2022年競馬レース回顧 単語

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ニセンニジュウニネンケイバレースカイコ

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2022年競馬レース回顧 とは、2022年に起こった競馬の録である。

編集方針

2022年競馬界に様々な記録が誕生いたしました。
そんなレースを改めて振り返る記録集として記事作成しました。

でも加筆修正が可です。
競馬の伝説のレース集」の記事に掲載するレースの検討にもご利用ください。

1月

1月16日 京成杯(GⅢ) オニャンコポン(菅原明良)

ホープフルステークスおよび皐月賞と同条件で開催される3歳GⅢホープフルSから間がいていないこともあり、クラシック戦の3歳重賞の中でもあまりパッとしないレースであるが、今年は1頭の珍名馬話題を攫った。昨年珍名馬祭りの中で1勝クラス百日草特別を勝ち、前走ホープフルステークスでは11着に敗れていたオニャンコポンである。

前走の大敗や間隔の詰まりもあって、メンバー一の2勝ながら6番人気に留まったオニャンコポンだったが、これまでの先行策から一転、中は中団に抑えて後半で一度後方に下げるというレース運びで大外に持ち出し、直線で群を一気に差し切って1着でゴール

12年前にエイシンフラッシュが勝ったレースで、産駒中央重賞初制覇をプレゼントする子制覇。名の直接の元ネタであるアニメ進撃の巨人』の公式Twitterが反応したりと、珍名馬としての話題性も含めて一躍2022年クラシック世代の注の一頭となった。

1月16日 梅花賞(1勝クラス) セレシオン(川田将雅)

上記のGⅢ京成杯(およびGⅡ日経新春杯)と同日に行われた中8R。本来は特になんということもない3歳1勝クラス、芝2200mの条件戦だったのだが、このレース事前の想定出走が4頭しかおらず(登録自体は9頭あったが、うち5頭が同日の京成杯とのダブル登録で、京成杯フルゲート17頭に17頭登録だったため5頭とも京成杯に向かうものと思われた。しかも特別競走なので直前の追加登録は不可)、中央競馬では最低でも出走登録が5頭いないとレースを開催できないため、危うく2009年9月13日新潟4R以来13年ぶりの不成立となるところだった。

小銭稼ぎに定評のある森秀行厩舎が京成杯予定だったハナキリをこちらに回して5頭立てでレースが成立したのだが、なんと直前に1頭放して競走除外。結果、2012年8月4日札幌5R以来9年半ぶり、特別競走としては2001年10月7日アイビーステークス(2歳OP)以来20年3ヶぶりとなる4頭立てでのレースとなった(最終的な出走登録時点で5頭いれば、その後に除外等があっても競走は成立する[1])。

4頭しかいないので現地実況が言うことがなくなり上のフルネームに血統や近走の成績まで丁寧に紹介するのんびりしたレースとなったが、レース自体は最後はアタマ差の接戦となりつつも順当に人気順で決着。ワイドは全て100円元返し、3連複110は史上最低配当記録タイ、そして3連単270は従来の330円という記録更新し堂々の3連単史上最低配当記録となったのであった。

1月30日 シルクロードステークス(GⅢ) メイケイエール(池添謙一)

レース結果exit

格付けはG3だがとあるの出走に注が集まっていた。メイケイエールカレンモエに続く差のない2番人気で、彼女まともに走れるかにかかっていた。というのも、ここ8戦一度も折り合えてなかったからだ。前走のスプリンターズS(GI)で池添謙一騎手で4着になって力の高さは示していて、引き続き池添上で2022年の初始動となる。1番人気カレンモエ快速カレンチャンの子で重賞2着3回と善戦ウーマンだったがこちらも初重賞制覇を満を持して臨む構えだった。

になったメイケイエール上の池添をくくったとレース後語ったが、好スタートを見せ、逃げビアンフェとジャンダルムを見る34番手で折り合っていた。こうなると素質メイケイエールは止まらない。直線で抜け出すとシャインガーネットなどが迫ったが1身追撃をを許さず重賞4勝約11かぶりの優勝を飾った。この日のSNSではメイケイエール池添への賛辞がやまなかった。

2月

2月2日 川崎記念(JpnⅠ) チュウワウィザード(川田将雅)

1年で最初に開催されるGⅠレースドバイワールドカップへのステップとして出走してきたチュウワウィザードが実績でも全に頭一つ抜けており、単勝1.2倍という圧倒的1番人気に支持される。

レースサルサディオーネがいつも通りに逃げを打ち、昨年の覇者カジノフォンテンがそれをぴったりマークして追い、チュウワウィザードは5番手にどっしり構える。3コーナーサルサディオーネくも力尽きて後退、カジノフォンテンエルデュクラージュが並んで抜け出したが、チュウワウィザードは直線で抜群の手応えで2頭をあっさりかわすと、あとは後続を突き放す一方。圧倒的な支持に応え、格が違うとばかりに4身差で圧勝、GⅠ級4勝を挙げた。

実績充分の圧倒的1番人気が当たり前のように圧勝した……ぶっちゃけそれだけのレースではあったのだが、このあと上半期に行われたJRAおよび地方GⅠJpnレースは1番人気が全敗。他に1番人気で勝ったのは中山グランドジャンプオジュウチョウサンだけで、結果的にチュウワウィザード2022年上半期で一の1番人気GⅠ勝利となった。

2月13日 京都記念(GⅡ) アフリカンゴールド(国分恭介)

前年はラヴズオンリーユー、前々年はクロノジェネシスが始動戦として勝利するなど勝ち々たる顔ぶれが並ぶ伝統のGⅡ戦。1番人気は前年のオークスユーバーレーベン、他に菊花賞1番人気13着から復活を期すレッドジェネシス中山金杯を勝ったレッドガラン、前年の天皇賞(秋)ジャパンカップを連続で4着と好走したサンレイポケットといったあたりが人気を集めていた。

そんな中、スタートから果敢にハナを奪いにいったのは13頭中12番人気アフリカンゴールド。2年以上勝ちがない重賞勝利の7歳騸馬上の国分恭介重賞勝利は4年前が最後で今年に至っては場ですら未勝利という実績ゼロに等しい人コンビノーマークをいいことにマイペース逃げ、後続が先行したユーバーレーベンマークして牽制し合うのをに、脚色衰えぬまましてやったりの逃げ切り勝ち。
この勝利ステイゴールド産駒は17年連続重賞勝利サンデーサイレンス記録に並んだ。

単勝51.5倍のブービー人気逃げ切り勝ちで三連単68万馬券という波乱もさることながら、勝ったアフリカンゴールドTwitterのアンケートで戦法を決めて勝ったexitことも話題を呼んだ(実際は2着に入った前々走の中日新聞杯から先行策で結果を残していたのだが、その中日新聞杯も同様に戦法アンケートの結果exitに近い形でレースを進めていたりする)。

2月20日 フェブラリーステークス(GⅠ) カフェファラオ(福永祐一)

レース結果exit

2022年の最初のJRAG1フェブラリーステークステーオーケインズチュウワウィザードこそ海外遠征のため出走しなかったが、去年の覇者カフェファラオダート1,600mの日本レコードホルダーのアルクトスJBCクラシック優勝地方の雄ミューチャリーJBCスプリント覇者レッドルゼルJBCレディスクラシック優勝ダート女王テオレーマ、前優勝のスワーヴアラミスとテイエムサウスダン、そして白毛桜花賞ソダシG1にふさわしい面子った。

レースでは好スタートを決めたテイエムサウスダンペースを引っソダシがそれを追走する形で進み、直線で去年の覇者カフェファラオが直線でテイエムサウスダンソダシを交わし、2身半差をつけて圧勝。コパノリッキー以来2頭の連覇を達成した。テイエムサウスダンソダシり2着と3着という前残り、コースレコードタイの高速決着となった。上の福永祐一は昨年末の香港スプリントの落事故による負傷から復帰後初GⅠをテン乗りで勝利

また馬券に絡んだのは、2001年トゥザヴィクトリー以来21年ぶりのことであった。

2月26日 サウジカップデー 日本勢というかクリストフ・ルメール無双

日本時間2月26日27日深夜にかけて開催されたサウジアラビアサウジカップデー。当日行われる全8Rのうち際競走の6レース全てに日本勢が出走し、うち4レース日本勢が勝利するという日本無双、しかもその4頭全てがクリストフ・ルメール騎乗という空前絶後のルメール無双が展開された。

まずは1RのネオムターフカップG3)をオーソリティで鮮やかに逃げ切ると、2Rの1351ターフスプリントG3)ではソングラインで中団群から直線抜け出して押し切り勝ち。3RレッドシーターフハンデキャップG3)ではもう3年以上勝ちがない善戦マン・ステイフーリッシュ逃げの手を打ち、4身以上の差をつける圧勝。そして7RリヤドダートスプリントG3)では地方帰りのダンシングプリンスで5身以上の差をつける逃げ切り大圧勝。

2022年に入ってから日本では重賞勝利と不調が続いていたルメールだったが、1日で重賞4勝の荒稼ぎ。日本勢の大暴れに内も沸いたであった。

なお、6RのサウジダービーG3)ではセキフウが2着、コンシリエーレ(ルメール騎乗)が3着。8RのサウジカップG1)では引退レースマルシュロレーヌが6着、テーオーケインズが8着に敗れた。

2月27日 中山記念(GⅡ) パンサラッサ(吉田豊)

ここ数年大阪杯(GI)を見据えたレースとして好メンバーが集まる中山記念。この年は2年前の2歳チャンピオンダノンザキッドが1番人気に推され、前々走で大逃げ福島記念優勝したパンサラッサが2番人気に支持された。

レースではパンサラッサハナに立つと、1,000m通過タイム57.6と驚異的なハイペースで爆走し、ついてきた先行勢を振り落として直線に入ったときには後方待機組はすでに手遅れ。最後まで2身1/2差のセーフティリード逃げ切った。一方でスタートダッシュが付かなかったダノンザキッドは7着に敗れた。そしてこのレースパンサラッサ伝説逃げサイレンススズカツインターボ較対としてさらに注を浴びるようになった。

3月

3月13日 金鯱賞(GⅡ) ジャックドール(藤岡佑介)

GⅠ大阪杯の前戦となるGⅡ戦。共に大阪杯レイパパレアカイイトというGⅠ2頭が参戦したが、1番人気に支持されたのは下4連勝中の逃げジャックドール。上記のパンサラッサの活躍もあり、さらなる強い逃げの登場が期待された。

ハナを切ったジャックドール中緩みのないラップを刻んで後ろのスタミナをすり潰し、自身は上がり3Fを全体3位でまとめるという、まさに強者の逃げを見せる。ほぼ完璧レースをしたはずのレイパパレ、いつもより前レースをしながらきっちり追い込んできたアカイイトGⅠ2頭を牙にもかけず、1:57.2のレコード叩き出して5連勝、圧巻の重賞初制覇を飾った。

3月26日 ドバイワールドカップデー

3月26日UAEドバイメイダン競馬場で9つのレースが行われたドバイワールドカップデー。このうち純血アラブ限定競走の1レースを除く8レースすべてに日本が出走したが、そこでも日本が大暴れした。

第2レース ゴドルフィンマイル(G2) バスラットレオン(坂井瑠星)

ダート 1600m、定量 57kg

昨年ニュージーランドトロフィーを勝ったバスラットレオンNHKマイルカップでは出オチをかましてしまい、以後勝利女神から見放されていた。そんな彼が、ドバイの土の上で走した。

押して先手取り逃げを図ると、そのまま他を寄せ付けず、2着Desert Wisdom(英産/UAE調教)に1と4分の1身差つけて逃げ切り、久しぶりの勝利。2度ダート挑戦、前回挑戦の武蔵野Sは13着という謀とも思える挑戦で、2006年ユートピア以来2頭となる日本での同レース勝利となった。日本では馬券発売がかったが、英ブックメーカーでは単勝67倍がついたそうである。

