株主資本主義単語

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株主資本主義英:Shareholder Capitalism)とは、企業の経営に関する思想の1つであり、国家経済体制に関する思想の1つである。株主至上主義英:Shareholder Supremacy)ともいう。

反対の概念ステークホルダー資本主義である。

概要

定義

株主資本主義については2つの定義をすることができる。

  1. 株主資本主義とは、労働者や協力企業の権利を抑制しながらの権利を尊重して税引後当期純利益の最大化を追求する企業経営を是認する思想である。
  2. 株主資本主義とは、1.の思想に基づいて経営される企業が大勢を占める経済体制の国家を肯定する思想である。

性質その1 税引後当期純利益を増やして配当金の増加を追求する

株主資本主義は企業の経営をするにあたって税引後当期純利益の最大化を追求すべきと考える思想である。

ある期の企業において税引後当期純利益が○円発生すると、期末の貸借対照表において純資産の部の中の「その他利益剰余金」の数字が○円増え、資産の部の数字が増えたり負債の部の数字が減ったりする。資産の部の増加分と負債の部の減少分の合計額が○円になる。

企業の「その他利益剰余金」が増えると、への配当が増えやすくなる。企業は「その他利益剰余金の見合いとなる資産」を原資としてへの配当金を出すことが通常であるからである。企業資産の部の銀行預金の数字純資産の部の「その他利益剰余金」の数字を同じ額だけ減らして[1]銀行振り込みでに配当金を支払う。

性質その2 税引後当期純利益を増やして株価の上昇を追求する

株主資本主義によって企業の「その他利益剰余金」が増えると、「あの企業株式は安定的な配当をもたらす」と投資に思われるようになり、長期金融市場の中の株式市場においてその企業株式への買い注文が増える可性が高まり、その企業株式の価格(価)が上がる可性が高まる。

もし価が上がったら、その株式を保有しているの利益が増える。時価会計義で財務諸表を作っている場合、期末において保有する株式価が購入価額よりも上がっていたら、有価券評価益という収益を計上し[2]貸借対照表資産の部における有価券の金額を増やすので、「が利益を得て富を増やした」と表現することができる。が簿価会計義で財務諸表を作る場合、期末において保有する株式価が購入価額よりも上がっていたとしても、収益を計上するわけではなく、貸借対照表において資産の部における有価券の金額を増やすわけでもないが、「が含み益を得て実質的に富を増やした」と表現される。

このため「株主資本主義というのは企業の経営をするにあたって価の上昇を追求する思想である」と言い換えることもできる。株主資本主義・株主至上主義は、資本主義とか至上ということもある。

株主資本主義が幅をきかせるでは政治家がそれに染まり、価の上昇を最優先するようになり、価が上昇すると「経済が成長して発展し、すべてが良くなった」と満足する傾向にある。価というのは経済の様子を示す標のうちの1つに過ぎないのだが、とにかく価に偏重して価に一喜一憂する。

株主資本主義が幅をきかせるでは市場関係者もやたらと強気になり、「政府というのは価を上げるために存在する」と本気で考えるようになる。労働者に対する賃金が増えて企業の税引後当期純利益が減っての配当金が減って価が下がっていくように誘導する政策を政府が提案したら、「そんなことをしたら価が下がる!そんな政策をするがどこにあるのか」と市場関係者が猛抗議する。

経済学者経済の状況を測定するときに最も頻繁に使う経済統計は、実質GDPインフレ率と失業率の3つである[3]。そして経済学者はその3種類の中でも実質GDPを最も重視する[4]。つまり、株主資本主義に染まって価を最も重視する政治家市場関係者は、経済学の基本を全に無視しているわけである。

性質その3 「倒産しにくく永続しやすい企業」の出現

A期において税引後当期純利益を○円発生させた企業は、A期末の貸借対照表において資産の部の数字を増やしたり負債の部の数字を減らしたりしつつ純資産の部の「その他利益剰余金」を○円増やし、自己資本率を高め、「倒産しにくく永続しやすい企業」に近づいていく。

企業は、A期において稼ぎ出した「その他利益剰余金」の全額を翌B期においてに対する配当金にして自己資本率を元通りに下げてしまうこともあるが、そこまでする企業は少数といえる。多くの企業は、A期において稼ぎ出した「その他利益剰余金」の一部だけを翌B期におけるに対する配当金にして、自己資本率がA期末よりも高い状態を維持する。

このため、「株主資本主義とは、企業の経営をするにあたって自社を『倒産しにくく永続しやすい企業』に近づけていくべきと考える思想である」と理解することはおおむね正しいと言える。

やや大な表現にすると「株主資本主義というのは企業に永遠の生命を吹き込もうとする思想である」となる。始皇帝は自らを不老不死の生命体にしようとしたが、株主資本主義者も企業不老不死の存在にしようとする。

株主資本主義を弱体化させるような政策をにしたときの株主資本主義者は、「そんなことをしたら投資日本株式市場から資金を引き揚げ、価が下がる!」と猛抗議するのが常である。この抗議をさらに詳しく分析すると「そんなことをしたら投資日本株式市場から資金を引き揚げ、価が下がり、企業公募増資で『返済が不要な資金』を調達することが難しくなり、銀行からの借り入れや社債の発行で『返済が必要な資金』を調達するはめになり、企業負債が増え、自己資本率が下がり、債務リスク倒産リスクが高まる!」ということになる。

企業負債が増えることや倒産リスクが高まることを極端に恐れる心理のことを負債恐怖とか倒産恐怖という。そうした負債恐怖症や倒産恐怖症が株主資本主義を生み出す。

株主資本主義を貫して企業倒産が少なくなった社会労働者賃金が少ない社会であり、企業の売上が伸びにくい社会であり、企業を創業しにくい社会であり、企業が滅びにくく企業が生まれにくい社会である。

一方でステークホルダー資本主義を貫して企業倒産が多くなった社会労働者賃金が多い社会であり、企業の売上が伸びやすい社会であり、企業を創業しやすい社会であり、企業が滅びやすく企業が生まれやすい社会である。そういう対視点を持って経済を語ると、聞く人の負債恐怖症や倒産恐怖症を治療することができ、株主資本主義の流行を押さえ込むことができる。

性質その4 企業を宗教法人に近づける

株主資本主義を支持する企業経営者が標とする「倒産しにくく永続しやすい企業」は、宗教法人とよく似ている。

日本を含む多くの々において宗教法人は、宗教活動で得られる法人所得に対して法人税0の優遇措置を受けていて、宗教活動に伴って作成する損益計算書[5]の税引後当期純利益を増やしやすい存在になっており、宗教活動に伴って作成する貸借対照表資産の部の数字純資産の部の数字を同時に増やして自己資本率を高めやすい存在になっており、「倒産しにくく永続しやすい団体」になっている。

株主資本主義が底されて法人税が0になったにおける企業と、多くの々における宗教法人は、全く同一の存在ではないが[6]倒産しにくく永続しやすいという点で非常によく似た存在である。

つまり、株主資本主義というのは、企業宗教法人に近づけようという思想である。

宗教法人というのは神秘的な存在で、人々の心のよりどころになり得る存在である。世界宗教法人の「宗教活動で得られる法人所得」が非課税になっている理由の1つは、「宗教法人倒産しにくく永続しやすい団体にすれば、人々の心のよりどころが社会の中で生き続けるので人心が安定する」というものである。

一方で、企業というのは特に神秘的なところがなく極めて世俗的な存在で、人々の心のよりどころになることが少ない存在である。

本来の性質から考えると、宗教法人企業は全く似ておらず、遠く離れた存在である。株主資本主義の支持者の行動理で不自然行動といえる。

性質その5 「カリスマ経営者」の出現

株主資本主義が導権を握るでは、成功した企業経営者を神かのように褒め讃えて神格化して「カリスマ経営者」に祭り上げる社会潮が定着する[7]

そういう潮が定着することにより、もともと神秘性をもっていない企業に神秘性が強引に付加され、企業宗教法人のように扱うことが許される世相になり、株主資本主義がさらに広まっていく。

ちなみに、反・株主資本主義の支持者は、つまりステークホルダー資本主義の支持者は、企業経営者を神格化して「カリスマ経営者」に祭り上げることを好まず、「企業が上手くいくのは経営者と労働者チームワークのおかげだ。経営者を『カリスマ経営者』と扱って過剰にもてはやすのは良くないことだ」と苦言を呈する傾向がある。

性質その6 法人税の間接税化

株主資本主義が極めて優勢なにおいて法人税を増税すると、企業が税引後当期純利益を確保することを最優先するようになり、法人税の分を上乗せした価格で商品を販売して消費者に負担を転したり、法人税の分だけ賃金を減らして労働者に負担を転したり、法人税の分だけ「協力企業に払う費用」を減らして協力企業に負担を転したりする。つまり、株主資本主義が極めて優勢なでは法人税直接税ではなく間接税になる。このことについて詳しくは直接税の記事を参照のこと。

性質その7 業務の量的改善や費用を減らすことを好む

株主資本主義は企業の経営をするにあたって税引後当期純利益の最大化を追求すべきと考える思想である。そして、企業の税引後当期純利益を増やす方法として次の6つが考えられる。

  1. 商品価格を維持しつつ業務の質的な改善をして多くの消費者に商品を売って収益を増やす
  2. 商品価格を維持しつつ業務の量的な改善をして多くの消費者に商品を売って収益を増やす
  3. 商品価格を釣り上げて収益を稼ぐ
  4. 労働者に払う費用を減らす
  5. 協力企業に払う費用を減らす
  6. 国会議員力を与えて法人税を減税する法律を立法させる

企業会計をごく簡単に説明すると次のようになる。商品を消費者に売って売上金という収益を稼ぎ、収益から労働者に払う費用や協力企業に払う費用といった様々な費用を引いて税引前当期純利益を出す。税引前当期純利益から法人税を引いて税引後当期純利益を出す。

1.を追求するには、開発部門における商品の新な設計とか、生産部門における優秀な工具の調達とか、営業部門における効果的な広告宣伝のノウハウといった専門的な知識が必要である。「経営と所有の分離」が行われた企業において1.を追求すると、にとって何が何だかわからないレベルの話になりがちであり、は黙って経営者のいうことを聞くしかなく、「物言わぬ」「黙りこくった」になるしかない。

1.は、株主資本主義者にとって非常に好ましくない方法である。1.を追求する場面では専門的な知識を持っている労働者たちが導権を握るようになり、労働者の発言力が上がってしまう。そして、労働者が「々には経営に口出しする資格があるのだ」と自信を持つようになり、労働者が「労働三権を行使し、経営の管理と運営について意見を出そう」と考えるようになり、「物言う労働組合」が出現してしまい、の発言権が弱体化してしまう。

3.や6.は株主資本主義者にとって好ましいものだが、なかなか簡単に実現できない。3.は独占の地位を築いてある場合なら容易であるが、そうでない場合なら難しい。6.はいわゆるレントシーキングであるが、多くの国会議員を説得せねばならず、難しい。

2.や4.や5.は株主資本主義者にとって非常に好ましい方法である。2.や4.や5.を追求するときはたいして専門的な知識を必要としない。「経営と所有の分離」が行われた企業において2.や4.や5.を追求するとき、にとって十分について行けるレベルの話になりがちであり、は大いに発言権を行使することができ、「物言うアクティビスト activist)」になることができる。

以上のことを踏まえつつ、企業の税引後当期純利益を出す6つの方法を分類すると次のようになる。

方法 性質 方針
1.商品価格を維持しつつ業務の質的な改善をして多くの消費者に商品を売って収益を増やす にとって理解しにくい話になりがちである。労働者の発言力を高めて「物言う労働組合」を生みだしてしまう危険がある にとってできれば回避したい
2.商品価格を維持しつつ業務の量的な改善をして多くの消費者に商品を売って収益を増やす にとって理解しやすい。「物言う」を生みやすい にとって優先的に実践したい
3.商品価格を釣り上げて売上金という収益を稼ぐ 独占の体制を築き上げることが難しく、実現が難しい にとって実践したいが困難である
4.労働者に払う費用を減らす にとって理解しやすい。「物言う」を生みやすい にとって優先的に実践したい
5.協力企業に払う費用を減らす にとって理解しやすい。「物言う」を生みやすい にとって優先的に実践したい
6.国会議員力を与えて法人税を減税する法律を立法させる 多くの国会議員を動かすことが難しく、実現が難しい にとって実践したいが困難である

株主資本主義者の得意技である2.や4.や5.については、本記事において章を設けて詳細に解説する。業務の量的な改善をして収益を増やすの章と、労働運動を抑制して労働者に払う費用を減らすの章と、協力企業に払う費用を減らすの章と、実質利子率を下げて協力企業に払う利払い費用を減らすの章を参照のこと。

性質その8 「今日の費用は明日の収益」という発想をしない

株主資本主義者は企業の経営において労働者に払う費用や協力企業に払う費用を削ろうとする傾向が非常に強く、費用というものを毛嫌いする傾向がある。

株主資本主義者は「今日の費用は明日の収益」という発想をしない。「労働者賃金を払うと、その労働者が社の商品を買って、が社の収益が上がる」とか「協力企業に代金を払うと、その企業労働者賃金が増え、その企業労働者が社の商品を買って、が社の収益が上がる」という発想をしない。

株主資本主義者は長期的な視野でものごとを考えるのが苦手な傾向にある。

性質その9 財産権の尊重

株主資本主義は、企業が税引後当期純利益の最大化を追求することを是認する思想であり、企業倒産して株式価値になる可性を減らすことを優先する思想であり、株式に対して持つ財産権を尊重する思想である。

財産権とは日本国憲法第29条で保障されている基本的人権であり、経済自由権の中核を成すものである。ちなみに財産権には物権と債権知的財産権の3種類があるが、が行使している財産権は物権であり、物権のなかの所有権である。

性質その10 実質利子率の引き下げの重視

株主資本主義の支持者がマクロ経済の政策を語るときは、国債を発行してプライマリーバランス赤字にしつつ歳入を増やして政府購入を増やしたり消費を促進したりする積極財政に反対することが非常に多く、国債を発行せずプライマリーバランスを均衡や黒字にしつつ政府購入や消費を抑制する緊縮財政することが非常に多い。

政府積極財政を実行するとクラウディングアウトとなり、実質利子率が上昇し、企業お金を借り入れるときの実質利子率が上がって企業の費用が増加し、企業が税引後当期純利益を増やしにくくなり、企業が「実質利子率税」というべき負担を強いられる。

政府緊縮財政を支持するとクラウディングアウトの逆となり、実質利子率が下落し、企業お金を借り入れるときの実質利子率が下がって企業の費用が減少し、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなり、企業が「実質利子率税」というべき負担から解放される。

このため、株主資本主義者が企業経営から一歩外に踏み出して国家マクロ経済政策を語るときは、必ずといっていいほど緊縮財政するようになる。そうすることで実質利子率を引き下げることができ、銀行という協力企業に支払う費用をさらに削減できる。

以上のことは本記事の『実質利子率を下げて協力企業に払う利払い費用を減らす』の項でさらに解説する。

性質その11 投資の長所を強調し短所を強調しない

前項で述べたように、株主資本主義者は財政政策を変更して実質利子率を引き下げて企業の税引後当期純利益を増やそうとする傾向がある。そして、財政政策を変更して実質利子率を引き下げると内で投資が拡大することが常である。そのため株主資本主義者は投資についてその長所をひたすら強調してその短所をあまり強調しないという傾向を持っている。

投資と政府購入と消費と純輸出は実質GDPを構成する4要素である。そのなかの投資は、それを行うと将来の資本量が増え、将来において国家の供給力が高くなって実質GDPが増えやすくなるという長所がある[8]。しかし投資が多くなりすぎると、需要もいのに需要が有るかのように見せかけて投資から融資を騙し取る投資詐欺を行う知犯罪者が増え、過剰投資と呼ばれる状態になって不良債権が増え、バブル景気バブル崩壊の両方を作り出し、強な負の需要ショックを作り出し、長期にわたる深刻な不気を発生させるという短所がある。このため、投資というものはにもにもなり得るものであって、少なすぎても多すぎても望ましくなく、財政政策によって政府購入や消費を調整して適度にクラウディングアウトを起こすことで適切な準を保たねばならない。

株主資本主義者は、投資の長所ばかり強調して、投資の短所をあまり強調しない。株主資本主義者が「投資が多いほど国家が発展する」とか「クラウディングアウトを起こして投資を減らすことは絶対的な悪であり、クラウディングアウトの逆を起こして投資を増やすことは絶対的な善である」といった具合に投資の長所を強調する光景がしばしば見られる。そして、株主資本主義者が「投資詐欺という知犯罪と過剰投資と不良債権は何よりも恐ろしい」とか「投資というのは少なすぎても多すぎても望ましくなく、適切な準を保つべきである」という具合に投資の短所を摘することは非常に少ない。

新自由主義者は自由貿易を絶対的に支持して自由貿易の長所を強調する。一方で株主資本主義者は投資を絶対的に支持して投資の長所を強調する傾向が強い。何かを絶対的に支持するという点で新自由主義と株主資本主義は一致したところがある。

性質その12 自国通貨安の肯定

繰り返しになるが、株主資本主義の支持者がマクロ経済の政策を語るときは、企業の利払い費を引き下げての利益を増やすために実質利子率を引き下げる財政政策を支持する傾向がある。

そして、実質利子率が低いキャリートレードキャリー元になりやすくなり、自通貨売り・外通貨買いが盛んになり、自通貨安になりやすくなる。このため、株主資本主義者が導権を握って実質利子率が低くなったは自通貨安になりやすくなる。そして、そうしたでは、自分を原因として発生した自通貨安を肯定するために株主資本主義者が「弱い自通貨は輸出企業の利益を生むので益にかなう」などと語ることが多い。

一方で、実質利子率が高いキャリートレードキャリー先になりやすくなり、自通貨買い・外通貨売りが盛んになり、自通貨高になりやすくなる。このため、反・株主資本主義者が導権を握って実質利子率が高くなったは自通貨高になりやすくなる。そして、そうしたでは、自分を原因として発生した自通貨高を肯定するために反・株主資本主義者が「強い自通貨益にかなう」などと語ることが多い。

ちなみに、日本は「強い円は益にかなう」という考えがなかなか台頭しないであり、「弱い円は輸出企業かるので益となる」という考えが根強く、実質利子率の低さと自通貨安を歓迎する勢力が一定の力を持ち続けているである。このことから「日本は株主資本主義者の勢いが強いのようだ」と推測することも可である。

また、アメリカ合衆国1980年代ロナルド・レーガン政権の頃から2020年代現在に至るまで「強いドル益にかなう(A strong dollar is in the national interest.)」という考えが根強く、実質利子率の高さと自通貨高を歓迎する勢力が一定の力を持ち続けているである。このことから「アメリカ合衆国は反・株主資本主義者の勢いが強いのようだ」と推測することも可である。

性質その13 政府購入と消費を減らして投資と純輸出を増やすことを目標とする

経済学者国家経済の状況を測定するときに最も頻繁に使う経済統計は実質GDPである。その実質GDPを需要の面から見ると、政府購入と消費と投資と純輸出の4つに分類することができる。

株主資本主義者が導権を握ったは、政府購入と消費が減り、実質利子率が下がって投資が増える。そして実質利子率が下がって自発のキャリートレードが発生しやすくなり、自通貨安(名目為替レートの上昇)になりやすくなる。自通貨安になると物価が一定の短期において実質為替レートが上昇して純輸出が増える。以上をまとめると、株主資本主義者が導権を握ったは、政府購入と消費が減り、投資と純輸出が増える。

反・株主資本主義者が導権を握ったは、政府購入と消費が増え、実質利子率が上がって投資が減る。そして実質利子率が上がって自向けのキャリートレードが発生しやすくなり、自通貨高(名目為替レートの下落)になりやすくなる。自通貨高になると物価が一定の短期において実質為替レートが下落して純輸出が減る。以上をまとめると、反・株主資本主義者が導権を握ったは、政府購入と消費が増え、投資と純輸出が減る。

