能が開花。政財界においても一際存在感を放つ茶人として知られるようになる。
一時は資金難に陥って家業が傾きかけるも、有力な三好氏の御用商人になった事で立て直しに成功。しかし1568年に織田信長が堺に武力侵攻。堺は三好三人衆と組んで抵抗したが、圧倒的な戦力差を前に敗れ去った。その翌年、堺の新たな支配者となった信長によって利休は召し抱えられ、茶の湯を司る役職・茶頭に就任。1573年と1575年に行われた信長主催の茶会を成功させた。信長は茶の湯の政治利用を積極的に推し進めており、利休はそれを献身的に支えて地位を高めていく。
1582年に本能寺の変が起きて信長が道半ばで死亡。次は豊臣秀吉に乞われて茶頭となる。豊臣政権内においても茶道の指南役として確固たる地位を築き、また商人由来の天才的な目利きで骨董品の商いに携わり、茶道に芸術性を見出した「わび茶」を生み出すなど、時の権力者秀吉でさえも感嘆するほどの才覚を発揮。俸禄として3000石を与えられた。多くの著名人や大名が利休に師事し、その中には前田利家や細川忠興などもいた。
1585年10月に正親町天皇から利休の居士号を勅賜される。利休とは「鋭さを休めよ」という意味。
日本の文化人として最大級の影響力と権威を持つに至った利休。ところが、何らかの事情で秀吉の怒りを買い、1591年4月21日に切腹。享年70歳。その首は一条戻橋にて晒された。
プロローグにて初登場。
死んだ者の魂が黄泉へと向かう――その途上にある生と死の狭間、境界(さかい)の地にて人知れず召喚される。境界の地は歴史の敗者となった魂や未練を残した魂が落ちる光届かぬ暗黒の地で、空には青白い人魂がたゆたい、通行が困難な黒い泥によって陸地は島のように寸断されている特異点。そこへ現れた石田三成は特異点発生の原因となっている聖杯のリソースを使い、掟を敷いて貨幣を流通させ、クコチヒコ率いる狗奴国の生き残りと同盟を結び、暗黒の地に秩序をもたらして新邪馬台国という亡者たちの国を形成していた。この地には前回の『ぐだぐだ邪馬台国』で倒された凶つ神の破片が降り注ぎ、現地の環境に適応するためちびノブに変身して各地に生息。このうちの何匹かに利休が戯れで茶を与えてみたところ、喋れるお茶ノッブに進化。従業員として雇った。
観測された特異点の修正とSOS信号を確認するべくカルデアよりレイシフトしてきたマスター、ノッブ、総司、沖田オルタの4人。到着して間もなく謎の男シュシャに助けを求められ、獣の剣ことクコチヒコと交戦する壱与に加勢して獣人の群れを撃退する。戦闘後、沖田オルタが自販機で購入した団子を食べていた事で付近に茶庵があるのに気付き、ひとまず休憩する。そこへ茶庵の主たる千利休が現れて室内へと案内する。何故か少女の姿をしている利休を見て、ノッブから「あの利休が女のわけないじゃろうが!」と突っ込まれるも、「これは型にはまらぬ信長公とは思えぬお言葉、形など英霊にとっては些細な事」と受け流した。この特異点では空気そのものが毒であり、仮にサーヴァントであっても半日持たずに身動きが取れなくなる異常なる地。利休は茶人らしくお茶を淹れてカルデア軍団に振る舞い毒を中和させた。どうやら彼女(彼)のお茶はこの特異点における防毒マスク。一度飲めば一日は活動できる必須の物のようだ。召喚されたら死ぬ土地とか無理ゲーすぎるじゃろ。後にロリンチが解析したところ、霊基を侵食して魔力を喰らう粒子が飛び交っているとの事。
利休もこの地に召喚されたサーヴァントであった。空気中の毒に対抗するため自身の固有結界である草庵茶室を作って対魔力を備えた茶を調合したところまでは良かったが、外はクコチヒコの部下がうろついていて迂闊に動けず。飛び地を駆け抜けるために必要な「GO庵」は金子を燃料にしているが自販機を設置しても鳴かず飛ばずの現状では資金を稼げず、北西のわびさびの里で立ち往生しているところだった。このためカルデア軍団に茶室の営業をしてもらい燃料たる金子を集め、またちびノブに奪われた茶器の奪還も並行して行われた。
イベントではエネミーを倒すと茶器と茶葉が手に入り、茶器は素材との交換に、茶葉はお茶を点てるのに使用。お茶を点てると茶の湯ポイント(すなわち金子)が手に入り、一定以上貯まると「GO庵」による移動が可能となって物語が進行する仕組みとなっている。
以下、イベントの終盤までのネタバレが記述されているので折り畳む。
順調に資金集めが進んでいるかのように見えたその時、新邪馬台国の主こと石田三成に目を付けられ、たった一晩で茶室の前に石田茶屋を開店して露骨に営業妨害を図る。石田茶屋は味と価格で勝負して茶室から客を奪い取り、「私どもの店より安く出されては商売あがったりでございまするな」と利休も困り顔を浮かべる。しかしノッブの提案で商品に付加価値を付ける事になり、これが見事に功を奏して逆転。焦った獣人が茶室へ殴り込んできて暴れようとしたため利休怒りの鉄拳によって遠くまで吹っ飛ばされた。その後の戦闘でサポートの利休を選ぶと「利休、激おこ」という自己強化を自動的に使用してバスターの威力を上げる。石田茶屋を退けて売上金を得た後、「GO庵」に乗って虚ろなる地へ移動。
第三服「君の心にズキューン」ではカルデア軍団が濃霧に呑まれている頃、利休は茶の材料集めの名目で単独行動しており、罠として仕掛けられていた狗奴の秘術に巻き込まれずに済んだ。
第四服「待ち人来たり来なかったり」で、狗奴の秘術を抜け出したカルデア軍団の前に使者のクコチヒコが現れて三成との会談を持ち掛ける。当初会談場所は敵の拠点となっていたがノッブの機転で場所は利休の茶室に変更。しかし、利休は生前豊臣秀吉や部下の三成によって謂れなき罪を着せられて処刑されている過去があるので、もし三成を目にすれば会談をぶち壊してしまうとして茶の準備だけ行って自ら席を外した。ノッブは利休の考えに肯定するも「三成との不仲なんぞ、どう考えてもただの言い訳じゃ」と怪しみ、総司に彼を見張らせる。会談では敵の総大将である三成と謁見。彼から「特異点から手を引け」と言われるも当然要求は飲めず交渉は決裂。武力にて雌雄を決する事となった。そして第四服の最後には正体不明の少女が姿を現していた――。
第六服「決戦!暗黒関ヶ原」では南東の暗黒関ヶ原に移動。三成率いる西軍は獣人を主力とし、右翼に山南敬助、左翼にクコチヒコ、中央に三成が布陣して既に軍の展開を完了。三成は一軍に相当するノッブの実力を警戒し、圧倒的優勢にも関わらず鶴翼の陣を敷いて警戒を怠らなかった。対するカルデア軍団は少数のお茶ノッブがいる程度で主力はサーヴァントに頼らざるを得ない厳しい状況と言える。ノッブの采配で沖田オルタはクコチヒコの部隊に、マスター、総司、壱与はこちらに寝返るよう調略している山南の部隊にぶつける事となったものの、何故か総司が不在。利休から「腹の調子がすぐれぬとかで少し休んでからいらっしゃるとのことです」と言われ、ただでさえ少ない戦力が更に減じてしまう。戦闘に向かない利休は兵力となりえるお茶ノッブをノッブに供出して後方へ退却。戦勝の際は盛大に祝うと約束した。
先に西軍が動いた事で、なし崩し的に戦闘が始まり、暗黒関ヶ原にて一大決戦が始まる。しかし寝返るはずの山南は寝返らず、沖田オルタとクコチヒコは一進一退の攻防を続け、中央ではノッブが数の暴力によって押され気味になるなど徐々に旗色が悪くなっていく。山南隊の攻勢で左側から戦線が崩壊。撤退を決断したノッブの前に黒い野望を胸中に秘めた利休が現れる。
商人である利休は三成陣営にも肩入れしておりどちらが勝っても利が得られるようにしていた。カルデア軍団の敗色が濃くなった事で彼は西軍へと寝返り、ノッブを「商品」にするべく黒き泥へと沈めて捕縛。マスターと壱与は奮闘むなしく山南に捕まった上、沖田オルタもクコチヒコの一太刀を浴びて倒れた事でカルデア軍団は敗北。西軍本陣へと連行されたカルデア軍団は三成から新邪馬台国千年の繁栄のため、新たな豊臣の世を興すための「餌」にすると宣告され、地下牢に投獄。利休の暗躍は続き、カルデアとの通信に割り込んで山南敬助とともにマスターが囚われの身である事を伝え、増援を要請する。その際に森長可から「利休居士がこんな小娘のわけねぇだろ。冗談も休み休み言えや」と突っ込まれたが、利休の手引きで借金までして入手した沢姫の茶壷という彼本人しか知り得ない情報を提示されて一瞬で納得した。利休が現状の情報と座標を伝えたところで通信が途絶えた。
第七服「獣の剣」において、カルデアに対する通信は茶々を誘き出すための三成の策略である事が明かされる。利休だけでは信用されないと思い、かつての仲間だった山南も加えて信用度も補強していた。「生前の如く腹を切らされたくなくば貴様もわかっておろうな?」と脅しをかける三成に対し「相変わらず人の癇に障ることにかけては石田様の天下に並ぶものはございませぬな」と返した。また山南が三成陣営に付かざるを得なくしたのは、利休がこの地で彷徨っている明里の霊魂を見つけて三成に引き渡したからだと判明。全て三成陣営の思うように事が進んでいた。その後、利休は投獄したカルデア軍団や明里が死なないよう最低限の茶を点てて与える。そんな彼らの会話を聞き耳を立てて盗み聞きした人影が一つ。
暗黒佐和山城の地下牢に入れられたマスターは茶の不足から生死の境を彷徨い、垣間見た夢の中で謎の少女と邂逅。涙を浮かべる彼女は何も語らず、ノッブが慌ててお茶を飲ませた事でマスターの意識は現実へと引き戻された。クコチヒコが持つ獣の剣に斬りつけられた沖田オルタは死体のように動かない。壱与曰く獣の剣は狗奴国に伝わる宝剣で、人の身体を侵食して獣の病を植え付ける呪具なのだという。仮に地下牢から脱獄しても利休のお茶無しでは長く活動できないため、三成陣営は大した監視を置かずにカルデア軍団を放置。その八方ふさがりっぷりはノッブにして「全く面倒な特異点じゃ」と言わしめた。だが総司が出発前に自販機でお茶を買い込み、シュシャに渡していた事で逆転の目が出る。その直後、地下牢にクコチヒコが現れ、壱与とシュシャを常闇の穴へと連行。豊臣の世の再来のため最後の総仕上げにかかる。三成、クコチヒコ、山南が儀式の準備をしている頃、利休は明里が囚われている牢屋を訪れて茶を補給。彼女の飲みっぷりを気に入って積極的に茶を振る舞っていたようだった。