第3レース ドバイゴールドカップ(G2) ステイフーリッシュ(C.ルメール)

3200m、定量 4歳55kg/5歳以上57.5kg

レッドシーターフハンデキャップから転戦したステイフーリッシュ。このレースステイフーリッシュは先行して内につける。直線で抜け出そうとしたところで、横から飛んできたのは5戦敗、断然人気ゴドルフィン有馬Manobo(産/UAE調教)。Manoboに一度は抜け出されるも食らいつき、ゴドルフィン絶対負かすマンだったの血が騒いだか、残り100mで力強く差し返してゴールに飛び込んだ。

前走の勝利まで4年近く勝ちがなかった善戦マンが、7歳にして海外重賞連勝。しかも断然人気ゴドルフィン有馬を差して勝つという、ステイゴールド黄金の旅程を継いだような勝利であった。

第4レース アルクオーツスプリント(G1) A Case of You

芝 直線1200m、定量 57kg・2kg減

このレース日本勢が惨敗した一のレースである。日本勢はラウダシオンが最先着の9着であった。

第5レース UAEダービー(G2) クラウンプライド(D.レーン)

ダート 1900m 3歳 定量 北半球産55kg/南半球産59.5kg・2kg減

クラウンプライドは好位追走を選択。逃げSummer is Tomorrow(産/UAE調教)を残り100m手前あたりでかわし、そのままゴールを駆け抜けた。2016年ラニ以来となる日本勝利新谷調教師重賞勝利上のダミアン・レーンメイダン初参戦で勝利を掴んだ。

第6レース ドバイゴールデンシャヒーン(G1) Switzerland

ダート 1200m、定量 57kg

レッドルゼルは最後方からの競馬を選択した。直線コースに入るとSwitzerland(産/UAE調教)は先頭に立つ。そしてどんどん突き放す。レッドルゼル麗な追い込みを見せるが1と4分の3身差の2着どまりとなった。3着のDr. Schivel(前年のブリーダーズカップ・スプリント2着)には半身差をつけた。

第7レース ドバイターフ(G1) Lord North/パンサラッサ(吉田豊)

1800m、定量 57kg・2kg減

事前の予想通り、パンサラッサ逃げる展開に。普段の大逃げではなく一見すると普通逃げ戦法であったが、例によってハイペース逃げである。4コーナーに差し掛かると彼とColonel Liamが引っる展開に。ほどなくColonel Liamがずるずると下がっていくと、後ろから上がってきたのは前年の覇者Lord North(産/英調教)と前年2着の日本ヴァンドギャルド。逃げパンサラッサと猛追する2頭、最後は3頭が全くの横並びでゴールインカメラの具合では最後はパンサラッサが僅かに差し切られたようにも見えたが、長時間の写真判定の結果…

Lord Northパンサラッサが同着1着、ヴァンドギャルドはハナ差3着となった。これによりLord Northは連覇を達成、パンサラッサは初のG1レース勝利となった。タイムは1分4577と、これまでジャスタウェイだけが記録した1分45台を叩き出す決着となり、「令和のツインターボ」は「世界のパンサラッサ」となった。

第8レース ドバイシーマクラシック(G1) シャフリヤール(C.デムーロ)

芝 2410m、4歳56.5kg/5歳以上57kg・2kg減

日本馬券販売ですらYibir(前年のブリーダーズカップ・ターフ覇者)が1番人気になるこのレースダービー海外G1を勝てないというジンクスもあってか、シャフリヤールは4番人気であった。

シャフリヤール逃げオーソリティをぴったりマークする先行策をとる。残り100mでオーソリティを置き去りにすると、追い込んでくるYibirから逃げ切ってクビ差つけてゴールを駆け抜けた。

日本ダービー勝ちとして初の海外G1制覇。新たな歴史を創る勝利であった。

第9レース ドバイワールドカップ(G1) Country Grammer

ダート 2000m、定量 57kg

日本チュウワウィザードは最後方からの競馬に。Life is Good(前年のブリーダーズカップ・ダートマイル覇者で、今年もペガサスワールドカップKnicks Goを下した)が前を行く展開に。直線でMidnight Bourbonを振り切るも、残り100m付近でCountry Grammer()につかまり、1着はCountry Grammer

チュウワウィザードは最後方の絶望的な位置から追い上げ、Life is Goodをアタマ差かわして3着。敗れはしたものの、現役ダート世界最強格の1頭であるLife is Goodに先着したということで価値ある3着と言えた。

3月27日 高松宮記念(GI) ナランフレグ(丸田恭介)

レース結果exit

グランアレグリアダノンスマッシュらがターフを去り、ピクシーナイトも故障離脱中で大本命不在の混戦模様ののスプリント王者決定戦。重賞勝利ナランフレグは8番人気だった。

馬場の内有利となったこのレースナランフレグは後方からのレースとなる。4コーナーを抜け直線に入ると内側から一気に追い込みをかけ、横に広がった群の隙間をすり抜けるようにゴール直前で抜け出し、5番人気ロータスランドにクビ差つけたところがゴールであった。1着から5着までクビ・ハナ・クビ・クビで、最後まで2身開いたところはどこにもなく、1着と18着とのタイム差は1.1という熱戦。3着に17番人気キルロードが突っ込んだため、3連単278万円という大波乱の決着となった。

ナランフレグゴールドアリュール産駒として初の芝GI勝利となった。また、タマモクロスの血が入ったGI勝利したのも(当のタマモクロスを除けば)初とのことである。人間側も、デビュー16年丸田恭介騎手、その師であり開業30年宗像義忠調教師、前馬主から彼を引き継いだ村木オーナー、生産者の坂戸牧場全員が嬉しいGI勝利となった。

4月

4月3日 大阪杯(GⅠ) ポタジェ(吉田隼人)

昨年はレイパパレが連勝中の勢いのままに三冠馬コントレイルと短距離女王グランアレグリアを打ち破ったこのレース。今年は始動戦となる昨年の年度代表馬エフフォーリアと、5連勝で金鯱賞を制した上り調子逃げジャックドール全な二強ムード。現役最強が貫を見せるのか、同世代の新スターダムに駆け上がるのか……しかし、今年も兵が息を潜めていた。

ハナを切ったジャックドールアフリカンゴールドが競りかけ、ハイペースで流れる展開。エフフォーリアは中団に控えたまま、群に揉まれて明らかに手応えが悪い。逃げジャックドールも中2週とアフゴの競りかけで消耗したか、残り200mでレイパパレに捕まる。抜け出すレイパパレ。そこに外から襲いかかるのは、ここまで掲示板常連ながら重賞勝利の善戦マン・8番人気ポタジェと、5勝全て小倉小倉巧者・7番人気アリーヴォ! 最後は3頭横並びの競り合いになったが、押し切ったのは2頭の間をクビ差抜け出したポタジェだった。

ジャックドールは5着、エフフォーリアはまさかの9着に撃沈。大金星を挙げたポタジェは善戦マンを最高の舞台卒業し、半ルージュバックが届かなかったGIの戴きを手にした。

4月10日 桜花賞(GⅠ) スターズオンアース(川田将雅)

レース結果exit

クラシックの開幕を告げる牝馬三冠の第一戦。1番人気チューリップ賞を快勝したナミュール、2番人気は2歳女王サークルオブライフ、3番人気は武兄弟タッグでの初GI制覇をウォーターナビレラ。ここまでが単勝1桁台だが、1番・2番人気がともに大外と予想の難しい順。重賞勝利スターズオンアースは14.5倍の7番人気であった。

レースは抽選を突破して芝は新馬戦(11着)しか走ったことがなかった18番人気フジテトラゴン逃げて引っる形に。最初の800mは468のペースで流れる。最後の200m手前付近まで先頭で引っったカフジテトラゴンが失速するとウォーターナビレラナムラクレアが前に出る。ほぼ完璧レース運びをしたウォーターナビレラ全に押し切る流れと見えたが、後ろで他にぶつけられながら譲りの闘志を燃やして猛然と突っ込んできたのはスターズオンアースウォーターナビレラ一気に捕らえ、ハナ差かわしたところがゴールであった。

このレースは1着から10着までどこも1身も離れていないという熱戦ぶり。スターズオンアースフェアリーステークスクイーンカップ連続2着からの初の重賞制覇をGI勝利で成し遂げ、ドゥラメンテ産駒は昨年の菊花賞タイトルホルダーに続いて2年連続のクラシック制覇となった。

4月16日 中山グランドジャンプ(J-GⅠ) オジュウチョウサン(石神深一)

昨年末、10歳にして中山大障害復活を遂げたオジュウチョウサン。11歳となっても絶対王者の覇はまだまだ終わらない。前走は斤量差か3着に敗れたが、他のと同斤量なら負けはしないと言わんばかりの衰えぬ走りを見せる。中団から徐々に前に上がっていくと、3コーナーと4コーナーの間で一発入った一気に脚色が変わり、抜け出したブラゾンダムールを捕まえると、直線での叩き合いで振り落とす、堂々の横綱相撲勝。

これにて中山グランドジャンプ6勝アーモンドアイに並ぶGI9勝。11歳での重賞制覇はJRA所属としては史上初。12歳で同レースを勝ったオーストラリアカラジ記録も射程に捕らえ、絶対王者は自分自身をえてゆく。

4月17日 皐月賞(GⅠ) ジオグリフ(福永祐一)

2歳11月東スポ杯2歳Sから直行したイクイノックスをはじめ、有力の多くが直行ローテを組んだため実力差を見極める基準が少なく、近年稀に見る混戦ムードとなったクラシック初戦。1番人気朝日杯FS覇者凱旋門賞ドウデュース、2番人気共同通信杯快勝のダノンベルーガ、3番人気は前述のイクイノックス、4番人気ホープフルS勝ちキラーアビリティ、そして5番人気札幌2歳S勝利のあと朝日杯FS5着、共同通信杯2着のジオグリフであった。

レースは好スタートから好位につけ、前馬場のいいところを上手く立ち回った同じ木村哲也厩舎の2頭、イクイノックスジオグリフが直線で抜け出す。叩き合いの末に相手を振り落としたのはジオグリフ。後ろからは大外を回ったドウデュースらが追い込んできたが寄せ付けず、1身差で押し切った。

戦のクリストフ・ルメールがお手被りでイクイノックスに回ったため、テン乗りで騎乗した福永祐一完璧レース運びで勝利に導き、木村厩舎は2頭出しでワンツーフィニッシュという最高の結果。ノーザンテーストサンデーサイレンスキングカメハメハという社台・ノーザン系の歴史の詰まった牝系に掛け合わされた新種牡馬ドレフォンに、さっそくクラシックの冠を授ける勝利となった。

5月

5月1日 天皇賞(春)(GⅠ) タイトルホルダー(横山和生)

伝統のは今年こそのGI制覇をディープボンド和田竜二と、武史から引き継いだ手綱でGI勝利が欲しい横山和生を乗せた菊花賞タイトルホルダーの2強ムード。ところがタイトルホルダーが16番、ディープボンドが18番と2強がって大外に放り込まれたため、ステイヤーズS阪神大賞典と連続2着の1番アイアンローズ、4連勝でダイヤモンドSを制した7番テーオーロイヤルがそれを追うという感じの人気となった。