主な支持者

株主資本主義のな支持者は企業である。そして、市場経済が発達したなら券会社を通じて株式を購入することででも簡単に企業になれる。このため、市場経済が発達したならでも株主資本主義の支持者になる可性がある。

企業と一緒の学閥学歴で作られる集団)や閨閥(血縁で作られる集団)やSNSグループに入って交を深める人は、企業から発せられる株主資本主義の思想に染まって株主資本主義の支持者になることがある。学閥や閨閥やSNSグループというのは一種の閉鎖間であってエコーチェンバー現象が起きやすく、その内部で一定の思想が広まりやすい。

1970年代にアメリカ合衆国で台頭

株主資本主義は1970年代頃になってアメリカ合衆国で台頭した思想である。「1960年代までのアメリカ合衆国において株主資本主義は一般的ではなかった」と摘されることがある[9]

ときおり「株主資本主義は所有権の絶対性を尊重するので資本主義の本来の姿である。欧では株主資本主義が一般的なのに、日本は株主資本主義を受け入れていない。ゆえに、欧資本主義を理解していて優れており、日本資本主義を理解せず劣っている」という煽りをして、日本人の欧コンプレックスを上手に刺しつつ株主資本主義を賞賛する者が現れるが[10]、そのは疑わしい。

親和性の高い思想

新自由主義市場原理主義という経済思想がある。新自由主義で絶対的に尊重される自由貿易に対応するためには株主資本主義を導入して企業体力を高めて安価な製品を生産できるようにする必要がある。また、株主資本主義を貫するには自由貿易をすることが好都合であり、新自由主義が流行することを必要とする。つまり新自由主義では株主資本主義を必要とするし、株主資本主義のでは新自由主義を必要とするのであり、株主資本主義と新自由主義は一体不可分の間柄である。

成果主義能力主義という賃金体系に関わる思想がある。これらの思想は使用者の権力を大きく高めて労働者の相対的立場を低下させる効果がある。という使用者の権力を重視する株主資本主義とは非常に親和性が高い。

優生学優生思想という思想があり、優れた者の生殖を奨励して劣った者の生殖を奨励しないという内容を持つ思想である。この優生学成果主義能力主義の終着点と言うべき思想である。成果主義能力主義の極端な例は、劣った労働者にごくわずかな賃金を与えて結婚できないほどの生活追い込み、優れた労働者に高額の賃金を与えて結婚を奨励するというものである。そして株主資本主義のでは成果主義能力主義賃金体系を導入することが大いに肯定される。ゆえに優生学は株主資本主義との親和性が高いと言える。

自助論という論理がある。その論理する書籍で最も有名なものは自助論(サミュエル・スマイルズ)である。自助論というのは「人には自助ができる力がある」という論理であるが、その論理から「人は貧しくても自助をすることで十分に生きていける」という気分が生する。そして、そうした気分は、労働者の賃下げを実現したがっている株主資本主義者にとって極めて好都合なものである。株主資本主義者の中には自助論(サミュエル・スマイルズ)を絶賛するものがいる。

自然率仮説という経済学の仮説がある。「需要を増やしたら短期的に実質GDPが増えるが長期的には実質GDPが増えない」という内容の仮説であり、政府公務員を増やして需要を増やす気刺を否定する効果がある。政府公務員の雇用を増やすことで労働需要を増やして労働者賃金を高めることを否定したい株主資本主義者にとって、自然率仮説はとても都合の良い仮説である。

業務の量的な改善をして収益を増やす

管理監督労働者や役員に長時間労働を要求する

株主資本主義者は、管理監督労働者[11]や役員[12]に対して長時間労働を要することを好む。

労働基準法第32条で労働者の法定労働時間が定められ、同法第34条で労働者の法定休憩が定められ、同法第35条で労働者の法定休日が定められている。しかし、同法第41条第2号で「監督若しくは管理の地位にある労働者(管理監督労働者)には法定労働時間・法定休憩・法定休日が適用されない」としている。また役員は、株式会社と労働契約を交わして賃金を受け取る労働者ではなく、会社法330条に基づき株式会社と委任契約を交わして役員報酬を受け取る存在であって労働者ではないので、労働基準法で保護されない。

株主資本主義者が管理監督労働者や役員に対して「もっと長時間労働をしろ。さもないと自由貿易敗北して倒産してしまうぞ」といった調子倒産の不安を煽って長時間労働を要するのは見慣れた光景である。

管理監督労働者に同一の賃金を払いつつ長時間労働を強いることは、管理監督労働者の時間あたり賃金を削減することになり、賃下げとなる。

株主資本主義が優勢となる時代では、狂ったように長時間労働をする管理監督労働者や役員が出現する[13]

正の外発的動機付けで管理監督労働者や役員を長時間労働に向かわせる

株主資本主義者が管理監督労働者や役員に対して長時間労働を要するときは、成果主義能力主義賃金体系を導入したり、所得税相続税贈与税累進課税弱体化させて一課税(フラットタックス)に近づけたりして、正の外発的動機付けを掛けてインセンティブを与えることが常である。

株主資本主義が盛んなでは相続税贈与税税になったも多い。そうなると世の中の父親母親が「子どもに多くのお金相続させるため、一杯働いて高額所得を得よう」と考えるようになり、世の中の父親母親の労働意欲が強に刺される[14]

株主資本主義者は、「長時間労働をして成果が上がれば金銭が転がり込む」と管理監督労働者や役員に訴えかけて管理監督労働者や役員の労働意欲を刺することを好む。「才を発揮すればするほどガッガッポと稼げるのある社会を作り上げる」「才を発揮する人にを見せる」といったふうにという綺麗な言葉を織り交ぜて語りかけ、管理監督労働者や役員の金銭欲を強に刺し、労働意欲を刺する。

株主資本主義者の中には、「所得税累進課税年功序列賃金体系によって、頑った人が痛めつけられている」とか「頑った人が報われていない現状を変えて、頑った人が報われる社会を作ろう」とか「頑る人が足を引っられている現状を変えて、頑る人が足を引っられない社会を作ろう」という言い回しを非常に好む。いずれのスローガンも、「自分は頑っている」と信じている人の被害者意識を強く刺するものであり、わりと扇情的な言い回しである。このような扇情的な言い回しをして人々を感情的にさせ、人々が感情の赴くままに所得税累進課税年功序列賃金体系を弱体化させていくように誘導する。

負の外発的動機付けで管理監督労働者や役員を長時間労働に向かわせる

株主資本主義者が管理監督労働者や役員に対して長時間労働を要するときは、長時間労働を拒否したときに「怠け者」と罵倒して相手の名誉を破壊して負の外発的動機付けを掛けて負のインセンティブを与えることも行う。

株主資本主義者は勤勉を深くするがゆえに「とことん」「底」「どこまでも頑る」という言い回しを非常に好み、怠惰しく憎むがゆえに「ほどほど」「適度」「理のない範囲で」という言い回しを非常に嫌う。

そして株主資本主義者は労働意欲を抑制する人に対して「衰退する、ダメになる、発展途上国に追い抜かれる、先進国から脱落する」といった警告をして、「君は衰退の原因を作る怠け者である」と述べ、名誉を破壊する。

人は1日24時間のなかの3分の1にあたる8時間程度を睡眠にあてる生物であり、本質的に「怠惰」を必要とする生物なのだが、論戦に臨む株主資本主義者はそのことを都合良く忘れて「自分は勤勉であり全く怠惰ではない」という態度で振る舞う。

平社員にも長時間労働をさせる

株主資本主義者は管理監督労働者や役員に長時間労働を強いる。そうなると、その企業において平社員(非管理監督労働者)も長時間労働に付き合わされることになる。どの企業であっても、上が長時間労働すると自然に部下もその長時間労働に巻きこまれてしまう。

株主資本主義のにおいては労働者賃金が下げられるので、平社員に対して残業依頼しやすい状況となっている。株主資本主義のでは、企業側が平社員に対して気軽に残業依頼し、平社員が「賃金が安すぎるので残業をして稼がないと食っていけない」と判断してその依頼を受け入れ、長時間労働が増えていく。

株主資本主義者は「長時間労働の」を擬人化したような存在である。株主資本主義者が歩くところは長時間労働のしく吹き荒れる。

株主資本主義者は「慢して長時間労働の痛みに耐える労働者」を心かする傾向にある[15]

長時間労働の短所を意識せず、長時間労働を肯定する

株主資本主義者が好む長時間労働には短所がある。

外発的動機付けを掛けて労働意欲を刺して「仕事すればするほど、お金かる」と思いこませると、「休暇を取っている場合ではない、いた時間をすべて仕事に注ぎ込もう」という仕事中毒ワーカホリックの心理状態となり、長時間労働が増えていく。そうなるとその労働者は過労となって健康することになるし、その労働者庭崩壊を招く危険もある。

株主資本主義者は長時間労働の欠点を意識することを苦手としており、「労働しすぎたら疲労が蓄積して体や精神が壊れてしまう」と考えることを苦手としている[16]

覚醒剤を使用すると疲労が解消し、どれだけ長時間労働しても疲労を感じなくなる[17]。長時間労働の副作用を意識することが苦手な株主資本主義者と、覚醒剤を使用する人には、共通するところがある。

内発的動機付けで労働意欲を刺激して長時間労働に従事させることは行わない

株主資本主義者は、内発的動機付け労働者の労働意欲を刺して長時間労働に従事させることを行わない傾向にある。内発的動機付けとは、相手に「○×という行為をしたら他のかに感謝されるなどして自分の有能さを実感できる」と確信させて、相手が○×という行為をするように誘導することをいう。

企業の管理監督労働者や役員や平社員に対して内発的動機付けを掛けるには、その企業の営業部門の労働者の力が必要である。つまり、営業部門の労働者が顧客のところに通い、顧客の感謝の発言をしっかりと収集して、そうした情報を管理監督労働者や役員や平社員に対して報告することで、内発的動機付けが掛かる。

一方で企業の顧客のところに足繁く通う力がく、企業の顧客が発する感謝を収集する力がく、企業労働者内発的動機付けを掛ける力がい。特に経営と所有が分離した企業におけるは、内発的動機付けを掛ける力が非常に弱い。

企業労働者内発的動機付けを掛けるという手法をとると、営業部門の労働者の発言力が増し、の発言力が減る。ゆえに株主資本主義者は内発的動機付けという手段をとって労働者に長時間労働をさせることができない。

労働運動を抑制して労働者に払う費用を減らす

労働運動の定義

株主資本主義者は、労働運動を抑制して労働者に払う費用を減らすための手段を豊富に持っている。

ここでいう労働運動は、労働者使用者に対して賃上げを要する行為のすべてをし、労働者使用者に対して賃金最低額を労働市場で形成される均衡準よりも高く設定して構造的失業の発生を甘受しつつ労働者生活準の向上をもたらすように要する行為のすべてをす。「労働者労働三権を行使して使用者労働協約を結ぶ」という本格的なものも含むし、「労働者使用者に聞こえるように賃金の安さを愚痴って使用者効率賃金仮説に基づいて賃上げをするように誘導する」という簡易的なものも含む。

1. 労働者を罵倒して労働者の自信を破壊して労働運動を抑制する

株主資本主義者が労働者に支払う人件費を削るときにっ先に行うことの1つは、労働者を罵倒して労働者の自信を破壊し、労働者が賃上げを要する気持ちを起こさないようにすることである。

人というのは自信を持つと賃上げを要するようになる。株主資本主義者にとって、労働者の自信を破壊するのは重要な課題である。

株主資本主義者が労働者の自信を破壊する時に使う言い回しの1つは「や経営者はリスクを負っており、檻の外で剥き出しの自然に立ち向かっており、勇気があり、優秀な存在である。一方で労働者リスクを負っておらず、安全な檻の中で餌をもらってる畜で、勇気がなく、劣った連中である」というものである。労働者への軽蔑感情を全開にした言い回しであり、階級社会の意識が強く表れた言い回しであり、階級闘争そのままの言動である。

労働者に対して「君たちはや経営者とは身分が違うのであり、対等に話をする権利がない」という言動をすることもある。2004年日本プロ野球再編問題の際に渡邉恒雄が「ふん、礼な事を言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が。『たかが選手』ったって立な選手もいるけどね。オーナーとね、対等に話する協約上の根拠が一つも」と言い放った(動画exit)。渡邉恒雄の「たかが選手が」という言葉は、株主資本主義者の「たかが労働者が」という心理を代弁するような言葉である。

株主資本主義者はTPPRCEPのような自由貿易協定を締結して自由貿易を促進することがある。自由貿易が進展すると際的資本移動の自由化が進み、多企業が出現するようになり、さらに多企業の経営者が「発展途上国労働者先進国労働者に同じ賃金を与えると発展途上国労働者の方がずっと熱心に働く」などと語って先進国労働者を罵倒するようになり、労働者の自信が破壊されていく。つまり自由貿易によって先進国労働者を罵倒してその自信を破壊することができる。

日本政府2024年6月21日の閣議で2024年版の「こども白書」を決定した。その中で、日本米国ドイツフランススウェーデンの5ヶの13歳から29歳の人を対に行ったアンケートの結果を掲載したが、「自分自身に満足しているか」の質問に「そう思う」または「どちらかといえばそう思う」と答えた割合は日本が最も低かった(記事1exit記事2exit)。また、こども家庭庁2024年7月15歳から39歳の未婚の男女1万8000人と既婚の男女2000人の合わせて2万人を対インターネットアンケート調を行ったが、未婚の人に「結婚相手を見つけることについてどのような意識があるか」と尋ねたら「自分に自信がなく、何か行動したところで見つけられると思えない」と答えた人が66%にのぼった(記事exit)。日本におけるこのような状況は、労働者が自信を失って労働運動をしなくなることにつながるので、株主資本主義者が大いに支持して喜ぶことである。

2. 労働組合を罵倒して労働三権の行使を抑制する

株主資本主義者が人件費を削ろうとするとき、常にしく抵抗するのが労働組合労組 ろうそ ろうくみ)である。株主資本主義者にとって労働組合というのはの上のたんこぶのように邪魔な存在である。

株主資本主義と労働組合のように相性が悪いので、「株主資本主義が勃する時代では労働組合弱体化し、株主資本主義が抑制される時代では労働組合が強力化する」という関係性がある[18]。株主資本主義が盛を誇る時代で急速に発展した巨大IT企業4社のGoogleAmazonFacebookAppleGAFAと呼ぶが、2020年12月の時点でどこも労働組合を持っていなかった[19]

株主資本主義を信奉する企業経営者が労働者に対して「もし労働組合を結成したら職場において不利益を与える」と脅して労働組合を結成することを妨したら、日本国憲法第28条労働組合法第7条に違反したことになり、労働委員会の救済命を受けることになる[20]。こうした手段は不法な行為と言える。

このため株主資本主義者は、労働組合に対して罵倒の限りを尽くし、労働組合に対して汚いイメージをなすりつけ、人々が労働組合を嫌悪するように誘導し、労働者労働組合を結成する気を起こさないようにする傾向がある。そうした手段なら合法である。

株主資本主義者は「労働組合を結成して労働組合の助けを得て労働するのは自立しておらず、依存心が強く、寄生しており、スネかじりであり、甘ったれである」とか「労働組合を結成せず労働組合の助けを得ずに労働するのは自立しており、依存心が少なく、自活しており、自分の足で立ち上がっており、自分に厳しくて立である」と言うことがある。これは、甘ったれへの軽蔑心を持つ人や、「自立している人と思われたい」という名誉欲を持っている人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。特に、「から自立したい」という願望が強い傾向のある10代の若者によく効く。

株主資本主義者は「労働組合を結成して1つの企業にしがみつくのは格好悪い生き方で、みっともない生き方で、往生際が悪い生き方で、見苦しい生き方で、ダサい生き方である」とか「労働組合を結成せず他の企業転職するのは格好いい生き方で、体裁がよい生き方で、いさぎよい生き方で、見ていてすがすがしい気分になる生き方で、イケている生き方である」と言うことがある。これは、「格好いい人と思われたい」という名誉欲を持つ人や美意識を持つ人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。体裁ばかり考えてダサい者を嫌悪する傾向がある10代20代若者によく効く。

株主資本主義者は「労働組合に従うと日本際競争力が落ち、日本発展途上国に転落する」と言うことがある。これは、社内などで競争に明け暮れていて敗北や転落を恐れる心を抱えている人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。特に、組織の中で出世競争に明け暮れている傾向がある30代40代の者によく効く。

株主資本主義者は「労働組合を結成するのは時代の流れに合っておらず、時流に乗ることができておらず、古い時代の感覚に凝り固まっており、時代遅れであり、新しい時代に対応できていない」とか「労働組合を結成せず一人で生きるのは時代の流れに合っており、時流に乗っており、古い時代の感覚からしっかり脱却しており、最先端の生き方であり、新しい時代に対応できている」と言うことがある。これは、時代遅れの生き方をする人への軽蔑心を持つ人や、「時流に乗っている優秀な人と思われたい」という名誉欲を持つ人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。特に、時代遅れと言われると傷つく傾向がある50代60代の者によく効く。

株主資本主義者は「労働組合正社員の既得権益なので打破すべきだ」と言うことがある。これは、経済的な苦に陥って既得権益への嫉妬心が増幅している人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。

株主資本主義者は「労働組合は『働かざる者食うべからず』の格言に反する存在で、生産力よりも多くの消費をしようとする怠け者の溜まり場であり、高望みをしようとするワガママな人たちの集団であり、享楽にふける不道徳な者たちの団体である」と言うことがある。これは、道徳論を気にして怠け者を軽蔑する気持ちを持つ人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。また、「現代の日本の庶民は昔よりも生活準が向上していて、江戸時代明治時代大富豪と同程度の生活をしている」などと述べてから、「それなのに彼らは、きわめて恵まれていることに気付かず、ただひたすら高望みをしようとしていて、もの凄くワガママである」と述べて、「彼らは高望みしている」という言葉をさらに引き立たせる工夫をすることもある。

株主資本主義者は「労働組合の参加者は極左で、革マル派中核派といった極左暴力集団とつながりがある過激派であり、反日で、中国韓国とつながりがある卑劣売国奴であり、日本の名誉と尊厳を傷つけて日本を破壊している」と言うことがある。これは、愛国心を持つ人や国家の敵に対する憎悪心をもつ人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。

株主資本主義者は「労働組合を放置すると日本が共産化する」などと言うことがある。これは、共産主義への嫌悪感を持つ人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。

ちなみに労働組合は構成員の数を増やしたり維持したりすることが組織としての大標である[21]労働組合が過剰に政治思想を打ち出すと組織の分裂に行き着いてしまい大標を達成できない。ゆえに労働組合政治思想の過剰な表明を控える傾向がある。だから「労働組合を放置すると日本が共産化する」というのは、あまり現実的ではない。

株主資本主義者は「労働組合順法闘争をするような連中で、極めて迷惑な存在である」と言うことがある。これは、時間厳守が大好きなすべての日本人に対して労働組合を嫌悪させる効果がある。さらには1970年代国鉄における労働組合順法闘争を憶えている世代の人々に対して労働組合しく憎悪させる効果がある[22]

労働組合を罵倒するときの株主資本主義者は、多な表現を駆使して人々の嫌悪感情・憎悪感情をとても上手に刺する。

3. 「自由及び権利には責任及び義務が伴う」と労働者に言い聞かせて労働三権の行使を抑制する

株主資本主義者は労働者労働三権を行使することを恐れており、どうにかしてそれを阻止しようと考えている。

株主資本主義者は「自由及び権利には責任及び義務が伴う」と労働者に言い聞かせることがある。この言葉を聞かされた労働者は、「労働三権を行使したら責任を取らされたり義務を課せられたりする。自分たちはただの労働者なので責任を果たしたり義務を実行したりする経済的実力がない」と考えて萎縮するようになり、労働三権を行使しなくなる可性がある。

