「フィクションじゃないのかよ!騙された!」とは、ナショナルジオグラフィックの人気番組「メーデー!:航空機事故の真実と真相」シリーズのOPで流れるテンプレコメントである。
本項目ではその他の「メーデー!」関連用語・コメント等についてもまとめて扱う。
概要なのかよ!騙された!
主にこのコメントは、「メーデー!」シリーズのOPで流れるテンプレとして定着している。最近では、長く打つのが面倒臭いのか、フ騙、フィク騙、FND、フィク=ダマーなどと略すのも定着している。
流れとして、動画の最初の方にて、航空事故というあまりにも現実離れした内容、又は目を背けたくなるような内容から、
「 どうせフィクションなんだろ? 」 「 また作り話か 」
といったコメントから始まり、OP後に表示される白字の注意書き"This is a true story. It is based on official reports and eyewitness accounts."およびそれを和訳したナレーションの「これは調査報告書および目撃証言に基づいて再現された、真実のストーリーです。(~シーズン4)」もしくは「これは実話であり、公式記録、専門家の分析、関係者の証言を元に構成しています。(シーズン5~シーズン15)」もしくは「公式記録、専門家や関係者の証言を元にした実話です。(シーズン16~)」の部分で驚愕した視聴者が、
「フィクションじゃないのかよ!騙された!」
とコメントし、その後、あまりにも多いこの弾幕に呆れ果てた人の、「 お前らいつも騙されてるな 」(OID) までがほぼテンプレ化している。
フィクションでないことがわかった後は、真剣に観る。
「メーデー!」は、決して面白半分で制作された番組ではない。この事故はどうして起きたのか?といった事故の原因を究明。その後、このような事故を二度と起こさせないためにどのような対策がなされているのか。など、事故の全貌を解明するドキュメンタリー番組である。決して生半可な気持ちで視聴してはいけない。
いつ頃からこの流れが始まったのか、正確な時期は不明だが2008年~2011年頃に存在したシリーズの動画(現在は権利者削除)にもコメントが残っていることから、初出はこの頃と思われる。
なお一説によると、当初はある一人(と思われる)の視聴者がフィクションじゃなかったのかよ!騙された!とコメントし、それに対してほかの視聴者らが←お前いつも騙されてんななどとリアクションするのがお約束になっていたという。つまりフィク騙ではなくお前いつも~のほうが弾幕コメントであったのだ。
それがいつしか逆転し、フィク騙が弾幕のテンプレートとして定着したらしい。
因みにガルーダインドネシア航空421便編において「床が血まみれ。そう思って足元を見るとただの水でした」という生存者の証言から「血じゃないのかよ!騙された」という意味でFNDをまねたCNDという単語が生まれたりと、応用しやすい故に多数のバリエーションが存在する。他には羽田空港のIATA空港コードであるHNDや、フジドリームエアラインズの略称のFDAなどが混ざっていることも有る。
お前らいつもこんなコメントしてるな
その他、ニコニコのコメントにおいて頻出する「お約束」やテンプレ、用語などは以下の通り。
コメントネタの元となる回の事故概要・事故原因などのネタバレもあるため注意。
穴(ANA)
「メーデー!」5シーズン第3話は邦題が「キャビンの穴」であり、その名の通り当該回ではDC-10の床に穴が開くという事故が2件取り上げられた。
話中でも頻繁に「穴」という単語が登場し、それに対して視聴者がいつしか日本の航空会社でありアナとも読めるANA(全日本空輸)と関連付けたコメントをするようになり、定着した。それ以外の回でも、機体のどこかに穴が開くような事故が発生すると、思い出したかのようにこのコメントがされることがある。
なお、これらの事故に直接ANAは関係していない(ロッキード事件でトルコ航空の事故機であるDC-10の注文をキャンセルしてはいるが)ため、「穴」「ANA」というコメントがされると、「ANA(全日空)への熱い風評被害」というツッコミがされるのが恒例パターンとなっている。また、ANAが就航している空港に行って案内放送を聞けばわかる通り、ANA自らは「エー・エヌ・エー」と略称を発音しており、これが公式の読み方である(日本航空がJALを「ジャル」と読んでいるのとは対照的である)
あのバカ来やがった
→残念機長
テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故において、衝突された方であるパンアメリカン航空1736便の機長が、こちらに突っ込んでくるKLM4805便を見て口走った言葉(の、メーデー!における翻訳)。
原語では"Goddamn that son-of-a-bitch is coming!"と言っており、パンナム機のCVRにちゃんと記録されている実際の発言である。
ニコニコではメーデーのテネリフェ回の動画タイトルになっていることもあり、テネリフェ空港事故の話題や映像が登場する回や、地上衝突・空中衝突事故の回ではコメントとしてよく見かける。また、迷子になった航空機が滑走路上で停止していたため離陸しようとした機と地上衝突したデトロイト空港衝突事故の回では、この台詞を捻った「あのバカ居やがった」というコメントが多く見られた。
アラン・ブイヤール / アランVR
フランス語表記はAlain Bouillard。建物がしょぼいBEA(フランス航空事故調査局)の元調査官。
エールフランス447便墜落事故(→ボナン)やコンコルド墜落事故などを担当しており、「メーデー!」にてBEAが調査を担う回では登場回数が最も多い人物となっている。2022年現在、出演回数は4回(総集編を除く)。具体的な出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
メーデー民からはもっぱら「アランVR」と呼ばれるほか、取材中はまばたきを行わないことに定評があり、登場した際はそれに関するコメントがされるのが恒例。
アンチアイス、オフ
エア・フロリダ90便墜落事故において、パイロットの問題操作の中でも調査員を驚愕させたもの。
1982年1月にワシントンナショナル空港からの離陸直後に起こったこの事故は、記録的寒波の中で発生した、気象が一因のものである。しかし事故原因を探ると、それ以上に機長と副操縦士の状況判断、操作の誤りが積み重なった人災の側面が強い事が判明した。
特に機長がエンジン防氷装置(アンチアイス)をこの異常低温の中でも「オフ」にし、それに対して副操縦士が何ら異を唱えた様子が無かった事が問題視された。この結果、エンジン圧力比(EPR)を測定するための圧縮機入り口センサー開口部が塞がり、離陸時に正しい表示がされず、クルーが判断を誤り出力不足のまま離陸して墜落するに至ったのである。
この事故は「衝撃の瞬間」と「メーデー!」の双方で取り上げられたが、いずれにおいても機長の経歴に厳しく批判が入れられており、特に後者では事故機の生存者から「恥知らず」と罵られている。
以降、パイロットが離陸前の機材チェックをしているシーンでは「アンチアイス、オフ」のコメントが半ばお約束になっている。また悪天候、特に降雪時の離陸シーンでもこの「アンチアイス、オフ」に関連付けたコメントがされる傾向がある。
VK・ドゥッタ / V系ブッダ
ニューデリー空中衝突事故において、事故当時、サウディア航空763便とカザフスタン航空1907便の誘導を担当していたインディラ・ガンジー国際空港の航空管制官。
彼が両機を(もちろんこの2機だけでなくほかに何機も同時並行で)誘導していたところ、空中で衝突し、乗員乗客349人全員死亡という大惨事が発生した。
この航空事故は2019年現在、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故、日本航空123便墜落事故に次いで死亡者数で言えば世界ワースト3である。
事故調査では当初、原因として彼が一次レーダー(→当該項目)を用いた誘導で2機の高度を錯誤し誘導ミスをしたのではないかという嫌疑がかけられ、マスメディアからバッシングを受けた。しかしながら両機との交信記録からドゥッタ管制官はミスなどしておらず、適切な指示を与えていたことが判明した。原因は他にあったのである。
このことから、管制官のミスが事故を誘発したと疑われる場合、「(実は管制官はミスしてなかったという意味で)VKパターンか?」、また、実際に一因が管制官にあったときには「VKさんを見習え」などとコメントされることがある。
ただ、いかにヒューマンエラーが事故の原因であっても、無能や戦犯といったレッテルを貼り、個人攻撃するコメントをすることは「生産的でない」として、常連のメーデー民からは忌避される傾向にある(事故調査ではミスを犯したということのみならず、ミスを犯した原因、今後同じ人為的ミスを起こさないために必要な対策、あるいは過失を犯してしまったとしても安全を担保出来るフェイルセーフの構築といったふうに、システムや組織の問題にまで踏み込んで再発防止策に活かすことが多いため)。
なお事故発生国のインドは仏教の発祥国であるため、悟りを開いた人である仏陀とドゥッタを掛けて「ブッタ」、更には「V系ブッダ」などと表記されることも多い。
航空機同士の衝突事故を引き起こしてしまった管制官は事故後に業務に戻れないことが大半だが、ドゥッタ管制官は事故後も管制官業務を続け、その後は後進の育成に携わっている。「V系ブッダ」表記は単なるネタ表記ではなく、事故を乗り越えて安全強化に尽力し、「管制官の仕事は私の天職です」と言い切る彼の姿に感銘を受けたメーデー民からの賞賛の意味も含まれている。
V1 / ローテート / 回転 / V2は?
飛行機が安全に離陸するためには、重量やエンジン推力などの諸条件から、離陸に必要な速力と加速度を設定しておかなければならない。これは離陸に先立って計算しておくものである。
滑走開始から離陸までは3つのフェイズに分けて速度が管理されている。
①V1:離陸決定速度(take-off decision speed)
静止出発点から加速して、機体に問題がなければ「よし、離陸するぞ」と決定を下す速度。
ちなみにVは速度(Velocity)の頭文字。
速度がV1を超える前になにか異常が発生した場合はブレーキと逆噴射で減速し、安全な場所にタキシング(飛行機の地上走行のこと)をさせることができる。
逆に、V1を超えたなら、エンジンが鳥を吸いこんで火を噴こうが、滑走路上にDC10が落とした部品を踏んで燃料タンクが爆発しようが、とりあえず離陸しなければならない。後戻りのできなくなる速度である。
②ローテート:ローテーション速度(rotation speed)
スカンジナビア航空751便墜落事故では、日本語版翻訳者が「ローテート」という用語の意味を理解していなかったため、「V1……回転」という誤訳(直訳)が起こった。これがメーデー民のハートにストライクしたらしく、以後パイロットが「ローテート」と発するシーンでは、ほぼ必ず「回転」「回転はもう許してやれよ」というコメントが書き込まれるようになった。
③V2:安全離陸速度(take-off safety speed)
機体が地面から離れはじめる速度。V1後にエンジンが1発不調になったとしても滑走距離末端より手前で到達しておくべき速度で、かつ、失速速度を余裕をもって上回るように設定しておかねばならない。
「メーデー!」の再現VTRでは、演出上の理由からか「V1……ローテート」で離陸、そのまま巡航高度に上昇しはじめる場合が多く、視聴者から「あれ? V2は?」「いまV2コールしたか?」と戸惑いの声があがることも。「ちゃんとコールしない→パイロットがちゃんと訓練を受けていないのが墜落原因か?」と深読みするメーデー民もいるとか。吹き替えではない初期の回では原語でV2コールまで描写されている回がちらほらあり、一部メーデー民から「ちゃんとV2がある!」と驚かれることもある。
鬱回
→鬱回
「メーデー!」で取り上げられる事故の多くは、多数の死者を出した悲惨な大事故である。番組中では遺族の悲しみと怒りの声が取り上げられることも多い。そのため一部の全員生存回以外は基本的に鬱回と言ってもいいわけだが、その中でも敢えて「鬱回」と呼ばれるのは、とりわけ悲劇的でやるせない事故を取り扱った回ということになる。それらの回では動画冒頭で「鬱回注意」「この回はマジで辛い」といった視聴者の警告コメントが見られ、その経緯が明らかになった動画後半では悲しみのコメントが多数見られる。視聴には心構えが必要。
絶望的な状況にたったひとり残された客室乗務員の必死の奮闘が報われなかったヘリオス航空522便墜落事故(→プロドロモウ)、機内火災に見舞われた貨物機を救うべく皆が最善の努力を尽くしたにも関わらず悲劇の回避が不可能だったUPS航空6便墜落事故、犠牲者の多くが子供だった上に事故後に責任所在をめぐって死者が出てしまったユーバーリンゲン空中衝突事故の回などが代表的。
また、鬱病の副操縦士が意図的に墜落させたジャーマンウイングス9525便墜落事故(→ルビッツ)の回は、二重の意味を込めてかニコニコではそのまま「鬱回」というタイトルがついている。
AAIB
航空事故調査局(Air Accidents Investigation Branch、もしくはBureau)の略称。
「メーデー!」ではイギリスの航空事故調査局の登場が多い。建物がしょぼいBEAとの比較で「建物がオシャレなAAIB」と言われることが多いが、ぶっちぎりの登場頻度のNTSBや建物ネタで弄られるBEAに比べるといささか影が薄い。
AAIB自体は一般名詞なので、イギリス以外にも、世界各国に「AAIB」と略される航空事故調査局が存在する。たとえばクロスエア3597便墜落事故(→ルッツ)などに解説者として出演しているハンス・ピーター・グラフは、アリタリア航空404便墜落事故の回に事故調査官として出演した際にはテロップで単に「AAIB Investigator」と表示されているが、イギリスではなくスイスのAAIBの調査官である。
NTSC / KNKT
インドネシア国家運輸安全委員会。National Transportation Safety Committeeの略称。インドネシア語表記ではKNKT(Komite Nasional Keselamatan Transportasi)となる。
「メーデー!」ではガルーダ・インドネシア航空をはじめインドネシア絡みの事故が比較的よく取り上げられるため、NTSB以外の航空事故調査組織の中でもわりと登場頻度が高い。略称がNTSBと紛らわしいため、番組内のテロップで「NTSB」と誤記されたことがある。また「KNKT」表記で登場したことも複数回あるが、どういう理由で表記を使い分けているのかは不明。
主な調査官は、視聴者から「なにわろてんねん」と言われてしまいがちなサントソ・サヨゴ、近年の事故で出演が多いレイ・ヌルチャヨなど。
インドネシアは起伏の激しい地形からなる群島の集合体であるため、飛行機が落ちるとすれば探査船が必要な深海か、もしくは登山路すらない山奥のどちらかとなる可能性が高い。このため一たび事故となると事故調査が大変である。ここに匹敵するのはネパールか南アメリカの山奥だろう。
NTSB
National Transportation Safety Board(国家運輸安全委員会)の略称。アメリカの運輸に関わる事故調査組織。アメリカ国内の事故だけでなく、ボーイング社やマクドネル・ダグラス社がアメリカにあるため、ボーイング機やダグラス機の事故では世界各地で調査を行う。世界の航空事故調査機関の中でも最高の経験と知識を持っているため、アメリカが一切関係しない事故にまで調査協力を請われることもある。
「メーデー!」ではぶっちぎり最多の登場回数を誇るだけに、番組の常連となっている調査官・元調査官も多い。本項に独立して記述がある調査官だけでも、ネクタイが派手なグレッグ・フェイス、ブラジルまで失脚しに行ったトム・ハウター、有能ハ○ことクリント・クルックシャンクスがいる。
他にも「デニグロ」の愛称があるデニス・グロッシ、「マックさん」ことボブ・マッキントッシュ、グレッグ並に常連(出演回数13回)なのにいまいち影が薄いボブ・ベンゾン、行動心理学の専門家のマルコム・ブレナー、日本航空123便や中華航空140便など日本および東アジアの事故の回によく出演するロン・シュリード、「英語さん」ことビル・イングリッシュなどがおなじみ。
FBI
→FBI
おなじみアメリカ合衆国の連邦捜査局。Federal Bureau of Investigationの略である。
「メーデー!」では、巡航高度からの突然の墜落や空中分解、街中への墜落など、テロが疑われる墜落が発生すると、NTSBをはじめ各地の事故調査チームや、現地警察と協力して捜査にあたる。
しかし「メーデー!」ではテロの可能性は序盤で排除されることが多いので、出てきただけで特に何もせず退場することが多い。中にはNTSBと見解が対立(事故なのか事件なのか)して事故調査が混迷したこともある(トランス・ワールド航空800便墜落事故)が、テロでないと確信できた所でNTSBへ業務を引き継ぎ撤退するのが一般的である(アメリカン航空587便墜落事故など)。
実際にテロリストによる犯行だった場合は、事故調査よりFBIの捜査に焦点が当たることもあり、普段の「メーデー!」とは毛色の違う回になることもある(フィリピン航空434便爆破事件など)。
俺だってできない
アエロフロート・ノルド821便墜落事故において、副操縦士から操縦に交代を頼まれた時に機長が発した発言。メーデー史に残る迷言とされることもある。
この事故は経年劣化で左右のエンジンの推力がアンバランスになっていたB737を、エンジンの推力調整が苦手な副操縦士が操縦していた。しかし着陸侵入しようとした際にバランスが崩れ過ぎてオートスロットルが効かなくなり、加えてオートパイロットまで解除してしまったので、操縦不能状態に陥ってしまった。
副操縦士がダメでも、機長がまともなら立て直せたのだが、後述の理由で立て直せずに墜落させてしまった。
最終的な要因としては姿勢指示器の誤認識による空間識失調と、すでに過去の放映事例の多くを踏襲するもので「役満」と揶揄されていた。だが、機長が操縦を最後までやりたがらなかった理由が、勤続疲労と見せかけて実は酔っぱらっていた(飲酒状態)からだったという事実が最後に発覚。
違法薬物(コカイン)を常用していたトランス・コロラド2286便墜落事故の機長、およびコクピット内で無駄話(→ステライル・コクピット)や煙草服用をした挙句、警報を無視したLAPA航空3142便離陸失敗事故のクルー2名、また無免許操縦や心中行為を働いた機長・副操縦士(→ルビッツ)らと並び、メーデー史でもワーストクラスのクルーとして視聴者に語られることとなった。
解説兄貴 / 解説コメ
動画内の航空機などを詳細に解説するコメント、およびそれを行うベテランメーデー民のこと。
その多くはこのように緑色で画面下部にコメントされる。
解説の対象は動画内で取り上げられた機種や機体、航空会社、事故調査組織、別の航空事故などであるが、
調査官や豪華客船、テロリスト、メーデー民用語に至るまで、あらゆる解説をすることもある。
特に調査官に関する情報は、いったいどこから調べてきているのかと思うほど豊富。
また、事故調査組織の建物について国際BEA原器に基づく計測をすることでもおなじみである。
カエル漁 / カエル猟 / カエル漁のおっさん
イースタン航空401便墜落事故(→電球切れ)において、生存者を救出したおっさん。
名前はボブ・マーキス。マイアミの沼地でカエル漁をしていた所に飛行機が落ちてきたため、生存者を勇敢かつ迅速に救助した (現場の湿地にはワニが生息し、周りには有毒で燃焼している航空燃料が浮いている中である) 。
なお墜落地点のエバーグレーズ湿地には後にバリュージェット航空592便も墜落しており、その事故と混同されることもあるが、別件である。
格安航空会社(LCC)
このタイプの航空会社は従来型の航空会社と比較してサービスなどの費用を削る代わり、安い航空運賃を提供するのが特徴。しかしながらその中には機材メンテナンスや従業員教育など安全運行に関わる要素をおざなりにしていたり、クルーに過度な勤務を強いている会社(→勤続疲労)も存在する。
そのような体質が一因となってバリュージェット航空592便、アダム航空574便のように墜落事故を起こした事例も存在するため、「メーデー!」視聴者には「格安≒事故フラグ」という印象が定着することとなった。
その中にはマンクス2 7100便墜落事故のように、日本のツアーバス(2013年8月に都市間高速バスとしては廃止)を思い起こさせる、当時の航空に関する国の体制そのものに批判を入れざる得ないような事故事例も存在する。
なおサウスウエスト航空のように、1971年の運行開始から2018年まで乗客の死亡事故を発生させておらず、2012年にスイスから「世界で最も安全な航空会社10社」に選定された会社もあるため、すべてのLCCが危険とは一概には言えない。
髪の毛が逆立ちました
パシフィック・サウスウエスト航空182便(PSA182便)墜落事故の回に出演したカリフォルニアの新聞記者、ボブ・ロドリゲスの発言。ニコニコでは当該回の動画タイトルになっている。
発言全文は「墜落事故が起きたと聞いたときは、髪の毛が逆立ちました」。しかしながら映像の彼はスキンヘッドであったため(しかもアバンと本編で2回もこの発言が繰り返されたゆえ)、メーデー民からは総ツッコミを受けた。
他の回でも、調査官や目撃者などでスキンヘッドの人物が登場すると、この発言がコメントされることがある。
なお、PSA182便墜落事故は1978年の事故であり、「メーデー!」の当該回が放送されたのは2012年なので、彼は34年前の話をしているということは考慮しておきたい。
機影が消えーた
ただのダジャレである。
航空機がレーダーから消失した際に打たれるお約束のコメント。これに対して「メーデー!」視聴者が事故フラグに関連付けた厳しいツッコミのコメントをするまでが様式美と化している。
機長(キャプテン)
- 飛行中の旅客機のコクピットの窓の外に引っかかる(BA5390便不時着事故 → タイタニック機長)
- 飛行中に自分の息子を操縦席に座らせ、操縦桿を握らせる(アエロフロート航空593便墜落事故 → 児童操縦)
- 空中で逆噴射装置を作動させる(日本航空350便墜落事故 → キャプテンやめて下さい!)