レーススタート直後に17番シルヴァーソニック川田将雅が落するアクシデントの中、あっという間にハナを切りに行ったタイトルホルダーがすーっと内に切れ込んで然と単騎逃げに持ち込んだ。ディープボンドは45番手につける。向こう正面ではカラになったシルヴァーソニックタイトルホルダーのすぐ後ろについたこともあり、タイトルホルダーをつけにいけないまま終盤へ。
2番手につけていたテーオーロイヤルはカラが邪魔で外に振られ、その後ろからはディープボンド必死に追ってくるが、タイトルホルダーの脚は全く止まらない。むしろ後ろをぐんぐん突き放し、なんと逃げ切りで7身差の圧勝。展開有利があったとはいえ、13台のラップは一度だけというハイペース逃げて上がり3F最速の364を叩き出し、上がり2位は4着ヒートオンビートの370なのだから他のはどうしようもなかった。勝である。

横山和生は念願のGI勝利で、横山は祖・富雄、・典に続いて史上初の子3代天皇賞(春)制覇。天皇賞(春)での7身差逃げ切りといえば、が勝った2004年イングランディーレ以来である。
またこの勝利2021年クラシック世代クラシック三冠を分け合ったエフフォーリアシャフリヤールタイトルホルダーの3頭とも古GI勝利では2019年クラシック世代グランアレグリアラヴズオンリーユークロノジェネシスの例があるが、では史上初の記録となった。

5月5日 かしわ記念(JpnⅠ) ショウナンナデシコ(吉田隼人)

船橋ダート1600mの交流JpnⅠ競走。の実績が不在で、前走フェブラリーS2着のテイエムサウスダンが1番人気、前走マリーンカップを圧勝したショウナンナデシコが2番人気。以下3番人気は昨年3着のインティ、4番人気は昨年の覇者カジノフォンテン、5番人気フェブラリーSゴドルフィンマイル4着のソリストサンダーまで単勝1桁台という混戦ムードだった。

11番から好スタートを決めたショウナンナデシコハナを切って逃げ、テイエムサウスダンがそれをマークする展開。4コーナーでテイエムサウスダンが並びかけてきたが、ショウナンナデシコは直線でそれを難なく振り落とすと、外から追ってきたソリストサンダーを寄せ付けずに逃げ切り勝ち。

交流重賞となって以来、の同レース勝利は初(地方重賞時代を含めると32年ぶり)。そもそもが古混合ダートGⅠ級を勝つこと自体が滅多になく、中央・地方交流が始まって以来、GⅠ格付け前のホクトベガを含めても勝利は史上7頭2015年チャンピオンズカップを勝ったサンビスタ以来7年ぶりの快挙であった。

5月7日 ケンタッキーダービー(GⅠ) Rich Strike

アメリカ三冠の第1戦にして「スポーツの中で最も偉大な2分間ケンタッキーダービー。今年は日本から、ダービースペシャルウィークの直系(リーチザクラウン産駒)のクラウンプライドが、日本ダービーの血を引くとして初めてこのレースに挑んだ(日本の挑戦は4頭)。

レースは2番手につけたクラウンプライドをはじめ、先行勢がスプリント戦並のハイペースで飛ばす展開に。4コーナーを過ぎ直線コースを迎えると、飛ばしすぎた先頭集団が崩れていき、当然クラウンプライド群に沈んでいく。そんな中後方にいたRich Strike一気に差し切って先頭を駆け抜けた。

このRich Strike、回避が出て出走できた重賞勝利の補欠1番手。実績皆無過去に勝ちが1頭しかいない大外20番、ベネズエラ人のソニーレオン騎手はこのレース初参戦どころかグレード競走勝利経験すらない。買える要素はほぼ全くく、現地では最低の20番人気(81.8倍)、日本馬券でも19番人気(95.1倍)という兵。単勝81.8倍はレース史上2番の高配当となった。

5月8日 NHKマイルカップ(GⅠ) ダノンスコーピオン(川田将雅)

よく荒れることでも知られる3歳マイル王決定戦。今年も人気割れる中、人気を集めたのは朝日杯FS2着から直行した4番セリフォス、前走弥生賞5着ながらデビューから4戦連続上がり最速の11番インダストリアシンザン記念を勝ちNZT2着ながら鋭い末脚を見せる1番マテンロウオリオン、そして前走アーリントンカップを勝った大外18番ダノンスコーピオンの4頭。

レースは他に立った逃げがいないため、前走NZT逃げ切った13番ジャングロが間違いなく逃げるとされていたが、そのジャングロスタートで盛大に出遅れ、6番トウシンマカオ逃げ予想外の展開に。中団につけていたダノンスコーピオンが残り200mでトウシンマカオを捕らえ先頭。内で食らいつくセリフォスを振り落とし、外から飛んできたマテンロウオリオンの追撃を振り切って1着でゴールに飛び込んだ。

1着ダノン「スコーピオン」が2着マテンロウオリオン」に勝ったことで「星座馬券」「神話馬券」などと言われることに。1着は4番人気、2着は3番人気、4着は1番人気セリフォス、5着は2番人気インダストリアで上位人気がきっちり掲示板を占める、NHKマイルカップとしてはしい堅い決着……ではなかった。直線でマテンロウオリオンを追いかけ、セリフォスをかわして3着に突っ込んだのは、なんとシンザン記念8着・アーリントンカップ11着の最低人気、単勝229.1倍の10番カワキタブリー! 3連単153万馬券という、高松宮記念に次ぐ高配当となった。

5月14日 京都ハイジャンプ(J-GⅡ) タガノエスプレッソ (石神深一)

レース結果exit

2020年京都ジャンプステークスオジュウチョウサン障害連勝記録を止めるなど障害競走で活躍してきたが、昨年の中山大障害、今年の阪神スプリングジャンプと2戦走が続き、引退も検討された10歳タガノエスプレッソ中山グランドジャンプを回避しての休養を経て、上にオジュウチョウサン戦・石神深一を迎え、中京競馬場で行われたこのレース(3900m)に挑んだ。

最初の障害(5号障害)を飛越すると、タガノエスプレッソはほどなく先頭に立ち、2周に差し掛かるころには10身以上の差をつける大逃げを仕掛ける。この大逃げは最終コーナーを抜ける頃には2身差ほどにまで縮まるも、ワーウルフの追撃を最後まで半ぎきって1着でゴール障害重賞3勝を挙げた。

タガノエスプレッソは2歳の2014年デイリー杯2歳ステークスを勝っており、2歳重賞勝ちが10歳で重賞を勝ったのは史上初記録となった。なお、タガノエスプレッソはこの後放牧中に故障し現役引退。この勝利が最後のレースとなった。

5月14日 京王杯スプリングカップ(GⅡ) メイケイエール (池添謙一)

京王杯スリリングカップ

GⅡだがこのレースはある2頭の初対決に注が集まっていた。
希代のにして同世代のメイケイエール(1人気)とリフレイム(4人気)。この2頭はこれまでもポテンシャルの高さを示しながら、レースに出ると暴走気質がある両であった。

レースではスタートからギルデッドミラー(6人気)が立ち上がってしまい大きく出遅れスタートダッシュに成功したリフレイムレースを引っり、メイケイエールは中団やや後方から首を高く上げながら走行、折り合いが心配された。コーナーを回って最後の直線でいつもどおりリフレイム外側に大きくヨレいつのまにか折り合っていたメイケイエール群を割り先頭に立ってソラを使いながらもゴールした。

結果としては
1着メイケイエール(1人気)-2着スカイグルーヴ(2人気)-3着タイムトゥヘヴン(5人気)
較的固く収まった感じだが、このレースを見たファンからは

などと呼ばれるネタ感満載のレースとなった。

レース後の池添謙一騎手も「いやーキツかったです」と勝利騎手とは思えない疲労困憊の様子だった。

5月15日 ヴィクトリアマイル(GⅠ) ソダシ(吉田隼人)

ここ2年はアーモンドアイグランアレグリアと頭一つ抜けたが前評判通りに圧倒したこのレースだが、今年は大混戦ムード。何しろ出走メンバーGⅠ5頭、

と、マイルを走りそうな有力でいないのは直前に引退したアカイトリノムスメ安田記念に向かったロータスランドぐらいで、ほぼ現役最強決定戦と言えるメンバーった。オッズも割れ割れ、1番人気レイパパレが4.1倍、以下5番人気デアリングタクトまで単勝一桁。ソダシは5.7倍の4番人気だった。

レースソダシレシステンシアが好スタートを決めたが、逃げ宣言の18番人気ローザノワールが押して先頭に出て宣言通り逃げる体勢。レイパパレファインルージュデアリングタクトといった有力も前につけて直線へ。ローザノワールが先頭でる中、残り200m手前から力強く加速したソダシが残り100mで一気に抜け出し、後続を寄せ付けず2身差で勝。

ここ2戦はダートに挑んでいたソダシだったが、ここまで3戦3勝の芝マイルではやはり頭一つ抜けた力を示してGⅠ3勝。純女王久々にそのきを見せ付けるレースとなった。

5月22日 優駿牝馬(オークス)(GⅠ) スターズオンアース(C.ルメール)

桜花賞を終えても相変わらず混戦ムードのクラシック2冠。1番人気桜花賞でも3着ながら強さを見せたサークルオブライフ、2番人気忘れな草賞を圧勝し川田将雅桜花賞から乗り替わったアートハウス。その川田に去られた桜花賞スターズオンアースは3番人気。10着に敗れた桜花賞辱に燃えるナミュールが4番人気と、ここまで単勝1桁台。

出走前にサウンドビバーチェが放し(放した原因は、他のに蹴られたこと。これにより顔に怪をしている)競走除外するアクシデントオークスでは2009年ワイドサファイア以来)で発走が大きく遅れ、放送局によっては中継が途中で終わってしまうことに。
レースサークルオブライフが出遅れ後方、14番人気ニシノラブウインクが大きく逃げる展開。直線に入って逃げニシノラブウインクに前で進めたアートハウスや内から突っ込んで来たナミュールが迫る中、外から伸びてきたのが10番人気スタニングローズ、そしてそのさらに外からぐんぐん伸びてきたのが桜花賞スターズオンアース! 最後はスターズオンアースがまとめてかわして突き抜け、桜花賞までの勝ち切れなさは距離が短かったのだと言わんばかりの強さで堂々の二冠達成。

血統表ダイナカールエアグルーヴフランスオークススタセリタを持ち、叔母ソウルスターリングを持つオークス血統を明するように、二冠馬の亡きから牝馬二冠馬が誕生。桜花賞オークスともテン乗りでの勝利は史上初となった。ルメールは意外にも今年のJRA重賞勝利。なおサークルオブライフは12着に沈み、これでJRAGⅠでは昨年のホープフルステークスから1番人気10連敗となった。

5月29日 東京優駿(日本ダービー)(GⅠ) ドウデュース(武豊)

入場制限が緩和され、6万人が集まった東京競馬場、世代の頂点を決める大一番。重賞勝ちコマンドラインが抽選除外となる層の厚いメンバーったが、人気は最終的に4頭に集まり、1番人気ダノンベルーガ。またも大外818番に入れられたイクイノックスが僅差の2番人気、次いで朝日杯ドウデュース皐月賞ジオグリフまでが単勝1桁台で、この4強が軸と見られたが、全員が68の外に回るというこれまた予想の難しい順となった。

レース逃げ宣言のデシエルトが1000m589のハイペースで飛ばし、外人気どころは中団後方から後ろに構える展開。直線に入り2番手につけていたアスクビクターモアが抜け出すが、そこへ後方から外に持ち出したドウデュースイクイノックスが猛然と伸びて群を一気にかわしていく。最後はこの2頭が抜け出し、前でレースを進めたドウデュースイクイノックスの猛追をクビ差ぎきって栄ゴールへと飛び込んだ。