ちなみに「自由及び権利には責任及び義務が伴う」という思想は欠点が見受けられる思想である。詳しくは当該記事を参照のこと。

4. マネーゲームなどの副業を解禁して、労働組合を弱体化させる

株主資本主義者は労働者労働三権を行使することを恐れており、どうにかしてそれを阻止しようと考えている。

株主資本主義者は、労働者に対して副業を解禁することがある。株主資本主義が流行るでは、直接金融や商品投資[23]お金けるマネーゲームを副業とすることや、動画を配信して投げ銭をもらうなどの業務を副業とすることが流行することになる。

副業が解禁されると、労働者が副業に熱中するようになり、「労働組合運動は自分の副業の邪魔である」と考えるようになり、「労働組合に入りたくない」と考えるようになり、労働組合弱体化する。これは株主資本主義者が心から望むことである。

また副業が解禁されると、企業経営者は労働者に対して「賃金が少なくて困っているのなら副業をしてお金増殖しろ」という態度をとりやすくなり、心理的に賃下げしやすくなる。このことも株主資本主義者が心から望むことである。

株主資本主義が広まったでは労働者の賃下げが進んで労働者生活が苦しくなっていき、労働組合を結成しての賃上げ運動が盛り上がらない。このため株主資本主義のもとで低賃金に苦しむ労働者にとって、副業は生活の糧を得るための救世主となる。

株主資本主義が広まって労働者の賃下げが進み、苦に陥った労働者が副業として株式投資に手を出すと、その労働者は「企業はもっと労働者を賃下げして税引後当期純利益をひねり出して配当金をよこせ。政府労働者の賃下げが進むような政策を実行しろ。政府系の的職場の労働者を賃下げして世の中の賃下げの気運を作れ」と心から願うようになる。賃下げに苦しむ労働者が、労働者の賃下げを望むようになる。こういう姿は被虐義(マゾヒズムと表現することができる。または、肉屋を支持する豚と表現することもできる。


株主資本主義者は、数ある業務の中でもマネーゲーム直接金融や商品投資)を副業として労働者に対して奨める傾向がある。マネーゲームは射幸心を強く煽ることができ、いったんハマると中になるからである。

株主資本主義者がマネーゲームを推奨するときは「個人が努力して金けすることを奨励すべきだ。努力している人の足を引っるべきではない。個人投資を増やそうとしないのは成功者に対する醜い嫉妬心が原因だ」という言い回しを使い、「マネーゲームに反対する者は嫉妬に狂っているだけだ」とレッテル貼りをしていく。

また株主資本主義者がマネーゲームを推奨するときは「間接金融を支持して銀行預金を持っているだけの人は、ボーッと生きているのであり、時代の流れに対して鈍感であり、世間の動向に対してアンテナっておらず、怠け者である。一方、マネーゲームを支持して銀行預金以外の資産を持っている人は、シャキッと生きているのであり、時代の流れに対してとても敏感であり、世間の動向に対してアンテナっていて、勤勉である」というに語り、「マネーゲームに反対する者はボケーッとした怠け者だ」とレッテル貼りをしていく。

そもそもマネーゲームというのは、利益が全く保されておらず不安定で不確実なものであり、射幸心を強く煽るものであり、パチンコパチスロ競馬競輪競艇といった賭博(ギャンブル)と同じ性質を持つものであり、推奨しにくいものである。このためマネーゲームを推奨するときは、「マネーゲームをしない者は嫉妬している怠け者だ」などとレッテル貼りして罵倒するという過な手段を使わないと上手くいかない。


副業を解禁してしまうと、労働者職務専念義務を遂行しなくなる危険がある。「ラーメン屋の労働者動画編集に熱中してラーメンの味が落ちる」「パソコンを使って仕事をしている人がスマホFX取引外国為替証拠金取引)の様子を観察することに熱中してパソコンへの入力を間違える」というようなことが起こりやすくなってしまう。職務専念義務を遂行しない人の割合が少しずつ増え、企業の実力が落ち、文明の発展に陰りがみられるようになる。

特にマネーゲームを副業にすることを解禁すると、労働者職務専念義務を遂行しなくなる可性が高くなる。労働者が勤務時間中に職場を抜け出してパチンコパチスロをすることは難しいが、マネーゲームなら勤務時間中の労働者スマホを操作するだけで簡単に参加できる。労働者が勤務時間中にスマホを操作して競馬競輪競艇に参加することと労働者が勤務時間中にスマホを操作してマネーゲームをすることの難易度は同じぐらいだが、競馬競輪競艇の開催頻度は較的に少なくて散発的であるのに対しマネーゲームの開催頻度は極めて多くて恒常的である。以上のことをまとめると、マネーゲームは参加するのが容易であり、世界中の市場でマネーゲームが行われているので開催頻度が極めて多く、パチンコパチスロ競馬競輪競艇といった賭博よりも労働者職務専念義務の遂行を妨する効果が高い。

Twitterで「株 仕事が手に付かないexit」とか「ビットコイン 仕事が手に付かないexit」とか「相場 仕事が手に付かないexit」とか「暴落 仕事が手に付かないexit」とか「高騰 仕事が手に付かないexit」などと検索すると、マネーゲーム系の副業をすることで職務専念義務を果たさなくなった労働者を多く聞くことができる。そうした労働者が増えると、国家全体の生産技術が劣化し、実質GDPと実質資本レンタル料と実質賃金が下がり、国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数を見れば明らかである。

また副業を解禁してしまうと、労働者重な余暇を副業に費やすことになり、消費を冷え込ませる危険がある。

特にマネーゲームを副業にすることを解禁すると、それを副業にする労働者情報を豊富に収集して入念に分析してから決断を下すようになり、大量の時間を費すようになり、余暇を削るようになり、金稼ぎに忙殺される人生を送るようになる。

「寝ても覚めてもお金を増やすことばかり考える」「10万円をもらったら消費に回さずに投資に使う」「100万円を稼いだら消費に回さずにさらに投資の勉強をする」という労働者が増える危険があり、消費を冷え込ませる危険がある。

マネーゲームを行いながらそれらについてTwitterでお喋りする人がいる。そういう人たちの集団は「クラスタ」とか「クラ」と呼ばれる。クラの人たちが投資に関する情報収集や情報分析に明け暮れている様子は、Twitterを通じていくらでも観察することができる。

マネーゲームに関する情報収集と情報分析は、経済の躍動を実感できる体験であり、刺に満ちあふれて楽しいという好ましい一面がある。しかし、余暇を削って人々の消費を抑制するという好ましくない一面がある。


マネーゲームのために労働者が余暇を削って消費を減らすようになると、労働者自己決定権人生の設計をする権利)の一部を回復不可能なほど永続的に喪失する危険が発生する。簡単な例を挙げると、「金けに中になりすぎて、友達家族回復不可能なほど永続的に失って、人生の設計をする権利の一部を回復不可能なほど永続的に失う」ということである。

株主資本主義が抑制されるでは、人々が自己決定権の一部を回復不可能なほど永続的に喪失することを防ぐために、人々が保有する基本的人権を制限することがある。これを「限定されたパターナリスチックな制約」という。つまり、政府が「人々が余暇を喪失して友達家族回復不可能なほど永続的に失うことを防ぐため、マネーゲーム規制を掛ける」という政策を実行して、人々の経済活動の自由を制限する可性がありうる。

株主資本主義が抑制されるでは間接金融力となり、それと同時にマネーゲームに対して様々な規制が掛けられる。そのため個人が財テクする手段は、銀行への定期預金ぐらいに限られており、選択肢が狭い。しかし、銀行金融庁の厳しい監督を受けている団体であり、財務体質が良好であることが非常に多い団体であり、預金者に定期預金を返済できなくなる危険が非常に少ない団体である。個人にとって、銀行の経営状況についての情報を収集する必要が少なく、余暇が十分に残りやすい。

5. 成果主義・能力主義を導入し、労働組合を弱体化させる

株主資本主義者は、成果主義能力主義を導入した賃金体系を支持する傾向がある。成果主義能力主義を導入した賃金体系をごく簡単に表現すると、「優秀で成果を出している人を賃上げして、無能で成果を出していない人を賃下げする制度」となる。

劣った人ほど自己評価が高く、「自分は優秀で力が高いのでいくらでも成果を出すことができる」と思い込む傾向がある。そうした心理傾向をダニング=クルーガー効果という。このため劣った人は、株主資本主義者が「成果主義能力主義を導入して優秀で成果を出している人を賃上げする」と語ると「自分が賃上げされる」と信じ込んで大喜びする傾向があり、株主資本主義者の口に乗る傾向がある。

優秀な人ほど自己評価が低く、「自分は劣っていてまだ努力が必要な存在であり、さしたる成果を出していない」と思い込む傾向がある。この心理傾向もダニング=クルーガー効果という。優秀な人は「自分は優秀で成果を出している」と言い出さない傾向があり、あまり熱心に賃上げを要しない傾向がある。そして優秀な人を雇用している経営者は、優秀な人の謙虚な心理を利用する傾向があり、優秀な人に対して欠点を摘して反省させ、優秀な人が賃上げを要しないように釘を刺し、賃上げしないで済むように仕向ける傾向がある。このため成果主義能力主義によって優秀な人が賃上げされるとは限らない。

成果主義能力主義を導入して「優秀で成果を出している人を賃上げして、無能で成果を出していない人を賃下げする制度」を導入すると、優秀で成果を出している人の賃金がさほど伸びず、無能で成果を出していない人の賃金がはっきりと下落し、全体として賃下げが進む。優秀で失敗を全く犯さない人に対しては「自分は優秀でないかもしれない」という謙虚な心を利用して賃上げを抑制し、無能で失敗をポロポロと犯す人に対しては失敗したことをいて賃下げする。

人は1日24時間のなかの3分の1にあたる8時間程度を睡眠にあてる生物であり、「無能になる時間」を大量に必要とする生物であり、本質的に「無能」な存在である。そのため無能で成果を出していない人を賃下げする制度を導入してしまえば、どのような人に対しても賃下げの圧力を強く加えることができる。

株主資本主義者は「人間本質的に『無能』な存在であるという現実」と、「成果主義能力主義を導入した賃金体系」という、2つの強力な武器を利用して賃下げに励んでいる。

株主資本主義者が好む成果主義能力主義を採用すると、労働者の間で「労働組合に入りたくない」という気持ちを持つ者が発生する。労働組合というのは「労働組合に加入する労働者の一ベアベースアップ・基本給賃上げ)を達成しよう」と意気込む団体であり、組合員の間で一種の義がある。このため「成果主義能力主義賃金体系が導入されたので、頑って働いて他の人よりも多い賃金をもらおう」などと思うようになった者は、義を掲げる労働組合に対して否定的になる傾向が強い。つまり、成果主義能力主義労働組合弱体化させる効果がある。

株主資本主義者が好む成果主義能力主義を採用すると、企業の人事部(総務部)や経営者が「この労働者無能である」と認定するだけで労働者賃金を下げることができるようになる。労働者の成果や力を評価する人事部・経営者の権力が非常に強くなり、労働者もが人事部・経営者の顔色をうかがう社になり、労働者が萎縮するようになり、自由な社からほど遠い状態になる。さらには労働者使用者の顔色をうかがうようになって職務専念義務を遂行しなくなり、企業の生産性が落ちていく。

株主資本主義者というと新自由主義を信奉していることが多く、「全体主義では自由が封殺される。そんなことが起こってはならず、自由を守り抜かねばならない。そのために政府の権力を最小限にするべきだ」といったことを唱え、自由を尊重して権力を制限することを高らかにする。

口先ではそのようなことをいうのだが、実際の株主資本主義者・新自由主義者は労働者自由を制限して経営者の権力を増大させる成果主義能力主義を好む。

成果主義能力主義の対極に位置する賃金体系というと年功主義年功序列である。新自由主義の支持者は年功主義の長所を一切認めず、年功序列底的に批判する傾向がある。

年功主義の長所を1つだけ挙げると、経営者の権力を制限して恣意的な賃下げを防止できるところである。経営者が「こいつは気に入らないので『成果を挙げていない』と認定して賃下げしてやれ」と行動することができなくなる。


そもそも成果主義能力主義というものは、「労働者に支払う賃金」を決める方法に関する思想である。その「労働者に支払われる賃金」というものには2通りの定義を与えることができる。

1つは「労働者から提供された労働力に支払われる対価」という定義であり、株主資本主義者が好む定義である。労働力を商品として扱い、賃金を商品価格と見なすので、商業的な感覚が色濃い定義である。労働力という商品の良し悪しによって賃金が変わるという考え方であり、成果主義能力主義を生み出す定義である。

もう1つは「『労働者から時間と生命力を奪い取る』という加行為を懲罰して抑制するための罰金」という定義であり、労働組合の参加者や反・株主資本主義者が好む定義である。商業的な思想ではなく、社会の維持を優先する思想であり、成果主義能力主義の思想を生み出さない思想である。

6. 国や地方の現業を民営化して国内の労働運動を弱体化させる

株主資本主義者が国家を語るとき、小さな政府を志向し、かつての三公社五現業のような現業地方現業を消滅させる民営化を推進する傾向がある。「官から民へ」「民間にできることは民間に」というスローガンを繰り返して[24]地方現業全消滅させるのが株主資本主義者である。

現業というのは、政府地方公共団体の一部門や公共企業体(社)が議会に議決された予算に基づいて権力を行使せずに財・サービス提供をすることである。日本を始めとして様々な財政民主主義が導入されているが、そういう現業をすると、「々の職場は国会に支持されており、絶対に倒産しない」とか「々が活発に労働運動をしても、々の職場は決して倒産しない」と確信して安心する労働者が非常に多く発生し、内の労働運動を引っっていく労働者が非常に多く発生し、内の労働運動が活発化して賃上げが基調となるになる。

民間企業労働組合というのは御用組合になることが多く、「々が活発に労働運動をすると々の職場が倒産してしまう」と不安に思って恐怖する労働者ばかりで構成されており、内の労働運動を引っっていく力を持っていない。

このため、株主資本主義者は地方現業を敵視し、民営化を推進する。内の労働運動を引っるような強力な労働組合を消滅させ、内の労働運動を引っれない軟弱な御用組合だけにするのが株主資本主義者の理想である。

また、地方現業を創設して労働者を大量に雇用すると、労働市場において労働需要が増えて賃金が上昇する。労働市場に参加する民間企業は「地方現業と同じぐらいの待遇にしないと、地方現業労働者を奪われてしまう」と焦るようになり、待遇を向上させる。

以上のことをまとめると、地方現業というのは一種の装置であり、「労働運動支援装置」「労働待遇向上装置・賃上げ装置・益装置」という性質がある。

地方現業」の短所というのは、民間企業べて較的にコスト意識・効率化意識が低く、進取の精神が較的に薄く、サービス精神も較的に低いところである。

一方で民間企業の長所と短所は「地方現業」と全く逆となる。民間企業の長所は「地方現業」にべて較的にコスト意識・効率化意識が高く、進取の精神が較的に濃く、サービス精神も較的に高いところである。民間企業の短所は「人件費を削減して税引後当期純利益と利益剰余金を作り出そう」という欲が強く、労働者の待遇を悪化させたがるがあるところである。

地方現業」と民間企業の違いを表にまとめると次のようになる。 

民間企業 地方現業
長所 コスト意識・効率化意識が高く、進取の精神が濃く、サービス精神が高い 労働待遇向上装置・賃上げ装置・労働規制装置である。戦闘的な労働組合を生み出して労働運動を牽引させる。労働市場労働者を奪い合っている民間企業に「労働者の待遇を向上させないと官営事業に労働者を奪われてしまう」と考えさせ、民間企業労働者待遇の向上に貢献する
短所 御用組合ばかりを生み出し、労働運動を作り出すことができない。労働者の待遇を悪化させて人件費を削減し、税引後当期純利益や利益剰余金を稼ごうとする傾向がある コスト意識・効率化意識が低く、進取の精神が薄く、サービス精神が低い

このように「地方現業」と民間企業は一長一短であり、どちらも国家の発展にとって必要な存在である。しかし株主資本主義者はそうした現実を直視せず、ひたすら「地方現業」の欠点をあげつらい、民間企業の欠点をひた隠しにして、民尊官卑の言動を繰り返して、「地方現業」を叩き潰そうとする。

株主資本主義者は「地方現業は不採算部門そのものであり、利益を食いつぶしていて、赤字垂れ流しの状態なので、地方現業を削減するのが当然のことだ」とする。「垂れ流し」とは汚を排出する公害企業を連想させるネガティブな表現である。株主資本主義者は、相手のイメージを悪くさせるネガティブ表現を駆使するのが上手い。


ちなみに、現業には「現業」と「地方現業」の2種類があるが、「現業」の方が「地方現業」よりも大規模な事業になりやすい。日銀不換銀行券通貨として発行しており、さらに「不換銀行券に交換できる中央銀行預金」を通貨と同等のものとして発行しており、つまり通貨や「通貨と同等のもの」を全く負担しに発行できる存在である。そして政府というのは日銀法第4条に基づいて日銀を与えることができ、国会の議決を受けたあとに国債を発行して日銀が発行する通貨や「通貨と同等のもの」を好きなだけ獲得できる。一方で地方公共団体日銀を与えることができず、地方議会の議決を受けた後に地方債を発行して日銀が発行する通貨や「通貨と同等のもの」を獲得するということを円滑に行えない。

このため株主資本主義者が最も敵視するのは「現業」である。「地方現業」は大規模な事業になりにくく、株主資本主義者にとって大きな脅威ではない。

7. 夜警国家にして国内の労働運動を弱体化させる

株主資本主義者は小さな政府を理想視しており、「地方現業」を民営化して「地方非現業」の予算を削減することを好む。しかし、株主資本主義者の中にも例外があり、「地方非現業」の中で自衛隊海上保安庁刑務所警察消防といった治安部門に対して特別に優しい態度になる者がいる。小さな政府を志向しつつ「地方非現業」の中の治安部門を特別に優遇することを夜警国家という。

自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士は、法律によって労働三権をすべて否定されていて、上労働強化の要をしてきても反抗せずに従う存在である。政府地方公共団体に直接雇用されて安定した賃金を得ているが、労働組合を結成することができず、世の中の労働組合運動に参加することができず、労働弱化や賃上げの気運を世の中に広めることができない。

自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士は政府地方公共団体に直接雇用されることで賃金の安定性・確実性に恵まれているので、その部分は株主資本主義者にとって気に入らない。しかし自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士は労働組合を作らないので、その部分は株主資本主義者にとって歓迎できる。

ちなみに、株主資本主義者が最も理想とする労働者は「民間企業に雇用されることで賃金の不安定性・不確実性に悩まされていて、なおかつ労働組合に参加しない労働者」である。賃金の不安定性・不確実性に悩まされているという部分が株主資本主義者にとって素晴らしいことだし、労働組合活動をしないという部分も株主資本主義者にとって大歓迎である。

他方で、「自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士以外の非現業公務員」や現業労働者は、労働三権のうち団結権と団体交渉権を認められており、上労働強化の要をしてきたら労働組合を通じて反抗する存在である。政府地方公共団体に直接雇用されることで賃金の安定性・確実性に恵まれており、そしてなおかつ労働組合の活動をすることができるので、世の中の労働組合活動の先頭に立つことが多く、労働弱化と賃上げの気運を世の中に広める可性が極めて高い。株主資本主義者にとって「理想から最もかけ離れた労働者」であり、永遠の敵であり、不倶戴天の敵である。