壱与とシュシャは三成陣営に連れられて狗奴国に伝わる獣神が封印された祖なる岩屋へ引き出されていた。死の気配が色濃く漂う常闇の穴は暗黒に包まれており、その奥はクコチヒコにすら分からない不可視の領域。神代の残滓すら宿す過去の遺物が眠っている。壱与とシュシャは祖の獣を復活させるための生け贄であった。特にシュシャは生け贄の素養を持つらしく、クコチヒコに命じられて利休が探し求めていた子だったという。そこへカルデアからレイシフトしてきた茶々が登場するが、これも計算済み。茶々こそが最後の生け贄だったのだ。三成にとって茶々は協力を断った憎き相手、豊臣家の疫病神に過ぎなかった。しかしこれはカルデアの罠だった。茶々が三成の気を引いているうちに斎藤一がシュシャを救助、幽閉されていた明里を総司が奪還した事で山南が離反し、追い詰められた三成はクコチヒコに命じて壱与だけでも生け贄に捧げて儀式の強行を目論むが、紙一重で卑弥呼が間に合って壱与を救出する。形勢を覆された三成は激昂しながらクコチヒコと利休にカルデア軍団の始末を命じるも、利休は不気味な笑みを浮かべて「いやはや、これは拙いですな、治部少輔様。この騙されようは哀れを通り越して、笑いすら誘いまするぞ」と嘲笑。挑発を続ける利休に三成は抜刀して斬りかかったが、その刀身は利休の体を切り裂く事なく取り込まれてゆく。機は熟した。利休はこの時のために権謀術数を張り巡らしてきたのである。仲間割れを起こした三成陣営を見てカルデア軍団が離脱を図ろうとしたその矢先、黒い泥が広がって足に絡みつき、離脱を妨げる。凶つ闇よりも重く暗い黒き泥の主は利休だった。
せっかくですので私が用意した茶席の余興、是非、お楽しみになってくださいませ
生前、利休は秀吉によって切腹を言い渡されて生涯を終えた。これまでカルデア軍団にも三成陣営にも肩入れしていたのは憎き豊臣家の関係者である三成をこの手で処刑するためだった。しかし利休が切腹に追いやられたのは私腹を肥やしていた悪行に因るものであり、三成は自業自得で逆恨みだと主張。処刑する権利など無いと言い放つ。そんな彼にほとほと呆れながらも利休はもう一つの姿を見せる。秀吉の横暴によって何の罪も無かったにも関わらず斬首された出羽の姫、駒姫の姿を。
いかがです、
この顔を見ても
まだお分かりになりませぬか?
駒姫の姿を見て、さすがの三成も狼狽えた。彼女こそが豊臣家の罪の象徴とも言うべき存在だったからだ。
第八服「祖の獣」にて、利休が持つもう一つの姿、駒姫の来歴が語られた。関白・豊臣秀次に見初められて側室にと望まれ、はるばる出羽から京へと嫁ぎに来た彼女は「謀反の疑いがある秀次、その側室候補」という理由だけで連座して斬首された。無論彼女自身に何の罪もなく、秀次とは言葉一つ交わしていない。あまりにも残酷で理不尽な最期を遂げさせられた豊臣政権の犠牲者、それが駒姫であった。三成を処刑する理由には十分すぎる。
秀吉への忠誠心を揺るがす駒姫の登場に三成は焦燥。秀頼と秀次、二人いればどちらを立てるかで豊臣が二分されてしまう。秀吉とて苦渋の選択だったと弁解する。しかし利休は「あの関白殿下が苦渋の決断などなさるわけがございません」「殿下の決断は全て本心、己が求めるままに生き、求めるままに天下を貪る、まさに人の悪徳の極みにあるお方」と弱き者を虐げる天下人秀吉に恨み節をぶつけ、一刀両断。「であればこそ、我ら弱き者が強き者を貪るのも、許されてしかるべきこと」と言い放つと、利休は隠していた力を解放し、禍々しいオーラを身に纏う。彼はこの時に備え、長い年月をかけて弱き魂たちをその身にじわりじわりと塗り込み、こねりこねりと練り上げてきた。今の利休は数多の魂によって熟成された黒きモンスターであり、壱与は「その小さな体に一体、どれだけの数の魂を……!」と驚愕するしかなかった。そして魂たちから濾し取って得た『黒』は祖の獣を蘇らせるには十分な贄となる。常闇の穴に潜む祖の獣は利休が放つ『黒』の力を感じ取って既に目覚めており、じわじわと地表へ向けて這い出ようとしていた。勝ち誇ったように「いかがですかな?石田様に代わり望みをかなえて差し上げたこの利休の心づくしともてなし」「楽しんでいただければ幸いにございます」と三成を挑発する利休。
崖っぷちに追いやられた三成にトドメの一撃となる追い討ちが掛けられた。最後まで残っていたクコチヒコをも彼を裏切って利休側に付き、とうとう三成は一人きりとなる。利休はクコチヒコと祖の獣を復活させるまで協力関係を結んでおり、裏切りはその協力に基づくものだった。ここに全ての計略は成功。三成は孤立し祖の獣の復活は秒読み段階に入る。「最初から貴方様の味方などこの世のどこを探してもおりませぬ」「枯れ山で栄華を誇るがごときその虚しさ様、正直、私、笑いが堪えきれませんでした」と三成を嘲笑してみせる。クコチヒコによって壱与とシュシャが再度生け贄に差し出され、両者とも苦悶に顔を歪める。利休は次なる標的を茶々に定め、シュシャの正体が秀吉と茶々の第一子であり、夭折した鶴松だと明かす。生け贄にシュシャを選んだのも、秀吉の血縁者を犠牲にすれば一番堪えるだろうとの考えに基づくものだった。怒りや憎悪をぶつける茶々と三成の姿も彼にとっては計略のうち。秀吉の臣下や最愛の妻が苦しむところを見たかったのだから。日輪が届かぬ境界の地では秀吉であろうと手出しが出来ない。この地で豊臣の血縁者や関係者を嬲り続ける事で人の心を知らない秀吉に奪われた痛みを味わわせる。これこそ利休の黒き野望であり復讐であった。
長講釈の末にノッブと復活した沖田オルタが乱入。サル(秀吉)の行いは自業自得だと若干利休の復讐に理解を示しつつも作戦を開始。まず沖田オルタの炎で足元の泥を吹き飛ばしてカルデア軍団に行動の自由を与えると、ノッブの後退命令に従って斎藤と山南が退路を確保、卑弥呼が壱与を救助しようとするが祖獣との同化が進んでいた壱与は逃亡出来ず、卑弥呼が身代わりになる事で彼女を脱出させた。無論利休が黙ってカルデア軍団を逃がすはずがなく、超重力とも言うべき重圧を周囲一帯に放って行動を制限。そんな中、茶々が命を燃やして利休との道連れを図り、その隙にカルデア軍団は離脱に成功した。
カルデア軍団が去った後、利休は捕縛した卑弥呼を尋問していた。彼女からカルデア軍団が数多の特異点を修復してきた事実を聞かされて降伏を求められても利休は石のように動じない。生け贄が変わっても儀式は恙無く進み、卑弥呼の力と生け贄を通して祖獣が顕現。産声代わりの咆哮を上げて常闇の底から姿を現す。「これは……、なんという『黒』にございましょう」「これぞ私が夢にまで見た『黒』にございます!」と祖の獣の誕生を祝う利休に、獣の剣が突き立てられる。利休とクコチヒコが結んだ約定は「祖の獣が復活するまでは協力する事」。祖の獣が復活した以上、もはや協力する理由が無くなりクコチヒコはカルデア側に寝返ったのだ。『ぐだぐだ邪馬台国』で犯した罪を償うため祖の獣を道連れにする、それがクコチヒコの真の目的であったが、利休は彼の裏切りを事前に見抜いており、『黒』の力で体内へ取り込んで無力化。祖獣唯一の弱点である獣の剣とクコチヒコをまとめて始末してしまった。こうして祖の獣を従えた利休は境界の地と現世を静寂なる『黒』に塗り潰すべく行動を開始する。
ちなみに利休が本性を現すとショップから姿を消し、代わりにお茶ノッブが接客するようになる。
第九服「ぶっちぎり茶の湯バトル」にてカルデア軍団との最終決戦が幕を開ける。利休の前に姿を現したのはマスターとノッブの二人のみ。手始めにノッブが宝具を展開するが、人に祀られた事が無い祖の獣には効果が薄く、また常闇の穴から無尽蔵に溢れ出る黒き血の影響で全くダメージが入らない。次に壱与が飛び出して祖の獣へ向かうのを利休が妨害しようとするが、山南、斎藤、総司からなる新撰組が行く手を遮り、「一介の茶人に武士が三人がかりとは、いささか礼に欠けるかと」と苦虫を嚙み潰したような表情を見せる。その間に壱与は宝具を展開しながら祖の獣の口に飛び込んだ。壱与は常闇の力を持つ滅びの巫女、存在するだけで周りを破滅させる疫病神のような能力を祖獣に適用させ、一気に神性が剥がされた事で余裕の態度を取り続けていた利休に初めて焦りの色が滲んだ。間髪入れずカルデア軍団は次なる手を打つ。沖田オルタの宝具をマスターの令呪で強化して地面に穴を穿ち、カルデア軍団の計略は成った。ぽっかりと開けられた穴から緑色の液体――抹茶がとめどなく流れ始めた。利休が作った茶は特異点の毒…もとい祖獣の血を浄化する働きがあり、祖獣にとって猛毒のようなものと言える。そんなものを大量に頭からぶっかけられた祖獣は大幅に弱体化して動きが緩慢に。まさかの奇策に、そして己の茶が仇となった事実に利休は言葉を荒げる事しか出来なかった。更に利休の拘束から抜け出したクコチヒコが参戦。壱与や卑弥呼と宝具を放ってさしもの祖の獣も苦痛に歪む。祖の獣を護るため前に出た利休と、カルデア軍団との最後の戦いが始まった。
ラスボス戦では利休(姿は駒姫)と祖の獣を同時に相手する事になる。戦闘BGMはテーマ曲『陸劫輪廻』のアレンジだが、出だしの部分がカットされている。駒姫状態では利休のボイスが設定されていないようで一切喋らない仕様。毎ターン茶の湯の中和効果と死番・草攻剣で両者に弱体化が掛かるが、同時に利休が宝具耐性強化(3回)のバフを使用する。祖の獣はバーサーカーの火力で全体攻撃という『オリュンポス』のタロスを彷彿させるようなトンデモ火力で攻め立て、利休は単体攻撃のみだが「侘びの極み」でクイック性能、チャージアップ、クリティカル発生率を上げる。ブレイクすると「黒けき世へ至れ」を発動し、自身が倒された時に威力アップ・対サーヴァントを祖獣に付与。数ターンおきにクコチヒコの援護攻撃か卑弥呼の宝具が入ってカルデア軍団を支援してくれる。
激闘の末、壱与キックを受けて祖獣がよろめき、その隙に沖田オルタの助力で常闇の穴へ放り投げられた茶々がシュシャを救出した事で核を失った祖獣は遂に力尽きて消滅。元凶を倒したためかクコチヒコと明里の退去が始まり、特異点もじきに崩壊する兆候が見られる中、カルデア軍団も帰路につこうとしたその刹那。野望の要を失ってもなお執念で利休が立ち上がり、ニライカナイへ向かおうとするシュシャを捕まえて取り込む。
逃がしませぬぞ、鶴松様……!我が怒り、我が憤怒、関白秀吉……!