タイムは前年のシャフリヤールエフフォーリア闘が記録した2:22.5をさらに0.6更新する2:21.9という空前ダービーレコード武豊2013年キズナ以来となるダービー6勝、53歳2か15日での勝利は史上最年長記録。そして朝日杯FS勝ちダービーを勝ったのは、1994年ナリタブライアン以来実に28年ぶりであった。あとGⅠの1番人気連敗は今回も継続し11連敗になった。

武豊凱旋門賞を勝つ」――オーナーキーファーズのへ向けて、武豊朝日杯勝利をもたらした2歳王者が世代の頂点に君臨した。

6月

6月1日 さきたま杯(JpnⅡ) サルサディオーネ(矢野貴之)

浦和競馬場ダート1400m交流重賞根岸S黒船賞かきつばた記念と3戦連続2着のヘリオスが1番人気、以下2番人気は前走東京スプリント重賞初制覇のシャマル、3番人気は地元浦和の強ティーダンク、4番人気の前走かしわ記念5着の9歳エアスピネルまでが単勝1桁台。初の浦和かつ中央時代以来3年ぶりの1400m戦である大井8歳サルサディオーネは10.5倍の5番人気だった。

久々1400mでもいつも通りにハナを切って逃げサルサディオーネを、シャマルが2番手でマークする展開。直線で一度はシャマルがかわして先頭に立ったが、そこからって差し返したサルサディオーネが、最後はティーダンクの追撃を振り切って3頭横並びの接戦をアタマぎきって逃げ切り勝ち。

交流重賞5勝、昨年の日本テレビ盃に続き混合重賞2勝を挙げたサルサディオーネ。8歳重賞勝利ブロードアピールメイショウバトラー、ジョリーダンスに次いで史上4頭。混合重賞ではブロードアピール2002年ガーネットS以来、史上2頭記録となった。

6月4日 鳴尾記念 (GⅢ) ヴェルトライゼンデ(ダミアン・レーン)

レース結果exit

別定戦だが、ことごとく56kg、54kgとあたかも定量戦のようになったこのレース。最初の1000mを先頭は601というペースで走る展開。ずっと中団にいたヴェルトライゼンデが最終直線で一気に差し切って、さらに後方7番手から追い込んできたジェラルディーナを半身しのいでゴールを駆け抜けた。

これだけなら別にどうということはない普通GⅢ戦なのだが、このヴェルトライゼンデ、前走は去年1月アメリカジョッキークラブカップで、中495日での重賞勝利地競走では歴代最長記録(これまでの1位スズパレード(1987年宝塚記念1988年オールカマー)の中461日)、障害競走を含めてもテイエムドラゴン(2006年中山グランドジャンプ2007年京都ハイジャンプ(この当時は開催))の中573日に次ぐ2位とのことである。

なおサンレイポケットは3着となり、ここで賞金加算に失敗したこともあり、宝塚記念で賞金不足により除外されてしまうことにも繋がった。

6月5日 安田記念(GⅠ) ソングライン(池添謙一)

混沌としたの短距離戦線の締めくくりとなるマイル王決定戦。相変わらずオッズは割れ、最終的には府中で4連勝中の東京新聞杯勝ちイルーシヴパンサーが単勝4.5倍の1番人気。以下、ドバイターフ8着から帰初戦のシュネルマイスターヴィクトリアマイルから中2週で向かったファインルージュソングラインNHKマイルカップ4着から3歳で挑むセリフォスまでが単勝1桁台。どのも不安要素があり決め手に欠けるという感じで迎えることとなった。

レースホウオウアマゾンハナを切り、中はペースで淡々と流れる展開。直線でも群は広がりが抜け出すのかわからない混沌とした状況の中、内から前で先行していたダノンザキッドが抜け出し、ファインルージュがそれを追いかける。そこへ外から伸びてきたのがサリオス、さらにその外ソングライン。間からはシュネルマイスターがぐんぐん追い上げ、残り100mでこの5頭がほぼ横並びとなったが、先に出たダノンザキッドファインルージュが力尽き、最後はソングラインシュネルマイスターが僅かに抜け出して、ソングラインシュネルマイスターの追撃をぎきって先頭でゴール

ソングラインブービー17着のカフェファラオまで1差という混戦を制し、昨年NHKマイルカップハナ差2着に敗れたシュネルマイスターへのリベンジを果たしてGⅠ勝利。前走ヴィクトリアマイルからの安田記念制覇は2009年ウオッカ以来13年ぶり。

なお、中央GⅠでの1番人気12連敗2007年桜花賞ウオッカ菊花賞ロックドゥカンブと並ぶワーストタイ記録となった。

6月14日~18日 ロイヤルアスコット開催

イギリス ロイヤルアスコット競馬場で5日間にわたって開催される競馬。今年は2頭の日本調教が遠征に向かった。

6月15日 プリンスオブウェールズステークス(G1) State of Rest

レース結果exit

芝 9ハロン212ヤード(2004.3648m)、/騙馬128ポンド(58.05982336kg)・125ポンド(56.69904625kg)

回避が相次いだ結果、わずか5頭立てとなったこのレースロードノース目隠しをとるのが遅れて大きく出遅れる。シャフリヤール逃げState of Restの後ろにつける2番手。最終コーナーを曲がり直線に入ると坂で疲れてしまったのかそのまま失速。4着に終わった。State of Restは最後まで逃げ切り、G1を4かで制する4勝をあげた。

6月18日 プラチナジュビリーステークス(G1) Naval Crown

レース結果exit

芝 直線6ハロン(1207.008m)、/騙馬131ポンド(59.42060047kg)・128ポンド(58.05982336kg)

出走登録27頭、最終的に3頭が当日出走を取り消して24頭立てとなったこのレース。このロイヤルアスコット開催最終日のメインレース日本からはグレナディアガーズが出走。彼は残り1ハロン付近では先頭にいたが最終的には失速し19着に沈んだ。優勝したのは外にいたNaval Crownであった。

ちなみにこのプラチナジュビリーステークスで24頭立てになったのは2010年以来12年ぶりの出来事であった。

6月26日 宝塚記念(GⅠ) タイトルホルダー(横山和生)

GⅠ戦線の締めくくりとなるグランプリ。滅多にフルゲートにならないレースだが、今年は内の実績に加え、海外遠征組帰りも有力が続々と参戦し、グランプリの名に恥じないメンバーとなる。
1番人気大阪杯の惨敗から復権を期すエフフォーリア、2番人気春天を圧勝したタイトルホルダー。以下悲願のGⅠタイトルディープボンド復活に燃える三冠デアリングタクト、大舞台での善戦が続く実力ヒシイグアスドバイ世界に名をかせたパンサラッサ大阪杯3着で小倉専を返上したアリーヴォ、その大阪杯で大金星を挙げたポタジェドバイシーマクラシック3着のオーソリティ、さらには海外の血を覚醒させ重賞連勝のステイフーリッシュ京都記念大穴を開けたTwitterをするアフリカンゴールドの7歳ステゴ産駒組や、ちっちゃすぎるメロディーレーンなどの個性もそろい踏み。
結果、サンレイポケットとヒートオンビートが賞金不足で出走できず、63回にしてレース史上初の除外が出ることに。なお、オーソリティ本馬場入場後に競走除外となり結局17頭立てのレースとなった。

戦前の予想ではパンサラッサ大逃げタイトルホルダーがそれを追うのは確定として、大阪杯ジャックドールに競り掛けハイペースを演出した最内のアフリカンゴールドがどう出るかでペースが決まる……という感じの見方だったが、レースが始まるとタイトルホルダーが絶好のスタートを切りアフリカンゴールドは出遅れ。そのタイトルホルダーパンサラッサがかわしていっていつも通りのハイペース逃げ体勢になり、1000m通過はなんと576! あのサイレンススズカ宝塚記念より1いというハイペースである。

こんなハイペースでは後方有利……と思いきや、むしろ後ろのの方が4コーナー前からガシガシ手綱が動いている。そう、パンサラッサがありえないペース逃げているのに、タイトルホルダーがそれについていったことで独走大逃げにならず、全体がそのハイペースに巻き込まれることになった。最後方のアリーヴォ1000m通過が6061ぐらいで、これは普段の宝塚記念なら先頭の通過タイムでもおかしくない。つまり、あまりにペースが速すぎて後方待機勢すらついていくのがやっとの展開なのだ。そんな中で1頭、持ったままで上がっていくがいる。2番手につけていたタイトルホルダーである。直線入口でパンサラッサを捕まえ先頭に出ると、あとは独壇場。ハイペースで他のがすり潰される中で春天を圧勝したそのスタミナでぐんぐん抜け出すと、後続との差は全く縮まらないまま2身差で勝。
タイム驚愕コースレコード2:09.7同期エフフォーリア(6着)から現役最強の座を奪い取って堂々の3連勝、GⅠ3勝を挙げた。

なお、これで中央GⅠの1番人気は上半期の12レースを全敗(馬券に絡んだのも2回だけ)、ワースト記録更新となる13連敗となった。

6月29日 帝王賞(JpnⅠ) メイショウハリオ(浜中俊)

上半期のダート王決定戦。サウジでは苦杯をめたが前走平安Sトップハンデで圧勝したテーオーケインズ、同じく前走アンタレスSトップハンデで快勝したオメガパフューム川崎記念を勝ちドバイWCも3着と健闘したチュウワウィザードと、現役ダート最強格がそろい踏み。この3頭がったためか、JRA勢でかしわ記念を勝ったショウナンナデシコが回避したのはともかく、地方勢の回避が続出し、地方から出てきたのは元JRAノンコノユメネオブレイブの2頭だけ。結果、交流重賞となってから最少の9頭立てでの開催となった。

レースはオーヴェルニュが逃げを打ち、クリンチャーとテーオーケインズがそれを追いながら牽制し合い、向こう正面でスワーヴアラミスから外から上がっていって、3コーナー前で4頭が先頭集団を形成。その後ろでメイショウハリオがぽつんと構え、チュウワウィザードオメガパフュームは後ろからとなった。
直線に入るところでオーヴェルニュとスワーヴアラミスが脱落したところでメイショウハリオが進出を開始。大外を捲ってきたオメガパフューム、内を突いてきたチュウワウィザードが加わり、上位人気5頭が横に広がっての追いべとなったが、途中でテーオーケインズクリンチャーが失速して脱落。最後は抜け出したメイショウハリオが、チュウワウィザードオメガパフュームの追撃を振り切って、そのまま押し切って1着でゴールに飛び込んだ。

補欠繰り上がり出走の5番人気兵が、現役ダート最強格3頭をまとめて蹴散らしGⅠ初制覇。岡田調教師は開業20年GⅠ初制覇、「メイショウ」冠の松本オーナーメイショウマンボ以来9年ぶりのGⅠ制覇となった。

7月

7月3日 CBC賞(GⅢ) テイエムスパーダ(今村聖奈)

レース結果exit

ハンデ重賞であり、最軽量は48kg、最重量は57kgという大きな差のある負担重量となったこのレース。1番人気負担重量49kgのアネゴハダ(3)、2番人気負担重量48kgのテイエムスパーダ(3)、3番人気負担重量57kgのタイセイビジョン(5)であった。

3コーナーに差し掛かる前には先頭に躍り出たテイエムスパーダは、軽斤量を生かして速度を落とさない。600mの通過タイムは318(動画では317と言っているが、公式の計測では318となっている)!しかも2番の200mは10ちょうど!その後も速度を落とすことなく、終わってみれば2着のタイセイビジョンに3身半差つけて勝利した(3着はアネゴハダ)。

そして、出たタイムは前年のこのレースファストフォースが出した芝1200mの日本レコード1分60を上回る、日本レコード1分58今村聖奈騎手はこれが重賞出走であり、そこで初の重賞勝利を決めたのであった。デビュー121日での初重賞勝利は、武幸四郎の2日(1997年3月1日デビュー3月2日にオースミタイクーンに騎乗しマイラーズカップ勝利(ちなみにこれが彼の初勝利でもある))に次ぐ最短記録exitとのこと。