- 逆噴射装置で後退し、降雪下でアンチアイス装置をオフにする(エアフロリダ90便墜落事故 → アンチアイス、オフ)
- 大型旅客機をグライダーのごとくフォワードスリップさせる(エアカナダ143便滑空事故 → もう助からないゾ♡)
- 株で大損した腹いせに乗客もろとも心中を試みる(シルクエアー185便墜落事故)
- 他クルーに意見を言わせないほど、高圧的な態度で接する(KLMオランダ航空4805便地上衝突事故 → 残念機長、ノースウエスト・エアリンク5719便墜落事故、大韓航空8509便墜落事故 → CRM、ほか)
- ストライキに賛同する若手パイロットを怒鳴りつけ、コクピットのテーブルに悪口を落書きされる (英国欧州航空548便墜落事故)
- 状況把握をせずに自動操縦を解除して飛行機をきりもみ状態にした後、回復させる(中華航空6便急降下事故)
- バックミラーを付けたら1000ドル支給を約束する(ノースウェスト航空85便緊急着陸事故 → バックミラーを付けてくれたら1000ドルやるぞ)
- 事故機の部品を流用した他の機体に、幽霊となって出没する(イースタン航空401便墜落事故 → 電球切れ)
- 航法装置を無視して磁気コンパス頼みで航行コースを設定する(サンタバーバラ航空518便墜落事故 → 毒舌ナレーター)
- 地上にいる時、降着装置を収納して機体を全損させる(クロスエア3597便墜落事故 → ルッツ)
- 給料が半年支払われなかったため、家族を養うためにバーで副業をする(ウエスト・カリビアン航空708便墜落事故)
- 全エンジン・電源を喪失した状態で神に祈ったら川の橋と橋の間への不時着水に成功する(ガルーダ・インドネシア航空421便不時着事故)
- 歌を歌う(ロサンゼルス国際空港地上衝突事故)
- 額に電光掲示板のように文字を映し出す(ユナイテッド航空173便燃料切れ墜落事故)
- 救命無線機を作動させるために尿をかける(ヴァリグ・ブラジル航空254便墜落事故)
- ストロボを探す(アメリカン・インターナショナル航空808便墜落事故 → ストロボ機長)
- 地上でのチェックリスト実行中に客室乗務員と煙草を回しのみする(LAPA航空3142便離陸失敗事故)
- 情緒不安定になってコクピットで泣きわめき、喫煙し、管制塔スレスレを飛行する(USバングラ航空211便着陸失敗事故)
- 飲酒・薬物服用状態で操縦する(アエロフロート・ノルド821便墜落事故、トランス・コロラド2286便墜落事故)
などが仕事。
貴重な機長
見れば分かる通り、寒いダジャレである。
機長は高度な訓練と長い経験が要求される専門職中の専門職であり、実際貴重な存在である。
ちなみに、機長は大佐クラスの袖章を、副操縦士は大尉から少佐クラスの袖章をつけているのだとか。
儀典長 / ちくわ大明神
ポーランド外務省儀典長、マリウシュ・カザナのこと。レフ・カチンスキ大統領らポーランド国家要人が多数犠牲になったポ一ランド空軍Tu-154墜落事故において、彼は乗客でありながらコックピットに出入りし、濃霧のため着陸をためらうパイロットに暗にプレッシャー(→当該項目)をかけていた。カザナだけでなく軍の総司令官もコックピットに出入りしており、これら要人からのプレッシャーが事故の一因となったことは否定できない。そもそも、大統領が以前の飛行でダイバートを決断した機長を左遷して、その時の副操縦士が今回の機長という因縁がある。
このため、コックピットに部外者が入り込んでいたことを示す音声がCVRに残されていた事故(プロテウス航空706便空中衝突事故など)では、儀典長のことを思い出すメーデー民がちらほらいる。
2chのコピペネタから「ちくわ大明神」というコメントもよく見られるが、こちらはユナイテッド・エクスプレス5925便地上衝突事故のように、無線通信に別の機が突然割り込んできた場合にも使われる。
ちなみに9.11以前は、コックピットへの出入りは現在に比べるとずっと容易なことであり、乗客にコックピットを見学させるサービスをしたりすることはさほど珍しくなかった(例:1994年のアエロフロート航空593便墜落事故 → 児童操縦)。9.11以後は原則としてコックピットは鍵が掛けられクルー以外は立ち入り禁止となっているが、儀典長は着陸前という重要な時間にそれを破っていることも問題である(当該事故は2010年)。一方、ジャーマンウイングス9525便(→ルビッツ)のようにコックピットの厳重なセキュリティが逆に仇になってしまうこともある。
逆推力装置(スラストリバーサー) / 逆噴射装置
ジェットエンジンの排気等を前方に噴出させることで、機体に後ろ向きの力を発生させる装置のこと。
エンジン後方にフタのようなもの展開し、排気を前方に跳ね返すもの(クラムシェル方式・ターゲット方式・バケット方式など)や、エンジンの途中で空気流を前方へ偏向させるもの(カスケード方式など)がある。
本来の用途は、着陸の際に滑走路上で作動させることでブレーキのように機体を減速させるための装置である。
しかし例外的な用途として、駐機場などで機体をバックさせるために使う(パワーバック)こともある。機体をバックさせるには「トーイングカー」と呼ばれる専用の車両を呼び、前輪を押してもらう(プッシュバック)のが正しい手順であるが、これは面倒なので逆推力装置を使ってパワーバックしてしまうパイロットが多かった。
しかしパワーバックは騒音の原因になったり他の機体に迷惑がかかったりするほか、滑走路上のホコリやゴミ、冬季であれば雪や氷などを前方へ巻き上げ、エンジンに吸い込んだり翼の上に積もってしまうことがあり、エア・フロリダ90便(→アンチアイス、オフ)のように墜落事故の一因となったこともある。そのため、現在では禁止している航空会社や空港がほとんどである。
また、飛行中や離陸滑走中にこの装置が作動しまうと、対気速度が大幅に低下し、墜落事故の原因となってしまうことがある。ラウダ航空004便墜落事故やTAM航空402便離陸失敗事故のように、この装置が不具合によって意図せず作動してしまい墜落に至ったケースがあるほか、日本航空350便墜落事故(→キャプテンやめて下さい!)のように、精神錯乱に陥った機長が空中で作動させ、墜落に至ったケースもある。
因みにターボプロップ機やレシプロ機などプロペラ機の場合は、プロペラの角度(ピッチ角)を変えることで推進力を後ろ向きから前向きに変える手法にて同様の効果を生み出している。
キャプテン、やめてください!! / 逆噴射
日本航空350便墜落事故(1982年)における副操縦士の発言、及び事故原因である。事故内容については当該項目を参照。
飛行中に機長が(故意にせよ過失にせよ)まともな訓練を受けた操縦士ならありえないような操作をしたり、日本航空350便の機長のように心神喪失状態であったりする場合、このコメントが打たれることがある。「機長、やめてください!!」と表記されることも。
また操作ミスでなく機材の故障等が原因であっても、飛行中に逆噴射装置(ターボプロップなどプロペラ機であれば逆ピッチ)が作動する異常事態に陥り大事故に至ったケースでは、この事故に関連付けたコメントがされる傾向がある。
なお、日本航空350便墜落事故は2020年現在、まだ「メーデー!」「衝撃の瞬間」のどちらにおいても取り上げられていない。番組内で取り上げられていないにもかかわらず語録入りしているあたり、日本国内の航空事故の中でもこの事故の知名度の高さが伺える。
急成長 / 事業拡大
航空会社が急速に規模を拡大した場合、当然ながら人員や機材が多く必要になり、監督体制もそれに対応させなければならなくなる。
だがLCC(→格安航空会社)の事例などではそれが満足にできず、人員不足を補うため適性に問題がある乗務員を起用したり、社内に余裕がなく整備や教育がおざなりになることもしばしば有る。結果として初歩的な整備・操縦ミスによる重大事故を引き起こすことがある。
それが原因で会社そのものが倒産、廃業、事業譲渡に追い込まれた事例も存在する。
事例が枚挙に暇がないほどあるため、調査パートで「事業拡大」や「急成長」というワードがでてきた場合、「いつもの」というコメントがされるのが慣例化している。「ブラック企業」という指摘がされることも多い。
バリュージェット航空592便墜落事故、トランスアジア航空(復興航空)の2014年と2015年の連続事故、クロスエア3597便墜落事故(→ルッツ)、LAPA航空3142便離陸失敗事故などが該当する。
救命胴衣
機内で膨らませちゃダメなもの。
航空機に搭載されている救命胴衣は、普段は収納の都合からコンパクトになっているが、紐を引くなどすると空気が入り、瞬時に膨張する仕組みになっている。これは旅客機に乗ったことがある方なら、離陸前に客室乗務員などから説明を受けたことがあるだろう(無いという方は次からきちんと説明を聞こう。メーデー民との約束だぞ!)。
これは万が一航空機が海に着水した場合に、機外に脱出した後に膨らませるものであるが、実際の事故では乗客がパニックから救命胴衣を機内で膨らませ、身動きが取れなくなったり脱出できなくなったりする事がある(エチオピア航空961便ハイジャック事件、チュニインター1153便不時着水事故など)。
機内で膨らませてはいけない理由は「機内は狭いので膨らませると邪魔だから」程度の話ではない。海に着水した機体は高確率で着水の衝撃で引き裂かれ、そこから一気に海水が機内に流入してくる。救命胴衣を機内で膨らませてしまうと、どんどん浸水してくる中で水中を泳いで機内から脱出することができなくなり、最終的には機体とともに海の底に沈むことになってしまうのである。前述の事故では座席に座ったまま救命胴衣で身体が浮き上がったためシートベルトを外せず溺死した犠牲者もいたという。
最近の機内放送ではこれら事故の影響からか、必ず機外に出てから膨らませることを呼びかけている会社もある。
勤続疲労
→勤続疲労
操縦士や整備士など航空機の運用に直接携わるスタッフらが、休暇がない、給与の支払いが滞納ぎみ、そもそも給与があまりに安いといった過酷な労働環境に置かれており、それが事故の一因となった、あるいはそれが疑われる航空事故においてコメントされる用語。機械的故障が原因の航空事故でしばしば挙げられる金属疲労のもじり。
破格の運賃を実現したり(→格安航空会社)、あるいは厳しい経営状態から、必要な数のスタッフを雇用せず、少人数で業務を回していると当然ひとりあたりの労働負担は増大する。
極度の疲労や睡眠不足は集中力や判断力を低下させるので、整備士が点検ミスをしたり、パイロットが普通なら起こさないようなミスを犯したり、とっさの緊急事態に対応できなくなったりする。
レバノン料理を良くも悪くも一躍有名にしたエチオピア航空409便墜落事故(→レバノン料理)や、コンチネンタル航空3407便墜落事故、アメリカン・インターナショナル航空808便墜落事故(→ストロボはどこだ?)など。ブラック企業と揶揄されることも多い。
金属疲労
金属に、同じ場所に負荷をかけ続けることによって最終的には崩壊する現象のこと。クリップを折り曲げ続けていたら、曲げていた部分がぽっきり折れることで簡単に再現できる。
飛行機は地上から飛び立ち、高々度を飛んで、地面に降りるということを繰り返す。そのたびに、与圧と減圧を繰り返すので、絶えず同じ箇所に負荷がかかり続けることになり、最終的には崩壊する。航空会社が所有する機体を短いサイクルで交換するのもそのためである。
金属疲労の特徴としては、衝撃で壊れたのと比べると、破損した断面が綺麗であることが挙げられる。この事が事件解決への突破孔になることも多い。
日本航空123便墜落事故(→フィクションであって欲しかった)、チャイナエアライン611便空中分解事故、アロハ航空243便事故などが機材の金属疲労が原因の事故に該当する。
空間識失調(バーティゴ)
人間は内耳にある三半規管を流れるリンパ液で平衡感覚を感知しているのだが、たとえば機体が非常にゆっくりしたペースで傾いていくとリンパ液の流れがゆっくりすぎて内耳が傾きを感知できない。水平線や地平線が見えていれば視覚情報で感覚を修正できるが、夜間や悪天候などで外の景色が見えないと、機体が傾いているのに自分は水平だと感じている状態に陥ってしまう。では傾きに気付けば大丈夫かと言うと、傾きを慌てて修正した場合、今度はリンパ液が逆に流れて、水平になったのに「反対側に傾いている」と感じてしまう状態になり、さらに状況が悪化する場合がある。
この状態に陥ると機体が水平なのか傾いているのか、上昇しているのか下降しているのかがわからなくなる。自分の感覚と計器の表示が一致しなくなり、パイロットは混乱状態に陥り、墜落の原因となる。
パイロットの経験や体調にかかわらず発生するため、優秀なベテランであっても関係なく危険性がある。そのためパイロットは計器の表示を信じるように訓練されるのだが、混乱して姿勢指示器(→当該項目)を読み違えたり、計器よりも自分の感覚を信じてしまって状況を悪化させてしまうことが珍しくない。自分の感覚が信じられない以上は計器だけが頼りであるため、これが発生しやすい視界不良のときに計器の不具合が重なるとほぼ詰みである。
なお動画ではパイロットが機体の傾きに気付いていないシーンで「五円玉吊しておけ」「水の入ったコップ置いとけ」等のコメントが見られるが、傾いている機体は旋回しており、旋回中は遠心力で床の方向にGがかかるので、五円玉を吊そうがコップを置こうが無意味である。
クリント・クルックシャンクス
NTSB調査官。名前の綴りは「Clint Crookshanks」で、発音が一定せず回によっては「クラックシャンクス」または「クロックシャンクス」と発音されていることもある。現在も現役の調査官として活躍しており、「メーデー!」でも常連解説者のひとりである。
ネバダ大学レノ校出身。Winglet Systems社でボーイング727のウィングレットの設計・保守などに携わった後、2002年からNTSBに勤務。機体構造の専門家であり、チャイナエアライン611便、チョークス・オーシャン・エアウェイズ101便など、空中分解の事故では特に専門家として登場することが多い。アダム航空574便の回で真水(→真水)の解説をしたのもこの人。
スキンヘッドが特徴で、何かと頭髪に関するコメントが多いが、調査官としての能力はメーデー民にも高く評価されており、彼が登場すると他の調査官と比べてもコメントが盛りあがる傾向がある。名前から『ONE PIECE』の赤髪のシャンクスと絡めたコメントもちらほら。
2022年現在、出演回数は5回(総集編を除く)。具体的な出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
グレッグ・フェイス
元NTSBの調査官で、「メーデー!」や「衝撃の瞬間」での常連解説者。2022年現在、「メーデー!」への出演回数は総集編を除いて16回(調査官では最多)。具体的な出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
フルネームは「グレゴリー・アレン・フェイス」(Gregory Allen "Greg" Feith)。回によっては「グレゴリー・フェイス」と呼ばれたり、「グレッグ・ファイス」と発音されていることもある。
1957年8月5日生まれ。航空宇宙工学の名門校であるエンブリー・リドル航空大学で理学士を取得後、NTSBに入り、数々の航空事故調査に携わる。NTSB退職後は様々なテレビ番組で航空事故の解説や監修を務めている。
ちなみに「CRASH1」のナンバープレートを持っている。
派手なネクタイに特徴があり、動画サムネイルに用いられていることも多い。→サムネグレッグ余裕
🍰(ケーキ) / 📈(景気)
計器の空耳。絵文字の🍰と何かしらの絵文字で表現されることが多い。
例:計器が全部死んだぞ→♰🍰♰
初出はエアカナダ143便滑空事故と思われ、かなり初期の頃から存在している。
