2022年競馬レース回顧 とは、2022年に起こった競馬の記録である。
2022年も競馬界に様々な記録が誕生いたしました。
そんなレースを改めて振り返る記録集として記事作成しました。
誰でも加筆修正が可能です。
「競馬の伝説のレース集」の記事に掲載するレースの検討にもご利用ください。
ホープフルステークスおよび皐月賞と同条件で開催される3歳GⅢ。ホープフルSから間が空いていないこともあり、クラシック前哨戦の3歳重賞の中でもあまりパッとしないレースであるが、今年は1頭の珍名馬が話題を攫った。昨年秋の珍名馬祭りの中で1勝クラスの百日草特別を勝ち、前走ホープフルステークスでは11着に敗れていたオニャンコポンである。
前走の大敗や間隔の詰まりもあって、メンバー唯一の2勝馬ながら6番人気に留まったオニャンコポンだったが、これまでの先行策から一転、道中は中団に抑えて後半で一度後方に下げるというレース運びで大外に持ち出し、直線で馬群を一気に差し切って1着でゴール。
12年前に父エイシンフラッシュが勝ったレースで、父に産駒中央重賞初制覇をプレゼントする親子制覇。馬名の直接の元ネタであるアニメ『進撃の巨人』の公式Twitterが反応したりと、珍名馬としての話題性も含めて一躍2022年クラシック世代の注目馬の一頭となった。
上記のGⅢ京成杯(およびGⅡ日経新春杯)と同日に行われた中京8R。本来は特になんということもない3歳1勝クラス、芝2200mの条件戦だったのだが、このレース、事前の想定出走馬が4頭しかおらず(登録自体は9頭あったが、うち5頭が同日の京成杯とのダブル登録で、京成杯がフルゲート17頭に17頭登録だったため5頭とも京成杯に向かうものと思われた。しかも特別競走なので直前の追加登録は不可)、中央競馬では最低でも出走登録馬が5頭いないとレースを開催できないため、危うく2009年9月13日の新潟4R以来13年ぶりの不成立となるところだった。
小銭稼ぎに定評のある森秀行厩舎が京成杯予定だったハナキリをこちらに回して5頭立てでレースが成立したのだが、なんと直前に1頭放馬して競走除外。結果、2012年8月4日の札幌5R以来9年半ぶり、特別競走としては2001年10月7日のアイビーステークス(2歳OP)以来20年3ヶ月ぶりとなる4頭立てでのレースとなった(最終的な出走登録時点で5頭いれば、その後に除外等があっても競走は成立する[1])。
4頭しかいないので現地実況が言うことがなくなり鞍上のフルネームに血統や近走の成績まで丁寧に紹介するのんびりしたレースとなったが、レース自体は最後はアタマ差の接戦となりつつも順当に人気順で決着。ワイドは全て100円元返し、3連複110円は史上最低配当記録タイ、そして3連単270円は従来の330円という記録を更新し堂々の3連単史上最低配当記録となったのであった。
格付けはG3だがとある馬の出走に注目が集まっていた。癖馬メイケイエール。カレンモエに続く差のない2番人気で、彼女がまともに走れるかにかかっていた。というのも、ここ8戦一度も折り合えてなかったからだ。前走のスプリンターズS(GI)で池添謙一騎手で4着になって能力の高さは示していて、引き続き池添鞍上で2022年の初始動となる。1番人気のカレンモエは快速牝馬カレンチャンの子で重賞2着3回と善戦ウーマンだったがこちらも初重賞制覇を満を持して臨む構えだった。
内枠になったメイケイエール鞍上の池添は腹をくくったとレース後語ったが、好スタートを見せ、逃げるビアンフェとジャンダルムを見る3~4番手で折り合っていた。こうなると素質馬メイケイエールは止まらない。直線で抜け出すとシャインガーネットなどが迫ったが1馬身追撃をを許さず重賞4勝目約11か月ぶりの優勝を飾った。この日のSNSではメイケイエールと池添への賛辞がやまなかった。
1年で最初に開催されるGⅠ級レース。ドバイワールドカップへのステップとして出走してきたチュウワウィザードが実績でも完全に頭一つ抜けており、単勝1.2倍という圧倒的1番人気に支持される。
レースはサルサディオーネがいつも通りに逃げを打ち、昨年の覇者カジノフォンテンがそれをぴったりマークして追い、チュウワウィザードは5番手にどっしり構える。3コーナーでサルサディオーネが早くも力尽きて後退、カジノフォンテンとエルデュクラージュが並んで抜け出したが、チュウワウィザードは直線で抜群の手応えで2頭をあっさりかわすと、あとは後続を突き放す一方。圧倒的な支持に応え、格が違うとばかりに4馬身差で圧勝、GⅠ級4勝目を挙げた。
実績充分の圧倒的1番人気が当たり前のように圧勝した……ぶっちゃけそれだけのレースではあったのだが、このあと上半期に行われたJRAおよび地方の平地GⅠ・JpnⅠレースは1番人気が全敗。他に1番人気で勝ったのは中山グランドジャンプのオジュウチョウサンだけで、結果的にチュウワウィザードは2022年上半期で唯一の1番人気平地GⅠ勝利馬となった。
前年はラヴズオンリーユー、前々年はクロノジェネシスが始動戦として勝利するなど勝ち馬に怱々たる顔ぶれが並ぶ伝統のGⅡ戦。1番人気は前年のオークス馬ユーバーレーベン、他に菊花賞1番人気13着から復活を期すレッドジェネシス、中山金杯を勝ったレッドガラン、前年の天皇賞(秋)とジャパンカップを連続で4着と好走したサンレイポケットといったあたりが人気を集めていた。
そんな中、スタートから果敢にハナを奪いにいったのは13頭中12番人気のアフリカンゴールド。2年以上勝ちがない重賞未勝利の7歳騸馬、鞍上の国分恭介も重賞勝利は4年前が最後で今年に至っては平場ですら未勝利という実績ゼロに等しい人馬のコンビはノーマークをいいことにマイペースに逃げ、後続が先行したユーバーレーベンをマークして牽制し合うのを尻目に、脚色衰えぬまましてやったりの逃げ切り勝ち。
この勝利でステイゴールド産駒は17年連続重賞勝利、父サンデーサイレンスの記録に並んだ。
単勝51.5倍のブービー人気の逃げ切り勝ちで三連単68万馬券という波乱もさることながら、勝ったアフリカンゴールドがTwitterのアンケートで戦法を決めて勝ったことも話題を呼んだ(実際は2着に入った前々走の中日新聞杯から先行策で結果を残していたのだが、その中日新聞杯も同様に戦法アンケートの結果に近い形でレースを進めていたりする)。
2022年の最初のJRAG1のフェブラリーステークスはテーオーケインズやチュウワウィザードこそ海外遠征のため出走しなかったが、去年の覇者カフェファラオ、ダート1,600mの日本レコードホルダーのアルクトス、JBCクラシック優勝の地方の雄ミューチャリー、JBCスプリント覇者レッドルゼル、JBCレディスクラシック優勝のダート女王テオレーマ、前哨戦優勝のスワーヴアラミスとテイエムサウスダン、そして白毛の桜花賞馬ソダシとG1にふさわしい面子が揃った。
レースでは好スタートを決めたテイエムサウスダンがペースを引っ張りソダシがそれを追走する形で進み、直線で去年の覇者カフェファラオが直線でテイエムサウスダンとソダシを交わし、2馬身半差をつけて圧勝。コパノリッキー以来2頭目の連覇を達成した。テイエムサウスダンとソダシも粘り2着と3着という前残り、コースレコードタイの高速決着となった。鞍上の福永祐一は昨年末の香港スプリントの落馬事故による負傷から復帰後初GⅠをテン乗りで勝利。
また牝馬が馬券に絡んだのは、2001年のトゥザヴィクトリー以来21年ぶりのことであった。
日本時間2月26日夜~27日深夜にかけて開催されたサウジアラビアのサウジカップデー。当日行われる全8Rのうち国際競走の6レース全てに日本勢が出走し、うち4レースで日本勢が勝利するという日本馬無双、しかもその4頭全てがクリストフ・ルメール騎乗という空前絶後のルメール無双が展開された。
まずは1Rのネオムターフカップ(G3)をオーソリティで鮮やかに逃げ切ると、2Rの1351ターフスプリント(G3)ではソングラインで中団馬群から直線抜け出して押し切り勝ち。3Rのレッドシーターフハンデキャップ(G3)ではもう3年以上勝ちがない善戦マン・ステイフーリッシュで逃げの手を打ち、4馬身以上の差をつける圧勝。そして7Rのリヤドダートスプリント(G3)では地方帰りのダンシングプリンスで5馬身以上の差をつける逃げ切り大圧勝。
2022年に入ってから日本では重賞未勝利と不調が続いていたルメールだったが、1日で重賞4勝の荒稼ぎ。日本勢の大暴れに国内も沸いた夜であった。
なお、6Rのサウジダービー(G3)ではセキフウが2着、コンシリエーレ(ルメール騎乗)が3着。8Rのサウジカップ(G1)では引退レースのマルシュロレーヌが6着、テーオーケインズが8着に敗れた。
ここ数年大阪杯(GI)を見据えたレースとして好メンバーが集まる中山記念。この年は2年前の2歳チャンピオンのダノンザキッドが1番人気に推され、前々走で大逃げで福島記念を優勝したパンサラッサが2番人気に支持された。
レースではパンサラッサがハナに立つと、1,000m通過タイム57.6と驚異的なハイペースで爆走し、ついてきた先行勢を振り落として直線に入ったときには後方待機組はすでに手遅れ。最後まで2馬身1/2差のセーフティリードで逃げ切った。一方でスタートダッシュが付かなかったダノンザキッドは7着に敗れた。そしてこのレースでパンサラッサは伝説の逃げ馬サイレンススズカやツインターボの比較対象としてさらに注目を浴びるようになった。
GⅠ大阪杯の前哨戦となるGⅡ戦。共に大阪杯を目指すレイパパレとアカイイトという牝馬GⅠ馬2頭が参戦したが、1番人気に支持されたのは目下4連勝中の逃げ馬ジャックドール。上記のパンサラッサの活躍もあり、さらなる強い逃げ馬の登場が期待された。
ハナを切ったジャックドールは道中緩みのないラップを刻んで後ろのスタミナをすり潰し、自身は上がり3Fを全体3位でまとめるという、まさに強者の逃げを見せる。ほぼ完璧なレースをしたはずのレイパパレ、いつもより前目のレースをしながらきっちり追い込んできたアカイイトのGⅠ馬2頭を歯牙にもかけず、1:57.2のレコードを叩き出して5連勝、圧巻の重賞初制覇を飾った。
3月26日、UAEのドバイ・メイダン競馬場で9つのレースが行われたドバイワールドカップデー。このうち純血アラブ限定競走の1レースを除く8レースすべてに日本馬が出走したが、そこでも日本馬が大暴れした。
昨年ニュージーランドトロフィーを勝ったバスラットレオン、NHKマイルカップでは出オチをかましてしまい、以後勝利の女神から見放されていた。そんな彼が、ドバイの土の上で激走した。
押して先手を取り逃げを図ると、そのまま他馬を寄せ付けず、2着Desert Wisdom(英産/UAE調教)に1と4分の1馬身差つけて逃げ切り、久しぶりの勝利。2度目のダート挑戦、前回挑戦の武蔵野Sは13着という無謀とも思える挑戦で、2006年のユートピア以来2頭目となる日本馬での同レース勝利となった。日本では馬券発売が無かったが、英ブックメーカーでは単勝67倍がついたそうである。