以上のことを表にまとめると次のようになる。

民間企業に雇用されることで賃金の不安定性・不確実性に悩まされていて、なおかつ労働組合に参加しない労働者 政府地方公共団体に直接雇用されることで賃金の安定性・確実性に恵まれているが、労働組合に参加しない労働者 政府地方公共団体に直接雇用されることで賃金の安定性・確実性に恵まれていて、なおかつ労働組合に参加する労働者
代表例 2020年12月以前のGAFA米国巨大IT企業4社)の労働者 自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防 庁職員、郵便局員、国鉄職員
内における労働組合運動に対して 関せず」「自分には関係ない」という態度をとる 関せず」「自分には関係ない」という態度をとる 積極的に参加し、導していく
株主資本主義者にとって 理想の労働者 半分理想、半分気に入らない 永遠の敵、不倶戴天の敵

株主資本主義者にとって内の労働組合の活発化を抑え込むことは最大の課題である。夜警国家を採用して治安部門の雇用を増やすことは内の労働組合の活発化に直結しないので、株主資本主義者にとって許容範囲内の政策である。

先述のように、自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士というのは株主資本主義者にとって「半分理想、半分気に入らない」という存在であるが、反・株主資本主義の支持者(ステークホルダー資本主義の支持者)にとっても「半分理想、半分気に入らない」という存在である。

自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士は政府地方公共団体に直接雇用されることで賃金の安定性・確実性に恵まれているので、世の中の民間企業に「が社も労働者賃金の安定性・確実性を保障しよう。そうしないと労働者自衛隊海上保安庁刑務所警察消防に流出する」と考えさせる存在であり、その部分は反・株主資本主義者にとって好ましい。しかし自衛官・上保安官・刑務官・警察官消防士は労働組合を結成できず、世の中の労働組合活動に参加できない存在であり、その部分は反・株主資本主義者にとって好ましくない。

8. 議員歳費を削って非・富裕層議員の出現を防ぎ、労働者保護政策を支持する民意が反映されないようにする

株主資本主義者は国会議員地方議員の歳費(議員歳費)を削減することを好む。

株主資本主義者が最も恐れることは、「地方現業復活させて戦闘的な労働組合を出現させて内の労働運動を活発化させて労働者経済的地位を安定させてほしい」といった労働者保護の民意を受け取る国会議員が出現することである。それを防ぐために最も有効なことは議員歳費の削減である。議員歳費を削減すれば、労働者からの民意を吸収することを得意とする非・富裕層出身の議員が政治活動しにくくなる。

一方、事業で大成功を収めた企業経営者から政治家に転身した成金議員や、先代からの資産を大量に相続した世襲議員のような富裕層出身の議員は、議員歳費を減らされても簡単に政治活動を行うことができる。

議員歳費をゼロにすると、非・富裕層出身の議員が政治活動を行えなくなる。選挙に立補して当選しても議員歳費をもらえず極貧の生活に転落することが予測できるので、非・富裕層から選挙に立補することをも行わなくなる。非・富裕層の被選挙権を実質的に制限して富裕層の被選挙権のみを実質的に認める制限選挙になる。

株主資本主義者は議員歳費の支給を嫌い、金持ちが給で議員を務める体制を好み、非・富裕層出身の議員を嫌い、成金議員・世襲議員を好み、普通選挙を嫌い、制限選挙を好み、民主主義を嫌い、エリート主義を好むという傾向がある。「制限選挙だったころのAは栄えていたが、普通選挙を取り入れて民衆の意見を取り入れるようになってから落していった」などと語るのがおなじみの姿である[25]

株主資本主義者は民意を嫌っており、「大衆は愚かで馬鹿なので、大衆の言うことなど聞くべきではない」と断言して、民意を軽視する潮を作り出そうとする傾向がある。民意を吸収する政治に対して「衆愚政治であり、ポピュリズムであり、大衆迎合である」というレッテル貼りをし、民意を吸収する政治家に対して「あのようなポピュリスト政治家を台頭させると、政府の財政が破綻するかハイパーインフレになるかのどちらかになり、経済が荒し、1990年代初頭のソ連のようになる」という極論を浴びせて攻め潰しにかかる。そして「民意を吸収する政治家の言うことは、まことに甘い誘惑であるが、身を滅ぼすものである。決してそういう危険な誘惑に負けてはいけない」と言う傾向がある。

新自由主義や株主資本主義に好意的な経済学者の書く教科書では、「社会的分業こそが人類の発展をもたらしたのだ」と熱っぽく述べる文章がしばしば見られる[26]。その論理からすると、「面倒で難しい政治のことは成金議員や世襲議員などの少数の知的エリートに任せておき、その他大勢は政治のことを考えずに生産に打ち込めばよろしい」ということになり、制限選挙階級社会を大いに肯定することになる。制限選挙を導入して階級社会が出現すると、民意が政治に反映されず、統治される人々から統治者への情報伝達が行われず、情報の流通が阻され、社会が停滞しやすくなる。

9. 貧困を賛美して国内の労働運動を弱体化させる

株主資本主義者は貧困を賛美することがあるし、貧困を賛美する文章が書かれた書籍を読しつつ他の人に勧めることがある[27]

労働運動的の大半は、労働者賃金最低額を労働市場で形成される均衡準よりも高く設定して構造的失業の発生を甘受しつつ労働者生活準の向上をもたらそうというものである。そこで株主資本主義者は、貧困を賛美し、生活準が低い状態そのものを肯定し、労働者が自らの生活準を向上させようとしないような雰囲気を作り出そうとする傾向がある。

協力企業に払う費用を減らす

協力企業に払う費用の例

株式投資をしてA社のを所有したうえで株主資本主義に染まると、A社の「協力企業に払う費用」が削られることを非常に喜ぶようになる。

「協力企業に払う費用」は、A社が小売業・卸売業なら「商品を仕入れる仕入れ費用」となり、製造業なら「原材料を購入する原材料費」や「労務を購入する外注費」となる。そのほか、「会社の食を提供する弁当屋に払う費用」や「銀行や社債購入者に支払う利子」も含まれる。

解雇規制を緩和して市場占有率が高い企業を出現させる

株主資本主義は解雇規制の緩和を望む傾向がある。その理由としては、①不気になって収益が急減しても人件費を急減させて税引後当期純利益を確保できる企業を作ることと、②労働者の「解雇されるリスク」を高めて労働者を不安にさせて労働者の消費意欲を破壊して消費を減らしてクラウディングアウトの逆を発生させて実質利子率を下げて企業の利払い費を減らして企業の税引後当期純利益を増やすことが挙げられる。そして、それ以外に、③企業市場占有率を高めて協力企業に対して高圧的に接することができるようにして企業が「協力企業に払う費用」を削減しやすくすることも挙げることができる。

解雇規制が緩和されて企業労働者自由解雇できるようになると、企業は「労働者をいくら雇っても好きなときに解雇できる」と考えるようになって極めて積極的に雇用するようになり、市場占有率を拡大する機会が巡ってきたときに一気に雇用を拡大するようになり、企業市場占有率を伸ばしやすくなる。

市場占有率を伸ばして寡占に近い状態になった企業は、協力企業に対して「君たちは私たちの要まねばならない」と高圧的に接しやすくなり、「協力企業に払う費用」を削減しやすくなる。

新自由主義と株主資本主義は一体不可分であり、その両者は同時に国家に浸透していく。新自由主義が優勢になるでは、自由貿易の促進に伴う安価な外製品の流入に対抗するために企業の合併が進んでいく。株主資本主義が優勢になるでは、解雇規制の緩和などを原因として企業の合併が進んでいく。

こうして、新自由主義と株主資本主義が優勢なでは、1つの市場を数社で占有する寡占の状態や、1つの市場を1社で占有する独占の状態になりやすくなり、市場占有率が高い企業が出現しやすくなる。つまり、企業間の格差が広がっていく。そうなると、大企業中小企業の協力企業に対して値引きを要しやすくなるのである。


株主資本主義が優勢なでは、「原材料の価格が高騰して資インフレが発生しているのに、仕入れ価格の値上がり分を価格に転できない中小企業が多い」というニュースが多く流れるようになる[28]

そうしたニュースに接した株主資本主義者は「世の中に協力会社へ支払う費用を低く維持する流れが起こっている。立場の強い大企業が立場の弱い中小企業へ威圧的に接して値上げを許さない弱肉強食社会になっている。ゆえに自分が株式を保有しているA社も、協力会社へ支払う費用も低く維持されるだろう」と考えて喜ぶ。

株主資本主義者は弱肉強食という四文字熟語を好み、「弱いものが強いものにおとなしく従って食い物にされるのは極めて当然だ。それが人類社会の掟であり、自然界の真理というものだ」と語ることが多く、強いものが上に立って弱いものが下に回る階級社会を好む。

直接金融を採用して無駄な利払いを減らす

株主資本主義者が企業を経営するときは、間接金融で資金調達することを嫌い、直接金融で資金調達することを大いに好む。

間接金融の代表例は、銀行による書貸付・手形貸付によってお金を借りることである。直接金融の代表例は、社債やCPを短期金融市場長期金融市場に売り出してそれらの市場参加者からお金を借りることである。

銀行から書貸付・手形貸付お金を借りることを繰り返すと、融資担当の銀行員に温情を感じるようになってしまう。その銀行員が「私もノルマを課されているんです。どうか借り入れして利子を払っていただけませんか」と泣きついてくると、どうしても温情を殺しきれず、必要もいのに銀行から借り入れをする羽になる。結果として、企業銀行駄な利子を払う羽になり、「協力企業に払う費用」を駄に払う羽になる。

社債やCPを短期金融市場長期金融市場に売り出して資金調達することを続けていれば、市場参加者とはドライな関係であるので、借りたくもないときに駄に借り入れすることにならず、「協力企業に払う費用」を駄に払わなくて済む。

株主資本主義が優勢なでは、バーゼル合意(BIS規制)が強化されて銀行信用創造が制限され、銀行の経営が苦しくなり、間接金融が衰えていく。それはなぜかというと株主資本主義者は銀行間接金融に対して好意的な印を持っていないからである。

そして株主資本主義が優勢なでは直接金融が賛美される。政府が「貯蓄から投資へ」とか「貯蓄から資産形成へ」という標語を打ち出しつつ[29]、「間接金融から直接金融への転換をすべきだ」とするようになる。

直接金融に参加する企業は「経営状況を常に良好にして、財務諸表を常に良好なものにしよう」と考えるようになる。短期金融市場長期金融市場の参加者は企業財務諸表を見てその企業の社債やCPを買うかどうかを決めるからである。そのため、直接金融に参加する企業は非常に短期的な視野で企業経営するようになり、「ある期でいったん損失を出すが、その10年後に大きな収益を上げる」というような長期的視野を持つ経営計画を立てられなくなる。これが直接金融の短所である。

直接金融だけで資金調達する企業は、貸し手と市場で接するだけであり、貸し手との距離が遠いままになる。そうなると企業は貸し手から良質な情報を入手して自らを成長させることが難しい。これが直接金融の短所である。

一方で間接金融には、企業銀行員から良質な情報を収集できて自らを成長させやすいという長所がある。

自由貿易を促進して原材料費を減らす

株主資本主義者は新自由主義者を兼任することがほとんどである。

新自由主義者はTPPRCEPのような自由貿易協定を締結して自由貿易を促進することがある。自由貿易により、企業は、高賃金で製造される商品を購入せずに低賃金で製造される商品を購入できるようになり、原材料費などの費用を削減できるようになる。

実質利子率を下げて協力企業に払う利払い費用を減らす

株主資本主義者は、企業の経営というミクロ的(微視的)な話題から離れ、政府の財政政策というマクロ的(巨視的)なことを語ることがある。

そういうときの株主資本主義者は、政府購入や消費を減らす財政政策を一貫してする。そうすることでクラウディングアウトの逆を引き起こし、実質利子率を下げ、企業の利払い費用を減らし、企業が税引後当期純利益を増やせるようにする。

また株主資本主義者は、一定の思想を広めることで人々の消費を減らしてクラウディングアウトの逆を引き起こし、実質利子率を下げることもある。

実質利子率を下げるための株主資本主義者の手口はとても多である。この項では書き切れないので、次の『実質利子率を下げて協力企業に払う利払い費用を減らす』の章で改めて解説する。

実質利子率を下げて協力企業に払う利払い費用を減らす

1. 政府を罵倒して政府購入を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者にとって政府購入を減らした状態が理想である。政府購入を減らせばクラウディングアウトの逆となって実質利子率が下落し、企業お金を借り入れたときに発生する利払い費が減少し、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなる。

国債を発行してお金を借り入れてそのお金政府購入するときは非常に強いクラウディングアウトとなり、租税お金を徴収してそのお金政府購入するときも一定のクラウディングアウトが発生する。つまり、政府購入はどういう財であってもクラウディングアウトを発生させる。詳しくはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項を参照のこと。このため、政府購入そのものに対して株主資本主義者は常に否定的な態度をとる。

株主資本主義者は、政府購入を減らすという理想を達成するため、政府というものをあらゆる手段で底的に罵倒して、人々が政府を嫌悪するように仕向けていく。

株主資本主義者は、政府購入を増やして大きな政府そうとする政治勢力に対して、「彼らは共産主義者・社会主義者・左左翼・極左・アカであり、彼らのいうとおりにするとソ連北朝鮮毛沢東時代の中国のようになる」とか「彼らはファシスト全体主義者であり、彼らのいうとおりにすると戦前戦中の軍国主義日本ナチス・ドイツのようになる」といった具合にレッテル張りをして、猛批判する。

株主資本主義者の中には、冷戦時代・昭和時代まで反共の闘士だった人がいるし、反共するカルト宗教団体の信者もいる。そうした人たちにとって反共の思想を織り交ぜつつ政府を罵倒することは手慣れたものである。

株主資本主義者は、共産主義経済麻痺を繰り返し話題にして、「政府経済に介入して統制経済になるとすべてが悪化する」「政府企業の足を引っるだけのしである」と人々が思うように誘導して、民尊官卑潮を作りあげる。また株主資本主義者は、公務員スキャンダル不祥事を大いに話題にして、「公務員はたるんでいる」とみんなが糾弾するように仕向けて、民尊官卑潮を作りあげる。

政府国家治安を作り出して、企業はその治安に大きく依存して生産活動を行う」というのが多くので見られる現象であるが、株主資本主義者はそうしたことに極力触れず、人々が政府を小馬鹿にするような潮を作り出すことに余念がない。

株主資本主義が流行するでは同時に新自由主義が流行し、自由貿易が拡大していく。先進国でそのような状態になると、多企業が出現するようになり、さらに多企業の経営者が「発展途上国労働者先進国労働者に同じ賃金を与えると発展途上国労働者の方がずっと熱心に働く」などと語って先進国労働者を罵倒するようになる。そういう罵倒の言葉を聞かされる先進国労働者は自信を喪失し、失った自信を取り戻すために何かを攻撃することに中になる。そして、株主資本主義者の「公務員は怠け者であり、政府民間の足を引っるだけの無能である」といった民尊官卑の言動を受け入れるようになり、公務員政府を小馬鹿にするようになる。以上のように、株主資本主義や新自由主義が流行するでは、株主資本主義者や新自由主義者の躍動によって民尊官卑という職業差別然と行われるようになり、不道徳社会になる。

株主資本主義者はときおり租税財源説を語り、「税金は財源」と語る。租税財源説の特徴の1つは、「政府他者加害原理に基づかずに人々の財産権を侵している」と論じて人々が政府を嫌悪するように煽る性質がある点である。

2. 国や地方の現業の赤字を減らして政府購入を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者は、地方現業が作り出す赤字底的に問題視し、そうした赤字を縮小するようにしくする。

世の中の人々は「赤字」という二文字を見ると恐怖と嫌悪の感情を抱く性質を持っている。このため株主資本主義者の「地方現業赤字を減らせ」というが通りやすい。

(中央政府)や地方地方公共団体)が現業をするために、ある企業株式をすべて取得してその企業企業に変貌させたとする。地方現業は「住民に対して安定的に財・サービスを供給する」という的のもとに行われるため、企業は、収益が少なくなりやすく、費用が多くなりやすく、「収益-費用=利益」で計算できる利益がマイナスになって赤字になりやすい。

企業の利益がマイナスになって赤字になると、中央政府地方公共団体赤字と同じ金額のお金企業に注入して赤字の補填をするのだが、この赤字の補填は政府購入となる。「企業株式を新規発行して政府に売り、政府政府購入の一環としてその株式を買い、企業株主割当増資となった。企業は得られた資本金を『その他利益剰余金』に変換して減資し、赤字になって発生した『その他利益剰余金』のマイナス数値を消した」と解釈してもよい。また、「政府政府購入の一環として財・サービスを購入し、得られた財・サービス企業償で譲渡し、企業の費用を削減し、企業赤字を削減した」と解釈してもよい。

このため、地方現業が作り出す赤字を削減すると政府購入を減らすことになり、「クラウディングアウトの逆」を発生させ、実質利子率の下落と企業の利払い費の削減をもたらし、企業の税引後当期純利益の増加を発生させ、株主資本主義者を満足させることになる。

地方現業が作り出す赤字を削減するためには2つの方法がある。1つは、地方現業を担当する企業に「民間企業の感覚」とか「費用対効果の意識」とか「コスト意識」などを持たせ、収益を増やして費用を減らすことを強制することである。しかし、地方現業を担当する企業法律によって住民に対して安定的に財・サービスを供給することを義務づけられているので、そうした企業に対して収益を増やして費用を減らすことを強制することが本質的に難しい。

もう1つの方法は、「官から民へ」や「民間でできることは民間に」という標語を連呼して地方現業を支える法律止し、中央政府地方公共団体に課していた「財・サービスを住民へ安定的に供給する義務」を解除し、地方現業を担当する企業株式政府地方公共団体が売却するように仕向け、民営化を促進することである。そうすれば、地方現業を担当する企業赤字政府地方公共団体が補填することがなくなり、政府購入を減らすことができる。住民は「財・サービスを安定的に受け取る権利」を失うことになるので強く抵抗するが、それに対して株主資本主義者は用の武器である自助論を持ち出して「政府地方公共団体に甘えるな」などと上から目線のお説教をして住民を黙らせる。こうした方法は1980年代以降の日本で盛んに実行されている。

3. 非現業公務員の数を減らして政府購入を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者は非現業公務員の数を減らして小さな政府を実現することを重視する。

非現業公務員の典は官庁や軍隊や警察に属する労働者である。

非現業の典である官庁や軍隊や警察は、収益が全く発生せず費用だけが発生し、費用と同額の赤字が発生する。そうした赤字政府が補填するのだが、その赤字の補填は政府購入となる。「非現業部門を担当する企業赤字を補填するために新規株式を発行し、政府がその新規発行株式政府購入の一環として購入した」と解釈してもいいし、「政府労働者の労務や資材を政府購入の一環として購入し、非現業部門を担当する企業償で与え、非現業部門を担当する企業赤字を解消した」と解釈してもいい。

入門者向けの経済学教科書において「政府購入は政府による財・サービスの購入だが、公務員提供するさまざまなサービスも含まれる」という意味の文章が書かれ[30]、「政府政府職員のサービスを購入することは政府購入の1つになるし、教師を雇うことは政府購入の1つになる」という意味の文章が書かれ[31]、「警官や消防士や国会議員提供するサービスは、市場が存在しないために市場価格が存在せず、価値を計ることが難しい。そのため警官や消防士や国会議員を雇うための費用をサービスの価値とみなし、帰属計算を行い、政府購入としてGDPに加えている」という意味の文章が書かれている[32]

いずれにせよ、典的な非現業公務員賃金全額政府購入となる。このため、典的な非現業公務員を減らすことは政府購入を減らすことになり、クラウディングアウトの逆を引き起こすことになり、実質利子率の下落と企業の利払い費の削減をもたらすことになり、企業の税引後当期純利益の増加を発生させて株主資本主義者を喜ばせることになる。


株主資本主義者は、「小さくてスリムで賢く効率的で駄がない政府そう」というスローガンを繰り返して、非現業公務員の数を底的に削っていく。

株主資本主義者がするとおりに非現業公務員を極限まで減らして「一切の駄がない小さな政府」にすると、コロナ禍のような有事に対する対応力が急に低下する。「時の駄は有事の余裕」という格言が示すように、駄をそぎ落とした状態の政府は有事に対してとても脆弱になる。