📈は🍰の派生したもの。
ゴーアラウンド(着陸復行) / ミストアプローチ(進入復行)
着陸をやり直すこと。着陸復航・進入復航とも。視界不良で滑走路が見えない、速度が速すぎる、強風が吹いている、滑走路上に障害物があるなど、着陸の安全が確保できない状況において、機体の降下をやめ再上昇し、着陸をもう一度やり直す操作。パイロットの判断で行うことが多いが、管制官が指示する場合もある。
着陸復行と進入復行の違いは、着陸決心高度(デシジョン・ハイト)を超えているかいないか。着陸進入時、その高度まで降下しても滑走路が見えない場合に復行して着陸進入をやり直すのが「進入復行」、着陸決心高度以下で上昇し着陸をやり直すのが「着陸復行」である。
着陸失敗事故や滑走路の手前に墜落した事故では、決心高度を超えても滑走路が見えていないにも関わらず着陸進入を続けるなど、復行の判断の遅れが致命傷になることが多い。
ガルーダ・インドネシア航空200便墜落事故の回ではゴーアラウンドが「旋回」と誤訳されているが、回転(→当該項目)と違ってあまりネタにされていない。
航空燃料
当たり前だが乗り物は一部を除いて燃料で動く。それが切れようものなら動くことは出来ない。もし車ならそれはガス欠であり、その場で止まるだけで済むが飛行機の場合は違う。飛行機は燃料が切れようものならある程度滑空はできるもののそれ以降は墜落する状態になる。メーデーにおいては燃料切れにより墜落する展開もあり、現場の判断ミスにより給油量を間違えてしまう(ギムリ・グライダー)、管制の過ち(アビアンカ航空52便)、ハイジャック犯により最遠方まで飛ぶよう強要される(エチオピア航空961便)といった話がある。
これらの事故の影響により、飛行機の燃料タンクは基本全てを満タンにすることが義務化されている。当初は目的地までの燃料を積むようにしていたが、これらの事件事故の影響を受け常に満タンにして飛行することが第一となった。
高速スタッフロール
大抵のドラマと同様、「メーデー!」でも番組のラストにスタッフロールが流れる。
しかしながら初期の「メーデー!」ではこのスタッフロールのスクロールが異常に速く、ほとんど肉眼で視認できないレベルであるため、しばしばネタにされる。
「スタッフロールが急減圧」「スタッフロールが油圧喪失」など事故の内容に引っ掛けたコメントがされることも多い。
後部座席
代表的な生存フラグのひとつ。
「後部座席は事故時の生存率が高い」というイメージは、日本では日本航空123便墜落事故(→フィクションであって欲しかった)の生存者4名が全員後部座席の乗客だったことによるところが大きいだろうが、2007年にアメリカの『ポピュラーメカニクス』誌と『タイム』誌がNTSB(→当該項目)のデータを元に行った調査によると、1971年以降の生存者と死者が混在する事故における乗客の生存率は、前方座席は49%、中央座席が56%に対し、後部座席は69%という数字が出ている。
そのため後部座席に座っていた生存者や、何らかの理由で後部座席に移動して助かった生存者(→パッションフルーツ)が登場すると、「後部座席最強説」などとコメントが盛りあがる傾向がある。「飛行機に乗るときは必ず後部座席」というメーデー民も多い。
ただし、機体が尻餅をつくように墜落した場合など、墜落の衝撃が最初に後部座席にかかるような場合や、機体後方から機内火災が発生したような場合では、逆に後部座席の方に犠牲者が固まることになる(ユナイテッド航空232便不時着事故など)。
そもそも、死者の出るような航空事故に遭う確率というのは非常に低い。たとえば日本国内の航空会社による旅客機での旅客の死亡事故は、1985年の日本航空123便以降30年以上起きていない。その上、航空事故は乗員乗客全員死亡の場合が多い。そのため上記の生存率も、元となるデータが少なすぎて信憑性には疑問符がつくという意見もある。
実際問題として、後部座席には
といったデメリットも存在するので、利便性と安全性、どちらを取るか考えて選ぼう。
後方乱気流 / ラダガチャ
飛行中の航空機の翼の上下の気圧差が生む渦状の乱気流。翼端渦とも言う。翼の右端からは反時計回りの、左端からは時計回りの渦が発生する。
これに別の航空機が巻き込まれると、その機体は制御を失い、墜落や空中分解の危険がある。大型機ならそれほどの危険はないが、もし大型機の後方乱気流に小型機が巻き込まれるとひとたまりもない。また、風があれば渦は短時間で散って消えるが、無風状態ではより長く渦が空中に残る。高度の低い離発着時は特に危険なため、管制官は前の航空機の発生させた後方乱気流が消えるだけの間隔を空けるように離着陸を誘導する必要がある。
現代の航空機では、主翼の先端が上部に曲げてあるが、これはウィングレットと呼ばれ、後方乱気流を抑える効果がある。後方乱気流は空気抵抗を発生させブレーキとなるため、ウィングレットで後方乱気流を低減することで燃費や乗り心地の向上、主翼にかかる負担の軽減などの効果が見込める。
「メーデー!」で取り上げられた事故では、2008年メキシコ内務省チャーター機墜落事故が、後方乱気流に巻き込まれて墜落した典型的な事例。ちなみに日本でも2003年に海上自衛隊のリアジェット36Aが後方乱気流によって墜落し、乗員4名が殉職している。
2001年に起きたアメリカン航空587便墜落事故では、航空会社が行っていた後方乱気流への対処法の訓練が「後方乱気流で機体が90度傾いた状態からの立て直し」という現実離れしたものだったため(通常は傾いても5度程度)、副操縦士がその訓練通りにラダーペダルを過剰操作した結果、垂直尾翼が破断したのが事故原因だった。
そのため後方乱気流の話題が登場すると、「ラダガチャしなきゃ・・・」「ラダガチャの時間だ」などこの事故を連想するメーデー民も多い。またこの事故で後方乱気流を起こした前方の機はJAL機であったため、他の事故でも後方乱気流の可能性が検討されるとJALのせいにするコメントがちらほら見られる。ANA(当該項目)ほどではないが風評被害である。
コンゴーニャス
2000m未満という短い滑走路が2本しかないにも関わらず、ハブ空港として利用されているために「南半球で最も混雑した空港」の異名をとる。また、「市街地のど真ん中にあり、すぐそばを幹線道路が通っている」「丘の上に建設されており、片側は崖に面している」など、空港としては立地が良くないこともあり、危険極まりない空港とされている。またの名を「メーデー民が最も利用したくない空港」
コンビニ行ってくる
部品が脱落して深刻な事態に陥った航空事故で、しばしばされるコメント。天井やプロペラ、窓などがコンビニに行ってしまうことが多い。
日本におけるネット掲示板で頻繁に見られる書き込み「ちょっとコンビニ行ってくる」に対し、なぜか戦闘機がネタAAとして付けられ、飛行機に関連する一種のネタとして定着したことが起源とみられる。
最新のCG
「メーデー!」シリーズとは別に、当該シリーズにおいてもしばしば航空事故は題材として取り上げられることがあるが、その冒頭で「最新のコンピュータシミュレーションを駆使して」と注釈が入ることからこう呼ばれるようになった。
なお「衝撃の瞬間」のOP部分では上述の「メーデー!」におけるテンプレコメントを捩り、「メーデーじゃないのかよ!騙された!」とコメントされるのが恒例となっている。
また「衝撃の瞬間」シリーズは英題の"Seconds From Disaster"を略してSFDと呼ばれることも多い。
同じ事故を扱っても、「メーデー!」とは大きく違った切り口で描かれることも多いので、両方を見比べるのも一興である。たとえば9.11のアメリカン航空77便テロ事件を扱った回は、「メーデー!」ではハイジャックされた77便側に焦点を当てている一方、「衝撃の瞬間」では攻撃を受けたペンタゴン側に焦点を当てている。
さすカン
「さすがカンタス航空」の略。オーストラリアの航空会社、カンタス航空を讃えた呼称である。
「メーデー!」作中には2010年の32便エンジン爆破事故(A380:シーズン11)、2008年の72便急降下事故(A330:シーズン16)と2回登場している同社だが、いずれの事故もかなりの重大事態に発展したにも関わらず、無事着陸に成功し、死者を発生させなかった。
特にA380の事故回はクルー間の連携で大事故への発展を防いだとされ、メーデー視聴者の中でも神回とされることが多い。この回では事故発生直後、直ちに同社のCEOが安全重視で同型機の運行を原因が究明されるまで停止することを発言してもいる。
このように安全に対する姿勢がクルー、経営陣ともに高いレベルに有る会社だと視聴者の間で評価され、いつしかこのような呼称が生まれた。
1960年のジェット化以後、60年にわたり死亡事故を発生させていない実績を同社は有している。(それ以前の飛行艇の時代等には死亡事故も起こしている)
35L
上記のコンゴーニャス空港に存在する、35L滑走路のこと。
TAM航空3054便オーバーラン事故を扱った回において、機長が(着陸の難しい)35L滑走路に着陸することに気を取られ、エンジン操作を誤ったことが事故の一因としてあげられた。その再現映像においてエコーの掛かった「サンゴーエル……サンゴーエル……」という印象的な声が繰り返されたため、滑走路といえば35Lのコメントがされるようになった。(滑走路の数字に35、数字の後にLが付くとだいたいこんなコメントがつく。ていうかお前ら離陸前にもそんな事言ってるよな)
ちなみに、滑走路に付く英数字(35L滑走路の35Lなど)は、滑走路を識別するためのものであり、基本的には「その滑走路が伸びている方角の磁方位角を10で割って四捨五入したもの」である。複数の滑走路が平行している場合、2本であれば左から「L R」3本であれば「L C R」と付ける。同じ滑走路でも、反対側から見た場合には(例えば35L滑走路は反対側から見ると17R滑走路となるというように)別の名称がつく。
つまり「35L」は「北からやや西よりの方角に向かって伸びている複数の平行した滑走路のうち、一番左の滑走路」という意味である。
では、4本以上の滑走路が平行している場合はどうするか?日本の法律(航空法施行規則別表第五第3項備考第5号)では、4本なら「L LC RC R」、5本なら「L LC C RC R」とする、と規定されている。しかし実際には世界的な傾向として、千歳・新千歳空港の「01L/19R」「01R/19L」「18L/36R」「18R/36L」滑走路のように、数字の方に+1するか-1して区別する場合が多いようである(こちらも前述の法律で一応認められている)。
残念機長 / ザンテン機長
→残念機長
世界最悪の死者を出した1977年の航空事故、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故(死者583名)において、KLMオランダ航空4805便側にいたヤーコブ・ファン・ザンテン機長の俗称。直接的な事故の引き金は彼が管制官の許可を得ずに離陸滑走を始めてしまったことであるので、名前からの連想でこう呼ばれる。
ただし、空港の混雑、濃霧、管制官とパイロットの間の言語の壁、航空会社の就業規定、そして最悪のタイミングでの無線の輻輳など、他にも多数の要因が絡まっているため、事故は彼のミスだけが原因というわけではない。
転じて、パイロットエラーの事故の中でも特に機長の過失によるところが大きい場合、こう揶揄されることが有る。当該項目を参照。
CRM / 儒教
Crew Resource ManagmentないしCockpit Resource Managmentの略称。元々は後者の略称とされていたが、現在ではコクピットの外にいる客室乗務員(フライト・アテンダント)を含めたクルー全体の訓練手法と位置づけられるようになったため、前者の略称とされるのが一般的となっている。
航空機という「空飛ぶ密室」の中において、機長や副操縦士といったクルーの人的や時間的な資源(リソース)は限られており、特に緊急時においてはその限られた資源をどう管理(マネジメント)し、活用していくかが問題になる。これがCRMの概念である。
CRMが上手く機能するためには、クルー間でのコミュニケーションと役割分担が円滑に行われている必要がある。そのため厳格な上下関係は阻害要素と見做され、相互の合意による意思決定が重んじられている。
例えば、「機長が役割分担を怠ったために、全員が電球の交換に集中し、高度が下がっていることに誰も気づかず、結果として地面に衝突してしまった」(→電球切れ)や、「副操縦士は発生した問題に気付いていたが、機長が普段からあまりにも高圧的な態度で接していたため萎縮してしまい、自分の意見を言い出せず、結果として墜落に至った」(大韓航空8509便墜落事故)更には「部下が疑問を呈していたにも関わらず、上司の判断で強硬した結果、大事故になった」(→残念機長)などというのは、CRMの失敗が引き起こした事故の典型例である。
逆に、「2つのエンジンが両方とも停止するとすぐに機長が副操縦士から操縦を交代し、副操縦士には緊急時用マニュアルの読み上げと実行を指示し、着水直前になっても機長は副操縦士に『他にできることはあるか?』と問いかけ、それに対し副操縦士は『いえ、ありません』と答える」(→ハドソン川の奇跡)というのは、危機的状況下においてクルー間での役割分担とコミュニケーションが上手く機能し、乗員乗客を救った典型例である。
CRMの普及にあたっては、その国の伝統や航空会社の組織体質が阻害となることも多い。
先述した大韓航空8509便墜落事故の場合、大韓民国空軍OBのクルーが多く、軍隊在籍時の階級を元にパイロットが他のクルーへ威圧的になる社風が強かったこと、また李氏朝鮮時代からの儒教に基づいた「上の者の名誉を自身の死よりも重んじる」風潮が残っていたことが事故の背景として上げられた。「メーデー!」視聴者にはこの事故により、韓国系航空会社の組織問題の背景には「儒教」文化があるというイメージが定着した。
大韓航空は当該事故を含めて3年連続で墜落事故を引き起こしており、事故後にはデルタ航空の副社長を招聘するなど、この風潮に切り込む対策を行っている。
なお、残念機長と同じく航空業界とは縁がない者であっても他人事ではいられない項目である。なぜなら残念な上司がのさばるのも環境が劣悪なのも航空業界だけではないからで、周りが必死になって止めたにも関わらず上司が自身の判断を優先して強行した結果、残念な結果になってしまったというのは列挙にいとまがない。ただ、死者が出ないから目立たないだけである。企業の重役クラスはメーデー視聴を義務にすべきだと思う。
CFIT
Controlled Flight Into Terrainの略称で、機材や計器などに問題はなく通常通りの飛行が可能な状態にも関わらず、地上や山岳など障害物に衝突してしまうパターンの航空事故を示す用語。「シーフィット」と発音する。
パイロットの状況判断ミスや操縦ミスが原因となる場合が多く、機材や計器の改良が進んだ現在では、相対的に航空事故において占める割合が増加している。
イースタン航空401便墜落事故(→電球切れ)や大韓航空801便墜落事故(→ヒゲクマ機長)などが該当する。
姿勢指示器
機体と水平線を表示して、どちらかを傾けることによって機体の傾きを表示する計器。飛行機の場合、常に地平線が確認できるわけではなく、夜間に至っては真っ暗なので極めて重要な計器の一つである。故に、地平線が確認できない状況でこの計器が不具合を起こすと致命的な事態になりやすい。
姿勢指示器には西側諸国で使われる西欧式(ボーイング、エアバス)、ロシア圏で使われる東欧式(アントノフ、ツポレフ)の二種類があり、西側では地面を傾け、東側では機体を傾けるという違いがある。このため、東側出身のパイロットが西側のエアラインに就職する、もしくはロシアで西側製機体を操縦した際、緊急事態になった時に、指示器の表示を誤解してしまって墜落というケースが起きている。東側の機体を使うケースは稀になっているので逆はない。