レッドシーターフハンデキャップから転戦したステイフーリッシュ。このレースでステイフーリッシュは先行して内につける。直線で抜け出そうとしたところで、横から飛んできたのは5戦無敗、断然人気のゴドルフィン所有馬Manobo(愛産/UAE調教)。Manoboに一度は抜け出されるも食らいつき、ゴドルフィン絶対負かすマンだった父の血が騒いだか、残り100mで力強く差し返してゴール板に飛び込んだ。
前走の勝利まで4年近く勝ちがなかった善戦マンが、7歳にして海外で重賞連勝。しかも断然人気のゴドルフィン所有馬を差して勝つという、父ステイゴールドの黄金の旅程を継いだような勝利であった。
このレースは日本勢が惨敗した唯一のレースである。日本勢はラウダシオンが最先着の9着であった。
ダート 1900m 3歳 定量 北半球産55kg/南半球産59.5kg・牝馬2kg減
クラウンプライドは好位追走を選択。逃げるSummer is Tomorrow(米産/UAE調教)を残り100m手前あたりでかわし、そのままゴール板を駆け抜けた。2016年のラニ以来となる日本馬の勝利。新谷調教師は重賞初勝利、鞍上のダミアン・レーンはメイダン初参戦で勝利を掴んだ。
レッドルゼルは最後方からの競馬を選択した。直線コースに入るとSwitzerland(米産/UAE調教)は先頭に立つ。そしてどんどん突き放す。レッドルゼルは華麗な追い込みを見せるが1と4分の3馬身差の2着どまりとなった。3着のDr. Schivel(前年のブリーダーズカップ・スプリント2着馬)には半馬身差をつけた。
事前の予想通り、パンサラッサが逃げる展開に。普段の大逃げではなく一見すると普通の逃げ戦法であったが、例によってハイペース逃げである。4コーナーに差し掛かると彼とColonel Liamが引っ張る展開に。ほどなくColonel Liamがずるずると下がっていくと、後ろから上がってきたのは前年の覇者Lord North(愛産/英調教)と前年2着の日本勢ヴァンドギャルド。逃げるパンサラッサと猛追する2頭、最後は3頭が全くの横並びでゴールイン。カメラの具合では最後はパンサラッサが僅かに差し切られたようにも見えたが、長時間の写真判定の結果…
Lord Northとパンサラッサが同着1着、ヴァンドギャルドはハナ差3着となった。これによりLord Northは連覇を達成、パンサラッサは初のG1級レース勝利となった。タイムは1分45秒77と、これまでジャスタウェイだけが記録した1分45秒台を叩き出す決着となり、「令和のツインターボ」は「世界のパンサラッサ」となった。
芝 2410m、4歳56.5kg/5歳以上57kg・牝馬2kg減
日本の馬券販売ですらYibir(前年のブリーダーズカップ・ターフの覇者)が1番人気になるこのレース。ダービー馬は海外G1を勝てないというジンクスもあってか、シャフリヤールは4番人気であった。
シャフリヤールは逃げるオーソリティをぴったりマークする先行策をとる。残り100mでオーソリティを置き去りにすると、追い込んでくるYibirから逃げ切ってクビ差つけてゴール板を駆け抜けた。
日本ダービー勝ち馬として初の海外G1制覇。新たな歴史を創る勝利であった。
日本馬のチュウワウィザードは最後方からの競馬に。Life is Good(前年のブリーダーズカップ・ダートマイルの覇者で、今年もペガサスワールドカップでKnicks Goを下した馬)が前を行く展開に。直線でMidnight Bourbonを振り切るも、残り100m付近でCountry Grammer(米)につかまり、1着はCountry Grammer。
チュウワウィザードは最後方の絶望的な位置から追い上げ、Life is Goodをアタマ差かわして3着。敗れはしたものの、現役ダート世界最強格の1頭であるLife is Goodに先着したということで価値ある3着と言えた。
グランアレグリア、ダノンスマッシュらがターフを去り、ピクシーナイトも故障離脱中で大本命不在の混戦模様の春のスプリント王者決定戦。重賞未勝利のナランフレグは8番人気だった。
重馬場の内有利となったこのレース。ナランフレグは後方からのレースとなる。4コーナーを抜け直線に入ると内側から一気に追い込みをかけ、横に広がった馬群の隙間をすり抜けるようにゴール板直前で抜け出し、5番人気ロータスランドにクビ差つけたところがゴール板であった。1着から5着までクビ・ハナ・クビ・クビで、最後まで2馬身開いたところはどこにもなく、1着と18着とのタイム差は1.1秒という熱戦。3着に17番人気キルロードが突っ込んだため、3連単278万円という大波乱の決着となった。
ナランフレグはゴールドアリュール産駒として初の芝GI勝利となった。また、タマモクロスの血が入った馬でGIを勝利したのも(当のタマモクロスを除けば)初とのことである。人間側も、デビュー16年目の丸田恭介騎手、その師であり開業30年目の宗像義忠調教師、前馬主から彼を引き継いだ村木オーナー、生産者の坂戸牧場の全員が嬉しいGI初勝利となった。
昨年は伏兵レイパパレが連勝中の勢いのままに無敗三冠馬コントレイルと短距離女王グランアレグリアを打ち破ったこのレース。今年は始動戦となる昨年の年度代表馬エフフォーリアと、5連勝で金鯱賞を制した上り調子の逃げ馬ジャックドールの完全な二強ムード。現役最強馬が貫禄を見せるのか、同世代の新星がスターダムに駆け上がるのか……しかし、今年も伏兵が息を潜めていた。
ハナを切ったジャックドールにアフリカンゴールドが競りかけ、ハイペースで流れる展開。エフフォーリアは中団に控えたまま、馬群に揉まれて明らかに手応えが悪い。逃げるジャックドールも中2週とアフゴの競りかけで消耗したか、残り200mでレイパパレに捕まる。抜け出すレイパパレ。そこに外から襲いかかるのは、ここまで掲示板常連ながら重賞未勝利の善戦マン・8番人気ポタジェと、5勝全て小倉の小倉巧者・7番人気アリーヴォ! 最後は3頭横並びの競り合いになったが、押し切ったのは2頭の間をクビ差抜け出したポタジェだった。
ジャックドールは5着、エフフォーリアはまさかの9着に撃沈。大金星を挙げたポタジェは善戦マンを最高の舞台で卒業し、半姉ルージュバックが届かなかったGIの戴きを手にした。
クラシックの開幕を告げる牝馬三冠の第一戦。1番人気はチューリップ賞を快勝したナミュール、2番人気は2歳女王サークルオブライフ、3番人気は武兄弟タッグでの初GI制覇を目指すウォーターナビレラ。ここまでが単勝1桁台だが、1番・2番人気がともに大外枠と予想の難しい枠順。重賞未勝利のスターズオンアースは14.5倍の7番人気であった。
レースは抽選を突破して芝は新馬戦(11着)しか走ったことがなかった18番人気カフジテトラゴンが逃げて引っ張る形に。最初の800mは46秒8のペースで流れる。最後の200m手前付近まで先頭で引っ張ったカフジテトラゴンが失速するとウォーターナビレラとナムラクレアが前に出る。ほぼ完璧なレース運びをしたウォーターナビレラが完全に押し切る流れと見えたが、後ろで他馬にぶつけられながら父譲りの闘志を燃やして猛然と突っ込んできたのはスターズオンアース。ウォーターナビレラを一気に捕らえ、ハナ差かわしたところがゴール板であった。
このレースは1着から10着までどこも1馬身も離れていないという熱戦ぶり。スターズオンアースはフェアリーステークス・クイーンカップ連続2着からの初の重賞制覇をGI勝利で成し遂げ、ドゥラメンテ産駒は昨年の菊花賞馬タイトルホルダーに続いて2年連続のクラシック制覇となった。
昨年末、10歳にして中山大障害で復活を遂げたオジュウチョウサン。11歳となっても絶対王者の覇道はまだまだ終わらない。前走は斤量差か3着に敗れたが、他の馬と同斤量なら負けはしないと言わんばかりの衰えぬ走りを見せる。中団から徐々に前に上がっていくと、3コーナーと4コーナーの間で鞭が一発入った瞬間一気に脚色が変わり、抜け出したブラゾンダムールを捕まえると、直線での叩き合いで振り落とす、堂々の横綱相撲で完勝。
これにて中山グランドジャンプ6勝目、アーモンドアイに並ぶ国際GI9勝目。11歳での重賞制覇はJRA所属馬としては史上初。12歳で同レースを勝ったオーストラリアのカラジの記録も射程に捕らえ、絶対王者は自分自身を超えてゆく。
2歳11月の東スポ杯2歳Sから直行したイクイノックスをはじめ、有力馬の多くが直行ローテを組んだため実力差を見極める基準が少なく、近年稀に見る混戦ムードとなった牡馬クラシック初戦。1番人気は朝日杯FS覇者で凱旋門賞を目指すドウデュース、2番人気は共同通信杯快勝のダノンベルーガ、3番人気は前述のイクイノックス、4番人気はホープフルS勝ち馬キラーアビリティ、そして5番人気が札幌2歳S勝利のあと朝日杯FS5着、共同通信杯2着のジオグリフであった。
レースは好スタートから好位につけ、前目で馬場のいいところを上手く立ち回った同じ木村哲也厩舎の2頭、イクイノックスとジオグリフが直線で抜け出す。叩き合いの末に相手を振り落としたのはジオグリフ。後ろからは大外を回ったドウデュースらが追い込んできたが寄せ付けず、1馬身差で押し切った。
主戦のクリストフ・ルメールがお手馬被りでイクイノックスに回ったため、テン乗りで騎乗した福永祐一が完璧なレース運びで勝利に導き、木村厩舎は2頭出しでワンツーフィニッシュという最高の結果。母母母父ノーザンテースト・母母父サンデーサイレンス・母父キングカメハメハという社台・ノーザン系の歴史の詰まった牝系に掛け合わされた新種牡馬ドレフォンに、さっそくクラシックの冠を授ける勝利となった。
伝統の春の盾は今年こそのGI制覇を目指すディープボンド&和田竜二と、弟武史から引き継いだ手綱でGI初勝利が欲しい横山和生を乗せた菊花賞馬タイトルホルダーの2強ムード。ところがタイトルホルダーが16番、ディープボンドが18番と2強が揃って大外枠に放り込まれたため、ステイヤーズS・阪神大賞典と連続2着の1番アイアンバローズ、4連勝でダイヤモンドSを制した7番テーオーロイヤルがそれを追うという感じの人気となった。
レースはスタート直後に17番シルヴァーソニックの川田将雅が落馬するアクシデントの中、あっという間にハナを切りに行ったタイトルホルダーがすーっと内に切れ込んで悠然と単騎逃げに持ち込んだ。ディープボンドは4~5番手につける。向こう正面ではカラ馬になったシルヴァーソニックがタイトルホルダーのすぐ後ろについたこともあり、誰もタイトルホルダーに鈴をつけにいけないまま終盤へ。
2番手につけていたテーオーロイヤルはカラ馬が邪魔で外に振られ、その後ろからはディープボンドが必死に追ってくるが、タイトルホルダーの脚は全く止まらない。むしろ後ろをぐんぐん突き放し、なんと逃げ切りで7馬身差の圧勝。展開有利があったとはいえ、13秒台のラップは一度だけというハイペースで逃げて上がり3F最速の36秒4を叩き出し、上がり2位は4着ヒートオンビートの37秒0なのだから他の馬はどうしようもなかった。完勝である。
横山和生は念願のGI初勝利で、横山家は祖父・富雄、父・典弘に続いて史上初の親子3代天皇賞(春)制覇。天皇賞(春)での7馬身差逃げ切りといえば、父典弘が勝った2004年のイングランディーレ以来である。