株主資本主義者は、非現業公務員の人員を削減するとき「有事が全く発生せず時が永遠に続くことを大前提としていて、一種の平和ボケである」という批判を浴びて名誉を失うことになる。しかし、株主資本主義者は自らの名誉を失うことをしっかり耐え抜き、世の中の非現業公務員を1人でも減らして自らの利益を増やすことを優先している。


株主資本主義が導権を握るでは政府の予算が減らされて政府人手不足になる。そのため政府ボランティア頼みとなり、民間人をタダ働きさせることが恒例となる。政府高官が「皆さんの協力がないと○×というイベントが成功しません」と宣言し、民間人の「自分たちが協力しないと○×というイベントが失敗してしまう。もし○×というイベント失敗したらそれは自分たちのせいである」という責任感や罪悪感を刺し、民間人の労務を無料で享受し[33]やりがい搾取を行っていく。

政府のそういう姿を見て、ブラック企業の経営者が「々も政府真似をしよう」と考えるようになり、労働者に向かって「君たちのサービス残業がないと会社が倒産します」と宣言し、労働者の「自分たちがサービス残業しないと会社が倒産してしまう。もし会社が倒産したらそれは自分たちのせいである」という責任感や罪悪感を刺し、労働者の労務を無料で享受し、やりがい搾取を行っていく。

株主資本主義のでは政府が率先垂範してブラック企業やりがい搾取の手本を示すので、内のブラック企業が大いに勇気づけられて勢いよく躍動し、不道徳社会になる。


ちなみに、非現業公務員を削減することはもう1つの効果を生み出す。その効果とは、実質的な規制緩和と企業人件費の削減である。

非現業公務員の人員を減らすと、地方規制を実質的に緩和することになる。地方法律や条例を制定して規制を掛けたとしても、その規制を実現する非現業公務員が不足していれば規制底することができず、自然規制が実質的に緩和されていく。

規制緩和をすることで、企業規制に対応するための労働者を確保しなくて済むようになり、人件費を大いに減らすことが可になり、税引後当期純利益を増やしやすくなる。

企業に対する規制が強いでは、規制を実施する監督官庁の退職者を企業が雇用する現象が多く発生する。つまり天下りの受け入れが多く発生する。退職者を雇用することで監督官庁との人脈を構築できるし、監督官庁の組織土を把握することもできるからである。しかし、こういうことは人件費が増えて税引後当期純利益が減ることにつながるので、株主資本主義者がひどく嫌う。

4. 非現業公務員の賃金を減らして政府購入を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者が国家を語るとき、緊縮財政を志向し、「身を切る改革」「構造改革」「行財政改革」「行政改革」「財政改革」と称して非現業への予算を縮小することをし、非現業公務員の人数を減らすだけではなくそ賃金を削減することをする傾向がある。

株主資本主義者は「改革」という好ましいイメージが付着した言葉を使って自らの支持する政策のイメージを向上させる傾向がある。

非現業公務員賃金を削減するときは人事院の勧告内閣の法案提出国会による法案議決という手順をたどる[34]

非現業公務員賃金を引き下げることで優秀な人材が民間企業へ流れるようになり、官庁の士気と実力が低下する。また、非現業公務員賃金を引き下げることで、労働市場において政府地方公共団体労働者を奪い合っている民間企業が「労働者賃金を引き下げても政府地方公共団体労働者を奪われない」と安心するようになり、労働者への賃金を引き下げるようになり、世の中全体の賃下げが進む。

人を政府が雇用して非現業公務員を増やすことはGDPの計算において政府購入の一部となる。このため非現業公務員賃金を減らすことは政府購入を減らすことになり、クラウディングアウトの逆を引き起こすことになり、実質利子率の下落と企業の利払い費の削減をもたらすことになり、企業の税引後当期純利益の増加を発生させて株主資本主義者を喜ばせることになる。

5. 消費税を増税して消費を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義が導権を握るでは消費税が増税されていく傾向にある。

株主資本主義者のほとんどすべてが小さな政府の支持者であり、「税金を最小限にして自由経済活動を促進しよう」と言って法人税所得税相続税贈与税を減税するように訴えるのがいつもの姿である。しかし株主資本主義者は消費税に対しては妙におとなしくなってあまり抵抗しないことが多い。それどころか、株主資本主義者は「消費税は最もな税制である」と口を極めて賛美して消費税を増税する政治的気運を導する傾向が見られる。

消費税が増税されると、買い物に対して巨額の罰金が発生するようになり、すべての人が消費を嫌がるようになって倹約・節約志向になり、すべての人の消費意欲が薄れる。消費税10110万円の物品を購入すると領収書に「物品100万円 消費税10万円」と記載されるのだが、こういう数字を見る消費者は「消費は悪いことである」という思想を持つようになり、倹約好みの性格に変貌していく。

人々の消費意欲が消え失せると、国家限界消費性向MPCが減って限界貯蓄性向MPSが増え、消費が減って投資が増え、クラウディングアウトの逆が起こり、実質利子率が下落し、資金を借り入れた企業の利払い費用が減り、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなり、株主資本主義者にとって理想の楽園となる。

株主資本主義者が導権を握るでは、法人税所得税相続税贈与税が減税されて消費税が増税される傾向にあり、限界消費性向MPCを引き下げる効果が低い税金が減税されて限界消費性向MPCを引き下げる効果が高い税金が増税される傾向にある。そうなると、国家限界消費性向MPCが減って限界貯蓄性向MPSが増え、消費が減って投資が増え、クラウディングアウトの逆が起こり、実質利子率が下落し、資金を借り入れた企業の利払い費用が減り、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなり、株主資本主義者にとって理想の楽園が出現する。

さらにいうと、株主資本主義者が導権を握るでは、所得税相続税贈与税累進課税弱体化させられて富裕層に対する租税が減らされ、逆進性の高い消費税が増やされ、人頭税と酷似していて逆進性が高い社会保険料が増やされていく。そうした傾向により、国家の中の所得格差が拡大し、格差社会階級社会が出現する。格差社会階級社会には欠点があるが、それについては本記事の『株主資本主義で発生する格差社会・階級社会』の項解説する。

6. 解雇規制を緩和して労働者の賃金の確実性と消費を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者は解雇規制の緩和と終身雇用の破壊を好む。解雇規制の緩和とは、使用者労働者を簡単に解雇できるようにすることである。

解雇規制の緩和の具体例は、アルバイトパート派遣社員契約社員といった非正規雇用の形態で労働者を雇用することを解禁する政策である。使用者労働者非正規雇用するときは雇用期間の定めをして労働契約を結ぶので、労働契約が終了するときに再契約をしないことで使用者が実質的に労働者解雇できる。

株主資本主義が席巻するでは官庁や学校図書館のような的職場が率先して非正規雇用をする。これを官製ワーキングプア(官製ワープアという。そうすることで政府が世の中の企業に「政府地方公共団体を見習ってどんどん非正規雇用を拡大すべきだ」とメッセージを送る。日本政府教育分野でそうした政策を実行しており、2012年の時点で非正規教員の割合が全体の16.1になっている(記事exit)。


株主資本主義者が解雇規制の緩和をす理由は3つある。そのうちの1つは、人口の大部分を占める労働者賃金の確実性と消費意欲を減らし、国家限界消費性向MPCを減らして限界貯蓄性向MPSを増やし、消費を減らして投資を増やし、クラウディングアウトの逆を起こし、実質利子率を下落させ、資金を借り入れた企業の利払い費用を減らし、企業が税引後当期純利益を増やしやすくすることである。

解雇規制を緩和すれば労働者賃金の確実性が低くなる。そうなると労働者は「自分は将来に解雇されるかもしれない」と思うようになって将来不安にさいなまれ、予備的貯蓄を優先するようになり[35]、消費嫌いで倹約好みの性格に変貌していく。さらには大な消費が予想される結婚・子作りを避けるようになり、結婚率を低下させていく。

株主資本主義が流行するでは解雇規制が緩和され、結婚率や出産率が低下していき、少子化が進み、しく消費をする子どもという存在が減る。これによってGDPの中の消費の割合が減り、GDPの中の投資の割合が増え、実質利子率が低下していき、資金を借り入れた企業の利払い費用が減り、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなる。


株主資本主義者が解雇規制の緩和をす理由は3つある。そのうちの1つは、不気で業績不振に陥って収益を低下させた企業が人件費を一気に削減して税引後当期純利益を確保して倒産を簡単に回避できるようにするためである。言い換えると、企業が人件費を「気に対応する調整弁」として使えるようにするためである。

株主資本主義者の言うとおりに解雇規制を緩和して、それから不気になると、企業がしっかり生き残って労働者が路頭に迷うことになり、まさしく滅私奉を絵に描いたような社会になる。

株主資本主義者というと小さな政府の信奉者であり、強大な政府批判することに余念がく、「戦前軍国主義日本では自由が封殺され、滅私奉が強制され、『おのために命を捨てて奉せよ』という社会になった。そんなことを繰り返してはならず、政府の権力を制限して小さな政府を実現せねばならない」と熱心にするのが常である。

表向きはそのようなことをいうのだが、実際の株主資本主義者は「企業栄えて労働者滅ぶ」の滅私奉を非常に好み、「企業のために『解雇されずに済む権利』を捨てて奉せよ」という社会を理想とし、解雇規制をひたすら緩和しようとする。

「一将功成りて万枯る」ということわざがあり、「1人の将軍に手柄をもたせるため数万の兵士が犠牲になる」という戦争現実を捉えた表現である(資料exit)。株主資本主義者の言うとおりに解雇規制を緩和して、それから不気になると、「企業生き残りて万枯る」といった社会になる。


株主資本主義者が解雇規制の緩和をす理由は3つある。そのうちの1つは、市場占有率が高くて協力企業に対して高圧的に接することができる大企業を出現させ、そうした大企業が「協力企業に払う費用」を削減して税引後当期純利益を増やすことを助けるというものである。これについては本記事の『協力企業に払う費用を減らす』の項を参照のこと。


解雇規制の緩和には欠点がある。

解雇規制を緩和して終身雇用を破壊すると、使用者の権力が一気に強くなり、企業が「解雇の権限を持つ強い使用者」と「解雇されるがままの弱い労働者」で構成される階級社会となる。そうなると労働者が「使用者のご機嫌伺いを優先しよう」と考えるようになり、労働者が労働に集中しなくなり、労働者職務専念義務を遂行しなくなり、労働強化の逆となり、企業の生産性が落ちていき、国家全体の生産技術が劣化し、実質GDPが下がっていく。

また、解雇規制を緩和して終身雇用を破壊すると、使用者の権力が一気に強くなり、企業が「解雇の権限を持つ強い使用者」と「解雇されるがままの弱い労働者」で構成される階級社会となる。そうなると労働者の間で「使用者は自分と階級が異なっていて自分とは出来が違うのだから話しかけることは止めておこう」という気運が広がり、労働者使用者に対して積極的情報提供権(表現の自由)を行使することをためらうようになり、通しが悪い企業になる。上意下達(トップダウン)だけが行われて下意上達(ボトムアップ)がまるで行われない企業になり、企業の中で情報の流通が阻され、欠点がいつまで経っても残り続ける企業になり、企業が発展せずに停滞するようになる。企業の生産性が落ちていき、国家全体の生産技術が劣化し、実質GDPが下がっていく。

7. 観光業を重視して非正規雇用を増やし労働者の賃金の確実性と消費を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義が盛んになるで重視されるのは観光業である。「観光」という看板を掲げ、インバウンド外国人観光客)をひたすら呼び込もうとする。

株主資本主義が勢いを持つ日本では、2006年観光推進基本法が可決された。そして2016年IR推進法が可決され、2018年IR実施法が可決され、IR(統合リゾート)を整備する法律が作られた。これらの法律によって、カジノなどの施設を作って外国人観光客を呼び込もうとする政策が推進される。

観光業というのは、株主資本主義者にとって非常に好ましい産業である。観光業というのは正規雇用が少なくて非正規雇用が多いことで有名である[36]観光業は繁忙期と閑散期の波がしく、正規雇用して正社員を増やすことが難しく、アルバイトパート派遣社員契約社員といった非正規雇用の形態で労働者を雇用せざるをえないのが実情である。

株主資本主義者は解雇規制の緩和をしており、「正社員解雇しにくく、まさに既得権益である。正社員という雇用形態を消滅させて、全ての労働者解雇しやすい非正規雇用にしてしまおう」と論ずることが多い[37]。そうした株主資本主義者にとって、非正規雇用が多い観光業はまさしく理想の業種である。

非正規雇用の割合が多い観光業を増やすことで、観光業以外の業種に勤める人々に対して「観光業の人たちが非正規雇用生活しているのだから、君たちも非正規雇用生活できるはずだ」と同調圧力を掛ける。これが株主資本主義者の標の1つである。

観光業が増えることで世の中の非正規雇用が増えれば、賃金の確実性と消費意欲を失った労働者が増え、将来に解雇される可性に備えて予備的貯蓄しようとして消費を嫌がる労働者が増える。それにより国家限界消費性向MPCが減って限界貯蓄性向MPSが増え、消費が減って投資が増え、クラウディングアウトの逆が起こり、実質利子率が下落し、資金を借り入れた企業の利払い費用が減り、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなる。

ステークホルダー資本主義者(反・株主資本主義者)は、「正規雇用が多い業種を育成し、賃金の確実性・安定性に恵まれ労働者を増やすべきだ」と論じるのが常である。そして「観光業を重視すると世の中の非正規雇用が増えてしまい、賃金の不確実性・不安定性に悩まされる労働者が増えてしまう」と論じ、観光の政策に対して反対の立場を取ることが多い[38]

株主資本主義者は、有力な産業に恵まれない田舎地方において観光業を増やすことで産業を振しようとする。一方でステークホルダー資本主義者(反・株主資本主義者)は、農産業の分野において関税を高めて保護貿易を導入して農産業で生活できる体制を整え、有力な産業に恵まれない田舎地方において農産業を増やすことで産業を振しようとする。農産業は気変動のリスクにさらされているので工業よりも賃金の安定性が低いが、観光業よりは賃金の安定性が高いので、ステークホルダー資本主義者(反・株主資本主義者)が重視する産業である。


株主資本主義者は観光業を重視するので、休日分散についても賛成する傾向がある。

休日分散とは、1つのをいくつかの地域に分け、地域ごとに大型連休ずらして取得させることをいう。例えば、「5月1日5日に北海道東北関東甲信越休暇に入り、5月6日10日に東海関西中国四国九州沖縄休暇に入る」といった具合に休暇を分散させる。

休日分散の利点は、道路渋滞新幹線飛行機の混雑が減り、宿泊施設の宿泊代も安くなり、観光業にとっての閑散期が減って観光業の企業の売上が増える、といったところである。従来どおりに全一斉に休暇を取ると、道路渋滞新幹線飛行機の混雑が強になり、宿泊施設の宿泊代も高くなり、観光業にとっての閑散期が発生して観光業の企業の売上が低いままになる。

休日分散の大きな欠点は、遠隔地に住む友人家族と同時に休暇を取ることができず、人々の間で分断が進んでしまうところである。先ほどの例のように「5月1日5日に北海道東北関東甲信越休暇に入り、5月6日10日に東海関西中国四国九州沖縄休暇に入る」という制度を導入すると、「北海道で就職した人が5月3日になって関西に帰省しても、関西に住んでいる友人家族休暇期間に入っておらず、会えない」というような、非常に残酷なことになる。

株主資本主義者というのは成果主義能力主義を推進するところがあり、格差社会階級社会の出現を望むところがあり、階級社会の意識が強い。階級社会の意識が強くなると「階級が異なる人と情報を交換して仲良くしよう」という気運が薄れ、「みんな一斉に休日をとって同窓会などを開いて交流しよう」という気運が薄れ、社会の分断を肯定する気持ちが生じ、休日分散に賛成する気持ちが生じるようになる。

8. 年金や医療費支援や介護費支援を削減して政府購入や消費を減らして実質利子率を下げる

加齢によって成果を出せなくなったり力を喪失したりした老人に対して政府お金を給付する制度を年金という。また政府は、医療サービス介護サービスを享受した老人が支払うべき医療費や介護費に対して金銭的に支援することがある。

年金政府から老人への給付金であり、経済学の中では減税の一種と扱われる[39]給付金政府から計への送金であり、税金計から政府への送金なので、給付金税金の正反対であり、減税に等しい。

政府による医療費や介護費の負担は政府購入の一種である。「政府が医療サービス介護サービスの一部を政府購入の一環として買い取って、それを老人に償で譲渡している」という解釈をしてよい。

年金や医療費支援介護支援の財は、①政府日銀法第4条を堅持しつつ国債を発行して借り入れる資金や、②人々に課する租税や、③人々に課する社会保険料のどれかである。そして、①の財を採用しても、②や③の財を採用しても、いずれにせよクラウディングアウトとなる。そのことはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項で確認できる。

国債を発行して金融市場から資金を借り入れて医療費支援介護支援をすることは、国債でA円を借り入れてA円の政府購入をすることに等しく、かなり強めのクラウディングアウトとなる。

国債を発行して金融市場から資金を借り入れて年金を支給することは、国債でA円を借り入れてA円の減税をすることに等しく、強めのクラウディングアウトとなる。

租税社会保険料を徴収して医療費支援介護支援をすることは、租税でA円を徴収してA円の政府購入をすることに等しく、弱めのクラウディングアウトとなる。

租税社会保険料を徴収して年金を支給することは、租税でA円を徴収してA円の減税をすることに等しく、本来ならまったくクラウディングアウトが発生しない。しかし、この場合は、限界消費性向MPCが低い現役世代から限界消費性向MPCが高い老人へお金が移転するので、消費が増えて投資が減り、クラウディングアウトになる。現役世代が持つ将来よりも老人が持つ将来の方が短いので、現役世代の方が限界貯蓄性向MPSが高くて限界消費性向MPCが低く、老人の方が限界貯蓄性向MPSが低くて限界消費性向MPCが高い。

クラウディングアウトになると実質利子率が上昇し、資金を借り入れた企業の利払い費用が増え、企業が税引後当期純利益を増やしにくくなるのだが、それは株主資本主義者が心から嫌がることである。このため株主資本主義者は年金や医療費支援介護支援に対して常に反対する。


株主資本主義者は、年金や医療費支援介護支援を削減したがる傾向にある。その理由は、上述のようにクラウディングアウト阻止するためというものが挙げられるが、人々の収入の確実性と消費意欲を減少させることで国家全体の限界消費性向MPCを減少させてクラウディングアウトの逆を発生させるというものも挙げられる。

年金や医療費支援介護支援を削減すると、人々に「自分が老いたら政府助けてくれない」と思わせることができ、人々に将来不安を与えることができ、人々が将来に備えて予備的貯蓄をして消費を抑制するように誘導することができ、国家全体の限界消費性向MPCを減退させることができる。そうなれば、クラウディングアウトの逆が起こって実質利子率が下がって企業が税引後当期純利益を増やしやすくなり、株主資本主義者が望む状態になる。


株主資本主義者は年金や医療費支援介護支援底的に嫌い、そうした制度を潰すために様々な論説をする。「既得権益者の老人が社会保険料を課すという手段で若者を痛めつけている」などと老人に対する憎悪を煽る論説をしたり、あるいは「現行の年金制度は制度疲労を起こしていて将来の破綻が考えられるので今すぐに改革すべきだ」などと不安を煽る論説をしたり、「生産力が低い老人に対して資金と人員を配置するのは駄であって効率的でないので、医療産業や介護産業のような老人を世話する産業を縮小してれさせ、もっと効率的に富を生み出す産業へ資金と人員を移動すべきだ」などと軽蔑を煽る論説をしたりする。