自動操縦(オートパイロット)
文字通り、パイロット達に代わって航空機を自動で操縦してくれる装置。
長時間操縦しなければならないパイロット達の精神的肉体的疲労は計り知れない。しかし、一度離陸してしまえば、(何か問題が発生しない限りは)後は着陸する滑走路に近づくまでは、決められた高度と進路に従って飛ぶだけの単純作業であることも事実である。それを機械に任せてしまおうと発明されたのが自動操縦装置である。
近年では、コンピュータテクノロジーの発達もあり、空港側の設備さえ整っていれば着陸も人間より上手くやってのけるなど、自動操縦技術は格段に進化している。そのため離陸を除くほぼ全ての操縦を機械が行うこともごく当たり前になっている。(離陸の自動化も技術上は可能だが、安全上の理由から人間の手で行うことになっている)
その一方で、自動操縦が一因となって発生してしまう事故が多いのも事実である。自動操縦が解除されたことにパイロットが気付かないまま致命的な状態に至ってしまう(→電球切れ、児童操縦)、自動操縦が何らかの理由で使えなくなった途端に自分で操縦できずに墜落してしまう(→ボナン)、自動操縦がパイロットの操縦を拒絶する(エールフランス296便事故、中華航空140便墜落事故など)、自動操縦に入力する方位や目的地の設定を間違える(アメリカン航空965便墜落事故、ヴァリグ・ブラジル航空254便墜落事故など)といったパターンがある。
これらはパイロットの自動操縦に対する過信や最新鋭のシステムへの不慣れといった要因によるパイロット側の単純なミスの場合もあるが、自動操縦の解除アラームが鳴らない、解除の手順がややこしい、スイッチが押し間違いやすい場所にあるといったインターフェースの問題や、訓練や情報伝達の不備がミスを誘発する場合も多い。
ちなみに、2大航空機メーカーであるボーイングとエアバスには自動操縦に対する哲学に根本的な違いがあり、ボーイングは機械よりも人間を信頼し、エアバスは人間よりも機械を信頼する傾向にあると言われている。
児童操縦
アエロフロート航空593便墜落事故の事故原因は、「機長が自分の息子(16歳)をコックピットに入れ、操縦席に座らせ、操縦桿を握らせた」ことによるものという、衝撃的なものであった。
当の機長たちは、自動操縦が有効であれば、子供が操縦桿を操作しても飛行に影響はないと考えていた。しかし、この息子がたまたま自動操縦を解除する「隠しコマンド」的な操作をしてしまったために、自動操縦が解除され、文字通り「児童操縦」になってしまった結果、墜落に至ったのである。
モラル欠如など、クルーの行動に問題があった航空事故でしばしば代表例として挙げられることが多い。
尺 / 残り時間
「メーデー!」の事故調査パートでは、事故の真相に行き着くまで他の仮説について検証し、逐一除外していくという構成となっていることが多い。そのため調査パートの初期で上がった仮説が事故原因であったケースは少なくなる傾向がある。また、ベテランのメーデー民ともなれば、再現映像の段階で事故原因が推測できてしまうケースもある。
これを元に、「メーデー!」視聴者は動画の尺や残り時間から「これは今回の事故原因じゃないな」などと推測を働かせたコメントを書き込む傾向がある。「メタ推理やめ」などそれに対してツッコミが寄せられることも多い。
ジョン・ナンス
航空事故や航空機に関する解説者。「メーデー!」でも、初期の頃からの常連である。
フルネームは「ジョン・J・ナンス」(John J. Nance)。1946年7月5日米国ダラス生まれ。南メソジスト大学で法務博士号を取得後、米空軍に入隊し、ベトナム戦争と湾岸戦争にパイロットとして従事した。現在でも空軍予備役で中佐の階級を持つ。その後はABCニュースなどのテレビ番組で航空機の専門家として出演している。
また、彼は冒険小説作家でもあり、彼の小説のほとんどは航空機を題材としたものとなっている。日本でも新潮文庫・ハヤカワ文庫から何冊か翻訳・出版されており、代表作の『着陸拒否』(新潮文庫、原題は"Pandora's Clock")および『メデューサの嵐』(新潮文庫、原題は"Medusa's Child"、ドラマ版の邦題は『核弾頭メデューサ』)は、米国でドラマ化されたほか、前者は日本でもラジオドラマ化された。「メーデー!」のような航空事故調査がメインの作品が読みたい人には、デビュー作の『ファイナル・アプローチ』(ハヤカワ文庫、原題は"Final Approach")がオススメ。
ネクタイが派手なグレッグ・フェイス(→当該項目)や、滅多にまばたきをしないアラン・ブイヤール(→同左)と違い、これといった個性的な特徴がないため、メーデー民からは今のところ特にキャラ付けはされていない。敢えて言えば、「ナンス」という愛称を持つ声優に関連して「(*>△<)<ナーンナーンっっ」というコメントがされる程度。
2022年現在、総集編を除く「メーデー!」出演回数は13回(日本未放送回含む)で、調査官ではない解説者ではジョン・コックス(18回)に次いで多い。出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
ステライル・コクピット
直訳すると「無菌の操縦室」。操縦室内での操作や確認事項が増える時間帯での安全を保つために定められたルール。
「クリティカル・イレブンミニッツ」(魔の11分)という表現もある通り、飛行機の離陸前の3分間と着陸前の8分間は天候や鳥など自然環境の急激な変化が起きやすく、更に煩雑な操作や確認作業が続き人間のミスも生じやすいことから、事故の発生しやすい時間帯とされている。この内、後者の人間のミスによる事故を抑えるため定められたのがこのステライル・コクピットというルールである。
日本航空(JAL)の場合、「飛行機が離陸し高度10,000フィート(3000m)に達するまで」と「降下し10,000フィートを割ってから着陸し駐機場に停止するまで」がこの時間と定められている。
この時間内、コクピット内では操縦士は運行に不必要な言動(雑談など)を行ってはならず、また客室乗務員や地上係員も運行の安全に関わること以外の連絡を操縦室と行ってはならない。
このルールが出来た背景には、クルーらが雑談等を行い業務に集中しなかったことにより、確認や操作を忘れてしまい、重大事故に至った例が続出したことが挙げられる。
1988年のデルタ航空1141便墜落事故、1999年のLAPA航空3142便離陸失敗事故などがその代表例である(いずれも離陸前チェックリストを読み飛ばしフラップを展開していなかった)。
ストロボはどこだ? / ストロボ機長
アメリカン・インターナショナル航空808便(カリッタエア808便)墜落事故における、ジェイムズ・チェイポ機長の発言。
この事故はキューバの領空との境界近くにある空港に着陸しようとした貨物機が、制限空域側からの侵入になるため着陸が難しい滑走路10への着陸をクルーがわざわざ選択した挙げ句、旋回の遅れを取り戻そうとしての急旋回により失速しての墜落であった。
制限空域との境界には目印となるストロボライトが設置されているのだが、CVR(→ブラックボックス)に録音されたクルーの会話では、機長は失速しかかっているにも関わらず「ストロボはどこだ?」と目視でストロボを探すことに固執して失速への対処を怠り、副操縦士や航空機関士もそれに対して強く指摘しないまま、急旋回で失速して墜落に至った。3人のクルーは全員ベテランだったが、コックピット内のコミュニケーションの欠如や、直接の事故原因となったミスはとてもベテランのやることとは思えないものであったため、視聴者の多くが典型的なベテランとは名ばかりの無能機長(→残念機長)と儒教(→CRM)の合わせ技による事故だと思い込んだ。
ところがクルーの勤務状況を調べると、クルー全員が半ば強制的な超過勤務による疲労困憊と夜勤による睡眠不足で判断力が著しく低下している状態(→勤続疲労)だったことが判明。さらに機長の探していたストロボは故障して機能しておらず、その情報が管制官にもクルーにも行き渡っていなかったというオチまでつき(副操縦士と航空機関士も、実は小屋のトタン屋根の反射光をストロボと見間違えていたことも判明する)、機長を批判していた視聴者の手のひらは高速回転することになった。
奇跡的にクルー全員が生還できたことが不幸中の幸いと言えるが、副操縦士は事故で片足を失い、機長は負傷のため事故後には商業飛行業務には戻れなかった。番組に出演した機長の「疲れたときには、注意してください」という一言を多くのメーデー民が重く受け止めたのであった。
以降、不自然な急旋回や、クルーが地上の目標物を探すことに固執している様子が描写される回では「ストロボはどこだ?」「←ストロボ機長は休んで」といったコメントが見られる。
スペック厨
ハイジャック犯達は機長にオーストラリアへ行くことを要求したが、機長が「燃料が足りないから無理だ」と説得すると、「この機体の最大航続距離ならオーストラリアまで飛べるはずだ」と言い張り、オーストラリア行きを強行させた。
「最大航続距離」とは文字通り、その機体の燃料が満タンの時に最も効率のいい飛び方で飛んだ場合に飛べる理論上の距離のことを言う。しかし旅客機は普通、少しでも重量を軽くするために、必要な分の燃料しか搭載しない。もちろんこの機体も本来の目的地まで必要な分の燃料しか搭載していなかった。結局コモロ諸島付近まで飛行した辺りで燃料切れを起こし、海に着水したが、その際に機体がわずかに左に傾いていたために、着水と同時に機体がバラバラになり、多くの犠牲者を出した。
この最大航続距離という理論上の性能(スペック)にばかり固執し「旅客機はいつも燃料満タンで飛んでいるわけではない」というごく当たり前の現実を無視した「愚行」に驚愕したメーデー民により、犯人たちは「スペック厨」と呼ばれることとなった。
着水する際の映像が観光客によって撮影されていたため、「メーデー!」では着水の話題となると頻繁にこの映像が流され、「あのスペック厨の事件か」といったコメントがされるほか、ハイジャックの話題などの際にも思い出したようにこのコメントがされることがある。
スラムダンク進入
着陸進入のテクニックの一つで、段階的に速度と高度を落とすのではなく、崖から飛び降りるようにして一気に高度と速度を落としていく方法。
着氷の危険性が高い雲を一気に抜けるられるので、小型機が着氷のリスクを避けるために行うが、勢いがついているので、速度と高度の把握を綿密に行わないと簡単に墜落してしまう大変リスクの高い着陸方法である。
重要なのは、操縦者(機長)に高いスキルが求められるのは当然の事であるが、機体状況をモニターする相棒(副操縦士)にも高い能力が要求されるという点である。相棒が未熟であったり新米であったり、あるいはコクピット内の空気が最悪であったりすると、たちどころに地獄へスラムダンクということになってしまう。
生存者
乗員乗客全員死亡のケースが多い航空事故においては貴重な存在。
生存者は乗客のことが多いが、インタビューなどに登場すると安堵の声が上がる。
登場人物が事故機の乗務員であった場合は、死亡者が発生しなかった事例のこともある(エアカナダ143便など)ため、視聴者の間には更に安心感が生まれる。
逆に事故機の搭乗者がインタビューに登場せず、その親族や知人のみが登場する場合、あるいはその搭乗者についての説明が過去形のみである場合は、乗員乗客が全員死亡した航空事故であるため、「過去形……」「本人が登場しない……」という悟ったようなコメントがされる。察しが行きすぎて、ありとあらゆる過去形の表現に過剰反応してしまうメーデー民も。
操縦席
構成上、飛行機事故の発生から終熄までの展開を描く上で機長と副操縦士がいる操縦席を主体に描くことが基本中の基本である。密室であり、離陸から着陸まで殆ど外に出ることは少ないことや操縦の上で大事な装置が大量に配置されているため、事故を語る上でより重要な位置づけになる。例えば異常が発生したときに警報が出てくる(ほとんどの回)、操縦士が他のメンバーを締め出して施錠する(ジャーマンウイングス9525便など)、外部からの侵入者によりハイジャックされる(エチオピア航空961便など)、火災が発生して視界不良になる(UPS6便など)等色々な非常事態が発生する場所として有名。更にレアなもので、機長が外れた窓から外に吸い出される(キャプテン・ストライク)、子供が操縦桿を握って制御不能になる(アエロフロート航空593便)というのもある。
実際、飛行機が安全に運行する上で大事な部分であり、万が一ここが占領されると最悪の事態に陥ってしまう。90年代末期までは普通に出入りが出来るようになっていたが、2001年のアメリカ同時多発テロ以降はダイヤル方式で施錠されドアの材質も硬いものに変更された。これで安全になったと思われたが、操縦士が自殺するために他者を締め出して墜落するという事件が発生し、以後ドアは通常の軟質素材に変更され簡単に出入りできるように改められた。勿論操縦士の精神状態のチェックも念入りになったという。これで防犯上大丈夫かと思われがちだが、空港の検査が厳重になり入念なチェックが乗客に対して行われるようになった、同時にハイジャックも減少したため問題にはならなかった。現実にロンドンのヒースロー空港において2006年に起きた旅客機の爆破未遂事件が象徴である。
タイタニック機長 / キャプテン・ストライク
ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故における機長、ティム・ランカスターのこと。
この事故では航行中に操縦席前方の窓が吹き飛び、与圧空気が機外に吹き出したことにより、機長が飛行機の外に吸いだされるという前代未聞の事態が発生した。
辛うじて足が操縦桿に引っかかったことにより、空中に放り出されるという事態は避けられたが、それから緊急着陸までの間、他のクルーに支えられながら高速で巡航する飛行機に張り付いた状態となってしまった。
この再現CG映像が笑える事態ではないのに余りにシュールなものであったため、まるで映画「タイタニック」の名シーンを思い起こさせるものだということで、タイタニック機長という俗称が付けられるに至った。
また事故機はエンジンが機体後部の胴体付近にあり、仮に機長がそのまま外に吸い出されるとそれに吸い込まれてエンジンを破損、更に操縦が困難となる恐れがあったため、「バードストライク」をもじって「キャプテンストライク(の危機)」というコメントも多く寄せられた。
なおこの機長は凍傷となったが生還し、半年後には機長に復帰しているため、「異能生存体」という俗称も付けられている。
タイトル回収
「メーデー!」では各話サブタイトルが付けられているが、ニコニコにアップされた際には大抵それとは別のタイトルを投稿者が付けている。そのタイトルは事故の原因や内容を表す言葉であったり、ストーリーの登場人物やナレーションの台詞に由来するものであったりと色々。
動画の内容がそのようなタイトルの由来となった言葉や台詞に差し掛かった時、メーデー民が発するのがこのコメントである。同様に、サムネとして使われた場面が登場すると「サムネ回収」も用いられる。
冒頭でいきなりタイトル回収されることもあれば、終盤になってようやく出てくることもある。
ダイバート
悪天候などによって目的地の空港に着陸できないため、代わりの空港に着陸すること。後日、天候や機体が安定した時に目的地に向かって飛ぶことになる。
ダイバートをすると乗客全員の滞在費用が必要になるなど、航空会社に多大な負担がかかるのでパイロットとしては避けようとする傾向にあるが、着陸を強行して事故ればそれ以上の費用がかかるのは言うまでもない。そして、ダイバートを決断していれぱ事故にならなかったというケースが大量にある。
第4エンジンに愛着はないな?