7月13日 ジャパンダートダービー(JpnⅠ) ノットゥルノ(武豊)

田んぼみたいな不良馬場で行われた大井の3歳ダート王決定戦。1番人気は前走兵庫CSを8身差で圧勝したブリツファング。次いで傷の3連勝で鳳雛Sを制したハピユニコーンSを勝ったペイシャエス兵庫CS2着のノットゥルノが4強として人気を集めた。他、日本ダービーを抽選除外になったコマンドラインサウジダービー2着のセキフウなどが参戦。

レースは7番人気リコーヴィクター逃げブリツファング、ペイシャエスコマンドラインノットゥルノら上位人気が先行策でそれを追い、セキフウハピは後方。4コーナー逃げリコーヴィクターブリツファングとノットゥルノが捕まえて2頭で抜け出し、それをペイシャエスと大外を捲ってきたハピが直線で追いかける展開となったが、ブリツファングを振り落としたノットゥルノが抜け出し、ペイシャエスの追撃を振り切って1着でゴール。上位人気4頭が5着以下を10身突き放すという固い決着となった(が、やっぱり1番人気は負けた)

ノットゥルノ重賞勝利JpnⅠで飾り、ハーツクライ産駒ダートGⅠ級初制覇。上の武豊2005年カネヒキリ以来17年ぶりのJDD4勝で、JRA生え抜き騎手としては初となる地方競馬通算200勝を達成。また武豊2002年タニノギムレットゴールドアリュール)、2005年ディープインパクトカネヒキリ)に続いて、3度の同一年芝ダートダービー制覇。ちなみに同一年芝ダートダービー制覇は武豊しか達成していない。

7月17日 函館記念(GⅢ) ハヤヤッコ(浜中俊)

サマー2000シリーズの1戦。の中、重馬場での開催となった、函館開催のラストを飾るハンデ重賞フルゲート16頭立てでの開催ながら、前売り段階では最低人気アドマイヤジャスタが単勝40倍ちょっと(最終的には67.2倍)という大混戦模様となった。

15番人気レッドライデンが重馬場としては速めのペース逃げ、13番人気ジェネラーウーノがそれを追う流れ。3コーナーくも先行勢が崩れだし、中団前の内につけていた7番人気白毛ハヤヤッコが4コーナーくも先頭に立つ。外から1番人気イネウィルトスが食らいついてきたが、体を泥で汚しながらハヤヤッコは最後まで譲らず3/4身差で押し切って1着でゴール

57kgという重めのハンデをはね除け、白毛として初の中央重賞制覇だった2019年レパードS以来3年ぶりの重賞2勝勝利自体は2021年オープン特別・スレイプニルS以来1年ぶり)。2歳時のデビュー4戦からずっとダートを走っていたが、この年の日経賞から芝に再転向して3戦で芝ダート重賞制覇を達成した。なおJRAダート重賞を勝ったがその後に芝重賞を勝ったのは、アグネスデジタル2000年ユニコーンSマイルCS以来22年ぶり記録となった。

7月27日 サセックスステークス(G1) Baaeed

芝8ハロン(1609.344m) 4歳以上136ポンド(61.68856232kg)、3歳128ポンド(58.05982336kg)、3ポンド(1.36077711kg)減

Baaeed敗の8連勝で圧倒的1番人気(現地オッズで1.17倍)で、2番人気Alcohol Freeと大きく開く(11倍)状況。ゴドルフィンマイルから直行したバスラットレオンは7頭立て7番人気(67倍)という状況だった。

レースはまずはバスラットレオン逃げる展開に。そしてそのまま残り1ハロンが過ぎるまでるも、ほどなくBaaeedに差され、Modern Gamesにもあっさりと抜かされ、ゴール手前でAlcohol Freeにも短アタマ差差されての4着。Baaeedは貫勝利で、連勝を9に伸ばした。

8月

8月20日 2歳新馬 ヤマニンウルス(今村聖奈)

小倉競馬場ダート1700mの新馬戦。1番人気に支持されたのはジャスタウェイ産駒ヤマニンウルス上はデビュー1年にしてくも通算30勝、あと1勝でGⅠ騎乗権利を獲得する今村聖奈

中2番手追走から3コーナーくも先頭に出たヤマニンウルスは、そこから後続を突き放す一方。4コーナーを回って直線に入る頃にはもう大差がついており、そこからさらに差が開いていく。中継のカメラ一杯引かないと2番手以下が映らないような、とんでもない大差をつけて々と1着でゴール

勝ちタイム1:44.3はダート1700mの2歳レコード。上がり3Fは358。そして2着につけたタイム差は衝撃43。これは1984年グレード制導入以降、1986年ツキノオージャが新馬戦でつけた36の記録を大幅に更新する地競走最大着差記録となった。

また今村騎手はこれで通算31勝としGⅠ騎乗資格ゲットデビュー169日での到達は、現行の規定となった1996年以降では福永祐一三浦皇成128日に次ぐ史上3番速さとなった。

8月21日 札幌記念(GⅡ) ジャックドール(藤岡佑介)

例年メンバーの大一番、スーパーGⅡ。今年は連覇を狙うソダシをはじめ、パンサラッサグローリーヴェイズユーバーレーベンなどGⅠ5頭が出メンバー。史上初となるソダシハヤヤッコ白毛対決、これまた初対決となるパンサラッサジャックドール逃げ対決など見所も盛りだくさんのレースとなった。人気ソダシパンサラッサが同オッズで分け合い、ジャックドールグローリーヴェイズウインマリリンと続く形となった。

レースユニコーンライオンが好スタートハナし、パンサラッサがそれをかわして先頭に出て逃げる態勢。ウインマリリンが3番手につけ、ジャックドールは4番手に控え、ソダシは5番手に構える。1000m通過は595と、パンサラッサにしてはだいぶ遅めのペース。4コーナーユニコーンライオンが力尽きて後退し、外を回ってジャックドールが迫る。その後ろは内にウインマリリン、外にソダシ。直線に入ってジャックドールパンサラッサをかわそうとするが、パンサラッサって2頭の追いべに突入。最後はジャックドールがクビ差押し切ってパンサラッサを制し、並み居るGⅠを蹴散らして重賞2勝を飾った。

と、こう書くと(パンサラッサ逃げレースとしては)スローペースの前残りに見えるが……このレース、上がり最速は10着ハヤヤッコ366レースの上がりは377。勝ったジャックドール373時計のかかる洋芝の札幌とはいえ、ほとんどダート並みの上がりタイムこの年の帝王賞の上がり最速が同じく366である)というとんでもない消耗戦だった。発表は良馬場だったが前日までの馬場自体は渋っており、595という均っぽいペースはこの馬場では充分にハイペースだったのであった。

9月

9月4日 小倉2歳ステークス(GⅢ) ロンドンプラン(松山弘平)

レース結果exit

ロンドンプラン落鉄して打ち直し。スタート自体が遅延する。その後、スタートで大きく出遅れてしまう。小倉2歳ステークス1200mの短距離レースである。3コーナー差し掛かるころにも大きく遅れて最後方。第4コーナー抜けたころにようやく集団の最後方に取り付く。小倉競馬場の直線は293mしかない(中山の直線は短いぞで有名な中山競馬場の直線は310m)。しかし彼は集団をまとめてその直線で抜き去り、最後は2着のバレリーナに4分の3身差つけて勝利したのであった。

9月11日 セントウルステークス(GⅡ) メイケイエール(池添謙一)

レース結果exit

メイケイエールソングラインという2頭のお手が出ることになって、どちらかを選ばないといけなくなった池添謙一。彼はメイケイエールを選んだ。というよりも選ばざるを得なかった。彼以外乗れる人はいないのだから。ソングラインブリーダーズカップ・マイルでも乗る予定のクリストフ・ルメール騎手が乗ることになった。

レースシャンリアムーンが逃げ、そのすぐ横後ろにファストフォースがつける形に。最初の600mは325と、この日の高速馬場徴する速さに。残り200mを過ぎファストフォースシャンリアムーンをかわすが、すぐに先行集団から抜け出したメイケイエールが並ぶ間もなく抜き去って突き放し、2身半差の圧勝。タイムは1分62と、2016年高松宮記念ビッグアーサーコースレコードを0.5更新する驚きのレコード。本番のスプリンターズステークス獲りへ万全……のはずだったのだが……(以下後述)。

一方のソングラインは5着に沈んだが、もともと短距離の高速展開に慣れて、本番のブリーダーズカップ・マイルで失敗しないようにするための叩きとしては上出来であった。……はずだったのだが、この後ノド鳴りを発症してしまいアメリカ遠征は取りやめに。勝った方も負けた方もその後は残念なことになってしまった。

10月

10月2日 スプリンターズステークス(GⅠ) ジャンダルム(荻野極)

レース結果exit

1番人気は前走セントウルSを圧勝したメイケイエール、2番人気斤量も有利の3歳ナムラクレア、3番人気マイルからの転向を図るシュネルマイスターとなったこのレース。いよいよメイケイエールGⅠを獲るかと多くの期待を集めた……が、GIシーズンは大波乱の幕開けとなった。

テイエムスパーダが内からやや強引にハナし先頭に立ち、それをファストフォースジャンダルムが追う流れ。メイケイエールはその後ろの先行集団につける。だが4コーナーを過ぎるとメイケイエールは失速し群へ沈む。直線入口で逃げテイエムスパーダジャンダルムが捕まえて抜け出し、最後は追撃するウインマーベルナランフレグしのぎ切って、7歳にして初のGⅠ制覇を成し遂げた。上の荻野騎手も、一度は手綱をベテランに取られた相棒とともに7年で嬉しいGⅠ初制覇。

ジャンダルムビリーヴは、20年前の2002年新潟競馬場でのスプリンターズステークスを制しており、これで子2代でのスプリンターズステークス制覇となった。また、ビリーヴ2003年中山競馬場開催のスプリンターズステークスで、池添謙一が乗るデュランダルの末脚の前に屈したが、今度はその池添謙一が乗るメイケイエールに対し勝利したのであった。
7歳スプリンターズステークス制覇は、調教では初。前走17着からのGⅠ制覇は、1992年天皇賞(秋)17着→有馬記念1着のメジロパーマー以来。日本ダービーに出走したスプリンターズステークス制覇は、グレード制以降では2009年ローレルゲレイロ以来2頭である。

なお、メイケイエールは14着に撃沈。中央GⅠの1番人気の連敗はこれで14になってしまった。

10月1日~2日 凱旋門賞ウィークエンド

今年は6頭の日本が遠征した凱旋門賞ウィークエンド日本が出走したレースも、それ以外のレースも、いろいろなドラマがあった。

10月1日 6R カドラン賞(G1) Kyprios

4歳以上 芝4000m 定量 58kg/1.5kg減 ※日本調教の出走なし

JRA-VAN Ver. Worldから結果exit

2022年に入ってGI3連勝を含む5戦5勝、3戦ゴールドカップ(英G1)と4戦グッドウッドカップ(英G1)では一時代を築いた古Stradivariusを撃破し長距離界の新との呼び高いアイルランド調教Kypriosが断然の1番人気で迎えたレース、同は桁違いの手応えで独走状態のまま最終直線に入るも、そこから大きく外へ斜行。危なっかしさを感じさせるシーンであったが、結局後続に20身というリードを残して圧勝した。

この斜行の考えられる要因について、管理するエイダンオブライエン師は「(別のレースのために)ゲートが出てきたのを見てレースが終わったと勘違いした」ことを落鉄と合わせて挙げている。