またこの勝利で2021年クラシック世代はクラシック三冠を分け合ったエフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダーの3頭とも古馬GIを勝利。牝馬では2019年クラシック世代のグランアレグリア・ラヴズオンリーユー・クロノジェネシスの例があるが、牡馬では史上初の記録となった。
船橋ダート1600mの交流JpnⅠ競走。牡馬の実績馬が不在で、前走フェブラリーS2着のテイエムサウスダンが1番人気、前走マリーンカップを圧勝した牝馬ショウナンナデシコが2番人気。以下3番人気は昨年3着のインティ、4番人気は昨年の覇者カジノフォンテン、5番人気のフェブラリーS・ゴドルフィンマイル4着のソリストサンダーまで単勝1桁台という混戦ムードだった。
1枠1番から好スタートを決めたショウナンナデシコがハナを切って逃げ、テイエムサウスダンがそれをマークする展開。4コーナーでテイエムサウスダンが並びかけてきたが、ショウナンナデシコは直線でそれを難なく振り落とすと、外から追ってきたソリストサンダーを寄せ付けずに逃げ切り勝ち。
交流重賞となって以来、牝馬の同レース勝利は初(地方重賞時代を含めると32年ぶり)。そもそも牝馬が古馬混合ダートGⅠ級を勝つこと自体が滅多になく、中央・地方交流が始まって以来、GⅠ格付け前のホクトベガを含めても牝馬の勝利は史上7頭目。2015年チャンピオンズカップを勝ったサンビスタ以来7年ぶりの快挙であった。
アメリカ三冠の第1戦にして「スポーツの中で最も偉大な2分間」ケンタッキーダービー。今年は日本から、ダービー馬スペシャルウィークの直系(リーチザクラウン産駒)のクラウンプライドが、日本ダービー馬の血を引く馬として初めてこのレースに挑んだ(日本馬の挑戦は4頭目)。
レースは2番手につけたクラウンプライドをはじめ、先行勢がスプリント戦並の超ハイペースで飛ばす展開に。4コーナーを過ぎ直線コースを迎えると、飛ばしすぎた先頭集団が崩れていき、当然クラウンプライドも馬群に沈んでいく。そんな中後方にいたRich Strikeが一気に差し切って先頭を駆け抜けた。
このRich Strike、回避馬が出て出走できた重賞未勝利の補欠1番手。実績皆無、過去に勝ち馬が1頭しかいない大外20番、ベネズエラ人のソニー・レオン騎手はこのレース初参戦どころか国際グレード競走勝利経験すらない。買える要素はほぼ全く無く、現地では最低の20番人気(81.8倍)、日本の馬券でも19番人気(95.1倍)という超伏兵。単勝81.8倍はレース史上2番目の高配当となった。
よく荒れることでも知られる3歳マイル王決定戦。今年も人気が割れる中、人気を集めたのは朝日杯FS2着から直行した4番セリフォス、前走弥生賞5着ながらデビューから4戦連続上がり最速の11番インダストリア、シンザン記念を勝ちNZT2着ながら鋭い末脚を見せる1番マテンロウオリオン、そして前走アーリントンカップを勝った大外18番ダノンスコーピオンの4頭。
レースは他に目立った逃げ馬がいないため、前走NZTを逃げ切った13番ジャングロが間違いなく逃げると目されていたが、そのジャングロがスタートで盛大に出遅れ、6番トウシンマカオが逃げる予想外の展開に。中団につけていたダノンスコーピオンが残り200mでトウシンマカオを捕らえ先頭。内で食らいつくセリフォスを振り落とし、外から飛んできたマテンロウオリオンの追撃を振り切って1着でゴール板に飛び込んだ。
1着ダノン「スコーピオン」が2着マテンロウ「オリオン」に勝ったことで「星座馬券」「神話馬券」などと言われることに。1着は4番人気、2着は3番人気、4着は1番人気セリフォス、5着は2番人気インダストリアで上位人気がきっちり掲示板を占める、NHKマイルカップとしては珍しい堅い決着……ではなかった。直線でマテンロウオリオンを追いかけ、セリフォスをかわして3着に突っ込んだのは、なんとシンザン記念8着・アーリントンカップ11着の最低人気、単勝229.1倍の10番カワキタレブリー! 3連単153万馬券という、高松宮記念に次ぐ高配当となった。
2020年の京都ジャンプステークスでオジュウチョウサンの障害連勝記録を止めるなど障害競走で活躍してきたが、昨年の中山大障害、今年の阪神スプリングジャンプと2戦凡走が続き、引退も検討された10歳馬タガノエスプレッソ。中山グランドジャンプを回避しての休養を経て、鞍上にオジュウチョウサンの主戦・石神深一を迎え、中京競馬場で行われたこのレース(3900m)に挑んだ。
最初の障害(5号障害)を飛越すると、タガノエスプレッソはほどなく先頭に立ち、2周目に差し掛かるころには10馬身以上の差をつける大逃げを仕掛ける。この大逃げは最終コーナーを抜ける頃には2馬身差ほどにまで縮まるも、ワーウルフの追撃を最後まで半馬身凌ぎきって1着でゴール。障害重賞3勝目を挙げた。
タガノエスプレッソは2歳の2014年にデイリー杯2歳ステークスを勝っており、2歳重賞勝ち馬が10歳で重賞を勝ったのは史上初の記録となった。なお、タガノエスプレッソはこの後放牧中に故障し現役引退。この勝利が最後のレースとなった。
GⅡだがこのレースはある2頭の初対決に注目が集まっていた。
希代の癖馬にして同世代の牝馬メイケイエール(1人気)とリフレイム(4人気)。この2頭はこれまでもポテンシャルの高さを示しながら、レースに出ると暴走気質がある両馬であった。
レースではスタートからギルデッドミラー(6人気)が立ち上がってしまい大きく出遅れ、スタートダッシュに成功したリフレイムがレースを引っ張り、メイケイエールは中団やや後方から首を高く上げながら走行、折り合いが心配された。コーナーを回って最後の直線でいつもどおりリフレイムが外側に大きくヨレ、いつのまにか折り合っていたメイケイエールが馬群を割り先頭に立ってソラを使いながらもゴールした。
結果としては
1着メイケイエール(1人気)-2着スカイグルーヴ(2人気)-3着タイムトゥヘヴン(5人気)
と比較的固く収まった感じだが、このレースを見たファンからは
レース後の池添謙一騎手も「いやーキツかったです」と勝利騎手とは思えない疲労困憊の様子だった。
ここ2年はアーモンドアイ、グランアレグリアと頭一つ抜けた牝馬が前評判通りに圧倒したこのレースだが、今年は大混戦ムード。何しろ出走メンバーがGⅠ馬5頭、
と、マイルを走りそうな有力牝馬でいないのは直前に引退したアカイトリノムスメと安田記念に向かったロータスランドぐらいで、ほぼ現役最強牝馬決定戦と言えるメンバーが揃った。オッズも割れに割れ、1番人気レイパパレが4.1倍、以下5番人気デアリングタクトまで単勝一桁。ソダシは5.7倍の4番人気だった。
レースはソダシとレシステンシアが好スタートを決めたが、逃げ宣言の18番人気ローザノワールが押して先頭に出て宣言通り逃げる体勢。レイパパレ、ファインルージュ、デアリングタクトといった有力馬も前目につけて直線へ。ローザノワールが先頭で粘る中、残り200m手前から力強く加速したソダシが残り100mで一気に抜け出し、後続を寄せ付けず2馬身差で完勝。
ここ2戦はダートに挑んでいたソダシだったが、ここまで3戦3勝の芝マイルではやはり頭一つ抜けた力を示してGⅠ3勝目。純白の女王が久々にその輝きを見せ付けるレースとなった。
桜花賞を終えても相変わらず混戦ムードの牝馬クラシック2冠目。1番人気は桜花賞でも3着ながら強さを見せたサークルオブライフ、2番人気は忘れな草賞を圧勝し川田将雅が桜花賞馬から乗り替わったアートハウス。その川田に去られた桜花賞馬スターズオンアースは3番人気。10着に敗れた桜花賞の雪辱に燃えるナミュールが4番人気と、ここまで単勝1桁台。
出走前にサウンドビバーチェが放馬し(放馬した原因は、他の馬に蹴られたこと。これにより顔に怪我をしている)競走除外するアクシデント(オークスでは2009年のワイドサファイア以来)で発走が大きく遅れ、放送局によっては中継が途中で終わってしまうことに。
レースはサークルオブライフが出遅れ後方、14番人気のニシノラブウインクが大きく逃げる展開。直線に入って逃げ粘るニシノラブウインクに前目で進めたアートハウスや内から突っ込んで来たナミュールが迫る中、外から伸びてきたのが10番人気スタニングローズ、そしてそのさらに外からぐんぐん伸びてきたのが桜花賞馬スターズオンアース! 最後はスターズオンアースがまとめてかわして突き抜け、桜花賞までの勝ち切れなさは距離が短かったのだと言わんばかりの強さで堂々の二冠達成。
血統表にダイナカールとエアグルーヴ、フランスオークス馬スタセリタを持ち、叔母にソウルスターリングを持つオークス血統を証明するように、二冠馬の亡き父から牝馬二冠馬が誕生。桜花賞・オークスともテン乗りでの勝利は史上初となった。ルメールは意外にも今年のJRA重賞初勝利。なおサークルオブライフは12着に沈み、これでJRA平地GⅠでは昨年のホープフルステークスから1番人気10連敗となった。
入場制限が緩和され、6万人が集まった東京競馬場、世代の頂点を決める大一番。重賞勝ち馬コマンドラインが抽選除外となる層の厚いメンバーが揃ったが、人気は最終的に4頭に集まり、1番人気はダノンベルーガ。またも大外8枠18番に入れられたイクイノックスが僅差の2番人気、次いで朝日杯馬ドウデュース、皐月賞馬ジオグリフまでが単勝1桁台で、この4強が軸と見られたが、全員が6~8枠の外枠に回るというこれまた予想の難しい枠順となった。
レースは逃げ宣言のデシエルトが1000m58秒9のハイペースで飛ばし、外枠の人気どころは中団後方から後ろに構える展開。直線に入り2番手につけていたアスクビクターモアが抜け出すが、そこへ後方から外に持ち出したドウデュースとイクイノックスが猛然と伸びて馬群を一気にかわしていく。最後はこの2頭が抜け出し、前でレースを進めたドウデュースがイクイノックスの猛追をクビ差凌ぎきって栄光のゴールへと飛び込んだ。
タイムは前年のシャフリヤールとエフフォーリアの激闘が記録した2:22.5をさらに0.6秒更新する2:21.9という空前のダービーレコード。武豊は2013年のキズナ以来となるダービー6勝目、53歳2か月15日での勝利は史上最年長記録。そして朝日杯FS勝ち馬がダービーを勝ったのは、1994年のナリタブライアン以来実に28年ぶりであった。あとGⅠの1番人気連敗は今回も継続し11連敗になった。
「武豊で凱旋門賞を勝つ」――オーナーのキーファーズの夢へ向けて、武豊に朝日杯初勝利をもたらした2歳王者が世代の頂点に君臨した。
浦和競馬場のダート1400m交流重賞。根岸S・黒船賞・かきつばた記念と3戦連続2着のヘリオスが1番人気、以下2番人気は前走東京スプリントで重賞初制覇のシャマル、3番人気は地元浦和の強豪ティーズダンク、4番人気の前走かしわ記念5着の9歳馬エアスピネルまでが単勝1桁台。初の浦和かつ中央時代以来3年ぶりの1400m戦である大井の8歳牝馬サルサディオーネは10.5倍の5番人気だった。