1989年にアメリカ海洋大気庁の観測機NOAA42が、ハリケーン・ヒューゴの中でエンジン1機を失い操縦困難となるトラブルが発生。
対応に苦慮している中、新たなトラブルとして第4エンジン前縁にプロペラのための除氷ブーツが外れて付着、ターボプロップエンジンの空気取り入れ口に吸い込まれて更にもう一つのエンジンが停止、操縦不能となる危機に見舞われた。
それを発見したクルーが発した、危機の中でのジョーク交じりの発言がこれである。
他の航空事故でエンジン関係のトラブルが生じた場合、思い出したようにこのコメントがされることがある。
余談だが、3発機以上の飛行機のエンジンは、左翼の外側から順に番号が振られている。エンジンが4発なら、左翼の外側が1番エンジン、内側が2番、右翼内側が3番、そして右主翼外側のエンジンが4番となる。
双発機なら右舷エンジン・左舷エンジンと呼ぶ。
DC-10のような3発機の場合は、左舷エンジンを1番、垂直尾翼のエンジンを2番、右舷エンジンを3番エンジンと呼称する。
建物がしょぼいBEA(建しょぼ)
関連して「建物が立派なNTSB(上述)」、「建物がオシャレなAAIB(同じく上述)」というコメントも使われることがある。
なおBEAの調査力は、それらNTSBやAAIBとなんら遜色なく、建物の出来が事故調査に影響するということは決してない点は強調しておきたい。
2019年にはダンボール建築の人が作った1/150BEA(国際BEA原器基準)のダンボール模型が海を渡り、なんと本家BEAに展示されることになった。(詳しくは当該記事を参照)
単位 / ヤード・ポンド法
航空機はその歴史的経緯などから、メートルやグラムなどの我々が普段使っている単位(国際単位系、SI)とは異なる単位(ヤード・ポンド法などの非SI単位系)を用いることが多々ある。
例えば高度を表すのはメートル(m)ではなくフィート(ft)、速度を表すのはキロメートル毎時(km/h)ではなくノット(kt)が一般的に用いられる。
エアカナダ143便滑空事故(→もう助からないゾ♡)は、当時エアカナダがヤード・ポンド法から国際単位系への移行を進めていた時期であったために、給油担当の係員がキログラムとポンドを間違えて計算してしまったことが事故原因であった。
蛇足ではあるが、1m ≒ 3.28ftであり、1km/h ≒ 0.54ktであるため、かなりアバウトではあるものの「フィート→メートルは3で割ってちょっと減らす」「ノット→キロメートル毎時は2を掛けてちょっと減らす」と覚えておくと、メーデー!でこれらの単位が出てきた時に直感的に理解しやすくなるであろう。
チェックリスト
航空機の操縦に関する手順書。うっかりミスをなくすため、パイロットはたとえどんなにベテランであっても、離陸前後や着陸前後、緊急事態などの重要な場面では記憶や経験に頼らず毎回チェックリストを参照し、その内容を遵守して操縦するように訓練されている。
チェックリストには離陸前、離陸後、着陸進入時、着陸後など状況に応じていくつかの種類があるが、「メーデー!」では特に離陸前チェックリスト(プリフライト・チェックリスト。日本語では離陸前始業点検と翻訳される)と、非常時チェックリスト(クイック・リファレンス・ハンドブック。QRHと略される)がよく登場する。
離陸前チェックリストでは、飛行前に計器が正確に始動するかを確認する、飛行機を離陸モードに設定するなど、離陸に必要なことを決められた手順に基づいてチェックをする。これを正確にこなさない限り、飛行機を離陸させることができない。
……にも関わらず、忙しさの余りに手順をすっ飛ばした、あるいは行ったつもりで実は行ってなかったといった結果、フラップを出し忘れる、与圧システムの設定が間違っているのを見落とすなど、正常な離陸が出来ずに墜落するという事態がたびたび起きている。
原因としては主にパイロット側のミスでもあるが、チェック項目が煩雑で、しかも無線交信などで中断するたびに最初からやり直さなくてはならず、チェックリストを何処まで進めたのかパイロットが分からずに離陸してしまったというケースもある。
また、エンジン停止や機内火災、急減圧などの非常時においては、非常時チェックリストを参照し、そこに書かれた対処法を素早く実行することが求められる。しかし、チェックリストが長すぎて事態への対処が遅れたり、起きた事態が稀なケースすぎて対処法が載っていなかったり、そもそもチェックリストに記された対処法の手順がおかしくて事態を悪化させてしまったケースも存在する。
着氷
文字通り、機体のどこかに氷がつくこと。
降雪や高高度での機体の冷却などにより主翼に着氷すると空気の流れが不安定になり、必要な揚力を得られなくなって墜落の原因になる(アメリカン・イーグル航空4184便墜落事故やオンタリオ航空1363便墜落事故、USエアー405便墜落事故など)。また、ピトー管などの計器に繋がるセンサー部分が凍結するとクルーやコンピュータが正しい情報を得られなくなり、やはり墜落の原因になる。
飛行中の着氷を防ぐシステムには、防氷ブーツ(圧縮空気でゴム製のブーツを膨らませて氷を割る)やアンチアイス(エンジンから熱した空気を翼に送風する)などがある。また地上では駐機中に付着した氷を取り除く除氷作業が行われる。しかし除氷してから離陸するまでに時間が空きすぎて再び着氷してしまった、クルーがなぜかアンチアイスを切った(→アンチアイス、オフ)などの理由で着氷を防げず墜落してしまった事故も多い。
TCAS
空中衝突防止装置(英:Traffic alert and Collision Avoidance System)のこと。「ティーキャス」と発音する。
航空機に搭載する装置で、レーダーよろしく電波を周囲に発信し、他機の接近を検知するとパイロットに警告を発して報せる。
初期のものはそれこそ接近を警報するだけであったが、最新のものでは、TCASを搭載している機体どうしでコンピューターが“協議”をし、最適な回避方法をパイロットに指示することも可能。たとえば、AとBの飛行機が接近しつつある場合、A機のTCASは上昇を、B機のTCASは降下を、それぞれ自機パイロットに音声案内する。
空中衝突を扱う回では、視聴者たちから「TCAS付いてなかったのか?」「TCASがあれば助かったかも・・・」としばしばコメントされるほか、建物に激突して地上の犠牲者を出した事故(例:コンコルド墜落事故)においても「ホテルにTCASがついてれば……」のようにコメントされる。
なおユーバーリンゲン空中衝突事故(2002年ドイツ上空)のように、TCASがあったにもかかわらずその運用規定に問題があったため、空中衝突を避けることが出来なかった事例も存在する。
DC-10
マクドネル・ダグラス(現:ボーイング)社製の3発機、DC-10のこと。
製造過程で発見されていた欠陥を、重大インシデントの後もロビー活動を行うなどして放置し、遂に346名もの死者を出す墜落事故を引き起こした(1974年のトルコ航空981便墜落事故)ことなどから、メーデー視聴者からはコメット初代機と並んで欠陥機の代名詞のように扱われることが多い。
このせいで他のDCシリーズが風評被害を受けており、特にDC-9の事故の回では「またDCか」というコメントに「DC-9は名機だろ!」というツッコミが入るまでが半ばお約束となっている。
→またDC-10かも参照のこと。
なお、後継機にMD-11があるが、この機体は空気抵抗を減らすために水平尾翼を小型化して、重心を後ろにずらした結果、縦方向への安定性が極端に減って自力の操縦が困難になるという欠点をもってしまい、性能や経済性でライバルに負けてシリーズ合わせて200機しか製造されなかった。しかも、うち8機が全損という迷飛行機になってしまっている。
デニス・アキヤマ
再現映像において日本人を含むアジア人役で登場することの多かった日系人俳優。本名はデニス・ヴァン・アキヤマ。日本航空123便墜落事故(→フィクションであって欲しかった)、大韓航空8509便墜落事故(→CRM)、大韓航空007便撃墜事件の回などで機長役を務めている。
デニヤマというメーデー民独自の愛称でコメントされることも多い。
電球切れ
着陸前、コックピットにある計器の電球切れに対処しようとクルー全員がそちらに集中した結果、自動操縦装置をうっかり触って解除してしまったことに誰も気づかず、地上に激突した。
この事故はワイドボディ機初の墜落事故である(L-1011トライスター)。
またCRM(→当該項目)失敗が起こした事故の典型例であるため、この5年後に起きたテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故(→残念機長)などと共に語られる事が多い。
デンバーはダメです
ドキュメンタリー「もしも地球の自転が止まったら」において使われたナレーターの台詞。
当該番組内では「もしその状態に陥ったらデンバーは人類が住める場所ではなくなる」という意味で用いられている。しかし「メーデー!」含めてニコニコ動画内でネタ的に広まる台詞となった。
「メーデー!」など航空事故番組では、飛行機の発着・経由地などでデンバーという地名が取り上げられるとネタとしてこの台詞が書き込まれるのが定着しつつある。
天文台ルート
サンタバーバラ航空518便墜落事故において、公式ルートではない飛行経路として使われていたことが判明したアルベルト・カルネバリ空港からの離陸ルートのこと。
この非公式であるコースからも逸脱し、事故機は山脈に激突した。
公式の離発着ルートを逸脱する経路をとった結果、事故に結びついたケースではこの言葉が思い出されたようにコメントされることが有る。
毒舌ナレーター
「メーデー!」シリーズでは日本のドキュメンタリー番組では考えられないほど、ときおり辛辣なツッコミを番組ナレーターが入れることがある。特にその事故原因がパイロットエラーであり、厳しく批判を入れたくなるようなものである時に見られる傾向がある。
代表例はサンタバーバラ航空518便墜落事故とクロスエア3597便墜落事故(→ルッツ)。
518便の事故回では機長と副操縦士の離陸前のやり取りに対して3段落としの形でツッコミが入れられた。
また3597便の回では機長の経歴について厳しく切り込んだ挙句、「無能とも言える」と烙印を押すに至っている(詳しくは当該項目を参照)。
また、時折率直過ぎるナレーションでメーデー民を動揺させることもある。
アトランティック・サウスイースト航空2311便墜落事故では、クルーが墜落を避けようと必死の努力を払ったにも関わらず墜落した場面で、「無駄でした」と無慈悲なナレーションを入れている。因みにこの回では、事故調査官にまで毒舌を披露していた(→トム・ハウター)。
日本語吹替担当は声優の鈴木正和さん。毒舌と評判なのはご存知とのことである。
ポストを読み込み中です
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トム・ハウター
NTSB調査官。2022年現在、出演回数は6回(総集編を除く)。具体的な出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
担当した事故にB737が絡むものが多く含まれている。
その中でも1994年に発生したUSエアー427便の事故ではその原因が長らく掴めず、(前例となる3年前のユナイテッド航空585便墜落事故が未解決で終わっていたことも含め)事故調査官に強いプレッシャーを与えたが、彼はそのプレッシャーゆえ「3度目の墜落事故が起こり公聴会で吊し上げに遭う悪夢を見た」と当該回で仕事仲間に打ち明けていたことが判明している。
更にアトランティック・サウスイースト航空2311便墜落事故の調査で事故機(エンブラエルEMB120)の製造国であるブラジルへ赴いた際は、テスト飛行による再現という危険を孕んだ調査が彼の意見により実施された。しかしながらこの再現飛行の初期段階では想定された事態が発生しなかったこともあり、「トム・ハウターはブラジルまで失脚しに来たのでしょうか」とナレーターに辛辣なコメントをされたことがある。しかし、諦めずにそのまま実験の続行を指示し見事想定された事態が起こることを証明し、失脚を回避した。
この逸話で「失脚しそうになった人」という異名も付けられた。
また「メーデー!」以外の航空事故番組に登場したことも幾度かある。
「BLACK BOX」シリーズでは「悪天候の罠」回で当時未解決だったUSエア427便の調査官として登場している。その際の名前表記は「トム・ホイター」であった。更に日本の某バラエティ番組に登場した際は別の航空事故調査官と間違えられ、「デニス・グロッジ」として紹介されてしまっていたこともある。
トリブバン国際空港
ネパールの首都カトマンズにある国際空港。
空路で行く場合には唯一となる玄関口であるが、世界屈指の山岳地帯にあるので少しでも着陸進入を誤れば山岳に激突という危険度ではコンゴーニャスに並ぶとも劣らない空港である。更に世界最高地点でもあるので墜落事故が発生したら、高山病で事故調査でも死者が出るという事故調査官泣かせの場所でもある。
ほんの少し前まではネパールの国力から危険度の高さの割にはレーダーなどいった設備が貧弱な空港であったが、相次ぐ事故で空港設備の増強が図られたので改善はされている。
NASA
→NASA
おなじみアメリカの国立航空宇宙局。宇宙開発のイメージが強いため、飛行機事故を扱う「メーデー!」には関係なさそうにも思えるが、その職務上、気象観測から人間の行動心理学に至るまで、様々な最新鋭の技術・知識を有しているため、それらを活かして航空事故調査や、事故後の安全対策のシステム作りに協力することは多い。事故の大がかりな再現実験を命がけで実施するなど、メーデー民からも良い意味で正気を疑われることも。
事故調査への協力以外では、タカ航空110便緊急着陸事故で、着陸に成功した堤防がたまたまNASAの敷地だったなんてこともある。
ニキ
元F1グランプリ世界チャンピオンのニキ・ラウダは、自身が経営するラウダ航空が起こしたラウダ航空004便墜落事故において自ら調査に乗り出し、スラストリバーサー(→逆推力装置)の誤作動が事故原因であることを突き止めるなど、その劇的な人生と調査での活躍でメーデー民に強い印象を残した。
そのため、空中衝突や地上衝突の事故の回などでの「2機の航空機」や、双発機での「2基のエンジン」など、「2機」「2基」という言葉が出ると、反射的に「ニキ」に空耳してしまうメーデー民が多い。
バックミラーを付けてくれたら1000ドルやるぞ
デトロイト発成田行のノースウエスト航空85便(B747-400)がアラスカ付近の高度1万メートルを航行中、突然方向舵のトラブルに見まわれる(ノースウエスト航空は吸収合併されて現在はデルタ航空)。
事故機は機体の構造上、機内から方向舵を見ることが出来ず、機長らクルーはエラーメッセージ以外の状況把握も困難な状況下でなんとか筋肉の力で操縦桿を制御し姿勢を維持していたが、いよいよ緊急着陸の時が近づく。その状況下で機長のジョン・ハンソンが発したジョークがこれである。
当該機はその後、アンカレッジ国際空港への緊急着陸に成功し、乗員18人乗客386人、合計404人が全員無事生還した。交代要員を含めたベテランパイロット4人&地上のベテランスタッフというベテラン揃いかつ全員有能という「ベテランはフラグ」を見事に覆してみせた回となった。着陸後には安堵して「もう一回やるか? ゴメンだね」とか、管制官「方向舵があれじゃ酷い乗り心地だっただろう?」副操縦士「いやぁ、楽しませてもらったよ」とジョークを飛ばし合っている。
状況を把握できていたら墜落を避けることが出来たのではないかと推測される航空事故の過程動画で、このコメントが思い出したように寄せられることがある。
尚、事故機は-400シリーズの試作機という歴史的価値のある機体だった事から、2015年の退役後、デルタ航空アトランタ本社近くのデルタ航空博物館にて静態保存され、2017年から一般公開されている。記念式典にはNW85便の当時のクルーも招待された。
デルタ航空博物館に歴史的な展示「747エクスペリエンス」がオープン(デルタ航空 2017年3月29日)
パッションフルーツ
クロスエア3597便墜落事故(→ルッツ)において事故機に搭乗していた、ドイツのダンスポップユニット。
彼女たちはメンバー3人のうち2人が事故の犠牲になったが、機内で騒いでいた彼女たちの騒音を避けて後部座席(→当該項目)に移動した2人の乗客の命を結果的に救うことになり、助かった当人は「メーデー!」の取材において「パッションフルーツは命の恩人ですよ」と(皮肉交じりで)語っている。
そのため他の事故においても、何らかの理由で後部座席に移動したことで助かった生存者や、機内で騒いでいる団体が登場すると、パッションフルーツの名前がコメントされることがある。
ちなみに、ここでいうpassionは情熱ではなく、キリストが受けた受難という意味である。詳しくはwikipediaのトケイソウを参照。また、メンバーの一人が享年が27だったため、27クラブに加えられている(アーティストは27歳で死ぬというジンクス)。
ハドソン川の奇跡
当該記事を参照。
BEA(単位) / BEA原器
上述した「建物がしょぼいBEA」の派生ネタ。
NTSBやAAIBなど諸国の航空事故調査組織の建物が登場した際は、「だいたい50BEAくらいだな」などとBEAの建物を基準にその出来を評価するのが、メーデー民のお約束となっている。
BPUのバイパスエグゾーストポート
マレーシア航空17便撃墜事件で、解明の大きな手がかりになった部品。
17便はウクライナ政府軍と親ロシア派の紛争が続くウクライナ東部の戦闘地域に墜落したため、事故調査官はなかなか現場に赴くことすらできず、墜落から4ヶ月後にようやく現場に赴いたときにも、親ロシア派の兵士に監視されながらの調査となった。そんな中、撃墜の証拠となり得る、航空機の部品ではない残骸を発見し持ち帰ろうとした調査官が、それを見咎めて「それは?」と確認してきた兵士に対して「BPUのバイパスエグゾーストポート」と返答。見事に兵士を煙に巻いて持ち帰ることに成功した。
もちろん、実際の航空機にはそのような名称の部品は存在しない。
なお、あくまで再現映像内の台詞なので、実際に調査官がこう言ったのかどうかは不明。
ヒゲクマ機長
当該記事を参照。
ピトー管
→ピトー管
機体洗浄の際にピトー管に貼ったマスキングテープを剥がし忘れた(アエロペルー603便墜落事故)、ピトー管の中に蜂と思われる昆虫が入りこんだ(バージェン航空301便墜落事故)、凍結した(エールフランス447便墜落事故)など、ピトー管の機能が様々な理由で失われ対気速度が分からなくなると、重大な事態に発展することが多い。
これらのことからレバノン料理や着氷と並び、墜落原因のネタにされることが多い。
ヒャッハー!