10月2日 4R 凱旋門賞(G1) Alpinista

3歳以上 芝2400m 定量 3歳56.5kg/4歳以上59.5kg 1.5kg減

JRA-VAN Ver. Worldから結果exit

日本が4頭参戦したこのレースだが、総大将タイトルホルダー逃げ切れず群に沈み日本最先着の11着。

勝利したAlpinistaは8連勝(うちG1が6連勝)となった。凱旋門賞5歳が制したのは1937年Corrida以来85年ぶり。

10月2日 7R フォレ賞(G1) Kinross

3歳以上 芝1400m 3歳57kg/4歳以上58kg 1.5kg減

JRA-VAN Ver. Worldから結果exit

前年4着のKinrossが1番人気にこたえ優勝逃げたエントシャイデン(現地オッズで最低人気)は残り200mで力尽きて2年連続で3着となった。

10月9日 毎日王冠(GⅡ) サリオス(松山弘平)

例年メンバーが出う伝統のスーパーGⅡ。今年もサリオスレイパパレダノンザキッドポタジェと、10頭立てにGⅠ4頭が顔をえた。10頭中5番人気まで単勝1桁台と人気割れたが、1番人気サリオス、2番人気レイパパレ、3番人気は上がりジャスティンカフェという構図。

レースダノンザキッドスタート前にゲートを破壊して飛び出すというアクシデントで発走が遅れる事が発生。体検の結果異常なしではあったものの外発走となり、6分ほど遅れて改めてスタート。最内のレッドベルオーブが思い切り掛かりながらハイペース逃げキングオブコージとレイパパレがそれを追う展開。サリオスは中団後ろに構える。
直線でレイパパレダノンザキッドが並んで抜け出し、そこに外からジャスティンカフェが襲いかかる。そのままジャスティンカフェが差し切る展開かと思った間、群の中から突き抜けてきたのはサリオス! ジャスティンカフェダノンザキッドの間を突き破るように力強く抜け出し、レコードタイムゴールを駆け抜けた。

サリオス2020年の同レース以来丸2年ぶりの勝利で、オグリキャップ以来となる毎日王冠V2。苦戦が続いたコントレイル最大のライバル復活を告げる勝利となった。また、やらかしたダノンザキッドはちゃっかり3着に好走していたが、当然ながら出走停止と発走調教再審を課されることとなった。

10月10日 マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ) カフェファラオ(福永祐一)

レース成績表exit

1番人気フェブラリーステークス連覇を果たしたものの、府中ダート1600m以外ではあまり結果を出せていないカフェファラオ。2番人気が3連覇をアルクトス、3番人気が今年交流Jpnを3勝したもののJBCスプリント出走が危ういので急遽参戦してきたシャマル、4番人気が昨年武蔵野ステークスを勝ち、かしわ記念でもショウナンナデシコの2着に入ったソリストサンダー。ここまでが単勝10倍以下、そのあと5番人気兵庫イグナイターがつける形となった。

レースは先行集団が固まる中で6番人気ヘリオス逃げカフェファラオシャマル、ソリストサンダーイグナイターらが好位で追走。直線でソリストサンダーが脱落し4頭の争いとなる。逃げヘリオスと追うカフェファラオ叩き合いに内からイグナイター、外からシャマルが追いすがったが、最後はヘリオスカフェファラオが並んでゴール。中継カメラ度ではヘリオスが残したように見えたが、写真判定の結果カフェファラオが差し切っており、GⅠ級3勝交流重賞勝利を挙げた。3着がシャマル(1/2身差)、4着がイグナイター(1/2身差)となり、5着のゴールデンヒーラー(地元岩手の4歳、10番人気)はそこから6身後ろであった。

3連覇をしたアルクトスは14着に沈み、このレース後、引退が発表された。

10月16日 東京ハイジャンプ(J-GⅡ) ゼノヴァース(森一馬)

レース結果exit

ホッコーメヴィウスが1番人気オジュウチョウサンが2番人気となったこのレース逃げるホッコーメヴィウスをゼノヴァース(3番人気)がとらえ、2身差つけてゴールし、初の重賞制覇を果たした。

オジュウチョウサンは9着に沈み、2015年中山大障害(6着、勝ちアップトゥデイト)以来初めて掲示板を外すことになった。

このレースの翌日、オジュウチョウサン中山大障害をもっての引退が発表される。いよいよラストランが迫る。

10月16日 秋華賞(GⅠ) スタニングローズ(坂井瑠星)

レース結果exit

秋華賞設立以来、桜花賞優駿牝馬二冠牝馬秋華賞を敗れたのはブエナビスタだけということで、二冠牝馬スターズオンアース三冠達成に期待がかかった三冠。しかしそのスターズオンアースは故障明けが不安視されて1番人気ながら3.0倍。次いでオークス3着から直行のナミュールオークス2着から紫苑Sを勝ってきたスタニングローズ高野友和厩舎の2頭がそれに次ぐ人気を集める。

オークスに続いてまたもサウンドビバーチェが放するアクシデントがあったものの、遅れや除外はなくスタート。直後、スターズオンアースが前を塞がれ最後方からのレースとなる。14番人気ブライトオンイス逃げスタニングローズが好位で先行、ナミュールは中団に構えた。直線に入りスタニングローズが抜け出すと、外から猛追してきたナミュール、さらに最後方から群を縫うように追い込んできたスターズオンアースの追撃をぎきり、理想的な先行抜け出しで地上の星三冠を打ち破った。

スタニングローズキングカメハメハラストクロップ(最終世代産駒)であり、薔薇一族のGⅠ制覇はローズキングダム2010年ジャパンカップ以来2頭・3回となった。スプリンターズステークス荻野騎手に続き、同期坂井瑠星騎手は中央GⅠ初制覇。そして中央GⅠ1番人気連敗記録15に到達することに。

10月23日 菊花賞(GⅠ) アスクビクターモア(田辺裕信)

レース結果exit

昨年に続き皐月賞ダービーも不在、さらにはどちらの2着も不在。クラシック二冠の連対馬不在は65年ぶりの事で、混戦ムードの菊花賞。1番人気セントライト記念勝ちガイアフォース、2番人気はその2着皐月賞5着・ダービー3着のアスクビクターモア。以下、デビューから5戦連続上がり最速のドゥラドーレス神戸新聞杯を5番人気で勝ったジャスティンパレスらが人気で続く。

レースは12番人気セイウンハーデスが押してハナを切ると後続を引き離して逃げる、逃げる、逃げる。アスクビクターモアは2番手でそれを追い、最内ガイアフォースは中団の前で囲まれる位置に。最初の1000m通過はなんと5872000mでも相当なハイペースと言っていいタイムで、3000mの菊花賞ではあり得ないハイペースである。
4コーナー、残り600mでセイウンハーデスは失速。2番手につけていたアスクビクターモア一気に抜け出し、後続を大きく突き放して直線へ。中団から抜け出してきたジャスティンパレス、そして後方から押し上げてきた7番人気ボルドグフーシュが猛然と追いかけてきて、最後はアスクビクターモアボルドグフーシュ、2頭全な横並びでのゴール写真判定となったが、アスクビクターモアハナぎきって最後の一冠を手に入れた。タイムナリタトップロード2001年阪神大賞典記録した当時の世界レコード3:02.5を21年ぶりに更新する3:02.4コースレコードである。

ディープインパクト産駒はこれで初年度産駒マルセリーナ2011年桜花賞)から事実上のラストクロップ世代まで、12世代連続クラシック制覇というとてつもない記録を達成。上の田辺裕信ロゴタイプ2016年安田記念以来、6年ぶりの中央GⅠ制覇。なお1番人気ガイアフォースは8着に沈み、中央GⅠ1番人気連敗記録16になった。

10月30日 天皇賞(秋)(GⅠ) イクイノックス(C.ルメール)

レース結果exit

アーモンドアイが連覇した2019年2020年コントレイルグランアレグリアエフフォーリアの3強対決だった2021年という、ここ3年にべると絶対的な存在がおらず、古との初対決となる3歳勢vsの実績勢による世代対決という趣の構図となった今年の。1番人気皐月ダービーとも2着のイクイノックス、2番人気海外から帰初戦のシャフリヤール。3番人気札幌記念を勝ってきたジャックドール、4番人気・5番人気は3歳勢のダノンベルーガジオグリフと、ここまでが単勝1桁という混戦ムードとなった。

7番人気に留まったパンサラッサジャックドールバビットと争ってハナを切れるかが展開の焦点となったが、バビットノースブリッジを制して向こう正面でハナを確定したパンサラッサは、そのまま後続を突き放していく。ジャックドールが控えたこともあって、宝塚記念札幌記念と異なりパンサラッサをそれ以上積極的に追うはなく、10身以上突き放した単騎の大逃げとなり、後続は直線の末脚勝負で差し切りを狙う展開となった。

先頭を独走するパンサラッサ1000m通過タイム5741998年天皇賞(秋)の、あのサイレンススズカと全く同じ通過タイムである。大欅を越え、4コーナーを越え、直線に入っても後続を突き放して逃げ続けるパンサラッサ。これだけ離れて後ろは届くのか?ともが固んで見守る中、猛然と追い込んできたのは外からイクイノックス、内からダノンベルーガの3歳勢2頭。ヘロヘロになりながら逃げパンサラッサを、イクイノックスが上がり3F327の末脚で狙い澄ましたように差し切ってゴールを駆け抜けた。そしてパンサラッサダノンベルーガの追撃をぎきって2着。

イクイノックスは史上最短、キャリア5戦での天皇賞(秋)制覇。キタサンブラック2017年と同じ番で嬉しいGⅠ勝利となった。また、1番人気の連敗はこれで16ストップ。稀代の個性逃げの全身全霊の大逃げと、それを完璧に差し切った極限の末脚のっ向勝負にはファンからも賛辞のが止まず、2022年競馬を代表する名勝負として語り継がれるレースとなるだろう。

11月

11月3日 OROカップ・JBCレディスクラシック・スプリント・クラシック

この日はJBC開催日。この日に合わせて通常開催が9月ジュニアグランプリおよびOROカップ(いずれも芝レース)もこの日に合わせての開催とされた。

9R OROカップ(岩手M1) アトミックフォース(矢野貴之)

レース結果exit

すべての出走中央競馬在籍経験あり、かつ準オープン以上の実績があり、一部は重賞制覇歴がある、あたかも中央のローカルオープン競走のような様相となったこのレース。制したのは2020年新潟大賞典(GIII)2着のアトミックフォース。

その新潟大賞典勝ちトーセスーリヤ(ほかにも2021年函館記念(GIII)勝ちあり)は競走中止、予後不良となった。

10R JBCレディスクラシック(JpnⅠ) ヴァレーデラルナ(岩田望来)

レース結果exit

ダート女王決定戦。5月混合JpnIであるかしわ記念を制したショウナンナデシコが断然の1番人気。2番人気・3番人気関東オークス(JpnII)勝ちグランブリッジと、3連勝でオープン入りしたばかりのヴァレーデラルナの3歳勢となった。

いつも通りサルサディオーネ逃げ、それをヴァレーデラルナが外から2番手で追走。最内ショウナンナデシコサルサディオーネの後ろで3番手に構えたが、サルサディオーネがいつもほど飛ばさずスロー逃げとなった上、他のガッチリマークされて閉じこめられてしまう。
4コーナーに差し掛かると例によってテリオスベルが捲ってきたが、サルサディオーネを捕まえたヴァレーデラルナが残り200mほどでそれを振り切る。進路をなくしたショウナンナデシコの深い内に突っ込むことしかできず伸びきらず、最後は外から猛然と追ってきたグランブリッジを、ヴァレーデラルナがクビ差ぎきって勝利。3歳によるワンツーフィニッシュとなった。