久々の1400mでもいつも通りにハナを切って逃げるサルサディオーネを、シャマルが2番手でマークする展開。直線で一度はシャマルがかわして先頭に立ったが、そこから粘って差し返したサルサディオーネが、最後はティーズダンクの追撃を振り切って3頭横並びの接戦をアタマ差凌ぎきって逃げ切り勝ち。
交流重賞5勝目、昨年の日本テレビ盃に続き混合重賞2勝目を挙げたサルサディオーネ。8歳牝馬の平地重賞勝利はブロードアピール、メイショウバトラー、ジョリーダンスに次いで史上4頭目。混合重賞ではブロードアピールの2002年ガーネットS以来、史上2頭目の記録となった。
別定戦だが、ことごとく牡馬56kg、牝馬54kgとあたかも定量戦のようになったこのレース。最初の1000mを先頭は60秒1という平均ペースで走る展開。ずっと中団にいたヴェルトライゼンデが最終直線で一気に差し切って、さらに後方7番手から追い込んできたジェラルディーナを半馬身しのいでゴール板を駆け抜けた。
これだけなら別にどうということはない普通のGⅢ戦なのだが、このヴェルトライゼンデ、前走は去年1月のアメリカジョッキークラブカップで、中495日での重賞勝利は平地競走では歴代最長記録(これまでの1位はスズパレード(1987年宝塚記念→1988年オールカマー)の中461日)、障害競走を含めてもテイエムドラゴン(2006年中山グランドジャンプ→2007年京都ハイジャンプ(この当時は秋開催))の中573日に次ぐ2位とのことである。
なおサンレイポケットは3着となり、ここで賞金加算に失敗したこともあり、宝塚記念で賞金不足により除外されてしまうことにも繋がった。
混沌とした春の短距離戦線の締めくくりとなるマイル王決定戦。相変わらずオッズは割れ、最終的には府中で4連勝中の東京新聞杯勝ち馬イルーシヴパンサーが単勝4.5倍の1番人気。以下、ドバイターフ8着から帰国初戦のシュネルマイスター、ヴィクトリアマイルから中2週で向かったファインルージュとソングライン、NHKマイルカップ4着から3歳で挑むセリフォスまでが単勝1桁台。どの馬も不安要素があり決め手に欠けるという感じで迎えることとなった。
レースはホウオウアマゾンがハナを切り、道中は平均ペースで淡々と流れる展開。直線でも馬群は広がり誰が抜け出すのかわからない混沌とした状況の中、内から前目で先行していたダノンザキッドが抜け出し、ファインルージュがそれを追いかける。そこへ外から伸びてきたのがサリオス、さらにその外ソングライン。間からはシュネルマイスターがぐんぐん追い上げ、残り100mでこの5頭がほぼ横並びとなったが、先に出たダノンザキッドとファインルージュが力尽き、最後はソングラインとシュネルマイスターが僅かに抜け出して、ソングラインがシュネルマイスターの追撃を凌ぎきって先頭でゴール。
牝馬ソングラインがブービー17着のカフェファラオまで1秒差という混戦を制し、昨年NHKマイルカップでハナ差2着に敗れたシュネルマイスターへのリベンジを果たしてGⅠ初勝利。前走ヴィクトリアマイルからの安田記念制覇は2009年のウオッカ以来13年ぶり。
なお、中央平地GⅠでの1番人気12連敗は2007年桜花賞ウオッカ~菊花賞ロックドゥカンブと並ぶワーストタイ記録となった。
イギリス ロイヤルアスコット競馬場で5日間にわたって開催される競馬。今年は2頭の日本調教馬が遠征に向かった。
芝 9ハロン212ヤード(2004.3648m)、牡馬/騙馬128ポンド(58.05982336kg)・牝馬125ポンド(56.69904625kg)
回避が相次いだ結果、わずか5頭立てとなったこのレース。ロードノースが目隠しをとるのが遅れて大きく出遅れる。シャフリヤールは逃げるState of Restの後ろにつける2番手。最終コーナーを曲がり直線に入ると坂で疲れてしまったのかそのまま失速。4着に終わった。State of Restは最後まで逃げ切り、G1を4か国で制する4勝目をあげた。
芝 直線6ハロン(1207.008m)、牡馬/騙馬131ポンド(59.42060047kg)・牝馬128ポンド(58.05982336kg)
出走登録27頭、最終的に3頭が当日出走を取り消して24頭立てとなったこのレース。このロイヤルアスコット開催最終日のメインレース。日本からはグレナディアガーズが出走。彼は残り1ハロン付近では先頭にいたが最終的には失速し19着に沈んだ。優勝したのは外にいたNaval Crownであった。
ちなみにこのプラチナジュビリーステークスで24頭立てになったのは2010年以来12年ぶりの出来事であった。
春のGⅠ戦線の締めくくりとなるグランプリ。滅多にフルゲートにならないレースだが、今年は国内の実績馬に加え、海外遠征組帰りも有力馬が続々と参戦し、グランプリの名に恥じない豪華メンバーとなる。
1番人気は大阪杯の惨敗から復権を期すエフフォーリア、2番人気は春天を圧勝したタイトルホルダー。以下悲願のGⅠタイトルを目指すディープボンド、復活に燃える三冠牝馬デアリングタクト、大舞台での善戦が続く実力派ヒシイグアス、ドバイで世界に名を轟かせたパンサラッサ、大阪杯3着で小倉専を返上したアリーヴォ、その大阪杯で大金星を挙げたポタジェ、ドバイシーマクラシック3着のオーソリティ、さらには海外で父の血を覚醒させ重賞連勝のステイフーリッシュ、京都記念で大穴を開けたTwitterをする馬アフリカンゴールドの7歳ステゴ産駒組や、ちっちゃすぎるメロディーレーンなどの個性派もそろい踏み。
結果、サンレイポケットとヒートオンビートが賞金不足で出走できず、63回目にしてレース史上初の除外馬が出ることに。なお、オーソリティは本馬場入場後に競走除外となり結局17頭立てのレースとなった。
戦前の予想ではパンサラッサが大逃げ、タイトルホルダーがそれを追うのは確定として、大阪杯でジャックドールに競り掛けハイペースを演出した最内のアフリカンゴールドがどう出るかでペースが決まる……という感じの見方だったが、レースが始まるとタイトルホルダーが絶好のスタートを切りアフリカンゴールドは出遅れ。そのタイトルホルダーをパンサラッサがかわしていっていつも通りのハイペース逃げ体勢になり、1000m通過はなんと57秒6! あのサイレンススズカの宝塚記念より1秒早いという超ハイペースである。
こんなハイペースでは後方有利……と思いきや、むしろ後ろの馬の方が4コーナー前からガシガシ手綱が動いている。そう、パンサラッサがありえないペースで逃げているのに、タイトルホルダーがそれについていったことで独走大逃げにならず、全体がそのハイペースに巻き込まれることになった。最後方のアリーヴォの1000m通過が60秒~61秒ぐらいで、これは普段の宝塚記念なら先頭の通過タイムでもおかしくない。つまり、あまりにペースが速すぎて後方待機勢すらついていくのがやっとの展開なのだ。そんな中で1頭、持ったままで上がっていく馬がいる。2番手につけていたタイトルホルダーである。直線入口でパンサラッサを捕まえ先頭に出ると、あとは独壇場。超ハイペースで他の馬がすり潰される中で春天を圧勝したそのスタミナでぐんぐん抜け出すと、後続との差は全く縮まらないまま2馬身差で完勝。
タイムは驚愕のコースレコード2:09.7。同期のエフフォーリア(6着)から現役最強の座を奪い取って堂々の3連勝、GⅠ3勝目を挙げた。
なお、これで中央平地GⅠの1番人気は上半期の12レースを全敗(馬券に絡んだのも2回だけ)、ワースト記録更新となる13連敗となった。
上半期のダート王決定戦。サウジでは苦杯を舐めたが前走平安Sをトップハンデで圧勝したテーオーケインズ、同じく前走アンタレスSをトップハンデで快勝したオメガパフューム、川崎記念を勝ちドバイWCも3着と健闘したチュウワウィザードと、現役ダート最強格がそろい踏み。この3頭が揃ったためか、JRA勢でかしわ記念を勝ったショウナンナデシコが回避したのはともかく、地方勢の回避が続出し、地方から出てきたのは元JRAのノンコノユメとネオブレイブの2頭だけ。結果、交流重賞となってから最少の9頭立てでの開催となった。
レースはオーヴェルニュが逃げを打ち、クリンチャーとテーオーケインズがそれを追いながら牽制し合い、向こう正面でスワーヴアラミスから外から上がっていって、3コーナー前で4頭が先頭集団を形成。その後ろでメイショウハリオがぽつんと構え、チュウワウィザードとオメガパフュームは後ろからとなった。
直線に入るところでオーヴェルニュとスワーヴアラミスが脱落したところでメイショウハリオが進出を開始。大外を捲ってきたオメガパフューム、内を突いてきたチュウワウィザードが加わり、上位人気5頭が横に広がっての追い比べとなったが、途中でテーオーケインズとクリンチャーが失速して脱落。最後は抜け出したメイショウハリオが、チュウワウィザードとオメガパフュームの追撃を振り切って、そのまま押し切って1着でゴール板に飛び込んだ。
補欠繰り上がり出走の5番人気の伏兵が、現役ダート最強格3頭をまとめて蹴散らしGⅠ初制覇。岡田調教師は開業20年目でGⅠ初制覇、「メイショウ」冠の松本オーナーはメイショウマンボ以来9年ぶりの平地GⅠ制覇となった。
ハンデ重賞であり、最軽量は48kg、最重量は57kgという大きな差のある負担重量となったこのレース。1番人気は負担重量49kgのアネゴハダ(牝3)、2番人気は負担重量48kgのテイエムスパーダ(牝3)、3番人気は負担重量57kgのタイセイビジョン(牡5)であった。
3コーナーに差し掛かる前には先頭に躍り出たテイエムスパーダは、軽斤量を生かして速度を落とさない。600mの通過タイムは31秒8(動画では31秒7と言っているが、公式の計測では31秒8となっている)!しかも2番目の200mは10秒ちょうど!その後も速度を落とすことなく、終わってみれば2着のタイセイビジョンに3馬身半差つけて勝利した(3着はアネゴハダ)。
そして、出たタイムは前年のこのレースでファストフォースが出した芝1200mの日本レコード1分6秒0を上回る、日本レコード1分5秒8。今村聖奈騎手はこれが初重賞出走であり、そこで初の重賞勝利を決めたのであった。デビュー121日目での初重賞勝利は、武幸四郎の2日(1997年3月1日にデビュー、3月2日にオースミタイクーンに騎乗しマイラーズカップを勝利(ちなみにこれが彼の初勝利でもある))に次ぐ最短記録とのこと。
田んぼみたいな不良馬場で行われた大井の3歳ダート王決定戦。1番人気は前走兵庫CSを8馬身差で圧勝したブリッツファング。次いで無傷の3連勝で鳳雛Sを制したハピ、ユニコーンSを勝ったペイシャエス、兵庫CS2着のノットゥルノが4強として人気を集めた。他、日本ダービーを抽選除外になったコマンドライン、サウジダービー2着のセキフウなどが参戦。
レースは7番人気のリコーヴィクターが逃げ、ブリッツファング、ペイシャエス、コマンドライン、ノットゥルノら上位人気が先行策でそれを追い、セキフウとハピは後方。4コーナーで逃げるリコーヴィクターをブリッツファングとノットゥルノが捕まえて2頭で抜け出し、それをペイシャエスと大外を捲ってきたハピが直線で追いかける展開となったが、ブリッツファングを振り落としたノットゥルノが抜け出し、ペイシャエスの追撃を振り切って1着でゴール。上位人気4頭が5着以下を10馬身突き放すという固い決着となった(が、やっぱり1番人気は負けた)。