いや、この世の全ての強気を貪る者達よ……!
弱き虐げられる者の叫びを、慟哭を……!
さぁ、殿下の息子はこちらですぞ。茶々様、石田様、私から奪えるものなら奪ってみせよ。
関白殿下が、私から娘を奪ったように!
狂気にも近い執念を前にしてノッブ、総司、山南が止めに入ろうとするも、利休によって一瞬で斬り伏せられた。祖獣は消え去ったにも関わらず利休からは黒き血が流れ続けており、もはや利休の血液として循環して計り知れない力を与えている。卑弥呼にして「人一人の身体に一体どれだけの魂を取り込めばこれほどの想念と怨嗟を……!」と言わしめた。「我が怒りは彷徨える名もなき亡者達の怒り!人の理に与するでもなく、己の力に寄り添えるわけでもなく、ただただ、踏みつけられる、全ての者の怒り!」と告白。境界の地は歴史の敗北者や未練を残した霊魂が落ちる「掃き溜め」、差し詰め彼は特異点一つ分の魂を身に宿した怨霊連合軍であり、それ故にカルデア軍団ですら圧倒する程の力を得ていたのである。利休を突き動かすのは怨霊たちの無念の怒り。生きて死ぬだけの世界を間違いだと叫び、全てを黒に還し静寂のもとで天下万民が心安らかに暮らせる世界を実現しようと、未だ尽きぬ戦意を滾らせる。カルデア軍団に思想が理解されないのを見て和解は不可能と見た利休は力ずくで理解させるべく宝具を展開し…。
第十服「サヨナラのニライカナイ」では魂が還るニライカナイの地にてマスターと接触。その身に不相応の過酷なる運命を背負うマスターに同情し、苦行から解き放つべくお茶を点てて差し出す。彼にとってマスターもまた虐げられし者。庇護の対象だったのである。利休は豊臣家のような強者には復讐心を持っていたが、弱き者に対しては力を貸す優しい一面も持っていたと言える。しかしマスターから「……それはともかく。『黒けき世』って、楽しいの?」と問われて「我が理想は、楽しゅうない、と……?」と驚愕。一時は困惑しつつもすぐに元の威勢を取り戻す利休。そんな彼の前に「利休様……もうよろしゅうございます……」と自制を求める少女、本物の駒姫が現れる。虐げられし弱き者たちのために怒らなければならぬと憤怒する利休とは対照的に、駒姫は「わたくしはこの世を恨んでなどおりません」「わたくしはただ生まれ、ただ死んだ」「とても楽しいひと時だったのです」と答える。利休が怒りや復讐心の権化であるならば、駒姫は理性や良心と呼べるほど穏やかであった。そして利休を止めるために力を尽くし、彼の怒りを払いのけず、思いやり、心づくしの言葉を投げたマスターに感謝の意を伝えた。
カルデア軍団には止める事が出来なかった烈火の如き利休の復讐心を、駒姫は見る見るうちに静めてしまった。年端のいかぬ少女に諭された利休はとうとう戦意を喪失。野望を捨ててこれからは彷徨える魂をニライカナイへ導くと決意する。マスターに「結局は此度、私の癇癪にお付き合いさせただけにございました」と謝罪し、捕まえていたシュシャと借り受けていた駒姫の体を返して消滅していった。
利休が消滅した後、駒姫は「斯様に弱きわたしくに、すべての声なき弱き者の代わりに、怒ってくださったのだと思うのです」と彼に謝意を示す。利休の消滅に伴って宝具が止まった。間もなく三成と茶々が合流、『黒』やお茶で溺死しかけていたノッブや新撰組の面々も合流した。そしていよいよ駒姫は自身を死へと追いやった豊臣関係者の三成や茶々と相対する。駒姫の件は完全に豊臣家が悪いため二人は秀次事件で命を奪った事を正式に謝罪したが、「お二人ともおやめください、もうよろしいのです」「石田様も茶々様も此度、充分に辛い思いをなされました」「どうか、お二人とも自分をお許しになってくださいませ」と彼らを許した。ノッブ「え?なにこの子、天使?」
シュシャがニライカナイへ還った事でカルデア軍団の退去が始まり、駒姫も利休の後を追うように消えた。
「というわけで、わたくしもお茶を点ててみたのでお飲みいただけますか、マスター様」
…のだが、余談「ぐだぐだ茶の湯譚」にて再登場。ニライカナイで退去したかのように見えた駒姫であったが、利休の視覚を通じて見ていたカルデア軍団の面々がとても楽しそうで少しだけ羨ましく思っていた。しかし引っ込み思案故に声をかける事が出来ず、そのまま消滅する機会を逸してしまい、レイシフトに紛れる形でカルデアまで来てしまったのだという。その後は陣地作成のスキルを使って黄金の茶室を作り、マスターのためにお茶を点てていた。見回り中にただならぬ気配を感じたマシュに発見され、マスター、ノッブ、総司の3人が駆け付ける。駒姫は手土産と言わんばかりに回収し忘れていた聖杯を献上し、あまりのご都合展開にノッブから「て、適当~!かつてないほど適当~!カルデアのセキュリティガバガバなんじゃけど!」と突っ込まれた。喉が渇いたノッブは駒姫が点ててたお茶を飲もうとするが、大量の砂糖が入れられてスライム状になっており、甘党のノッブですら気を失うレベルであった。駒姫曰く「わたくし、利休様のお茶、常々苦すぎると思っておりましたので、甘くしたらどうかと」との事。
これは拙い……、いかに融通無碍が茶の湯の極意とは言え、この点前は頂けませぬ。
一度は駒姫の体を返して退去したはずの利休も何故か彼女の体へ戻っており、彼もまたカルデアに来ていた。境界の地で散々暴れた黒幕がしれっとカルデアに来た事に対し「流石にこれはないじゃろ、ふざけんな利休!どの面下げて来てんのお前」とノッブが激昂するも、彼は涼しい顔をしながらカルデアに非礼を詫びたい気持ちから駒姫に一杯お茶を点てさせたと語る。だが彼女が点てたのは砂糖まみれのスライムだったため、「斯様に残念すぎる点前の茶、この利休、我慢がなりませぬ」「このような茶を野放しにしたまま去りまするは、この利休、死んでも死に切れませぬ」と痛罵し、駒姫は「それはあまりの言いようにございますよ、利休様」「駒はマスター様に甘くておいしいお茶を飲んで頂こうと……」と反論するも、駒姫がマスターが飲むに足る茶を点てられるようになるまで厳しく指導する事が決まる。「ありがた迷惑にございます、利休様。それでは駒はカルデアを満喫できな…」窮した駒姫はマスターに助けを求めるも、利休の肩を持ってしまったため「け、けっぱるしかないのでございましょうか」と諦観混じりに覚悟を決めた。
今度は森長可が現れ、茶々と鶴松を虐げた事から槍で一突きされかけるも「その御言葉、誠に筋が通っておりまする」「であればその槍、この利休に遠慮のう賜り下さいませ」と甘んじて受け入れる。肝の据わった言動に長可は感服、実は彼もまた茶々に槍を突き立てていて、利休を処罰するなら自身も処罰されなければ筋が通らないと主張。マスターと茶々に自分の顔に免じて利休を大目に見てくれと懇願した。利休が刺されると駒姫にも突き刺さってしまうが。次に駒姫が来ていると聞いた壱与が挨拶するため来訪。マスターから許され、非礼を詫びる姿勢を見せてもノッブから終始疑いの目を向けられており、壱与の力で利休だけ消し去ろうと提案するが、壱与から「極悪茶の湯女子も要は使いよう」とフォローされて事なきを得た。
こちらは『新邪馬台国』のストーリーパートをすべてクリアしたのちに現れるぐだぐだイベントに付き物の後日談ストーリー。
当然『新邪馬台国』のネタバレを盛大に含んでいるので、記述のほとんどを折り畳む。
『新邪馬台国』の後、利休の手ほどきを受けて茶道の鍛錬を受けていた駒姫。金の茶室にて自身が点てたお茶をマスター達に振る舞うも、マスターは口を閉ざし、ノッブからは「うーん、不味い!」とド直球に言われてしまう。「この方を地獄送りにしてもよろしいでしょうか?」と静かにブチギレる駒姫であったが、ノッブ曰く「逆にどうしたらここまで不味く点てられるんじゃってレベルじゃぞ、これ」と追撃を受ける。材料と茶器は利休が見立てた一級品を使用し、ちゃんと彼の指南通りに点てているはずなのに、駒姫が点てると何故か非常に不味くなるようだ。これにはさすがの利休も「いかに駒姫様が茶の湯下手とはいえ、そこまでまずうなるはずがないのですが」と首を傾げた。諦めた駒姫は自販機から「え~いお茶」を購入しようとした矢先、山南から「一度は崩壊したはずの新邪馬台国が今日になって再度観測された」と急報がもたらされる。
モニターに映し出された映像は確かに新邪馬台国であった。何故か黒い泥がお茶になっていて霊基を侵食する毒は検出されなかったが…。困惑するカルデアの面々の前に、謎の茶人Xを名乗る人物から通信が入り、最強の茶人を決める北野大茶湯武道会の開催を宣言。北野大茶湯は安土桃山時代に京都の北野天満宮で行われた大規模な茶会の事だが、武道会の部分はマシュを以ってしても分からなかった。ともあれ謎の茶人Xから挑戦状を叩きつけられる格好となったカルデア軍団。しかし彼らの意欲は総じて低く、一時は参加を見送ろうとするも、優勝賞品に聖杯をお茶に漬けた聖茶碗を提示された事でやむなく参加を決める。