株主資本主義者は老人への支援を重視する政治を嫌っており、そうした政治シルバー民主主義シルバーデモクラシー)と呼び、「シルバー民主主義を否定するべきだ」としく訴え、「若者投票率を上げつつ『老人を憎悪する若者』が増えればシルバー民主主義を打破できる」と考え、若者選挙投票へ行くことを勧めつつ「老人が社会保険料の賦課という手段で若者を痛めつけている」というヘイトスピーチに近い言動をすることがある。

株主資本主義者が好む言葉は「効率」である。その株主資本主義者が政府による社会保障年金給付をにすると「ロクな生産力もない老人にお金を注ぎ込んで人をり付かせるのは駄で非効率的だ」と猛反発する傾向がある。政府による社会保障年金給付を大々的に行う政策を確定させたのは田中角栄であるので[40]、株主資本主義者は田中角栄底的に敵視する傾向がある。

ちなみに株主資本主義者は「国土の均衡ある発展」と呼ばれる地域振政策をにすると「ロクな生産力もない地方お金を注ぎ込んで人をり付かせるのは駄で非効率的だ」と猛反発する傾向がある。そして、「国土の均衡ある発展」を大々的に行う政策を確定させたのは田中角栄であるので、株主資本主義者は田中角栄底的に敵視する傾向がある。

株主資本主義者は老人を嫌う傾向が高く、「老人は生産力が低く社会GDPへの貢献を行っていないので、さっさと逝去してくれたら良い」とか「老人は穀潰し(ごくつぶし)であり、姥捨て山[41]に放置して口減らしして、社会の人件費(コスト)を削減した方が良い」という思想が言動の節々からにじみ出てくる傾向がある。

株主資本主義者のそういうに対して、「医療器具の加工は非常に難しい[42]。老人に対する医療費を拡大することで医療器具の加工という困難な作業に挑む企業が増え、内の企業が高性工作機械を購入するという設備投資をするようになり、国家の将来の資本量が増え、国家が将来において実質GDPを増やすことができる。老人に対する医療費は一種の産業振費である」という反論が寄せられることがある。

医療器具の産業というのは、医者などの医療関係者や患者の家族が「できるだけ良い医療器具を作ってくれ。さもないと患者が死んでしまう!」といった具合に気迫る表情で内発的動機付けを強く掛ける産業であるので、賃上げをめる労働運動がやや起こりにくいという短所がある。しかし、先述のように医療器具の産業は高性工作機械を必要とするので国家の資本量を増やしやすいという長所がある。

ちなみに余談ながら、医療器具産業に匹敵するほどに産業を振する効果が高いのは軍事産業である。軍事産業では高性の製品を作るための高性工作機械を必要とするので国家の資本量を伸ばしやすいという長所がある。軍人が「できるだけ良い兵器を作ってくれ。さもないと味方が死んでしまう!」といった具合に気迫る表情で内発的動機付けを強く掛ける産業であるので、賃上げをめる労働運動がやや起こりにくいという短所があるが、その短所を補うほどの長所がある。

日本憲法平和国家であることを定められている。そして、エネルギーや食糧といった資の自給率が非常に低い国家なので、すべての国家と仲良くする全方位外交を維持する必要があり、軍事行動を起こすことが難しく、外の恨みを買うような兵器輸出が難しい。ゆえに日本が「兵器に対する需要」を大幅に増やして技術を進歩させるという策をとるのはあまり現実的ではない。

「老人が逝去せずに踏んると、老人に対する医療器具を大量かつ高品質に作ることになり、医療器具を作る製造業を鍛え上げる効果が生まれ、製造業の技術準を押し上げる効果が生まれる」とか「老人は病気になりやすい存在で、病気になることで『作るのが難しい医療器具』に対する需要を作り出す存在であり、製造業が難しい加工に挑戦するきっかけを作り出す存在であり、製造業の技術準をグイグイ押し上げるモーターでありエンジンであるので、簡単に逝去してもらったら困る」という思想がある。そういう思想を持つ人は、株主資本主義者の「高齢者は逝去してしまえばいい」というに対して強硬に反論することになる。

9. 自助論や自己責任論を広めて政府購入や消費を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者は、自助論自己責任論を語ることを好む。

株主資本主義者の自助論自己責任論の典は「政府に保護されようと思うのは甘えであって国家衰退へのである」とか「日の丸の気持ちを抱いてぬくぬくとしていれば堕落する」というものであり、説教臭い道徳論になることが恒例である。

日の丸とは、公務員が「自分の勤める職場の経営者は日本国政府なので絶対に倒産しない」と信じる意識のことをすが、ここでは人々が「自分が困ったら日本政府が必ず助けてくれる」と信じる意識のことも含む。

株主資本主義者の自助論自己責任論は、人々に対して「皆さんは、困ったことが発生しても、政府に対して政府購入に基づく政府からのサービス提供を請する権利をもっていないし、政府に対して給付金や減税を請する権利をもっていない。そういうことをするのなら々が道徳論で罵倒する」と告げるものであり、困ったことが発生した人に対して日本国憲法第16条に基づく請願をすることを諦めさせたり、困ったことが発生した人に対して日本国憲法第21条に基づく「行政や立法や法にを与える的で行う表現」をすることを諦めさせたりするもので、人々の基本的人権を抑圧するものであり、日本国憲法の精神と一致しないものである。

株主資本主義者が熱心に自助論自己責任論を語ることで、人々は「困ったことが発生しても、自分には政府に対して政府購入に基づく政府からのサービス提供を請する権利がないし、政府に対して給付金や減税を請する権利がない」と思うようになり、困ったことが発生しても国会議員を通じて政府購入や減税を要することを避けるようになる。そうなると政府購入や消費が減って投資が増え、クラウディングアウトの逆が発生し、実質利子率が下落し、企業が借り入れに伴う利払い費を削減できるようになり、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなる。

株主資本主義者が熱心に自助論自己責任論を語ることで、人々は「困ったことが発生したら政府助けてくれず収入が減する」と思うようになり、将来不安に襲われるようになる。将来不安に悩まされた人々は、自らの収入の確実性が減少したと思い込んで予備的貯蓄を優先するようになって消費意欲を減退させ、しい消費が予想される結婚出産を諦めるようになり、少子化を進行させる要因を作り出す。そうなると国家限界消費性向MPCが減って限界貯蓄性向MPSが増え、消費が減って投資が増え、クラウディングアウトの逆が発生し、実質利子率が下落し、企業が借り入れに伴う利払い費を削減できるようになり、企業が税引後当期純利益を増やしやすくなる。


株主資本主義者は、自助論自己責任論を語るときに「道徳を語る教師」といった立ち位置になり、「自分は道徳を理解している立な存在なのだ」という思いを強くすることができ、満足することができる。そして株主資本主義者は、そうした満足感に酔いしれながら、実質利子率を引き下げて税引後当期純利益を増やす可性を高めている。株主資本主義者にとって自助論自己責任論を述べることは、自らの気分を良くすることができるし金けになるしで、とても満足できる楽しい行為である。

株主資本主義者は、「道徳論を語って道徳的に優れていると思われたい」という名誉欲と、「政府購入や消費を減らしてクラウディングアウトの逆を発生させて実質利子率を引き下げて企業が資金を借り入れる際に支払う利払い費を削減して企業の税引後当期純利益を増やして金けしたい」という金銭欲を両方とも持ち合わせている。株主資本主義者のそうした欲望を両方ともしっかり満たすのが自助論自己責任論である。


株主資本主義者が自助論自己責任論を語るとき、①まず「日本世界最強覇権国家であるアメリカ合衆国を見習わねばならない」と述べて、②続いて「アメリカ合衆国自助論が浸透した自己責任であり、星条旗の生き方をする人がどこにもいない」と語り、③最終的に「日本人自助論を受け入れ自己責任の意識を持たねばならず、日の丸の生き方を諦めねばならない」という結論を導く。つまり、強大なアメリカ合衆国に対する憧れの心を利用しつつ、三段論法を駆使して同調圧力を掛ける。株主資本主義に傾倒する政治家が著書でそのように三段論法を駆使して同調圧力を掛けることがある[43]

強大な外に対する憧れの心を利用して「強大な外の人々は○×という行動をしているのだから、君も○×という行動をするべきだ」と語りかけて同調圧力を掛ける存在は、しばしば出羽守と言われる。

しかし、現実アメリカ合衆国軍事予算が巨大なであり、軍人を非常に手厚く保護するであり、星条旗の気持ちを抱いて生きる人が多く存在するである。アメリカ合衆国貧乏庭に生まれついた場合は、高校卒業してから軍隊に入り、軍隊で23年ほど働いてから予備役になり、予備役の身分のまま軍人の学費をタダにする大学に通い、「元軍人を積極的に雇用していて社会国家に貢献しております」とアピールしようとする企業に就職する、という選択肢を選ぶことができる。アメリカ合衆国大学に留学すると「数年前まで軍隊で働いていた」という学生に出くわすことがしくないという。

株主資本主義者がアメリカ合衆国のことを語るとき、軍隊で数年働いてから大学に通う人々のことには決して触れようとせず、星条旗の生き方をする人々のことをひたすら黙殺する。それはなぜかというと、「世界最強覇権国家であるアメリカ合衆国自助論が浸透した自己責任であり、星条旗の生き方をする人がどこにもいない」というプロパガンダ(思想宣伝)の邪魔になるからである。


株主資本主義者が自助論自己責任論を広めることを順調に行うと、有力な産業がない地方の住民が地方公共団体に対して「政府購入に基づく地方公共団体からのサービス提供」や減税を請しにくくなる。そうなると、有力な産業がない地方から有力な産業のある地方への移住が進み、「国土の均衡ある発展」という政策が失敗して「地方切り捨て」という事態となり、有力な産業がない地方に人口空白地域が出現し、犯罪者犯罪拠品を捨てやすい状況となり、治安が悪化していく。治安が悪化すると世の中の労働者が労働に集中しにくくなり、職務専念義務を果たしづらくなり、労働強化の逆となり、労働時間が一定であっても生産量が減る事態となり、国家全体の生産技術が劣化し、実質GDPと労働生産性と資本生産性と実質賃金と実質資本レンタル料のすべてが減少し、国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

株主資本主義と表裏一体の新自由主義が流行すると、自由貿易が推進され、際的資本移動の自由化が進み、多企業が出現する。そして多企業企業経営者は「発展途上国労働者先進国労働者に同じ賃金を払うと発展途上国労働者の方がずっと熱心に働く」と言って先進国労働者を罵倒するようになる。自信を破壊された先進国労働者は何かを罵倒したり軽蔑したりして自信を回復させることに中になる。そうした状況で株主資本主義者が自助論自己責任論を広めるので、先進国労働者は株主資本主義者を見習って「自助をせず自己責任を意識しない者」に対して自助論自己責任論で罵倒して軽蔑するようになる。以上をまとめると、新自由主義者が先進国労働者に対してかを罵倒して軽蔑したがる心理を植え付け、株主資本主義者が先進国労働者に対して罵倒して軽蔑する手段を直接的に与えている。

10. 財政破綻論や「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を語り消費や国債発行を減らして実質利子率を下げる

株主資本主義者は、財政破綻論や「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を繰り返し語って人々の不安と恐怖を煽る習性を持っている。

日本政府経済政策の基本方針の1つとして「円建て日本国債の債務不履行を絶対に回避する」という方針を堅持している。②日本には日銀法第4条があり、日本銀行に対して日本政府経済政策の基本方針と整合的な金融政策をとるように義務づけている。③日本政府通貨として採用しているのは日本銀行が発行する不換銀行券であり、日本銀行が全く負担しで発行できる。以上の①と②と③から、日本政府日本円建ての国債をどれだけ発行しても決して返済不可能に陥らず、財政破綻しない。また日本政府日本円建ての国債をどれだけ発行しても日銀支援を得て返済できるのであって子孫への増税のみに頼る必要が発生しない。

株主資本主義者は以上の①と②と③を意図的に忘却し、「日本政府日本円建て日本国債を返済しきれずに財政破綻する」とか「日本円建て日本国債は子孫の負担を増やして子孫を必ず苦しめる」と繰り返し語っている。③を意図的に忘却するときの株主資本主義者は商品貨幣論の支持者になる傾向がある。

株主資本主義者の語る財政破綻論は、人々の不安と恐怖煽り、人々の「意思決定の自由」を阻し、人々を困惑させるものである。財政破綻論を語る株主資本主義者の姿はカルト宗教団体と酷似している。カルト宗教団体は、人々の不安と恐怖煽り、人々の「意思決定の自由」を阻し、人々を困惑させることを常習とする団体である。

日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」とするときの株主資本主義者に最もよく似ているカルト宗教団体というと統一教会である。統一教会は「あなたの行いであなたの子孫は地獄に堕ちて苦しむことになる」と言って信者の不安と恐怖を煽ることを得意としている。ハッキリ宣教師の「あなたの行いであなたの子孫が苦しむ」という説法はその好例である。

日本政府2024年6月21日の閣議で2024年版の「こども白書」を決定した。日本米国ドイツフランススウェーデンの5ヶの13歳から29歳の人を対アンケートを行ったが「自の将来は明るいと思うか」の質問に「そう思う」または「どちらかといえばそう思う」と答えた割合は日本が最も低かった(記事exit)。こうした状況の原因の1つとして、日本において株主資本主義者たちが精力的に財政破綻論を語り続けてきたことを挙げることができる。


株主資本主義者は財政破綻論を述べたり「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を語ったりするのだが、それには3つの的がある。そのうちの1つは、そうした論理を語ることで人々に「自分は借金持ちで負債を抱えている」と考えさせ、人々の消費意欲を打ち砕き、国家全体の限界消費性向MPCを減らして消費を減らし、国家全体の限界貯蓄性向MPSを増やして投資を増やし、クラウディングアウトの逆を発生させて実質利子率を下げ、企業が資金を借り入れる際に支払う利払い費を削減し、企業の税引後当期純利益を増やすという的である。

人間は「自分は借金持ちである」と感じれば「消費などしている場合ではない」という気分になり、限界消費性向MPCを減らして消費を抑制する。このため株主資本主義者は「政府の借金は○兆円で、それは皆さんの借金ですから、皆さんは借金持ちなのです」とひたすらに人々に語りかけ、人々に「消費などしている場合ではない」という気分を持たせようと懸命になっている。


株主資本主義者は財政破綻論を述べたり「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を語ったりするのだが、それには3つの的がある。そのうちの1つは、そうした論理を語ることで人々に「将来において政府国債を発行して資金を得ることができなくなるので年金や医療費支援介護支援といった社会保障が必ず破綻する」と考えさせ、人々の将来不安を煽って人々を絶望させ、人々の消費意欲を打ち砕いて人々の貯蓄意欲を煽り国家全体の限界消費性向MPCを減らして消費を減らし、国家全体の限界貯蓄性向MPSを増やして投資を増やし、「クラウディングアウトの逆」を発生させて実質利子率を下げ、企業が資金を借り入れる際に支払う利払い費を削減し、企業の税引後当期純利益を増やすという的である。

「人々を絶望させてその絶望の心を自らのエネルギーにしている」というと、ドラクエなどのRPG系のゲームの敵役にありがちな設定であるが、株主資本主義者はそれと似たような性質を持っている。株主資本主義者はまず株式を購入して企業になり、財政破綻論を語って人々に「将来において政府国債を発行して社会保障の資金を得ることができなくなるので社会保障が必ず破綻する」と絶望させ、人々が消費せずに予備的貯蓄をするように仕向け、国家限界消費性向MPCを減らして限界貯蓄性向MPSを増やし、「クラウディングアウトの逆」を引き起こし、実質利子率を引き下げて企業が支払う利払い費を削減し、企業の税引後当期純利益を増やし、自らのエネルギーを高めている。


株主資本主義者は財政破綻論を述べたり「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を語ったりするのだが、それには3つの的がある。そのうちの1つは、プライマリーバランスの均衡や黒字すよう国会議員官僚民に強制し、クラウディングアウトを減らしたり「クラウディングアウトの逆」を発生させたりして実質利子率を下げ、企業が資金を借り入れる際に支払う利払い費を削減し、企業の税引後当期純利益を増やすという的である。

プライマリーバランスが均衡していて限界消費性向MPCが0.7で限界貯蓄性向MPSが0.3の国家があるとする。その国家が1兆円の国債を発行してプライマリーバランス赤字を1兆円だけ発生させて1兆円の政府購入をすると、1兆円の投資を減らすことになり、クラウディングアウトが非常に大きく発生する。一方で1兆円の増税をしてプライマリーバランスの均衡を保って1兆円の政府購入をすると、3000億円の投資を減らすことになり、クラウディングアウトが少なく発生する。詳しくはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項を参照のこと。ゆえに株主資本主義者は常に後者を選び、プライマリーバランス赤字を否定してプライマリーバランスの均衡をし、国債を財とする財政政策から租税を財とする財政政策に変更しようとする。

プライマリーバランスが均衡していて限界消費性向MPCが0.7で限界貯蓄性向MPSが0.3の国家があるとする。その国家が1兆円の国債を発行してプライマリーバランス赤字を1兆円だけ発生させて1兆円の減税をすると、7000億円の投資を減らすことになり、クラウディングアウトが大きく発生する。一方で1兆円の増税をしてプライマリーバランスの均衡を保って1兆円の減税をすると、全く投資を減らさず、クラウディングアウトが全く発生しない。詳しくはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項を参照のこと。ゆえに株主資本主義者は常に後者を選び、プライマリーバランス赤字を否定してプライマリーバランスの均衡をし、国債を財とする財政政策から租税を財とする財政政策に変更しようとする。

プライマリーバランスが均衡していて限界消費性向MPCが0.7で限界貯蓄性向MPSが0.3の国家があり、過去に発行した1兆円の国債の償還をすることになったとする。その国家が1兆円の国債を発行して1兆円の国債の償還をして借り換えをすると、投資を一定に保ち、クラウディングアウトや「クラウディングアウトの逆」が全く発生しない。一方でその国家が1兆円の増税をしてプライマリーバランス黒字を1兆円だけ発生させて1兆円の国債の償還をすると、投資を7000億円増やし、「クラウディングアウトの逆」を大きく発生させる。詳しくはクラウディングアウトの記事の『国債償還の2形態の比較』の項を参照のこと。このため株主資本主義者は、租税を増やして政府購入や減税を減らしてプライマリーバランス黒字にして税金国債を償還することを常に標とする。

ちなみに、株主資本主義者がプライマリーバランスを均衡や黒字に近づけるために増やす税金というと、消費税が定番である。消費税は人々から効率的に税金を吸い上げる性質があり、プライマリーバランス黒字に近づける力が強く、株主資本主義者にとって用の武器といった存在である。


株主資本主義者のほとんどは「プライマリーバランス黒字にすることでクラウディングアウトの逆を発生させ企業の借り入れ費用を減らして企業が税引後当期純利益を多く稼げるようにして企業を喜ばせよう」としない。そのようなをすると、「金にがめつい欲深」「金けしか考えない企業の回し者」という印を周囲に与えることになり、自らの不利益を招くからである。

一方で株主資本主義者のほとんどが「プライマリーバランス黒字にすることで政府債務を減らして将来の子孫を借金地獄から解放しよう」とする。そのようなをすれば「子孫のことを心から考える道徳」「将来世代のことを考える聖人」という印を周囲に与えることになり、自らの利益を招くからである。

つまり言い換えると、ほとんどの株主資本主義者は財政破綻論や「日本円建て日本国債は子孫を必ず苦しめる」という論理を語って「子孫のことを心から考える道徳」「将来世代のことを考える聖人」という仮面をかぶる。

ちなみに、株主資本主義に反対する者たち、つまりステークホルダー資本主義者も「先進国プライマリーバランス赤字にしてクラウディングアウトを起こすことを適度に行えば、過剰投資を抑制でき、バブル経済による好気とバブル崩壊による不気を抑制でき、不良債権が大量に発生することを抑制でき、将来世代に不良債権というツケを回すことがなくなり、将来世代に安定した経済を引き渡せる」などと語って「子孫のことを心から考える道徳」「将来世代のことを考える聖人」という仮面をかぶる。