ノットゥルノは重賞初勝利をJpnⅠで飾り、ハーツクライ産駒は国内ダートGⅠ級初制覇。鞍上の武豊は2005年のカネヒキリ以来17年ぶりのJDD4勝目で、JRA生え抜き騎手としては初となる地方競馬通算200勝を達成。また武豊は2002年(タニノギムレット・ゴールドアリュール)、2005年(ディープインパクト・カネヒキリ)に続いて、3度目の同一年芝ダート両ダービー制覇。ちなみに同一年芝ダート両ダービー制覇は武豊しか達成していない。
サマー2000シリーズの1戦。雨の中、重馬場での開催となった、函館開催のラストを飾るハンデ重賞。フルゲート16頭立てでの開催ながら、前売り段階では最低人気アドマイヤジャスタが単勝40倍ちょっと(最終的には67.2倍)という大混戦模様となった。
15番人気レッドライデンが重馬場としては速めのペースで逃げ、13番人気ジェネラーレウーノがそれを追う流れ。3コーナーで早くも先行勢が崩れだし、中団前目の内につけていた7番人気の白毛馬ハヤヤッコが4コーナーで早くも先頭に立つ。外から1番人気マイネルウィルトスが食らいついてきたが、白い馬体を泥で汚しながらハヤヤッコは最後まで譲らず3/4馬身差で押し切って1着でゴール。
57kgという重めのハンデをはね除け、白毛馬として初の中央重賞制覇だった2019年レパードS以来3年ぶりの重賞2勝目(勝利自体は2021年のオープン特別・スレイプニルS以来1年ぶり)。2歳時のデビュー4戦目からずっとダートを走っていたが、この年の日経賞から芝に再転向して3戦目で芝ダート両重賞制覇を達成した。なおJRAダート重賞を勝った馬がその後に芝重賞を勝ったのは、アグネスデジタルの2000年ユニコーンS→マイルCS以来22年ぶりの記録となった。
芝8ハロン(1609.344m) 4歳以上牡馬136ポンド(61.68856232kg)、3歳牡馬128ポンド(58.05982336kg)、牝馬3ポンド(1.36077711kg)減
Baaeedが無敗の8連勝で圧倒的1番人気(現地オッズで1.17倍)で、2番人気のAlcohol Freeと大きく開く(11倍)状況。ゴドルフィンマイルから直行したバスラットレオンは7頭立て7番人気(67倍)という状況だった。
レースはまずはバスラットレオンが逃げる展開に。そしてそのまま残り1ハロンが過ぎるまで粘るも、ほどなくBaaeedに差され、Modern Gamesにもあっさりと抜かされ、ゴール手前でAlcohol Freeにも短アタマ差差されての4着。Baaeedは貫禄の勝利で、連勝を9に伸ばした。
小倉競馬場ダート1700mの新馬戦。1番人気に支持されたのはジャスタウェイ産駒のヤマニンウルス。鞍上はデビュー1年目にして早くも通算30勝、あと1勝でGⅠ騎乗権利を獲得する今村聖奈。
道中2番手追走から3コーナーで早くも先頭に出たヤマニンウルスは、そこから後続を突き放す一方。4コーナーを回って直線に入る頃にはもう大差がついており、そこからさらに差が開いていく。中継のカメラも目一杯引かないと2番手以下が映らないような、とんでもない大差をつけて悠々と1着でゴール。
勝ちタイム1:44.3はダート1700mの2歳レコード。上がり3Fは35秒8。そして2着につけたタイム差は衝撃の4秒3。これは1984年のグレード制導入以降、1986年にツキノオージャが新馬戦でつけた3秒6の記録を大幅に更新する平地競走最大着差記録となった。
また今村騎手はこれで通算31勝としGⅠ騎乗資格をゲット。デビュー169日での到達は、現行の規定となった1996年以降では福永祐一・三浦皇成の128日に次ぐ史上3番目の速さとなった。
例年豪華メンバーが揃う夏の大一番、スーパーGⅡ。今年は連覇を狙うソダシをはじめ、パンサラッサ、グローリーヴェイズ、ユーバーレーベンなどGⅠ馬5頭が出揃う超豪華メンバー。史上初となるソダシとハヤヤッコの白毛馬対決、これまた初対決となるパンサラッサとジャックドールの逃げ馬対決など見所も盛りだくさんのレースとなった。人気はソダシとパンサラッサが同オッズで分け合い、ジャックドール、グローリーヴェイズ、ウインマリリンと続く形となった。
レースはユニコーンライオンが好スタートでハナを主張し、パンサラッサがそれをかわして先頭に出て逃げる態勢。ウインマリリンが3番手につけ、ジャックドールは4番手に控え、ソダシは5番手に構える。1000m通過は59秒5と、パンサラッサにしてはだいぶ遅めのペース。4コーナーでユニコーンライオンが力尽きて後退し、外を回ってジャックドールが迫る。その後ろは内にウインマリリン、外にソダシ。直線に入ってジャックドールがパンサラッサをかわそうとするが、パンサラッサも粘って2頭の追い比べに突入。最後はジャックドールがクビ差押し切ってパンサラッサを制し、並み居るGⅠ馬を蹴散らして重賞2勝目を飾った。
と、こう書くと(パンサラッサの逃げたレースとしては)スローペースの前残りに見えるが……このレース、上がり最速は10着ハヤヤッコの36秒6。レースの上がりは37秒7。勝ったジャックドールは37秒3。時計のかかる洋芝の札幌とはいえ、ほとんどダート並みの上がりタイム(この年の帝王賞の上がり最速が同じく36秒6である)というとんでもない消耗戦だった。発表は良馬場だったが前日までの雨で馬場自体は渋っており、59秒5という平均っぽいペースはこの馬場では充分にハイペースだったのであった。
ロンドンプランは落鉄して打ち直し。スタート自体が遅延する。その後、スタートで大きく出遅れてしまう。小倉2歳ステークスは1200mの短距離レースである。3コーナー差し掛かるころにも大きく遅れて最後方。第4コーナー抜けたころにようやく集団の最後方に取り付く。小倉競馬場の直線は293mしかない(中山の直線は短いぞで有名な中山競馬場の直線は310m)。しかし彼は集団をまとめてその直線で抜き去り、最後は2着のバレリーナに4分の3馬身差つけて勝利したのであった。
メイケイエールとソングラインという2頭のお手馬が出ることになって、どちらかを選ばないといけなくなった池添謙一。彼はメイケイエールを選んだ。というよりも選ばざるを得なかった。彼以外乗れる人はいないのだから。ソングラインはブリーダーズカップ・マイルでも乗る予定のクリストフ・ルメール騎手が乗ることになった。
レースはシャンデリアムーンが逃げ、そのすぐ横後ろにファストフォースがつける形に。最初の600mは32秒5と、この日の高速馬場を象徴する速さに。残り200mを過ぎファストフォースがシャンデリアムーンをかわすが、すぐに先行集団から抜け出したメイケイエールが並ぶ間もなく抜き去って突き放し、2馬身半差の圧勝。タイムは1分6秒2と、2016年高松宮記念のビッグアーサーのコースレコードを0.5秒更新する驚きのレコード。本番のスプリンターズステークス獲りへ万全……のはずだったのだが……(以下後述)。
一方のソングラインは5着に沈んだが、もともと短距離の高速展開に慣れて、本番のブリーダーズカップ・マイルで失敗しないようにするための叩きとしては上出来であった。……はずだったのだが、この後ノド鳴りを発症してしまいアメリカ遠征は取りやめに。勝った方も負けた方もその後は残念なことになってしまった。
1番人気は前走セントウルSを圧勝したメイケイエール、2番人気は斤量も有利の3歳牝馬ナムラクレア、3番人気はマイルからの転向を図るシュネルマイスターとなったこのレース。いよいよメイケイエールがGⅠを獲るかと多くの期待を集めた……が、秋のGIシーズンは大波乱の幕開けとなった。
テイエムスパーダが内枠からやや強引にハナを主張し先頭に立ち、それをファストフォースとジャンダルムが追う流れ。メイケイエールはその後ろの先行集団につける。だが4コーナーを過ぎるとメイケイエールは失速し馬群へ沈む。直線入口で逃げるテイエムスパーダをジャンダルムが捕まえて抜け出し、最後は追撃するウインマーベルとナランフレグをしのぎ切って、7歳にして初のGⅠ制覇を成し遂げた。鞍上の荻野極騎手も、一度は手綱をベテランに取られた相棒とともに7年目で嬉しいGⅠ初制覇。
ジャンダルムの母ビリーヴは、20年前の2002年に新潟競馬場でのスプリンターズステークスを制しており、これで母子2代でのスプリンターズステークス制覇となった。また、ビリーヴは2003年の中山競馬場開催のスプリンターズステークスで、池添謙一が乗るデュランダルの末脚の前に屈したが、今度はその池添謙一が乗るメイケイエールに対し勝利したのであった。
7歳馬のスプリンターズステークス制覇は、国内調教馬では初。前走17着からのGⅠ制覇は、1992年の天皇賞(秋)17着→有馬記念1着のメジロパーマー以来。日本ダービーに出走した馬のスプリンターズステークス制覇は、グレード制以降では2009年のローレルゲレイロ以来2頭目である。
なお、メイケイエールは14着に撃沈。中央平地GⅠの1番人気の連敗はこれで14になってしまった。
今年は6頭の日本馬が遠征した凱旋門賞ウィークエンド。日本馬が出走したレースも、それ以外のレースも、いろいろなドラマがあった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/AtTheRaces/status/1576219195255230464
4歳以上 芝4000m 定量 58kg/牝馬1.5kg減 ※日本調教馬の出走なし
2022年に入ってGI3連勝を含む5戦5勝、3戦目のゴールドカップ(英G1)と4戦目のグッドウッドカップ(英G1)では一時代を築いた古豪Stradivariusを撃破し長距離界の新星との呼び声高いアイルランド調教馬Kypriosが断然の1番人気で迎えたレース、同馬は桁違いの手応えで独走状態のまま最終直線に入るも、そこから大きく外へ斜行。危なっかしさを感じさせるシーンであったが、結局後続に20馬身というリードを残して圧勝した。
この斜行の考えられる要因について、管理するエイダン・オブライエン師は「(別のレースのために)ゲートが出てきたのを見てレースが終わったと勘違いした」ことを落鉄と合わせて挙げている。
3歳以上牡・牝 芝2400m 定量 3歳56.5kg/4歳以上59.5kg 牝馬1.5kg減
日本馬が4頭参戦したこのレースだが、総大将タイトルホルダーは逃げ切れず馬群に沈み日本馬最先着の11着。
勝利したAlpinistaは8連勝(うちG1が6連勝)となった。凱旋門賞を5歳牝馬が制したのは1937年のCorrida以来85年ぶり。
3歳以上 芝1400m 3歳57kg/4歳以上58kg 牝馬1.5kg減
前年4着のKinrossが1番人気にこたえ優勝。逃げたエントシャイデン(現地オッズで最低人気)は残り200mで力尽きて2年連続で3着となった。