利休曰く北野大茶湯武道会とは北野天満宮の地下にある茶の湯武道会場にて「日の本一の最強茶人」を決めるための大会らしい。茶人同士の戦いでありながら生命に危機が及ぶほどの激闘に発展、10日間行われるはずの日程がケガ人続出で2日に短縮されたという。参加するにあたって利休が適任と思われる中、当の本人は「私は既に現役を引退した身、此度、新たに開かれる茶の湯武道会においては、若き茶人達に新たな茶の湯の未来を切り開いてほしゅうございます」と拒絶し、彼はマスターを指名する。だがさすがにマスター単身で特異点へ向かわせる事は出来ないと山南が指摘。マスターには利休が推薦した若き茶人を同伴させる事とした。その若き茶人とは――なんと駒姫だった。まさかの指名を受けて困惑する駒姫をよそにロリンチがレイシフトの準備を整え、有無を言わさず飛ばされた。こうしてお茶の修行がてらカルデア軍団と駒姫は新邪馬台国へ向かったのだった…。
続編にあたる『ぐだぐだ大茶の湯武道会』は差し詰め駒姫主役のイベントと言えるほど出番が多い。名目上は茶の湯の修行としながらも、ぐだぐだイベントだけあってハチャメチャに進行する。
「達人と達人」では、わびさびの里にある隠れ草庵にて利休と李書文が相対していた。水を打ったような静けさの中、両者は微動だにせず睨み合う。先に動いたのは利休だった。差し出された茶碗を手に取って茶を味わう李文書。茶聖と謳われた利休の腕前はサーヴァントになった後も全く衰えず、「……旨い。これほど旨い茶であれば、たとえ毒でも構わんというものよ」と高評価を引き出した。旨い茶を振る舞って貰った礼として李文書も一手馳走すると言い、利休から「駒姫様、存分にかの御仁の拳、ご堪能下さい」と暗殺拳を駆使する李書文とバトルする羽目に。これには「駒はか弱い女子にございますれば、というか拳て」「ま、マスター様!こ、駒はこういう荒事は専門外でございましてですね!」と決死に反論する駒姫であったが、「ええ、この一手、茶の湯のみならず、必ずやマスター様のサーヴァントとして、駒姫様の血肉になりますゆえ」と強引に押し切られて無理やり戦わさせられる。サーヴァントとはいえ姫と暗殺のプロを戦わせる鬼畜の所業である。一応マスターの支援もあって何とか勝つ事は出来、サーヴァントとして貴重な体験を得た。
「帰ってきてオルタちゃん」では、いつの間にか沖田オルタの精神世界なる謎の空間に閉じ込められる。代わりに主人格となっている煉獄オルタ曰く、聖茶碗の力の影響で沖田オルタが心の奥底に隠れてしまい、ここから脱出するには彼女に覚醒してもらうしか無いとの事。茶々が食べ物で気を引こうとするが効果なし。ノッブの提案で楽しげな事をやって興味を誘う事とし、とりあえず駒姫、水着ノッブ、ダンサー壱与で即席アイドルユニット「KAMAIYO是非もないバンド」を結成。しかしギターと琵琶がまるで合っていないせいで不協和音となり沖田オルタの自己防衛システムの暴走を招いてしまう。やむなく自己防衛システムを倒してリソースを削り、沖田オルタを外へ引っ張り出す事に。強引な展開に「ところでこれでよろしかったのでしょうか?」と疑問符を浮かべる駒姫に、壱与は「ぐだぐだ、というやつです!」と説明するのだった。6体の沖田オルタから一斉に襲われる異常事態に見舞われたが彼女を叩き起こす事には成功している。
「お茶漬けの鉄人」では、虚ろな荒野で「お茶漬けにはたくあんだ」だと叫ぶ土方歳三と遭遇。総司が呆れる一方、駒姫は「わたくしの時代は湯漬けといえば湯をかけるだけでしたが、今は湯漬けにもいろいろな種類があるのですね」と率直に感想を述べるが、茶碗にたくあんを積み重ねていく彼に「さすがに載せ過ぎではありませんか?ほら、塩分過多でお目々が真っ赤に」と諫める。しかし土方はまったく聞く耳を持たず、むしろ「俺こそが、たくあんだ!」と暴走の度合いを強めていく。あまりの異常さに山南が様子がおかしいと思い、駒姫も「これはまさか聖茶碗の力で、狂戦士ならぬ狂茶人になっておられるのではないでしょうか?」「お顔が明らかにやぼうございますし」と暴走の原因を推察。たくあん新撰組なる謎のちびノブを率いて襲ってきた土方をどうにか撃破して事態を終息させる。
「仁義なき茶の湯」では、暗黒佐和山城に開店していた才谷屋境界支店に来訪して坂本龍馬&お竜さんのコンビと出会う。茶を薦めるお竜さんに丁寧な応対をする駒姫。何故か物理的に浮いているお竜さんに「こちらの方、浮かれておりますが一体?」と問いかけ、「お竜さんだからな。そういうおまえもなんか黒いのが下にいるな」と返された。どうやら『新邪馬台国』終盤で三成が工面した大量の茶は龍馬の力添えによるものだったらしい。三成の善政により輸送に多くの住民が協力してくれたらしく、三成もまた祖獣撃破に貢献していたと言えるだろう。続いて借金のカタに強制労働させられていた岡田以蔵と遭遇。三成がいなくなった後、密売茶を売りさばいて得た金で遊びまくっていた。「こちらの見るからにダメダメそうなオーラを纏われたお方は知り合いの方でしょうか?」と痛烈な感想を述べた。以蔵は謎の茶人Xから聖茶碗の力を与えられており、労働環境の過酷さから反逆するも、あえなく駒姫らに取り押さえられた。
「邪馬台お茶屋敷」では、雪山で死にかけて境界の地に落ちていた出雲阿国と出会う。生きていた時代が重なっているためか「貴方様がかの用命な阿国歌舞伎の出雲阿国様……、」「そのお噂は宮中にも響いておられたとか」「駒も是非一度、阿国様の歌舞伎、拝見しとうございました」と最初から知っている様子だった。その阿国に「そういう貴方様!阿国さんピーン! ときました!」「貴方様には類まれなるスターの片鱗が見えます!」と突如スウカトされ舞台へ上がる事に。しかし与えられた役は「バナナの皮で足を滑らせて井戸に身を投げたお駒が、最大最強の怨霊となって山南家を呪う」というホラーテイストなものだった。阿国から「まさにはまり役でございますよ!」と絶賛されるも、本人は悲恋のお姫様役をやりたかったらしく「わたくしがやりたかったのはこういうのではなくてですね……!」と不満を述べた。その割には何だかんだで最後まで役を貫き通している。
今回のバトルは怨霊茶姫と化した駒姫と(お芝居の中で)戦う事に。山南家を呪っている設定からか「山南敬助特攻」というピンポイントなスキルを持っている他、戦闘開始時に何故かいるお茶ノッブを取り込んで最大HPアップとチャージ2増加を行う。サポートの山南を入れると駒姫の火力の高さから殴り倒される場合が多いが、かと言って山南がいないと最初のターンに恐怖と攻撃力ダウン約30%を付与してくるため厄介。ブレイク後は攻撃時にHP1000減少(永続/解除不可)を掛けてくるので、長期戦になるとジリ貧に追い込まれる。阿国の見立て通り、駒姫はサーヴァントですら震え上がらせる程の高い演技力を持っていた。
「流星からのお客様」では、何故かノッブ、壱与、マスターとともに星降る砂漠を彷徨う羽目に。黒の装飾が多い駒姫にとっては堪える環境である。暑さから自販機で購入しておいたお茶を飲む事になったその瞬間、「主様にお茶を用意するのはこの蘭丸の役目!」と突如として蘭丸Xが登場し、「おや、こちらの……、こちらの……、この形容しがたくも可愛らしいお方は?」と評する。駒姫が生まれた翌年に本能寺の変が発生しているため面識が無いようだ。蘭丸Xはノッブのために遠い宇宙の果てから流星抹茶なる飲み物を買い込んで来たようだった。しかしその直後、空から光る物が轟音とともに落下し、マスターにかばわれる形で駒姫は地面に伏す。蘭丸X曰く落ちてきた緑色の巨人は太古の昔にサウザンド利休星を滅ぼしたと伝わる伝説の流星茶獣らしく、どうやら蘭丸Xが携えていた流星抹茶に釣られて追って来たようだ。ぐだぐだに加えてユニヴァース案件も混ざるカオスな状況ながら「カルデアの皆さまは本当に愉快でございますね」と楽しそうな表情を見せ、ノッブから「意外と肝が据わっとるネ!」と評価される。部分的とはいえユニヴァース時空にも片足を突っ込んだ駒姫であった。