新鮮な動画を発見したメーデー民達の心の叫び。新鮮な動画の冒頭には「ヒャッハー!新鮮なメーデーだ!」のコメントが溢れる。近年は「ヒャ新メ」「HSM」などと略す向きもある。
兵庫県警
日本の兵庫県のみならず、航空事故調査では世界にも進出する万能捜査組織。
1985年6月23日発生のインド航空182便爆破事件では、日本の千葉県成田市にある新東京国際空港(現在は成田国際空港)で同じ日に手荷物爆破事件が発生しており、同一犯のテロ行為が疑われた。
その日本における捜査の再現シーンにおいて、なぜか上述の通り成田空港の所在地は千葉県であるのに「兵庫県警 立入禁止」の現場保全用テープが貼られており(おまけに上下が逆さま)、これを見た日本のメーデー民から「成田空港は兵庫県だった・・・?」「兵庫県警最強伝説」「千葉県警仕事しろ」などというコメントが多数寄せられた。
以後、現場保全用のテープが航空事故・事件の調査で貼られているシーンが登場すると、たとえそれが日本国外どこのものであっても「兵庫県警」というコメントがされるようになった。
この他にも「メーデー!」初期のシーズンに特に顕著であるが、再現映像で舞台となる国のステレオタイプなイメージが強調されることが多い。そのため、日本が関係する再現映像では、日本人にとっては違和感のある「外国人がイメージする日本」が描写されていることがある。
例えば大韓航空機撃墜事件を扱った回では、「交信の途絶えた事故機に対し、日本の管制官が呼びかける」というシリアスな場面にも関わらず、管制官の手元に湯気の立つ茶碗が置かれている(しかもその茶碗がアップになる)という、非常にシュールな再現映像が流れた。
なお、最近のシーズンではそうしたステレオタイプな描写は改善されている。フェデックス80便着陸失敗事故を扱った回では、日本人調査官役を日系人俳優のピーター・コサカ氏が演じ「始めるか」「コンピューター立ち上がってるかい?」などの台詞を流暢な日本語で喋り、NTSB調査官との会議のシーンでも流れるような動作で名刺を渡しお辞儀をするなど、とても自然な再現がされていた(まあその回でも調査シーンになぜか盆栽が出てきたりしているのだが……)。
フィクションであって欲しかった
「フィクションじゃないのかよ!騙された!」の派生系。「メーデー!」や「衝撃の瞬間」などで取り上げられる前から、題材となった事故に対して認知が既に有り、またその内容が目を背けたくなるようなものである場合、「フィクションであって欲しかった・・・」というコメントがされる傾向がある。
単独機の事故では世界最多の死者を出した航空事故であり、事故の過程と悲惨さが日本人にはよく知られている日本航空123便墜落事故を題材とした回の冒頭で、「フィクションじゃないのかよ!騙された!」に代わりこのコメントがしばしばされている。
この事故は(異説もあるが一般的には)航空機の整備不良が原因とされる事故の典型例でも有り、また全系統油圧損失(ハイドロプレッシャー・オールロス)が発生した事故の代表例でも有る。そのため航空機整備関係の特集や、他の油圧損失を起こした事例(DHL貨物機撃墜事件など)で参考例として上がることが多い。その際にもこのコメントが書き込まれる傾向がある。
もちろん、「メーデー!」で取り上げられる事故は一部の全員生存回を除いて(あるいは全員生存回であっても)、事故に関わった人々にとってはフィクションであって欲しかったものであろうことは変わりない。
なお当該便の高濱機長が発した、「これはだめかもわからんね」などといったCVRに記録されていたコメントも、他の事故で絶望的な状況に陥った際に引用されることがある(不謹慎と看做されることもあるが)。
副操縦士(コーパイ)
- 電球を交換する(イースタン航空401便墜落事故 → 電球切れ)
- 失速時に操縦桿を引いて機首を上げる(エールフランス447便墜落事故 → ボナン)
- 女性客に電話をかけて自分の男性器を見せつける(エジプト航空990便墜落事故)
- 操舵用ケーブルが機体の鋼材に挟まれて動かなくなり、手動操縦が不可能になったにも関わらず、筋肉式操縦を行うことで手動操縦を回復させる(リーブ・アリューシャン航空8便緊急着陸事故)
- ハイジャック犯を封じるため、貨物機のDC-10で戦闘機のようなアクロバット飛行をする(フェデックス705便ハイジャック未遂事件)
- ケーキを機長と半分こ♡する(ウエスト・カリビアン航空708便墜落事故)
- 病気を隠して操縦し、離陸を中断しようとした機長を妨害する (ヤロスラヴリ旅客機墜落事故)
- 機長に「君の機だ」と言われ「私の機です」と宣言する(スパンエアー5022便離陸失敗事故 → 私の機です)
- 視力の不調で40人以上の医師から診断を受ける (ジャーマンウイングス9525便墜落事故 → ルビッツ)
- 服装重視(エメリー・ワールドワイド17便墜落事故)
などが仕事。
ちなみに副操縦士は基本的にまだ機長の資格を持っていないパイロットが務めるので「副機長」とは呼ばないのだが、コメントやマスメディアなどでも「副機長」と書かれてしまうことが多い。パイロットがどちらも機長資格を持っている場合はどちらかが機長役、もう片方が副操縦士役を務める(この体制をダブルキャプテンとも呼ぶ)。
フゴイド運動
固定翼機において発生する上下振動。発音は「フューゴイド」の方が近い。
飛行している航空機は速度が落ちると揚力を失い、機首が下がって降下し始める。重力に引かれて降下すると速度が上がって揚力が発生し、機首が上がって上昇する。上昇すると速度が落ちるため、やがて揚力を失い再び機首が下がって降下し……というサイクルを繰り返すことで、機体が上下に揺れる現象である。身近なところでは、紙飛行機で簡単に確認することが可能。
通常ならば航空機は一定の高度を保つように尾翼の昇降舵によって制御されているのだが、油圧系統を喪失するなどして昇降舵を操縦不能になった航空機はこの状態に陥ることになる。エンジン出力を調整することで揺れを抑えることは可能だが、操縦不能であることは変わらないのでこの状況から無事に着陸させることは至難の業となる。
「メーデー!」で取り上げられた事故では、日本航空123便墜落事故、DHL貨物便撃墜事件、ユナイテッド航空232便不時着事故などで見られる。
富士着
「不時着」と「富士山」をかけたもの。
1966年3月5日に発生した英国海外航空911便空中分解事故は、富士山近くを飛行していた際に山岳波と呼ばれる特殊な乱気流に巻き込まれた事が原因で起こったものである。富士山付近を飛行した理由は時間短縮のためという説、海外観光客向けに富士山を見せたかったためという説など、諸説ある。
山岳波など乱気流が事故の要因になったケース、また原因にかかわらず山岳地帯への墜落となったケースでこのコメントが寄せられることがある。
フラグ / 死亡フラグ / 事故フラグ
「メーデー!」では、「ベテランと新人の組み合わせ」「元軍人」などが事故のフラグとされている。
実際の所は、ベテランは飛行時間が長いために航空事故に遭遇してしまう確率も高く、新人は経験が浅いためにベテランと組ませることが多く、民間航空会社では元軍人のパイロットは決して珍しいわけではないなど、特にフラグというわけではないのだが。
また超過勤務(→勤続疲労)、遅延、LCC(→格安航空会社)、悪天候(→着氷、富士着など)などを思わせる要素が事故前のシーンで登場した場合も、「フラグ」というコメントがされる事が多い。
特に遅延時は、離陸や着陸を急ごうとする余り、クルーが必要なチェックや操作を怠ったり、判断・操作ミスをしたりすることが多いため、パイロットエラーの事故が起こりやすい傾向がある。テネリフェの悲劇(→残念機長)やノースウエスト航空255便、アメリカン航空965便の事故などが該当する。
俗語以外の用法として、フラッグ・キャリアというと「一国を代表する航空会社」を指す。
ブラックボックス / CVR / FDR
航空事故調査でよく登場する2つのレコーダーの総称。コクピットボイスレコーダー(CVR)とフライトデータレコーダー(FDR)のこと。前者が事故直前のコクピット内のクルーの会話を、後者が飛行機の状況を記録する。事故調査における基礎資料になるため、「メーデー!」では大抵の場合、調査パートはまずブラックボックスの捜索から始まる。
ブラックボックスが登場すると、「真水につけろ」(→真水)というコメントが大量に飛び交うのがお約束となっている。またブラックという名前に反してオレンジ色をしていること(発見しやすいように明るい色をしているため。黎明期は本当にブラックだった)や、墜落後の火災等で焼け焦げて本当にブラックに近い色になってしまったことへのツッコミがしばしば入る。
ブラックボックスは海への墜落などで水没した場合に備え、発見用の超音波信号を発信するロケータービーコンを備えているが、ビーコンのバッテリーは30日間しか保たないため、それ以降は発見が非常に困難になる。「メーデー!」では海への墜落でブラックボックスが水没した際にはナレーションが大抵そのことに触れるため、ビーコンのバッテリーの話が出ると「メーデー民の基礎知識」といったコメントが飛び交う。
なお墜落後に盗難されたり、供給電力が何らかの理由で切れていた、更には記録装置そのものが故障していたなどの理由により、どちらかないし両方が調査に役立たなかった事例も「メーデー!」ではしばしば取り上げられている。小型機であったケースなど、搭載そのものがされていなかった事例もある。(トム・ハウターが失脚しかけたアトランティック・サウスイースト航空2311便墜落事故など) 大事なデータが欠けた状態になるため、結論に達する事が出来ずに確定原因とできない場合や迷宮入りしてしまう事もあるが、事故調査員の努力で解決してしまうケースもある。
フラップ/高揚力装置
主に、主翼において大きく広がったり稼働したりする部分のこと。この装置によって、翼面積を大きくすることができるため離着陸時には不可欠な装置であるが、巡航時には空気抵抗になるため格納される。
近年の飛行機はフラップが働かないと安定した離着陸ができないので、離着陸時には展開させるのが常識なのだが、なぜか忘れ去られて大惨事になる事故がよく起きてしまっている。
墜落時にフラップが展開されていたかどうかは、フラップを動かすスクリュージャッキの状態で確認することができる。近年の「メーデー!」ではフラップの確認の際にスクリュージャッキについて言及されることが多く、メーデー民の基礎知識となりつつある。
また「メーデー!」では、フラップの出し忘れによる事故においては再現映像のCGでもちゃんとフラップが格納された状態になっているため、知識と注意力があれば再現映像だけで事故原因を特定できてしまったりする。着氷や重量オーバーなどフラップ以外の原因による離陸失敗事故では、再現映像で「ちゃんとフラップは出てたな……」とまずフラップを確認して除外するメーデー民もちらほら。
SSフランス/ノルウェー
1960年に進水、1961年に就航した客船のこと。総トン数は70000トン(後に改装で76000トン)
フランスの威信をかけてフランス-ニューヨークの北大西洋航路に就航した、いわばタイニックの後継というべき豪華客船であり、設備やサービスなど伝説になるほどだったが、この次代は既に交通の主役は船から飛行機に移っており、赤字を垂れ流しながらの運航になっていた。このため、1974年に運航が休止され、しばらくの間は係船が続いた。。
幸いなことに、クルーズ客船への需要ががあったので1977年にノルウェージャン・クルーズライン(NCL)によって買収され、ノルウェーと改名、クルーズ客船としての改装を受け(このため、サービスレベルが大衆船クラスに低下)、1980年からカリブ海クルーズで第2の人生を送ることとなった。
その後もクルーズ客船として働いていたが、2003年5月25日、老朽化と整備不良が原因で機関室のボイラーが爆発、死傷者25人という事故を起こしてしまい、ボイラーが修復不能という判断が下さされたため、2008年に重機の餌となるという最後を遂げた。
1998年のプロテウス航空の衝突事故では、フランス西部ブルターニュ(モンサンミシェルがある付近)のキブロン湾に停泊しており、本来、プロテウス航空の旅客機はフランス号の真上を飛ぶルートにはなかったが、当日、フランス号がキブロン湾に停泊すると知っていた乗客が観覧のためのルート変更を要求して、機長がこれを聞き入れたことが事故の原因になった。ちなみに番組では「フランス号」と紹介されているが、この時は青と白の「ノルウェー」仕様になっている。
プレッシャー
航空事故調査は、ただ事故の犯人探しをするためのものではない。事故が起きた原因を突き止め、同様の事故が二度と起こらないように対策するためのものである。事故調査官の調査にはこれから飛行機で飛ぶ何万人、何億人もの人の安全がかかっているため、その肩にかかる責任は大きい。また、事故の犠牲者遺族からは早急な原因解明が求められ、テロや撃墜が疑われる事故や要人が犠牲になった事故では最悪の場合戦争の引き金にもなりかねないため、国の上層部から早急な解明を要求されることもある。
そのため、事故調査チームは常にプレッシャーにさらされている。そのことを取り上げ、「メーデー!」ではナレーションが「調査チームにプレッシャーがかかります」という表現を多用するため、メーデー民からは「こいつらいつもプレッシャーかかってんな」とツッコミが入るのがお約束になっている。機内の与圧とかけて「また与圧されてる」「いつもの与圧」などとも。
また、乗客が国家の要人だった(→儀典長)、教官を乗せての訓練飛行だった、などの理由でパイロットがプレッシャーに晒されたことが事故の一因である場合もある。
プロドロモウ / ヘリオス航空522便墜落事故
フルネームはアンドレアス・プロドロモウ(Andreas Prodromou)。ヘリオス航空522便墜落事故で事故機に搭乗していた客室乗務員。総集編では「プロドロムー」と発音されている。
この事故では、フライト前の与圧漏れチェック時に整備士が与圧システムの設定を「手動」のままにしていたのをパイロットが離陸前の機材チェックで見落としたことにより、離陸後に与圧システムが正常に作動せず、パイロット・乗客とも低酸素症で意識を失い、機体は燃料が尽きるまで自動操縦で飛び続けるだけの幽霊飛行機になってしまった。