例年豪華メンバーが出揃う伝統のスーパーGⅡ。今年もサリオス、レイパパレ、ダノンザキッド、ポタジェと、10頭立てにGⅠ馬4頭が顔を揃えた。10頭中5番人気まで単勝1桁台と人気は割れたが、1番人気はサリオス、2番人気はレイパパレ、3番人気は上がり馬のジャスティンカフェという構図。
レースはダノンザキッドがスタート前にゲートを破壊して飛び出すというアクシデントで発走が遅れる珍事が発生。馬体検査の結果異常なしではあったものの外枠発走となり、6分ほど遅れて改めてスタート。最内のレッドベルオーブが思い切り掛かりながらハイペースで逃げ、キングオブコージとレイパパレがそれを追う展開。サリオスは中団後ろに構える。
直線でレイパパレとダノンザキッドが並んで抜け出し、そこに外からジャスティンカフェが襲いかかる。そのままジャスティンカフェが差し切る展開かと思った瞬間、馬群の中から突き抜けてきたのはサリオス! ジャスティンカフェとダノンザキッドの間を突き破るように力強く抜け出し、レコードタイムでゴール板を駆け抜けた。
サリオスは2020年の同レース以来丸2年ぶりの勝利で、オグリキャップ以来となる毎日王冠V2。苦戦が続いたコントレイル最大のライバルが復活を告げる勝利となった。また、やらかしたダノンザキッドはちゃっかり3着に好走していたが、当然ながら出走停止と発走調教再審査を課されることとなった。
1番人気はフェブラリーステークス連覇を果たしたものの、府中ダート1600m以外ではあまり結果を出せていないカフェファラオ。2番人気が3連覇を目指すアルクトス、3番人気が今年交流JpnⅢを3勝したもののJBCスプリント出走が危ういので急遽参戦してきたシャマル、4番人気が昨年武蔵野ステークスを勝ち、かしわ記念でもショウナンナデシコの2着に入ったソリストサンダー。ここまでが単勝10倍以下、そのあと5番人気に兵庫のイグナイターがつける形となった。
レースは先行集団が固まる中で6番人気のヘリオスが逃げ、カフェファラオ、シャマル、ソリストサンダー、イグナイターらが好位で追走。直線でソリストサンダーが脱落し4頭の争いとなる。逃げ粘るヘリオスと追うカフェファラオの叩き合いに内からイグナイター、外からシャマルが追いすがったが、最後はヘリオスとカフェファラオが並んでゴール。中継カメラの角度ではヘリオスが残したように見えたが、写真判定の結果カフェファラオが差し切っており、GⅠ級3勝目、交流重賞初勝利を挙げた。3着がシャマル(1/2馬身差)、4着がイグナイター(1/2馬身差)となり、5着のゴールデンヒーラー(地元岩手の4歳牝馬、10番人気)はそこから6馬身後ろであった。
3連覇を目指したアルクトスは14着に沈み、このレース後、引退が発表された。
ホッコーメヴィウスが1番人気、オジュウチョウサンが2番人気となったこのレース。逃げるホッコーメヴィウスをゼノヴァース(3番人気)がとらえ、2馬身差つけてゴールし、初の重賞制覇を果たした。
オジュウチョウサンは9着に沈み、2015年中山大障害(6着、勝ち馬アップトゥデイト)以来初めて掲示板を外すことになった。
このレースの翌日、オジュウチョウサンの中山大障害をもっての引退が発表される。いよいよラストランが迫る。
秋華賞設立以来、桜花賞・優駿牝馬の二冠牝馬が秋華賞を敗れたのはブエナビスタだけということで、二冠牝馬スターズオンアースの三冠達成に期待がかかった三冠目。しかしそのスターズオンアースは故障明けが不安視されて1番人気ながら3.0倍。次いでオークス3着から直行のナミュール、オークス2着から紫苑Sを勝ってきたスタニングローズの高野友和厩舎の2頭がそれに次ぐ人気を集める。
オークスに続いてまたもサウンドビバーチェが放馬するアクシデントがあったものの、遅れや除外はなくスタート。直後、スターズオンアースが前を塞がれ最後方からのレースとなる。14番人気ブライトオンベイスが逃げ、スタニングローズが好位で先行、ナミュールは中団に構えた。直線に入りスタニングローズが抜け出すと、外から猛追してきたナミュール、さらに最後方から馬群を縫うように追い込んできたスターズオンアースの追撃を凌ぎきり、理想的な先行抜け出しで地上の星の三冠の夢を打ち破った。
スタニングローズはキングカメハメハのラストクロップ(最終世代産駒)であり、薔薇一族のGⅠ制覇はローズキングダムの2010年ジャパンカップ以来2頭目・3回目となった。スプリンターズステークスの荻野極騎手に続き、同期の坂井瑠星騎手は中央GⅠ初制覇。そして中央平地GⅠ1番人気連敗記録は15に到達することに。
昨年に続き皐月賞馬もダービー馬も不在、さらにはどちらの2着馬も不在。クラシック二冠の連対馬不在は65年ぶりの珍事で、混戦ムードの菊花賞。1番人気はセントライト記念勝ち馬ガイアフォース、2番人気はその2着馬で皐月賞5着・ダービー3着のアスクビクターモア。以下、デビューから5戦連続上がり最速のドゥラドーレス、神戸新聞杯を5番人気で勝ったジャスティンパレスらが人気で続く。
レースは12番人気セイウンハーデスが押してハナを切ると後続を引き離して逃げる、逃げる、逃げる。アスクビクターモアは2番手でそれを追い、最内枠のガイアフォースは中団の前目で囲まれる位置に。最初の1000m通過はなんと58秒7。2000mでも相当なハイペースと言っていいタイムで、3000mの菊花賞ではあり得ない超超超ハイペースである。
4コーナー、残り600mでセイウンハーデスは失速。2番手につけていたアスクビクターモアが一気に抜け出し、後続を大きく突き放して直線へ。中団から抜け出してきたジャスティンパレス、そして後方から押し上げてきた7番人気ボルドグフーシュが猛然と追いかけてきて、最後はアスクビクターモアとボルドグフーシュ、2頭完全な横並びでのゴール。写真判定となったが、アスクビクターモアがハナ差凌ぎきって最後の一冠を手に入れた。タイムはナリタトップロードが2001年阪神大賞典で記録した当時の世界レコード3:02.5を21年ぶりに更新する3:02.4のコースレコードである。
ディープインパクト産駒はこれで初年度産駒のマルセリーナ(2011年桜花賞)から事実上のラストクロップ世代まで、12世代連続クラシック制覇というとてつもない記録を達成。鞍上の田辺裕信はロゴタイプの2016年安田記念以来、6年ぶりの中央GⅠ制覇。なお1番人気のガイアフォースは8着に沈み、中央平地GⅠ1番人気連敗記録は16になった。
アーモンドアイが連覇した2019年・2020年、コントレイル・グランアレグリア・エフフォーリアの3強対決だった2021年という、ここ3年に比べると絶対的な存在がおらず、古馬との初対決となる3歳勢vs古馬の実績勢による世代対決という趣の構図となった今年の秋の盾。1番人気は皐月・ダービーとも2着のイクイノックス、2番人気は海外から帰国初戦のシャフリヤール。3番人気は札幌記念を勝ってきたジャックドール、4番人気・5番人気は3歳勢のダノンベルーガとジオグリフと、ここまでが単勝1桁という混戦ムードとなった。
7番人気に留まったパンサラッサがジャックドールやバビットと争ってハナを切れるかが展開の焦点となったが、バビットやノースブリッジを制して向こう正面でハナを確定したパンサラッサは、そのまま後続を突き放していく。ジャックドールが控えたこともあって、宝塚記念や札幌記念と異なりパンサラッサをそれ以上積極的に追う馬はなく、10馬身以上突き放した単騎の大逃げとなり、後続は直線の末脚勝負で差し切りを狙う展開となった。
先頭を独走するパンサラッサの1000m通過タイムは57秒4。1998年天皇賞(秋)の、あのサイレンススズカと全く同じ通過タイムである。大欅を越え、4コーナーを越え、直線に入っても後続を突き放して逃げ続けるパンサラッサ。これだけ離れて後ろは届くのか?と誰もが固唾を呑んで見守る中、猛然と追い込んできたのは外からイクイノックス、内からダノンベルーガの3歳勢2頭。ヘロヘロになりながら逃げ粘るパンサラッサを、イクイノックスが上がり3F32秒7の末脚で狙い澄ましたように差し切ってゴール板を駆け抜けた。そしてパンサラッサもダノンベルーガの追撃を凌ぎきって2着。
イクイノックスは史上最短、キャリア5戦目での天皇賞(秋)制覇。父キタサンブラックの2017年と同じ枠番で嬉しいGⅠ初勝利となった。また、1番人気の連敗はこれで16でストップ。稀代の個性派逃げ馬の全身全霊の大逃げと、それを完璧に差し切った極限の末脚の真っ向勝負にはファンからも賛辞の声が止まず、2022年の競馬を代表する名勝負として語り継がれるレースとなるだろう。
この日はJBC開催日。この日に合わせて通常開催が9月のジュニアグランプリおよびOROカップ(いずれも芝レース)もこの日に合わせての開催とされた。
すべての出走馬が中央競馬在籍経験あり、かつ準オープン以上の実績があり、一部は重賞制覇歴がある、あたかも中央のローカルオープン競走のような様相となったこのレース。制したのは2020年新潟大賞典(GIII)2着のアトミックフォース。
その新潟大賞典勝ち馬トーセンスーリヤ(ほかにも2021年函館記念(GIII)勝ちあり)は競走中止、予後不良となった。
ダート女王決定戦。5月に牡牝混合JpnIであるかしわ記念を制したショウナンナデシコが断然の1番人気。2番人気・3番人気は関東オークス(JpnII)勝ち馬グランブリッジと、3連勝でオープン入りしたばかりのヴァレーデラルナの3歳勢となった。
いつも通りサルサディオーネが逃げ、それをヴァレーデラルナが外枠から2番手で追走。最内枠のショウナンナデシコはサルサディオーネの後ろで3番手に構えたが、サルサディオーネがいつもほど飛ばさずスロー逃げとなった上、他の馬にガッチリとマークされて閉じこめられてしまう。
4コーナーに差し掛かると例によってテリオスベルが捲ってきたが、サルサディオーネを捕まえたヴァレーデラルナが残り200mほどでそれを振り切る。進路をなくしたショウナンナデシコは砂の深い内に突っ込むことしかできず伸びきらず、最後は外から猛然と追ってきたグランブリッジを、ヴァレーデラルナがクビ差凌ぎきって勝利。3歳馬によるワンツーフィニッシュとなった。
3歳馬のJBCレディスクラシック制覇はホワイトフーガ以来2頭目。鞍上の岩田望来は嬉しいGⅠ級初制覇。父岩田康誠が2014年にサンビスタで制した盛岡の地で親子制覇を果たした。
ダートスプリント王決定戦。断然の1番人気は2021・2022年ドバイゴールデンシャヒーン(G1)連続2着、前哨戦の東京盃を快勝してきた去年の覇者レッドルゼル。2番人気は2022年フェブラリーステークス2着のテイエムサウスダン、3番人気が今年のリヤドダートスプリント(G3)勝ち馬ダンシングプリンスとなった。
ところがスタート直後にレッドルゼルが足を滑らせて盛大に出遅れ最後方に。逃げ馬ダンシングプリンスがハナを切ると気持ち良く逃げ、リュウノユキナら後続の追撃をものともせず鮮やかに逃げ切った。
三浦皇成は2014年の全日本2歳優駿以来8年ぶりのGⅠ級2勝目。
チュウワウィザードの電撃引退やオメガパフュームの回避などで、テーオーケインズ・メイショウハリオの5歳勢vsクラウンプライド・ペイシャエスの3歳勢という感じ構図になった秋のダート中距離GⅠ第1ラウンド。実績からもテーオーケインズが断然の1番人気、前走日本テレビ盃でも2着ながら強さを見せたクラウンプライドが2番人気。3番人気がメイショウハリオ、4番人気がペイシャエスとなった。