「ぐだぐだ茶の湯日和」では、ついに全ての試練を乗り越えて北野大茶湯武道会場に辿り着いた駒姫一行。そこで待ち構えるは挑戦状を叩きつけてきた謎の茶人X。「貴方様はいったい何者なのですか?」という駒姫の問いを受け、謎の茶人Xは正体を現す――黒幕は初代大茶湯武道会王者スーパー千利休。今まで各地で戦ってきた刺客はスーパー利休が送り込んだものだった。彼は聖茶碗の力を使って己の肉体を手にしており、駒姫と利休は同じ体を使っているという先入観を逆手に取って舞台裏で暗躍していた訳である。駒姫の脆弱な肉体は用済みと言わんばかりに新しい身体でエセ茶人を一掃する野望を宣言する。…カルデアにはごひる抹茶ラテを始末するために。駒姫が毎日のように飲んでいる抹茶ラテをどうしても受け入れる事が出来ず、このような暴挙に至ったのだと言う。「と、とにかく利休様を地獄送りに……、するとわたくしも死んでしまうかもしれないので、」「死なない程度にお止めしましょう!」と最後の戦いに挑む。
ラスボスはまたしても千利休。BGMも『陸劫輪廻』のアレンジ、ただ祖獣戦ではカットされていた出だしの部分がちゃんと流れるようになっている。戦闘開始時に「茶の湯とは、斯くあるべし」を使用してコマンドカードチェンジをかけ、自身には特殊耐性アップ[Arts]、特殊耐性アップ[Buster]をかける。永続バフとしてアンチ抹茶ラテ・フィールドがあり、クイック性能向上及びクリティカル攻撃を受けると相手のスター発生率と集中度をダウンさせる。スーパーだけに祖獣戦の時よりもHPも倍増。一度ブレイクすると「守破離とはいえ、天地ほど離れすぎにございます」と抹茶ラテへの恨み節を言いながら自身に無敵(3ターン持続、3回)と毎ターンチャージプラスを付与。二度目のブレイクでは「おのれ……、抹茶ラテ!!」ともはや隠す気も無い怒りを見せながら強化解除を仕掛け、自身にはガッツと弱体解除を付与する。
ぐだぐだバトルの末にスーパー千利休は倒され、敗れた彼は「貴方様の茶で世界をお護りくだされ」と駒姫に茶を点てる事を望む。言われるがまま彼女はお茶を点て、そして見事にカルデア軍団や利休を唸らせるほどの美味しいお茶を用意してみせた。どうやら駒姫は美味しいお茶を点てようとするばかりに身も心も固まっており、それが不味さに繋がっていた様子。今回のハチャメチャ修行で肩の力が抜けて一人前の茶人へと昇華するに至った。北野大茶湯武道会というのも利休が仕組んだ方便だった。
とはいえ散々振り回されて怖い思いをした駒姫は怒り心頭。「やっていいことと悪いことがございます」「覚悟はよろしいですね、利休様?」と殺意を滾らせ、その様相は利休ですらマスターに助けを求める程だったが、マスターにも冷たく拒絶される。皮肉にも彼は凄絶な体験を経て鍛えられた駒姫の力をその身を以って味わう羽目となった。
最後は関係者全員でカルデア大茶湯を開く事に。宴会騒ぎをしている中、駒姫は離れた場所で一人佇み…。
本来、わたくしはサーヴァントとして成立しえない、か弱い霊基のサーヴァント。
そのわたくしがこのように楽しく心安らかな日を送れる日が来ようとは……。
駒姫様、誠に良いお顔にございます。このひと時こそが、まことの一期一会。どうかその笑顔、末永く心に留め置かれませ。
…………。ああ、そういう事でございましたか。早くに世を去ったわたくしを楽しませようとこのようなもてなしを。
これは拙い……、見透かされては茶の湯名人などと片腹痛うございますな。似非茶人などと人を笑う前に、未熟な己を見つめなおしましょう。
父上、母上……。国を出てから辛い事、悲しい事……。いろいろと……、そう、いろいろとありましたが、――駒は元気にやっておりまする。
この項では利休の内に潜んでいる少女について解説する。が、イベントのネタバレが多数含まれる上に、ゲーム内でもこの少女が表に出てくる第三再臨が最初は封印されているという扱いのため、この項も記述のほとんどを折り畳む。
利休の内側に潜むモノ、その名は駒姫。言うなれば利休と駒姫は二人で一人の仮面ライダーサーヴァントであった。言うなれば女性の体に男女が入り込んでいる状態。何かと暴走しがちな利休を抑えるブレーキ役を務める駒姫だが、自分がはっちゃける事もある。
本来であれば逸話も武勇も持ち合わせていない駒姫は単独ではサーヴァントと成り得ず、利休の力によって何とか貧弱な霊基を保っている状態。その割には「元気そう」とマスターに突っ込まれているが。カルデアへ来た事で霊基グラフに登録され、英霊の座から知識のインストールもされた模様。ちなみに聖杯のリソースを使用すれば利休と駒姫の霊基を分離する事も可能のようだ。宝具を使用すると利休と駒姫でそれぞれ違う専用BGMが流れる特別仕様。
『ぐだぐだ新邪馬台国』クリアで解放される霊基解放クエストをクリアすると封印されていた第三再臨が可能となる(イベント終了後はクエストに挑む必要はない)。第一と第二再臨は利休が主人格であったが、第三再臨では駒姫が主人格となって心身が一致する。再臨ごとに力強い姿となっていくサーヴァントの特性上、駒姫の形態が最も霊基が強くなっているとされる。
利休も駒姫も身長132cm/体重132kgとドラえもんみたいな体格をしている。その低身長は幼女と言われるイリヤスフィール(133cm)、ジャック・ザ・リッパー(134cm)、ナーサリー・ライム(137cm)よりも低く、逆に体重はバーゲスト(120kg)やイスカンダル(130kg)といった大柄な人物より重い。不自然な体重については諸説あり、秀次事件で斬首された者たち39名分の首の重さの総計、または取り込んだ怨念の総計などが挙げられている。ただ駒姫は下半身が異形化しているため壱与より0.5頭身ほど高く、壱与が155cmなのを加味すると異形化した姿の身長は約160~170cmほどになると推測できる。
『新邪馬台国』にて長い年月をかけて無数の亡者の魂を利休の体に塗り込み練り上げてきたため、境界の地の全てを混ぜ合わせた『黒』の力を有する。この『黒』は神代の生き残りである祖の獣を呼ぶ贄になる他、一介の茶人に過ぎない利休に戦えるだけの力を与えた。壱与曰く『黒』の力は祖獣から流れ出る血でもあり、亡者の魂を凝縮した「死の穢れ」という概念そのもの。その実力たるや沖田、斎藤、山南の三人を同時に相手出来るほどで、斎藤は「にしたって、僕ら三人がかりで足止めが手一杯とは無敵の剣が泣きますよ」と実力差を嘆き、ノッブは「あの利休の……、奴が纏っていた魔力……。見た感じ今まで戦った奴の中でも、かなりやばそうな雰囲気じゃぞ」と評した。
利休と霊基を共有している駒姫も同様に『黒』の力を自在に扱える。戦闘時に現れる巨大な謎の手は差し詰め『黒』の力の具現。巨躯を誇っている割には高く跳躍出来たり、素早く動けたりと意外な機動力を発揮する。ビームを撃ったり、弥陀の剣を振り回したりとサーヴァントなのに明らかに生前より強くなっている気が…。
クラスがアヴェンジャーではなくバーサーカーになったのは、茶人と姫という戦闘に向いていない彼らの能力を底上げする必要があったからと思われる。2人には狂化(寂)が掛かっており、ランクは計測不能を示すEX。通常の狂化とは異なる仕様のためか生前の知能を維持したまま戦闘能力の向上に成功している。
狂化+境界の地で彷徨っていたほぼ全ての霊魂+神代の産物たる祖獣の黒き血という徹底的に強化を重ねた結果、非戦闘員ながらサーヴァントに匹敵する強さと霊基を獲得した。キャスターでもないのに陣地作成(侘):Aも持っており、どこでも自身の茶庵を作り上げる事が可能。『新邪馬台国』では利休の手で臨時の活動拠点として「GO庵」を拵えて空気中の毒から身を守っている。宝具使用時にも使用され、利休の場合はエネミーを茶室に閉じ込め、駒姫の場合は自身を巨大化してエネミーを茶碗に沈める。
悲惨な最期を遂げた事から駒姫のバトルグラや立ち絵は悉くホラー。足元には血だまりが広がり、着物が「死人合わせ」を意味する左前、宝具のレア演出では血涙を流す、腹部の帯にある切腹の傷跡らしきものから流血、死に装束を意味する縦結び、自身の首を落とした弥陀の剣を武器とし、首元には斬首の跡と思われる傷、宝具使用時には首元から流れ出た血を茶碗に溜めて敵を沈める、完全に異形と化した下半身、振り袖の先が椿の木に変じているなど「死」や「不吉」を思わせる要素の集合体。まるで椿の木と一体化してしまったかのような容姿をしているが、かつて最上領があった宮城県では庭に椿を植える事を縁起が悪いとして忌避する風習があり、同じく旧最上領の山形県では女に化けた椿の木の怪談(椿女)が残っているなど接点らしきものが確認できる。出るゲーム間違えてませんか?ただ同じく宝具のレア演出に顔を赤らめている可愛らしいものがあったり、台詞の端々も少女らしさを秘めた可愛さがあったりと完全な怨念の具現ではない様子。
駒姫の下には黒き巨大な両手が控え、彼女の手の動きに合わせて駆動し敵を打ちのめす。デコピンや百人一首の札を取る手ビターンのように可愛い攻撃を行う一方、首絞めで鮮血を撒き散らす、彼女が持つ琵琶を引きならすと敵が切り刻まれて血が飛ぶといったグロい攻撃もある。やっぱりホラーじゃないか!