しかしその状況の中、ひとりだけ意識を保っていたのが、キプロス共和国の特殊部隊にいたこともある客室乗務員のプロドロモウであった。彼は客室に酸素マスクが降りたのに機体が降下しないことからコックピットの異変を察知、予備の酸素マスクと非常用の酸素ボトルを使ってコックピットまで移動するも、操縦室ドアの暗証番号を知らされていなかったため総当たりで解除。コックピット内で機長と副操縦士が昏倒しているのを確認し、副操縦士の蘇生を試みたが、ドアの解錠に時間を要してしまったこともあり、既に手遅れであった。
その後、彼はメーデーを発信しようとしたが、無線の周波数は出発地点のラルナカ空港に合わせてあったため、その声はどこにも届くことはなかった。パイロット志望だった彼は事業用操縦士資格も持っていたが、B737の操縦技術は持ち合わせておらず、低酸素症で意識を失いかける中、スクランブルを受けて飛行機を追尾してきたギリシャ空軍のF-16に気付いて手を振ることしかできなかった。皮肉にもこれが、彼が夢見たコックピットでの最初で最後のフライトとなった。
自動操縦のまま旋回を続けていた機体もやがて燃料が尽き、アテネ郊外の山中に墜落、プロドロモウを含む乗員乗客121名全員が死亡。かろうじて市街地への墜落だけは回避できたのが不幸中の幸いであった。同機には、彼の恋人も同じく客室乗務員として乗務していた。なお事故翌日にギリシャ政府高官が明らかにした話では、飛行機が仮にあと5分飛び続けていた場合、市街地への墜落回避のため撃墜命令が下されていた、とのこと。
飛行中の機内で自分以外の乗員乗客(恋人を含む)は全員意識不明、刻々と酸素が失われていくというあまりにも絶望的な状況で、必死に機体を救おうと努力したにも関わらず報われることのなかった彼の孤独な奮闘は多くのメーデー民の心に刺さり、このヘリオス航空522便の回はメーデー屈指の鬱回(→鬱回)として知られている。そのため、他の回でも与圧システムの不具合や低酸素症の話題が登場すると、ヘリオス航空の事故を連想して悲しみがぶり返すメーデー民がよく見られる。
ベテラン
最も定番の事故フラグ。事故機のパイロットがベテランであると紹介されると、「ベテランはフラグ」というコメントが半ばお約束となっている。
前述の通り、パイロットがベテランであることが即事故の原因になるわけではない。事故機のパイロットがベテランであったというのは、「犯罪者の99%はパンを食べている」みたいな話である。
ベテランゆえの慢心や、経験不足の副操縦士への苛立ちや不信が事故原因である場合は多い(→残念機長)が、それらを防ぐための取り組みも行われている(→CRM)ので、それらの原因は「ベテランであること」ではなく、基本的にはパイロット個人の人格・技倆に起因するものと言った方がいいだろう(航空会社の企業体質やその国の風習などが遠因の場合もあるので一概には言えないが)。中には番組が公式に「無能」と言い切ったルッツのような問題児も潜んでいる。
しかし、時には経験豊富で優秀なベテランであること自体が事故の引き金となってしまうこともある。特にベテランが最新鋭機に乗り換えて日が浅い場合、ボーイング機からエアバス機へのように設計思想が異なる機体へと乗り換えた場合などでは、咄嗟に以前の機体で身に染みこんだ知識・経験に基づく判断や操作をしてしまい、機体がパイロットの思惑通りに動かず墜落に至ってしまうケースがしばしばある。こうなるとベテランと言われる所以である総飛行時間は無意味となり、実質的に新人状態と化してしまう。そのため冒頭で機体が最新鋭機と紹介されると「ベテランと最新鋭機の組み合わせはフラグ」と察しのいいコメントをするベテランのメーデー民もいる。
補助動力装置(APU) / ラムエア・タービン(RAT)
航空機は油圧や計器類、コンピュータなど、様々な場所で電気を使用している。この電気は通常の飛行中はエンジンが発電しているが、万が一発電しているエンジンが停止してしまうと、飛行に必要な多くの機能が失われてしまう。それを防ぐのが補助動力装置(英:Auxiliary Power Unit: APU)であり、ラムエア・タービンはその補助動力装置の一種である。
狭義のAPUは小型のエンジンで、本来は主エンジンを起動させたり駐機中に機内に電力を供給するためのものである。しかし飛行中に主エンジンが停止してしまった場合、無線や油圧系統、計器類などを機能させるためのピンチヒッターとして用いることもできる。
ただしAPUはエンジンであるので、主エンジン停止の原因がガス欠であった場合は頼ることができない。
そのような事態にも対応できるのがラムエア・タービン(英:ram-air turbine: RAT)である。これは緊急時に小さなプロペラを胴体下部等に展開し、風車のように風で回転させることで発電するもので、必要最少限度ながら電力を確保することができる。
航空機が空に浮かんでいるということは翼に風を受けているということであり、風があれば風車なので燃料は不要である。
エアカナダ143便滑空事故(→もう助からないゾ♡)の回では「アーミーナイフのように最後の刃を隠し持っている」と表現されたように、ラムエア・タービンは飛行機にとっては最後の命綱と言えるような装置である。
「メーデー!」シリーズではエアカナダ143便のほか、エアトランサット236便滑空事故の回などでも登場している。ラムエア・タービンが登場した回では生還できるケースが多いことから、登場シーンではニコニコ動画でのコメントが大いに盛り上がる傾向がある。
また、ラムエア・タービンの起動に言及がない場合、それを確認するコメントも多く散見されるが、事故機がボーイング737型機など、最新型の737MAXでも非搭載機種であることも珍しくない。
ラムエア・タービンは「うる星やつら」のヒロイン名にかけて「ラムちゃん」や「ラムたん」などと呼ばれることも多い。
ボーイング737(B737)
→B737
ボーイング社で製造・開発された小型ジェット旅客機のこと。
経済性や使い勝手の良さからシリーズ累計で10000機以上も生産され、バージョンアップしながら、これからも生産され続けるという脅威のベストセラーである。
生産機数も多い分、事故率も高く、111機もが全損して、3037人も死亡しているので、事故率の高さでV-22オスプレイの飛行差し止めを主張するなら、まずB737を飛行差し止めにするべきだという主張もある。
事故率の高さの原因としては、生産機数の他に、中小の航空会社が経年機を使用しているからだという見方もあるが、その一方でベータテストをユーザーに任せているのではないかという見方もある。特に最新型は2機が立て続けに墜落して飛行中止、ボーイングの屋台骨を揺るがす事態になっている。
ボーイング747(B747)
→B747
ボーイング社で製造開発された、世界初となるワイドボディな4発大型機。「ジャンボ」とはこいつの事で、恐らく日本では一番知名度の高いジェット旅客機だと思われる。
就航当時は収容力の高さが過剰に見られたが、空席を埋めるために料金を大幅に下げたことによって一般大衆に普及した。この機の登場によって海外旅行の価格が大幅に下落したので、世界に革命を起こした画期的な飛行機であるといえる。
収容力の高さで、日本や世界の空を席巻していたB747ではあるが、近年では双発機でもB747並の収容力を発揮できることから、経済性でB777に置換えられるケースが目立っている。
メーデー的にいえば、収容力が高い分、ひとたび墜落事故を起こせば大量の死者が出るので、より印象の深いケースが多い。たとえば史上最悪の犠牲者数を出したテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故(→残念機長)は衝突した2機が両方ともB747であり、単独機での史上最悪事故であるJAL123便(→フィクションであって欲しかった)もB747である。
ポテト/芋
ミサイルのこと。
チャイナエアライン611便空中分解事故では、発生地点が台湾海峡ということも有り、当初は両岸問題で対立していた中国によるミサイルでの撃墜が原因として疑われた。
その参考映像でミサイルを発射するときの兵士の掛け声が「ポーテートー」と空耳で聞こえたため、中国語圏におけるミサイルの別称として定着することとなった。
誤射による撃墜が疑われた航空事故でときおり思い出したかのようにこのコメントがされることがある。
ボナン
→ボナン
当該記事を参照。メーデー民の中で恐らく一番知名度があるであろうパイロット。(悪い意味で)
最近ではメーデー民によって無能パイロットとしてのみならず、墜落の代名詞として彼の名前が広く使われるようになってしまった。墜落の際に「\ボナーン/」と効果音を入れるコメントも散見される。それに対し、機首上げによる失速での腹打ち以外はボナンの語を使うべきではない、という趣旨のツッコミや「ボナン警察」「ボナン原理主義者」が登場ことも多い。
また、派生して自動操縦により勝手に機首が上がることが「オートボナン」、機体がパイロットの機首上げ操作を拒否することや自動で機首が下がることが「アンチボナン」と呼ばれる。前者が原因の事故には中華航空140便墜落事故など、後者が原因の事故にはエールフランス296便事故などがある。
マイクロバースト(ダウンバースト) / ウィンドシア
積乱雲から短時間で局地的に発生する強烈な下降気流をダウンバーストと言い、ダウンバーストの中で、風が地表にぶつかって広がる範囲が4km未満のものをマイクロバーストと呼ぶ。また、地表にぶつかって広がった風によって生じる不規則な気流の乱れをウィンドシアと呼ぶ。
これに飛行機が突入すると、まず強烈な向かい風で機首が上がり、続いて下降気流で機体が大きく押し下げられ、最後に強烈な追い風がきて揚力を失い一気に失速する。離陸直後や着陸間際など地表近くで遭遇すると、大型機でもひとたまりもなく、メーデー民からは「飛行機絶対落とすマン」などと呼ばれ怖れられている。デルタ航空191便の回の動画タイトルから「ダイダラボッチ」とも。
「メーデー!」で取り上げられたマイクロバーストが原因の事故には1985年のデルタ航空191便や1994年のUSエアー1016便があるが、特にデルタ航空191便の回の映像は、事故原因としてマイクロバーストが疑われた際にはほぼ確実に引用されるため、別の回で見かける回数が非常に多い。
最大のマイクロバースト対策は「突入しないこと」であるため、空港に設置された気象ドップラーレーダーや、航空機に搭載されたレーダーでマイクロバーストの発生を検知して回避することになっている。
真水
ブラックボックスを漬けるもの。
航空機が海面に墜落した場合、ブラックボックスは海水に浸かっている。そのまま空気に晒すと海水の塩分で電子部品が錆びてしまうため、ブラックボックスの回収後は箱いっぱいに満たした真水に漬けて塩抜きした状態で輸送される。
代表例は2年間も深海に沈んでいたエールフランス447便墜落事故(ボナン)など。当然ながら墜落地点が海や塩湖でない場合はその必要はない。
しかしながら海への墜落事例で真水につけるシーンを繰り返し放映したこともあり、メーデー民にはブラックボックスの回収後の措置としてネタ的に定着することとなった。
そのため河川や陸地への墜落事故であっても、ブラックボックス回収シーンになると「真水に漬けろ!」「いや、真水に漬けるために海水に漬けろ!」などといったコメントが飛び交うのがお約束になっている。また、墜落地点やその近辺の河川や湖沼の名称が明らかな場合はそこに漬けろというコメントや、ロシアの事故では「ウォッカに漬けろ」などその地域の品に漬けろというコメントも時々見受けられる。
更に、トム・ハウターが失脚しかけたアトランティック・サウスイースト航空2311便墜落事故のように事故機がブラックボックス未搭載機材の場合には、真水に漬けることができない悲しみに明け暮れるか、「じゃあ代わりにエンジンを真水に漬けろ」などと異常言動まで起こすメーデー民も確認されている。
なおこの単語は元々「fresh water」すなわち「きれいな水」と発言したのを「真水」と翻訳したために生まれた言葉である。
メーデー
→メーデー
ご存知、番組名にもなっている遭難信号。フランス語で「助けに来て」を意味する「ヴネ・メデ」が語源であり、モールス信号でいう「SOS」と同一の意味合いを持つ。5月1日に開かれる労働者の祭典とはなんの関係もない。
航空機や船舶などが差し迫った緊急の事態に見舞われ、早急に他者の救助や支援が必要な場合に発信される。
モールス信号で発信する「SOS」を口頭で連絡できるように考案されたものである。そのため発信は基本的に口頭による英語の音声無線でおこなう。
無線周波数は121.5 MHzが民間機用緊急周波数として国際的に定められているため、可能であれば121.5 MHzに合わせて発信するのが望ましい。推奨される発信手順としては、
メーデーを3回、コールサインを3回、メーデーを1回、コールサインを1回、位置、状況、どうしてほしいか、要救助者の数、メーデーを1回、コールサインを1回
という手順を踏むことが望ましい。
一例として、フィクダマ航空2525便(コールサイン:Ficdam Air 2525)という飛行機が飛行中に操縦不能に陥った場合、
"MAYDAY MAYDAY MAYDAY. This is Ficdam Air 2525, Ficdam Air 2525, Ficdam Air 2525.
MAYDAY, Ficdam Air 2525. Present position is * degree * minutes North, * degree * minutes East. Uncontrolable and descending rapidly. Attempting forced landing at the Sea. Require assistance. 138 souls on board. MAYDAY, Ficdam Air 2525. Over."