経済政策の論争の場は、「子孫のことを心から考える道徳」「将来世代のことを考える聖人」という仮面を上手にかぶる技術の競争の場でもある。先進国において株主資本主義者は「プライマリーバランス赤字にして政府債務を増やすということは将来世代にツケを回すことになるので絶対にしてはならない」と述べて「将来世代のことを考える聖人」という仮面をかぶるし、ステークホルダー資本主義者は「プライマリーバランス黒字にして過剰投資を増やして不良債権を増やすということは将来世代にツケを回すことになるので絶対にしてはならない」と述べて「将来世代のことを考える聖人」という仮面をかぶる。両者はそのようにして競争している。

11. 社会保障の分野でA円の政府購入をA円の減税に変更して実質利子率を下げる

社会保障を論ずる場において、株主資本主義者はA円の政府購入をゼロにすることをまずはする。そして、人々の抵抗しくてそうしたが世間に受け入れられないことを悟ったときの株主資本主義者は、妥協案として、A円の政府購入をA円の減税に変更することをする。

たとえば、政府が医療費支援介護支援教育支援を行うことをすべてとりやめてそれにかかる経費のお金をすべて給付金とかベーシックインカムとして民に支給することをする。

医療費支援介護支援教育支援は、政府サービスを購入して計に償で譲渡することと同じであるから政府購入の一種である。給付金ベーシックインカム経済学において減税として扱われる。言い換えると、政府が使い定しつつお金計に給付することは政府購入になり、政府が使い定せずにお金計に給付することは減税になる。

国債を発行してA円を金融市場から借り入れてそのA円で医療費支援介護支援教育支援といった政府購入を行う政策と、国債を発行してA円を金融市場から借り入れてそのA円で給付金ベーシックインカムといった減税を行う政策をべると、後者の方がクラウディングアウトの度合いが弱く、実質利子率を引き上げる効果が弱く、企業が支払う利子を増やす効果が弱く、企業の税引後当期純利益を減らす効果が弱い。詳しくはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項を参照のこと。ゆえに株主資本主義者は常に後者を選ぶ。

租税計から徴収してA円を調達してそのA円で医療費支援介護支援教育支援といった政府購入を行う政策と、租税計から徴収してA円を調達してそのA円で給付金ベーシックインカムといった減税を行う政策をべると、後者の方がクラウディングアウトの度合いが弱く、実質利子率を引き上げる効果が弱く、企業が支払う利子を増やす効果が弱く、企業の税引後当期純利益を減らす効果が弱い。詳しくはクラウディングアウトの記事の『財政政策の4形態の比較』の項を参照のこと。ゆえに株主資本主義者は常に後者を選ぶ。


株主資本主義者のほとんどは「A円の政府購入をA円の減税に変更して実質利子率を下げて企業の借り入れ費用を減らして企業が税引後当期純利益を多く稼げるようにして企業を喜ばせよう」としない。そのようなをすると、「金にがめつい欲深」「金けしか考えない企業の回し者」という印を周囲に与えることになり、自らの不利益を招くからである。

そこで株主資本主義者は「政府官僚は他人が稼いだお金を使う寄生虫のような存在であり、責任感を持たず頭をしっかり使わず馬鹿な判断をして無駄遣いばかりする」と言ったり「民間人は自分が稼いだお金を自分のお金として使う立な存在であり、責任感を持って頭をしっかり使って賢く判断して効率的にお金を使う」と言ったりして、民尊官卑の言動を繰り返し、そうした上でA円の政府購入をA円の減税に変更することをする。

また株主資本主義者は「民間人が自分のお金という財産自由に処分することを尊重すべきであって日本国憲法第29条に基づき民間人の財産権を尊重すべきである」と言い、憲法論や法律論の言動を繰り返し、そうした上でA円の政府購入をA円の減税に変更することをする。

株主資本主義を弱体化させる方法

保護貿易の導入

株主資本主義を弱体化させるためには保護貿易の導入が効果的である。

保護貿易にすると、企業安価な外製品と競争するために企業体力を向上させることから解放され、株主資本主義を採用する必要性が薄れる。

国の現業の創設

株主資本主義を弱体化させるためにはかつての三公社五現業のような現業を創設することが有効である。

現業を創設すると、それに従事する労働者が熱心に労働運動を行うようになり、世の中の労働運動が活発化し、賃上げの気運が生まれる。各企業の経営者はに対し「現業労働組合が作り出す労働運動の勢いが強いので、の皆さんの『人件費を削れ』という要には応じられません」と拒絶できるようになり、各企業においての発言力が急に低下し、が「物言わぬ」「黙りこくった」というべき存在になり、株主資本主義が弱体化していく。

解雇規制の強化

株主資本主義を弱体化させるためには解雇規制を強化することが有効である。

解雇規制を強化することで、不気になったときも各企業が雇用を維持するようになり、「労働者に払う費用」を簡単に削れなくなる。

解雇規制を強化することで、企業が雇用の拡大を積極的に行わなくなり、企業市場占有率が伸びにくくなり、大企業中小企業の格差が縮小し、各企業が「協力企業に払う費用」を簡単に削れなくなる。

このため解雇規制を強化することで、各企業の経営者はに対し「解雇規制があるのでの皆さんの要には応じられません」と拒絶できるようになり、各企業においての発言力が急に低下し、が「物言わぬ」「黙りこくった」というべき存在になり、株主資本主義が弱体化していく。

法人税の強化

株主資本主義を弱体化させるためには法人税の強化が有効である。

法人税を増税すると各企業が「法人税を節税するために法人所得を圧縮しよう」と考えるようになる。なぜなら、法人税法人所得に法人税率を掛けて徴税額を計算するからである。

そして企業が「法人所得を圧縮するために損金を増やそう」と考えるようになり、「間接金融や社債発行で資金調達しよう。つまり銀行から借り入れて銀行利子を払うか、社債を発行して社債保有者に利子を払うか、どちらかにしよう。銀行や社債保有者に支払う利子は、企業会計における費用であり、税務における損金である」と考えるようになり、「株式発行で資金調達するのは止めておこう。へ支払う配当は企業会計における費用ではないし、税務における損金でもない」と考えるようになる。

その結果として、各企業公募増資を減らすようになり、株主資本主義が弱体化していく。


ちなみに法人税を強化すると社会の構造が大きく変わり、中小企業への銀行融資が増えて中小企業に優しい社会になり、中小企業大企業の格差が多少なりとも縮小する。

法人税を強化すると各企業の税引後当期純利益が減ることになり、各企業利益剰余金が減ることになる。

企業は借り入れするときに利子を支払いつつ元金を返済するのだが、元金の返済は「その他利益剰余金の見合いとなる銀行預金」を原資としている。そのため、法人税が強化されて企業の「その他利益剰余金の見合いとなる銀行預金」が減ると、企業元金を短期で返済しにくくなり、元金を長期にわたって返済するように変化していく。つまり法人税を強化すると企業が短期借り入れから長期借り入れに移行していくのである。

企業が短期借り入れから長期借り入れに移行すると、短期金融市場での需要が減って短期金利が下落し、長期金融市場での需要が増えて長期金利が上昇する。つまり法人税を強化すると長期金利短期金利の差が拡大し、長短金利差が拡大するのである。

ごく一般的にいうと、長期金利短期金利の差が拡大すると、すなわち長短金利差が拡大すると、銀行の経営が良好になる。そうなると銀行は「経営に余裕が出てきたことだし、なんだか怪しい中小企業にも融資をしてみよう」と考えるようになり、中小企業への融資を積極的に行うようになる。つまり法人税を強化すると、中小企業銀行から融資を受けやすくなり、中小企業の経営が較的に容易になり、中小企業大企業の格差が多少なりとも縮小する。

金融所得税の強化

株主資本主義を弱体化させるためには金融所得税の強化が有効である。

株式等の譲渡で発生する株式譲渡益に掛ける株式等譲渡益課税(キャピタルゲイン税)や、株式の配当に掛ける株式等配当課税(インカムゲイン税)を累進課税にする。こうすることで「大金持ちの投資」が出現しにくくなり、各企業が「大金持ちの投資に当社の株式を買ってもらおう。彼らが気に入るような株主資本主義の企業経営をしよう」と考えなくなり、株主資本主義が弱体化する。

 2021年12月31日の時点において、日本の式等譲渡益課税(キャピタルゲイン税)や株式等配当課税(インカムゲイン税)は一律税であり、一律20.315%(所・復興別所得税15.315%、住民税5%)なっており累進課税が導入されていない。そして高額所得者ほど株式譲渡や株式配当で得られる収入の割合が多い。このため申告納税者の所得税負担率を見てみると、所得金額が1億円までは所得税負担率が右肩上がりの累進課税となっているが、所得金額が1億円を超えると所得税負額が右肩下がりになっている(記事exit)。このことを1億円の壁という。

2021年8月26日になって自民党総裁選挙に出した岸田文雄は、「株式等譲渡益課税(キャピタルゲイン税)や株式等配当課税(インカムゲイン税)の一課税を見直す。1億円の壁を打破する」と発言し、9月29日になって総裁選に勝利して10月4日首相へ就任したが、10月10日になって「金融課税について、当面、見直しをしない」という発言をした(記事exit)。つまり、岸田文雄は株主資本主義の弱体化をしようとしたが、あっさり断念した。

株主資本主義で発生する格差社会・階級社会

株主資本主義によって格差社会になる

株主資本主義のでは、労働者への人件費を削ってへの配当金を増やすことを企業流となる。

の意向に従って労働者への人件費をひたすら削る経営者が「V字回復救世主」「信念の人」などと口を極めて賛美され、そうした経営者にはたちから褒美として高額の役員報酬が与えられる[44]。このためと「の手先となって人件費の削減に励む経営者」が高額所得者となり、企業経営に関与しない平社員が低額所得者になっていく。

さらには所得税累進課税弱体化され、と「の手先となってコストカットに励む経営者」が高額所得を得る現象法律によって強く肯定される。

こうして所得格差が広がり、貧富の差が広がり、格差社会になっていく。株主資本主義が席巻するでは格差の拡大が顕著であり、ごく少数の人たちが勝ち組となって富を独占するようになり、大多数の人たちが負け組となって貧困生活になる。「人口の1の人々が富の99を所有する」といった状態が普通のことになる[45]


株主資本主義者が最も嫌う社会平等社会である。

等にも機会等と条件等と結果等の3種類があるが[46]、株主資本主義者が優先的に潰しにかかるのは結果等である。「いくら頑っても結果が等になるという社会を作れば、人々の労働意欲が蒸発して社会が停滞し、共産主義のように経済麻痺する」とし、所得税累進課税底的に否定する。

株主資本主義者の望むように結果等を潰してしまえば、自然と条件等も崩れていく。大金持ちの子どもは高額の謝礼を払って塾に通って高学歴を得るのに対し、貧乏人の子どもは塾に通えず低学歴になる。子どもたちが社会に参加するときには学歴格差が大きく開いており、条件等が全に崩れることになる。条件等が崩れてしまえば実質的に機会等が崩れることになる。

さらに株主資本主義者は条件等を直接的に潰そうとする。「から子へ遺産とともに知恵が継承されていくことで社会する」とし、相続税贈与税必死になって否定する[47]

等を破壊するときの株主資本主義者は、日本国憲法第29条の「財産権の不可侵」を根拠にして、それを錦の御旗にする。「財産権を否定した共産主義は、経済麻痺を起こして滅んだ」などとする。

株主資本主義によって階級社会になる

株主資本主義者の手によって等を破壊して格差社会にすると、次第に階級社会になる。

階級社会の悪いところは、人が人に気軽に話しかける雰囲気が失われ、情報の流通が阻され、社会が停滞するところである。階級社会の典例というとスクールカーストであるが、スクールカーストが異なっている子ども同士は全く交流せず、お互いに話しかけない。

階級社会になると、上流階級のものは「下流階級の連中に話しかけると『あいつは下流階級の仲間だ』と思われて上流階級から追い出されてしまう」と考えて、下流階級に話しかけることをためらうようになる。下流階級のものは「上流階級の人は自分とは住む世界が違う」と考えて、上流階級に話しかけることをためらうようになる。人が人に気軽に話しかける雰囲気が失われ、人々積極的情報提供権(表現の自由)を自ら封印するようになり、情報の流通が阻され、社会が発展せずに停滞する。

平等社会を作り出す所得税累進課税の根拠の1つは、日本国憲法第21条表現の自由である。人が人に気軽に話しかける雰囲気を作り出して、人々が持つ表現の自由を尊重し、社会の中の情報流通を促進して社会の発展をすために、所得税累進課税相続税を課税し、富裕層や貴族の出現を防止し、結果等・条件等・機会等が保障される平等社会を作りあげる。

逆に言うと、等意識が芽生えて人々がお互いに話しかけやすい雰囲気を作り出せる程度の結果等にすればいいのであって、「すべての労働者を年収700万円にして完璧な結果等にする」のようなことを実現する必要はい、ということになる。

株主資本主義者は日本国憲法第29条の「財産権の不可侵」を尊重して累進課税を否定するし、ステークホルダー資本主義者は日本国憲法第21条表現の自由を尊重して累進課税を肯定する。両者にはこうした違いがある。

「あいつは嫉妬しているだけだ」と言って格差社会・階級社会の批判を潰す

日本国憲法第21条を遵守して『表現の自由』を尊重し人々の積極的情報提供権という基本的人権を保障しよう。そのために所得税累進課税を掛けて結果等の平等社会にして無階級社会にしよう」と提案する人に対して株主資本主義者が投げかける言葉は「あいつは嫉妬しているだけだ、あいつは成功者の足を引っっているだけだ」というものである[48]

基本的人権の尊重をめる人に対して「あいつは嫉妬しているだけだ、あいつは成功者の足を引っっているだけだ」とレッテル貼りして名誉を破壊するのが株主資本主義者が行いがちな行動である。

株主資本主義者は「あいつは嫉妬しているだけだ」というレッテル貼りを得意とするのだが、そういう行為は「嫉妬というのは絶対的な悪徳である」という思想に基づいている。

しかし、そうした思想は正しいわけではない。嫉妬ライバル意識と競争心を生んで労働強化をもたらして社会を活気づけることもあるから、「嫉妬は相対的な悪徳であり、嫉妬を否定することが妥当なときもあり、嫉妬を肯定することが妥当なときもある」という思想の方が正しい。

次のような話がある。年功序列的と揶揄された会社にAとBが同期で入社した。AとBが入社して数年後にAの給がBの給よりも数百円だけ多くなった。Aは「自分の方が評価されている」とり切り、Bは「あいつには負けられない」と頑り、AとBが2人とも出世街道をばく進し、給の差が数百円のままで2人とも取締役にまで出世したという[49]

ここでのBの心理は「あいつに負けて悔しい」といったものだが、これは嫉妬心の一形態である。その嫉妬心が猛ライバル意識を生み、競争を煽り労働強化をもたらした。

このように嫉妬には競争を煽って労働強化をもたらすという好ましい面もあり、絶対的な悪徳と扱うことは望ましくない。

トリクルダウン理論の宣伝をして格差社会を肯定する

株主資本主義によって格差社会になることが批判されたら、株主資本主義者は次のような論理展開を行う。

まず、「人というものは所得が伸びればそれに例して消費を伸ばす」とする。続いて「高額所得者を増やせば、その高額所得者が必ず高額の消費をする」とし、そして「高額所得者が高額の消費をすることで各企業の売上高が伸び、経済発展する」としていく。これがいわゆるトリクルダウン理論である。

また、「人というものは所得が伸びればそれに例して消費を伸ばす」としてから、「高額所得者は頭が良くて優秀で商品に付加価値が付いているかどうかを見定める力が高い」と高額所得者を崇拝するがごとく褒め讃え、そして「高額所得者は付加価値の高い商品を買う消費をして、『付加価値が高い商品を作る立な産業』を育成している」と述べていく。「フランス料理は王侯貴族という高額所得者に提供する宮廷料理が基礎となっているし、ウィーンオーケストラハプスブルグという高額所得者の王族に提供する宮廷音楽が基礎となっている」などと例を挙げ、「高額所得者が付加価値の高い産業を必ず生み出すのだ」としていく。これもトリクルダウン理論の一形態と言える。

こうしたトリクルダウン理論の出発点となるのは、常に「人というものは所得が伸びればそれに例して消費を伸ばす」というである。このにはあまり説得力がなく、「アメリカ合衆国大富豪であるウォーレン・バフェットは倹約であって消費を盛んに行っていない[50]」という反論を浴びることが多い。

ウォーレン・バフェットは株主資本主義の時代に生まれた大富豪であり、「株主資本主義が作り出した大富豪」と言っていいような存在であるが、その彼が株主資本主義者の好むトリクルダウン理論にとって皮にも天敵となっている。

大金持ちへの崇拝をして格差社会を肯定する

株主資本主義によって格差社会になることが批判されたら、株主資本主義者は「大金持ちを人為的に作りだし、その大金持ちに際的な大活躍をしてもらって内に富を呼び込んでもらえばいい。優秀な大金持ちに経済を引っってもらい、そのおこぼれをコバンザメのごとく拾っていけばいい」と論じることもある。このには「金持ちへの期待感と依存心」を見てとることができる。

株主資本主義者は所得税累進課税に反対することが多いが、そのことをするとき、「大金持ちは頭が良くて優秀で生産力が高い存在である」と信仰するがごとく褒め称え、そして「大金持ちの足を引っらずに放置しておけば自動的に国家の富を増産してくれる」と語り、「大金持ちへの所得税累進課税弱体化させることで効率的に経済発展することができる」と述べていく。大金持ちを万の神であるかのように扱う株主資本主義者の姿は、敬虔な信仰をする宗教者といった観がある。

「大金持ちが働けば働くほど富が生まれる」と信仰する株主資本主義者の姿が多く見られるが、現実は必ずしもそうなっているわけではない。大金持ちが間違った働きをして巨額の損失を出す現象はしばしば見られる。「高額所得の企業経営者が、海外進出をして工場を建設することを決断したが、どうにも上手くいかず、巨額の損失を出しながら撤退した」という現象はたまに報じられる。

このように、大金持ちは決して全知全ではないが、それでも株主資本主義者は「大金持ちが働けば働くほど富が生まれる」と熱心に信仰する。

株主資本主義は企業を「倒産しにくく永続しやすい団体」に近づけることをしている。そして「倒産しにくく永続しやすい団体」というと、その代表例は宗教法人なのである。宗教法人宗教活動で得た法人所得に法人税が課されないので倒産しにくく永続しやすい。このため株主資本主義は宗教法人を理想視して企業宗教法人に近づけようとする思想と言える。株主資本主義者からどことなく宗教の雰囲気を感じるのはこのためである。

株主資本主義と宗教団体

株主資本主義の国では宗教団体が躍動する

株主資本主義のでは長時間労働が横行し、労働者は疲れ果てて政治のことなど考えられなくなる。また株主資本主義のでは労働組合弱体化し、労働組合がしつこく労働者に対して投票を呼びかけることが少なくなる。

こうしたことが重なり、株主資本主義のでは投票率が下がる。投票率が下がったでは組織票がものをいう選挙が行われるようになり、巨大な組織票を持つ宗教団体が政権与党に食い込むようになる。日本では創価学会公明党自民党を支持している。

株主資本主義のでは宗教団体が存在感を見せるようになる。

株主資本主義の企業と宗教団体の共通点

株主資本主義の企業宗教団体は似たところがあり、いくつかの共通点がある。

下意上達(ボトムアップ)が行われず上意下達(トップダウン)ばかりが行われる軍隊の組織であること、組織に尽くすための長時間労働を構成員に要すること、といったところである。