攻撃技の一つである百人一首の「天つ風~」は平安時代の歌人僧正遍昭が詠んだ歌「天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめぬ」(天に吹く風よ、吹いて雲の通り道を閉ざしておくれ。天女の姿をしばらく地上に留めたいから)が元ネタ。もう一つの「ちはやぶる~」は「千早振る 神代も聞かず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは」(神代の昔でも聞いた事が無い。龍田川の水の流れを深紅にくくり染めにするとは)が由来となっている。
東国一の美女として最上家に生まれ、大切に愛されて育ってきた駒姫。その彼女を豊臣秀次が見初めて側室に迎えたいと要請を出した事で彼女は生まれ故郷の出羽を出て上京するが、そこで待っていたのは斬首というあまりにも惨い最期であった。未練を残した死去した彼女は境界の地へ落ち、あてもなく彷徨う、消滅を待つだけの魂に成り果ててしまった。
しかし幸か不幸か、同じく豊臣政権の横暴で命を落とした千利休と出会い、融合した事で英霊としての霊基を持つに至った。利休が駒姫と融合したのは彼女自身が豊臣家の罪の象徴であり、秀吉に対する強烈な当てつけをするため容姿を利用したい目的があったと考えられる。こうして駒姫の容姿を獲得した利休は蹂躙された声無き者のために豊臣政権の関係者を陥れようと活動を開始、ニライカナイの地にて駒姫と体を分けた。
三成陣営に協力するふりをして近づき、クコチヒコと祖の獣を復活させるまで協力関係となる密約を結ぶ一方、境界の地を彷徨っていた明里の魂を捕まえて人質にする事で山南敬助を無理やり三成陣営へ引き込み、カルデア軍団にも「GO庵」とお茶を提供してその動向を制御、カルデアに通信を入れて茶々が来るように仕向け、加えてクコチヒコの裏切りを予測して祖の獣を倒す手段となりうる獣の剣を彼ごと体内に取り込むなどバーサーカーとは思えない智謀を以って全ての人物を振り回す。
彼の最終目標は神代の生き残りである祖の獣を入手して静寂と黒が支配する『黒けき世』を現世まで拡げ、争いを根絶する事だった。ただ豊臣関係者に対する怨念を完全には隠し切れていなかったようで、三成陣営にはわざと不味い茶を提供していた模様。駒姫は新邪馬台国の中心地ニライカナイにて待機していたが、彼の視覚を通じてカルデア軍団や三成陣営の戦いを全て見ており、憐憫の念を抱いてか涙を流した。
利休に関しては「声無き自分の代わりに怒ってくれた」と感謝する一方、豊臣家復讐の妄執に囚われる彼を憐れに思ったり、茶の湯指導を若干疎ましく考えていたり、マスターと出羽へ里帰りする時は利休に旅費を払わせようとするなど、そのやり取りは孫娘と義理の祖父のよう。二人で一つの霊基を共有しているため頻繁に姿が変わる。ちなみに駒姫が主人格になっている時も彼女の視覚を通して利休も見ているらしい(逆も然り)。彼女曰く利休に抱えて貰わないと移動できないという。体重が132kgもあるため駒姫の筋力だけでは身動きが取れないからと推測される。とはいえ一日中琵琶を弾き続けるだけの体力はあるようで、何だかんだで常人よりスタミナがある。
一人称は「駒」、もしくは「わたくし」。14歳の若さで刑死した事からカルデアでの出来事は全て新鮮に見え、巨乳のような大人の魅力に憧れている。同じ『ぐだぐだ新邪馬台国』で初登場した壱与とは気が合うようだ。箱入り娘として育てられた経緯から上品さと、理不尽な最期を遂げたにも関わらず豊臣政権を赦す立派かつ寛大な心を持っており、まさしく人間の鑑。一時的に聖杯を手にしていながら私利私欲や復讐に駆られない辺り、見た目は異形の怪物でも中身は心優しき姫だと言える。
その一方、戦国乱世の生まれだけあって強かさや図太さも持ち合わる。温厚で優しい性格ながら怒らせると非常に怖く、いつもは主導権を握っている利休がマスターに助けを求める程。ただ若さ故に権謀術数の域にまでは到達していない。
またお家の都合で婚姻を強要される戦国時代の習わしを不服に思っているらしく、現代では自由恋愛が出来る事に喜びを感じている。史実では秀次の側室に迎えられるも、彼女が上京した頃には既に晒し首になっていて一度も言葉を交わした事が無く、それ故にマイルームボイス等で秀次に言及する台詞も一切無い。むしろお家の都合で結ばされる婚姻を不服に思っている辺り秀次との婚姻も不本意なものだったと考えられる。彼女が持つ琵琶には最上家の家紋が描かれている。豊臣家へ嫁入りに行く前に花嫁修業を行っており、その中に琵琶での演奏も含まれていた。サーヴァントになった後も演奏の腕には覚えがあるようだ。
生前は付けていないが、サーヴァントになった後は頭に椿の花の髪飾りを付けている。花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」。しかし「罪を犯す女」という花言葉もあり、また椿の花が散る時は花ごと首からポトッと落ちる。一方で椿の一種である侘助(わびすけ)は茶室に飾られるために栽培されている茶花。駒姫が身に付けている椿の花もこの侘助と思われる。
マスターの事は「マスター様」と呼ぶ。絆レベルが低いうちは(ひ弱な見た目という事もあり)「あまり駒を見ないでくださいませ」とやんわり拒絶するが、絆を深めていくと次第に本当の自分を見せるようになる。絆Lv5に達するとマスターと過ごす何気ない日々が幸せだと言い、いつまでも傍に置いて欲しいと願うように。その際マスターの名称が「あなた様」になって顔を赤らめる。『新邪馬台国』終了後の限定ボイスでは「わたくしにとっては、この地にてマスター様とお会いした事が何よりの宝にございますので」と語る。リア充爆発しろ。また誕生日ボイスではマスターのために琵琶を一日かけて弾いてくれる。
ちなみに絆Lv5までの要求ポイントは最多の5万で、推移は6000-24000-15000-2500-2500とスカサハ、カルナ、エドモン・ダンテス、ニコラ・テスラ等が属するグループ。絆Lv2~3に大きな壁があるが、それを越えると心を許すのか一気に上がりやすくなる。
ファンアートでは作画カロリーが高めだからか、はたまた動かしづらいからか、異形化した下半身は描かれず人型になっている、あるいは簡略化されている事が多い。一方『コミックマーケット102』にてFGO公式が出したグッズの中に駒姫の描き下ろしイラストがあり、そのイラストでは異形化していない、人間と同じ姿で描かれていた。どうやら人間の姿にもなれるらしい。
詳しくは「駒姫」の項を参照。
安土桃山時代の1581年(天正9年)秋、東北地方を治める大名の一人最上義光と正室の大崎殿との間に生まれる。親戚には伊達政宗がおり、父義光は虎将と呼ばれる猛将、母方の大崎家の祖先はあの源氏、義光の妹で政宗の実母でもある義姫は座り込み抗議で伊達家と最上家を停戦させる豪胆なエピソードを持つなど、身内はやべーやつの陳列棚。もはや血筋だけでバーサーカーになれるレベル。最上義光の生涯を記した軍記『最上記』では何故か一切触れられていないものの、『成実記』や『会津四家合考』、『奥羽永慶軍記』、『最上物音』、『義光物語』には登場しているため実在の人物と見て間違いないだろう。年齢については数えで15歳、16歳、19歳と諸説あるが、『奥羽永慶軍記』や尊祐の記録では15歳としているため15歳(14歳)説が濃厚である。
『奥羽永慶軍記』によると、彼女が誕生した日に親戚関係にある少年時代の伊達政宗と義光が千歳山阿古屋の松を題材に和歌を贈答していた。義光は「恋しくば尋ね来よかし千年山 あこやの松に木隠るる月」と、政宗は「恋しさは秋ぞまされる千とせ山の あこやの松に木隠れの月」と詠んだ。大崎殿は政宗から贈答された和歌の中から「千年」の単語を取って名付けようとしたが、義光は安部貞任の娘千年は父母を滅ぼしたという事で縁起が悪いとし、現在の宮城県にある「御駒山のように美しく育って欲しい」と願いを込めてお駒と名付けた。義光は駒姫誕生を祝った連歌会の開催を決めるも、山形には連歌の出来る者がおらず、町人でも良いから身分を問わず連れてこいと奉行所に命じたが、それでも集まらず中止となった。ちなみにその翌年に本能寺の変が起きており、ギリギリながらノッブと同じ時代を生きていた事になる。父義光の寵愛を受けて駒姫はスクスクと育ち、そして名前に込められた願い通り美少女に成長。いつしか「東国一の美女」「双なき美人」と呼ばれるようになった。
1590年7月26日、小田原征伐に参加しなかったとして葛西家と大崎家は豊臣秀吉から領地の没収を受け、秀吉の側近こと木村吉清が取り上げた領地の統治を始めるが、成り上がり故に家臣団を律しきれず、領民に対する非法も相次いだ。これが遺恨となって家臣団の強い反発を買い、10月16日に一揆が発生(葛西・大崎一揆)。吉清がいる佐沼城を包囲した。一揆を討伐するため京都から豊臣秀次率いる討伐軍が遠征。現地の伊達政宗や蒲生氏郷、最上家も協力して翌1591年7月4日に一揆を鎮めるのだが、その際に母の生まれである大崎家が旧領復帰に失敗して衰亡する不幸に見舞われた。一揆討伐の最中、秀次が「最上義光の娘は美しい」との情報を得た。一説によると九戸政実の乱を鎮圧した後に秀次が山形城へ立ち寄った際、義光が駒姫に接待させた事で彼女を見初めたとしているが、山形城に立ち寄ったとする一次資料は無く、福島県福島市にある常光寺で祝宴を開いたとの伝承が残っているため伝聞だけで見初めた可能性が高い。ともあれ秀次は美人コレクターであり、大小名、百姓、寺社など身分の差別なく召し集めるノンケの鑑だったため、是非とも側室に欲しいと最上家に駒姫を嫁がせるよう要請。本来であれば最大勢力の豊臣家と縁が出来るので喜ばしい出来事。しかし父義光は駒姫を溺愛するあまり手放す事が出来ず、また美人を囲ってハーレムを築いている秀次のもとへ送っても駒姫が幸せになれるかは甚だ疑問であった。故に秀次の要求を一度は断ったが、彼から執拗に使者が送られてきたため「14歳になったら側室に送る」と条件を付けて遂に折れる。