3歳JBCレディスクラシック制覇はホワイトフーガ以来2頭上の岩田望来は嬉しいGⅠ級初制覇。岩田康誠2014年サンビスタで制した盛岡の地で子制覇を果たした。

11R JBCスプリント(JpnⅠ) ダンシングプリンス(三浦皇成)

レース結果exit

ダートプリント王決定戦。断然の1番人気は2021・2022年ドバイゴールデンシャヒーン(G1)連続2着、前戦の東京盃を快勝してきた去年の覇者レッドルゼル。2番人気2022年フェブラリーステークス2着のテイエムサウスダン、3番人気が今年のリヤドダートスプリント(G3)勝ちダンシングプリンスとなった。

ところがスタート直後にレッドルゼルが足を滑らせて盛大に出遅れ最後方に。逃げダンシングプリンスハナを切ると気持ち良く逃げリュウノユキナら後続の追撃をものともせず鮮やかに逃げ切った。

三浦皇成2014年全日本2歳優駿以来8年ぶりのGⅠ級2勝

12R JBCクラシック(JpnⅠ) テーオーケインズ(松山弘平)

レース結果exit

チュウワウィザード電撃引退オメガパフュームの回避などで、テーオーケインズメイショウハリオ5歳vsクラウンプライドペイシャエスの3歳勢という感じ構図になったダート距離GⅠ第1ラウンド。実績からもテーオーケインズが断然の1番人気、前走日本テレビ盃でも2着ながら強さを見せたクラウンプライドが2番人気。3番人気メイショウハリオ、4番人気ペイシャエスとなった。

積極的に逃げがおらず、クラウンプライドが押し出されるような格好でスロー逃げる展開に。6番手あたりに構えたテーオーケインズは3コーナー前から徐々に進出していくと、直線入口でクラウンプライドを射程圏内に捉える。クラウンプライドも後続を突き放して逃げったが、外からそれをテーオーケインズがねじせるようにかわし、改めてその実力を見せ付けるような勝でGⅠ級3勝を挙げた。クラウンプライドも2着にり、3着にもペイシャエスが来て、JBCクラシックで3歳が2頭馬券に絡んだのは史上初である。

11月4日・5日 ブリーダーズカップ

日本から一出走したチェーンオブラブ(フィリー&メアプリント)は10着に沈んだが、超弩級パフォーマンスが出たレースがあった。

11R ブリーダーズカップ・クラシック(GI) Flightline

レース結果exit

3歳以上 ダート10ハロン(2011.68m) 定量  北半球3歳騸馬122ポンド(55.33826914kg)、南半球3歳騸馬118ポンド(53.52389966kg)、4歳以上騸馬126ポンド(57.15263862kg)、3ポンド(1.36077711kg)減

それがこのレースである。4コーナーを過ぎて直線に差し掛かる頃にはFlightlineLife is Goodをかわして先頭に。終わってみれば2着のOlympiadとは8身1/4差の圧勝であった(物足りないと思うかもしれないが、これまでで最高の着差がAmerican Pharoahなどの6身半だったことを考えれば文字通りの圧勝だったと言って問題ない)。

このレースをもってFlightline引退、繁殖入りとなった。6レースで2着につけた差の合計は71身差であった。

11月6日 2歳未勝利 フリームファクシ(川田将雅)

6頭立て・阪神2000mの未勝利戦。1番人気フリームファクシがあっさりと差し切り勝ち、2着に2番人気アンタッチャブル、3着に3番人気リコッチが入った。

なんでこんなレースが掲載されているかというとその配当である。3連単の配当はなんとわずか240円。前記した1月賞で記録された3連単最低配当記録くも更新したのであった。

11月13日 エリザベス女王杯(GⅠ) ジェラルディーナ(C.デムーロ)

レース結果exit

エリザベス女王へのか、で重馬場での開催となった女王杯。1番人気三冠デアリングタクト。2番人気秋華賞スタニングローズ、3番人気優駿牝馬3着、秋華賞2着のナミュールの3歳勢。前走オールカマーを勝ったジェラルディーナが4番人気で、ここまでが単勝1桁台。以下重賞3勝のウインマリリン秋華賞除外で西宮Sを快勝した3歳ピンハイと続き、前年覇者アカイイトは11番人気低評価。また、このレースには11年ぶりに外が参戦。アイリッシュオークスマジカルラグーン(8番人気)がやってきていた。

レースローザノワールハナを切り、それをマジカルラグーンが追走する。しかし重馬場で荒れた内を回した先行勢の脚は3コーナーあたりから鈍りはじめ、4コーナーではぎゅっと群が詰まった展開に。そんな中、好位からウインマリリンが抜け出してローザノワールを捕まえにかかるが、そこに外を回して追い込んできたのがジェラルディーナ。さらに最後方から大外を通って12番人気ライラックアカイイトが追い込んでくるが、残り200mを切ってウインマリリンをかわしたジェラルディーナがそのまま突き抜け勝利モーリスジェンティルドンナ良血が待望のGⅠタイトルを獲得した。

2着争いはウインマリリンライラック全に横並びでゴール、長い写真判定の末JRAGⅠでは史上初となる2着同着。4着は最後方から追い込んだアカイイト、5着は中団から抜け出しを図ったがアカイイトハナ差かわされたナミュール。1番人気デアリングタクトは6着、スタニングローズは14着、マジカルラグーンは最下位18着に沈んだ。

11月20日 マイルチャンピオンシップ(GⅠ) セリフォス(ダミアン・レーン)

3年にわたった阪神開催もこれが最後となる、マイル王決定戦。相も変わらずの混戦ムードで、1番人気は前走スプリンターズS9着から戦場マイルに戻ってきたシュネルマイスター。以下芝マイルではとの初対決となるソダシ毎日王冠復活を告げたサリオスと続き、46番人気は前走富士ステークス13着組が着順と逆の人気。4番人気ダノンスコーピオン、5番人気ソウルラッシュ、そして6番人気セリフォスまでが単勝1桁台と人気割れる。

明確な逃げが不在で逃げるか、ペースがどうなるかが焦点となったが、押し出されるようにピースオブエイトハナに立ち、ペースは緩くごちゃついた展開に。スローの流れに耐えかねたようにファルコニアが3コーナーハナを奪い、ロータスランドホウオウアマゾン、そしてソダシらがそれを追う。直線で最内からロータスランドが抜け出しを図るが、残り100mでもが抜け出すか全くわからない大混戦。そんな中、後方から大外一気に集団をみ込んだのが、後方待機していたセリフォス! 脚一一気に突き抜けて快勝した。

秋天イクイノックスに続いて、世代GⅠでは惜敗に終わった3歳が古を薙ぎ払いGⅠ初制覇。昨年の全リーディングにいた中内田充正調教師はこれが古混合GⅠ初制覇となった。

11月27日 ジャパンカップ(GⅠ) ヴェラアズール(ライアン・ムーア)

レース結果exit

今年は外4頭、地方1頭が参戦したジャパンカップ。絶対的な本命はおらず、前走天皇賞(秋)5着シャフリヤール、同3着の3歳ダノンベルーガ、前走京都大賞典を快勝した上がりヴェラアズールの3頭が、3.4倍、4.2倍、4.5倍と人気を分け合う。4番人気6月鳴尾記念を中495日で制した後、オールカマー7着のヴェルトライゼンデ。5番人気が前走エリザベス女王杯5着のデアリングタクト(13.0倍)、外最上位が6番人気オネストとなった。

レース開始前にドイツテュネス入りを渋る一幕もありつつ、レースユニコーンライオンスロー逃げ群が固まった一団の競馬となり、ヴェルトライゼンデがやや前、他の有力は中団から後方に構えた。直線に入っても混沌とした状況の中、残り200m前でダノンベルーガ、次いで外からシャフリヤール、内からヴェルトライゼンデが抜け出す。さらに外からデアリングタクトもそれを追うが、その間に猛然と突っ込んで来たのがヴェラアズール! エイシンフラッシュのような末脚でヴェルトライゼンデシャフリヤールの間を一気に突き抜け、ゴールに飛び込んだ。

年明けにはダート2勝クラスでもがいていたが、芝転向から6戦連続上がり最速で一気にGⅠ制覇。自身のみならず、エイシンフラッシュ産駒、および渡辺薫彦調教師もこれが嬉しいGⅠ初制覇となった。

12月

12月4日 チャンピオンズカップ(GⅠ) ジュンライトボルト(石川裕紀人)

の中距離ダートGⅠ第2ラウンド。前走JBCクラシックを快勝した前年覇者テーオーケインズの連覇は固いと見られ、単勝1.5倍の圧倒的1番人気。その2着クラウンプライドは14.3倍の4番人気まで評価を落とし、2番人気アンタレスS2着以来のダート戦となるグロリアムンディ(7.7倍)、3番人気が前走シリウスSを勝ったジュンライトボルト(7.9倍)だった。

ところがそのテーオーケインズスタートで出遅れ、大外回しの展開に。逃げ宣言のブービー人気レッドソルダードがスロー逃げクラウンプライドが2番手で追走。3歳の6番人気ハピ南部杯3着から距離延長の7番人気シャマルがそれを追い、その後ろにテーオーケインズノットゥルノらが構え、ジュンライトボルトはさらにその後ろに位置取った。
直線入口でクラウンプライドが先頭に立つと、そのまま後続を突き放して押し切りを図る。内からはハピ、外からはテーオーケインズが迫るが、外回しのテーオーケインズは前走のようには伸びない。このままクラウンプライドが押し切るかと思われたが、そこに外から飛んできたのがジュンライトボルト。2番手から上がり2位の367で押し切ろうとしたクラウンプライドを、断然の最速362の末脚で一気に差し切ってゴールを駆け抜けた。

石川裕紀人騎手は9年で嬉しいGⅠ初制覇。数々の名を手掛けた友康夫調教師ダートGⅠはこれが初制覇。河合オーナーには誕生日に嬉しいGⅠ初制覇のプレゼントが届けられた。これでスプリンターズSから、の中央GⅠは8戦連続でGⅠ勝利による初制覇となった。上のGⅠ初制覇も、地方JpnⅠを含めると丸田恭介横山和生荻野極、坂井瑠星岩田望来に次いで今年6人となった。

12月11日 阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) リバティアイランド(川田将雅)

レース結果exit

2歳女王決定戦。1番人気新馬戦で上がり3F314(JRA速記タイという驚愕タイムを出し、前走はアルテミスステークス2着ながら強さを見せたリバティアイランドの2.6倍。他は人気割れ気味で、2戦2勝のモリアーナとウンブライル、そしてアルテミスS勝ちラヴェルが続く。

レースは5番人気サンティーテソーロがロケットスタートから半マイル通過452という、レシステンシアレコード逃げ切った2019年(455)より速いハイペース逃げる。リバティアイランドは中団に構えながら脚を貯め、直線残り200mでサンティーテソーロを捕まえるとあとは突き抜ける一方で2身半差の圧勝。勝ちタイム1:33.1は2006年ウオッカ2020年ソダシと同じタイムである。

これで2022年JRAGⅠは1番人気イクイノックス秋天に続きようやくの2勝。2着に12番人気シンリョクカ、3着に10番人気ドゥアイズが突っ込んだため、3連単178,460円と結構な配当がついた。

12月11日 香港国際競走

この日、香港では4つのG1競走が行われ、そのすべてに日本調教が出走した。

第4レース 香港ヴァーズ(G1) ウインマリリン(ダミアン・レーン)

3歳以上 芝2400m 定量 4歳以上騙馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳騙馬121ポンド(54.88467677kg)、南半球産3歳騙馬111ポンド(50.34875307kg)、各4ポンド(1.81436948kg)減