株主資本主義の企業と宗教団体の相違点

株主資本主義の企業宗教団体は、明確に相違している点が1つある。

株主資本主義の企業は長時間労働を労働者に課すときに外発的動機付けを掛けることが多いが、内発的動機付けを掛けることが少ない。「長時間労働をして成果を出せば高給を与える」と正の外発的動機付けを掛けたり、「長時間労働を拒否したら怠け者と呼ぶ」と負の外発的動機付けを掛けたりするが、「長時間労働をすれば顧客に感謝されるだろう」と労働者に訴えて内発的動機付けを掛けることは少ない。

なぜなら、は、特に経営と所有が分離した企業においては、会社の業務をよく知らず、営業に関わることがなく、顧客の感謝を収集することができないからである。経営と所有が分離した企業内発的動機付けをするには営業部門の労働者の手を借りねばならないが、そうすると営業部門の労働者が自信を持ってしまうので、株主資本主義者としては望ましいことではない。

一方で宗教団体は、長時間労働を信者に課すときに内発的動機付けを掛けることが多いが、外発的動機付けを掛けることが少ない。宗教団体は信者に「長時間労働をしてわが教団巨大化させれば、わが教団により救われる人が増え、君も感謝されるだろう」と訴えて内発的動機付けを掛けるのが非常に上手い。しかし宗教団体は総じて信者に対してケチであり、「長時間労働をして成果を出せば高給を与える」ということを全く行わないことが多い。

関連項目

脚注

  1. *このことは「借方 その他利益剰余金純資産)、貸方 銀行預金(資産)」と仕訳される。ただし「借方 その他利益剰余金純資産)、貸方 未払配当金(負債)」といったん仕訳しておき、その次に「借方 未払配当金(負債)、貸方 銀行預金(資産)」と仕訳するという手法を用いることがある。
  2. *期末において「借方 有価券(資産)、貸方 有価券評価益(収益)」と仕訳する。
  3. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』5ページ、26ページ
  4. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』65ページ
  5. *宗教活動に伴って作成する損益計算書」のことを正確に言うと「収益事業以外の事業にかかわる損益計算書」となる。宗教法人は「収益事業にかかわる財務諸表」と「収益事業以外の事業にかかわる財務諸表」を作る必要がある(国税庁資料15ページexit)。
  6. *法人所得に対して法人税が課税されない株式会社」と、「宗教活動だけを行っていて法人所得に対して法人税が課税されない宗教法人」は、厳密に言うと異なる存在である。前者は出資者のに利益を配分することを予定しているが、後者法人等に属するので出資者に利益を配分することを予定していない。前者は解散したときにという個人が残余財産を勝手に受け取ってよいが、後者法人等に属するので解散したときに個人が残余財産を勝手に受け取ることができない。(『税のタブー集英社インターナショナル三木義一 19ページ』)
  7. *所得税累進課税弱体化させると「カリスマ経営者」が出現することは、トマ・ピケティが『21世紀の資本(みすず書房)』の532ページで、ポール・クルーグマンが『格差はつくられた―保守アメリカを支配し続けるための呆れた戦略早川書房)』の101104ページで、それぞれ摘している。そして株主資本主義は所得税累進課税弱体化させる傾向にあるから、「株主資本主義の国家では『カリスマ経営者』が多く出現するようになる」ということが可である。
  8. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』179ページ、385ページ
  9. *生明は『会社の値段(ちくま新書)』の第二章の58ページあたりにおいて「1960年代頃までのアメリカ合衆国には『は黙って経営者のいうことを聞いていればよい』という潮があった」と摘している。また、アドルフ・バーリexitガーディナー・ミーンズexit1932年に発表した『現代株式会社と私有財産exit』という論文を紹介していて、「現代の大企業を支配しているのは雇われ経営者であり、は会社の所有者であるにもかかわらず会社の支配とは縁な存在になる」と論文の内容を要約している。
  10. *この典小室直樹であり、『日本人のための経済原論(東洋経済新報社)』などの著作で熱心に「日本人は株主資本主義と所有権の絶対性を理解していない」としていた。
  11. *管理監督労働者とは、部長課長などの中間管理職と呼ばれる労働者である。この中の一部は、取締役会設置会社において会社法362条4項3号によって取締役会で選任されるか、取締役会非設置会社において会社法348条3項1号によって取締役の過半数で選任されるかして、「支配人その他の重要な使用人」となる可性がある。いわゆる執行役員は「支配人その他の重要な使用人」とされる。
  12. *役員とは取締役会計参与・監役のことで、会社法329条によって株主総会で選任される。
  13. *テスラTwitterの役員であるイーロン・マスクは長時間労働を好むことで有名である。
  14. *人は息子お金などの資産を渡すことに情熱を注ぐ傾向がある。ある大学教授は「が重病になったら臓器でも玉でも何でも提供します。でも妻が重病になったら絶対に提供したくない(笑)」といった発言を大学受験用参考書の中で行っていた(本人の名誉のため名前せておく)。この発言は、人が「息子のためならあらゆる努力をする」という心情を抱えがちであることの一例になり得る。
  15. *慢して痛みに耐える労働者」を心かする株主資本主義者というと小泉純一郎が筆頭格である。小泉純一郎2001年4月26日になって首相に就任し、2001年5月5日国会における所信表明演説で「痛み」という言葉を3回使用しつつ(資料exit)、「構造改革で民に痛みを強いることになるが、しかし、民が痛みに耐えることで日本際競争力が向上するのだ」という内容の演説をしており、それ以外の場所でもそうした内容の演説を繰り返していた。また小泉純一郎は、2001年5月27日大相撲場所優勝決定戦で勝利した貴乃花に向かって「痛みに耐えてよく頑った!感動した!おめでとう」と叫んでいた(この動画exit_nicovideoの3分30あたり)。この小泉純一郎の姿は、ただ単に怪の痛みをこらえて頑ったスポーツ選手へ賛辞を送っただけに過ぎないのだが、慢して長時間労働の痛みに耐える労働者を好む株主資本主義を徴する姿であるとも言える。
  16. *株主資本主義の信奉者とされる竹中平蔵小泉純一郎読して絶賛する『自助論(サミュエル・スマイルズ)』には、人が労働を積み重ねて成果を得る姿を紹介する文章が頻繁に現れるが、「労働をしすぎると体や精神が疲労してしまう」と危惧する文章が全く現れない。「長時間労働の副作用に悩まされる人など存在しない」といった雰囲気で進んでいく書物である。
  17. *覚醒剤を使用すると疲労感を感じなくなり、何日も不眠不休で働くことが可になる。長時間にわたって労働や受験勉強をするために覚醒剤を利用する例がある(資料exit)。
  18. *1980年代日本の株主資本主義・新自由主義の旗手というと中曽根康弘首相である。中曽根康弘首相国鉄の民営化を実行し、当時の日本で最大最強とされた国鉄労働組合弱体化させた。国鉄労働組合弱体化していたことを各種のインタビューで語っている(記事1exit記事2exit)。
  19. *Googleの社内に初めて労働組合が作られたのが2021年1月である(記事exit)。Amazonの社内において長年にわたって企業側の圧力により労働組合が結成されなかったが、2022年4月になって史上初めて労働組合が結成された(記事1exit記事2exit)。AppleFacebookには労働組合2023年5月の時点で存在しない。
  20. *裁判所が確定判決によって救済命を支持しているのに企業経営者が救済命無視したら、企業経営者は労働組合法第28条により一年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金又はその両方という刑事罰を課される。
  21. *NHKスペシャル 戦後50年その時日本は 第5巻(日本放送出版協会)NHK取材班』252ページにおいて、労(国鉄労働組合)の幹部だった細井宗一が「組織が崩されるというのは、労働組合にとっては致命傷だからね」「労働組合標は何かというと、二つある」「一つは、組織の人たちの“生首”を絶対に切られないこと。もう一つは自分たちの組織を守るということなんです。組織があれば運動ができるわけです」と語っており、労働組合が構成員の数の維持を重視する組織であることを語っている。
  22. *2023年7月の時点で内閣総理大臣を務める岸田文雄の生年日は1957年7月29日であり、スト権ストが発生した1975年頃は18歳で、国鉄労働組合順法闘争をよく知っている世代である。「岸田文雄よりも年上の人たちは国鉄労働組合順法闘争をよく知っていて、『労働組合順法闘争をする悪い連中だ』という煽りがよく効く」と認識しておいてよさそうである。
  23. *商品投資とは「コモディティ投資」とも呼ばれるもので、投資金・銀白金プラチナ)・アルミニウム鉱石ダイヤモンド原油ガソリン・石炭・小麦大豆トウモロコシ暗号資産・外貨などを現物取引または先物取引の形態で売買して利益を追求することである。
  24. *「官から民へ」や「民間でできることは民間に」は、株主資本主義・新自由主義の信奉者とされる小泉純一郎首相が好んで使った言い回しである。
  25. *この典例が渡部昇一で、『歴史則―税金国家の盛衰を決める(PHP研究所1993年初版』の151ページ普通選挙を敵視する文章を書いている。
  26. *N・グレゴリー・マンキューは『マンキュー経済学マクロ編[第4版](東洋経済新報社)』の87ページで「セリーナ・ウィリアムズという一流のスポーツ選手は、庭の芝刈りを自分で行わず、近所の少年を雇ってその少年やらせるべきである。時間を庭の芝刈りに費やさずにテレビ広告の収録に回せば、テレビ広告の報酬を稼ぐことができる」と述べている。つまり「セリーナ・ウィリアムズテレビ広告仕事をして、近所の少年は芝刈りをする、という社会的分業をすべきだ」としている。
  27. *株主資本主義の信奉者とされる竹中平蔵小泉純一郎読して絶賛する『自助論(サミュエル・スマイルズ)』には、「貧困になると人が成長する」といった具合に貧困を賛美する文章が頻繁に現れる。
  28. *帝国データバンク2022年1月後半に実施した価格転の実態調(1万1981社回答)では、約8割の企業が自社の商品やサービス原材料価格高騰などのがあると回答し、さらに36.3は「価格転が全くできていない」と答えた。時事ドットコムニュース2022年02月10日20時33分exit
  29. *「貯蓄から投資へ」とか「貯蓄から資産形成へ」は日本政府が好む標語である。1990年代後半の金融ビッグバンの頃から日本政府が「貯蓄から投資へ」という標語を使うようになり、2001年2006年小泉純一郎内閣も「貯蓄から投資へ」という標語を好んで使っていた(資料exit)。金融庁ウェブサイトこのページexitにも「貯蓄から投資へ」の標語がある。また、2016年金融庁は「貯蓄から資産形成へ」という標語を掲げている(資料exit)。2021年に発足した岸田文雄内閣は、「新自由主義からの脱却をす」と宣言しているが(記事exit)、その一方で「『貯蓄から投資へ』を大胆かつ抜本的に進めて『資産所得倍増プラン』を推進する」と宣言し(記事exit)、新自由主義・株主資本主義の中核である直接金融を推進する構えを見せている。さらにいうと岸田文雄首相2022年5月5日英国金融のシティで講演し、「Invest in Kishida」と述べて「岸田文雄率いる日本に投資をしてください」といった意味の語りかけをして、直接金融を重視する姿勢を鮮明にした(記事exit)。
  30. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』40ページ
  31. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』88ページ
  32. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』33ページ
  33. *2020年東京オリンピックでは観光客向け案内人や医師看護師ボランティアで募集した。
  34. *日本において国家公務員賃金を引き下げる現象の代表例が2021年8月2022年6月に発生したので紹介しておきたい。まず、人事院が2021年8月10日国家公務員賞与を引き下げることを政府に対して勧告した(記事exit)。人事院勧告exitを受け入れるか拒否するかは日本政府自由に決めることができるのだが、岸田文雄首相が率いる日本政府2021年11月24日に人事院勧告を受け入れることを決め(記事exit)、2022年1月17日から始まった通常国会に給与法改正案を提出した。同法案は2022年3月10日衆議院会議で可決され、同年4月6日参議院会議で可決され(記事exit)、同年6月30日に支給される国家公務員賞与が減らされた(記事exit)。
  35. *不確実性に備えて通貨を貯蓄することを予備的貯蓄という。「不確実性が強まるほど人は通貨を予備的貯蓄したがるようになり、消費を避けるようになる」と摘したのはジョン・メイナード・ケインズである。
  36. *観光業 非正規雇用exit」で検索するだけで、観光業において非正規雇用の割合の多さを摘する学術論文がいくつもヒットする。
  37. *株主資本主義の旗手として知られる竹中平蔵は、2015年1月1日テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演し、「正社員をなくしてしまえばいい」と発言した(記事exit)。
  38. *沖縄県経済観光業に依存している(資料exit)。観光業は第3次産業に分類されるのだが、沖縄県は第3次産業の割合が全で一番高いレベルである(資料1exit資料2exit)。そして沖縄県非正規雇用の割合が全で一番高く、正規雇用の割合が全で一番低く、県民1人あたり所得の額が全で一番低い(資料exit)。こうした事実と反・株主資本主義者のは一致している。
  39. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』8889ページ
  40. *田中角栄首相に就任していたのは1972年7月7日から1974年12月9日までだが、1973年になって「福元年」と宣言し、老人医療の無料化や老人に対する年金支給額の大幅引き上げを実行した。このため、田中角栄こそが日本福祉国家に変貌させた政治家だと言える。
  41. *姥捨て山(うばすてやま)exitとは江戸時代日本の中の貧困地帯で存在したとされる習で、生産力が低くなった老人を人里離れた山に放置して絶命させ、その共同体の人件費を削減することをいう。ちなみに、共同体の構成員を追放したり殺したりすることで人件費を削減することを口減らし(くちべらし)という。
  42. *医療器具の加工は非常に難しい。切削しにくい難切削材の素材であることが多く、切削しにくい複雑な形状であることが多く、切削しにくい微小な形状であることが多いためである。医療器具を上手く加工するには、切削工具、切削工作機械、CADソフト、CAMソフトといったすべての要素を改良する必要がある。切削工具のメーカー工作機械メーカーが自社の商品を売り込むときの定番文句の1つは「が社の商品は医療器具の加工に使われております」である(記事1exit記事2exit記事3exit)。
  43. *小沢一郎は『日本改造計画』という著書を1993年講談社から発表した。その冒頭の16ページで「アメリカ合衆国グランドキャニオンには転落を防ぐ柵が見当たらず、注意をうながす管理人もおらず、立札さえ見当たらない。自分の安全を自分の責任で守っており、自己責任の考え方が成立している」といった趣旨のことを書いていた。
  44. *一例を挙げると、カルロス・ゴーンは人件費を削減するコストカッターとして有名であるが、日産自動車CEOの地位を解任されるまで日産自動車から高額の役員報酬を受け取り続けていた(記事exit)。「役員報酬が高すぎる」と言われると世界自動車会社における役員報酬を調べ上げて「日産と同規模の自動車会社では日産よりも多くの報酬を役員に支払っている」と反論していた(記事exit)。
  45. *イギリスの非政府組織(NGO)「オックスファム(Oxfam)」は、2016年1月18日に、「世界の最富裕層1が保有する資産の総額が、残る最富裕層以外の99が保有する資産の総額を上回った」と発表した(記事exit)。
  46. *機会等の例は「最終学歴中卒の人にも最終学歴大卒の人にも公務員試験受験資格を与える」というものである。条件等の例は「世の中のすべての人々の最終学歴大卒にして、そうした上で世の中のすべての人々に公務員試験受験資格を与える」というものである。結果等の例は「所得税累進課税を掛けて世の中のすべての人々の年収を500万円2000万円の幅に収める」というものである。
  47. *所得税累進課税を否定して所得税課税を肯定し、相続税止することをした株主資本主義者というと、渡部昇一である。
  48. *2006年2月1日参議院予算委員会で小泉純一郎首相が「私は格差が出るのは別に悪いこととは思っておりません。今まで悪等だということの批判が多かったんですね。力のある者が努力すれば報われる社会、これは総論として、与野党を問わずそういう考え方は多いと思います」「成功者をねたむ潮とか、力のある者の足を引っるとか、そういう潮は厳に慎んでいかないとこの社会の発展はないんじゃないかと。できるだけ成功者に対するねたみとかそねみという感情を持たないで、むしろ成功者なり才ある者を伸ばしていこうという、そういう面も必要じゃないかと」と答弁した(資料1exit資料2exit)。株主資本主義の支持者である竹中平蔵も「頑って成功した人の足を引っるな」というのが定番の語りである(記事exit)。株主資本主義の支持者である渡部昇一も「所得税累進課税は成功者への嫉妬である」と繰り返ししていた。英国首相を務めたマーガレット・サッチャー演説で「金持ちを貧乏にすることはできても、貧乏人を金持ちにすることはできない(The poor will not become rich even if the rich are made poor.)」と語ったが、これは「成功者に嫉妬して成功者の足を引っるな」とする人々によってしばしば引用される言葉である。
  49. *『虚妄の成果主義日経BP社)高橋伸夫』35ページ
  50. *ウォーレン・バフェットアメリカ合衆国大富豪で、株式投資によって巨万の富を稼ぎ出した。彼の私生活は非常に質素であり、こぢんまりとした小さな住居に住み、一般市民が飲むようなチェリーコークexit飲し、年会費無料のごく一般的なクレジットカードを使っている。

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株主資本主義

5 ななしのよっしん
2023/07/12(水) 12:38:55 ID: T8dM/uAFQu
この記事はバランス取れてそうだけど
長文読まされたうえ単なる一方的な極論だったりするからねえ
素人が口を挟むのは差し出がましいけど
自由経済活動による社会の発展や技術の革新を促進するメリット
本家の立場の行きすぎた強化が労働者の疲弊や福の軽視を生みやすいデメリットとか
そういうのを最初に書いたほうがいいんじゃないかな
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6 ななしのよっしん
2023/07/12(水) 12:44:46 ID: W/EYNKU89e
冒頭に概論としてニコニコ利用者でもわかる簡単な喩えを書いておけばええんや
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7 ななしのよっしん
2023/07/12(水) 12:49:13 ID: /3F3e+kWxj
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8 ななしのよっしん
2023/07/12(水) 12:52:44 ID: JNfJW17Eqy
こういう長文経済関連の事柄書く記事は一時期乱立してたけど、結局のところ流から外れた偏った思想を閲覧者の多い場所で表したいだけの場合が多かったんで、そりゃあ中身抜きにして「長い」と文句も言われるよ。
ここまでの長文を書くなら、身元明かしてnoteやらで書けばいいのに。
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9 ななしのよっしん
2023/07/13(木) 17:55:47 ID: kvsTfNQhEi
長文だけならいいよ、記事によっては(次ついてたり概要ごとに分けられてたりしてる配慮こそあれ)長文なうえに>>8のいう偏った思想々と似てるけど、一方的感情論を押し付けられたりもするからなあ
とは言わないけどね、その手の記事書いてるやつ
少なくともこの記事の人とは違うけど
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10 ななしのよっしん
2023/07/13(木) 18:04:39 ID: kwTf0hmEtn
要訳:金払いの良いを優遇するのは当然の事で金払いの悪い貧乏人は無視しても良い
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11 ななしのよっしん
2023/07/20(木) 08:28:34 ID: si02WbzixV
なんで企業の収益増で利益を得る企業の収益減にしかならない消費増税を推進するんだよ
しかもこれ後には小さな政府を望むとか矛盾したこと書いてるし内容が矛盾しすぎだろ
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12 ななしのよっしん
2023/08/18(金) 13:50:33 ID: 0Q20NSpSCg
あたかも学術的っぽく書いてるけど実際は自己流解釈によるこじつけじゃないか
この編集者が書いた記事全部こんな調子私物化してるから困る
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13 ななしのよっしん
2023/09/06(水) 11:33:17 ID: PUMnWvOGro
"新自由主義"とかもそうだけどただ自分が嫌いなものを一つの概念理やり押し込んで便利なレッテル貼りとして使おうとすんのやめようや
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14 ななしのよっしん
2023/11/03(金) 23:34:19 ID: 44QQtM9tF1
宗教団体であるあたりから飛躍しすぎやろ
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