積極的に逃げる馬がおらず、クラウンプライドが押し出されるような格好でスローで逃げる展開に。6番手あたりに構えたテーオーケインズは3コーナー前から徐々に進出していくと、直線入口でクラウンプライドを射程圏内に捉える。クラウンプライドも後続を突き放して逃げ粘ったが、外からそれをテーオーケインズがねじ伏せるようにかわし、改めてその実力を見せ付けるような完勝でGⅠ級3勝目を挙げた。クラウンプライドも2着に粘り、3着にもペイシャエスが来て、JBCクラシックで3歳馬が2頭馬券に絡んだのは史上初である。
日本から唯一出走したチェーンオブラブ(フィリー&メアスプリント)は10着に沈んだが、超弩級のパフォーマンスが出たレースがあった。
3歳以上 ダート10ハロン(2011.68m) 定量 北半球3歳牡馬・騸馬122ポンド(55.33826914kg)、南半球3歳牡馬・騸馬118ポンド(53.52389966kg)、4歳以上牡馬・騸馬126ポンド(57.15263862kg)、牝馬3ポンド(1.36077711kg)減
それがこのレースである。4コーナーを過ぎて直線に差し掛かる頃にはFlightlineはLife is Goodをかわして先頭に。終わってみれば2着のOlympiadとは8馬身1/4差の圧勝であった(物足りないと思うかもしれないが、これまでで最高の着差がAmerican Pharoahなどの6馬身半だったことを考えれば文字通りの圧勝だったと言って問題ない)。
このレースをもってFlightlineは引退、繁殖入りとなった。6レースで2着馬につけた差の合計は71馬身差であった。
6頭立て・阪神芝2000mの未勝利戦。1番人気のフリームファクシがあっさりと差し切り勝ち、2着に2番人気のアンタッチャブル、3着に3番人気のリコッチが入った。
なんでこんなレースが掲載されているかというとその配当である。3連単の配当はなんとわずか240円。前記した1月の梅花賞で記録された3連単の最低配当記録を早くも更新したのであった。
エリザベス女王への涙雨か、雨で重馬場での開催となった女王杯。1番人気は三冠牝馬デアリングタクト。2番人気は秋華賞馬スタニングローズ、3番人気は優駿牝馬3着、秋華賞2着のナミュールの3歳勢。前走オールカマーを勝ったジェラルディーナが4番人気で、ここまでが単勝1桁台。以下重賞3勝のウインマリリン、秋華賞除外で西宮Sを快勝した3歳馬ピンハイと続き、前年覇者のアカイイトは11番人気の低評価。また、このレースには11年ぶりに外国馬が参戦。アイリッシュオークス馬マジカルラグーン(8番人気)がやってきていた。
レースはローザノワールがハナを切り、それをマジカルラグーンが追走する。しかし重馬場で荒れた内を回した先行勢の脚は3コーナーあたりから鈍りはじめ、4コーナーではぎゅっと馬群が詰まった展開に。そんな中、好位からウインマリリンが抜け出してローザノワールを捕まえにかかるが、そこに外を回して追い込んできたのがジェラルディーナ。さらに最後方から大外を通って12番人気ライラックやアカイイトが追い込んでくるが、残り200mを切ってウインマリリンをかわしたジェラルディーナがそのまま突き抜け勝利。父モーリス・母ジェンティルドンナの超良血馬が待望のGⅠタイトルを獲得した。
2着争いはウインマリリンとライラックが完全に横並びでゴール、長い写真判定の末JRAのGⅠでは史上初となる2着同着。4着は最後方から追い込んだアカイイト、5着は中団から抜け出しを図ったがアカイイトにハナ差かわされたナミュール。1番人気デアリングタクトは6着、スタニングローズは14着、マジカルラグーンは最下位18着に沈んだ。
3年にわたった阪神開催もこれが最後となる、秋のマイル王決定戦。相も変わらずの混戦ムードで、1番人気は前走スプリンターズS9着から主戦場のマイルに戻ってきたシュネルマイスター。以下芝マイルでは牡馬との初対決となるソダシ、毎日王冠で復活を告げたサリオスと続き、4~6番人気は前走富士ステークス1~3着組が着順と逆の人気。4番人気ダノンスコーピオン、5番人気ソウルラッシュ、そして6番人気セリフォスまでが単勝1桁台と人気は割れる。
明確な逃げ馬が不在で誰が逃げるか、ペースがどうなるかが焦点となったが、押し出されるようにピースオブエイトがハナに立ち、ペースは緩くごちゃついた展開に。スローの流れに耐えかねたようにファルコニアが3コーナーでハナを奪い、ロータスランド、ホウオウアマゾン、そしてソダシらがそれを追う。直線で最内からロータスランドが抜け出しを図るが、残り100mでも誰が抜け出すか全くわからない大混戦。そんな中、後方から大外一気に集団を呑み込んだのが、後方待機していたセリフォス! 豪脚一閃、一気に突き抜けて快勝した。
秋天のイクイノックスに続いて、世代GⅠでは惜敗に終わった3歳馬が古馬を薙ぎ払いGⅠ初制覇。昨年の全国リーディングに輝いた中内田充正調教師はこれが古馬混合GⅠ初制覇となった。
今年は外国馬4頭、地方馬1頭が参戦したジャパンカップ。絶対的な本命はおらず、前走天皇賞(秋)5着シャフリヤール、同3着の3歳馬ダノンベルーガ、前走京都大賞典を快勝した上がり馬ヴェラアズールの3頭が、3.4倍、4.2倍、4.5倍と人気を分け合う。4番人気は6月に鳴尾記念を中495日で制した後、オールカマー7着のヴェルトライゼンデ。5番人気が前走エリザベス女王杯5着のデアリングタクト(13.0倍)、外国馬の最上位が6番人気のオネストとなった。
レース開始前にドイツ馬テュネスが枠入りを渋る一幕もありつつ、レースはユニコーンライオンがスローで逃げ、馬群が固まった一団の競馬となり、ヴェルトライゼンデがやや前目、他の有力馬は中団から後方に構えた。直線に入っても混沌とした状況の中、残り200m前でダノンベルーガ、次いで外からシャフリヤール、内からヴェルトライゼンデが抜け出す。さらに外からデアリングタクトもそれを追うが、その間に猛然と突っ込んで来たのがヴェラアズール! 父エイシンフラッシュのような末脚でヴェルトライゼンデとシャフリヤールの間を一気に突き抜け、ゴール板に飛び込んだ。
年明けにはダートの2勝クラスでもがいていた馬が、芝転向から6戦連続上がり最速で一気にGⅠ制覇。自身のみならず、エイシンフラッシュ産駒、および渡辺薫彦調教師もこれが嬉しいGⅠ初制覇となった。
秋の中距離ダートGⅠ第2ラウンド。前走JBCクラシックを快勝した前年覇者テーオーケインズの連覇は固いと見られ、単勝1.5倍の圧倒的1番人気。その2着クラウンプライドは14.3倍の4番人気まで評価を落とし、2番人気はアンタレスS2着以来のダート戦となるグロリアムンディ(7.7倍)、3番人気が前走シリウスSを勝ったジュンライトボルト(7.9倍)だった。
ところがそのテーオーケインズがスタートで出遅れ、大外回しの展開に。逃げ宣言のブービー人気レッドソルダードがスローで逃げ、クラウンプライドが2番手で追走。3歳馬の6番人気ハピと南部杯3着から距離延長の7番人気シャマルがそれを追い、その後ろにテーオーケインズ、ノットゥルノらが構え、ジュンライトボルトはさらにその後ろに位置取った。
直線入口でクラウンプライドが先頭に立つと、そのまま後続を突き放して押し切りを図る。内からはハピ、外からはテーオーケインズが迫るが、外回しの影響かテーオーケインズは前走のようには伸びない。このままクラウンプライドが押し切るかと思われたが、そこに外から飛んできたのがジュンライトボルト。2番手から上がり2位の36秒7で押し切ろうとしたクラウンプライドを、断然の最速36秒2の末脚で一気に差し切ってゴールを駆け抜けた。
石川裕紀人騎手は9年目で嬉しいGⅠ初制覇。数々の名馬を手掛けた友道康夫調教師もダートGⅠはこれが初制覇。河合オーナーには誕生日に嬉しいGⅠ初制覇のプレゼントが届けられた。これでスプリンターズSから、秋の中央平地GⅠは8戦連続でGⅠ未勝利馬による初制覇となった。鞍上のGⅠ初制覇も、地方JpnⅠを含めると丸田恭介、横山和生、荻野極、坂井瑠星、岩田望来に次いで今年6人目となった。
2歳女王決定戦。1番人気は新馬戦で上がり3F31秒4(JRA最速記録タイ)という驚愕のタイムを出し、前走はアルテミスステークス2着ながら強さを見せたリバティアイランドの2.6倍。他は人気が割れ気味で、2戦2勝のモリアーナとウンブライル、そしてアルテミスS勝ち馬ラヴェルが続く。
レースは5番人気サンティーテソーロがロケットスタートから半マイル通過45秒2という、レシステンシアがレコードで逃げ切った2019年(45秒5)より速い超ハイペースで逃げる。リバティアイランドは中団に構えながら脚を貯め、直線残り200mでサンティーテソーロを捕まえるとあとは突き抜ける一方で2馬身半差の圧勝。勝ちタイム1:33.1は2006年のウオッカ、2020年のソダシと同じタイムである。
これで2022年のJRA平地GⅠは1番人気がイクイノックスの秋天に続きようやくの2勝目。2着に12番人気シンリョクカ、3着に10番人気ドゥアイズが突っ込んだため、3連単は178,460円と結構な配当がついた。
この日、香港では4つのG1競走が行われ、そのすべてに日本調教馬が出走した。
3歳以上 芝2400m 定量 4歳以上牡馬・騙馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳牡馬・騙馬121ポンド(54.88467677kg)、南半球産3歳牡馬・騙馬111ポンド(50.34875307kg)、牝馬各4ポンド(1.81436948kg)減
日本国内の1番人気はこのレースを過去に2勝しているグローリーヴェイズ、2番人気はG1級になかなか手が届かないウインマリリンであり、現地オッズではストーンエイジ(2022年ブリーダーズカップ・ターフ2着のオブライエン厩舎の3歳馬)が1番人気、2番人気はグローリーヴェイズ、3番人気がウインマリリンであった。
4コーナー時点で後ろから2番目にいたウインマリリンは直線に入ると強烈な末脚でごぼう抜き。ゴールした時には2着のボタニクに1馬身半差をつけ、初のG1の栄冠を手にした。ラストランのグローリーヴェイズは3着であった。
3歳以上 芝1200m 定量 4歳以上・北半球産3歳牡馬・騙馬126ポンド(57.15263862kg)、南半球産3歳牡馬・騙馬117ポンド(53.07030729kg)、牝馬各4ポンド(1.81436948kg)減
日本国内の1番人気はLucky Sweynesseで、2番人気はメイケイエール。現地での1番人気もLucky Sweynesseであり、2番人気がWellington、3番人気がレシステンシアであった。
Sight Successが逃げるのをWellingtonが残り200mで捕え、4分の3馬身差つけて勝利。日本馬の最先着はメイケイエールの5着であり、ナランフレグ10着・ジャンダルム12着・レシステンシア13着であった。