レース結果exit

日本国内の1番人気はこのレース過去に2勝しているグローリーヴェイズ、2番人気G1級になかなか手が届かないウインマリリンであり、現地オッズではストーンエイジ(2022年ブリーダーズカップ・ターフ2着のオブライエン厩舎の3歳)が1番人気、2番人気グローリーヴェイズ、3番人気ウインマリリンであった。

4コーナー時点で後ろから2番にいたウインマリリンは直線に入ると強な末脚でごぼう抜き。ゴールした時には2着のボタニクに1身半差をつけ、初のG1の栄冠を手にした。ラストラングローリーヴェイズは3着であった。

第5レース 香港スプリント(G1) Wellington

3歳以上 芝1200m 定量 4歳以上・北半球産3歳騙馬126ポンド(57.15263862kg)、南半球産3歳騙馬117ポンド(53.07030729kg)、各4ポンド(1.81436948kg)減

レース結果exit

日本国内の1番人気Lucky Sweynesseで、2番人気メイケイエール。現地での1番人気Lucky Sweynesseであり、2番人気Wellington、3番人気レシステンシアであった。

Sight Success逃げるのをWellingtonが残り200mで捕え、4分の3身差つけて勝利日本の最先着はメイケイエールの5着であり、ナランフレグ10着・ジャンダルム12着・レシステンシア13着であった。

第7レース 香港マイル(G1) California Spangle

3歳以上 芝1600m 定量 4歳以上牡馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳牡馬・騙馬125ポ(56.69904625kg)、南半球産3歳牡馬・騙馬113ポンド(51.25593781kg)、4ポンド(1.81436948kg)減

レース結果exit

サリオス跛行により出走取消となり9頭立てになったこのレース日本でも現地でも1番人気日本でも3連覇がかかるGolden Sixty、2番人気は新鋭の4歳California Spangleとなった。

ずっとハナを進むCalifornia Spangle。Golden Sixtyも中団から追い上げるもクビ差届かずCalifornia Spangleが初のG1制覇を成し遂げた。日本ダノンスコーピオン6着、シュネルマイスターは最下位の9着と沈んだ。

第8レース 香港カップ(G1) Romantic Warrior

3歳以上 芝2000m 定量 4歳以上騙馬126ポンド(57.15263862kg)、北半球産3歳騙馬123ポンド(55.79186151kg)、南半球産3歳騙馬112ポンド(50.80234544kg)、各4ポンド(1.81436948kg)減

レース結果exit

直近3年間日本調教が制してきたこのレース。現地でも日本でも1番人気Romantic Warrior、2番人気ジャックドールであった。

パンサラッサは少し出遅れるもハナをとる。最初の1000mを約60ほどとそれほど速くない逃げとなった。4コーナーを抜け直線に差し掛かるまでは先頭に立ち続けたがKa Ying Starにずっとマークされ続けたこともあり10着に沈んでいった。最後は中団から抜け出したRomantic Warriorが2着のダノンザキッドに4身半差つける圧勝となった。なおジオグリフは6着、ジャックドールは7着、レイパパレは9着であった。

12月18日 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) ドルチェモア(坂井瑠星)

レース結果exit

1番人気ドルチェモア(3.1倍)、2番人気ダノンタッチダウン(3.6倍)、3番人気レイリング(6.5倍)、4番人気オールパルフェ(8.0倍)とここまでが単勝10倍以下。

レースドルチェモア・グラニットオールパルフェウメムスビの4頭での導権争いで始まり、オールパルフェハナをとりきる。最初の600mを341という高速の通過となり、そのまま4コーナーを通り直線へ。グラニットが並びかけるがドルチェモアがあっさりと抜け出し、そのすぐ後ろにいたレイリングと中団後方から差し切りにかかったダノンタッチダウンが襲い掛かるも、ダノンタッチダウンの追撃をクビ差しのぎ切りドルチェモアが2歳マイル王者にいた。3着にはレイリングがそのまま入り、1番人気-2番人気-3番人気という順当な決着となった。このため3連単が4570円という、かなりおとなしい結果となった…が、3着のレイリングの1と4分の1身後ろの4着にはキョウエイブリッサ(16番人気)がおり、場合によってはオッズが大荒れになった可性もあった。

12月24日 中山大障害(J-GⅠ) ニシノデイジー(五十嵐雄祐)

レース結果exit

1番人気はこのレース引退レースとしているオジュウチョウサン、2番人気中山グランドジャンプで2着だったブラゾンダムール、3番人気が前走東京ハイジャンプで1着だったゼノヴァースであった。

まずはビレッジイーグルケンファヴルトハナを切る展開となる。最初の大障害コースを抜ける頃にはゼノヴァースが取り付き、その後ろにオジュウチョウサンとなる。2回の大障害コースを抜けた時にはゼノヴァースに代わってニシノデイジーが3番手に上がり、すぐビレッジイーグルと並ぶような形に。2コーナーを抜けるとニシノデイジーが先頭に立ち、4号障害を抜け、坂路を通り最終障害に差し掛かる頃にはゼノヴァースに3身の差をつける。後方でアサクサゲンキが落し競走中止となるが、最終的にはニシノデイジーが2着のゼノヴァースに3身差つけての勝利となった。3着は中山グランドジャンプでも3着だったマイネルレオーネオジュウチョウサンは7年前の中山大障害と同じ6着に沈んだ。

7年前の中山大障害オジュウチョウサンはこの時も11番であった。そして6年前の中山グランドジャンプを制したのが4月16日。この時まだニシノデイジーは生まれていなかった。彼が生まれたのはその2日後の4月18日であり、まさに世代交代を示す形となった。

ニシノデイジー方の血統はアグネスタキオンセイウンスカイニシノフラワーという、ゲームウマ娘 プリティーダービー」にてキャラクターモデルになった3頭から構成されており、また、この日は中山馬主協会の協力のもと、「ウマ娘 プリティーダービー」のキャストウィナーズサークルにてウィナーズレディとして花束を渡すことになっており、この日は中村カンナ(ナリタトップロード役)がその役割を務めた。

この日の全レース終了後、オジュウチョウサン引退式が行われた。

12月25日 有馬記念(GⅠ) イクイノックス(C.ルメール)

レース結果exit

1番人気イクイノックス(2.3倍)、2番人気タイトルホルダー(3.6倍)が人気を多く占めており、3番人気ジェラルディーナ(7.4倍)がそれに続く形となった。

大方の予想通りタイトルホルダー逃げる形となるが、最初の1000mは612とやや遅めの展開で3身のリード。最終直線に入るまで彼のリードは続いたが、程なくイクイノックスが抜け出し、あっという間に引き離していく。タイトルホルダーは最終的に9着まで沈んでいき、イクイノックスが2着のボルドグフーシュを2身半引き離してゴールした。

ボルドグフーシュ上は来年3月から調教師に転向する福永祐一であり、八大競走全制覇とはならなかったが、これまでの最高は3着(2011年トゥザグローリー)であり、初めて連対した。また、3歳ワンツーは1994年ナリタブライアンヒシアマゾン以来の28年ぶり4例となった。

これによりGIの1番人気勝利数が最小タイになることは回避したわけであるが…

12月28日 ホープフルステークス(GⅠ) ドゥラエレーデ(B.ムルザバエフ)

レース結果exit

1番人気は前走葉牡丹賞ビターグラッセに3身半差つけ1分591で圧勝したミッキーカプチーノ(3.0倍)、2番人気は前走野路菊ステークスで2着アリスヴェリテに2身差つけ勝利したファントムシーフ(5.1倍)、3番人気は前走黄菊賞で2着ビューティーワンに1と4分の1身差つけ勝利したセブンマジシャン(7.0倍)、4番人気東京スポーツ杯2歳ステークス勝ちガストリック(7.9倍)、5番人気は同レース3着のハーツコンチェルト(9.0倍)であった。だが、このレースは大波乱となった。

レーストップナイフにピッタリつけてドゥラエレーデが追い、それをシーウィザードミッキーカプチーノがさらに後ろから追走する展開に。そして最初の1000mは615というペースに。そしてそのまま終盤までもつれ、トップナイフドゥラエレーデが全く並んでゴールイン。最後ハナドゥラエレーデが差し切った。3着はキングレイン(2着と1と4分の1身差)、4着ファントムシーフ(3着とクビ差)、5着ミッキーカプチーノ(4着と半身差)となった。

ドゥラエレーデ未勝利戦ダート1700mで勝ち上がり、東京スポーツ杯2歳ステークスは4着であったであり、14番人気で単勝はなんと90.6倍!そして2着が7番人気、3着が6番人気だったこともあり、3連単は24660.1倍という大荒れなレースとなった。なお、上のバウルジャン・ムルザバエフはこのレース日本レースにおける芝での初勝利となった(ここまでの4勝はすべてダート)。

また、このレースをもって中央GIの全レースが終了。24あるGIでの勝利数はわずか4であり、勝率は.167。これは16レース中3レースのみであった1992年(ニシノフラワー桜花賞ミホノブルボン皐月賞東京優駿)および1995年(タヤスツヨシ東京優駿バブルガムフェロー朝日杯3歳ステークスヒシアケボノスプリンターズステークス)の.188を下回り、最低勝率となってしまったのであった。また、連対率という観点から見ても6レースのみ(.250)であったことから1995年と並んで最下位タイ(上記に加え安田記念(サクラチトセオー、勝ちハートレイク)で同率.250)となってしまったのであった。

なお、トップナイフテイエムオペラオーの半である。

12月29日 東京大賞典(GⅠ) ウシュバテソーロ(横山和生)

レース結果exit

1番人気帝王賞勝ちメイショウハリオ(2.3倍)、2番人気は今年のからダートに転向して重賞初挑戦のウシュバテソーロ(4.3倍)、3番人気は中央GIIIを2勝して、直前のチャンピオンズカップ6着のサンライズホープ(5.2倍)、4番人気ジャパンダートダービー勝ちノットゥルノ(7.1倍)、5番人気紅一点かしわ記念勝ちショウナンナデシコ(15.0倍)で大きく離れていた。

明確な逃げのいない中、ショウナンナデシコハナを進む展開に。それをカジノフォンテン(昨年のかしわ記念勝ち)とアトミックフォース(昨年の新潟大賞典2着で今年中央から地方へ移籍し、せきれい賞・OROカップという盛岡の芝重賞2勝)が追走する。その後サンライズホープリンゾウチャネルが上がってくる。4コーナーを過ぎて直線に差し掛かった時にはショウナンナデシコが先頭でサンライズホープが2番手(アトミックフォースはいっぱいになり、代わりに上がってきたのがメイショウハリオ)。5頭の先頭集団をまとめて抜き去るノットゥルノウシュバテソーロだが、ウシュバテソーロが突き抜け、ノットゥルノに1と4分の3身差つけた。3着にはメイショウハリオが2着と2身半差で入線。

ウシュバテソーロは初めての重賞挑戦で重賞制覇を成し遂げ、横山和生地方ダートグレード競走初制覇となった(というか、タイトルホルダー以外でのGI級初制覇である)。

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関連項目

脚注

  1. *競馬番組一般事項「競走の取りやめ・延期等」によれば、際競走で外調教から出走申し込みがある、定競走などで地方所属から出走申し込みがある、もしくはGIGII、J・GI、J・GII競走である、あるいは3歳GI競走のトライアル競走である(GIIIもしくはリステッド競走で該当するのはアーリントンカップ紫苑ステークスアネモネステークス若葉ステークススイートピーステークスプリンシパルステークスの6競走)場合は出走登録の最低頭数の適用自体がない。また、3歳の未勝利戦に関しては6頭の出走登録が必要である。それ以外は5頭の出走登録が必要である。
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