和訳:
「メーデー、メーデー、メーデー。こちらFicdam Air 2525、Ficdam Air 2525、Ficdam Air 2525。メーデー、Ficdam Air 2525。現在位置は北緯○度○分、東経○度○分。舵が効かず急激に降下しつつある。海面に不時着を試みる。救助を願う。乗員乗客あわせて138名。メーデー、Ficdam Air 2525。オーバー」
こんな感じになる。
もちろん、緊急事態にこんな長々と無線交信していられるとも限らないので、現実にメーデーが発信される際は大抵「メーデーを3回、コールサインを1回、状況」など最低限の情報のみを発信し、それ以外は省略されることが多い。
メーデーが発信されるとその周波数では救援のための無線交信以外はいっさい禁止となるほか、救助隊や消防隊にも出動待機が命じられる。すべてがメーデー発信者の救援に最優先となるため、マジで死ぬ、いますぐ死ぬという場合でのみ発信が許される。
視聴者が「なんでさっさとメーデー言わないんだ?」と疑問を呈することがあるが、周波数を独占すること、相当数の人員に影響を与えることなどを考えると、あまり軽々しく発信できないし、そもそも飛行中に異常が発生した際にパイロットがしなければならないことは無線交信ではなく「とりあえず飛ばし続けること」であるので、メーデーの宣言が遅いからといって一概に非難はできない。また、特に航空機は空を飛んでいるという特性上、メーデーを宣言するほど深刻な緊急事態になった場合、実際にメーデーを宣言する時間的余裕もなく墜落してしまうことが多いというのも事実である。
そのため、「メーデー!」で実際にメーデーが宣言されることは実のところ比較的稀である。
なお、アビアンカ航空52便墜落事故のように、緊急事態を宣言すべき状況にも関わらずクルーが適切な宣言を怠ったために管制官に情報が伝わらず、結果として墜落を招いた事故も存在する。
航空機が非常事態を宣言する手段にはメーデー以外にもいくつかあり、もちろん単に「緊急事態を宣言する(Declaring emergency.)」や「緊急事態が発生した(We are in emergency.)」と無線で発言するだけでもメーデーと同じ効果を持つほか、航空機を識別するためのトランスポンダという装置に設定するスコークと呼ばれる4桁の数字を「7700」にすることでも緊急事態を宣言できる(日航123便墜落事故の記録音声において、事故直後にクルーが発した「スコーク77」とはこのこと)。ちなみに「7500」はハイジャック、「7600」は通信機の故障である。
なお「メーデー」を宣言するほど焦眉の急ではないが、4発機のエンジンが1発停止したとかいう「ちょっとまずい」事態が起きたときはメーデーと同じ発信手順で「パン・パン(Pan-Pan)」とコールする。こちらも語源はフランス語で「故障」を意味する「パヌ」が由来である。
メーデー民 / プロのメーデー民
ここにあるようなコメントをよく行う、「メーデー!」の視聴回数が多い人のこと。
また事故の生存者で、墜落など衝撃が来る前に身を守るため適切と思われる行為を最大限していた人や、事故の兆候を感じ取っていた人のことを指して「プロのメーデー民」と呼ぶことも多い。
但し当記事にあるようなメーデー民特有のコメントは、あくまで特定の動画内での「内輪ネタ」である。他の動画に「出張」することは反感を買う可能性があるため、なるべく控えよう。
なお「迷列車で行こうシリーズ」の派生シリーズである「迷飛行機で行こうシリーズ」など、ニコニコ動画の動画作品には、ここにあるようなコメントをネタとして積極的に活用しているものも存在する。
目力さん
近年(シーズン16以降)の「メーデー!」に解説者としてちょくちょく出演している航空安全アナリスト、トッド・カーティスのこと。
1983年にアメリカ空軍入隊。退役後はボーイング社、ユニバーサル・アビオニクス社で試験飛行の機器チェックやデータ解析を担当するフライテスト・エンジニアを務め、TWA800便などの事故調査や、ボーイング777の開発などに携わった。その傍らで1996年にAirSafe.comという航空安全財団を設立、CEOを務めている。現在は世界各地のメディアに、航空安全についての解説者として出演するのが主な仕事。
ギョロ目でまばたきが少ないことが特徴で、調査官ではなく解説者であるため基本的に番組中ではテロップで名前が表示されるのみであるため、メーデー民からは専ら「目力さん」「目力の人」「目力おじさん」などと呼ばれる。登場すると目の絵文字(👁️👁️)や、<●><●>などのAAが流れるのが通例。
2022年現在、出演回数は6回(総集編を除く)。具体的な出演回は「メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧」の記事を参照。
申イ酷
イタリアの事故につけられるタグ。「申し訳ないですが、航空機事故に関してはイタリアは酷い」の略であり、イタビア航空870便事件の回で調査官が発した言葉。
この事件はイタリア軍とリビア軍の戦闘に巻き込まれてミサイルが撃ち込まれた、という風説が初めから流れていたが、証拠は得られなかった。遺族などの抗議で3度も事故調査会が結成され、長期に渡る執念深い機体復元の結果、機体後方に爆弾が仕掛けられていたという結論に至った。
ところが大衆に流されるがままにミサイル撃墜説で話が進んでいた裁判所はこれをガン無視し、自分たちに都合の悪い調査報告書を「紙くず」扱いして、ミサイルによる撃墜と結論付けてしまった。これに対して述べたのがこの言葉である。
他の事故でも、墜落した機体の残骸を事故調査会が調べる前に警察が撤去してしまったりと、メーデー民から見て唖然とするしかない行動が目立ち、イタリアという点でもう嫌な予感を覚える視聴者も少なくない。
もう助からないぞ / ギムリー・グライダー / エアカナダ143便燃料切れ事故
当該記事を参照。
目撃者
信用してはいけない。というか信用できない。
幾つかの航空事故において、目撃者となった一般人の証言が直近の事件の影響や思い込み、知識不足などから事実と異なる脚色がされてしまっていたことがあった。それゆえ証言をそのまま受け取ることは真相究明の阻害となりうるため、目撃者の証言≒疑ってみるべきもの、という印象が広まった(例えば炎上しながら上昇していた機体をミサイルだと勘違いするなど)。
逆に、写真や映像ならばそういった脚色や誤解に基づかない真実の情報を得られる可能性が高いため、一般人がたまたま撮影した写真やビデオ映像が真相究明に大いに役立つことも多い。
現在では航空事故で目撃者が登場すると、ここで取り上げられたようなネタコメントを視聴者が書き込むのがお約束と化している。
夜勤学者
正しくは「冶金学者」。
金属の性質などを研究している学者で、金属疲労が疑われる場合などにお呼びがかかる。冶金は「やきん」と読むが、あまり聞き慣れない言葉である上に同じ読みでより一般的な「夜勤」を連想しがちであるため視聴者は大抵「夜勤学者」「夜勤さん」などと呼んでいる。出番は少ない方だが何故かメーデー民からは人気が高い。
夜中に呼び出されるなど、たまに本当に夜勤させられている冶金学者も。
厄年
当該記事を参照。
LAPA航空3142便離陸失敗事故
詳しくは当該記事を参照。機長と副操縦士、そして客室乗務員らの無駄話や喫煙などステライル・コクピットを全く守らない言動のせいで離陸に必要なフラップを出し忘れた上、爆音で鳴り響く警報を30秒もガン無視しながら強行離陸を行い失敗するというトンデモ操縦でメーデー民の度肝を抜く衝撃的な事故となった。
ちなみにこの便の機長はグスタポ・ウェイエルであるが、彼の知名度は無能パイロットとして有名なボナンやルッツ、ザンテン機長には遠く及ばない。なぜなら、無能パイロットとして有名な彼らは、あくまで個人のミスや慢心によって事故を引き起こしてしまっている(たとえばボナンの場合は墜落寸前にコクピットに戻った機長がボナンのミスに気づき止めようとしたし、ルッツは副操縦士が遠慮してミスを指摘できなかった)のだが、この事故は機長個人のミスや無能のみに起因するものではなく、機長・副操縦士・客室乗務員の全員が等しく無能と言うべき、クルー全体の致命的な規律の欠如が原因だからである。加えて事故内容があまりにも酷すぎてネタにもできない、という側面もある。
そのため、この事故を表す際はクルーの名は用いられず、だいたい「LAPA」などと航空会社名のほうで呼ばれることが多い。同様に、エア・フロリダ90便(→アンチアイス、オフ)のように機長・副操縦士ともに無能と言える事故では、クルー個人の名前は有名にならない傾向がある。
ルッツ
詳しくは当該記事を参照。クロスエア3597便墜落事故における当該機の機長。
この事故はCFIT(→当該項目)であり、原因が操縦・判断ミスであったことからより深く探求するため、機長の経歴が調べられた。
その結果、彼は長い経験を有している筈にも関わらず、パイロット試験に幾度も落ちるなど、適性に疑問符が付く点が多かったことが明らかになった。更に人材不足ゆえ、クロス航空は在籍中の彼に航空機を全損させられるなど被害を受けていたにも関わらず、長年機長として起用し続けていたことも明らかになった。
結果、番組内で彼は毒舌ナレーターにそれまで「ルッツ機長」と呼ばれていた所、唐突に「ルッツ」と呼び捨てされ、そのエピソードを紹介した最後には「無能とも言えるルッツ」とまで言い切られてしまった。また幾度も事故を起こしていながら、彼を機長として起用し続けたクロス航空も合わせて非難された。
本名がドイツの名軍人・軍用パイロットであるハンス・ウルリッヒ・ルーデルに似通っていること、前述の通り番組ナレーターに「無能」と断言された数少ないパイロットであるため、ザンテン機長(→残念機長)やボナン副操縦士(→ボナン)などと共に「メーデー!」視聴者の間では「問題有る操縦士」の代表格として語られやすい。しかし、回を重ねるごとに近年ではそれ以上に問題がある操縦士が続出しており、最悪パイロット四天王にも入らなくなってきている。
ルビッツ / ジャーマンウイングス9525便墜落事故
フルネームはアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)。ジャーマンウイングス9525便墜落事故における当該機の副操縦士であり、当該事故(というか事件)の犯人。
彼は鬱病と視力低下に悩まされ、医師からは病気休暇を取ることを勧められていたが、パイロットとしての将来が閉ざされることを悲観してか、乗員・乗客を道連れにしての自殺という最悪の選択肢を選んだ。彼はトイレに立った機長をコクピットから締め出し、機体を高速で降下させた。管制官の再三の呼びかけにも一度も応えることなく、機体はそのままアルプスの山中に突っ込み、彼自身を含む乗員・乗客150名全員が死亡した。
シルクエアー185便の機長やエジプト航空990便の副操縦士など、自殺するために意図的に墜落させたと推定されるパイロットは他にもいるが、前者はブラックボックスの記録が止められていたため公式には「未解決」となっており、後者はエジプト側が機材故障を主張しているなど解釈の分かれる余地がある。それらに対してルビッツは自殺であることに疑いの余地がほぼないことに加え、テロ対策で厳重になったコクピットのセキュリティや医師の守秘義務といった安全・人権保護のための仕組みが仇になってしまったという事実や、斧で必死にコクピットのドアを叩き壊そうとする機長、怯える客室乗務員と乗客たち、その物音を聞きながらガラス玉のような目で身じろぎもしないルビッツという再現ドラマにおける役者たちの迫真の演技が強い印象を残したためか、自殺パイロットの代表格として名前が挙がりやすい。
ヘリオス航空522便墜落事故の悲しき英雄、アンドレアス・プロドロモウ(→プロドロモウ)と同じ名前でありながら、やったことが正反対というのはなんとも皮肉である。
レーダー/一次レーダー/二次レーダー
→レーダー
辺境レベルのド田舎でもないかぎり、航空機の離着陸を目視で誘導、管制などできない。よって管制にはレーダーを用いる。
一次レーダー
管制塔のアンテナから電波を発信し、反射してきたものを受信してスコープに投影する、いわゆるフツーのレーダーである。ゲームでよく見るレーダー同様、自身を中心に俯瞰した画像が得られ、これを以て管制官は航空機の存在を知り、位置を把握して誘導する。
一次レーダーの弱点は目標物の高度がわからないという点である。つまり一次レーダーの画像は円形の画面に航空機がただの光点として浮かんでいるものにすぎない。というわけで、一次レーダーのみを用いている空港では、着陸をリクエストしている航空機に管制官がコールサイン(航空機の便名)と現在高度を無線で訊く(「方位1-8-7から接近している機体へ。コールサインと現在高度を知らせ」)。尋ねられた機のパイロットが計器の高度計を読み取り、「管制塔、こちらニコニコエア2525。今10000フィートでーす」と応える。管制官はその情報をストリップと呼ばれる記録用紙に書き込み、管理する。メーデー!の再現VTRでは管制官が横に細長い紙に鉛筆でなにか書いているシーンがよく見られるが、あの紙がストリップである。
問題は、音声無線でやりとりする関係上、混線して聞き間違えるとか、そもそもパイロットが高度計を読み間違えるといったトラブルがないともかぎらないことである。混み合う空港では「えーと、この点がニコニコエア2525で、高度は10000フィートだろ、こっちはテクノエア666で高度が7000フィート、この点は……」などと管制官が混乱してしまいかねない。(→ニューデリー空中衝突事故/VK・ドゥッタ)
二次レーダー
航空機に搭載したトランスポンダという機器が、管制塔のシステムから送信されてきた質問波(「型式とコールサインと高度教えて」)に自動的に返答することで、管制官のレーダー画面にそれらの情報を一括で表示するというものである。つまりレーダー画面に航空機を示す点だけでなく、その機の機種とコールサインと現在高度もいっしょに表示されるというわけだ。これならレーダー画面を見ただけで誘導に必要なデータが得られるので円滑な管制が可能になる。
二次レーダーの弱点は、完全に搭載機のトランスポンダ頼みであるという点である。トランスポンダが故障したとか、故意か過失かによらずスイッチを切ってしまったとか、つまりトランスポンダによる送信が不可能な状況では、管制塔はその機体の存在そのものを感知できなくなってしまうのだ。アメリカ同時多発テロにおいては、アメリカン航空11便をハイジャックした犯人がトランスポンダの電源を切ったため、管制塔は同機の追跡が不可能になった。次に11便の存在があきらかになったのは世界貿易センター北棟に突入する瞬間である。
また、トランスポンダには不具合・故障がなかったとしても、送信される情報は機体の各種計器による値であるため、計器故障で高度や速度の情報が正しく測定できていない場合には管制官は正しい情報を見ることができない。速度は光点の動きでなんとか不一致を察するチャンスがないこともないが、高度については管制官が「より正確な値」を知ることは不可能であるため、誰も正確な情報を知らないまま墜落に至ってしまうケースもある。(アエロペルー603便墜落事故など)
ギムリー・グライダーの通称で有名なエアカナダ143便滑空事故(もう助からないゾ♡を参照)では、エアカナダ143便の飛行中に燃料が切れ、全エンジンが停止したため電力も喪失した。当然トランスポンダの電源も失ってしまったので、二次レーダーでは同機を見ることすらできなくなる。この事態に管制官は埃を被っていた一次レーダーの機材を引っ張り出し、旧ギムリー空軍基地へと誘導するという機転を利かせている。
余談だが、二次レーダーが普及した現代でも、ストリップは公文書の一種なので、お役御免とはなっていない。
レバノン料理
エチオピア航空409便墜落事故はクルーの体調が機長・副操縦士共に思わしくなく、単純な回復操作にも失敗するほど判断力・思考力が低下していたことによって生じたものであるが、その一因として事故直前の食事が疑われた。
クルー達が食事をした場所がレバノンの首都ベイルートのレストランであったことや、再現映像での食事シーンおよびBGMが「それっぽい」ものであったことなどから、メーデー民の間にそれがレバノン料理であるという風評が広まった。
なお番組内では「(ベイルートのレストランで出された)重めのランチ」程度にしか触れられておらず、それがレバノン料理であったかどうかはあくまで不明である。しかしそれ以来、「墜落原因はレバノン料理」ネタが定着している。
またこの事故は、事故当時の悪天候、更には事故直前までの過酷な連続勤務(→勤続疲労)の影響が大きいと考えられており、クルー達の食事は主要因とは言えない点も注意が必要である。
連邦航空局(FAA)
アメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration, FAA)はアメリカ運輸省の下部組織であり、アメリカ国内における航空機全般の安全維持を担当する。
グランドキャニオン空中衝突事故を教訓として発足したこの組織は、ある型の航空機の設計が安全性などの基準を満たしていることを証明する「型式証明」や、車検の航空機版とも言える「耐空証明」を発行するほか、問題が新たに見つかった場合は、改善命令や勧告を出すこともある。
職務の性格上「安全性」と「利便性」「効率性」の板挟みになりやすく、利便性や効率性を求める様々な航空機メーカーや航空会社からの圧力やロビー活動を受けることもある。そのため、改善命令や勧告といった安全性確保のために必要な対応が後手後手に回ったり甘かったりすることが多々あり、メーデー民からは「無能」という烙印を押されがちである(DC-10の貨物ドア不具合放置やバリュージェット航空に対する措置の遅れなど)。
しかし、航空事故のみを扱う「メーデー!」を観ていると忘れがちになるが、我々が日常で享受している「航空機は安全な乗り物である」という「当たり前」の裏には、彼らを含む大勢の人々の多大な努力の積み重ねがあることを忘れてはいけない。
ロッキーおろし
「ロッキー山脈からの颪風」と阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」をかけたもの。
コンチネンタル航空1404便離陸失敗事故では、出発地であるデンバー国際空港の西に位置するロッキー山脈からの強烈な颪風が機体を直撃したことが原因とされた。
動画では当該機が離陸に使用した滑走路をもじった「3(3)4R」や、初期のメーデー!シリーズに於ける誤訳をもじった「Vやねん!回転!」など、猛虎魂を感じるコメントが多く投稿された。
なお空港にはドップラーレーダーや風速計が配備されていたが、計測値が1秒間の平均だったことや空港敷地がそもそも広大だったこともあり、局地的な突風を検知できなかったため事故の回避は不可能に近かった。
私の機です
機長「君の機だ」
副操縦士「私の機です」
スパンエアー5022便離陸失敗事故の回で発生した珍訳。「Your aircraft.」「My aircraft.」の宣言を訳したもの。
パイロットが操縦を交替する際には、誰が操縦するのかを明確化するため、操縦を引き渡す側が「You have control」(単に「You have」とも)、操縦を引き継ぐ側が「I have control」(同じく「I have」とも)と宣言した上で行うことが義務化されているが、上記の「Your aircraft」「My aircraft」も非公式ながらしばしば使われるようだ(例として、USエアウェイズ1549便のサレンバーガー機長、スカイルズ副操縦士もこちらを使用していたことがCVRの記録から分かる)。
この宣言、自然な日本語に訳すことが難しいのか、「メーデー!」では回によって様々な訳され方をしている(例として、トランスアジア航空235便の回では「私が操縦する!」「機長が操縦!」、パキスタン国際航空268便の回では「操縦する」「操縦をどうぞ」など)。
その中でもこの「君の機だ」「私の機です」はストレートすぎる直訳。なんとか意味は通じるので誤訳とまではいかないものの、日本語のやりとりとしてはあまりにも不自然なため、「お前のじゃねえ」「会社のだろ」などと突っ込まれるハメに。
回転(→当該項目)ほどではないにせよメーデー民には知名度の高い迷訳となっており、他の回でもパイロットが操縦の交替を宣言するシーンでは「私の機です」のコメントがちらほら見られる。
どうせ、関連動画があるんだろ?
関連項目かよ!騙された!
- 航空事故
- ナショナルジオグラフィック
- メーデー!:航空機事故の真実と真相
- 航空業界の厄年
- ヒゲクマ機長
- 建物がしょぼいBEA
- 国際BEA原器
- レバノン料理
- サムネグレッグ余裕
- またDC-10か
- ボナン(エールフランス447便墜落事故)
- もう助からないゾ♡(エアカナダ143便滑空事故)
- ハンス・ウルリッヒ・ルッツ(クロスエア3597便墜落事故)
- ハドソン川の奇跡 / チェズレイ・サレンバーガー
- LAPA航空3142便離陸失敗事故
- ピトー管
- メーデー!:航空機事故の真実と真相の各種一覧 - 本記事に載せるほどでもない小ネタはこちらも参照。
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