3歳以上 芝1600m 定量 4歳以上牡馬・騙馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳牡馬・騙馬125ポンド(56.69904625kg)、南半球産3歳牡馬・騙馬113ポンド(51.25593781kg)、牝馬各4ポンド(1.81436948kg)減
サリオスが跛行により出走取消となり9頭立てになったこのレース。日本でも現地でも1番人気は日本でも3連覇がかかるGolden Sixty、2番人気は新鋭の4歳馬California Spangleとなった。
ずっとハナを進むCalifornia Spangle。Golden Sixtyも中団から追い上げるもクビ差届かずCalifornia Spangleが初のG1制覇を成し遂げた。日本馬はダノンスコーピオン6着、シュネルマイスターは最下位の9着と沈んだ。
3歳以上 芝2000m 定量 4歳以上牡馬・騙馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳牡馬・騙馬123ポンド(55.79186151kg)、南半球産3歳牡馬・騙馬112ポンド(50.80234544kg)、牝馬各4ポンド(1.81436948kg)減
直近3年間日本調教馬が制してきたこのレース。現地でも日本でも1番人気はRomantic Warrior、2番人気はジャックドールであった。
パンサラッサは少し出遅れるもハナをとる。最初の1000mを約60秒ほどとそれほど速くない逃げとなった。4コーナーを抜け直線に差し掛かるまでは先頭に立ち続けたがKa Ying Starにずっとマークされ続けたこともあり10着に沈んでいった。最後は中団から抜け出したRomantic Warriorが2着のダノンザキッドに4馬身半差つける圧勝となった。なおジオグリフは6着、ジャックドールは7着、レイパパレは9着であった。
1番人気ドルチェモア(3.1倍)、2番人気ダノンタッチダウン(3.6倍)、3番人気レイベリング(6.5倍)、4番人気オールパルフェ(8.0倍)とここまでが単勝10倍以下。
レースはドルチェモア・グラニット・オールパルフェ・ウメムスビの4頭での主導権争いで始まり、オールパルフェがハナをとりきる。最初の600mを34秒1という高速の通過となり、そのまま4コーナーを通り直線へ。グラニットが並びかけるがドルチェモアがあっさりと抜け出し、そのすぐ後ろにいたレイベリングと中団後方から差し切りにかかったダノンタッチダウンが襲い掛かるも、ダノンタッチダウンの追撃をクビ差しのぎ切りドルチェモアが2歳マイル王者に輝いた。3着にはレイベリングがそのまま入り、1番人気-2番人気-3番人気という順当な決着となった。このため3連単が4570円という、かなりおとなしい結果となった…が、3着のレイベリングの1と4分の1馬身後ろの4着にはキョウエイブリッサ(16番人気)がおり、場合によってはオッズが大荒れになった可能性もあった。
1番人気はこのレースを引退レースとしているオジュウチョウサン、2番人気は中山グランドジャンプで2着だったブラゾンダムール、3番人気が前走東京ハイジャンプで1着だったゼノヴァースであった。
まずはビレッジイーグルとケンホファヴァルトがハナを切る展開となる。最初の大障害コースを抜ける頃にはゼノヴァースが取り付き、その後ろにオジュウチョウサンとなる。2回目の大障害コースを抜けた時にはゼノヴァースに代わってニシノデイジーが3番手に上がり、すぐビレッジイーグルと並ぶような形に。2コーナーを抜けるとニシノデイジーが先頭に立ち、4号障害を抜け、坂路を通り最終障害に差し掛かる頃にはゼノヴァースに3馬身の差をつける。後方でアサクサゲンキが落馬し競走中止となるが、最終的にはニシノデイジーが2着のゼノヴァースに3馬身差つけての勝利となった。3着は中山グランドジャンプでも3着だったマイネルレオーネ。オジュウチョウサンは7年前の中山大障害と同じ6着に沈んだ。
7年前の中山大障害、オジュウチョウサンはこの時も1枠1番であった。そして6年前の中山グランドジャンプを制したのが4月16日。この時まだニシノデイジーは生まれていなかった。彼が生まれたのはその2日後の4月18日であり、まさに世代交代を示す形となった。
ニシノデイジーの母方の血統は母の父がアグネスタキオン、母の母の父がセイウンスカイ、母の母の母がニシノフラワーという、ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」にてキャラクターのモデルになった馬3頭から構成されており、また、この日は中山馬主協会の協力のもと、「ウマ娘 プリティーダービー」のキャストがウィナーズサークルにてウィナーズレディとして花束を渡すことになっており、この日は中村カンナ(ナリタトップロード役)がその役割を務めた。
この日の全レース終了後、オジュウチョウサンの引退式が行われた。
1番人気イクイノックス(2.3倍)、2番人気タイトルホルダー(3.6倍)が人気を多く占めており、3番人気ジェラルディーナ(7.4倍)がそれに続く形となった。
大方の予想通りタイトルホルダーが逃げる形となるが、最初の1000mは61秒2とやや遅めの展開で3馬身のリード。最終直線に入るまで彼のリードは続いたが、程なくイクイノックスが抜け出し、あっという間に引き離していく。タイトルホルダーは最終的に9着まで沈んでいき、イクイノックスが2着のボルドグフーシュを2馬身半引き離してゴールした。
ボルドグフーシュの鞍上は来年3月から調教師に転向する福永祐一であり、八大競走完全制覇とはならなかったが、これまでの最高は3着(2011年トゥザグローリー)であり、初めて連対した。また、3歳馬のワンツーは1994年のナリタブライアン・ヒシアマゾン以来の28年ぶり4例目となった。
これによりGIの1番人気の勝利数が最小タイになることは回避したわけであるが…
1番人気は前走葉牡丹賞でビターグラッセに3馬身半差つけ1分59秒1で圧勝したミッキーカプチーノ(3.0倍)、2番人気は前走野路菊ステークスで2着アリスヴェリテに2馬身差つけ勝利したファントムシーフ(5.1倍)、3番人気は前走黄菊賞で2着ビューティーワンに1と4分の1馬身差つけ勝利したセブンマジシャン(7.0倍)、4番人気は東京スポーツ杯2歳ステークス勝ち馬ガストリック(7.9倍)、5番人気は同レース3着のハーツコンチェルト(9.0倍)であった。だが、このレースは大波乱となった。
レースはトップナイフにピッタリつけてドゥラエレーデが追い、それをシーウィザード・ミッキーカプチーノがさらに後ろから追走する展開に。そして最初の1000mは61秒5というペースに。そしてそのまま終盤までもつれ、トップナイフとドゥラエレーデが全く並んでゴールイン。最後ハナ差ドゥラエレーデが差し切った。3着はキングズレイン(2着と1と4分の1馬身差)、4着ファントムシーフ(3着とクビ差)、5着ミッキーカプチーノ(4着と半馬身差)となった。
ドゥラエレーデは未勝利戦はダート1700mで勝ち上がり、東京スポーツ杯2歳ステークスは4着であった馬であり、14番人気で単勝はなんと90.6倍!そして2着が7番人気、3着が6番人気だったこともあり、3連単は24660.1倍という大荒れなレースとなった。なお、鞍上のバウルジャン・ムルザバエフはこのレースが日本のレースにおける芝での初勝利となった(ここまでの4勝はすべてダート)。
また、このレースをもって中央GIの全レースが終了。24ある平地GIでの勝利数はわずか4であり、勝率は.167。これは16レース中3レースのみであった1992年(ニシノフラワーの桜花賞、ミホノブルボンの皐月賞・東京優駿)および1995年(タヤスツヨシの東京優駿、バブルガムフェローの朝日杯3歳ステークス、ヒシアケボノのスプリンターズステークス)の.188を下回り、最低勝率となってしまったのであった。また、連対率という観点から見ても6レースのみ(.250)であったことから1995年と並んで最下位タイ(上記に加え安田記念(サクラチトセオー、勝ち馬はハートレイク)で同率.250)となってしまったのであった。
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1番人気は帝王賞勝ち馬メイショウハリオ(2.3倍)、2番人気は今年の春からダートに転向して重賞初挑戦のウシュバテソーロ(4.3倍)、3番人気は中央GIIIを2勝して、直前のチャンピオンズカップ6着のサンライズホープ(5.2倍)、4番人気はジャパンダートダービー勝ち馬ノットゥルノ(7.1倍)、5番人気は紅一点のかしわ記念勝ち馬ショウナンナデシコ(15.0倍)で大きく離れていた。
明確な逃げ馬のいない中、ショウナンナデシコがハナを進む展開に。それをカジノフォンテン(昨年のかしわ記念勝ち馬)とアトミックフォース(昨年の新潟大賞典2着馬で今年中央から地方へ移籍し、せきれい賞・OROカップという盛岡の芝重賞2勝)が追走する。その後サンライズホープとリンゾウチャネルが上がってくる。4コーナーを過ぎて直線に差し掛かった時にはショウナンナデシコが先頭でサンライズホープが2番手(アトミックフォースはいっぱいになり、代わりに上がってきたのがメイショウハリオ)。5頭の先頭集団をまとめて抜き去るノットゥルノとウシュバテソーロだが、ウシュバテソーロが突き抜け、ノットゥルノに1と4分の3馬身差つけた。3着にはメイショウハリオが2着と2馬身半差で入線。
ウシュバテソーロは初めての重賞挑戦で重賞制覇を成し遂げ、横山和生も地方のダートグレード競走初制覇となった(というか、タイトルホルダー以外でのGI級初制覇である)。
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掲示板
49 ななしのよっしん
2022/12/04(日) 16:43:44 ID: VxbFgXiDZ/
チャンピオンズカップ、またしても人馬GI初勝利
今年はGI未勝利の人馬に大盤振る舞いの年になったな
50 ななしのよっしん
2022/12/11(日) 21:22:03 ID: bw6b2RyuAA
とりあえず業務連絡を
現在のiframeの数が60で、今年の国内GI競走が4つ(朝日杯FS/有馬記念/ホープフルS/東京大賞典)あることから、香港国際競走の動画についてiframe追加すると上限を突破します。
このため、香港国際競走に関してはiframe追加していません。
51 ななしのよっしん
2022/12/21(水) 12:11:40 ID: bClaOIPfyz
「欧・米で名馬誕生」「日本は群雄割拠」
2015年を思い出すね
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最終更新:2024/11/02(土) 05:00
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