余談だが、当時の記録である『成実記』と1662年に編纂された『会津四家合考』では秀次の強要ではなく義光から献上したとしている。かつて義光が京都へ赴いた際に秀次から厚意を受け、その恩返しとして良馬を贈った。駒姫もその恩返しの一環で贈られたのではないかと推測されている。一方、1700年代初頭に成立した『奥羽永慶記』では駒姫に魅了された秀次が執拗に側室へ寄越すよう迫ったとし、後年の『羽源記』と『羽陽軍記』が引用した事で現代においては強要説が通説となっている。つまり秀次が駒姫にしつこく言い寄った事は後付けの可能性がある。
残された短い年数、義光は豊臣家に出しても恥ずかしくないよう、駒姫に教養を叩き込んだ。この時、実母の大崎殿は人質として豊臣家へ出向いており、義光もまた1592年から朝鮮出兵の準備に追われ、両親に代わって和歌、芸、作法、仏教、茶道など様々な学問を教えたのが伊達家から戻って来たばかりの義姫であった。叔母から手ほどきを受けて教養を身に付けていく駒姫。義姫は天下人の秀吉にまで知れ渡るほど能と音曲に優れており、その影響か駒姫は琵琶の演奏にて才覚を表している。そして彼女が14歳になった1595年(文禄4年)6月、いよいよ出立の時が来た。義光は当時大変貴重だった絹や金糸で編まれた最高品質の打掛を駒姫に贈り、名残惜しそうに出羽から出ていく愛娘を見送ったのだった。1ヶ月後の7月初旬、駒姫は出羽を出て京都へ到着した。上京してからは「於伊満の前(おいのまえ)」と呼ばれ、聚楽第にある最上屋敷で長旅の疲れを癒やしていたのだが…。
ところがそこでは悲惨な最期が待っていた。秀吉に実子である秀頼が誕生した事で養子の秀次が疎ましい存在となり、謀反の疑いという適当な理由を付けて7月12日に彼を切腹へ追いやってしまったのである。更に彼の妻子や関係者にも粛清の魔手が迫り、まだ一度も秀次に会っていない側室候補の駒姫ですら例外ではなかった。駒姫は突然処刑を言い渡され、8月1日に他の側室の女性と遺書を書いたり、形見の品を整理したり、淋浴して身を清めた後に白装束へと着替えた。駒姫は山形から付き従っていた2人の侍女を呼び、父が贈ってくれた打掛を形見として託した。この打掛は無事山形まで持ち帰られたようで山形市の皆龍寺で保管されている。翌朝、7台ある牛車の2番目に乗せられて市中を引き回され、刑場の三条河原へと移動。たまたま上京していた岡崎上宮寺の住職円光院尊祐が牛車を目撃して「最上殿御子 おいま様 十五」「一条より京の町を引き回し、三条の河原にて御成敗され候」と記録している。
三条河原の刑場には大雲院の和尚が持ってきた秀次の首が晒され、石田三成と増田長盛が見届け人として三条大橋の西の土手に立っていた。立秋を過ぎて一ヶ月が経つと言うのに、この日の京都は厳しい残暑に見舞われている。やがて駒姫たちを乗せた牛車の列が近づいてくると「若君たちを害し奉れ」と下知。牛車から降ろされた側室たちは晒されている秀次の首と対面して涙を流し、つられて見物人や太刀取り、守護の武士まで涙した。だが生前の秀次と一度も顔を合わせていない駒姫は泣くに泣けなかったと思われる。その様子を見て三成と長盛は「見苦しいぞ、方々、早々に手を下せ」と急かして太刀取りが動き始める。処刑の時は刻々と迫っていた。
正午頃、まず処刑は秀次の子供から始まった。首根っこを掴まれて乱暴に引きずられた若君や姫君が刀で刺し貫かれてゆく。その惨たらしさは見物人さえ涙したという。続いて最初の側室が斬首され、10人の側室が殺された後、いよいよ駒姫の番が回ってきた。処刑前にも関わらず駒姫は常に冷静で居続け、西の果てにいるとされる極楽教主阿弥陀如来に合掌した後、「罪を斬る 弥陀の剣に かかる身の なにか五つの 障りあるべき(人は五つの罪を生まれ持っていると言うけれど、罪を斬る阿弥陀様の剣にかかる私は一体どのような罪を持っているの?)」(瑞泉寺縁起)、あるいは「うつつとも 夢とも知らぬ 世の中に すまでぞかへる 白川の水(これは夢なのか現実なのか…それさえもよく分からない世の中に長く住む事は無く、私はあの世に還るでしょう。白川の水のように)」(太閤記)と辞世の句を詠んで斬首された。時に1595年8月2日、享年14歳。凛とした最期は「幼い少女だが最期の時も落ち着いていた。さすがは大名の娘だ」「つぼめる花の如き姫君で、未だ幼かったけれども、最後の際も大人しやかであった(『出羽太平記』)」と記録されている。
目を覆いたくなるような処刑は16時頃まで続き、流れた血によって鴨川の水が赤色に染まった。彼女の死体は他の死体とともに穴へ投げ捨てられ、その上に「畜生塚」の石碑を立てられるという死体蹴りを喰らう。雑に処分されてしまった事で遺骨すら義光の手元に届かなかったが、専称寺の供養塔に遺髪が納められているため遺髪だけは戻って来たようだ。こうして子供5名、継室や側室34名が処刑となった。その日の夜、無情にも命を奪われた者たちを見て天が嘆いたのか、10日ぶりに京の町に雨が降りしきった…。あまりの凄惨さに見物に来た京人が「見なけりゃ良かった」と日記に綴ったり、「憐れなるかな、悲しいかな。かくも痛ましいと知っていたなら見物には来なかったものを」と後悔するほどだった。『太閤記』によると「今日の狼藉は無法窮まる。行く末めでたき政道にあらず。ああ、因果のほど御用心候え」と記した張り紙が夜のうちに辻々に貼られたという。当時の武家社会では男子はともかく女子は助命されるのが通例なのだが、秀吉はその通例を無視して妻子全員を処刑し、遺体の処理も考えられないほど不当かつ残忍なものだったため、見物に来た京人は勿論、周辺諸国にもショッキングな事件として伝わったのは容易に想像できる。遺恨による秀次派の決起を防ぐために徹底的な根絶やしを行ったように見えるが、実のところ古くから秀次の正室だった若政所と3人の子供は助命されて実家に返されており、殲滅したにしても中途半端である。石田三成、増田長盛、前田玄以ら奉行衆は「此度の処刑は全て秀次の謀反が原因」と説明した。
淀殿や他方からの助命嘆願を無視できず、秀吉が「鎌倉にて尼をさせよ」と早馬を出すも、ほんの一町(約1km)の差で間に合わず処刑されてしまったとするエピソードがあるが、これは後世の創作だとされる。あまりにも救いが無い駒姫の最期を憐れんだ人々が付け足したものと思われる。1615年以前に成立した作者不明の読み物『恨の介』に「おこぼ」という仮名で駒姫の最期が紹介されており、当時の人々にも駒姫の最期が知れ渡っていたと言えるだろう。
一方、故郷の出羽では義光と政宗も秀次に関わった事から嫌疑をかけられ、秀頼に忠誠を誓う血判書を書いた後、閉門蟄居(へいもんちっきょ。いわゆる自宅謹慎)をさせられていた。どうにかして処刑を中止させたい義光は「幼い上、まだ秀次とも見参していない」として寝食も取らずに関係者の邸宅を尋ね歩いて必死に助命嘆願を訴えた。髪を乱して涙を浮かべる彼の姿に誰もが同情の念を示すも、「太閤には逆らえない」と答えて成果は上がらず、心身ともに追い詰められた義光は持仏堂へこもって一心不乱に読経。もはや天佑神助にすがるしか無かったのである。時間を忘れてひたすら読経する義光であったが、いよいよ睡魔に負けて意識が夢と現の間を彷徨う。すると夢の中に助けを求める駒姫の姿が現れて一気に覚醒し、読経を再開。また睡魔が襲ってくるも、夢の中で駒姫を見るたびに意識が現実へ引き戻される。このような苦しいループは朝まで続いた。義光の血を吐くような助命嘆願を最も親身に聞いたのは徳川家康であった。彼は義光の想いを携えて京都に向かい、秀吉と謁見して処刑の中止を訴えたが、秀吉は「確かにその娘に罪は無い。だがな、親の地位身分で刑罰が左右するなら天下の政道は成り立たない」と拒絶。更に「駒姫のような美少女がいるなら何故ワシに嫁がせんのだ。よりにもよって秀次めにやるとは、とんだ阿呆め。それにワシは出羽が憎くてたまらん。あのたわけ(義光)は誰が国を統べているのか分からんと見える。娘の心配をしている場合か、次は最上一族を皆殺しにしても良いんじゃぞ?」と憎々しげに語った。それでも家康はしぶとく食い下がって「小娘(駒姫)の命一つで出羽の諸侯を飼い慣らせるなら安いもの。それに罪人とて係累の女子は助命するものではないですか。どうかご再考くだされ」と駒姫の助命を求めたが、「何度考えても同じ事。出羽の娘は殺す」「出羽が泣きわめくほど楽しいわい」と聞く耳を持たなかった。せめて娘の最期を知りたい義光は家来を京都へ送り、そして娘の死を知ると「過去の業にこそ(前世の行いによる罰か)」と一言だけ呟いたという。このように義光が助命嘆願を行った説もあるが、自宅謹慎していたため実際に出来たかどうかは怪しいとする声もある。
ともあれ駒姫の死という残酷な現実を知った彼は数日間水すら喉を通らなかった。大崎殿はショックのあまり2週間後に落命。不幸中の幸いだったのは間もなく嫌疑が晴れて閉門蟄居が解けた事くらいだった。後日、秀吉からの使者が来て「娘を死罪に行ったことを、きっと不快に思うだろうが、秀次が反逆を企てた以上は、やむを得ない事と思うべきである。こうなったからには、汝の罪科も許してやろう」と言い、義光は「有難き御上意」とだけ答えた。伊達政宗も「誕生の祝儀連歌の止むも不吉なり」と弔意を示した。伊達家一門の伊達成実が綴った『成実記』においては、駒姫処刑の責任は義光自身にあるとして「自分から娘を献上するという大名に見合わないやり方で世間を騒がした挙句この有り様、天下の嘲笑、尋常ならず(意訳)」と書き残しており、秀次からの強要が無かった根拠の一つに挙げられている。この一件で最上家は豊臣に大きな恨みを持つようになり、関ヶ原の戦いでは迷わず家康率いる東軍に付き、侵攻してきた上杉軍と交戦している。また義光は駒姫の死後に仏教へ帰依して専称寺を駒姫と大崎殿の菩提寺とし、駒姫が使用していた部屋を山形城内から境内に移築して度々一人で訪れていたという。部屋の板戸に描かれた鶴の絵に駒姫を重ねていたのだろうか。境内には参詣する時に義光が馬を繋いだ「義光公駒つなぎの桜」が残されている。
駒姫が無情の死を遂げた翌年の1596年9月、朝鮮出兵に起因する国交回復を行うべく明国からの使者が伏見城に訪れて秀吉と謁見。茶の席で医者の施薬院全宗(やくいんぜんそう)が点前に出ていたが、その様子を見ていた富田一白が「茶をもてなすにしても、小督の御方かお伊万の御方(駒姫の別称)の御点前なら、より一層の興趣があっただろうに」と評している。小督の御方とは『平家物語』に登場する宮中一の美人で、琴の演奏にも長けた人物であった。駒姫の気品さや容姿の美しさは往年の美人に並ぶ程だった訳である。処刑から16年後の1611年、高瀬川の掘削工事を行っていた角倉了以が荒れ放題だった秀次と関係者の塚を憐れみ、浄土宗瑞泉寺を建立して供養するとともに改めて墓を作った。このため駒姫の墓は京都の瑞泉寺と山形市の専称寺の二ヵ所に存在しているが、遺骨が納められているのは瑞泉寺の方で、専称寺では遺髪が埋葬されている。戒名は「諦雲院殿誓聴大姉」。
専称寺にある駒姫の墓は聖域扱いになっていたらしく、参詣者はおろか寺の僧侶すら立ち入らず荒れ放題となっていたという。少なくとも第二次世界大戦真っただ中の1940年秋頃までは草がボーボーだった模様。そのため数万羽のムクドリが墓所のケヤキに住み着いて騒音を撒き散らした事もあった。現在は綺麗に整備されてお参り可能。
潔白の身でありながら処刑されるという悲劇の運命を辿った駒姫だったが、その短い人生が祟ってかゲームやドラマに出演する事は少なく、知名度が高いとは言えない。
大河ドラマでは1987年製作『独眼竜政宗』にのみ登場し、当時12歳の坂上香織が演じた。また本作は駒姫が11歳の時に山形城を訪れた秀次を接待し、体を撫で回されるセクハラシーンを挿み、13歳で上京して秀次の側室となり、15歳で処刑された設定となっている。原作となった山岡壮著『伊達政宗』ではちゃんと史実をなぞっているにも関わらず何故か改変された。異聞帯か何か?子役の演技力に問題があるのか、駒姫が喋るシーンが口パクだった場面も。余談だが『独眼竜政宗』の最上義光は極悪人のように描かれており、某ホモビレベルの深刻な風評被害が広まって山形県民から抗議の声が上がった。
映画『関ヶ原』では処刑を知った義光が伊賀忍者を雇って処刑を失敗させようとするも、その忍者が取り押さえられてしまう。しかし処刑の描写は無いため駒姫が逃亡に成功したとも解釈出来る。書籍『駒姫 -三条河原異聞-』は駒姫を主役に据えた珍しい作品。本作の駒姫は清廉潔白として描かれている一方、自身を死へ追いやらんとする者たちと世の中の理不尽を憎み、強引に山形から引き出した秀次の事を「不憫ではあるが憎くもある」と怒りを抱くなど人間味ある部分も描写されている。
バレンタインを数日後に控えたある日、敬愛するマスターにチョコレートを贈るべく利休とともにバレンタインデーの重要性を再確認する駒姫。マスターの事を「意中の人」と喩えられて顔を赤らめる駒姫だが、バレンタインを戦の如き苛烈なものと捉えている利休に終始気圧され、箱入り娘ゆえ市販品のチョコで済ませようとすると心底失望されながら「やはり話になりませぬな、駒姫様。古来よりチョコレートは手作り、これに限りまする」と利休に諭される始末。チョコ作りを面倒がる駒姫は何かと言い訳をして逃れようとするが、チョコを作り上げるまで茶室から出られないよう利休に結界を仕組まれたため、「マスター様のため」と一念発起。利休を巻き込んでのチョコレート作りが始まった。
バレンタイン当日。茶室に呼び出されたマスターの前には手作りチョコではなく、何故か駒姫お手製の抹茶ラテが置かれていた。話を聞いてみると駒姫は確かに手作りチョコを完成させていたという。その味は利休さえも感服させるほどの奇跡的な出来栄えだった。
しかし、そのチョコレートを巡って「抹茶を添えて出すべき」と主張する利休と「抹茶ラテにすべき」と主張する駒姫、二人の意見が見事に対立してしまい、己の正しさを証明するべく実際に試食してみる運びとなるが、勢いのまま完食してしまったらしい。代わりのチョコを用意しようにも既にバレンタイン当日、そこでやむを得ずいつも駒姫が飲んでいる手製の抹茶ラテにチョコを散りばめただけの即席スイーツを出したのだという。いつも抹茶ラテを愛飲しているだけあって駒姫の点前は見事なもので、普段抹茶ラテを嫌っている利休でさえも「正直、抹茶ラテの点前に関しては、私も駒姫様に弟子入りせねばならぬほどにございます」と彼女の実力を認めている。利休も自身の失態を認めてふの焼きにチョコを塗ったスイーツを用意していた。何とも締まらないバレンタインとなったがマスターに喜んで貰うべく予定通り贈られた。
その後、利休は「それでは私はこの辺りで失礼いたします」「後はお若いお二人でお楽しみくださいませ」と自ら身を引き、駒姫の深層に意識を断って姿を消そうとするが、最後に利休はマスターと駒姫のために用意したプレゼントを見せた。それは『ぐだぐだ新邪馬台国』のラストで見た美しい風景――利休の心象風景を具現化したその風景を二人に贈ったのである。
マスターと二人きりになった駒姫は、当初は恥ずかしさと喜んで貰えるか分からない不安からバレンタインにチョコを贈るつもりは無く、またの機会にと日和っていたところを利休に「野に咲く花などいつでも愛でられるとお思いでしょうが、そうではございませぬ」「今日開いた花を愛でられるのは、今、このひと時だけにございます」「今の駒姫様のお気持ち、マスター様にお伝えくださいませ」「想いとは伝えるからこそ、想いとなるのです」と諭された事を明かした。利休はマスターと駒姫をくっつけようと背中を押してくれていたのである。その言葉に従い、幸せなカルデアでの生活を与えてくれたマスターに感謝の言葉を伝える。が、「やはりこれはあまり良いやり様ではございませんね」と利休を呼び戻し、「わたくしと利休様は、一心同体にございます」「であれば、マスター様とのこのひと時、わたくしと利休様が共にあってこそのひと時……」ともう一つの想いを伝えた。駒姫の行動は利休にとっても予想外だったようで少々困惑しながらも輪に加わって三人で特別なバレンタインを楽しむのだった。
ふふ……、今日という日は駒にとってかけがえのない大切な一日となりました。
本当に素敵な、楽しきひと時……。
はい……、――『一期一会』にございます。
利休&駒姫から贈られたバレンタイン礼装は「野に咲く花」。抹茶ラテを作る事に関しては利休も舌を巻くほどの才能を発揮する駒姫の、その腕前を遺憾無く発揮して作られた手製抹茶ラテ。横に添えられるは利休が作ったチョコを塗ったぬの焼き。二人からのもてなしである。
2023年7月5日より開催された塔イベント『ミスティックアイズシンフォニー』にて巨大樹15階のイベントに登場。『ぐだぐだ新邪馬台国』から実に約10ヵ月ぶりの登場である。どうやら森を踏破して巨大樹の中にまで入ってきたようだ。一面に広がる花畑から珍しい花を摘んで茶の湯に活かそうとする利休に対し、それは毒の花だとして全力で止めようとする駒姫のやり取りが見られる。また本イベントでは駒姫が茶室にモニターを置いてインターネットを嗜んでいる事が判明した。
駒姫が早く帰りたがっている所を見るに、彼女は暴走したシミュレーター室へ入るのに反対していた(あるいは室内からの早期脱出を望んでいた)と思われる。
『激走!川中島24時 ぐだぐだ超五稜郭 殺しのサインはM51』にてチョイ役として登場。レイドイベント時のマップ上に利休のちびキャラがおり、超五稜郭が落下する川中島へ向かうため今魔川軍と交戦するカルデア軍団や武田軍を支援していた模様。
おまけイベント『実録!ぐだぐだ今川埋蔵金の謎 魔甲斐フィーバー777』では「山ガタガール」で登場。
ネットでキャンプ動画を見た駒姫が「実際にやってみたい」と言った事がきっかけで、特異点へ行く事になった利休と駒姫。そこでのんびりキャンプを楽しむはずが、利休によって本格的なサバイバルと化してしまい、登山の途中で疲れ果てた駒姫はたまらず音を上げてしまう。そんな中、偶然通りがかったマスターが2人を発見。疲労で一歩を動けないと訴える駒姫、その駒姫を急かして動かそうとする利休だったが、その際に思わず埋蔵金を探しているとウッカリ口を滑らせてしまう。特異点には今魔川軍が遺したとされる埋蔵金の地図が出回っていたのだ。
利休の真の目的を知って駒姫は激怒。霊基を共有している関係上、利休を攻撃すれば駒姫にもダメージが行ってしまうも、それを承知の上でマスターに利休のお仕置きを依頼。疲れ果てた体を使って戦闘開始時に1ターンのみ利休をスタンさせてくれる。こうしてマスター率いるサーヴァントによって利休はお仕置きされるのだった。
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22 ななしのよっしん
2022/10/18(火) 17:08:26 ID: g0P2EFUqkT
23 ななしのよっしん
2022/10/20(木) 21:51:09 ID: VVQ17kHJFZ
確かに大百科の名にたがわぬ詳細をつらつら書いてて凄いと思うよ
もうFGOやらなくてもいいくらいだもの
24 ななしのよっしん
2022/11/19(土) 01:04:50 ID: u7TvrifBNJ
>>16以降で要望があったので、とりあえず折り畳み導入
あと、最初は上の方にあったステータスなどが下に追いやられてて構成がおかしくなっていた(『史実』の項の中に入ってた)ので、上の方に復帰。
折り畳みの中身は削ってないけど、普通に(Fate)なしの記事に書けばいいのではと思える部分も確かに多かった
そのままコピペと言うわけにはいかないので調整は必要だろうけど、(Fate)なしの記事に移動してこの記事からは消してもいいかもね
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/23(土) 04:00
最終更新:2024/11/23(土) 04:00
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